説明

パッケージ

【課題】表示面積の減少を防止することができるパッケージを提供する。
【解決手段】パッケージ本体11の前面23側を構成する前面構成部24を底部構成部27に対して折曲して起立できるように構成し、後面25側を構成する後面構成部26を底部構成部27に対して折曲して起立できるように構成する。後面構成部26の周縁部に後方へ突出する凸部91を設け、前面構成部24に周縁より延出する延出片61を後面構成部材26側へ折返し可能に設ける。延出片61に凸部91と係合する凹部62aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を収容するパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品は、ケース等に収容した状態で陳列され販売されており、そのケースとしては、透明のプラスチックで形成されたパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このパッケージは、パッケージ本体を折り畳んで使用するように構成されており、折り畳んだ状態で前面側を構成する前面構成部と、後面側を構成する後面構成部とが形成されている。
【0004】
前記前面構成部と前記後面構成部との対向部位には、製品を収容する為の凹部が形成されており、前記前面構成部に形成された凹部と前記後面構成部に形成された凹部とで形成された収容空間に製品を収容できるように構成されている。
【0005】
また、前記後面構成部の上部側を構成するフランジ部には、係合凹部が形成されており、前記前面構成部の上部側を構成するフランジ部には、係合凸部が形成されている。
【0006】
これにより、前記前記収容空間内に前記製品を収容して前記前面構成部を前記後面構成部に重ねた状態で、前記前面構成部の前記係合凸部が前記後面構成部の前記係合凹部に嵌合して係合するように構成されており、この係合状態を形成することで、前記前面構成部と前記後面構成部との間に前記製品を保持した状態に維持できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−001341公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来のパッケージにあっては、前面構成部と後面構成部間に製品を保持する為に、表示用として利用される平坦なフランジ部に前記係合凸部や前記係合凹部を形成しなければならなかった。
【0009】
これにより、表示面積が減少するという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、表示面積の減少を防止することができるパッケージを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のパッケージにあっては、前面側を構成する前面構成部と、後面側を構成する後面構成部とを重ね合わせて形成したパッケージにおいて、前記後面構成部の周縁部に後方へ突出する凸部を設ける一方、前記前面構成部に周縁より延出する延出片を前記後面構成部材側へ折返し可能に設け、当該延出片に前記凸部と係合する凹部を設けた。
【0012】
すなわち、前面構成部と後面構成部とを重ね合わせた状態において、前面構成部の周縁より延出した延出片を後面構成部側へ折り返すとともに、当該延出片に設けられた凹部を前記後面構成部に設けられた凸部に係合することによって、前記前面構成部と前記後面構成部とが重ね合わされた状態に維持することができる。
【0013】
このとき、前記凸部は、前記後面構成部の周縁部に形成されており、後方へ突出するように設けられている。また、当該凸部と係合する前記凹部は、前記後面構成部側に折り返される前記延出片に設けられている。
【0014】
このため、前記前面構成部の周縁部は平坦な状態に維持される。
【0015】
また、請求項2のパッケージにおいては、前記延出片を前記前面構成部の自由端部側に設定するとともに、前記延出片に設けられた前記凹部と係合する前記凸部を前記後面構成部の自由端部側に設定した。
【0016】
すなわち、前記延出片は、前記前面構成部の自由端部側に設定されており、前記延出片の前記凹部と係合する前記凸部は、前記後面構成部の自由端部側に設定されている。
【0017】
このため、前記前面構成部と前記後面構成部とは、例えば両者を連結したヒンジ点から最も離れた部位が前記延出片で連設されるとともに、該延出片の前記凹部と前記凸部との係合構造によって固定される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1のパッケージにあっては、係合構造を構成する凸部は、後面構成部の周縁部において後方へ突出するように設けられており、この凸部と係合する凹部は、前面構成部より前記後面構成部側に折り返される延出片に設けられている。
【0019】
これにより、前記前面構成部の周縁部を平坦な状態に維持することができるので、この平坦部分の内側に印刷が施された厚紙を挟持したり、この平坦部分に印刷を施す等することによって、当該平坦部分も表示領域として利用することができる。
【0020】
したがって、前記前面構成部の周縁部に係合凸部を設けなければならなかった従来と比較して、表示面積の減少を招くことなく、前記前面構成部と前記後面構成部との重合状態を維持することができるとともに、前面に凹凸が現れないため、パッケージ表面のデザイン性を損なわず、デザイン性が向上する。
【0021】
そして、前記前面構成部に設けられた前記延出片を前記後面構成部側に折り返すことによって、前記前面構成部の端縁と前記後面構成部の端縁の露出を防止することができる。これにより、当該端縁への干渉に起因した両構成部の不用意な開放を未然に防止することができる。
【0022】
また、請求項2のパッケージにおいて、前記延出片は、前記前面構成部の自由端部側に設定されており、前記延出片の前記凹部と係合する前記凸部は、前記後面構成部の自由端部側に設定されている。
【0023】
このため、前記前面構成部と前記後面構成部とを、例えば両者を連結するヒンジ点から最も離れた部位において前記延出片で連設することができる。これにより、前記前面構成部と前記後面構成部とが重ねられた状態を確実に維持することができるとともに、両構成部の自由端部側からの不用意な捲れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】同実施の形態の側面図である。
【図3】同実施の形態の使用例を示す説明図である。
【図4】同実施の形態の使用例を示す図3に続く説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態にかかるパッケージ1を示す図であり、該パッケージ1は、製品を収容するものである。
【0027】
このパッケージ1のパッケージ本体11は、図1及び図2に示すように、所定の剛性を有した無色透明のプラスチックシートで構成されており、長方形状のプラスチックシートがプレスされることによって形成されている。
【0028】
このパッケージ本体11は、略中央部に平行して設けられた第一折曲線21及び第二折曲線22が横断して設けられており、各折曲線21,22を中心として折曲できるように構成されている。前記第一折曲線21より図2中右側の部分は、起立した状態(図3及び図4参照)でパッケージ1の前面23側を形成する前面構成部24を構成しており、前記第二折曲線22より図2中左側の部分は、起立した状態(図3及び図4参照)でパッケージ1の後面25側を形成する後面構成部26を構成している。また、前記第一折曲線21と前記第二折曲線22間の部位は、前記前面構成部24及び前記後面構成部26を起立した状態で底部を形成する底部構成部27を構成している。
【0029】
該底部構成部27は、前斜面31と後斜面32とを備えた山形状に形成されており、その一部には、平坦に形成された平面部33が形成されている。前記前面構成部24には、図2から図4に示すように、起立した状態で前記前斜面31に沿って延在する前面側斜面34が基端側に形成されており、前記後面構成部26には、起立した状態で前記後斜面32に沿って延在する後面側斜面35が基端側に形成されている。
【0030】
これにより、前記前面構成部24及び前記後面構成部26を起立した状態で、前記前面構成部24及び前記後面構成部26を前記底部構成部27に対して略垂直に起立できるように構成されている。
【0031】
前記前面構成部24には、前側に突出した前面膨出部41が膨出形成されており、この前面膨出部41に対向する前記後面構成部26の部位には、後側に突出した後面膨出部42が膨出形成されている。これにより、図3及び図4に示すように、前記前面構成部24に形成された前記前面膨出部41と前記後面構成部26に形成された前記後面膨出部42と前記底部構成部27に形成された前記平面部33とによって包囲された収容空間43に製品を収容して保持できるように構成されている。
【0032】
前記前面構成部24における前記前面膨出部41の外周部には、平坦な前面フランジ部51が形成されており、前記後面構成部26の前記後面膨出部42の外周部には、平坦な後面フランジ部52が形成されている。これにより、前記前面構成部24及び前記後面構成部26を起立した状態で、前記前面構成部24の前記前面フランジ部51と、前記後面構成部26の前記後面フランジ部52とが対面するように構成されている。
【0033】
前記前面構成部24の自由端側の縁部からは、図1及び図2に示したように、横長の長方形状の延出片61が延出しており、当該延出片61の基端には、前記前面構成部24に沿って横断する上部折曲線62が薄肉部によって形成されている。これにより、図4に示したように、前記延出片61を前記上部折曲線62で折曲して前記後面構成部26に沿って配置できるように構成されている。
【0034】
前記延出片61の基端側の中央部には、図1に示したように、第一楕円穴71が開設されており、この延出片61には、前記第一楕円穴71を回避するように当該延出片61の幅方向に延在する矩形状の凹部62aが外面側へ向けて没入形成されている。この凹部62a内には、円形状の係合部63,63が二箇所に設けられており、各係合部63,63は、前記凹部62aの底面64から内面側へ向けて膨出形成されている。
【0035】
この延出片61が折り返された状態で重合する前記後面構成部26の前記後面フランジ部52の部位には、第二楕円穴81が前記第一楕円穴71と合致する位置に開設されており、これらの楕円穴71,81が対向する前記前面構成部24の前記前面フランジ部51の部位には、円形穴82が開設されている。
【0036】
これにより、この円形穴82と前記各楕円穴71,81とによって前後に貫通する吊り下げ穴が形成されるように構成されており、この吊り下げ穴を利用して当該パッケージ1を陳列フックに係止できるように構成されている。
【0037】
前記延出片61が重合する前記後面構成部26の前記後面フランジ部52の部位、すなわち前記後面構成部26の自由端部側の部位には、前記第二楕円穴81を回避するように横方向に延在する矩形状の凸部91が外面側へ向けて膨出形成されており、当該凸部91は、前記延出片61に形成された前記凹部62aに内嵌して係合するように構成されている。この凸部91内には、円形状の被係合部92,92が二箇所に設けられており、各被係合部92,92は、前記凸部91,91の天面93から内面側へ向けて後退形成されている。各被係合部92,92は、折り返された前記延出片61の前記各係合部63,63と合致する位置に設けられており、各係合部63,63を対応する被係合部92,92に嵌入した状態で係合できるように構成されている。
【0038】
以上の構成にかかる本実施の形態において、図3に示したように、パッケージ本体11を折曲して前記前面構成部24と前記後面構成部26とを重ね合わせた状態において、前記前面構成部24の周縁より延出した延出片61を、図4に示したように、前記後面構成部26側へ折り返すとともに、当該延出片61に設けられた前記凹部62aを前記後面構成部26に設けられた前記凸部91に係合することによって、前記前面構成部24と前記後面構成部26とが重ね合わされた状態に維持することができる。
【0039】
このとき、前記凸部91は、前記後面構成部26の周縁部に形成されており、後方へ突出するように設けられている。また、当該凸部91と係合する前記凹部62aは、前記後面構成部26側に折り返される前記延出片61に設けられている。
【0040】
これにより、前記前面構成部24の周縁部を平坦な状態に維持することができる。このため、この平坦部分の内側に印刷が施された厚紙を挟持したり、この平坦部分に印刷を施す等することによって、当該平坦部分も表示領域101として利用することができる。
【0041】
したがって、前記前面構成部24の周縁部に係合凸部を設けなければならなかった従来と比較して、表示面積の減少を招くことなく、前記前面構成部24と前記後面構成部26との重合状態を維持することができる。また、前面に凹凸が現れないため、パッケージ表面のデザイン性を損なわず、デザイン性が向上する。
【0042】
そして、前記前面構成部24に設けられた前記延出片61を前記後面構成部26側に折り返すことによって、前記前面構成部24の端縁と前記後面構成部26の端縁の露出を防止することができる。これにより、当該端縁への干渉に起因した両構成部24,26の不用意な開放を未然に防止することができる。
【0043】
そして、前記延出片61は、前記前面構成部24の自由端部側に設定されており、前記延出片61の前記凹部62aと係合する前記凸部91は、前記後面構成部26の自由端部側に設定されている。
【0044】
このため、前記前面構成部24と前記後面構成部26とを、前記第一折曲線21及び第二折曲線22が構成するヒンジ点から最も離れた部位において、前記延出片61にて連設することができる。
【0045】
これにより、前記前面構成部24と前記後面構成部26とが重ねられた状態を確実に維持することができるとともに、両構成部24,26の自由端部側からの不用意な捲れを防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 パッケージ
11 パッケージ本体
23 前面
24 前面構成部
25 後面
26 後面構成部
51 前面フランジ部
52 後面フランジ部
61 延出片
62a 凹部
91 凸部
101 表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側を構成する前面構成部と、後面側を構成する後面構成部とを重ね合わせて形成したパッケージにおいて、
前記後面構成部の周縁部に後方へ突出する凸部を設ける一方、
前記前面構成部に周縁より延出する延出片を前記後面構成部材側へ折返し可能に設け、当該延出片に前記凸部と係合する凹部を設けたことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記延出片を前記前面構成部の自由端部側に設定するとともに、前記延出片に設けられた前記凹部と係合する前記凸部を前記後面構成部の自由端部側に設定したことを特徴とする請求項1記載のパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−280398(P2010−280398A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133575(P2009−133575)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】