パッケージ封入型サーミスタ及びその製法
【課題】パッケージ封入型サーミスタの熱伝導を抑制して、許容動作特性を付与する。
【解決手段】
温度依存性のサーミスタ素子(2)を電気絶縁性のパッケージ(1)内に配置し、パッケージ(1)内の上間隙(9)、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層により、発熱するサーミスタ素子(2)からパッケージ(1)を通じ基板に伝導する熱伝達を十分に抑制する。
【解決手段】
温度依存性のサーミスタ素子(2)を電気絶縁性のパッケージ(1)内に配置し、パッケージ(1)内の上間隙(9)、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層により、発熱するサーミスタ素子(2)からパッケージ(1)を通じ基板に伝導する熱伝達を十分に抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー方式又はリフロー方式で基板上に半田付けできるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の温度で急激に抵抗値が増大する正特性サーミスタは、例えば、過熱保護用、過電流保護用、温度検出センサ又はヒータとして多方面で利用されている。ラジアルリードを有する正特性サーミスタは、円板状のサーミスタ素子と、サーミスタ素子の両端面に形成される一対の電極と、サーミスタ素子の中心周りに約120度の角度で互いに離間して対応する電極に電気的に接続される金属製の第1及び第2のリードとを備える。実装の際に、プリント基板のスルーホールに挿入される第1及び第2のリードは、基板の配線パターンに対し半田付けされる。
【0003】
近年では、基板の小型化、スルーホール実装機の省略及び組立ラインの簡略化を達成するために、コンデンサ、抵抗体又は半導体素子等他の電子部品と同様に、チップマウンタにより基板上に実装できるパッケージ封入型サーミスタが要望されている。このパッケージ封入型サーミスタは、従来のラジアルリードを有する無パッケージ型サーミスタと同等の動作特性をパッケージ封入型サーミスタも満たす事が要求される。
【0004】
具体的にはパッケージ封入型PTC(正温度特性)サーミスタに要求される第1の特性は、−30℃〜80℃の範囲で変動する外部温度環境で使用しても、許容時間内に動作しなければならない点である。例えば、図20に示すようにPTCサーミスタに電圧を印加すると急激に上昇する突入電流がPTCサーミスタに流れる。すると電流の増加に伴いPTCサーミスタが自己発熱して温度が上昇し、抵抗値が増大する。このため、流れる電流は、最大電流値Imaxに達した後、平衡点電流値に向って電流が急激に減衰する。この場合に、電圧印加(起動)時T0からPTCサーミスタの抵抗により最大電流値Imaxの半値(Imax×1/2)に低下する時点T1までの時間(T1−T0)によりPTCサーミスタの許容動作特性が決定される。例えば、測定用負荷抵抗をPTCサーミスタに直列に接続し、室温、低温及び高温の3段階で直流電圧をPTCサーミスタに印加するときの許容動作時間の一例は、下表1の通りである。
【表1】
【0005】
しかしながら、現在普及している図21に示す表面実装型の正特性サーミスタ素子を基板上に直接実装すると、サーミスタ素子から基板に伝達される熱量が大きいため、電圧印加時の素子温度上昇が緩慢となり、ラジアルリードを有する無パッケージ型正特性サーミスタと同等の許容動作特性が得られない欠陥がある。従って、表面実装型サーミスタに許容動作特性を付与するには、第1に、サーミスタ素子とサーミスタ素子を収容するケースとの間の熱伝導を抑制できる断熱構造及びケースと基板との間の熱伝導を抑制できる断熱構造でケースを形成する必要がある。第2に、表面実装構造を有するサーミスタを基板に実装するときに、ケースは、接触する温度240℃〜270℃の溶融半田の熱と侵入に耐えると共に、サーミスタ素子への溶融半田の付着を防止しなければならない。サーミスタ素子をケース内に収容して、溶融半田の熱的影響と付着とを回避する必要があるが、サーミスタ素子をケース内に収容しても、不完全な密閉構造であれば、ケース内に溶融半田が侵入して、サーミスタ素子が損傷する危険がある。従って、サーミスタ素子を収容するケースは、サーミスタ素子とケース及びケースと基板との間の熱伝達を十分に抑制できる構造及びケース内への溶融半田の侵入を十分に防止できる構造を備えなければならない。
【0006】
下記特許文献1は、内部空洞を有する絶縁性のケース内にサーミスタ素体を配置し、絶縁性のカバーによりケースの内部空洞を閉鎖する表面実装型サーミスタを開示する。しかしながら、特許文献1では、複雑な形状の端子を使用するため、生産コストが増加する難点がある。また、特許文献1では、サーミスタ素体がケース又はカバーに直接接触するため、ケース又はカバーを通じてサーミスタ素体と基板との間で十分な量の熱が伝達される欠陥がある。更に、リード部の弾接部がサーミスタ素体に接触して、サーミスタ素体がケース又はカバーに向って常時押圧される機械的応力を受けるため、サーミスタ素体の電気的特性が変動する危険がある。更に、この表面実装型サーミスタは、部品数が多く、複雑な形状を有する端子を所定の位置に装着する手間を要する。
【0007】
これに対し、下記特許文献2は、ケース部材内に既存のスルーホール実装型電子部品素子を収容できる表面実装型セラミックコンデンサを開示する。しかしながら、特許文献2では、素子本体がケース部材に直接接触するため、ケース部材及びリード端子を通じて素子本体の熱が基板に伝達されて、素子本体の動作特性が変動する危険がある。また、複雑な形状を有するリード端子をケース部材に装着するには熟練と相当の時間を要する。更に、特許文献2では、ケース部材に形成される開口部を通じてケース部材内に溶融半田が侵入する恐れがある。このように、セラミックコンデンサに使用できる引用文献2のケース部材は、感温素子のパッケージに使用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−55703号公報
【特許文献2】特開2009−10116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、フロー方式又はリフロー方式で基板上に半田付けできるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法を提供することを目的とする。
また、本発明は、実装時にパッケージ内への溶融半田の侵入を抑制できるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパッケージ封入型サーミスタは、電気絶縁性のパッケージ(1)と、パッケージ(1)内に配置される温度依存性のサーミスタ素子(2)とを備える。パッケージ(1)は、底壁(31)、底壁(31)の周囲に接続される内周壁(32)及び底壁(31)と内周壁(32)とにより形成される内部空洞(11)を有するケース(3)と、ケース(3)の内部空洞(11)を覆う頂壁(41)及び頂壁(41)の周囲に接続されかつケース(3)の内周壁(32)の外側に配置される外周壁(42)を有するカバー(4)とを備える。このように、サーミスタ素子(2)の側面(26)は、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造により周辺環境から遮断される。また、内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入は、確実に遮断される。更に、サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)と外部との間で伝導する熱量をパッケージ(1)により十分に抑制することができる。
【0011】
本発明のパッケージ封入型サーミスタの製法は、底壁(31)、底壁(31)の周囲に接続される内周壁(32)及び底壁(31)と内周壁(32)とにより形成される内部空洞(11)を有するケース(3)と、頂壁(41)及び頂壁(41)の周囲に接続される外周壁(42)を有するカバー(4)とを備える電気絶縁性のパッケージ(1)を準備する工程と、ケース(3)の底壁(31)と温度依存性のサーミスタ素子(2)との間に下間隙(7)を形成しかつケース(3)の内周壁(32)とサーミスタ素子(2)との間に周間隙(8)を形成して、ケース(3)の内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を配置する工程と、カバー(4)をケース(3)に装着して、カバー(4)の頂壁(41)によりケース(3)の内部空洞(11)を覆うと共に、ケース(3)の内周壁(32)の外側にカバー(4)の外周壁(42)を配置する工程とを含む。この製法により、既存のラジアルリードを有するサーミスタ素子(2)をパッケージ(1)内に収容して、パッケージ封入型サーミスタを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、サーミスタ素子と基板又は外部との間で伝導する熱量をパッケージにより十分に抑制でき、パッケージ封入型サーミスタに許容動作特性を付与することができる。しかも、パッケージは、実装時に溶融半田の侵入を阻止できるので、安価で信頼性の高いパッケージ封入型サーミスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるパッケージ封入型サーミスタを具現化したPTC装置の実施の形態を示す斜視図
【図2】図1のII-II線に沿うPTC装置の断面図
【図3】図1のIII-III線に沿うPTC装置の断面図
【図4】PTC素子の平面図
【図5】PTC装置の分解斜視図
【図6】PTC装置を構成するケースの正面図
【図7】ケースの平面図
【図8】ケースの側面図
【図9】ケースの背面図
【図10】図7のX-X線に沿うケースの断面図
【図11】図7のXI-XI線に沿う部分断面図
【図12】図7のXII-XII線に沿う部分断面図
【図13】図1のPTC装置を構成するカバーの底面図
【図14】図13のXIV-XIV線に沿う断面図
【図15】図13のXV-XV線に沿う断面図
【図16】破線で示すカバーをケースに装着した状態を示す平面図
【図17】基板上に配置したPTC装置の側面図
【図18】本発明の別の実施の形態を示すPTC装置の斜視図
【図19】リフロー方式により基板上に固定されるPTC装置の側面図
【図20】サーミスタ素子に流れる電流の変化を示すグラフ
【図21】現在普及している表面実装型サーミスタの外観図及び構造断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるパッケージ封入型サーミスタを具現化したPTC装置及びその製法の実施の形態を図1〜図19について以下説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態によるPTC装置(10)は、ケース(3)及びケース(3)に装着されるカバー(4)を有する電気絶縁性のパッケージ(1)と、パッケージ(1)内に配置される温度依存性の感温素子としてのサーミスタ素子(2)とを備え、サーミスタ素子(2)、ケース(3)及びカバー(4)の3部品のみでPTC装置(10)を構成することができる。
【0016】
図2及び図3に示すように、サーミスタ素子(2)は、素子本体(20)と、素子本体(20)の一対の電極(21,22)、即ち下電極(21)及び上電極(22)と、下電極(21)に電気的に接続される下内接部(5a)を有する金属製の一対のリード(5,6)、即ち下リード(5)と、上電極(22)に電気的に接続される上内接部(6a)を有する金属製の上リード(6)とを備える。サーミスタ素子(2)の各電極(21,22)に固着される下リード(5)と上リード(6)とをサーミスタ素子(2)として一体に取り扱うことができる。下リード(5)の下内接部(5a)の端部は、半田(28)により素子本体(20)の下電極(21)に固着され、上リード(6)の上内接部(6a)の端部は、半田(28)により素子本体(20)の上電極(22)に固着される。図示の簡略化のため、図1〜図4以外の図面では、半田(28)の図示を省略する。
【0017】
ほぼ円板状又はディスク状に形成される素子本体(20)は、平坦な円形の下面(23)と上面(24)とを有する。図4及び図5に示すように、下リード(5)の下内接部(5a)及び上リード(6)の上内接部(6a)は、素子本体(20)の下面(23)及び上面(24)に対して平行にかつ素子本体(20)の下電極(21)及び下電極(21)から素子本体(20)の外側に延伸する。下リード(5)及び上リード(6)を通じて素子本体(20)に突入電流が流れると、素子本体(20)は、自己発熱によりある温度で急激に抵抗値を増大して、素子本体(20)を流れる電流値は、最大値に達し、その後減衰する。
【0018】
例えば、チタン酸バリウムを主成分とする素子本体(20)は、安定な抵抗温度特性を有し、原料の微粒化により小型の素子本体(20)を形成できる。チタン酸バリウムを主成分とするPTC素子の特性及び製法は、例えば、本特許出願人による特開2010−3814号公報から公知であるから、製法の詳述を省略する。本発明では、セラミックPTC、カーボン・ポリマー系PTC又は金属酸化物・ポリマー系PTC等の公知の正特性サーミスタを制限なく使用できる。
【0019】
下リード(5)及び上リード(6)は、銅線又はスズめっき銅線等、円形断面又は角形断面を有する一般的な電子部品の外部リード線を使用できる。市販の安価なディスク型PTC素子では、一対のリードは、素子の中心に対し互いに角度120度だけ離間して素子に固着されるが、本発明では、サーミスタ素子(2)の小型化のため、図4に示すように、下リード(5)と上リード(6)は、サーミスタ素子(2)の中心(27)(図4)周りに80度〜100度の間の角度θ、好ましくは90度だけ互いに離間してサーミスタ素子(2)に半田(28)で何れも水平に固着され導出されるので、リード間の角度が120度の従来のPTC素子よりも小型にサーミスタ素子(2)を形成できる。下リード(5)は、下内接部(5a)から下方に直角に折曲される下中間部(5b)と、下中間部(5b)から水平方向に更に直角に折曲される下導出部(5c)とを備える。同様に、上リード(6)は、上内接部(6a)から下方に直角に折曲される上中間部(6b)と、上中間部(6b)から水平方向に更に直角に折曲される上導出部(6c)とを備える。
【0020】
ケース(3)及びカバー(4)により形成されるパッケージ(1)は、例えば、ガラス入りPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)又はガラス入りLCP(液晶ポリマー)等の半田耐熱性を有する電子部品の公知のパッケージ材料が使用される。エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂等、電気絶縁性を有する他の公知の半導体用又は工業用パッケージ材料を使用してもよい。
【0021】
図6〜図11に示すように、ケース(3)は、ほぼ正方形又は長方形の板状に形成される底壁(31)と、底壁(31)の縁部周囲に沿って直角に接続されかつほぼ正方形又は長方形の筒状に形成される内周壁(32)と、底壁(31)及び内周壁(32)により形成される内部空洞(11)と、内周壁(32)の上部に形成される開放部(37)とを有する。内周壁(32)は、前壁(16)と、前壁(16)に対向する後壁(19)と、前壁(16)と後壁(19)との間に配置される一対の側壁(17,18)とを備え、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部に一対の切欠部(38)が形成される。図示の例では、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部に一対の切欠部(38)を形成する例を示すが、接続部に限定されず、電気的短絡を防止して下リード(5)と上リード(6)とを分離できれば、一対の切欠部(38)を前壁(16)のどこに形成してもよい。前壁(16)と後壁(19)には、底壁(31)より高い位置に2つの段部(39)が形成される。
【0022】
一対の側壁(17,18)の各外面には、傾斜面(51)と、傾斜面(51)の下端に形成される係止面(52)とを有する爪(50)が設けられる。傾斜面(51)は、ケース(3)の下方に向けて側壁(17,18)から離間する方向に拡がるテーパ状に形成され、係止面(52)は、底壁(31)に対して平行に形成される。図5に示すように、爪(50)を有する一対の側壁(17,18)は、前壁(16)及び後壁(19)に対して肉厚に形成される。比較的肉薄に形成される前壁(16)及び後壁(19)には、ケース(3)の上面(3a)から前壁(16)及び後壁(19)の各段部(39)にかけて一対の開口(36)が形成され、ケース(3)を軽量化しかつ材料を削減することができる。
【0023】
ケース(3)は、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部でケース(3)の上面(3a)から下方に向けて形成される一対の切欠部(38)と、切欠部(38)に連続してそれらの下方にほぼ半円断面でそれぞれ形成される一対の内割溝(14)とを有する。下リード(5)と上リード(6)の両方をケース(3)の前壁(16)又は前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部のみの外側に延伸させるので、PTC装置(10)を小型化できる。図6、図11及び図12に示すように、切欠部(38)の内下リード(5)を配置する下切欠部(38a)の内割溝(14a)は、底壁(31)と同一の高さまで下方から延伸するが、切欠部(38)の内上リード(6)を配置する上切欠部(38b)の内割溝(14b)は、内割溝(14a)より高い位置に形成される。下リード(5)の下内接部(5a)は、ケース(3)の内周壁(32)の下切欠部(38a)から外部に導出され、上リード(6)の上内接部(6a)は、ケース(3)の内周壁(32)の上切欠部(38b)から外部に導出されるので、上リード(6)の上中間部(6b)は、下リード(5)の下中間部(5b)よりも垂直方向に長く形成される。同様に、上リード(6)の上中間部(6b)を配置する内割溝(14b)は、下リード(5)の下中間部(5b)を配置する内割溝(14a)よりも垂直方向に長く形成される。
【0024】
図7に示すように、ケース(3)の内部空洞(11)は、サーミスタ素子(2)の素子本体(20)の形状に合わせて、ほぼ円柱状の内部空洞(11)を有する。前壁(16)と後壁(19)に形成される各段部(39)は、底壁(31)に対して平行に形成される当接面(47)(図5及び図7)と、底壁(31)に対して直角にかつ当接面(47)から底壁(31)まで形成される垂直面(48)とを有する。段部(39)の当接面(47)は、ケース(3)の上面(3a)より低くかつ底壁(31)より高い位置に形成される。パッケージ(1)内にサーミスタ素子(2)を配置すると、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)が段部(39)の当接面(47)に当接し、底壁(31)と素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)との間に下間隙(7)が形成され、下間隙(7)内の空気層は、断熱作用を生じる。即ち、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)のみがケース(3)に接触して素子本体(20)が底壁(31)上で支持され、素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)がケース(3)の底壁(31)から離間して、ケース(3)の内部空洞(11)内で素子本体(20)の大部分は、下間隙(7)の上に配置される。素子本体(20)の下面(23)の図4に示す中央部(23a)は、下電極(21)を形成する中央領域をいい、縁部(23b)は、下電極(21)を外側から包囲する環状の周辺領域をいう。
【0025】
図示の実施の形態では、前壁(16)と後壁(19)に2つの段部(39)を設けるが、前壁(16)又は後壁(19)の一方に単一の段部(39)を設けるか前壁(16)と後壁(19)に加えて側壁(17,18)に付加的に段部(39)を設けてもよい。また、ケース(3)の内周壁(32)に沿って、環状の段部(39)を形成してもよい。複数の段部(39)の当接面(47)は、それぞれ同一の高さに形成され、サーミスタ素子(2)の素子本体(20)を水平に保持できる。ケース(3)の前壁(16)に形成される前段部(39a)を省略して、下リード(5)及び上リード(6)と、ケース(3)の後壁(19)に形成される後段部(39b)とにより、内部空洞(11)内に素子本体(20)を保持してもよい。素子本体(20)を後段部(39b)のみに接触させれば、素子本体(20)とケース(3)との接触面積をより減少できる。場合により、ケース(3)とカバー(4)とにより下リード(5)及び上リード(6)を挟持して、素子本体(20)を段部(39)に接触させずに、素子本体(20)を内部空洞(11)内に保持することもできる。
【0026】
図3に示すように、ケース(3)は、ケース(3)の底面(3b)から下方に向けて突出するほぼ円柱状の2つの脚部(25)を有する。ケース(3)の後壁(19)に近接して形成される後突起(25b)は、ケース(3)の前壁(16)に近接して形成される前突起(25a)よりも長く形成される。前突起(25a)より下方に、下リード(5)の下中間部(5b)と上リード(6)の上中間部(6b)とを下方に突出させて、下リード(5)の下導出部(5c)と、上リード(6)の上導出部(6c)と、ケース(3)の後突起(25b)との3点により、基板(29)上でPTC装置(10)を支持できる。ケース(3)の後突起(25b)のみが基板(29)と接触するので、ケース(3)の底面(3b)と基板(29)との間に断熱作用を生じる外部空気層を収容する空間(40)が形成され、外部空気層によりケース(3)を通じて素子(20)から基板(29)に伝達される熱をより抑制できる。ケース(3)内にサーミスタ素子(2)を装着するときに、ケース(3)の前突起(25a)は、後突起(25b)と共にケース(3)をほぼ水平に保持することができる。図示しないが、ケース(3)の前突起(25a)を省略又は他の突起をケース(3)の底面(3b)に設けてもよい。
【0027】
図13〜図15に示すように、カバー(4)は、頂壁(41)と、頂壁(41)の周囲に直角に接続される外周壁(42)と、頂壁(41)及び外周壁(42)により形成される収容部(12)と、外周壁(42)の下部に形成される開放部(46)とを有する。カバー(4)の頂壁(41)は、ケース(3)の底壁(31)よりも一回り大きなほぼ正方形又は長方形の板状に形成され、外周壁(42)は、頂壁(41)の縁部に沿いほぼ正方形又は長方形の筒状に形成される。カバー(4)の外周壁(42)は、前壁(43)と、前壁(43)に対向する後壁(44)と、前壁(43)と後壁(44)との間に配置される一対の側壁(45)とを有する。また、カバー(4)は、前壁(43)及び後壁(44)と各側壁(45)との接続部付近に形成される4つの外割溝(15)を内側に有する。カバー(4)の外割溝(15)は、ケース(3)の内割溝(14)に対応する位置に外周壁(42)から外周壁(42)の下部まで垂直方向に形成される。
【0028】
PTC装置(10)を組み立てる際に、リード線がハンダ付けされたサーミスタ素子(2)、ケース(3)及びカバー(4)を準備する。サーミスタ素子(2)の下リード(5)及び上リード(6)は、例えば、図示の所定形状に予め折曲され、下リード(5)の下内接部(5a)、下中間部(5b)及び下導出部(5c)と、上リード(6)の上中間部(6b)、上中間部(6b)及び上導出部(6c)とが形成される。図示及び詳述しないが、ケース(3)及びカバー(4)は、インジェクションモールド、トランスファーモールド等の公知の製法により形成される。
【0029】
次に、図示しない実装機により、ケース(3)の開放部(37)を通じて内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を挿入し、ケース(3)の段部(39)に素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)が当接する状態でケース(3)にサーミスタ素子(2)を装着する。このとき、サーミスタ素子(2)の下リード(5)と上リード(6)とをケース(3)の内周壁(32)の切欠部(38)を通じて内周壁(32)の外側に延伸させる。即ち、ケース(3)の内周壁(32)の下切欠部(38a)を通じて下リード(5)の下内接部(5a)をケース(3)の外側に延伸させ、ケース(3)の内周壁(32)の上切欠部(38b)を通じて上リード(6)の上中間部(6b)をケース(3)の外側に延伸させる。
【0030】
ケース(3)の内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を配置すると、サーミスタ素子(2)の側面(26)は、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造により周辺環境から遮断される。また、内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入は、確実に遮断される。更に、サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、下間隙(7)及び周間隙(8)内に保持される各空気層により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)への熱伝達を十分に抑制することができる。
【0031】
続いて、図2に示すように、ケース(3)に装着されるサーミスタ素子(2)、ケース(3)の内部空洞(11)及び開放部(37)を覆ってケース(3)にカバー(4)を被着し、爪(50)の傾斜面(51)に沿ってカバー(4)を滑動させた後に、カバー(4)自身の弾力を利用して、カバー(4)に形成した開口部(53)を爪(50)の係止面(52)にスナップ作用で係止させて、カバー(4)をケース(3)に装着する。ケース(3)の爪(50)とカバー(4)の開口部(53)により、接着剤又は他の固定部材を使用せずに、ケース(3)の外側にカバー(4)を固定できる。このとき、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間に下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)が配置され、ケース(3)とカバー(4)により形成されるパッケージ(1)の底部から外部に下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)が導出され、図1に示すパッケージ封入型のPTC装置(10)を容易に組み立てることができる。サーミスタ素子(2)は、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、上間隙(9)内に保持される空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)を通じて伝導する熱伝達を十分に抑制することができる。また、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間に配置され保持される下リード(5)と上リード(6)により、パッケージ(1)の内部空洞(11)内の素子本体(20)の中央部(23a)をパッケージ(1)に接触させずかつサーミスタ素子(2)の移動を阻止できる。
【0032】
ケース(3)にカバー(4)を装着すると、下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)とケース(3)の底面(3b)とを除き、カバー(4)は、ケース(3)の開放部(37)を閉鎖すると同時に、ケース(3)の内周壁(32)を外側から包囲する。また、図16に示すように、ケース(3)の内割溝(14)とカバー(4)の外割溝(15)とが対向して形成されるほぼ円筒状の一対の通路(14,15)内に下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を配置することができる。ケース(3)にカバー(4)を被せると、ケース(3)の前壁(16)とカバー(4)の前壁(43)とが対向し、ケース(3)の後壁(19)とカバー(4)の後壁(44)とが対向する。しかしながら、カバー(4)内の4つの隅部に外割溝(15)を設けるので、ケース(3)にカバー(4)を被せても、パッケージ(1)をあまり大型化させずに、ケース(3)の内割溝(14)とカバー(4)の外割溝(15)とが対向して一対の通路(14,15)を形成できる。また、カバー(4)の四隅に外割溝(15)を形成するので、取付方向を考慮せずに、カバー(4)をケース(3)に装着することができる。ケース(3)に被着されるカバー(4)の頂壁(41)の内面(41a)は、ケース(3)の上面(3a)に密着するので、基板(29)にPTC装置(10)を半田付けするときに、通路(14,15)を形成しないカバー(4)の外割溝(15)からケース(3)内に溶融半田が侵入するのを防止できる。
【0033】
図3に示すように、ケース(3)の内周壁(32)は、サーミスタ素子(2)よりも高く形成されるので、ケース(3)にカバー(4)を装着したとき、カバー(4)の頂壁(41)とサーミスタ素子(2)との間に上間隙(9)が形成される。カバー(4)の頂壁(41)とサーミスタ素子(2)の上面(24)との間に断熱作用を生じる空気層を収容する上間隙(9)が形成されるので、カバー(4)の頂壁(41)を通じて外部空間に伝達される熱量を低減して、自身の発熱によるサーミスタ素子(2)の温度上昇は、妨げられない。
【0034】
本実施の形態では、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)により下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を挟持し、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)をケース(3)の内周壁(32)の段部(39)に当接して、ケース(3)の底壁(31)の上方で素子本体(20)を保持する。下リード(5)及び上リード(6)とケース(3)の内周壁(32)の段部(39)とにより、ケース(3)の内部空洞(11)内で素子本体(20)をほぼ水平に支持することができる。ケース(3)にカバー(4)を装着したときに、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)により下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を強固に挟持して、下リード(5)及び上リード(6)のみにより素子本体(20)をほぼ水平に保持し、ケース(3)の内周壁(32)の段部(39)と素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)とが当接せずに離間してもよい。この場合、ケース(3)の内周壁(32)の段部(39)を省略してもよい。素子本体(20)がケース(3)に全く接触しないので、ケース(3)を通じて素子本体(20)から基板(29)に伝達される熱量をより低減できる。
【0035】
図17に示すように、フロー方式の半田付け法により基板(29)にPTC装置(10)を取り付ける際に、ディスペンサ等の周知の接着剤塗布装置を使用して、基板(29)の下面(半田付け面)に接着剤が塗布される。次に、周知のチップマウンタ(表面実装機)により、基板(29)上にPTC装置(10)を配置し、基板(29)の下面とケース(3)の底面(3b)又は脚部(25)とが固定される。続いて、図示しないが、基板(29)の実装面を下方に向けて、液状化した半田が貯留される半田槽上に基板(29)を搬送する。半田槽では、ポンプにより液状半田をノズルから上方に噴出して半田噴流が形成され、基板(29)の実装面を半田噴流の頂部に接触させて基板(29)を通過させることにより、半田噴流を通過した基板(29)の実装面に半田を付着させて、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)と基板(29)の回路パターンとを電気的に接続することができる。
【0036】
図18及び図19は、リフロー方式により基板(29)にPTC装置(10)を半田付けする本発明の別の実施の形態を示す。図18に示すPTC装置(10)では、下リード(5)は、素子本体(20)の下電極(21)に電気的に接続される下内接部(5a)と、下内接部(5a)から下方に直角に折曲される下中間部(5b)と、下中間部(5b)から更に下方に延伸してパッケージ(1)の外側に導出される下導出部(5c)とを備える。同様に、上リード(6)は、上電極(22)に電気的に接続される上内接部(6a)と、上内接部(6a)から下方に直角に折曲される上中間部(6b)と、上中間部(6b)から更に下方に延伸してパッケージ(1)の外側に導出される上導出部(6c)とを備える。実装の際に、両面基板(29)の実装面側のランド部上に半田ペースト(34)が印刷され、チップマウンタにより、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)を基板(29)のスルーホール(30)に挿入して、PTC装置(10)は、基板(29)上に配置される。次に、周知のリフロー炉内で、基板(29)とPTC装置(10)とを加熱し、図19に示すように、溶融した半田ペースト(34)により、基板(29)のスルーホール(30)に挿入される下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)は、基板(29)の配線パターン(29a)に半田付けされる。これにより、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)と基板(29)の回路パターン(29a)とを電気的に接続することができる。リフロー方式の代わりにフロー方式の半田付け法に図18に示すPTC装置(10)を適用してもよい。
【0037】
本実施の形態のPTC装置(10)では、ケース(3)内の段部(39)により、ケース(3)の底壁(31)と素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)との間に下間隙(7)を形成し、ケース(3)の内周壁(32)にカバー(4)を装着して、カバー(4)の頂壁(41)と素子本体(20)との間に上間隙(8)を形成し、ケース(3)の底面(3b)から突出する脚部(25)により、ケース(3)の底面(3b)と基板(29)との間に空間(40)を形成することができる。これにより、パッケージ(1)を通じて素子本体(20)から基板(29)に伝達される熱量を低減して、サーミスタ素子(2)の許容動作特性の変動を抑制できる。また、下リード(5)及び上リード(6)は、ケース(3)の外側から下方に折曲し、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間を通過してパッケージ(1)の外側に導出されるので、ケース(3)の内部空洞(11)と外部との沿面距離が延長されて、ケース(3)の内部空洞(11)内への溶融半田の侵入を抑制できると共に、基板(29)からの熱的影響を軽減できる。このように、ラジアルリードを有する既存の無パッケージ型サーミスタと同等の許容動作特性を示すパッケージ封入型のPTC装置(10)を形成することができる。
【表2】
【0038】
表2は、3個のPTC試料A,B及びCについて電圧印加(起動)時T0から最大電流値Imaxの半値(Imax×1/2)に低下する時点T1までの時間(T1−T0)を測定したデータを示す。PTC試料A、B及びCは、いずれも1.8Ωの素子抵抗値を有するが、Aは、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)を含む内部空隙を形成した本発明によるパッケージ封入型PTCの動作時間、Bは、パッケージの下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に充填したエポキシ樹脂によりサーミスタ素子を包囲したパッケージ封入型PTCの動作時間、及びCは、従来のラジアルリードを有する無パッケージ型PTCの動作時間を示す。PTC試料Aは、Cと同等の動作時間を示すが、Bは、パッケージ内の熱容量が増加しかつ外部に伝導される熱量が増大して、室温時の許容動作時間(1.0〜3.0秒)と低温時の許容動作時間(40秒以内)を満足しない。
【0039】
本実施の形態による作用効果を列挙すれば次の通りである。
[1] サーミスタ素子(2)をパッケージ(1)内に収容して、ラジアルリードを有する無パッケージ型と同等の動特性を有するパッケージ封入型サーミスタを形成することができる。
[2] サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)及び基板に伝導する熱伝達を十分に抑制することができる。
[3] 下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)は、ケース(3)の外側から下方に折曲し、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間を通過してパッケージ(1)の外側に導出されるので、ケース(3)の内部空洞(11)と外部との沿面距離が延長されて、ケース(3)の内部空洞(11)内への溶融半田の侵入を抑制できると共に、基板からの熱的影響を軽減できる。
[4] ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造によりサーミスタ素子(2)の側面(26)を周辺環境から遮断できる。
[5] 内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入を確実に遮断できる。
【0040】
本発明の実施の形態は、前記の各実施の形態に限定されず、更に種々の変更が可能である。最適かつ好適と現在思われる実施の形態について図示の目的で本発明を詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、発明の精神及び特許請求の範囲に包含される種々の修正及び変更が可能であるから、前記実施の形態のみに本発明を限定して解釈すべきではない。
本発明を適用する温度依存性半導体装置は、正特性サーミスタに限定されず、例えば、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTCサーミスタ又は所定温度を超えると急激に抵抗が減少するCTRサーミスタに本発明を適用してもよい。また、チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックPTC若しくはポリマー中にカーボンブラック等の導電性粒子を分散させたポリマーPTC等の他のサーミスタ又は温度依存性素子に本発明を適用してもよい。図示しないが、円形又は楕円形等、角形以外のケース及びカバーを形成してもよい。
図示する実施の形態では、ケース(3)の底壁(31)と内周壁(32)及びカバー(4)の頂壁(41)と外周壁(42)をそれぞれ直角に接続する例を示すが、直角以外の角度、90度〜60度の範囲、例えば、角度85度でケース(3)の底壁(31)と一対の側壁(17,18)を含む内周壁(32)及びカバー(4)の頂壁(41)と外周壁(42)を全体的に又は部分的にそれぞれほぼ同一の傾斜角度で接続することもできる。
また、ケース(3)の内周壁(32)及び/又はカバー(4)の外周壁(42)の厚さを変更してもよい。例えば、ケース(3)の底壁(31)から上方向に内周壁(32)を徐々に肉薄に形成し、カバー(4)の頂壁(41)から下方向に外周壁(42)を徐々に肉薄に形成して、ケース(3)にカバー(4)を容易に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車載用ドアミラー制御装置、ヒータの発熱温度制御装置、リチウムイオン電池等の二次電池のリセッタブルヒューズ等、温度検出用センサ、電源回路の突入電流減少用装置、電流制限装置又は回路保護装置等の種々のパッケージ封入型温度依存性抵抗体に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
(1)・・パッケージ、 (2)・・サーミスタ素子(PTC素子)、 (3)・・ケース、 (3b)・・底面、 (4)・・カバー、 (5)・・下リード、 (5a)・・下内接部、 (5b)・・下中間部、 (5c)・・下導出部、 (6)・・上リード、 (6a)・・上内接部、 (6b)・・上中間部、 (6c)・・上導出部、 (7)・・下間隙、 (8)・・周間隙、 (9)・・上間隙、 (10)・・パッケージ封入型サーミスタ(PTC装置)、 (11)・・内部空洞、 (14)・・内割溝、 (15)・・外割溝、 (20)・・素子本体、 (21)・・下電極、 (22)・・上電極、 (23b)・・縁部、 (25)・・脚部、 (31)・・底壁、 (32)・・内周壁、 (37)・・開放部、 (38)・・切欠部、 (38a)・・下切欠部、 (38b)・・上切欠部、 (39)・・段部、 (41)・・頂壁、 (42)・・外周壁、 (50)・・爪、 (51)・・傾斜面、 (52)・・係止面、 (53)・・開口部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー方式又はリフロー方式で基板上に半田付けできるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の温度で急激に抵抗値が増大する正特性サーミスタは、例えば、過熱保護用、過電流保護用、温度検出センサ又はヒータとして多方面で利用されている。ラジアルリードを有する正特性サーミスタは、円板状のサーミスタ素子と、サーミスタ素子の両端面に形成される一対の電極と、サーミスタ素子の中心周りに約120度の角度で互いに離間して対応する電極に電気的に接続される金属製の第1及び第2のリードとを備える。実装の際に、プリント基板のスルーホールに挿入される第1及び第2のリードは、基板の配線パターンに対し半田付けされる。
【0003】
近年では、基板の小型化、スルーホール実装機の省略及び組立ラインの簡略化を達成するために、コンデンサ、抵抗体又は半導体素子等他の電子部品と同様に、チップマウンタにより基板上に実装できるパッケージ封入型サーミスタが要望されている。このパッケージ封入型サーミスタは、従来のラジアルリードを有する無パッケージ型サーミスタと同等の動作特性をパッケージ封入型サーミスタも満たす事が要求される。
【0004】
具体的にはパッケージ封入型PTC(正温度特性)サーミスタに要求される第1の特性は、−30℃〜80℃の範囲で変動する外部温度環境で使用しても、許容時間内に動作しなければならない点である。例えば、図20に示すようにPTCサーミスタに電圧を印加すると急激に上昇する突入電流がPTCサーミスタに流れる。すると電流の増加に伴いPTCサーミスタが自己発熱して温度が上昇し、抵抗値が増大する。このため、流れる電流は、最大電流値Imaxに達した後、平衡点電流値に向って電流が急激に減衰する。この場合に、電圧印加(起動)時T0からPTCサーミスタの抵抗により最大電流値Imaxの半値(Imax×1/2)に低下する時点T1までの時間(T1−T0)によりPTCサーミスタの許容動作特性が決定される。例えば、測定用負荷抵抗をPTCサーミスタに直列に接続し、室温、低温及び高温の3段階で直流電圧をPTCサーミスタに印加するときの許容動作時間の一例は、下表1の通りである。
【表1】
【0005】
しかしながら、現在普及している図21に示す表面実装型の正特性サーミスタ素子を基板上に直接実装すると、サーミスタ素子から基板に伝達される熱量が大きいため、電圧印加時の素子温度上昇が緩慢となり、ラジアルリードを有する無パッケージ型正特性サーミスタと同等の許容動作特性が得られない欠陥がある。従って、表面実装型サーミスタに許容動作特性を付与するには、第1に、サーミスタ素子とサーミスタ素子を収容するケースとの間の熱伝導を抑制できる断熱構造及びケースと基板との間の熱伝導を抑制できる断熱構造でケースを形成する必要がある。第2に、表面実装構造を有するサーミスタを基板に実装するときに、ケースは、接触する温度240℃〜270℃の溶融半田の熱と侵入に耐えると共に、サーミスタ素子への溶融半田の付着を防止しなければならない。サーミスタ素子をケース内に収容して、溶融半田の熱的影響と付着とを回避する必要があるが、サーミスタ素子をケース内に収容しても、不完全な密閉構造であれば、ケース内に溶融半田が侵入して、サーミスタ素子が損傷する危険がある。従って、サーミスタ素子を収容するケースは、サーミスタ素子とケース及びケースと基板との間の熱伝達を十分に抑制できる構造及びケース内への溶融半田の侵入を十分に防止できる構造を備えなければならない。
【0006】
下記特許文献1は、内部空洞を有する絶縁性のケース内にサーミスタ素体を配置し、絶縁性のカバーによりケースの内部空洞を閉鎖する表面実装型サーミスタを開示する。しかしながら、特許文献1では、複雑な形状の端子を使用するため、生産コストが増加する難点がある。また、特許文献1では、サーミスタ素体がケース又はカバーに直接接触するため、ケース又はカバーを通じてサーミスタ素体と基板との間で十分な量の熱が伝達される欠陥がある。更に、リード部の弾接部がサーミスタ素体に接触して、サーミスタ素体がケース又はカバーに向って常時押圧される機械的応力を受けるため、サーミスタ素体の電気的特性が変動する危険がある。更に、この表面実装型サーミスタは、部品数が多く、複雑な形状を有する端子を所定の位置に装着する手間を要する。
【0007】
これに対し、下記特許文献2は、ケース部材内に既存のスルーホール実装型電子部品素子を収容できる表面実装型セラミックコンデンサを開示する。しかしながら、特許文献2では、素子本体がケース部材に直接接触するため、ケース部材及びリード端子を通じて素子本体の熱が基板に伝達されて、素子本体の動作特性が変動する危険がある。また、複雑な形状を有するリード端子をケース部材に装着するには熟練と相当の時間を要する。更に、特許文献2では、ケース部材に形成される開口部を通じてケース部材内に溶融半田が侵入する恐れがある。このように、セラミックコンデンサに使用できる引用文献2のケース部材は、感温素子のパッケージに使用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−55703号公報
【特許文献2】特開2009−10116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、フロー方式又はリフロー方式で基板上に半田付けできるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法を提供することを目的とする。
また、本発明は、実装時にパッケージ内への溶融半田の侵入を抑制できるパッケージ封入型サーミスタ及びその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパッケージ封入型サーミスタは、電気絶縁性のパッケージ(1)と、パッケージ(1)内に配置される温度依存性のサーミスタ素子(2)とを備える。パッケージ(1)は、底壁(31)、底壁(31)の周囲に接続される内周壁(32)及び底壁(31)と内周壁(32)とにより形成される内部空洞(11)を有するケース(3)と、ケース(3)の内部空洞(11)を覆う頂壁(41)及び頂壁(41)の周囲に接続されかつケース(3)の内周壁(32)の外側に配置される外周壁(42)を有するカバー(4)とを備える。このように、サーミスタ素子(2)の側面(26)は、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造により周辺環境から遮断される。また、内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入は、確実に遮断される。更に、サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)と外部との間で伝導する熱量をパッケージ(1)により十分に抑制することができる。
【0011】
本発明のパッケージ封入型サーミスタの製法は、底壁(31)、底壁(31)の周囲に接続される内周壁(32)及び底壁(31)と内周壁(32)とにより形成される内部空洞(11)を有するケース(3)と、頂壁(41)及び頂壁(41)の周囲に接続される外周壁(42)を有するカバー(4)とを備える電気絶縁性のパッケージ(1)を準備する工程と、ケース(3)の底壁(31)と温度依存性のサーミスタ素子(2)との間に下間隙(7)を形成しかつケース(3)の内周壁(32)とサーミスタ素子(2)との間に周間隙(8)を形成して、ケース(3)の内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を配置する工程と、カバー(4)をケース(3)に装着して、カバー(4)の頂壁(41)によりケース(3)の内部空洞(11)を覆うと共に、ケース(3)の内周壁(32)の外側にカバー(4)の外周壁(42)を配置する工程とを含む。この製法により、既存のラジアルリードを有するサーミスタ素子(2)をパッケージ(1)内に収容して、パッケージ封入型サーミスタを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、サーミスタ素子と基板又は外部との間で伝導する熱量をパッケージにより十分に抑制でき、パッケージ封入型サーミスタに許容動作特性を付与することができる。しかも、パッケージは、実装時に溶融半田の侵入を阻止できるので、安価で信頼性の高いパッケージ封入型サーミスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるパッケージ封入型サーミスタを具現化したPTC装置の実施の形態を示す斜視図
【図2】図1のII-II線に沿うPTC装置の断面図
【図3】図1のIII-III線に沿うPTC装置の断面図
【図4】PTC素子の平面図
【図5】PTC装置の分解斜視図
【図6】PTC装置を構成するケースの正面図
【図7】ケースの平面図
【図8】ケースの側面図
【図9】ケースの背面図
【図10】図7のX-X線に沿うケースの断面図
【図11】図7のXI-XI線に沿う部分断面図
【図12】図7のXII-XII線に沿う部分断面図
【図13】図1のPTC装置を構成するカバーの底面図
【図14】図13のXIV-XIV線に沿う断面図
【図15】図13のXV-XV線に沿う断面図
【図16】破線で示すカバーをケースに装着した状態を示す平面図
【図17】基板上に配置したPTC装置の側面図
【図18】本発明の別の実施の形態を示すPTC装置の斜視図
【図19】リフロー方式により基板上に固定されるPTC装置の側面図
【図20】サーミスタ素子に流れる電流の変化を示すグラフ
【図21】現在普及している表面実装型サーミスタの外観図及び構造断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるパッケージ封入型サーミスタを具現化したPTC装置及びその製法の実施の形態を図1〜図19について以下説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態によるPTC装置(10)は、ケース(3)及びケース(3)に装着されるカバー(4)を有する電気絶縁性のパッケージ(1)と、パッケージ(1)内に配置される温度依存性の感温素子としてのサーミスタ素子(2)とを備え、サーミスタ素子(2)、ケース(3)及びカバー(4)の3部品のみでPTC装置(10)を構成することができる。
【0016】
図2及び図3に示すように、サーミスタ素子(2)は、素子本体(20)と、素子本体(20)の一対の電極(21,22)、即ち下電極(21)及び上電極(22)と、下電極(21)に電気的に接続される下内接部(5a)を有する金属製の一対のリード(5,6)、即ち下リード(5)と、上電極(22)に電気的に接続される上内接部(6a)を有する金属製の上リード(6)とを備える。サーミスタ素子(2)の各電極(21,22)に固着される下リード(5)と上リード(6)とをサーミスタ素子(2)として一体に取り扱うことができる。下リード(5)の下内接部(5a)の端部は、半田(28)により素子本体(20)の下電極(21)に固着され、上リード(6)の上内接部(6a)の端部は、半田(28)により素子本体(20)の上電極(22)に固着される。図示の簡略化のため、図1〜図4以外の図面では、半田(28)の図示を省略する。
【0017】
ほぼ円板状又はディスク状に形成される素子本体(20)は、平坦な円形の下面(23)と上面(24)とを有する。図4及び図5に示すように、下リード(5)の下内接部(5a)及び上リード(6)の上内接部(6a)は、素子本体(20)の下面(23)及び上面(24)に対して平行にかつ素子本体(20)の下電極(21)及び下電極(21)から素子本体(20)の外側に延伸する。下リード(5)及び上リード(6)を通じて素子本体(20)に突入電流が流れると、素子本体(20)は、自己発熱によりある温度で急激に抵抗値を増大して、素子本体(20)を流れる電流値は、最大値に達し、その後減衰する。
【0018】
例えば、チタン酸バリウムを主成分とする素子本体(20)は、安定な抵抗温度特性を有し、原料の微粒化により小型の素子本体(20)を形成できる。チタン酸バリウムを主成分とするPTC素子の特性及び製法は、例えば、本特許出願人による特開2010−3814号公報から公知であるから、製法の詳述を省略する。本発明では、セラミックPTC、カーボン・ポリマー系PTC又は金属酸化物・ポリマー系PTC等の公知の正特性サーミスタを制限なく使用できる。
【0019】
下リード(5)及び上リード(6)は、銅線又はスズめっき銅線等、円形断面又は角形断面を有する一般的な電子部品の外部リード線を使用できる。市販の安価なディスク型PTC素子では、一対のリードは、素子の中心に対し互いに角度120度だけ離間して素子に固着されるが、本発明では、サーミスタ素子(2)の小型化のため、図4に示すように、下リード(5)と上リード(6)は、サーミスタ素子(2)の中心(27)(図4)周りに80度〜100度の間の角度θ、好ましくは90度だけ互いに離間してサーミスタ素子(2)に半田(28)で何れも水平に固着され導出されるので、リード間の角度が120度の従来のPTC素子よりも小型にサーミスタ素子(2)を形成できる。下リード(5)は、下内接部(5a)から下方に直角に折曲される下中間部(5b)と、下中間部(5b)から水平方向に更に直角に折曲される下導出部(5c)とを備える。同様に、上リード(6)は、上内接部(6a)から下方に直角に折曲される上中間部(6b)と、上中間部(6b)から水平方向に更に直角に折曲される上導出部(6c)とを備える。
【0020】
ケース(3)及びカバー(4)により形成されるパッケージ(1)は、例えば、ガラス入りPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)又はガラス入りLCP(液晶ポリマー)等の半田耐熱性を有する電子部品の公知のパッケージ材料が使用される。エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂等、電気絶縁性を有する他の公知の半導体用又は工業用パッケージ材料を使用してもよい。
【0021】
図6〜図11に示すように、ケース(3)は、ほぼ正方形又は長方形の板状に形成される底壁(31)と、底壁(31)の縁部周囲に沿って直角に接続されかつほぼ正方形又は長方形の筒状に形成される内周壁(32)と、底壁(31)及び内周壁(32)により形成される内部空洞(11)と、内周壁(32)の上部に形成される開放部(37)とを有する。内周壁(32)は、前壁(16)と、前壁(16)に対向する後壁(19)と、前壁(16)と後壁(19)との間に配置される一対の側壁(17,18)とを備え、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部に一対の切欠部(38)が形成される。図示の例では、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部に一対の切欠部(38)を形成する例を示すが、接続部に限定されず、電気的短絡を防止して下リード(5)と上リード(6)とを分離できれば、一対の切欠部(38)を前壁(16)のどこに形成してもよい。前壁(16)と後壁(19)には、底壁(31)より高い位置に2つの段部(39)が形成される。
【0022】
一対の側壁(17,18)の各外面には、傾斜面(51)と、傾斜面(51)の下端に形成される係止面(52)とを有する爪(50)が設けられる。傾斜面(51)は、ケース(3)の下方に向けて側壁(17,18)から離間する方向に拡がるテーパ状に形成され、係止面(52)は、底壁(31)に対して平行に形成される。図5に示すように、爪(50)を有する一対の側壁(17,18)は、前壁(16)及び後壁(19)に対して肉厚に形成される。比較的肉薄に形成される前壁(16)及び後壁(19)には、ケース(3)の上面(3a)から前壁(16)及び後壁(19)の各段部(39)にかけて一対の開口(36)が形成され、ケース(3)を軽量化しかつ材料を削減することができる。
【0023】
ケース(3)は、前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部でケース(3)の上面(3a)から下方に向けて形成される一対の切欠部(38)と、切欠部(38)に連続してそれらの下方にほぼ半円断面でそれぞれ形成される一対の内割溝(14)とを有する。下リード(5)と上リード(6)の両方をケース(3)の前壁(16)又は前壁(16)と各側壁(17,18)との接続部のみの外側に延伸させるので、PTC装置(10)を小型化できる。図6、図11及び図12に示すように、切欠部(38)の内下リード(5)を配置する下切欠部(38a)の内割溝(14a)は、底壁(31)と同一の高さまで下方から延伸するが、切欠部(38)の内上リード(6)を配置する上切欠部(38b)の内割溝(14b)は、内割溝(14a)より高い位置に形成される。下リード(5)の下内接部(5a)は、ケース(3)の内周壁(32)の下切欠部(38a)から外部に導出され、上リード(6)の上内接部(6a)は、ケース(3)の内周壁(32)の上切欠部(38b)から外部に導出されるので、上リード(6)の上中間部(6b)は、下リード(5)の下中間部(5b)よりも垂直方向に長く形成される。同様に、上リード(6)の上中間部(6b)を配置する内割溝(14b)は、下リード(5)の下中間部(5b)を配置する内割溝(14a)よりも垂直方向に長く形成される。
【0024】
図7に示すように、ケース(3)の内部空洞(11)は、サーミスタ素子(2)の素子本体(20)の形状に合わせて、ほぼ円柱状の内部空洞(11)を有する。前壁(16)と後壁(19)に形成される各段部(39)は、底壁(31)に対して平行に形成される当接面(47)(図5及び図7)と、底壁(31)に対して直角にかつ当接面(47)から底壁(31)まで形成される垂直面(48)とを有する。段部(39)の当接面(47)は、ケース(3)の上面(3a)より低くかつ底壁(31)より高い位置に形成される。パッケージ(1)内にサーミスタ素子(2)を配置すると、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)が段部(39)の当接面(47)に当接し、底壁(31)と素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)との間に下間隙(7)が形成され、下間隙(7)内の空気層は、断熱作用を生じる。即ち、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)のみがケース(3)に接触して素子本体(20)が底壁(31)上で支持され、素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)がケース(3)の底壁(31)から離間して、ケース(3)の内部空洞(11)内で素子本体(20)の大部分は、下間隙(7)の上に配置される。素子本体(20)の下面(23)の図4に示す中央部(23a)は、下電極(21)を形成する中央領域をいい、縁部(23b)は、下電極(21)を外側から包囲する環状の周辺領域をいう。
【0025】
図示の実施の形態では、前壁(16)と後壁(19)に2つの段部(39)を設けるが、前壁(16)又は後壁(19)の一方に単一の段部(39)を設けるか前壁(16)と後壁(19)に加えて側壁(17,18)に付加的に段部(39)を設けてもよい。また、ケース(3)の内周壁(32)に沿って、環状の段部(39)を形成してもよい。複数の段部(39)の当接面(47)は、それぞれ同一の高さに形成され、サーミスタ素子(2)の素子本体(20)を水平に保持できる。ケース(3)の前壁(16)に形成される前段部(39a)を省略して、下リード(5)及び上リード(6)と、ケース(3)の後壁(19)に形成される後段部(39b)とにより、内部空洞(11)内に素子本体(20)を保持してもよい。素子本体(20)を後段部(39b)のみに接触させれば、素子本体(20)とケース(3)との接触面積をより減少できる。場合により、ケース(3)とカバー(4)とにより下リード(5)及び上リード(6)を挟持して、素子本体(20)を段部(39)に接触させずに、素子本体(20)を内部空洞(11)内に保持することもできる。
【0026】
図3に示すように、ケース(3)は、ケース(3)の底面(3b)から下方に向けて突出するほぼ円柱状の2つの脚部(25)を有する。ケース(3)の後壁(19)に近接して形成される後突起(25b)は、ケース(3)の前壁(16)に近接して形成される前突起(25a)よりも長く形成される。前突起(25a)より下方に、下リード(5)の下中間部(5b)と上リード(6)の上中間部(6b)とを下方に突出させて、下リード(5)の下導出部(5c)と、上リード(6)の上導出部(6c)と、ケース(3)の後突起(25b)との3点により、基板(29)上でPTC装置(10)を支持できる。ケース(3)の後突起(25b)のみが基板(29)と接触するので、ケース(3)の底面(3b)と基板(29)との間に断熱作用を生じる外部空気層を収容する空間(40)が形成され、外部空気層によりケース(3)を通じて素子(20)から基板(29)に伝達される熱をより抑制できる。ケース(3)内にサーミスタ素子(2)を装着するときに、ケース(3)の前突起(25a)は、後突起(25b)と共にケース(3)をほぼ水平に保持することができる。図示しないが、ケース(3)の前突起(25a)を省略又は他の突起をケース(3)の底面(3b)に設けてもよい。
【0027】
図13〜図15に示すように、カバー(4)は、頂壁(41)と、頂壁(41)の周囲に直角に接続される外周壁(42)と、頂壁(41)及び外周壁(42)により形成される収容部(12)と、外周壁(42)の下部に形成される開放部(46)とを有する。カバー(4)の頂壁(41)は、ケース(3)の底壁(31)よりも一回り大きなほぼ正方形又は長方形の板状に形成され、外周壁(42)は、頂壁(41)の縁部に沿いほぼ正方形又は長方形の筒状に形成される。カバー(4)の外周壁(42)は、前壁(43)と、前壁(43)に対向する後壁(44)と、前壁(43)と後壁(44)との間に配置される一対の側壁(45)とを有する。また、カバー(4)は、前壁(43)及び後壁(44)と各側壁(45)との接続部付近に形成される4つの外割溝(15)を内側に有する。カバー(4)の外割溝(15)は、ケース(3)の内割溝(14)に対応する位置に外周壁(42)から外周壁(42)の下部まで垂直方向に形成される。
【0028】
PTC装置(10)を組み立てる際に、リード線がハンダ付けされたサーミスタ素子(2)、ケース(3)及びカバー(4)を準備する。サーミスタ素子(2)の下リード(5)及び上リード(6)は、例えば、図示の所定形状に予め折曲され、下リード(5)の下内接部(5a)、下中間部(5b)及び下導出部(5c)と、上リード(6)の上中間部(6b)、上中間部(6b)及び上導出部(6c)とが形成される。図示及び詳述しないが、ケース(3)及びカバー(4)は、インジェクションモールド、トランスファーモールド等の公知の製法により形成される。
【0029】
次に、図示しない実装機により、ケース(3)の開放部(37)を通じて内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を挿入し、ケース(3)の段部(39)に素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)が当接する状態でケース(3)にサーミスタ素子(2)を装着する。このとき、サーミスタ素子(2)の下リード(5)と上リード(6)とをケース(3)の内周壁(32)の切欠部(38)を通じて内周壁(32)の外側に延伸させる。即ち、ケース(3)の内周壁(32)の下切欠部(38a)を通じて下リード(5)の下内接部(5a)をケース(3)の外側に延伸させ、ケース(3)の内周壁(32)の上切欠部(38b)を通じて上リード(6)の上中間部(6b)をケース(3)の外側に延伸させる。
【0030】
ケース(3)の内部空洞(11)内にサーミスタ素子(2)を配置すると、サーミスタ素子(2)の側面(26)は、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造により周辺環境から遮断される。また、内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入は、確実に遮断される。更に、サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、下間隙(7)及び周間隙(8)内に保持される各空気層により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)への熱伝達を十分に抑制することができる。
【0031】
続いて、図2に示すように、ケース(3)に装着されるサーミスタ素子(2)、ケース(3)の内部空洞(11)及び開放部(37)を覆ってケース(3)にカバー(4)を被着し、爪(50)の傾斜面(51)に沿ってカバー(4)を滑動させた後に、カバー(4)自身の弾力を利用して、カバー(4)に形成した開口部(53)を爪(50)の係止面(52)にスナップ作用で係止させて、カバー(4)をケース(3)に装着する。ケース(3)の爪(50)とカバー(4)の開口部(53)により、接着剤又は他の固定部材を使用せずに、ケース(3)の外側にカバー(4)を固定できる。このとき、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間に下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)が配置され、ケース(3)とカバー(4)により形成されるパッケージ(1)の底部から外部に下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)が導出され、図1に示すパッケージ封入型のPTC装置(10)を容易に組み立てることができる。サーミスタ素子(2)は、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、上間隙(9)内に保持される空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)を通じて伝導する熱伝達を十分に抑制することができる。また、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間に配置され保持される下リード(5)と上リード(6)により、パッケージ(1)の内部空洞(11)内の素子本体(20)の中央部(23a)をパッケージ(1)に接触させずかつサーミスタ素子(2)の移動を阻止できる。
【0032】
ケース(3)にカバー(4)を装着すると、下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)とケース(3)の底面(3b)とを除き、カバー(4)は、ケース(3)の開放部(37)を閉鎖すると同時に、ケース(3)の内周壁(32)を外側から包囲する。また、図16に示すように、ケース(3)の内割溝(14)とカバー(4)の外割溝(15)とが対向して形成されるほぼ円筒状の一対の通路(14,15)内に下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を配置することができる。ケース(3)にカバー(4)を被せると、ケース(3)の前壁(16)とカバー(4)の前壁(43)とが対向し、ケース(3)の後壁(19)とカバー(4)の後壁(44)とが対向する。しかしながら、カバー(4)内の4つの隅部に外割溝(15)を設けるので、ケース(3)にカバー(4)を被せても、パッケージ(1)をあまり大型化させずに、ケース(3)の内割溝(14)とカバー(4)の外割溝(15)とが対向して一対の通路(14,15)を形成できる。また、カバー(4)の四隅に外割溝(15)を形成するので、取付方向を考慮せずに、カバー(4)をケース(3)に装着することができる。ケース(3)に被着されるカバー(4)の頂壁(41)の内面(41a)は、ケース(3)の上面(3a)に密着するので、基板(29)にPTC装置(10)を半田付けするときに、通路(14,15)を形成しないカバー(4)の外割溝(15)からケース(3)内に溶融半田が侵入するのを防止できる。
【0033】
図3に示すように、ケース(3)の内周壁(32)は、サーミスタ素子(2)よりも高く形成されるので、ケース(3)にカバー(4)を装着したとき、カバー(4)の頂壁(41)とサーミスタ素子(2)との間に上間隙(9)が形成される。カバー(4)の頂壁(41)とサーミスタ素子(2)の上面(24)との間に断熱作用を生じる空気層を収容する上間隙(9)が形成されるので、カバー(4)の頂壁(41)を通じて外部空間に伝達される熱量を低減して、自身の発熱によるサーミスタ素子(2)の温度上昇は、妨げられない。
【0034】
本実施の形態では、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)により下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を挟持し、素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)をケース(3)の内周壁(32)の段部(39)に当接して、ケース(3)の底壁(31)の上方で素子本体(20)を保持する。下リード(5)及び上リード(6)とケース(3)の内周壁(32)の段部(39)とにより、ケース(3)の内部空洞(11)内で素子本体(20)をほぼ水平に支持することができる。ケース(3)にカバー(4)を装着したときに、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)により下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)を強固に挟持して、下リード(5)及び上リード(6)のみにより素子本体(20)をほぼ水平に保持し、ケース(3)の内周壁(32)の段部(39)と素子本体(20)の下面(23)の縁部(23b)とが当接せずに離間してもよい。この場合、ケース(3)の内周壁(32)の段部(39)を省略してもよい。素子本体(20)がケース(3)に全く接触しないので、ケース(3)を通じて素子本体(20)から基板(29)に伝達される熱量をより低減できる。
【0035】
図17に示すように、フロー方式の半田付け法により基板(29)にPTC装置(10)を取り付ける際に、ディスペンサ等の周知の接着剤塗布装置を使用して、基板(29)の下面(半田付け面)に接着剤が塗布される。次に、周知のチップマウンタ(表面実装機)により、基板(29)上にPTC装置(10)を配置し、基板(29)の下面とケース(3)の底面(3b)又は脚部(25)とが固定される。続いて、図示しないが、基板(29)の実装面を下方に向けて、液状化した半田が貯留される半田槽上に基板(29)を搬送する。半田槽では、ポンプにより液状半田をノズルから上方に噴出して半田噴流が形成され、基板(29)の実装面を半田噴流の頂部に接触させて基板(29)を通過させることにより、半田噴流を通過した基板(29)の実装面に半田を付着させて、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)と基板(29)の回路パターンとを電気的に接続することができる。
【0036】
図18及び図19は、リフロー方式により基板(29)にPTC装置(10)を半田付けする本発明の別の実施の形態を示す。図18に示すPTC装置(10)では、下リード(5)は、素子本体(20)の下電極(21)に電気的に接続される下内接部(5a)と、下内接部(5a)から下方に直角に折曲される下中間部(5b)と、下中間部(5b)から更に下方に延伸してパッケージ(1)の外側に導出される下導出部(5c)とを備える。同様に、上リード(6)は、上電極(22)に電気的に接続される上内接部(6a)と、上内接部(6a)から下方に直角に折曲される上中間部(6b)と、上中間部(6b)から更に下方に延伸してパッケージ(1)の外側に導出される上導出部(6c)とを備える。実装の際に、両面基板(29)の実装面側のランド部上に半田ペースト(34)が印刷され、チップマウンタにより、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)を基板(29)のスルーホール(30)に挿入して、PTC装置(10)は、基板(29)上に配置される。次に、周知のリフロー炉内で、基板(29)とPTC装置(10)とを加熱し、図19に示すように、溶融した半田ペースト(34)により、基板(29)のスルーホール(30)に挿入される下リード(5)の下導出部(5c)及び上リード(6)の上導出部(6c)は、基板(29)の配線パターン(29a)に半田付けされる。これにより、PTC装置(10)の下リード(5)及び上リード(6)と基板(29)の回路パターン(29a)とを電気的に接続することができる。リフロー方式の代わりにフロー方式の半田付け法に図18に示すPTC装置(10)を適用してもよい。
【0037】
本実施の形態のPTC装置(10)では、ケース(3)内の段部(39)により、ケース(3)の底壁(31)と素子本体(20)の下面(23)の中央部(23a)との間に下間隙(7)を形成し、ケース(3)の内周壁(32)にカバー(4)を装着して、カバー(4)の頂壁(41)と素子本体(20)との間に上間隙(8)を形成し、ケース(3)の底面(3b)から突出する脚部(25)により、ケース(3)の底面(3b)と基板(29)との間に空間(40)を形成することができる。これにより、パッケージ(1)を通じて素子本体(20)から基板(29)に伝達される熱量を低減して、サーミスタ素子(2)の許容動作特性の変動を抑制できる。また、下リード(5)及び上リード(6)は、ケース(3)の外側から下方に折曲し、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間を通過してパッケージ(1)の外側に導出されるので、ケース(3)の内部空洞(11)と外部との沿面距離が延長されて、ケース(3)の内部空洞(11)内への溶融半田の侵入を抑制できると共に、基板(29)からの熱的影響を軽減できる。このように、ラジアルリードを有する既存の無パッケージ型サーミスタと同等の許容動作特性を示すパッケージ封入型のPTC装置(10)を形成することができる。
【表2】
【0038】
表2は、3個のPTC試料A,B及びCについて電圧印加(起動)時T0から最大電流値Imaxの半値(Imax×1/2)に低下する時点T1までの時間(T1−T0)を測定したデータを示す。PTC試料A、B及びCは、いずれも1.8Ωの素子抵抗値を有するが、Aは、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)を含む内部空隙を形成した本発明によるパッケージ封入型PTCの動作時間、Bは、パッケージの下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に充填したエポキシ樹脂によりサーミスタ素子を包囲したパッケージ封入型PTCの動作時間、及びCは、従来のラジアルリードを有する無パッケージ型PTCの動作時間を示す。PTC試料Aは、Cと同等の動作時間を示すが、Bは、パッケージ内の熱容量が増加しかつ外部に伝導される熱量が増大して、室温時の許容動作時間(1.0〜3.0秒)と低温時の許容動作時間(40秒以内)を満足しない。
【0039】
本実施の形態による作用効果を列挙すれば次の通りである。
[1] サーミスタ素子(2)をパッケージ(1)内に収容して、ラジアルリードを有する無パッケージ型と同等の動特性を有するパッケージ封入型サーミスタを形成することができる。
[2] サーミスタ素子(2)は、ケース(3)の底壁(31)及び内周壁(32)に対してそれぞれ下間隙(7)及び周間隙(8)を形成し、カバー(4)の頂壁(41)に対して上間隙(9)を形成するように配置されるので、下間隙(7)、周間隙(8)及び上間隙(9)内に保持される各空気層並びにケース(3)の底壁(31)、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造及びカバー(4)の頂壁(41)により、サーミスタ素子(2)からパッケージ(1)及び基板に伝導する熱伝達を十分に抑制することができる。
[3] 下リード(5)の下中間部(5b)及び上リード(6)の上中間部(6b)は、ケース(3)の外側から下方に折曲し、ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)との間を通過してパッケージ(1)の外側に導出されるので、ケース(3)の内部空洞(11)と外部との沿面距離が延長されて、ケース(3)の内部空洞(11)内への溶融半田の侵入を抑制できると共に、基板からの熱的影響を軽減できる。
[4] ケース(3)の内周壁(32)とカバー(4)の外周壁(42)との二重壁構造によりサーミスタ素子(2)の側面(26)を周辺環境から遮断できる。
[5] 内周壁(32)と外周壁(42)との面接触により、パッケージ(1)内部への溶融半田の侵入を確実に遮断できる。
【0040】
本発明の実施の形態は、前記の各実施の形態に限定されず、更に種々の変更が可能である。最適かつ好適と現在思われる実施の形態について図示の目的で本発明を詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、発明の精神及び特許請求の範囲に包含される種々の修正及び変更が可能であるから、前記実施の形態のみに本発明を限定して解釈すべきではない。
本発明を適用する温度依存性半導体装置は、正特性サーミスタに限定されず、例えば、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTCサーミスタ又は所定温度を超えると急激に抵抗が減少するCTRサーミスタに本発明を適用してもよい。また、チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックPTC若しくはポリマー中にカーボンブラック等の導電性粒子を分散させたポリマーPTC等の他のサーミスタ又は温度依存性素子に本発明を適用してもよい。図示しないが、円形又は楕円形等、角形以外のケース及びカバーを形成してもよい。
図示する実施の形態では、ケース(3)の底壁(31)と内周壁(32)及びカバー(4)の頂壁(41)と外周壁(42)をそれぞれ直角に接続する例を示すが、直角以外の角度、90度〜60度の範囲、例えば、角度85度でケース(3)の底壁(31)と一対の側壁(17,18)を含む内周壁(32)及びカバー(4)の頂壁(41)と外周壁(42)を全体的に又は部分的にそれぞれほぼ同一の傾斜角度で接続することもできる。
また、ケース(3)の内周壁(32)及び/又はカバー(4)の外周壁(42)の厚さを変更してもよい。例えば、ケース(3)の底壁(31)から上方向に内周壁(32)を徐々に肉薄に形成し、カバー(4)の頂壁(41)から下方向に外周壁(42)を徐々に肉薄に形成して、ケース(3)にカバー(4)を容易に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車載用ドアミラー制御装置、ヒータの発熱温度制御装置、リチウムイオン電池等の二次電池のリセッタブルヒューズ等、温度検出用センサ、電源回路の突入電流減少用装置、電流制限装置又は回路保護装置等の種々のパッケージ封入型温度依存性抵抗体に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
(1)・・パッケージ、 (2)・・サーミスタ素子(PTC素子)、 (3)・・ケース、 (3b)・・底面、 (4)・・カバー、 (5)・・下リード、 (5a)・・下内接部、 (5b)・・下中間部、 (5c)・・下導出部、 (6)・・上リード、 (6a)・・上内接部、 (6b)・・上中間部、 (6c)・・上導出部、 (7)・・下間隙、 (8)・・周間隙、 (9)・・上間隙、 (10)・・パッケージ封入型サーミスタ(PTC装置)、 (11)・・内部空洞、 (14)・・内割溝、 (15)・・外割溝、 (20)・・素子本体、 (21)・・下電極、 (22)・・上電極、 (23b)・・縁部、 (25)・・脚部、 (31)・・底壁、 (32)・・内周壁、 (37)・・開放部、 (38)・・切欠部、 (38a)・・下切欠部、 (38b)・・上切欠部、 (39)・・段部、 (41)・・頂壁、 (42)・・外周壁、 (50)・・爪、 (51)・・傾斜面、 (52)・・係止面、 (53)・・開口部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性のパッケージと、パッケージ内に配置される温度依存性のサーミスタ素子とを備え、
パッケージは、底壁、底壁の周囲に接続される内周壁及び底壁と内周壁とにより形成される内部空洞を有するケースと、ケースの内部空洞を覆う頂壁及び頂壁の周囲に接続されかつケースの内周壁の外側に配置される外周壁を有するカバーとを備え、
サーミスタ素子は、ケースの底壁及び内周壁に対してそれぞれ下間隙及び周間隙を形成し、カバーの頂壁に対して上間隙を形成するように配置されることを特徴とするパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項2】
サーミスタ素子は、一対の電極と、各電極に固着される一対のリードとを備え、
ケースの内周壁に形成される一対の切欠部から一対のリードを導出し、更に、ケースとカバーとの間に一対のリードを挟持する請求項1に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項3】
サーミスタ素子は、一対の電極を有する素子本体を備え、
一対の電極は、下電極と上電極とを有し、
一対のリードは、素子本体の下電極に電気的に接続される下内接部を有する金属製の下リードと、素子本体の上電極に電気的に接続される上内接部を有する金属製の上リードとを備え、
ケースの内周壁の切欠部を通じて下リードの下内接部及び上リードの上内接部を内周壁の外側に延伸させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項4】
下リードは、下内接部から下方に折曲する下中間部を有し、
上リードは、上内接部から下方に折曲する上中間部を有し、
下中間部及び上中間部は、ケースの内周壁とカバーとの間を通過してパッケージの外部に導出され、
ケースに被着されるカバーは、ケースの内周壁を外側から包囲し、サーミスタ素子、ケースの内部空洞及び開放部を覆う請求項3に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項5】
ケースの内周壁とカバーにより挟持される下リードの下中間部及び上リードの上中間部は、下間隙を介してケースの底壁の上方に素子本体を保持する請求項4に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項6】
ケースの底壁より高い位置で内周壁に少なくとも1つの段部を形成し、
素子本体の縁部を段部に当接させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項7】
下リードは、下中間部から直角に折曲される下導出部を有し、
上リードは、上中間部から直角に折曲される上導出部を有し、
ケースは、内周壁の外側に形成される内割溝を有し、
カバーは、ケースの内割溝に対応する位置に形成される外割溝を内側に有し、
内割溝と外割溝とを対向させて配置して形成される一対の通路内に下リードの下中間部及び上リードの上中間部を配置して、下リードの下導出部及び上リードの上導出部をパッケージから導出させる請求項4に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項8】
ケースの内周壁に形成される切欠部は、底壁より高い位置の内周壁に形成される下切欠部と、下切欠部より高い位置の内周壁に形成される上切欠部とを備え、
下リードの下内接部は、ケースの内周壁の下切欠部を通じてケースの外側に延伸し、
上リードの上中間部は、ケースの内周壁の上切欠部を通じてケースの外側に延伸し、
上リードの上中間部は、下リードの下中間部より垂直方向に長い請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項9】
ケースの底面に設けた少なくとも1つの脚部より下方に、下リードの下導出部と、上リードの上導出部とを突出させる請求項7に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項10】
傾斜面と、傾斜面の下端に形成される係止面とを有する少なくとも1つの爪をケースの内周壁の外側に設け、
カバーをケースに装着する際に、爪の傾斜面に沿ってカバーを滑動させた後に、カバー自身の弾力を利用して、カバーに形成した開口部を爪の係止面にスナップ作用で係止させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項11】
底壁、底壁の周囲に接続される内周壁及び底壁と内周壁とにより形成される内部空洞を有するケースと、頂壁及び頂壁の周囲に接続される外周壁を有するカバーとを備える電気絶縁性のパッケージを準備する工程と、
ケースの底壁と温度依存性のサーミスタ素子との間に下間隙を形成しかつケースの内周壁とサーミスタ素子との間に周間隙を形成して、ケースの内部空洞内にサーミスタ素子を配置する工程と、
カバーをケースに装着して、カバーの頂壁によりケースの内部空洞を覆うと共に、ケースの内周壁の外側にカバーの外周壁を配置する工程とを含むことを特徴とするパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項12】
サーミスタ素子は、一対の電極と、各電極に固着される一対のリードとを備え、
ケースの内周壁に形成される一対の切欠部から一対のリードを導出する状態でケース内にサーミスタ素子を配置する工程とを含む請求項11に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項13】
ケースとカバーとの間に一対のリードを挟持する状態でカバーをケースに被着する工程を含む請求項12に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項14】
サーミスタ素子は、一対の電極を有する素子本体を備え、
一対の電極は、下電極と上電極とを有し、
一対のリードは、素子本体の下電極に電気的に接続される下内接部を有する金属製の下リードと、素子本体の上電極に電気的に接続される上内接部を有する金属製の上リードとを備え、
ケースの内周壁の切欠部を通じて下リードの下内接部及び上リードの上内接部を内周壁の外側に延伸させる工程を含む請求項12又は13に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項15】
下リードの下内接部から下方に折曲する下中間部を下リードに設け、上リードの上内接部から下方に折曲する上中間部を上リードに設ける工程と、
ケースの内周壁とカバーとの間を通過する下中間部及び上中間部をパッケージの外部に導出させて、カバーによりケースの内周壁を外側から包囲し、サーミスタ素子、ケースの内部空洞及び開放部を覆ってケースにカバーを被着する工程とを含む請求項14に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項16】
ケースとカバーにより下リードの下中間部及び上リードの上中間部を挟持して、ケースに素子本体の下面の中央部が接触しない状態でケースの底壁の上方に素子本体を保持する工程を含む請求項15に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項17】
ケースの底壁より高い位置の内周壁に少なくとも1つの段部を形成する工程と、
ケースの段部に素子本体の縁部を当接させて、ケースにサーミスタ素子を装着する工程とを含む請求項11〜16の何れか1項に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項18】
傾斜面と、傾斜面の下端に配置される係止面とを有する少なくとも1つの爪をケースの内周壁の外側に形成すると共に、ケースの内周壁の爪に対応する位置の開口部をカバーに形成する工程と、
爪の傾斜面に沿ってカバーを滑動させた後に、カバー自身の弾力を利用して、カバーに形成した開口部を爪の係止面にスナップ作用で係止させて、カバーをケースに装着する工程とを含む請求項11〜17の何れか1項に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項1】
電気絶縁性のパッケージと、パッケージ内に配置される温度依存性のサーミスタ素子とを備え、
パッケージは、底壁、底壁の周囲に接続される内周壁及び底壁と内周壁とにより形成される内部空洞を有するケースと、ケースの内部空洞を覆う頂壁及び頂壁の周囲に接続されかつケースの内周壁の外側に配置される外周壁を有するカバーとを備え、
サーミスタ素子は、ケースの底壁及び内周壁に対してそれぞれ下間隙及び周間隙を形成し、カバーの頂壁に対して上間隙を形成するように配置されることを特徴とするパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項2】
サーミスタ素子は、一対の電極と、各電極に固着される一対のリードとを備え、
ケースの内周壁に形成される一対の切欠部から一対のリードを導出し、更に、ケースとカバーとの間に一対のリードを挟持する請求項1に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項3】
サーミスタ素子は、一対の電極を有する素子本体を備え、
一対の電極は、下電極と上電極とを有し、
一対のリードは、素子本体の下電極に電気的に接続される下内接部を有する金属製の下リードと、素子本体の上電極に電気的に接続される上内接部を有する金属製の上リードとを備え、
ケースの内周壁の切欠部を通じて下リードの下内接部及び上リードの上内接部を内周壁の外側に延伸させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項4】
下リードは、下内接部から下方に折曲する下中間部を有し、
上リードは、上内接部から下方に折曲する上中間部を有し、
下中間部及び上中間部は、ケースの内周壁とカバーとの間を通過してパッケージの外部に導出され、
ケースに被着されるカバーは、ケースの内周壁を外側から包囲し、サーミスタ素子、ケースの内部空洞及び開放部を覆う請求項3に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項5】
ケースの内周壁とカバーにより挟持される下リードの下中間部及び上リードの上中間部は、下間隙を介してケースの底壁の上方に素子本体を保持する請求項4に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項6】
ケースの底壁より高い位置で内周壁に少なくとも1つの段部を形成し、
素子本体の縁部を段部に当接させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項7】
下リードは、下中間部から直角に折曲される下導出部を有し、
上リードは、上中間部から直角に折曲される上導出部を有し、
ケースは、内周壁の外側に形成される内割溝を有し、
カバーは、ケースの内割溝に対応する位置に形成される外割溝を内側に有し、
内割溝と外割溝とを対向させて配置して形成される一対の通路内に下リードの下中間部及び上リードの上中間部を配置して、下リードの下導出部及び上リードの上導出部をパッケージから導出させる請求項4に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項8】
ケースの内周壁に形成される切欠部は、底壁より高い位置の内周壁に形成される下切欠部と、下切欠部より高い位置の内周壁に形成される上切欠部とを備え、
下リードの下内接部は、ケースの内周壁の下切欠部を通じてケースの外側に延伸し、
上リードの上中間部は、ケースの内周壁の上切欠部を通じてケースの外側に延伸し、
上リードの上中間部は、下リードの下中間部より垂直方向に長い請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項9】
ケースの底面に設けた少なくとも1つの脚部より下方に、下リードの下導出部と、上リードの上導出部とを突出させる請求項7に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項10】
傾斜面と、傾斜面の下端に形成される係止面とを有する少なくとも1つの爪をケースの内周壁の外側に設け、
カバーをケースに装着する際に、爪の傾斜面に沿ってカバーを滑動させた後に、カバー自身の弾力を利用して、カバーに形成した開口部を爪の係止面にスナップ作用で係止させる請求項2に記載のパッケージ封入型サーミスタ。
【請求項11】
底壁、底壁の周囲に接続される内周壁及び底壁と内周壁とにより形成される内部空洞を有するケースと、頂壁及び頂壁の周囲に接続される外周壁を有するカバーとを備える電気絶縁性のパッケージを準備する工程と、
ケースの底壁と温度依存性のサーミスタ素子との間に下間隙を形成しかつケースの内周壁とサーミスタ素子との間に周間隙を形成して、ケースの内部空洞内にサーミスタ素子を配置する工程と、
カバーをケースに装着して、カバーの頂壁によりケースの内部空洞を覆うと共に、ケースの内周壁の外側にカバーの外周壁を配置する工程とを含むことを特徴とするパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項12】
サーミスタ素子は、一対の電極と、各電極に固着される一対のリードとを備え、
ケースの内周壁に形成される一対の切欠部から一対のリードを導出する状態でケース内にサーミスタ素子を配置する工程とを含む請求項11に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項13】
ケースとカバーとの間に一対のリードを挟持する状態でカバーをケースに被着する工程を含む請求項12に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項14】
サーミスタ素子は、一対の電極を有する素子本体を備え、
一対の電極は、下電極と上電極とを有し、
一対のリードは、素子本体の下電極に電気的に接続される下内接部を有する金属製の下リードと、素子本体の上電極に電気的に接続される上内接部を有する金属製の上リードとを備え、
ケースの内周壁の切欠部を通じて下リードの下内接部及び上リードの上内接部を内周壁の外側に延伸させる工程を含む請求項12又は13に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項15】
下リードの下内接部から下方に折曲する下中間部を下リードに設け、上リードの上内接部から下方に折曲する上中間部を上リードに設ける工程と、
ケースの内周壁とカバーとの間を通過する下中間部及び上中間部をパッケージの外部に導出させて、カバーによりケースの内周壁を外側から包囲し、サーミスタ素子、ケースの内部空洞及び開放部を覆ってケースにカバーを被着する工程とを含む請求項14に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項16】
ケースとカバーにより下リードの下中間部及び上リードの上中間部を挟持して、ケースに素子本体の下面の中央部が接触しない状態でケースの底壁の上方に素子本体を保持する工程を含む請求項15に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項17】
ケースの底壁より高い位置の内周壁に少なくとも1つの段部を形成する工程と、
ケースの段部に素子本体の縁部を当接させて、ケースにサーミスタ素子を装着する工程とを含む請求項11〜16の何れか1項に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【請求項18】
傾斜面と、傾斜面の下端に配置される係止面とを有する少なくとも1つの爪をケースの内周壁の外側に形成すると共に、ケースの内周壁の爪に対応する位置の開口部をカバーに形成する工程と、
爪の傾斜面に沿ってカバーを滑動させた後に、カバー自身の弾力を利用して、カバーに形成した開口部を爪の係止面にスナップ作用で係止させて、カバーをケースに装着する工程とを含む請求項11〜17の何れか1項に記載のパッケージ封入型サーミスタの製法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−30749(P2013−30749A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90886(P2012−90886)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(508185890)株式会社マキシマム・テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(508185890)株式会社マキシマム・テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】
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