説明

パッケージの個別切り出し装置

【課題】パッケージを一個ずつ確実に切り出しする個別切り出し装置を提供する。
【解決手段】供給機構18から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構23によって排出される個別切り出し装置であって、前部ベルトガイド12及び後部ベルトガイド13と、前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドに架け回されて回動する吸着ベルト14と、吸着ベルトを駆動する吸着ベルト駆動部15と、吸着ベルトの内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部14bと、吸着ベルトを貫通して設けられパッケージ収納部に収納されたパッケージPを吸着保持するための貫通孔14cと、吸着ベルトの外周の一部を覆うように吸着ベルトの外周に沿って配置され、チャンバー吸引駆動部17を介してパッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバー16と、吸着ベルトのパッケージ収納部に吸着されたパッケージの吸着を解除する吸着解除手段20と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食製品、医療用品、玩具、化粧品、機械部品などが入れられた袋状のパッケージを、製造過程で挿入する際に、そのパッケージロットからパッケージを連続して個別に切り出して整列させるパッケージの個別切り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、流通しているカップ麺などには主材となる麺の他に小袋などのパッケージに詰められた具材が入れられており、これらの一部はパッケージがランダムに詰められた箱の中から一個ずつ取り出して、カップ内に投入されている。このようなカップ麺などのカップ内にパッケージを投入する工程の自動化処理に関連して例えば、(a)搬送用コンベアの摩擦力と傾斜によりパッケージを分離させるようにした傾斜コンベア方式や、(b)遠心力によりパッケージを連続排出させる横型ドラム方式、(c)ボウルの振動によりパッケージの連続切り出しを行なうパーツフィーダ方式、(d)パッケージ画像処理とロボットハンドリングによりパッケージを選り分けるビジョンシステムロボット方式などが知られている。
【0003】
さらに、パッケージやパッケージ部品の個別切り出し搬送技術などに関して例えば、特許文献1(特開平7−86376号公報)には、モータで駆動されるステンレスベルトによりパッケージとなるICを搬送し、センサが搬送中のICの通過を検出すると、制御回路が吸着ユニットの互いに所定のピッチで配列された複数の吸着ノズルを制御して、ステンレスベルト上のICを吸着保持する部品整列装置が提案されている。
特許文献2(特開平6−247535号公報)には、搬送コンベア上を1個ずつ搬送されてくるパッケージ部品を、第1,第2の振り分け手段を用いて搬送コンベアの幅方向に強制的に押し滑らせることによって、振り分け、最終的にパッケージ部品をコンベア幅方向に一列に並んだ状態で整列させる装置が提案されている。
また、特許文献3(実用新案登録第2603966号公報)には、パッケージとなる袋群を搬送コンベアと送りローラで挟み、両者の送り速度の差によって上層の袋を繰り出し、該袋の先端をストッパで止めて該袋を吸盤により持ち上げ、該袋の先端を移載チャックに受け渡す食品パッケージの個別切り出し装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−86376号公報
【特許文献2】特開平6−247535号公報
【特許文献3】実用新案登録第2603966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の個別切り出し方法をカップ麺などのカップへの投入に適用した場合には、特に、小袋が軽量でその形状が不安定であることや、小袋が透明樹脂を素材としているために画像処理などによる分別が困難となることなどの理由から、一個ずつ個別に、正確にかつ効率的にパッケージを切り出すことが難しく、自動化のための技術的課題となっている。
また、ロボットを適用する場合には、画像処理では、小袋が重なっている場合や透明な素材でできている場合は、個別に認識することが難しく、切り出し処理の信頼性が低くなるという問題点があった。
さらに、切り出し処理を高速化するためにはロボットが複数台が必要であることなどの設備上の制限が多いことから、コスト、メンテナンスの点で課題があった。
【0006】
特許文献1〜3の技術では、その作業工程が複雑で作業内容が多岐にわたることから、手間と時間が掛かることが避けられない上に、配分間違いの発生も多く、配分仕分け作業の効率化と共に仕分け精度を高めることが望まれていた。
特に、特許文献1の技術では、ステンレスベルト上のパッケージを検出するためのセンサを要し、吸着ノズルも個々に動作する必要があるため、制御系などを含む装置構成が複雑となる。
また、特許文献2や特許文献3の技術では、パッケージとなる部品に機械的な強制力を作用させて整列させるものであるためにパッケージが損傷しやすいことに加えて、ソフトで不定形の樹脂シートなどが適用されるパッケージ素材に対しては好ましいものではない。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、カップ麺などの製造工程において、ランダムに投入されるパッケージを一個ずつ個別に切り出して供給する処理に際して、高度なロボット制御技術等を用いることなく、高速対応できるパッケージの個別切り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のパッケージの個別切り出し装置は、供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、
前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドと、
前記前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドに架け回されて回動する吸着ベルトと、
前記吸着ベルトを駆動する吸着ベルト駆動部と、
前記吸着ベルトの内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
前記吸着ベルトを貫通して設けられ前記パッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
前記吸着ベルトの外周の一部を覆うように前記吸着ベルトの外周に沿って配置され、チャンバー吸引駆動部を介して前記パッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
前記吸着ベルトのパッケージ収納部に吸着されたパッケージの吸着を解除する吸着解除手段と、を備えていることを特徴とする。
(2)本発明のパッケージの個別切り出し装置は、前記(1)において、前記パッケージ収納部内にパッケージが所定の状態に吸着されているかを検知する吸着状態検知手段を備え、
吸着状態検知手段からの信号を受け、
吸着ベルト駆動部の駆動/停止及び吸着解除手段のON/OFFを制御する制御部を、さらに備えていることを特徴とする。
(3)本発明のパッケージの個別切り出し装置は、前記(1)又は(2)において、前記パッケージが、食製品、医療用品、玩具、化粧品、機械部品を収納した袋体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の、供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置は、供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、
前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドと、前記前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドに架け回されて回動する吸着ベルトと、前記吸着ベルトを駆動する吸着ベルト駆動部と、
前記吸着ベルトの内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
前記吸着ベルトを貫通して設けられ前記パッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
前記吸着ベルトの外周の一部を覆うように前記吸着ベルトの外周に沿って配置され、チャンバー吸引駆動部を介して前記パッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
前記吸着ベルトのパッケージ収納部に吸着されたパッケージの吸着を解除する吸着解除ユニットと、を備えているので、
食製品、医療用品、玩具、化粧品、機械部品などを収納した袋状のパッケージを、製造過程において装入する際に、そのパッケージロットからパッケージを連続して個別に切り出して整列させる処理に際して、高度なロボット技術等を用いることなく確実に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置の正面図である。
【図2】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置の平面図である。
【図3】実施例に係る前部ベルトガイドへの吸着ベルトの巻き回し状態を示す斜視図である。
【図4】実施例に係る前部ベルトガイドへのパッケージ供給及び落下状態を示す斜視図である。
【図5】実施例に係る吸着チャンバーの取り付け状態を示す説明図である。
【図6】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置のベルト駆動制御のフローチャートである。
【図7】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置の吸着状態検知手段のフローチャートである。
【図8】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置の排出機構のフローチャートである。
【図9】実施例に係るパッケージの個別切り出し装置の供給機構のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、食製品、医療用品、玩具、化粧品、機械部品を収納した袋体のパッケージを1個ずつ個別に分離(切り出し)する装置である。このような袋体のパッケージとしては、袋体内に所定量の乾燥野菜や肉類、調味料など、固体、液体、気体を充填して、例えば、カップ麺やその他調理品などの容器内に、具材として別途装入されているものが相当する。
このようなパッケージは、例えば、ポリエチレンやポリエステル、紙などのシートを素材として略偏平袋状などに形成されたものである。
【0012】
本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、その全体が略直方体状に構成された本体フレーム内に、本体フレーム内の前後に立設され、ベルトガイド及び後部ベルトガイドと、前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドに架け回されて回動する吸着ベルトと、吸着ベルトを駆動する吸着ベルト駆動部と、吸着ベルトの内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、吸着ベルトを貫通して設けられパッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、吸着ベルトの外周の一部を覆うように吸着ベルトの外周に沿って配置され、チャンバー吸引駆動部を介してパッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、吸着ベルトのパッケージ収納部に吸着されたパッケージの吸着を解除する吸着解除ユニットとが、基本構成として備えられている。
このような構成のパッケージの個別切り出し装置によって、不定形でばらつきのあるパッケージをハンドリングする際に、高度なロボット制御技術等を用いることなく、カップ麺などのカップに小袋状のパッケージを損傷させることなく個別に切り出すことができる。
【0013】
<前部ベルトガイド>
本体フレーム内に立設された前部ベルトガイドは、2枚の円板を対向させてその中心軸で連結させ、その周面が開口された糸巻きのような薄幅の円筒状の形態をした回転体である。
また、対向する2枚の円板の周縁には凹凸状の歯が設けられており、吸着ベルトの両端部に設けられた凹凸に噛み合うことにより吸着ベルトを回動させるようになっている。
前部ベルトガイドは、金属や樹脂などで形成されており、例えば、50rpm以下の回転速度で回転するようになっている。
【0014】
<後部ベルトガイド>
本体フレームの後部に回転軸を介して回転可能に取り付けられている後部ベルトガイドも、基本的な形状は前部ベルトガイドと同様の形状を有している。後部ベルトガイドには、排出機構から排出されなかった、例えば不良パッケージなどを回収する不良品排出シュータを設けておき、吸着チャンバーの吸着が終了した地点でパッケージを落下させるようにすることも好ましい。
【0015】
<吸着ベルト>
吸着ベルトは、周面が開口された前部ベルトガイドと後部ベルトガイドとの間に架け回された、薄肉厚の無限軌道であり、その幅方向の両端部には、前部ベルトガイドや後部ベルトガイドの歯(凹凸)と噛み合うための凹凸が長手方向に連続して設けられている。
吸着ベルトとしては、例えば桟付ベルトにタイミングベルトを付けたものなどが挙げられる。
【0016】
<吸着ベルト駆動部>
前部ベルトガイドと後部ベルトガイドとの間に架け回された吸着ベルトを回動させるため、吸着ベルトの回動途中には、電動モーターなどの駆動部が設けられており、制御部からの信号を受けて、吸着ベルトの駆動/停止を制御できるようになっている。
吸着ベルト駆動部としては、吸着ベルトに直接ギヤモーターのギヤを噛み合わせて行う手段や、前部又は後部ベルトガイドの中心軸に駆動部を外付けする手段などが挙げられる。
【0017】
<貫通孔>
また、吸着ベルトの幅方向の略中央部には、吸着チャンバーからの吸引を受けるための貫通孔が長手方向に多数個連続して設けられている。貫通孔は、吸着ベルトのパッケージ収納部を貫通して設けられた吸気孔(例えば、その直径は5mm程度)である。貫通孔を通して吸着チャンバーによって吸引されたパッケージはパッケージ収納部内に吸着保持されるようになっている。
【0018】
<パッケージ収納部>
吸着ベルトの内周面には、吸着ベルトの長手方向において、所定間隔で仕切り片によって仕切られたスペースであるパッケージ収納部が形成されている。仕切り片が設けられる所定間隔とは、例えば、約100〜150mm程度のピッチである。吸着ベルトを架け回されてその外周面を覆われた前部ベルトガイド内にランダムに投入されたパッケージは、供給当初において、吸着ベルト上の隣接するパッケージ収納部を乗り越えた状態で多数個が蓄積されているが、吸着ベルトの回動及び吸引ブロアからの吸引に伴い、次第にパッケージ収納部内に個別に吸着されて収納されるようになる。
【0019】
<吸着チャンバー>
吸着チャンバーは、貫通孔に対向して吸着ベルトの外周の一部に沿って配置される減圧用の箱体であって、吸引ブロアなどのチャンバー吸引駆動部に接続されてその内部が所定圧力の減圧状態に保持されるようになっており、吸着ベルトの回動中において、貫通孔を通してパッケージ収納部を吸引して、パッケージ収納部に収納されたパッケージが自重で落下する力に抗して吸着ベルトに吸着保持させるようにしている。
吸着チャンバーは、吸着ベルトの外周の一部を所定範囲で覆うように吸着ベルトの曲面や平面部に沿って配置されている。
【0020】
<吸着解除手段>
吸着解除手段は、吸着ベルトのパッケージ収納部に配設され吸着保持されながら回動するパッケージを、吸着ベルトへの吸着を解除して、吸着ベルトから排出機構などへ移載させる手段である。
吸着解除手段としては、例えば、先端に樹脂板などを設け制御部からの信号により下降させて吸着ベルトの貫通孔を封鎖し、吸着チャンバーからの吸引を阻止する手段が挙げられる。
また、貫通孔に向け圧縮空気を噴射するエアー噴射装置、上方からの機械的衝撃により吸着パッケージをたたき落とすような衝撃装置なども用いることができる。
排出機構としては、吸着解除手段の下方に設けられ、落下したパッケージを載置して本体フレームの外部に排出させる機能を有したベルトコンベア等が挙げられる。
【0021】
<吸着状態検知手段>
吸着状態検知手段は、前部ベルトガイド内に設けられ、吸着ベルトのパッケージ収納部内にパッケージが所定の状態に配設されているかを検知するカメラなどのセンサである。吸着状態検知手段は、パッケージ収納部内に蓄積されたパッケージの状態を検知して、制御部に送信する。
【0022】
<制御部>
制御部は、吸着状態検知手段から送信された情報に基づき、前部ベルトガイド内のパッケージの量を最適な量の範囲内に制御するとともに、パッケージが所定量より減少したと判断した場合には、供給機構へ信号を送り、パッケージを前部ベルトガイド内へ供給する機能を有する。
また、制御部は、吸着状態検知手段からの信号を受け、吸着ベルト駆動部の駆動/停止のタイミングや吸着解除手段のON/OFFのタイミングを制御する機能を有する。
このような制御により、具材などの充填形態が不定形となる食製品パッケージや、画像処理が困難となる透明な合成樹脂袋からなる食品パッケージなどにおける切り出し処理の自動化を容易にすることができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1はパッケージの個別切り出し装置の正面図であり、図2は平面図であり、図3は前部ベルトガイドへの吸着ベルトの巻き回し状態を示す斜視図であり、図4は前部ベルトガイドへのパッケージ供給及び落下状態を示す斜視図であり、図5は吸着チャンバーの取り付け状態を示す説明図である。
【0024】
本実施例に係るパッケージの個別切り出し装置10は、図示するように、その全体が略直方体状に構成された本体フレーム11内に、前部ベルトガイド12及び後部ベルトガイド13、その回転軸の両端によって回転自在に支持されている。
そして、前部ベルトガイド12及び後部ベルトガイド13に吸着ベルト14が架け回されており、回動する途中に配設された吸着ベルト駆動部15によって、吸着ベルト14,前部ベルトガイド12、後部ベルトガイド13とが一体的に回動されるようになっている。
その吸着ベルト14の外周の一部を所定範囲で覆うように吸着ベルト14の曲面及び平面部に沿って対向して配置され吸引ブロア(チャンバー吸引駆動部)17によって吸引するための吸着チャンバー16とを備えて構成されている。
吸着チャンバー16は、吸着ベルト14の外周14eの曲面部及び平面部に沿ってその一部を外方から覆うように、吸着ベルト14に対向して配置された箱体であり、吸引ブロア17によって吸着チャンバー16を吸引して負圧にするようにしている。
【0025】
また、吸着チャンバー16は、吸着ベルト14の外周14eに対向する開始位置を変更できるように吸着チャンバー16の外部に設けられた吸引開始位置変更用ユニット16aを用いて、前部ベルトガイド12の外周曲面回りに吸引開始位置を変更できるようにすることができるようになっている。
吸引開始位置変更用ユニット16aとは、例えば、図1に示すようなユニット16aの部分に板状の仕切り板16bを適宜な位置に差し込んで、前部ベルトガイド12の外周曲面回りの吸引開始位置を配置する。
【0026】
吸着ベルト14には、無限軌道からなるその内周面に、仕切り片14aによって仕切られたパッケージ収納部14bが複数箇所設けられている。
パッケージ収納部14bは、例えば、吸着ベルト14の内周面に沿ってピッチ間隔約約150mmで仕切り片14aによって仕切られた部分であり、そのパッケージ収納部14bには貫通して吸着チャンバー16に連通させるための多数の貫通孔14cが設けられている。
図3に示すように、供給機構18から前部ベルトガイド12の側方から投入されたパッケージPを、貫通孔14cを介して吸着チャンバー16から吸引される負圧によって、
個別にパッケージ収納部14bに吸着保持するようにしている。
【0027】
なお、前部ベルトガイド12の詳細は、図4に示すように、ベアリング等で軸部分12aと外方の回転する回転部分12bを分離し、軸部分を静止させて回転部分12bのみを回転させ、軸部分12aの下方にパッケージ落下口12cを設け、投入されたパッケージPをこの落下口12cから下方の吸着ベルト上に落下させることができる。
【0028】
供給機構18から前部ベルトガイド12内に投入されパッケージ収納部14b内に蓄積されたパッケージは、吸着ベルト14の回動によって余剰分が振り落とされるとともに、選択された1個のパッケージPが吸着ベルトに吸着されたまま吸着ベルトとともに回動し、排出機構23の上方に設けられた吸着解除手段20の下方に達すると、吸着解除手段20によって吸着を解除され排出機構23の排出コンベア23a〜23fのいずれかの上に落下し、本体フレーム11外に排出され、後工程(図示しない)で一個ずつカップ内に投入されるようになっている。
【0029】
吸着解除手段20は、吸着ベルト14に吸着されたパッケージPが、後部ベルトガイド13に達する前に、下方に落下させるための、吸着ベルト14への吸着力を解除させるための手段であり、吸着ベルト上に下降密着して貫通孔14cをゴム板などで封鎖し、吸着チャンバーからの吸引を阻止する。
また、吸着解除手段20を、貫通孔に向け圧縮空気を噴射するエアー噴射装置、上方からの機械的衝撃により吸着されたパッケージPをたたき落とすような衝撃装置などとし、そのタイミングを制御部からの信号により制御することもできる。
【0030】
<吸着状態検知手段>
また、前部ベルトガイド12において吸着されたパッケージPの吸着状態を検知するための吸着状態検知手段19を、前部ベルトガイド12の出側に設け、吸着ベルト14のパッケージ収納部14b内に吸着保持されているパッケージPの吸着状態を検知して、吸着ベルト駆動部の駆動/停止及び吸着解除手段のON/OFFを制御する制御部へ信号を送信する。
吸着状態検知手段19としては、上方に位置する吸着ベルトの下面を撮像するカメラや超音波センサなどが挙げられる。
【0031】
<内容量検知センサ>
前部ベルトガイド12内のパッケージPの量を検知する内容量検知センサ19bを設けることもできる。内容量検知センサとしては、例えば超音波センサなどを適用することができる。これにより、前部ベルトガイド12内に蓄積されているパッケージPの量が所定量以下になった場合に、供給機構に信号を送ってパッケージの補充をさせることができる。
【0032】
図6〜図9は、実施例のパッケージの個別切り出し装置の使用状態を示す動作フローチャートである。
以下フローチャートを参照して、実施例のパッケージの個別切り出し装置についてさらに詳細に説明する。
【0033】
<ベルト駆動制御>
図6を参照してベルト駆動における制御を説明すると、パッケージの個別切り出し装置における吸着ベルト駆動部15において、制御部21は、吸着ベルト駆動部15をONにして吸着ベルトの回動を開始させる(S1)。また、吸引ブロア17を駆動し吸着チャンバー16内の圧力を低下させ、パッケージPの吸着を開始する(S2)。そして、吸着ベルト駆動部15にベルト移動量を監視させるとともに、吸着状態検知手段19に処理開始信号を送る(S3)。吸着状態検知手段19から処理データの信号を受け取り(S4)、ワーク(パッケージ)と排出機構のコンベア位置情報を記憶する(S5)。排出機構23からの信号を受け、移載先(排出機構の排出コンベア)に空きが有るかどうかを判定し(S6)、空きが無い場合は(NO)、吸着ベルト駆動部15によってベルト駆動を停止させる(S7)。移載先(排出機構のコンベア)に空きが有る場合は(YES)、排出機構のどのコンベアに移載するかという移載位置を演算し(S8)、吸着ベルト駆動部15によってベルトを駆動させ(S9)、移載位置にくるまで待ち(S10)、移載位置に到達した時点で、吸着解除手段20に信号を送り吸着ベルトに吸着しているワーク(パッケージ)を排出機構へ移載する(S11)。
【0034】
<吸着状態検知手段>
図7を参照して吸着状態検知手段における制御を説明すると、吸着ベルト駆動部15からの処理開始信号を待ち(S21)、吸着ベルト14内面に吸着されているワーク(パッケージ)の吸着状態の監視を開始する(S22)。吸着状態の異常を検出した場合(S23)、不良ワーク(例えば、パッケージの載置抜け、2個以上パッケージの載置、異なった種類のパッケージを載置など)かどうかの判断をする(S24)。不良ワークではない場合(N0)はステップS26に移行する。不良ワークである場合(YES)は、不良ワーク情報入力を行い(S25)、吸着ベルト駆動部15へ、処理データを送る(S26)。
【0035】
<排出機構>
図8を用いて、制御部21からの排出機構開始信号を受けて排出機構23におけるワーク移載制御を説明する(図1、図2も参照)。
排出機構のアキュムレーションコンベア23aを例にとってその動作を説明する。
まず、吸着解除手段20の真下のアキュムレーションコンベア23a上にワークが有るかどうかを確認センサにおいて確認する(S31)。
ワークが無い場合は(NO)ベルト駆動制御へ信号を送り(S32)、ワークが移載されてくるのを待つ。
ワークが有る場合は(YES)、アキュムレーションコンベア23bの下流ゾーンにワークが有るかどうかを確認する(S33)。
ワークが有る場合は(NO)アキュムレーションコンベア23aは停止させたままにし(S34)、
ワークが無い場合は(YES)、アキュムレーションコンベア23aを駆動させる(S35)。
そして、アキュムレーションコンベア23a上の下流ゾーンにワークを検知した場合は、アキュムレーションコンベア23aを停止させる(S36)。
これらにより、アキュムレーションコンベア23a〜23fへの、吸着ベルト14からの移載タイミングのずれを補正し、複数列を同時に下流ゾーンに安定して供給することができる。
【0036】
<前部ベルトガイドへワーク供給処理>
図9を参照して供給機構における前部ベルトガイドへのワーク供給(補充)処理制御を説明すると、制御部21からの補充処理の信号を受け供給機構(供給コンベア)を駆動させる(S41)。内容量検知センサがON(前部ベルトガイド内においてワーク過剰)となっているかどうかを判断する(S42)。内容量検知センサがON(過剰)の場合、供給コンベア停止して前部ベルトガイド内へのワーク補充処理を停止する(S43)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のパッケージの個別切り出し装置は、パッケージ収納部に投入されたパッケージを吸着ベルト内周面に吸着させて回動させ排出機構によって排出させることで、パッケージ群の個別切り出しを行なうことができ、パッケージの個別切り出し作業を自動化でき、食品分野をはじめとして種々の産業分野において利用可能性が極めて大きい。
【符号の説明】
【0038】
10 パッケージの個別切り出し装置
11 本体フレーム
12 前部ベルトガイド
12a 軸部分
12b 回転部分
12c 落下口
13 後部ベルトガイド
14 吸着ベルト
14a 仕切り片
14b パッケージ収納部
14c 貫通孔
14d 仕切り片
14e ベルトガイドの外周
14f 軸部分
15 吸着ベルト駆動部
16 吸着チャンバー
16a 吸着開始位置変更用ユニット
16b 仕切り板
17 チャンバー吸引駆動部(吸引ブロア)
18 供給機構
19 吸着状態検知手段
19b 内容量検知センサ
20 吸着解除手段
21 制御部
22 供給用コンベア(供給機構)
23 排出機構(排出用コンベア)
23a〜23f アキュムレーションコンベア
P パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、
前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドと、
前記前部ベルトガイド及び後部ベルトガイドに架け回されて回動する吸着ベルトと、
前記吸着ベルトを駆動する吸着ベルト駆動部と、
前記吸着ベルトの内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
前記吸着ベルトを貫通して設けられ前記パッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
前記吸着ベルトの外周の一部を覆うように前記吸着ベルトの外周に沿って配置され、チャンバー吸引駆動部を介して前記パッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
前記吸着ベルトのパッケージ収納部に吸着されたパッケージの吸着を解除する吸着解除手段と、
を備えていることを特徴とするパッケージの個別切り出し装置。
【請求項2】
前記パッケージ収納部内にパッケージが所定の状態に吸着されているかを検知する吸着状態検知手段を備え、
吸着状態検知手段からの信号を受け、
吸着ベルト駆動部の駆動/停止及び吸着解除手段のON/OFFを制御する制御部を、さらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの個別切り出し装置。
【請求項3】
前記パッケージが、食製品、医療用品、玩具、化粧品、機械部品を収納した袋体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッケージの個別切り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−1356(P2012−1356A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140483(P2010−140483)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(502126998)株式会社メカワールド (6)
【Fターム(参考)】