説明

パッケージの封止方法

【課題】パッケージの貫通孔を短時間で封止することができる封止方法を提供することを目的としている。
【解決手段】内部空間と外部とを連通する貫通孔50を備えたパッケージの封止方法において、前記パッケージにおける前記貫通孔50の外部側開口部の周辺領域に金属被膜を設け、封止材60を前記金属被膜に接するように前記貫通孔50に配置し、前記封止材60を配置する前記パッケージの外部側から第1レーザー光を前記金属被膜に照射する第1照射工程と、第2レーザー光を前記封止材60に照射して前記封止材60を溶融させる第2照射工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧電振動片を収容するパッケージの封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、移動体通信機器などの電子機器には、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
圧電振動片となる音叉型圧電振動片を備えたパッケージは、容器内に収容空間と、当該収容空間と外部とを連通する貫通孔を有している。この貫通孔に封止材を挿入し、真空中で前記封止材を溶融することにより前記貫通孔を封止してパッケージの収容空間を気密に保持することができる。
【0003】
特許文献1に記載された封止方法によれば、先ず、ベースの封止孔(貫通孔)に金属焼結体を形成し、ベース面を上にして真空雰囲気中に置き、封止孔の金属焼結体に向けてレーザー光を照射する。レーザー光の照射によって、金属焼結体が溶融し溶融金属がポーラス構造の微細孔を埋めながら固化して金属焼結体と金属部からなる封止体を形成する。これにより封止孔が気密に閉塞されている。
特許文献2に記載された封止方法によれば、圧電振動子の貫通孔は、真空又は不活性ガス雰囲気で、貫通孔に金属ボールを落とし込み、金属ボールにレーザー光を照射して局所加熱を行うことにより封止されている。
【0004】
特許文献3に記載された封止方法によれば、上向きにされたパッケージの外側孔部にAu−Ag−Sn合金を用いて形成された金属ボールを挿入し、レーザービームを照射することにより、溶融した金属ボールは外側孔部の内部全体に拡がり完全に閉塞して固化し外側孔部が塞がれている。
特許文献4に記載された製造方法によれば、貫通孔に収められた球状の封止材に、レーザービーム発生装置あるいは電子ビーム照射装置等による封止用のビームを照射して溶融させ、このとき球状の封止材は貫通孔の中心軸上に精度良く収められているため、封止材が貫通孔内を均等に埋め尽くし封止不良が起こらないように貫通孔を封止できる。
【0005】
特許文献5により提案された真空封止は以下のことが記載されている。先ず、パッケージのリッドに接触するように配置された加熱手段でパッケージを加熱する。この加熱による熱はパッケージに接触している封止孔の封止材に伝えられて所定温度まで昇温させる。ついで、当接治具を封止材及び金属被膜部に当接させて封止材の溶融温度以上の温度まで急激に上昇させる。このようにパッケージを封止材の融点以下に予め加熱してから、封止材を溶融することにより封止材が流れ易くなり安定した真空封止ができる。
【0006】
特許文献6により提案された封止方法は以下のことが記載されている。パッケージを真空チャンバー内に配置して、パッケージに設けられた貫通孔の開口部を金ゲルマニウム合金で封止する封止工程において、真空チャンバー内を真空引きし、所定時間、所定温度で加熱する。その後、貫通孔に金ゲルマニウム合金の封止材を配置し、レーザー照射手段から封止材に向けてレーザー光を照射して封止材を溶融することにより貫通孔を塞いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−147643号公報
【特許文献2】特開2010−252051号公報
【特許文献3】特開2008−155221号公報
【特許文献4】特開2005−64024号公報
【特許文献5】特開平11−312948号公報
【特許文献6】特開2003−158439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献1〜4に開示の従来の封止方法によれば、いずれも封止材の溶融温度以上に設定されたレーザー光を照射して、短時間で封止材を溶融しているが、パッケージの材質を水晶やガラスとした場合、この短時間のレーザー照射によって、水晶やガラスが常温から急激に高温に曝されることになるので、急激な温度上昇により生じる熱衝撃によって、水晶やガラスに割れやクラックが発生する問題があった。
【0009】
また特許文献5,6のように封止材を溶融する前に予めパッケージ全体を加熱手段で加熱を行い、その後、レーザー光で封止材を溶融して封止孔を閉塞すれば、前述の基板にクラックが発生することを防止できる。
【0010】
しかし、加熱手段に載置したパッケージの開口部を塞ぐリッド側の面、すなわち封止孔が設けられたパッケージの底面側の主面とは反対側の主面から加熱を行うことや、パッケージ全体に亘って加熱を行うことは、貫通孔周辺を加熱する効率が非常に悪く、加熱に時間がかかり、最終的に製造効率も低下するという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決するため、パッケージの貫通孔を短時間で封止することができるパッケージの封止方法を提供することを目的としている。またパッケージの気密性の高いパッケージの封止方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]内部空間と外部とを連通する貫通孔を備えたパッケージの封止方法において、前記パッケージにおける前記貫通孔の外部側開口部の周辺領域に金属被膜を設け、封止材を前記金属被膜に接するように前記貫通孔に配置し、前記封止材を配置する前記パッケージの外部側から第1レーザー光を前記金属被膜に照射する第1照射工程と、第2レーザー光を前記封止材に照射して前記封止材を溶融させる第2照射工程と、を有することを特徴とするパッケージの封止方法。
【0013】
上記方法によれば、貫通孔へ封止材を挿入するパッケージの外部側から貫通孔の封止領域を予熱することにより、加熱時間を大幅に短縮することができる。封止材の溶融前の封止領域の予熱によって、水晶で形成されたパッケージの封止時であっても、加熱によって生じるパッケージのクラック発生を防止することができる。また封止領域を直接加熱しているため、熱伝導率の低い材質であっても、短時間で封止領域を加熱することができ、短時間で封止工程を行うことができる。
【0014】
[適用例2]前記第1レーザー光の照射径は前記封止材の外径よりも大きく、前記第2レーザー光の照射径は前記封止材の外径よりも小さい前記第2レーザー光を前記封止材の外径の範囲内に収まるように照射したことを特徴とする適用例1に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、封止領域を効果的に短時間で予熱することができ、かつ、封止材を短時間で溶融することができる。
【0015】
[適用例3]前記第1レーザー光の照射径を前記封止材の外径よりも小さくしたことを特徴とする適用例1に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、封止材にレーザー光を照射して加熱すると封止材と接する金属被膜へ熱が移動する。この金属被膜を介して封止領域を効果的に加熱することができる。
【0016】
[適用例4]前記第1レーザー光の加熱温度を前記封止材の溶融温度よりも低くなるように設定したことを特徴とする適用例1ないし3のいずれか1例に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、貫通孔が形成された基板に対し、急激な加熱によるクラックを生じさせることなく予熱することができる。
【0017】
[適用例5]前記第1及び第2レーザー光は、単一の照射手段から照射され、絞り又はフィルタにより前記照射径を調整することを特徴とする適用例1ないし4のいずれか1例に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、レーザー照射手段を簡略化して、装置構成を小型化し、省エネルギー化を図ることができる。
【0018】
[適用例6]前記貫通孔は、孔径の異なる第1貫通孔と第2貫通孔とから構成され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通したことを特徴とする適用例1ないし5のいずれか1例に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、封止材を貫通孔内に仮置きして、レーザー光を確実に照射させることができる。
【0019】
[適用例7]前記第2貫通孔は、前記外部側に配置され、前記第2貫通孔の孔径が前記第1貫通孔の孔径よりも大きいことを特徴とする適用例1ないし6のいずれか1例に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、封止材をパッケージの外部側から貫通孔内に仮置きして、レーザー光を確実に照射させることができる。
【0020】
[適用例8]前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との連通部に段差を有することを特徴とする適用例6又は7に記載のパッケージの封止方法。
上記方法によれば、封止材を貫通孔内の段差に仮置きして、レーザー光を確実に照射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】封止方法の第1照射工程の説明図である。
【図2】封止方法の第2照射工程の説明図である。
【図3】変形例1の第1照射手段の説明図である。
【図4】変形例1の第2照射手段の説明図である。
【図5】変形例2の第1照射手段の説明図である。
【図6】変形例2の第2照射手段の説明図である。
【図7】変形例3の説明図である。
【図8】第1照射工程及び第2照射工程の説明図である。
【図9】パッケージの封止方法の説明図である。
【図10】音叉型圧電振動片を備えた圧電デバイスの概略分解斜視図である。
【図11】圧電デバイスの振動基板の概略平面図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】圧電デバイスの振動基板の底面図である。
【図14】圧電デバイスの陽極接合の説明図である。
【図15】貫通電極を備えた圧電デバイスの封止方法の説明図である。
【図16】圧力センサーの概略分解斜視図である。
【図17】圧力センサーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のパッケージの封止方法の実施形態を添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
本実施形態のパッケージは、一例として、音叉型圧電振動片を備えた圧電振動子の構成で以下説明する。図10は音叉型圧電振動片を備えた圧電デバイスの概略分解斜視図である。なお図10では励振電極を省略している。図11は圧電デバイスの振動基板の概略平面図である。図12は図11のA−A断面図である。図13は圧電デバイスの振動基板の底面図である。図14は圧電デバイスの陽極接合の説明図である。
【0023】
圧電デバイス10は、第1基板20と、振動基板30と、第2基板22と、を積層してなる圧電振動子である。第1基板20は振動基板30の上面開口30aを塞ぐことができる程度の大きさを有し、振動基板30の外形と同様に矩形状をなす。第2基板22は、振動基板30の下面開口30bを塞ぐことができる程度の大きさを有し、振動基板30の外形と同様に矩形状をなす。第1基板20及び第2基板22は、いずれも振動基板30と接合する側の面に凹部20a,22aを備えている。第1基板20の凹部20aと、第2基板22の凹部22aと、を向かい合わせて、それらの間に振動基板30を挟むよう、第1基板20と、振動基板30と、第2基板22と、を固定すると、音叉型の圧電振動片32を収容する内部空間S2が形成される。第1基板20の凹部20aには封止用の貫通孔50が設けられている。貫通孔50は、内部空間S2と外部とを連通する孔である。貫通孔50は、孔径の異なる2つの孔が連通した形態である。内部空間S2側の第1貫通孔51は、外側の第2貫通孔52よりも孔径を小さく形成している。第1貫通孔51と第2貫通孔52の間には、外部に向う側に段差53が設けられる(図1)。第1貫通孔51の孔径よりも大きい封止材を貫通孔50に挿入すると、段差53で仮置きすることができる。貫通孔50及び貫通孔50の周辺には金属被膜24が形成されている。金属被膜24は、レーザー光が基板を通過しないようにレーザー光を受け止める膜である。また金属被膜24は基板と溶融した封止材の密着性を高めるために形成されている。
【0024】
なお第1基板20及び第2基板22は材料に水晶を用いている。また貫通孔50は第1基板20に代えて第2基板22に形成する構成とすることもできる。第1基板20及び第2基板22の材料に水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ガラスを適用しても良い。即ち、第1基板20と第2基板22の材料の組合せとして、水晶と水晶、水晶とガラス、ガラスと水晶、ガラスとガラス、等を適用することができる。
【0025】
振動基板30は、圧電振動片32と、圧電振動片32の外周を囲む外枠部33から構成されている。振動基板30は、材料に水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を用いることができる。なお、ここでは、振動基板30の材料に水晶を選択し、振動基板30は、一例として水晶の薄板をエッチングすることにより圧電振動片32と外枠部33を形成している。圧電振動片32は、外枠部33と接続する基部31と、基部31を基端として反対方向に延びる一対の振動腕34,35とを備えている。振動腕34,35はそれぞれ長手方向に延びる長溝34a,35aを形成してもよい。長溝34a,35aは各振動腕34,35の上下面に同様の形態で形成されている。この長溝34a,35aにそれぞれ第1励振電極41b、第2励振電極42bを形成することによって、振動腕34,35における磁界効率を向上させることができる。また振動腕34,35と基部31の間には切欠き部又はくびれ部36を形成している。このような構成により、圧電振動片32の振動が基部31側へ漏れることを防止して、CI値を低減することができる。
【0026】
図11に示すように振動基板30の上面には、第1電極41が形成されている。この第1電極41は図11に符号41aで示すように、振動基板30の上面に引き回された第1接合用電極41aと、この第1接合用電極41aと接続されて、圧電振動片32の基部31の表面を通り、振動腕34の両側面及び振動腕35の上面と下面に引き回された第1励振電極41bとを有している。
【0027】
図13に示すように振動基板30の下面には、第2電極42が形成されている。この第2電極42は図13の符号42aで示すように、振動基板30の下面に引き回された第2接合用電極42aと、この第2接合用電極42aと接続されて、圧電振動片32の基部31の裏面を通り、振動腕35の両側面及び振動腕34の上面と下面に引き回された第2励振電極42bとを有している。
【0028】
ここで本実施形態の圧電デバイスのパッケージの接合は、一例として陽極接合を適用している。陽極接合は、平滑な表面をもつ面どうしで、その表面原子の結合を生じさせて接合する方法である。第1接合用電極41aと第2接合用電極42aは、それぞれ振動基板30の両主面に、それぞれ第1基板20と、第2基板22を陽極接合するために用いる電極となる。第1励振電極41bと第2励振電極42bは、圧電振動片32を駆動するために用いる電極となる。第1接合用電極41aと第2接合用電極42aと第1励振電極41bと第2励振電極42bは水晶により形成された振動基板30の表面にクロム(Cr)層を形成し、その上に金(Au)層を設けた共通の構造を備えている。さらに第1接合用電極41a及び第2接合用電極42aの部分は、金層の上に陽極接合のための金属被膜層として、例えば、アルミニウム(Al)層や、これに代えて、タングステン、シリコン、ニッケル、チタン等を被膜して形成することもできる。
【0029】
また図14に示すように第1接合用電極41aは、図14において左側の側面に側面電極45aとして、第2基板22の底面まで引き回されて、この第2基板22の底面の端部に設けた実装電極45と接続されている。同様に、第2接合用電極42aは、図14において右側の側面に側面電極46aとして、第2基板22の底面まで引き回されて、この第2基板22の底面の端部に設けた実装電極46と接続されている。
【0030】
このような構成の圧電デバイス10の製造方法は、まず、第1基板20、第2基板22、振動基板30を用意する。
第1基板20及び第2基板22は、水晶基板を用いて、外形に対応した耐蝕膜を予め形成し、その後エッチングにより外形を形成する。このとき第1基板20は第1貫通孔51も同時に形成することができる。次に第1基板20及び第2基板22の凹部20a,22aを形成するために必要な耐蝕膜を予め形成し、その後ハーフエッチングにより凹部20a,22aを形成する。また第2貫通孔52に対応した耐蝕膜を予め形成し、その後ハーフエッチングにより第2貫通孔52を形成する。なお、凹部20a,22aを形成する手法として、エッチングの変わりにブラストを用いても良い。
【0031】
振動基板30は、水晶基板を用いて、外形に対応した耐蝕膜を予め形成し、その後、エッチングにより外形を形成する。耐蝕膜を剥離した後、第1電極41及び第2電極42を形成する。第1電極41及び第2電極42は、振動基板30の該当する箇所にクロム層を形成し、その上に金層を設けた共通の構成を形成する。さらに第1接合用電極41aと第2接合用電極42aの部分には、金層の上に陽極接合のための金属被膜をスパッタリングや蒸着等により形成する。
【0032】
次に第1基板20と、第2基板22と、振動基板30を用いて陽極接合を行う。第1基板20の外枠と、第2基板22の外枠をそれぞれ、振動基板30の第1接合用電極41a及び第2接合用電極42aに密着させる。そして接合膜となる第1接合用電極41a及び第2接合用電極42a側が陽極となるように、直流電源39から直流電圧を印加する。なお、第1基板20と、第2基板22と、振動基板30との接合は、陽極接合に限らず、直接接合や、低融点ガラス等の接着手段により接合しても良い。
【0033】
本発明のパッケージの封止方法は真空チャンバー内で次のように行う。図9はパッケージの封止方法の説明図である。図示のように基板70上に複数のパッケージ72が等間隔に配列されている。基板70は図示しない移動手段によって矢印a方向に移動させている。基板70上には、第1照射手段80と第2照射手段82を備えた固定手段87が所定間隔を開けて配置されている。第1照射手段80及び第2照射手段82は、ケーブルを介してレーザー光源88に接続している。レーザー光源88は制御部89と電気的に接続し、レーザー光の出力を制御することができる。
【0034】
図1は封止方法の第1照射工程の説明図である。図8は第1照射工程及び第2照射工程の説明図であり、各照射径及び封止材の平面図を示している。
封止材60は、貫通孔50の第1貫通孔51の内径よりも大きく、第2貫通孔52の内径よりも小さい外径(直径)に設定している。封止材60は球形にすることで、第1貫通孔51上で転がることなく容易に固定でき、レーザー光の照射箇所を位置決めすることができる。封止材60は、第1基板20と接合し易い材料であることが好ましく、一例としてAu−Sn合金やAu−Ge合金を用いることができる。このような封止材60を貫通孔50に挿入し、金属被膜24に接するように配置する。
【0035】
第1照射手段80は、平面視したパッケージの貫通孔50を中心とする鉛直線から外れた斜め上方向から斜め下方の貫通孔50の封止領域の金属被膜24へレーザー光を照射するように設置している。本実施形態の封止領域とは、貫通孔50と貫通孔50の周辺など、封止材60が溶融して固化する周辺領域をいう。第1照射手段80から貫通孔50の封止領域の金属被膜24に向けて第1レーザー光を照射する。第1レーザー光は、図8に示すように封止材60の外形よりも大きい照射径とし、かつ封止材60の溶融温度よりも低い温度となるように設定している。これにより、貫通孔50へ封止材60を挿入する第1基板20の主面側(外表面)から直に封止領域を効率良く予熱することができる。
【0036】
図2は封止方法の第2照射工程の説明図である。
第2照射手段82は、平面視したパッケージの貫通孔50の鉛直線上から直下の封止材60にレーザー光を照射するように設置している。第2照射手段82から封止材60に第2レーザー光を照射する。第2レーザー光は、図8に示すように封止材60の外径よりも小さい照射径とし、かつ第1レーザー光よりも高い温度、一例として封止材60の融点以上の温度となるように設定している。
【0037】
このような本発明のパッケージの封止方法によれば、貫通孔50へ封止材60を挿入する第1基板20の外部側から直に封止領域の金属被膜を加熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。
【0038】
次に変形例1の封止方法について以下説明する。図3は変形例1の第1照射手段の説明図である。図4は変形例1の第2照射手段の説明図である。変形例1の封止方法は、第1照射手段と第2照射手段を単一の照射手段84とし、絞りを用いてその焦点を調節することにより第1照射工程と第2照射工程を行っている。具体的に変形例1の照射手段84は、平面視したパッケージの貫通孔50の鉛直線上から直下の貫通孔50の封止領域の金属被膜24にレーザー光を照射するように配置している。そして、第1レーザー光は、封止材60の外形よりも大きい照射径とし、かつ封止材60の溶融温度よりも低い温度の出力となるように設定している。これにより、貫通孔50へ封止材60を挿入する第1基板20の外部側から効率良く予熱することができる。
【0039】
また第2レーザー光は、封止材60の外径よりも小さい照射径とし、かつ封止材60の融点以上の温度となるように設定している。
このような変形例1の封止方法によれば、貫通孔50へ封止材60を挿入するパッケージの外部側から封止領域を予熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。また照射手段を一元化して装置構成を簡略化でき、レーザー光を容易に照射して貫通孔50を封止することができる。
【0040】
次に変形例2の封止方法について以下説明する。図5は変形例2の第1照射手段の説明図である。図6は変形例2の第2照射手段の説明図である。変形例2の封止方法は、第1照射手段と第2照射手段を単一の照射手段85とし、レーザー光の照射上にフィルタ86を設置して、第1照射工程と第2照射工程を行っている。具体的に変形例2の照射手段85は、平面視したパッケージの貫通孔50の鉛直線上から直下の封止材60にレーザー光を照射するように配置している。本実施形態の変形例2の照射手段85は、封止材60を溶融可能な第2レーザー光を出力できるように予め設定している。そして第1レーザー光は、レーザー光の照射上にフィルタ86を配置している。フィルタ86は、レーザー光を拡散して照射径を拡げる拡散フィルタや、レーザー光の一部を遮光する遮光フィルタなどを用いることができる。このレーザー光の拡散によりレーザー光の出力を封止材60の溶融温度よりも低い温度の出力に設定することができる。これにより、第1照射工程では第2レーザー光の照射径を拡げて第1レーザー光として封止材60に照射させて封止領域を予熱することができる。
【0041】
第2照射工程は、フィルタ86を照射手段85の照射上から外して第2レーザー光を封止材60に照射させている。なおフィルタ86に代えて集光レンズを用いれば、第2レーザー光から第1レーザー光を出力するように構成してもよい。
【0042】
このような変形例2の封止方法によれば、貫通孔50へ封止材60を挿入する側の主面から封止領域の金属被膜を予熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。また照射手段を一元化して装置構成を簡略化できる。また照射手段の照射径の設定を第1レーザー光又は第2レーザー光の何れか一方とし、拡散フィルタ又は集光レンズを用いていずれか他方のレーザー光を照射させることにより、照射手段のレーザー光の設定を簡略化することができる。
【0043】
次に変形例3の封止方法について以下説明する。図7は変形例3の説明図である。変形例3の照射手段87は、平面視したパッケージの貫通孔50の鉛直線上から直下の封止材60にレーザー光を照射するように配置している。第1照射工程は、封止材60の融点温度よりも低い温度となる第1レーザー光を照射している。封止材60は金属被膜24と接しているため、封止領域に予熱のための熱が伝わり易い。従って照射径を封止材60の外径よりも小さくしても封止材60から金属被膜24を介して第1基板20を予熱することができる。
【0044】
また第2レーザー光は、第1レーザー光と同様に封止材60の外径よりも小さい照射径に設定している。そして封止材60の融点以上の温度となるように設定している。
【0045】
このような変形例3の封止方法によれば、貫通孔50へ封止材60を挿入する側の主面から封止領域の金属被膜を加熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。また照射手段を一元化して装置構成を簡略化できる。
【0046】
本発明のパッケージの封止方法は、外部電極と接続する貫通電極を貫通孔に設けた構成であっても適用することができる。図15は貫通電極を備えた圧電デバイスの封止方法の説明図である。圧電デバイス90は、振動体基板93と第1基板91と第2基板92の接合面を重ね合わせて積層体とし、TLP接合により接合している。
【0047】
圧電デバイス90の封止方法は、真空チャンバー内で次のように行う。貫通孔94と封止材95の間に金属被膜96が形成されているため、変形例3の封止方法に従って以下説明する。照射手段97は、平面視したパッケージの貫通孔94の鉛直線上から直下の貫通孔94の封止領域にレーザー光を照射するように配置している。第1照射工程は、封止材95の融点温度よりも低い温度となる第1レーザー光を照射している。封止材95は金属被膜96と接しているため、予熱のための熱が伝わり易い。従って照射径を封止材95の外径よりも小さくしても封止材95から金属被膜96を介して封止領域を予熱することができる。
【0048】
また第2レーザー光は、第1レーザー光と同様に封止材95の外径よりも小さい照射径に設定している。そして封止材95の融点以上の温度となるように設定している。
【0049】
封止材95が溶融した貫通電極98は、振動体基板93の接続電極99と電気的に接続している。そして貫通電極98が形成された貫通孔内の金属被膜96と電気的に接続する外部電極100を蒸着法又はスパッタ法により形成する。
なお第2レーザー光は、照射径を変える代わりに、パワー出力だけを封止材の溶融温度よりも高い温度となるように設定するようにしても良い。
【0050】
このような本発明のパッケージの封止方法によれば、貫通孔94へ封止材95を挿入する第1基板91の主面側から直に貫通孔94の封止領域を予熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。
【0051】
以上、本発明は、圧電振動子を例に説明したが、これに限らず、圧力センサーのような物理量センサーにも広く適用できることはいうまでもない。図16は圧力センサーの概略分解斜視図である。図17は圧力センサーの断面図である。図示のような圧力センサー12は、第1基板200をダイアフラムとし、第2基板220をベース基板とした。中間層の振動基板300の圧電振動片は、例えば、一対の基部302を両端に設けた感圧素子として、双音叉振動子304を採用し、前記一対の基部302は前記ダイアフラムの可撓部222に設けた一対の支持部224に固定している。貫通孔50は第2基板220(ベース基板)に設けている。
【0052】
このような構成の圧力センサー12であっても、貫通孔50へ封止材を挿入する第2基板220の外部側から直に封止領域の金属被膜を加熱することにより、パッケージが熱伝導率の低い材質であっても、短時間で加熱することができる。
【符号の説明】
【0053】
10………圧電デバイス、20,200………第1基板、22,220………第2基板、24………金属被膜、30,300………振動基板、31………基部、32………圧電振動片、33………外枠部、34,35………振動腕、36………くびれ部、41………第1電極、42………第2電極、45,46………実装電極、50………貫通孔、51………第1貫通孔、52………第2貫通孔、60………封止材、70………基板、72………パッケージ、80………第1照射手段、82………第2照射手段、84………照射手段、85………照射手段、86………フィルタ、87………固定手段、88………レーザー光源、89………制御部、90………圧電デバイス、91………第1基板、92………第2基板、93………振動体基板、94………貫通孔、95………封止材、96………金属被膜、97………照射手段、98………貫通電極、99………接続電極、100………外部電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と外部とを連通する貫通孔を備えたパッケージの封止方法において、
前記パッケージにおける前記貫通孔の外部側開口部の周辺領域に金属被膜を設け、
封止材を前記金属被膜に接するように前記貫通孔に配置し、
前記封止材を配置する前記パッケージの外部側から第1レーザー光を前記金属被膜に照射する第1照射工程と、
第2レーザー光を前記封止材に照射して前記封止材を溶融させる第2照射工程と、
を有することを特徴とするパッケージの封止方法。
【請求項2】
前記第1レーザー光の照射径は前記封止材の外径よりも大きく、
前記第2レーザー光の照射径は前記封止材の外径よりも小さい前記第2レーザー光を前記封止材の外径の範囲内に収まるように照射したことを特徴とする請求項1に記載のパッケージの封止方法。
【請求項3】
前記第1レーザー光の照射径を前記封止材の外径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載のパッケージの封止方法。
【請求項4】
前記第1レーザー光の加熱温度を前記封止材の溶融温度よりも低くなるように設定したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパッケージの封止方法。
【請求項5】
前記第1及び第2レーザー光は、単一の照射手段から照射され、絞り又はフィルタにより前記照射径を調整することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のパッケージの封止方法。
【請求項6】
前記貫通孔は、孔径の異なる第1貫通孔と第2貫通孔とから構成され、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のパッケージの封止方法。
【請求項7】
前記第2貫通孔は、前記外部側に配置され、
前記第2貫通孔の孔径が前記第1貫通孔の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のパッケージの封止方法。
【請求項8】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との連通部に段差を有することを特徴とする請求項6又は7に記載のパッケージの封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図7】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−21079(P2013−21079A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152189(P2011−152189)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】