説明

パッケージ基板分割装置

【課題】小型化され設備費を抑制することができるパッケージ基板分割装置を提供する。
【解決手段】複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され樹脂封止されたパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割するパッケージ基板分割装置1において、パッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割した後、移し替え手段13が、パッケージデバイスを区画する隔壁を有さず底面が平面状に形成された収容部を備えたトレーに分割されたパッケージ基板を当該パッケージ単位で移し替える。当該パッケージ単位で移し替えるため、個々のパッケージデバイスをトレーに収容するための設備が不要となり、パッケージデバイスをトレーに収容するための機構を小型化することができ、装置の占有面積を小さくすることができるとともに、設備費を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割し、分割されたパッケージデバイスをトレーに収容するパッケージ基板分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが表面に形成されたウェーハは、ダイシング装置によって個々のチップに分割される。その後、各チップがCSP(Chip Size Package)等のパッケージデバイスに搭載される場合は、複数のチップが基板上に配置されて樹脂封止され、パッケージ基板が構成される。そして、パッケージ基板を分割予定ラインに沿って分割することにより、個々のパッケージデバイスとなる。
【0003】
パッケージ基板を分割する装置としては、例えば下記特許文献1に記載された分割装置がある。この分割装置は、切削ブレードによってパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割する分割機構と、パッケージデバイスを1つずつピックアップして収容トレーに収容する収容機構とから構成され、収容トレーに収容されたパッケージデバイスは、組み立て工程に搬送され、各種電子機器等に利用される。収容トレーには、収容しようとするパッケージデバイスを仕切るための隔壁が設けられており、隔壁によって仕切られた個々の領域にパッケージデバイスを収容するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−24003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、分割装置は、分割機構と収容機構とから構成されているために、装置が大型化し、占有面積が広くなり不経済であるとともに、設備費が高額になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、小型化され設備費を抑制することができるパッケージ基板分割装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され樹脂封止されたパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割するパッケージ基板分割装置に関するもので、複数のパッケージ基板を収容したカセットを支持するカセット支持手段と、カセット支持手段に支持されたカセットからパッケージ基板を搬出するパッケージ基板搬出手段と、搬出されたパッケージ基板が仮置きされパッケージ基板の位置あわせを行う仮置き手段と、パッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された溝を備えるとともに溝によって区画された領域に吸引孔を備えた治具テーブルに仮置き手段で位置あわせされたパッケージ基板を搬送する搬送手段と、回転可能な切削ブレードを備え治具テーブルに保持されたパッケージ基板を切削する切削手段と、切削が完了し個々のパッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面を洗浄する上面洗浄手段と、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面全面を吸引保持しパッケージ基板の下面を洗浄する下面洗浄手段と、洗浄が終了したパッケージ基板を乾燥させる乾燥手段と、パッケージデバイスを区画する隔壁を有さず底面が平面状に形成された収容部を備えたトレーを空の状態で格納する空トレー格納手段と、空トレー格納手段から空のトレーを搬出するトレー搬出手段と、パッケージデバイスに分割され乾燥手段によって乾燥されたパッケージ基板を搬出された空のトレーにパッケージ基板単位で移し替える移し替え手段と、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板を収容したトレーを格納する収容済トレー格納手段とから少なくとも構成される。
【0008】
上記パッケージ基板分割装置において、トレーの収容部には、タック力を有するシートが敷設されており、移し替え手段は、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面全面を吸引保持する吸着パッドと、吸着パッドに吸引保持されたパッケージ基板の下面を該タック力を有するシートに押圧する押圧部とから構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパッケージ基板分割装置は、パッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割した後、パッケージデバイスを区画する隔壁を有さず底面が平面状に形成された収容部を備えたトレーに分割されたパッケージ基板を当該パッケージ単位で移し替えるため、個々のパッケージデバイスをトレーに収容するための設備が不要となる。したがって、パッケージデバイスをトレーに収容するための機構を小型化することができ、装置の占有面積を小さくすることができるとともに、設備費を抑制することができる。
【0010】
また、トレーの収容部にタック力を有するシートが敷設され、移し替え手段が、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面全面を吸引保持する吸着パッドと、当該タック力を有するシートに吸着パッドに吸引保持されたパッケージ基板の下面を押圧する押圧部とから構成されるため、押圧部がパッケージ基板の下面を当該タック力を有するシートに押圧するだけで、分割されたパッケージ基板がパッケージ基板の形状を維持したままトレーに収容され保持される。したがって、トレーへの移し替え処理がより簡略化されるとともに、トレー内に隔壁がなくてもトレーの搬送時にパッケージデバイスがトレー内で動いて損傷することがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パッケージ基板分割装置の一例を示す斜視図である。
【図2】パッケージ基板の一例を示す斜視図である。
【図3】治具テーブルの一例を示す斜視図である。
【図4】パッケージデバイスを収容するトレーの一例を示す斜視図である。
【図5】同トレーの一部を拡大して示す断面図である。
【図6】空トレー格納手段における空のトレーの格納状態を拡大して略示的に示す断面図である。
【図7】収納済トレー格納手段におけるパッケージデバイス収納済のトレーの格納状態を拡大して略示的に示す断面図である。
【図8】カセットにパッケージデバイスを収納する状態を示す斜視図である。
【図9】パッケージ基板分割装置におけるトレーの格納及び搬送のための機構を拡大して示す斜視図である。
【図10】空トレー格納手段からの空のトレーの取り出しの手順を略示的に示す断面図である。
【図11】トレーにパッケージデバイスが収容された状態を示す斜視図である。
【図12】パッケージデバイスが収容されたトレーを収納済トレー格納手段に格納する手順を略示的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すパッケージ基板分割装置1は、例えば図2に示すパッケージ基板200を切削して個々のパッケージデバイスに分割する装置である。パッケージ基板200は、複数のデバイスが分割予定ライン200aによって区画され樹脂封止されて形成されており、分割予定ライン200aに沿って切断することによりパッケージデバイス200bとなる。図2の例のパッケージ基板200では、パッケージデバイス200bが形成されている領域が、ブロック201aとブロック201bとに分かれている。
【0013】
図1に示すパッケージ基板分割装置1の前部には、分割前のパッケージ基板200を複数収容したカセット2aを支持するカセット支持手段2と、装置に対して動作の指示を与えるための操作手段3とを備えている。
【0014】
カセット支持手段2は、複数(図示の例では2つ)のカセット2aが載置されるテーブル20と、テーブル20を横方向(X軸方向)に移動可能に支持する支持台21とを備えており、支持台21は昇降可能となっている。
【0015】
カセット支持手段2のY軸方向後方側には、カセット支持手段2に支持されたカセット2aからパッケージ基板200を搬出するパッケージ基板搬出手段4が配設されている。パッケージ基板搬出手段4は、パッケージ基板200を厚さ方向に挟持する挟持部40と、挟持部40をY軸方向に移動させる移動機構41と、搬出したパッケージ基板を仮置きする仮置き手段42とを備えている。
【0016】
移動機構41は、Y軸方向に延びるレール410と、レール410に沿ってY軸方向に移動するアーム部411とから構成され、アーム部411の先端に挟持部40が形成されており、アーム部411のY軸方向の移動によって挟持部40も同方向に移動する構成となっている。
【0017】
仮置き手段42は、Y軸方向を長手方向とする断面L字型の一対のレール420を有し、一対のレール420は、互いが近づく方向及び離れる方向に移動可能となっている。一対のレール420が近づいた状態では、パッケージ基板200を支持するとともに一定の位置に位置あわせすることができる。
【0018】
パッケージ基板搬出手段4の下方には、切削時にパッケージ基板200を保持する治具テーブル5が配設されている。図3に示すように、治具テーブル5は、回転可能な回転台50に固定され、回転可能であるとともにX軸方向に移動可能となっている。
【0019】
治具テーブル5は、パッケージ基板200の切削時に後述する切削ブレードとの接触を避けるためにパッケージ基板200の分割予定ライン200aに対応する位置に形成された溝51と、図示しない吸引源に連通する吸引孔52とを備えており、複数の吸引孔51は、溝51によって区画された領域にそれぞれ形成されている。
【0020】
図1に示すように、治具テーブル5の移動経路には、回転可能な切削ブレード60を備えた切削手段6が配設されている。切削手段6は、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっており、治具テーブル5に保持されたパッケージ基板200を切削することができる。
【0021】
治具テーブル5の移動経路の上方には、切削が完了し個々のパッケージデバイスに分割された後のパッケージ基板の上面を洗浄する上面洗浄手段65が配設されている。上面洗浄手段65は、例えば下方に洗浄液を噴出することによりパッケージ基板200の上面に付着した切削屑を除去することができる。
【0022】
上面洗浄手段65のY軸方向後部側には、切削後のパッケージ基板の下面を洗浄する下面洗浄手段7が配設されている。下面洗浄手段7は、例えばブラシにより構成され、パッケージ基板200の下面と接触することにより当該下面に付着した切削屑を除去する。
【0023】
下面洗浄手段7のY軸方向後部側には、上面及び下面が洗浄された後のパッケージ基板を乾燥させる乾燥手段8が配設されている。乾燥手段8は、例えばホットプレートにより構成される。
【0024】
仮置き手段42、下面洗浄手段7及び乾燥手段8の上方には、パッケージ基板200を搬送する搬送手段9が配設されている。搬送手段9は、パッケージ基板200の上面を吸着する吸着パッド90と、吸着パッド90をY軸方向に移動させる移動機構91と、吸着パッド90をZ軸方向に昇降させる昇降機構92とを備えている。この搬送手段9は、仮置き手段42で位置あわせされたパッケージ基板200の上面全面を吸引保持して治具テーブル5に搬送する機能、上面洗浄後の分割されたパッケージ基板200の上面全面を吸引保持して治具テーブル5から下面洗浄手段7に搬送する機能、及び、下面洗浄後の分割されたパッケージ基板200の上面全面を吸引保持して下面洗浄手段7から乾燥手段8に搬送する機能を有する。
【0025】
パッケージ基板分割装置1の側部側には、パッケージデバイスを収納するための空のトレーを格納する空トレー格納手段10と、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板が収納されたトレーを格納する収納済トレー格納手段11とが配設されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、空トレー格納手段9及び収納済トレー格納手段10に格納されるトレー30は、底板300と、底板300の端部から立設された側壁301と、側壁301から側方に突出した突出部302と、底板301の上に敷設されたシート303とから構成されている。シート303はタック力を有しており、当該シート303としては、例えば信越ポリマー株式会社製のアシストテープ、株式会社ユーエムアイ社製のフレックスキャリア、株式会社エクシールコーポレーション製のゲルベース等を使用することができる。シート303と側壁301と突出部302とによって囲まれた空間が、パッケージデバイスを収容するための収容部304を形成している。収容部304には、パッケージデバイスを区画する隔壁は備えておらず、その底面は平面状に形成されている。
【0027】
図1に示した空トレー格納手段10は、空のトレーを複数段に重ねて格納するラック部100と、ラック部100の内側壁から出没自在であり空のトレーを支持する係止部101と、ラック部100の下方においてからトレーが載置される昇降テーブル102と、昇降テーブル102に連結されたピストン103と、ピストン103を昇降させるシリンダ104とを備えている。ラック部100は、上下方向に貫通して形成されている。
【0028】
図6に示すように、係止部101は、ラック部100において最も下の段に収容された空のトレー30の突出部302を下方から支持する。係止部101は、断面T字型に形成されており、水平方向に延びる水平部105と水平部105の中央部から下方に延びる垂下部106とから構成され、水平部105の一方の端部が突出部302の下方に入り込むことにより空のトレー30を下方から支持する。垂下部106には水平方向の軸心を有する回転軸106aを備えており、係止部101は、回転軸106aを中心として回転可能となっている。また、垂下部106の下端には、水平方向の軸心を有する連結軸107aを介して可動板107が回動可能に連結されており、可動板107は、バネ108によって水平となるように付勢されている。可動板107の一方の端部には、傾斜面107bが形成されている。一方、昇降テーブル102の端面102aは、傾斜面107bと同じ角度を有する傾斜面に形成されている。
【0029】
図1に示すように、収納済トレー格納手段11は、分割されたパッケージ基板を収納した収納済トレーを複数段に重ねて格納するラック部110と、ラック部110の内側壁から出没自在であり収納済トレーを支持する係止部111と、ラック部110の下方において空トレーが載置される昇降テーブル112と、昇降テーブル112に連結されたピストン113と、ピストン113を昇降させるシリンダ114とを備えている。
【0030】
図7に示すように、係止部111は、ラック部110において最も下の段に収容された空のトレー30の突出部302を下方から支持する。係止部111は、断面L字型に形成されており、鉛直方向に延びる垂下部115と垂下部115の下端から水平方向に延びる水平部116とが一体に形成され、水平部116が突出部302の下方に入り込むことにより、収納済のトレー30を下方から支持する。水平部116の下面117は、円弧状に形成されている。垂下部115には水平方向の軸心を有する回転軸115aを備えており、係止部111は、回転軸115aを中心として回転可能となっている。
【0031】
図1に示した空トレー格納手段10からの空のトレーの搬出及びパッケージデバイスを収納したトレーの収納済トレー格納手段11への格納は、トレー搬送手段12によって行われる。トレー搬送手段12は、空のトレーまたは収納済トレーを収容するトレー収容部120と、トレー収容部120をY軸方向に移動させる駆動部121とから構成される。
【0032】
パッケージ基板分割装置1のY軸方向後部には、パッケージデバイスに分割され乾燥手段8によって乾燥された乾燥済みのパッケージ基板をパッケージ基板単位で空トレーに移し替える移し替え手段13が配設されている。移し替え手段13は、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の全面を吸着する吸着パッド130と、吸着パッド130を昇降させる昇降手段131と、吸着パッド130をX軸方向に移動させる移動部132とから構成されている。
【0033】
以下では、図1に示したパッケージ基板分割装置1において、図2に示したパッケージ基板200を切削して個々のパッケージデバイスに分割し、そのパッケージデバイスを図4及び図5に示したトレー30に収納する動作について説明する。
【0034】
切削対象のパッケージ基板200は、図8に示すように、カセット2aに複数収納される。そして、カセット2aは、図1に示したテーブル20に複数載置される。
【0035】
そして、図1に示した支持台21が上昇するとともに、テーブル20がX軸方向にスライドすることにより、いずれか一方のカセット2aが仮置き手段42の前方に位置づけさせる。次に、挟持部40が前方に移動し、カセット2aの中の1枚のパッケージ基板200を挟持部40が挟持し、後方側に移動することにより、パッケージ基板200をカセット2aから搬出する。このとき、一対のレール420は、パッケージ基板200を下方から支持し、かつ、スライドさせることができるように、間隔を設定しておく。
【0036】
カセット2aから搬出したパッケージ基板200は、レール420の上に載置され、挟持部40による把持を解除される。そして、レール420が互いに近づく方向に移動することによりパッケージ基板200が一定の位置に位置あわせされる。
【0037】
次に、搬送手段9を構成する吸着パッド90がパッケージ基板200の上方に移動し、吸着パッド90が下降してパッケージ基板200を吸着する。そして、レール420が互いに離れる方向に移動し、吸着パッド90が一対のレール420の間を下降し、パッケージ基板200を治具テーブル5に載置し、吸着パッド90による吸着を解除する。
【0038】
こうして載置されたパッケージ基板200が治具テーブル5に保持されると、治具テーブル5がX軸方向に移動し、切削すべき分割予定ライン200a(図2参照)が検出されてその分割予定ライン200aと切削ブレード60とのY軸方向の位置あわせがなされる。そして、治具テーブル5がX軸方向に移動するとともに、切削ブレード60が高速回転しながら切削手段6が下降し、検出した分割予定ライン200aが切削される。
【0039】
切削手段6をY軸方向にインデックス送りしながら、順次分割予定ライン200aの切削を行い、同方向の分割予定ライン20aをすべて切削する。また、治具テーブル5を90度回転させた後、同様に切削を行うと、すべての分割予定ライン200aが切断されて個々のパッケージデバイスに分割される。
【0040】
治具テーブル5には、個々のパッケージデバイスを吸引する吸引孔52が形成されているため、パッケージデバイスは、分割された後も、全体としてパッケージ基板の形状が維持されて治具テーブル5に吸引保持されており、切削終了後は、分割されたパッケージ基板が治具テーブル5に保持されて仮置き手段42の下方に戻る。そして、その移動の過程で、上面洗浄手段65から噴出される洗浄液によって各パッケージデバイスの上面が洗浄される。また、このとき、洗浄液の圧力によって端材が治具テーブル5から除去される。
【0041】
治具テーブル5に保持されたパッケージ基板200が仮置き手段42の下方に戻ると、一対のレール420を離反させた状態で、吸着パッド90が下降して分割されたパッケージ基板200の全体を吸引保持する。そして、吸着パッド90が上昇し、さらにY軸方向後方側に移動するとともに下降し、分割されたパッケージ基板200の下面を下面洗浄手段7に接触させながらY軸方向に移動し、当該下面を洗浄する。
【0042】
次に、吸着パッド90が上昇し、さらにY軸方向後方側に移動し、分割されたパッケージ基板200の下面を乾燥手段8の下面に対面させることによりパッケージ基板200を乾燥させる。そしてその後、パッケージ基板200を構成するすべてのパッケージデバイスを、図4及び図5に示したトレー30に収容する。
【0043】
空のトレー30は、図9に示すように、空トレー格納手段10のラック部100に複数重ねて収容されている。最も下の位置で収容されている空のトレー30は、図10(a)に示すように、係止部101によって支持されている。この状態から、最も下にある空のトレー30を取り出す場合は、図10(b)に示すように昇降テーブル102を上昇させ、傾斜面107bに端面102aを接触させ、回転軸106aを中心として係止部101を矢印Aの方向に回転させる。そうすると、図10(c)に示すように、水平部105による突出部302の支持が解除され、図10(d)に示すように、昇降テーブル102の上に空のトレー30が落下する。このとき、昇降テーブル102は、可動板107よりも上方に位置する。また、最も下段のトレー30が下降することにともない、下から2段目のトレー30も落下するが、係止部101が元の状態に戻るため、2段目のトレー30は係止部101によって支持される。
【0044】
空のトレー30が昇降テーブル102の上に落下すると、次に、昇降テーブル102を下降させる。そうすると、図10(e)に示すように、可動板107がバネ108の付勢力に抗して連結軸107aを中心に矢印B方向に回転し、さらに昇降テーブル102を下降させる。昇降テーブル102の直下にトレー搬送手段12を構成するトレー収容部120を位置させておくことにより、さらに昇降テーブル102を下降させることにより、図10(f)に示すように、空のトレー30がトレー収容部120に収容される。
【0045】
図1を参照して説明すると、こうして空トレー格納手段10から取り出された空のトレー30は、トレー収容部120がY軸方向に移動し、乾燥手段8の近傍に位置づけされる。一方、分割されたパッケージ基板200は、吸着パッド130によって上面前面が吸着され、昇降部131が吸着パッド130を上昇させてから、吸着パッド130及び昇降部131がX軸方向に移動する。そして、トレー収容部120に収容された空のトレー30の直上で移動を停止し、昇降部131が吸着パッド130を下降させ、分割されたパッケージ基板200全体を空のトレー30に押しつける。空のトレー30にはタック力を有するシート303が敷設されているため、すべてのパッケージデバイスは、全体としてパッケージ基板200の形状を維持したまま空のトレー30に収容され保持される。このように、昇降部131は、吸着パッド130に吸引保持されたパッケージ基板200の下面をタック力を有するシート303に押圧する押圧部として機能する。
【0046】
その後、吸着パッド130による吸着を解除し、吸着パッド130は、次の分割されたパッケージ基板200を同様に空のトレー30に搬送する。このようにして、図11に示すように、空のトレー30にパッケージデバイス200bが収容される。なお、図11に示した例では、パッケージデバイス200bが、ブロック201aとブロック201bとに分かれた状態でトレー30に収容されている。
【0047】
こうしてトレー30にパッケージデバイスが収容されると、トレー30を収容したトレー収容部120がY軸方向前方に移動し、図1に示す収納済トレー格納手段11を構成する昇降テーブル112の直上に位置づけされる。このとき、トレー30にはタック力を有するシート303が敷設されているため、搬送中にパッケージデバイス202bがトレー30内で動くことはない。
【0048】
パッケージデバイス200bが収容されたトレー30が昇降テーブル112の直上に移動すると、図12(a)に示すように、昇降テーブル112が上昇し、パッケージデバイス200bが収容されたトレー30を押し上げる。そして、図12(b)に示すように、トレー30の突出部302が水平部116の下面117と接触しながら上昇し、係止部111の矢印C方向への回転により突出部302が下面117とが接触しなくなると、図12(c)に示すように、係止部111が矢印D方向に回転して元の位置に戻り、突出部302が水平部116の上方に入り込み、水平部116によって下方から支持される。このようにして、パッケージデバイス200bが収納されたトレー30が収納済トレー格納手段11に順次格納されていく。
【0049】
以上のようにして、パッケージ基板分割装置1では、カセット2aからのパッケージ基板200の取り出し、切削によるパッケージ基板200の分割、分割されたパッケージ基板200の洗浄、分割されたパッケージ基板200のトレー30への収納、分割されたパッケージ基板200が収容されたトレー30の格納といった一連の作業が自動的に行なわれる。
【0050】
パッケージ基板200を個々のパッケージデバイス200bに分割した後、パッケージデバイスを区画する隔壁を有さず底面が平面状に形成された収容部304を備えたトレーに分割されたパッケージ基板200をパッケージ基板単位で移し替えるため、個々のパッケージデバイス200bをトレー30に収容するための設備が不要となる。したがって、パッケージデバイス200bをトレー30に収容するための機構を小型化することができ、装置の占有面積を小さくすることができるとともに、設備費を抑制することができる。さらに、トレー30には隔壁が形成されていないため、各パッケージデバイスを隔壁で仕切られた各領域に位置あわせする細かな制御も不要となる。
【0051】
また、図4及び図5に示したように、トレー30の収容部304にタック力を有するシート303が敷設され、図1に示した移し替え手段13が、パッケージデバイス200bに分割されたパッケージ基板200の上面全面を吸引保持する吸着パッド130と、タック力を有するシート303に吸着パッド130に吸引保持されたパッケージ基板200の下面を押圧する昇降部(押圧部)131とから構成されるため、昇降部(押圧部)131がパッケージ基板の下面を当該タック力を有するシートに押圧するだけで、分割されたパッケージ基板がパッケージ基板の形状を維持したままトレーに収容され保持される。したがって、トレーへの移し替え処理がより簡略化されるとともに、トレー内に隔壁がなくてもトレーの搬送時にパッケージデバイスがトレー内で動いて損傷することがない。
【符号の説明】
【0052】
1:パッケージ基板分割装置
2:カセット支持手段 20:テーブル 21:支持台 2a:カセット
3:操作手段
4:パッケージ基板搬出手段
40:挟持部
41:移動機構 410:レール 411:アーム部
42:仮置き手段 420:レール
5:治具テーブル 50:回転台 51:溝 52:吸引孔
6:切削手段 60:切削ブレード
65:上面洗浄手段 7:下面洗浄手段 8:乾燥手段
9:搬送手段 90:吸着パッド 91:移動機構 92:昇降機構
10:空トレー格納手段
100:ラック部 101:係止部 102:昇降テーブル 103:ピストン
104:シリンダ 105:水平部 106:垂下部
107:可動板 107a:連結軸 107b:傾斜面
11:収納済トレー格納手段
110:ラック部 111:係止部 112:昇降テーブル 113:ピストン
114:シリンダ 115:垂下部 116:水平部 117:下面
12:トレー搬送手段 120:トレー収容部 121:駆動部
13:移し替え手段 130:吸着パッド 131:昇降部(押圧部)
132:駆動部
200:パッケージ基板 200a:分割予定ライン 200b:パッケージデバイス
30:トレー
300:底板 301:側壁 302:突出部 303:シート 304:収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され樹脂封止されたパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割するパッケージ基板分割装置であって、
複数のパッケージ基板を収容したカセットを支持するカセット支持手段と、
該カセット支持手段に支持されたカセットからパッケージ基板を搬出するパッケージ基板搬出手段と、
搬出されたパッケージ基板が仮置きされ、該パッケージ基板の位置あわせを行う仮置き手段と、
パッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された溝を備えるとともに該溝によって区画された領域に吸引孔を備えた治具テーブルに、仮置き手段で位置あわせされたパッケージ基板を搬送する搬送手段と、
回転可能な切削ブレードを備え、該治具テーブルに保持されたパッケージ基板を切削する切削手段と、
切削が完了し個々のパッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面を洗浄する上面洗浄手段と、
パッケージデバイスに分割され上面全面が吸引保持されたパッケージ基板の下面を洗浄する下面洗浄手段と、
洗浄が終了したパッケージ基板を乾燥させる乾燥手段と、
パッケージデバイスを区画する隔壁を有さず底面が平面状に形成された収容部を備えたトレーを空の状態で格納する空トレー格納手段と、
該空トレー格納手段から空のトレーを搬出するトレー搬出手段と、
パッケージデバイスに分割され該乾燥手段によって乾燥されたパッケージ基板を、搬出された空のトレーに該パッケージ基板単位で移し替える移し替え手段と、
パッケージデバイスに分割された該パッケージ基板を収容したトレーを格納する収容済トレー格納手段と
から少なくとも構成されるパッケージ基板分割装置。
【請求項2】
前記トレーの収容部には、タック力を有するシートが敷設されており、前記移し替え手段は、パッケージデバイスに分割されたパッケージ基板の上面全面を吸引保持する吸着パッドと、該吸着パッドに吸引保持されたパッケージ基板の下面を該タック力を有するシートに押圧する押圧部と
から構成される請求項1に記載のパッケージ基板分割装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−33882(P2013−33882A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169891(P2011−169891)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】