パッシフロラ・アラタ(Passifloraalata)の植物抽出物を調製するプロセス、並びに化粧品組成物及び医薬組成物における該抽出物の使用
本発明は、化粧品組成物又は医薬組成物中の抗炎症剤としての、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物の使用に関する。更に、本発明は、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し、それから該水性抽出物を、特定のカラム中のエタノール水性溶液を用いた少なくとも1つの溶出に付し、その後該抽出物を噴霧乾燥により乾燥する工程を含む、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を取得するプロセスに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を、化粧品組成物及び医薬組成物中の抗炎症活性薬剤及び鎮痛活性薬剤として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
パッシフロラ(Passiflora)属の植物種(トケイソウ科)は、熱帯地方原産で、フラボノイドに富む。これらの植物は、薬理特性、とりわけ精神安定作用及び降圧作用等を有することから、民間療法において知られている。パッシフロラ(Passiflora)属の幾つかの植物種は、抗炎症作用を有する薬用植物としても知られている。パッシフロラ(Passiflora)抽出物の調製、並びにその化粧品組成物及び医薬組成物における使用に関する幾つかの先行技術文献を、以下に示す。
【0003】
文献WO2005/097153は、パッションフルーツ(パッシフロラ(Passiflora))抽出物を調製する、及びそれらの抽出物を哺乳類における肝臓保護剤、抗酸化剤及び抗炎症剤として使用する特定の方法を開示する。しかしながら、この文献は、パッシフロラ(Passiflora)の特定の種に、又はそれらの種において改善されている特徴に言及していない。
【0004】
文献EP1537789は、カロテノイド、トコフェロール及び抗炎症活性を有するトケイソウ抽出物を含む、局所適用用組成物を開示する。
【0005】
文献JP200200336は、シンビジウム抽出物、及びパッシフロラ(Passiflora)等のメラニン生産を阻害する植物抽出物を含有し、抗炎症活性を有する化粧品製品を開示する。
【0006】
文献JP2000159657は、メラニン生産抑制活性及び美白作用を有するPassiflira属の植物抽出物を含有する、皮膚への外部適用及び局所適用用調製物を開示する。
【0007】
文献JP2001122731は、水和活性の延長及び顕著な抗炎症疾患作用を有する、パッシフロラ・アンチオキエンシス(Passiflora antioquiensis)及びパッシフロラ・モリッシマ(Passiflora mollissima)の抽出物を含有する化粧品組成物を開示する。
【0008】
一方、文献JP2002332224は、加齢現象に対する活性を有するパッシフロラ・インカルナタL(Passiflora incarnata L)の抽出物、及び水和成分又は細胞活性化成分を含有する、皮膚の加齢に対抗する化粧品組成物を開示する。
【0009】
また、文献JP7233044は、細胞活性化作用を有するしわ防止用化粧品製品を開示し、ここで、該文献に係る組成物は、パッシフロラ(Passiflora)、ピネリアエ・チューベル(Pinelliae Tuber)及びモリ・フルクツス(Mori Fructus)を含む幾つかの植物から選択される抽出物の混合物を含有する。
【0010】
文献WO/ 2005/077328は、植物抽出物を基礎成分とする、抗しわ化粧品製品に関する。該文献に開示される製品は、持続性の保湿作用及び弾力性改善の達成を目的とする、パッシフロラ(Passiflora)抽出物、並びにケシ、ハッカ及びギンバイカの抽出物を含有する油中水系である。
【0011】
文献JP2001226219は、希釈した植物抽出物を含有する化粧品組成物を開示し、ここで、該植物抽出物が、パッシフロラ・カエルレアL(Passiflora caerulea L)及びパッシフロラ・エドゥリス・シムス(Passiflora edulis Sims)から選択され、一方、文献JP7118139は、パッシフロラ亜種(Passiflora SSP)等の植物抽出物を含有する、皮膚の美化作用を促進する化粧品製品を開示する。
【0012】
文献JP2004155664は、内服使用用の肌質改善機能剤に関し、肌の機能は、とりわけパッシフロラ(Passiflora)属由来の植物粉を使用することにより改善される。文献WO 2005/053435は、カロテン及びトコフェロールと共に、パッシフロラ・インカルナタ(Passiflora incarnata)を含有する、経口及び/又は局所投与用の調製物を開示する。
【0013】
本発明者らは、本出願において、パッシフロラ(Passiflora)属の植物から調製される抽出物が、抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用を有することを実証し、更に、フラボノイドに富み、該抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用をもたらし、局所及び/又は内服(経口)使用に指向される抽出物を取得するための抽出プロセスを開発した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、化粧品組成物又は医薬組成物中の抗炎症剤としての、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物の使用に関する。
【0015】
また、本発明は:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を充填したクロマトグラフィーカラム中の含水アルコール溶液を用いた少なくとも1つの溶出工程に付し;
c)(b)において取得された抽出物を濃縮及び噴霧乾燥する
工程を含む、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を取得するプロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フラボノイド、特にビテキシン-2"-O-ラムノシド(CAS 64820-99-1)に富むパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉から緩衝抽出物を取得する抽出プロセスの簡単な説明を記載する。
【図2】本発明に従い取得されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の抽出物のHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により得られたクロマトグラフィープロフィールを表す。
【図3】固定相としてシリカを使用する、調製クロマトグラフィーにより分画されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の水性抽出物のフラクションの、HPLCにより得られたクロマトグラフィープロフィールを表す。このフラクション(FR13-23)は、主要な成分として、グリコシル化フラボンのビテキシン-2-O-ラミノシドを有する。このフラクションが、この化合物のインビトロ生物活性を証明するのに用いられ、該生物活性は、元の水性抽出物においても認められた。
【図4】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図5】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図6】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図7】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図8】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図9】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図10】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図11】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図12】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図13】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図14】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明者らは、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用を有し、化粧品組成物、特に抗しわ組成物又は抗加齢組成物として有用であり、同時に医薬組成物、特に局所又は経口投与用の医薬組成物としても有用であることを見出した。
【0018】
本発明の一つの態様において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物は、:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)において取得された水性抽出物を濾過し;
c)(b)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を用いた精製プロセスに付し;
d)酸性化含水アルコール混合物で該抽出物を溶出し;
e)(d)において取得された産物を濃縮し;
f)(e)において取得された産物を高温エタノールに再懸濁し、その後冷却し;
g)(f)において取得された産物を濾過し;
h)(g)において取得された産物を濃縮し;
i)(h)において取得された産物を、固形担体を利用して乾燥する
工程を含むプロセスにより取得される。
【0019】
本発明のもう一つの側面において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の抽出物は:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、熱水20部に対して植物1部の割合で、60℃〜80℃、好ましくは80℃の熱水を用いた2時間の抽出に付し;
b)(a)において取得された抽出物を濾過し;
c)(b)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を用いた精製プロセスに付し、ここで該樹脂がポリビニルピロリドン又はポリスチレンポリマー、好ましくはポリスチレンで構成され;
d)酸性化含水アルコール混合物、好ましくは酢酸でpH5.0に酸性化した水中30%エタノールで、上記取得された抽出物を溶出し;
e)(d)において取得された産物を、全固形材料の30%まで濃縮し;
f)(e)において取得された産物を60℃の高温エタノール96QGLに再懸濁し、その後2℃まで冷却し;
g)(f)において取得された産物を濾過し;
h)(g)において取得された産物を、全固形材料の20%まで濃縮し;
i)(h)において取得された産物を、流入空気180℃及び流出空気85℃の噴霧乾燥機を使用して、1〜8%、好ましくは8%の濃度の「E1450」担体(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)を利用して乾燥する
工程を含むプロセスにより取得される。
【0020】
前記プロセスを経て得られた乾燥抽出物は、C-グリコシル化フラボノイド、主にオリエンチン、ホモオリエンチン、ビテキシン、イソビテンチン及びビテンチン-2"-O-ラムノシド;並びにフラボン、主にルテオリンを含有する。それぞれの構造式を以下に示す。
【化1】
【0021】
本発明に従い取得されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に多量に存在するフラボノイドはビテキシン-2"-O-ラムノシド(CAS 64820-99-1)であり、このフラボノイドが、植物治療剤としてより一般的に使用される他のパッシフロラ(Passiflora)種と比較してパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)にのみ見出され、また、他のパッシフロラ(Passiflora)種を用いた植物薬物の混入を回避するための化学マーカーとしても推奨されることが見出された(PEREIRA, 2004)。
【0022】
本発明により取得された全フラボノイドの含有量は、Portuguese Pharmacopoeia, 2000により決定されるビテキシン等の全フラボノイドの用量法(dosing methodology)によれば、約11.40%〜約16.55%の範囲内である。
【0023】
本発明により取得されたビテキシン-2"-O-ラムノシドの含有量は、HPLCによる該物質の用量法によれば、約9.70%〜約11.90%である。この解析の条件は以下のとおりである:
-Waters製造のPDA 2996と連携した高性能液体クロマトグラフィー
-X-TerraカラムRP18 5um、4.6x150mm
-移動相:0.2%V/Vのアセトニトリル及び蟻酸で構成される勾配系
-流速:0.6mL/分
-温度:25℃
-注入体積:20μL
-波長:340.7nm
【0024】
更に、本発明は、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を活性抗炎症剤として含有する化粧品組成物及び医薬組成物に関する。本発明に係る組成物において、使用するパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の量は、想定される最終的な対象に依存するが、好ましくは、組成物総重量の0.25〜1.00重量%である。本発明の組成物は、これらの種類の組成物に伝統的に使用される成分、とりわけキレート剤、酸化防止剤、増粘剤、pH調整剤、保存料、湿潤剤、品質改良剤、他の皮膚軟化剤、フィルム形成剤、油脂吸収剤(oleosity adsorbing agent)等の他の成分を含有し得る。
【0025】
本発明は、以下の実施例により例証され得る。
【実施例】
【0026】
実施例1- パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得
50gのパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉を1,000Lの蒸留水に加え、この混合物を3時間80℃で加熱した。それからこの混合物をポリスチレンカラムに通して、酢酸でpH5.0に酸性化した30%エタノール溶液で溶出した。得られた抽出物を、濾過及び乾燥した。
【0027】
実施例2- PVPPとの接触により精製したパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の乾燥した葉100gを、80℃で2時間、1:10(w/v)の比率の蒸留水中で、抽出に供した。Buchner濾過を経て50mlのアリコートが4つ取得され、それらを8℃でPVPP(Divergan F BASF)2.5gと混合した。
【0028】
90分間攪拌の後、それらの試料をBuchner中で溶出し、得られた混合物中に含有されるフラボノイドを抜き取るため、PVPPを以下の溶出剤で処理された。
a)50ml H2O+NH4OH 1%、60℃、30分
b)50ml H2O+HC1 1%、60℃、30分
c)50ml EtOH+NH4OH 1%、60℃、30分
d)50ml EtOH+Hcl 1%、60℃、30分
【0029】
アリコートを8.33倍に希釈して、それから以下の解析条件でHPLCによる解析を行った:
移動相(A):0.2%蟻酸水溶液
移動相(B):ACN
検出:337nm(フラボノイド用)
流速:0.8mL/分
【0030】
標準:メタノール中に溶解:オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、ルテオリン、アピゲニン。濃度は105ppmとした。
カラム:Phjenomenex Synergil 4 μm Fusion RP-80 150 x 4.6 mm Gradient:
勾配
【0031】
【表1】
【0032】
ビテキシンは主要なフラボノイドであるため、ビテキシン領域の値は、比較目的で考慮された。
【0033】
図1は幾つかの試料において取得した結果を比較したグラフであり、図2はこの解析で実行した幾つかの試験のクロマトグラムを列挙している。ここで、PVPが、低温でグリコシル化フラボノイドを吸収できることに留意した。
【0034】
実施例3- 異なるパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得及び同定
異なる種類のパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に存在するフラボノイドを、2つの異なる方法を通じで取得した。
【0035】
a)経路1
100gの乾燥パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉を、1000mlの脱イオン水に懸濁した。それから、3つの異なる温度:60℃、70℃、及び80℃で、一定の攪拌をして、反応バルーン(reaction balloon)中で2時間、フラボノイドを抽出した。
【0036】
前記抽出物をBuchner漏斗で吸引濾過して残余物の葉を取り除き、(異なる抽出温度それぞれにおいて)濾過した抽出物の体積を改めて1000mlに調整した。この体積から500mlの抽出物を取り出して、5℃の低温容器中に一昼夜置いた。24時間後、抽出物を5℃かつ4100rpmで21分間遠心分離し、2つのフラクション:沈殿物及び上澄を得た。沈殿物をエタノールに懸濁し、通常の紙フィルターで濾過し、そしてエタノールの体積を80mlに調整した。
【0037】
b)経路2
上記経路(1)で分けた他方の500mlの抽出物を、室温で予め冷ました後、エタノール中で2回沈殿させた。それから、その抽出物を20℃かつ4100rpmで21分間遠心分離し、2つのフラクション:沈殿物及び上澄を得た。沈殿物をエタノールに懸濁し、通常の紙フィルターで濾過し、そしてエタノールの体積を80mlに調整した。
【0038】
フラボノイド濃縮物の投与
ルート1及び2で得られた抽出物中に含有されるフラボノイドの濃度を、Rolim et al, 2005に従い、そしてルチンフラボノイドを標準として決定した。フラボノイド濃度は図3に記載されており、μg/mlで表現されている。
【0039】
図3は、(左側から右側にかけて)60℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-60)、70℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-70)、80℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-80)、60℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-60)、70℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-70)、そして80℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-80)を示す。これらの抽出物の正確な濃度を追跡するため、図3の結果を以下の表にも記載した:
表1- パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の異なる抽出物の吸光度及び各フラボノイド濃度
【0040】
【表2】
【0041】
図3に表されているデータを通じて、前記手順中で適用される3つの温度(60℃、70℃、及び80℃)で、経路1及び2を通じて取得される、全てのエタノール懸濁沈殿物のフラボノイド濃度プロフィールを追跡することが出来る。また、抽出温度は80℃がより効果的であったと結論付けられる。
【0042】
経路1(水性)と経路2(エタノール沈殿の使用)とを比較すると、経路1がより有効であると結論付けられ、これは、該プロセスが、水中で抽出が行われ、その後エタノールに懸濁されるのが最適であることを示す。80℃の経路1で得られた懸濁沈殿物は、40μg/mlを超える濃度を達成した。
【0043】
実施例4- インビトロでの細胞毒性及び光毒性の評価
この実験の目的は、国際的に有効なNational Institute of Health (NIH) EUAにより確立された方法を使用して、本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の細胞毒性及び光毒性を決定することであった。
【0044】
定義:
細胞毒性:前記アッセイは、3T3を有効成分と共に24時間インキュベーションすることにより、該有効成分の細胞毒性濃度を判定することが可能である。毒性は、細胞の生存率に基づいて判定され、該細胞生存率は、前記有効成分に24時間接触させた後の3T3細胞と、生存細胞に取り込まれる生体色素の中性赤とのインキュベーションをモニタリングすることにより判定される(Guidance Document on Using In Vitro Data to Estimate In
Vivo Starting Doses for Acute Toxicity. NIH Publication 01-4500 (2001))。
【0045】
光毒性:本実験の基礎は、非細胞毒性量のUVA放射の存在下又は非存在下で、有効成分の毒性を比較することである。光毒性は、既にNIHにより確立及び標準化("ZEBET/ECVAM/COLIPA Standard Operating Procedure. In Vitro 3T3 Phototoicity Test. 26 Ap, 1998")されているBorenfreund & Puerner (1985)プロトコルに従い、有効成分と共にインキュベーションして生存した細胞による中性赤の汲み上げにより測定される。光毒性/光刺激性は、第一に皮膚を特定の製品/有効成分に晒し、続いて日光に晒した後に引き起こされる毒性応答、又は有効成分/製品の全身投与後に皮膚に照射することにより引き起こされる毒性応答と定義される("Spielmann H, Liebsch M, Doring B, Moldenhauer F. First results of an EC/COLIPA validation project of in vitro phototoxicity testing methods. ALTEX. 1994;11 (1):22-31 ")。
【0046】
材料:3T3細胞(Balb/Cマウス皮膚の線維芽細胞株)。
【0047】
試薬:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、中性赤(SIGMA-ALDRICH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、酢酸、及びPBS(リン酸緩衝生理食塩水)。
【0048】
方法:
溶解度解析及び実験濃度の決定:NIHにより国際的に標準化されたアッセイに従い、試料の溶解度を評価する。DMEM(細胞毒性アッセイにおいて)又はPBS(光毒性アッセイにおいて)等の水性溶液中の試料の安定性を改善するために、最高で1%のDMSO又はエタノールを使用し得る。細胞毒性及び光毒性試験において使用される濃度は、試料の溶解度試験の結果に従って変化する。試験される最高濃度は、3mg/mlを超えるべきではない。
【0049】
細胞毒性:3T3細胞を1x104細胞/ウェルの濃度で滅菌96ウェルプレートに播種する。24時間後、それらの細胞に、5%SFBを加えた細胞培養培地で希釈した試料を添加して、24時間インキュベーションした。その後、それらに中性赤を添加して3時間置く。余分な色素をPBSで洗浄し、形成された結晶を、エタノール:酢酸:水(50:1:49)で溶解する。540nmで吸光度の読取りを行い、そして得られた結果から、細胞の50%が生存する濃度(CI50)を計算する。故に、CI50の値が高い程、その試料の細胞毒性能力は低く、その逆も成り立つ。
【0050】
光毒性:3T3細胞を1x104細胞/ウェルの濃度で滅菌96ウェルプレートに播種する。同一のプレートが2つ用意されるが、それらの1つには後にUVAが照射され、もう1つは、対照として、暗黒状態が維持される。播種の24時間後、それらの細胞にPBSで希釈した試料を添加して、暗黒状態で1時間インキュベーションされる。その後、それらの1つに、5ジュール/cm2のUVA光を50分間照射する。プレートをPBSで洗浄し、10%FBS添加細胞培養培地を添加して、約12時間の回復期間を取る。実験2日目に、前記細胞を中性赤に3時間晒す。余分な色素をPBSで洗浄し、形成された結晶を、エタノール:酢酸:水(50:1:49)で溶解する。540nmで吸光度の読取りを行い、そして得られた結果から、細胞の50%が生存する濃度(CI50)を各プレートについて計算する。2つの数値の間の比率が光刺激係数(PIF)であり、試料を光毒性か否かで分類する。
【0051】
PIFの計算:PIF=IC50(-U)/CI50(+UV)
【0052】
PIFが5以下であるとき、そのサンプルは光毒性である。
【0053】
UVの非照射で試験された最高濃度までCI50値を得ることが出来ないが、UV照射条件では光毒性作用が観察され、CI50が計算された場合、試験された最高濃度をUV照射条件での光毒性曲線のIC50で割ることにより、>PIFが計算される。
>PIF=Cmax(-UV)/ CI50(+UV)
【0054】
>PIFが1を超えるとき、その試料は光毒性である。
【0055】
実施例4.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料について、細胞毒性を解析した:
パッシフロラ(Passiflora)A:16.54%フラボノイド;11.02%ビテキシン-2-o-r-
パッシフロラ(Passiflora)B:11.49%フラボノイド;0.39%ビテキシン-2-o-r-
【0056】
最初に、10%DMSOを含有するPBS中30mg/mlの試料のストック溶液を調製した。細胞毒性試験の際、該ストック溶液を、5%SFBを含有するDMEMで10倍に希釈し、最高で1%DMSOを含有する3mg/mlの濃度で使用された。細胞毒性試験に使用される他の稀釈物も、5%SFBを含有するDMEMで調製された。
【0057】
本明細書中に記載の試料についての細胞毒性試験に関するデータを用いて、図4及び図5を作成した。
【0058】
試験された試料及びそれらのインビトロ細胞毒性の可能性を表2に示す。試料550は、0.2mg/ml以上でインビトロ細胞毒性を有するとみなされた。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例4.2
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料について、光毒性を解析した:
パッシフロラ(Passiflora)A:16.54%フラボノイド;11.02%ビテキシン-2-o-r-
パッシフロラ(Passiflora)B:11.49%フラボノイド;0.39%ビテキシン-2-o-r-
【0061】
最初に、10%DMSOを含有するPBS中30mg/mlの試料のストック溶液を調製した。光毒性試験の際、該ストック溶液を、PBSで10倍に希釈し、最高で1%DMSOを含有する3mg/mlの濃度で使用された。光毒性試験に使用される他の稀釈物も、PBSで調製された。該試料を、0.22μm膜で濾過した。
【0062】
本明細書中に記載の試料についての光毒性アッセイに関するデータを用いて、図6及び図7のグラフを作成した。
【0063】
試験された試料及びそれらのインビトロ細胞毒性の可能性を表3に示す。試料A及びBは、インビトロ光毒性を有しないとみなされた。
【0064】
【表4】
【0065】
実施例5- サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)における復帰突然変異試験(エイムス試験)を通じた、突然変異生成可能性の評価
エイムス試験は、his-からhis+への復帰突然変異、代謝活性化システムの有無を通じて、特定の化学物質がサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)系統のゲノムの突然変異を誘導する能力を評価することを目的とする(Maron & Ames, 1983; OECD Guidelines, 1997)。この研究において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物は、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)系統における変異原活性能力を有しないことが観察された。
【0066】
実施例5.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された。
試料C(16.46%の全フラボノイドを含有し、11.87%のビテキシン-2-O-o-rを含有する)
試料F(16.10%の全フラボノイドを含有し、9.67%のビテキシン-2-O-o-rを含有する)
材料:TA97a、TA98、TA100、TA102、及びTA1535、及びTA1537系統
試薬:アジ化ナトリウム、2-ニトロフルオレン;9-アミノアクリジン、クメンヒドロペルオキシド、2-アミノアントラセン、最少グリコシル化培地、トップアガー、S9フラクション(Molecular Toxicology Incorporated, EUA)、脱イオン水、4-ニトロキノリン-1-オキシド、マイトマイシンC。
【0067】
試験の効率
一昼夜培養して増殖させた0.1mlの最近及び0.1mlの試験試料を、予め45℃の乾燥ブロス中で調製しておいた3mlのトップアガーを含む各チューブに添加した。代謝活性化の試験において、タンパク質を39.7mg/mlの濃度で含むS9フラクション0.5ml/プレートを添加した。
【0068】
試験に先立ち、細菌が元の遺伝的特徴を有していることを確認するため、各系統の遺伝子型を評価した。選択的増殖培地により、各系統のヒスチジン及びビオチンに対する依存性が解析された。プレートへの紫外線照射に対する感受性により、uvrB欠損の存在を検出した。細菌壁の透過性を高めることにより試験物質の侵入を増大させるrfa突然変異の存在は、クリスタルバイオレットに対する感受性を通じて検出される。アンピシリンに対する耐性を試験することにより、DNA修復レベルに作用し、化学的及び自然発生的変異原性を増大させるプラスミドpKM101の存在が認められた。プラスミドpAQ1の存在の確認は、そのテトラサイクリン耐性付与に基づいて行った。各系統のプレートあたりの自然発生的な復帰突然変異の数は、Maron & Ames (1983)の文献に記載される許容割合と同程度であった。
【0069】
全てのアッセイには、陽性対照及び陰性対照を入れておいた。後で試料存在下で観察される復帰突然変異の数と比較されるべき、プレートあたりの自然発生的に観察される復帰突然変異コロニーの数を得るために、陰性対照として、試料を可溶化するために選択された溶媒(脱イオン水100μl/プレート)が使用された。陽性対照として、各系統が変異原に対して応答可能であること、及び代謝活性化システム(アジ化ナトリウム、4-ニトロキノリン-1-オキシド、9-アミドアクリジン、マイトマイシンC、2-アミノアントラセン、2-ニトロフルオレン、クメンヒドロペルオキシド)が有効であることを確認するために、既知の変異原性物質が使用された。
【0070】
確定試験における試料濃度の最も適切な範囲を決定するために、8;40;200;1000及び5000μg/プレートの濃度を用いて、TA100について予備実験を実行した。この実験において使用される濃度は、サルモネラ・チフィムリオン(Salmonella typhimurion)の増殖に毒性を示さなかった。よって、該確定試験の濃度は、0.001〜5mg/プレートの範囲で変化させた。全ての濃度において、代謝活性化の存在下及び非存在下で、3回試験を行った。陰性及び陽性対照の試験も、3回実行された。
【0071】
結果はプレートあたりの復帰突然変異コロニー数の数、及び試験プレート中の復帰突然変異コロニーの数と陰性対照プレート中の復帰突然変異コロニーの数との比率である変異原性比率(MR)により表された。各系統における自然発生的な復帰突然変異コロニーの数は、前記文献(Maron & Ames, 1983)に記載の許容される正常な比率と同程度であった。
【0072】
結果は、TA97a、TA98、TA100及びTA102において、試験プレート中に存在する復帰突然変異コロニーの平均数が、陰性対照プレート中に観察されるものの2倍以上である(MR>2)とき、陽性とみなされる。TA1535及びTA1537においては、MRが3倍以上であるべきである。
【0073】
本実験の陽性対照の変異原性比率は5〜152であったことから、本実験は適切かつ有効であることが示された。代謝活性化の存在及び非存在において試験された、試料C及びFのいずれの濃度において処理された後の各系統においても、復帰突然変異の数の顕著な増大は認められなかった。試料C及びFの変異原性比率は2未満であった。
【0074】
実施例6- インビボでの刺激性及び皮膚感受性の可能性の評価
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)は、Fischer, 1995に従い、インビボ安全性試験に付された。
試料C- (全フラボノイドを16.46%含有し、ビテキシン-2-o-rを11.87%含有する)25%及び50%水溶液として使用した。
【0075】
上記抽出物は、予備刺激(primary irritation)及び蓄積刺激検査(accumulated irritation survey)及びパッチ試験感作(patch test sensitization)に付された。予備刺激試験は、適用の48時間後にパッチ試験を除去して、その除去の30分以内及び24時間後に評価した。一方、蓄積刺激試験及び感作試験は、以前予備刺激の評価に使用されなかった領域における、毎日14日間のパッチ試験の適用、その後の14日間の休息期間の後、48時間のパッチ試験の再適用を必要とする。
【0076】
本研究は無作為化、単一盲検、調整臨床試験であった。56人のボランティアについて研究を行い、試料を適用した領域に副作用(紅斑、浮腫、丘疹又は小胞)は検出されなかった。
【0077】
実施例7- ヒト線維芽細胞におけるインビトロでの抗炎症能力の評価
この試験の目的は、培養ヒト皮膚線維芽細胞を使用した、抽出物のインビトロでのヒト線維芽細胞における抗炎症能力を評価することである。データの統計的な有意性(p<0.05)は、分散分析(One-Way ANOVA)、続いてSYSTAT10ソフトウェアを使用したTukey多重比較により検証された。
【0078】
実施例7.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された。
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
試料B(全フラボノイド11.49%を含有し、ビテキシン-2-o-r0.39%を含有する)
【0079】
ヒト皮膚由来線維芽細胞をエシェリキア・コリ(Escherichia coli)のリポ多糖類とインキュベートして、炎症性サイトカインIL-6及びIL-8(インターロイキン6及び8)の分泌を誘導した。試料の抗炎症性能力を、該炎症性マーカーの分泌の減少により同定した。
【0080】
使用された材料:最大でも10継代以内の培養条件下で維持したヒト皮膚由来線維芽細胞。96ウェルの滅菌培養プレート、96ウェルの未滅菌プレート、15ml及び50mlのコニカルチューブ。
【0081】
試薬:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、中性赤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、現像緩衝液(エタノール:酢酸:水、50:1:49)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、洗浄緩衝液(0.05%Tween-20含有PBS)、感作緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム)、ブロッキング緩衝液(ウシ血清アルブミン5%含有PBS)、細菌リポ多糖類(LPS)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ELISAによるIL-6及びIL-8投与用キット(R&D Systems(登録商標))、TMB基質現像キット((BD Pharmingen(登録商標))、並びに停止溶液(2N硫酸)。
【0082】
培養細胞の調製
96ウェルプレートに、10%SFB含有DMEM100μl中、2x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。培養培地を捨て、ウェルを200μlのPBSで洗浄した。
【0083】
LPSによる細胞への刺激
1%SFB及び適切な刺激因子を含有する100μlのDMEMを添加した。CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(1%SFB含有DMEMのみ)
-LPS 10ng/ml;
-デキサメタゾン 5μM;
-LPS 10ng/ml+デキサメタゾン 5μM;
-抽出物A 0.1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物A 0.1mg/ml
-抽出物A 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物A 1mg/ml
-抽出物B 0.1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物B 0.1mg/ml
-抽出物B 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物B 1mg/ml
【0084】
上澄の回収及び細胞生存率の解析
刺激の後、上澄を回収し、-20℃で保管し、そしてELISA(以下に記載)により解析した。刺激後の細胞生存率を維持するため、細胞を3時間中性赤とインキュベーションし、200μlのPBSで洗浄した後、200μlの現像溶液を添加して、540nmで読取りを実行した。全ての処理において、細胞生存率は、最低でも対照の生存率の80%以上であるべきである。細胞生存率データは、後でELISAにより取得されたデータを正規化するのにも使用された。
【0085】
ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
ELISA試験において、96ウェルプレートを使用した。炎症性マーカーの定量は、IL-6又はIL-8専用に作成した標準曲線を用いた比較から決定した。以下の工程に従い、培養上澄を使用した。
-PBSで希釈した捕捉抗体(1:180、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で一昼夜インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液でプレート内の自由領域をブロッキング(200μl/ウェル)し;
-1時間室温でインキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した標準及び試料希釈物(1:200)を調製し;
-それらの標準、試料、及び対照希釈物を添加し(100μl/ウェル);
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した検出抗体(各1:180、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈したストレプトアビジン-ペルオキシダーゼのコンジュゲート(1:200、100μl/ウェル)を添加し;
-暗黒中室温で20分間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-基質溶液(100μl/ウェル)を添加し;
-プレートを暗黒中室温で20分間インキュベーションし;
-停止溶液(50μl/ウェル)を添加し;
-450nmで吸光度を読み取る。
【0086】
得られた結果からIL-6及びIL-8における分泌阻害の値を導き出し、表2及び表3にまとめた。「参照」の欄は、そこに記載されている試料のデータが、他の試料の阻害パーセンテージの計算の基礎として使用されたことを示す。また、そのデータは、それぞれ図8及び9のグラフとしても表現されている。
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
解析されたデータによると、試料A及びBには、潜在的な抗炎症性活性が示され、インビトロでヒト線維芽細胞におけるIL-6及びIL-8分泌が減少した(p<0.05)。いずれの抽出物も、本モデルで使用されたデキサメタゾンと類似の作用を有する。一般に、1mg/mlの濃度で使用された抽出物は、5μMのデキサメタゾンで認められるのと同様又はそれ以上の阻害率を示した。加えて、この抗炎症作用は、炎症反応を誘導する公知の薬剤であるLPSの存在下でも観察された(p<0.05)。
【0090】
実施例7.2
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
ビテキシン-2-O-ラムノシド(rhaminoside)(FR13-23)
【0091】
ヒト皮膚由来線維芽細胞をリポ多糖類(LPS)の存在下、又はUV照射条件下でインキュベーションし、炎症性マーカーIL-6及びIL-8の分泌を誘導した。これらの炎症性マーカーの分泌の減少により、試料の抗炎症性能力を同定した。
【0092】
使用した材料:最大でも10継代以内の培養条件下で維持したヒト皮膚由来線維芽細胞。96ウェルの滅菌培養プレート、96ウェルの未滅菌プレート、15ml及び50mlのコニカルチューブ、UVBランプを搭載した放射チャンバー。
【0093】
試薬:実施例7.1で示したのと同じ試薬が使用された。
【0094】
培養細胞の調製
96ウェルプレートに、10%SFB含有DMEM100μl中、2x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。培養培地を捨て、ウェルを200μlのPBSで洗浄した。
【0095】
LPSによる細胞刺激
1%SFB及び適切な刺激因子を含有する100μlのDMEMを添加した。CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(1%SFB含有DMEMのみ)
-LPS 10ng/ml;
-LPS 10ng/ml+デキサメタゾン 5μM;
-LPS 10ng/ml+試料A 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.5mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.25mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.125mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.5mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.25mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.125mg/ml
【0096】
UVBによる細胞刺激
100μlのPBS及び適切な刺激因子を添加した。CO2オーブン中で50分間インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(PBSのみ添加した細胞に紫外線照射無し);
-UVB 0.23J/cm2(PBSのみ添加した細胞にインキュベーション後紫外線照射);
-UVB 0.23J/cm2+ヒドロコルチゾン5μm;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 1mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.5mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.25mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.125mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 1mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.5mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.25mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.125mg/ml;
【0097】
細胞への照射期間の後(対照を除く)、ウェルの上澄を捨て、1%SFB及び前記適切な刺激因子を含有するDMEM100μlに置き換えた。その後、一昼夜CO2インキュベーションした。
【0098】
上澄の回収及び細胞生存率の解析
刺激の後、上澄を回収し、-20℃で保管し、そしてELISA(以下に記載)により解析した。刺激後の細胞生存率を維持するため、細胞を3時間中性赤とインキュベーションし、200μlのPBSで洗浄した後、200μlの現像溶液を添加して、540nmで読取りを実行した。全ての処理において、細胞生存率は、最低でも対照の生存率の80%以上であるべきである。細胞生存率データは、後でELISAにより取得されたデータを正規化するのにも使用された。
【0099】
ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
ELISA試験において、96ウェルプレートを使用した。炎症性マーカーの定量は、IL-6又はIL-8専用に作成した標準曲線を用いた比較から決定した。以下の工程に従い、培養上澄を使用した。
-感作緩衝液で希釈した捕捉抗体(1:250、100μl/ウェル)を添加し;
-4℃で一昼夜インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液でプレート内の自由領域をブロッキング(200μl/ウェル)し;
-1時間室温でインキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した標準及び試料希釈物(1:200)を調製し;
-それらの標準、試料、及び対照希釈物を添加し(100μl/ウェル);
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した検出抗体とストレプトアビジン-ペルオキシダーゼとのコンジュゲート(各1:250、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で1時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で7回洗浄(200μl/ウェル)し;
-基質溶液(100μl/ウェル)を添加し;
-プレートを暗黒中室温で30分間インキュベーションし;
-停止溶液(50μl/ウェル)を添加し;
-450nmで吸光度を読み取る。
【0100】
得られた結果からIL-6及びIL-8における分泌阻害の値を導き出し、表4及び表5にまとめ、図10及び11でLPSによる刺激のグラフを描画し、図12及び13でUVBによる刺激のグラフを描画した。「参照」の欄は、そこに記載されている試料のデータが、他の試料の阻害パーセンテージの計算の基礎として使用されたことを示す。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
解析されたデータによると、試料A及びFr13-23には、潜在的な抗炎症性活性が示され、インビトロでヒト線維芽細胞におけるIL-6及びIL-8分泌が減少した(p<0.05)。
【0104】
試料Aは、前記2つのモデル(LPSによる刺激及びUVBによる刺激)における試験した全ての濃度において、抗炎症性活性を示した(p<0.05)。
【0105】
試料Fr13-23は、0.125mg/mlの濃度において、ヒト線維芽細胞に対して細胞毒性ではなかった。恐らく、これは、この試料のビテキシン-2-O-ラミノシドの濃度が高いことによる。この濃度では、前記2つのモデル(LPSによる刺激及びUVBによる刺激)において、該試料は顕著な抗炎症性活性を示した。
【0106】
実施例8- インビトロでの接着分子ICAM-1の発現の評価
炎症プロセスの過程で、マクロファージによるTNF-αの放出及び線維芽細胞が、白血球と内皮細胞との間のシグナリングに重要な役割を果たすことが知られている。病変に対する細胞の応答は、後毛細血管細静脈への白血球の接着、続いて血管外部への接着性細胞の移動、血管外部位への転移、その後の病変部への蓄積を含み、そのメカニズムは、白血球と内皮細胞との間の複雑な相互作用及びシグナリングの連続として記述される。ICAM-1、V-CAM及びE-セレクチン等の接着分子の発現の増大は、安定な白血球-内皮細胞接着の前提条件であり、かつ本質的に白血球溢出に先行する(Quinlan et al., 1999; Fuchs et al., 2001)。従って、それらの評価は、新規分子の炎症性又は抗炎症性評価のインビトロ実験モデルとして使用され得る。
【0107】
実施例8.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
【0108】
ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)をTNF-αとインキュベーションして、抗炎症性プロセスの細胞浸潤に寄与するICAM-1発現を誘導した。この分子の発現減少により、試料の抗炎症性能力を同定した。
【0109】
材料:6継代以内のヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)
【0110】
試薬:培養培地M199;ウシ胎児血清;トリプシン(Gibco)。ヒトTNF-α(Peprotech Mexico, S.A.)、ヒト抗ICAM-1抗体(BD Biosciences Pharmingen);リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ血清アルブミン。
【0111】
培養細胞の調製
24ウェルプレートに、10%SFB含有M199中、5x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。この期間の後、細胞を濃度の異なる試料Aと12時間インキュベーションした。それから、細胞を10ng/mlのTNF-αに6時間晒してICAM-1発現を刺激した。6時間というのは、Perfetto et al. (2003)及びJiang et al. (2004)の記載によると、培養条件下で維持される内皮細胞の分子発現のピークを表す。加えて、TNF-αの10ng/mlという濃度は、細胞の生存に干渉することなく接着分子の発現を誘導することが出来る濃度として決定された(Piela-Smith et al., 1992)。
【0112】
TNF-αとのインキュベーションの後、トリプシンを用いてプレートから細胞を解離し、トリプシンを除去するためにSFB含有培養培地中で洗浄し、300gで8分間遠心分離し、そして1%パラホルムアルデヒド1mlで15分間再懸濁して固定した。それから、パラホルムアルデヒドを除去するために細胞を再び遠心分離し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS100μlで再懸濁し、5μlの抗ICAM抗体(FITC)を加えて、4℃遮光下で1時間インキュベーションした。その後、細胞を8分間300gで遠心分離し、PBSで再懸濁し、これを、Cell QuestPro(登録商標)ソフトウェアを使用するコンピューターに接続したフローサイトメーターFACS CALIBUR (BD)の読取り試料とした。10,000イベントを取得した。抗体の陰性対照として、同形抗体(isotypical antibody)のマーキングを使用した。前記サイトメーターにより取得したデータを、前記ソフトウェアを利用して解析し、抗体によりマーキングされた細胞のパーセンテージとして表現される数値は、表面にICAM-1を発現する細胞のパーセンテージを表し、また、各試料の蛍光強度は、TNF-α及び異なる濃度の試料による処理残後の接着分子の発現を定量的に示す。
【0113】
上記処理により取得した結果を、図14及び15のグラフに表現する。
【0114】
試料濃度をより高く(316μg/ml)しただけで細胞を培養すると、培養培地のみで維持した細胞と比較してICAM-1接着分子の発現の増大を示したが、この増大は、有意な差を示すものではなかった(p>0.05)。TNF-αとのインキュベーションは、これらの接着分子の発現の顕著な増大を引き起こした(p<0.001)。試料濃度をより低く(100μg/ml)して細胞をインキュベーションすることにより、HUVECのICAM-1接着分子の発現におけるTNF-αの効果を部分的に(しかし顕著に、P<0.001)阻害することが可能である。
【0115】
実施例9- インビボ皮膚刺激の防止及び治療作用の評価
この研究は、鼻唇溝領域になされる化学傷害の適用により引き起こされる皮膚刺激の予防的及び治療的処置において、主観評価用のペインスケールを使用して、異なる濃度で化粧品製剤中に含有されるパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を評価することを目的とする。化学障害による刺激は、一時的であるが、疼痛及び刺激のシグナルカスケード(紅斑、発赤)を開始させる微小炎症性プロセスにより特徴付けられることが知られている。
【0116】
実施例9.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料C(全フラボノイド16.46%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.87%を含有する)
【0117】
この抽出物は、0.25%、0.4%、0.75%、及び1%の濃度で、化粧品組成物中に含有される。該抽出物を含有する組成物を、互いに、並びに偽薬(有効成分の入っていない化粧品組成物)及び陽性対照(コルチゾンの皮膚科学的使用)と比較した。使用した製剤を、表6に記載する。
【0118】
【表9】
【0119】
鼻唇溝領域の穿刺試験(sting test)が陽性であった20〜50歳(平均35歳)のボランティアの鼻唇溝領域の左右に、1.0x2.0cmの2つの長方形(サイトと称する)を、外科ペンでマーキングした。この研究は、Guidelines and Standards regulating Research involving Human Beingsの下で、Resolution 196/96 of the National Health Councilの決定に従い、計画及び指揮された。この研究のプロトコルは、第372/2006号意見書の下で、Medical Sciences College of the State University of CampinasのCommittee on Research Ethicsにより、2006年7月25日に認可された。データの統計的な有意性(p<0.05)は、分散分析(One-Way ANOVA)、続いてTukey多重比較により検証された。
【0120】
薬用スポイトを使用して、10%乳酸溶液を1滴、各サイトに適用した。乳酸適用直後の刺激を評価した。それから、前記生産物を無作為に適用した。適用の5分及び10分後、形成された刺激を評価した。このプロトコルは、治療作用の評価を目的としている。
【0121】
予防作用において、1日2回3日連続で適用した。4日目に、前記生産物を適用してその30分後、10%乳酸溶液を1滴、各サイトに使用して、化学傷害を行った。乳酸適用直後、5分後及び10分後の刺激を評価した。
【0122】
数的定量スケールを使用して、0(疼痛及び刺激が無い)〜10(疼痛及び刺激が強い)のスケール内で、痛みの強さ及び重大度の作用における刺激を評価した。
【0123】
本著値の治療作用及び予防作用の結果を、それぞれ図16及び17にグラフとして示している。
【0124】
治療作用において、試料Cを含有する化粧品製剤は全て、局所使用の市販のコルチコイドと同程度の性能を示した(p>0.05)。偽薬製剤の治療作用は、前記コルチコイド及び試験抽出物を含有する全ての製剤より低かった(p<0.05)。このデータは、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を試験されたいずれの濃度で含有する化粧品組成物も、不快感(疼痛、刺激及びかゆみ)を減少させるのに有効であることを示す。それらの作用は、コルチコイド局所使用によりもたらされるものと顕著な違いは無く、偽薬製剤の結果を上回る。従って、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に存在する有効成分は、これらの化粧品製剤において観察される、刺激及び疼痛の減少に関する性能に寄与している。
【0125】
予防作用において、試料Cを含有する全ての製剤は、疼痛及び刺激の強度の減少を示した。これらの作用は、本研究において利用された局所使用のコルチコイドにより観察されるものと、本質的に同程度であった。偽薬製剤の作用はコルチコイドと顕著に相異(p<0.05)することから、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を含有する化粧品製剤が疼痛及び刺激を防止する効率は、含有している試料Cの存在によることが確認される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を、化粧品組成物及び医薬組成物中の抗炎症活性薬剤及び鎮痛活性薬剤として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
パッシフロラ(Passiflora)属の植物種(トケイソウ科)は、熱帯地方原産で、フラボノイドに富む。これらの植物は、薬理特性、とりわけ精神安定作用及び降圧作用等を有することから、民間療法において知られている。パッシフロラ(Passiflora)属の幾つかの植物種は、抗炎症作用を有する薬用植物としても知られている。パッシフロラ(Passiflora)抽出物の調製、並びにその化粧品組成物及び医薬組成物における使用に関する幾つかの先行技術文献を、以下に示す。
【0003】
文献WO2005/097153は、パッションフルーツ(パッシフロラ(Passiflora))抽出物を調製する、及びそれらの抽出物を哺乳類における肝臓保護剤、抗酸化剤及び抗炎症剤として使用する特定の方法を開示する。しかしながら、この文献は、パッシフロラ(Passiflora)の特定の種に、又はそれらの種において改善されている特徴に言及していない。
【0004】
文献EP1537789は、カロテノイド、トコフェロール及び抗炎症活性を有するトケイソウ抽出物を含む、局所適用用組成物を開示する。
【0005】
文献JP200200336は、シンビジウム抽出物、及びパッシフロラ(Passiflora)等のメラニン生産を阻害する植物抽出物を含有し、抗炎症活性を有する化粧品製品を開示する。
【0006】
文献JP2000159657は、メラニン生産抑制活性及び美白作用を有するPassiflira属の植物抽出物を含有する、皮膚への外部適用及び局所適用用調製物を開示する。
【0007】
文献JP2001122731は、水和活性の延長及び顕著な抗炎症疾患作用を有する、パッシフロラ・アンチオキエンシス(Passiflora antioquiensis)及びパッシフロラ・モリッシマ(Passiflora mollissima)の抽出物を含有する化粧品組成物を開示する。
【0008】
一方、文献JP2002332224は、加齢現象に対する活性を有するパッシフロラ・インカルナタL(Passiflora incarnata L)の抽出物、及び水和成分又は細胞活性化成分を含有する、皮膚の加齢に対抗する化粧品組成物を開示する。
【0009】
また、文献JP7233044は、細胞活性化作用を有するしわ防止用化粧品製品を開示し、ここで、該文献に係る組成物は、パッシフロラ(Passiflora)、ピネリアエ・チューベル(Pinelliae Tuber)及びモリ・フルクツス(Mori Fructus)を含む幾つかの植物から選択される抽出物の混合物を含有する。
【0010】
文献WO/ 2005/077328は、植物抽出物を基礎成分とする、抗しわ化粧品製品に関する。該文献に開示される製品は、持続性の保湿作用及び弾力性改善の達成を目的とする、パッシフロラ(Passiflora)抽出物、並びにケシ、ハッカ及びギンバイカの抽出物を含有する油中水系である。
【0011】
文献JP2001226219は、希釈した植物抽出物を含有する化粧品組成物を開示し、ここで、該植物抽出物が、パッシフロラ・カエルレアL(Passiflora caerulea L)及びパッシフロラ・エドゥリス・シムス(Passiflora edulis Sims)から選択され、一方、文献JP7118139は、パッシフロラ亜種(Passiflora SSP)等の植物抽出物を含有する、皮膚の美化作用を促進する化粧品製品を開示する。
【0012】
文献JP2004155664は、内服使用用の肌質改善機能剤に関し、肌の機能は、とりわけパッシフロラ(Passiflora)属由来の植物粉を使用することにより改善される。文献WO 2005/053435は、カロテン及びトコフェロールと共に、パッシフロラ・インカルナタ(Passiflora incarnata)を含有する、経口及び/又は局所投与用の調製物を開示する。
【0013】
本発明者らは、本出願において、パッシフロラ(Passiflora)属の植物から調製される抽出物が、抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用を有することを実証し、更に、フラボノイドに富み、該抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用をもたらし、局所及び/又は内服(経口)使用に指向される抽出物を取得するための抽出プロセスを開発した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、化粧品組成物又は医薬組成物中の抗炎症剤としての、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物の使用に関する。
【0015】
また、本発明は:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を充填したクロマトグラフィーカラム中の含水アルコール溶液を用いた少なくとも1つの溶出工程に付し;
c)(b)において取得された抽出物を濃縮及び噴霧乾燥する
工程を含む、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を取得するプロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フラボノイド、特にビテキシン-2"-O-ラムノシド(CAS 64820-99-1)に富むパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉から緩衝抽出物を取得する抽出プロセスの簡単な説明を記載する。
【図2】本発明に従い取得されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の抽出物のHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により得られたクロマトグラフィープロフィールを表す。
【図3】固定相としてシリカを使用する、調製クロマトグラフィーにより分画されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の水性抽出物のフラクションの、HPLCにより得られたクロマトグラフィープロフィールを表す。このフラクション(FR13-23)は、主要な成分として、グリコシル化フラボンのビテキシン-2-O-ラミノシドを有する。このフラクションが、この化合物のインビトロ生物活性を証明するのに用いられ、該生物活性は、元の水性抽出物においても認められた。
【図4】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図5】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図6】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図7】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図8】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図9】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図10】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図11】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図12】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図13】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【図14】本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の安全性及び有効性に関するデータを記載したグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明者らは、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、抗炎症性の改善作用及び鎮痛作用を有し、化粧品組成物、特に抗しわ組成物又は抗加齢組成物として有用であり、同時に医薬組成物、特に局所又は経口投与用の医薬組成物としても有用であることを見出した。
【0018】
本発明の一つの態様において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物は、:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)において取得された水性抽出物を濾過し;
c)(b)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を用いた精製プロセスに付し;
d)酸性化含水アルコール混合物で該抽出物を溶出し;
e)(d)において取得された産物を濃縮し;
f)(e)において取得された産物を高温エタノールに再懸濁し、その後冷却し;
g)(f)において取得された産物を濾過し;
h)(g)において取得された産物を濃縮し;
i)(h)において取得された産物を、固形担体を利用して乾燥する
工程を含むプロセスにより取得される。
【0019】
本発明のもう一つの側面において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の抽出物は:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、熱水20部に対して植物1部の割合で、60℃〜80℃、好ましくは80℃の熱水を用いた2時間の抽出に付し;
b)(a)において取得された抽出物を濾過し;
c)(b)において取得された水性抽出物を、特定の樹脂を用いた精製プロセスに付し、ここで該樹脂がポリビニルピロリドン又はポリスチレンポリマー、好ましくはポリスチレンで構成され;
d)酸性化含水アルコール混合物、好ましくは酢酸でpH5.0に酸性化した水中30%エタノールで、上記取得された抽出物を溶出し;
e)(d)において取得された産物を、全固形材料の30%まで濃縮し;
f)(e)において取得された産物を60℃の高温エタノール96QGLに再懸濁し、その後2℃まで冷却し;
g)(f)において取得された産物を濾過し;
h)(g)において取得された産物を、全固形材料の20%まで濃縮し;
i)(h)において取得された産物を、流入空気180℃及び流出空気85℃の噴霧乾燥機を使用して、1〜8%、好ましくは8%の濃度の「E1450」担体(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)を利用して乾燥する
工程を含むプロセスにより取得される。
【0020】
前記プロセスを経て得られた乾燥抽出物は、C-グリコシル化フラボノイド、主にオリエンチン、ホモオリエンチン、ビテキシン、イソビテンチン及びビテンチン-2"-O-ラムノシド;並びにフラボン、主にルテオリンを含有する。それぞれの構造式を以下に示す。
【化1】
【0021】
本発明に従い取得されたパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に多量に存在するフラボノイドはビテキシン-2"-O-ラムノシド(CAS 64820-99-1)であり、このフラボノイドが、植物治療剤としてより一般的に使用される他のパッシフロラ(Passiflora)種と比較してパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)にのみ見出され、また、他のパッシフロラ(Passiflora)種を用いた植物薬物の混入を回避するための化学マーカーとしても推奨されることが見出された(PEREIRA, 2004)。
【0022】
本発明により取得された全フラボノイドの含有量は、Portuguese Pharmacopoeia, 2000により決定されるビテキシン等の全フラボノイドの用量法(dosing methodology)によれば、約11.40%〜約16.55%の範囲内である。
【0023】
本発明により取得されたビテキシン-2"-O-ラムノシドの含有量は、HPLCによる該物質の用量法によれば、約9.70%〜約11.90%である。この解析の条件は以下のとおりである:
-Waters製造のPDA 2996と連携した高性能液体クロマトグラフィー
-X-TerraカラムRP18 5um、4.6x150mm
-移動相:0.2%V/Vのアセトニトリル及び蟻酸で構成される勾配系
-流速:0.6mL/分
-温度:25℃
-注入体積:20μL
-波長:340.7nm
【0024】
更に、本発明は、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を活性抗炎症剤として含有する化粧品組成物及び医薬組成物に関する。本発明に係る組成物において、使用するパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の量は、想定される最終的な対象に依存するが、好ましくは、組成物総重量の0.25〜1.00重量%である。本発明の組成物は、これらの種類の組成物に伝統的に使用される成分、とりわけキレート剤、酸化防止剤、増粘剤、pH調整剤、保存料、湿潤剤、品質改良剤、他の皮膚軟化剤、フィルム形成剤、油脂吸収剤(oleosity adsorbing agent)等の他の成分を含有し得る。
【0025】
本発明は、以下の実施例により例証され得る。
【実施例】
【0026】
実施例1- パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得
50gのパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉を1,000Lの蒸留水に加え、この混合物を3時間80℃で加熱した。それからこの混合物をポリスチレンカラムに通して、酢酸でpH5.0に酸性化した30%エタノール溶液で溶出した。得られた抽出物を、濾過及び乾燥した。
【0027】
実施例2- PVPPとの接触により精製したパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の乾燥した葉100gを、80℃で2時間、1:10(w/v)の比率の蒸留水中で、抽出に供した。Buchner濾過を経て50mlのアリコートが4つ取得され、それらを8℃でPVPP(Divergan F BASF)2.5gと混合した。
【0028】
90分間攪拌の後、それらの試料をBuchner中で溶出し、得られた混合物中に含有されるフラボノイドを抜き取るため、PVPPを以下の溶出剤で処理された。
a)50ml H2O+NH4OH 1%、60℃、30分
b)50ml H2O+HC1 1%、60℃、30分
c)50ml EtOH+NH4OH 1%、60℃、30分
d)50ml EtOH+Hcl 1%、60℃、30分
【0029】
アリコートを8.33倍に希釈して、それから以下の解析条件でHPLCによる解析を行った:
移動相(A):0.2%蟻酸水溶液
移動相(B):ACN
検出:337nm(フラボノイド用)
流速:0.8mL/分
【0030】
標準:メタノール中に溶解:オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、ルテオリン、アピゲニン。濃度は105ppmとした。
カラム:Phjenomenex Synergil 4 μm Fusion RP-80 150 x 4.6 mm Gradient:
勾配
【0031】
【表1】
【0032】
ビテキシンは主要なフラボノイドであるため、ビテキシン領域の値は、比較目的で考慮された。
【0033】
図1は幾つかの試料において取得した結果を比較したグラフであり、図2はこの解析で実行した幾つかの試験のクロマトグラムを列挙している。ここで、PVPが、低温でグリコシル化フラボノイドを吸収できることに留意した。
【0034】
実施例3- 異なるパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の取得及び同定
異なる種類のパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に存在するフラボノイドを、2つの異なる方法を通じで取得した。
【0035】
a)経路1
100gの乾燥パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の葉を、1000mlの脱イオン水に懸濁した。それから、3つの異なる温度:60℃、70℃、及び80℃で、一定の攪拌をして、反応バルーン(reaction balloon)中で2時間、フラボノイドを抽出した。
【0036】
前記抽出物をBuchner漏斗で吸引濾過して残余物の葉を取り除き、(異なる抽出温度それぞれにおいて)濾過した抽出物の体積を改めて1000mlに調整した。この体積から500mlの抽出物を取り出して、5℃の低温容器中に一昼夜置いた。24時間後、抽出物を5℃かつ4100rpmで21分間遠心分離し、2つのフラクション:沈殿物及び上澄を得た。沈殿物をエタノールに懸濁し、通常の紙フィルターで濾過し、そしてエタノールの体積を80mlに調整した。
【0037】
b)経路2
上記経路(1)で分けた他方の500mlの抽出物を、室温で予め冷ました後、エタノール中で2回沈殿させた。それから、その抽出物を20℃かつ4100rpmで21分間遠心分離し、2つのフラクション:沈殿物及び上澄を得た。沈殿物をエタノールに懸濁し、通常の紙フィルターで濾過し、そしてエタノールの体積を80mlに調整した。
【0038】
フラボノイド濃縮物の投与
ルート1及び2で得られた抽出物中に含有されるフラボノイドの濃度を、Rolim et al, 2005に従い、そしてルチンフラボノイドを標準として決定した。フラボノイド濃度は図3に記載されており、μg/mlで表現されている。
【0039】
図3は、(左側から右側にかけて)60℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-60)、70℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-70)、80℃エタノール中で懸濁した経路1の沈殿物(R1-80)、60℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-60)、70℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-70)、そして80℃エタノール中で懸濁した経路2の沈殿物(R2-80)を示す。これらの抽出物の正確な濃度を追跡するため、図3の結果を以下の表にも記載した:
表1- パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の異なる抽出物の吸光度及び各フラボノイド濃度
【0040】
【表2】
【0041】
図3に表されているデータを通じて、前記手順中で適用される3つの温度(60℃、70℃、及び80℃)で、経路1及び2を通じて取得される、全てのエタノール懸濁沈殿物のフラボノイド濃度プロフィールを追跡することが出来る。また、抽出温度は80℃がより効果的であったと結論付けられる。
【0042】
経路1(水性)と経路2(エタノール沈殿の使用)とを比較すると、経路1がより有効であると結論付けられ、これは、該プロセスが、水中で抽出が行われ、その後エタノールに懸濁されるのが最適であることを示す。80℃の経路1で得られた懸濁沈殿物は、40μg/mlを超える濃度を達成した。
【0043】
実施例4- インビトロでの細胞毒性及び光毒性の評価
この実験の目的は、国際的に有効なNational Institute of Health (NIH) EUAにより確立された方法を使用して、本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の試料の細胞毒性及び光毒性を決定することであった。
【0044】
定義:
細胞毒性:前記アッセイは、3T3を有効成分と共に24時間インキュベーションすることにより、該有効成分の細胞毒性濃度を判定することが可能である。毒性は、細胞の生存率に基づいて判定され、該細胞生存率は、前記有効成分に24時間接触させた後の3T3細胞と、生存細胞に取り込まれる生体色素の中性赤とのインキュベーションをモニタリングすることにより判定される(Guidance Document on Using In Vitro Data to Estimate In
Vivo Starting Doses for Acute Toxicity. NIH Publication 01-4500 (2001))。
【0045】
光毒性:本実験の基礎は、非細胞毒性量のUVA放射の存在下又は非存在下で、有効成分の毒性を比較することである。光毒性は、既にNIHにより確立及び標準化("ZEBET/ECVAM/COLIPA Standard Operating Procedure. In Vitro 3T3 Phototoicity Test. 26 Ap, 1998")されているBorenfreund & Puerner (1985)プロトコルに従い、有効成分と共にインキュベーションして生存した細胞による中性赤の汲み上げにより測定される。光毒性/光刺激性は、第一に皮膚を特定の製品/有効成分に晒し、続いて日光に晒した後に引き起こされる毒性応答、又は有効成分/製品の全身投与後に皮膚に照射することにより引き起こされる毒性応答と定義される("Spielmann H, Liebsch M, Doring B, Moldenhauer F. First results of an EC/COLIPA validation project of in vitro phototoxicity testing methods. ALTEX. 1994;11 (1):22-31 ")。
【0046】
材料:3T3細胞(Balb/Cマウス皮膚の線維芽細胞株)。
【0047】
試薬:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、中性赤(SIGMA-ALDRICH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、酢酸、及びPBS(リン酸緩衝生理食塩水)。
【0048】
方法:
溶解度解析及び実験濃度の決定:NIHにより国際的に標準化されたアッセイに従い、試料の溶解度を評価する。DMEM(細胞毒性アッセイにおいて)又はPBS(光毒性アッセイにおいて)等の水性溶液中の試料の安定性を改善するために、最高で1%のDMSO又はエタノールを使用し得る。細胞毒性及び光毒性試験において使用される濃度は、試料の溶解度試験の結果に従って変化する。試験される最高濃度は、3mg/mlを超えるべきではない。
【0049】
細胞毒性:3T3細胞を1x104細胞/ウェルの濃度で滅菌96ウェルプレートに播種する。24時間後、それらの細胞に、5%SFBを加えた細胞培養培地で希釈した試料を添加して、24時間インキュベーションした。その後、それらに中性赤を添加して3時間置く。余分な色素をPBSで洗浄し、形成された結晶を、エタノール:酢酸:水(50:1:49)で溶解する。540nmで吸光度の読取りを行い、そして得られた結果から、細胞の50%が生存する濃度(CI50)を計算する。故に、CI50の値が高い程、その試料の細胞毒性能力は低く、その逆も成り立つ。
【0050】
光毒性:3T3細胞を1x104細胞/ウェルの濃度で滅菌96ウェルプレートに播種する。同一のプレートが2つ用意されるが、それらの1つには後にUVAが照射され、もう1つは、対照として、暗黒状態が維持される。播種の24時間後、それらの細胞にPBSで希釈した試料を添加して、暗黒状態で1時間インキュベーションされる。その後、それらの1つに、5ジュール/cm2のUVA光を50分間照射する。プレートをPBSで洗浄し、10%FBS添加細胞培養培地を添加して、約12時間の回復期間を取る。実験2日目に、前記細胞を中性赤に3時間晒す。余分な色素をPBSで洗浄し、形成された結晶を、エタノール:酢酸:水(50:1:49)で溶解する。540nmで吸光度の読取りを行い、そして得られた結果から、細胞の50%が生存する濃度(CI50)を各プレートについて計算する。2つの数値の間の比率が光刺激係数(PIF)であり、試料を光毒性か否かで分類する。
【0051】
PIFの計算:PIF=IC50(-U)/CI50(+UV)
【0052】
PIFが5以下であるとき、そのサンプルは光毒性である。
【0053】
UVの非照射で試験された最高濃度までCI50値を得ることが出来ないが、UV照射条件では光毒性作用が観察され、CI50が計算された場合、試験された最高濃度をUV照射条件での光毒性曲線のIC50で割ることにより、>PIFが計算される。
>PIF=Cmax(-UV)/ CI50(+UV)
【0054】
>PIFが1を超えるとき、その試料は光毒性である。
【0055】
実施例4.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料について、細胞毒性を解析した:
パッシフロラ(Passiflora)A:16.54%フラボノイド;11.02%ビテキシン-2-o-r-
パッシフロラ(Passiflora)B:11.49%フラボノイド;0.39%ビテキシン-2-o-r-
【0056】
最初に、10%DMSOを含有するPBS中30mg/mlの試料のストック溶液を調製した。細胞毒性試験の際、該ストック溶液を、5%SFBを含有するDMEMで10倍に希釈し、最高で1%DMSOを含有する3mg/mlの濃度で使用された。細胞毒性試験に使用される他の稀釈物も、5%SFBを含有するDMEMで調製された。
【0057】
本明細書中に記載の試料についての細胞毒性試験に関するデータを用いて、図4及び図5を作成した。
【0058】
試験された試料及びそれらのインビトロ細胞毒性の可能性を表2に示す。試料550は、0.2mg/ml以上でインビトロ細胞毒性を有するとみなされた。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例4.2
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料について、光毒性を解析した:
パッシフロラ(Passiflora)A:16.54%フラボノイド;11.02%ビテキシン-2-o-r-
パッシフロラ(Passiflora)B:11.49%フラボノイド;0.39%ビテキシン-2-o-r-
【0061】
最初に、10%DMSOを含有するPBS中30mg/mlの試料のストック溶液を調製した。光毒性試験の際、該ストック溶液を、PBSで10倍に希釈し、最高で1%DMSOを含有する3mg/mlの濃度で使用された。光毒性試験に使用される他の稀釈物も、PBSで調製された。該試料を、0.22μm膜で濾過した。
【0062】
本明細書中に記載の試料についての光毒性アッセイに関するデータを用いて、図6及び図7のグラフを作成した。
【0063】
試験された試料及びそれらのインビトロ細胞毒性の可能性を表3に示す。試料A及びBは、インビトロ光毒性を有しないとみなされた。
【0064】
【表4】
【0065】
実施例5- サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)における復帰突然変異試験(エイムス試験)を通じた、突然変異生成可能性の評価
エイムス試験は、his-からhis+への復帰突然変異、代謝活性化システムの有無を通じて、特定の化学物質がサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)系統のゲノムの突然変異を誘導する能力を評価することを目的とする(Maron & Ames, 1983; OECD Guidelines, 1997)。この研究において、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物は、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)系統における変異原活性能力を有しないことが観察された。
【0066】
実施例5.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された。
試料C(16.46%の全フラボノイドを含有し、11.87%のビテキシン-2-O-o-rを含有する)
試料F(16.10%の全フラボノイドを含有し、9.67%のビテキシン-2-O-o-rを含有する)
材料:TA97a、TA98、TA100、TA102、及びTA1535、及びTA1537系統
試薬:アジ化ナトリウム、2-ニトロフルオレン;9-アミノアクリジン、クメンヒドロペルオキシド、2-アミノアントラセン、最少グリコシル化培地、トップアガー、S9フラクション(Molecular Toxicology Incorporated, EUA)、脱イオン水、4-ニトロキノリン-1-オキシド、マイトマイシンC。
【0067】
試験の効率
一昼夜培養して増殖させた0.1mlの最近及び0.1mlの試験試料を、予め45℃の乾燥ブロス中で調製しておいた3mlのトップアガーを含む各チューブに添加した。代謝活性化の試験において、タンパク質を39.7mg/mlの濃度で含むS9フラクション0.5ml/プレートを添加した。
【0068】
試験に先立ち、細菌が元の遺伝的特徴を有していることを確認するため、各系統の遺伝子型を評価した。選択的増殖培地により、各系統のヒスチジン及びビオチンに対する依存性が解析された。プレートへの紫外線照射に対する感受性により、uvrB欠損の存在を検出した。細菌壁の透過性を高めることにより試験物質の侵入を増大させるrfa突然変異の存在は、クリスタルバイオレットに対する感受性を通じて検出される。アンピシリンに対する耐性を試験することにより、DNA修復レベルに作用し、化学的及び自然発生的変異原性を増大させるプラスミドpKM101の存在が認められた。プラスミドpAQ1の存在の確認は、そのテトラサイクリン耐性付与に基づいて行った。各系統のプレートあたりの自然発生的な復帰突然変異の数は、Maron & Ames (1983)の文献に記載される許容割合と同程度であった。
【0069】
全てのアッセイには、陽性対照及び陰性対照を入れておいた。後で試料存在下で観察される復帰突然変異の数と比較されるべき、プレートあたりの自然発生的に観察される復帰突然変異コロニーの数を得るために、陰性対照として、試料を可溶化するために選択された溶媒(脱イオン水100μl/プレート)が使用された。陽性対照として、各系統が変異原に対して応答可能であること、及び代謝活性化システム(アジ化ナトリウム、4-ニトロキノリン-1-オキシド、9-アミドアクリジン、マイトマイシンC、2-アミノアントラセン、2-ニトロフルオレン、クメンヒドロペルオキシド)が有効であることを確認するために、既知の変異原性物質が使用された。
【0070】
確定試験における試料濃度の最も適切な範囲を決定するために、8;40;200;1000及び5000μg/プレートの濃度を用いて、TA100について予備実験を実行した。この実験において使用される濃度は、サルモネラ・チフィムリオン(Salmonella typhimurion)の増殖に毒性を示さなかった。よって、該確定試験の濃度は、0.001〜5mg/プレートの範囲で変化させた。全ての濃度において、代謝活性化の存在下及び非存在下で、3回試験を行った。陰性及び陽性対照の試験も、3回実行された。
【0071】
結果はプレートあたりの復帰突然変異コロニー数の数、及び試験プレート中の復帰突然変異コロニーの数と陰性対照プレート中の復帰突然変異コロニーの数との比率である変異原性比率(MR)により表された。各系統における自然発生的な復帰突然変異コロニーの数は、前記文献(Maron & Ames, 1983)に記載の許容される正常な比率と同程度であった。
【0072】
結果は、TA97a、TA98、TA100及びTA102において、試験プレート中に存在する復帰突然変異コロニーの平均数が、陰性対照プレート中に観察されるものの2倍以上である(MR>2)とき、陽性とみなされる。TA1535及びTA1537においては、MRが3倍以上であるべきである。
【0073】
本実験の陽性対照の変異原性比率は5〜152であったことから、本実験は適切かつ有効であることが示された。代謝活性化の存在及び非存在において試験された、試料C及びFのいずれの濃度において処理された後の各系統においても、復帰突然変異の数の顕著な増大は認められなかった。試料C及びFの変異原性比率は2未満であった。
【0074】
実施例6- インビボでの刺激性及び皮膚感受性の可能性の評価
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)は、Fischer, 1995に従い、インビボ安全性試験に付された。
試料C- (全フラボノイドを16.46%含有し、ビテキシン-2-o-rを11.87%含有する)25%及び50%水溶液として使用した。
【0075】
上記抽出物は、予備刺激(primary irritation)及び蓄積刺激検査(accumulated irritation survey)及びパッチ試験感作(patch test sensitization)に付された。予備刺激試験は、適用の48時間後にパッチ試験を除去して、その除去の30分以内及び24時間後に評価した。一方、蓄積刺激試験及び感作試験は、以前予備刺激の評価に使用されなかった領域における、毎日14日間のパッチ試験の適用、その後の14日間の休息期間の後、48時間のパッチ試験の再適用を必要とする。
【0076】
本研究は無作為化、単一盲検、調整臨床試験であった。56人のボランティアについて研究を行い、試料を適用した領域に副作用(紅斑、浮腫、丘疹又は小胞)は検出されなかった。
【0077】
実施例7- ヒト線維芽細胞におけるインビトロでの抗炎症能力の評価
この試験の目的は、培養ヒト皮膚線維芽細胞を使用した、抽出物のインビトロでのヒト線維芽細胞における抗炎症能力を評価することである。データの統計的な有意性(p<0.05)は、分散分析(One-Way ANOVA)、続いてSYSTAT10ソフトウェアを使用したTukey多重比較により検証された。
【0078】
実施例7.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された。
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
試料B(全フラボノイド11.49%を含有し、ビテキシン-2-o-r0.39%を含有する)
【0079】
ヒト皮膚由来線維芽細胞をエシェリキア・コリ(Escherichia coli)のリポ多糖類とインキュベートして、炎症性サイトカインIL-6及びIL-8(インターロイキン6及び8)の分泌を誘導した。試料の抗炎症性能力を、該炎症性マーカーの分泌の減少により同定した。
【0080】
使用された材料:最大でも10継代以内の培養条件下で維持したヒト皮膚由来線維芽細胞。96ウェルの滅菌培養プレート、96ウェルの未滅菌プレート、15ml及び50mlのコニカルチューブ。
【0081】
試薬:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、中性赤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、現像緩衝液(エタノール:酢酸:水、50:1:49)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、洗浄緩衝液(0.05%Tween-20含有PBS)、感作緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム)、ブロッキング緩衝液(ウシ血清アルブミン5%含有PBS)、細菌リポ多糖類(LPS)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ELISAによるIL-6及びIL-8投与用キット(R&D Systems(登録商標))、TMB基質現像キット((BD Pharmingen(登録商標))、並びに停止溶液(2N硫酸)。
【0082】
培養細胞の調製
96ウェルプレートに、10%SFB含有DMEM100μl中、2x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。培養培地を捨て、ウェルを200μlのPBSで洗浄した。
【0083】
LPSによる細胞への刺激
1%SFB及び適切な刺激因子を含有する100μlのDMEMを添加した。CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(1%SFB含有DMEMのみ)
-LPS 10ng/ml;
-デキサメタゾン 5μM;
-LPS 10ng/ml+デキサメタゾン 5μM;
-抽出物A 0.1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物A 0.1mg/ml
-抽出物A 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物A 1mg/ml
-抽出物B 0.1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物B 0.1mg/ml
-抽出物B 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+抽出物B 1mg/ml
【0084】
上澄の回収及び細胞生存率の解析
刺激の後、上澄を回収し、-20℃で保管し、そしてELISA(以下に記載)により解析した。刺激後の細胞生存率を維持するため、細胞を3時間中性赤とインキュベーションし、200μlのPBSで洗浄した後、200μlの現像溶液を添加して、540nmで読取りを実行した。全ての処理において、細胞生存率は、最低でも対照の生存率の80%以上であるべきである。細胞生存率データは、後でELISAにより取得されたデータを正規化するのにも使用された。
【0085】
ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
ELISA試験において、96ウェルプレートを使用した。炎症性マーカーの定量は、IL-6又はIL-8専用に作成した標準曲線を用いた比較から決定した。以下の工程に従い、培養上澄を使用した。
-PBSで希釈した捕捉抗体(1:180、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で一昼夜インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液でプレート内の自由領域をブロッキング(200μl/ウェル)し;
-1時間室温でインキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した標準及び試料希釈物(1:200)を調製し;
-それらの標準、試料、及び対照希釈物を添加し(100μl/ウェル);
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した検出抗体(各1:180、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈したストレプトアビジン-ペルオキシダーゼのコンジュゲート(1:200、100μl/ウェル)を添加し;
-暗黒中室温で20分間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-基質溶液(100μl/ウェル)を添加し;
-プレートを暗黒中室温で20分間インキュベーションし;
-停止溶液(50μl/ウェル)を添加し;
-450nmで吸光度を読み取る。
【0086】
得られた結果からIL-6及びIL-8における分泌阻害の値を導き出し、表2及び表3にまとめた。「参照」の欄は、そこに記載されている試料のデータが、他の試料の阻害パーセンテージの計算の基礎として使用されたことを示す。また、そのデータは、それぞれ図8及び9のグラフとしても表現されている。
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
解析されたデータによると、試料A及びBには、潜在的な抗炎症性活性が示され、インビトロでヒト線維芽細胞におけるIL-6及びIL-8分泌が減少した(p<0.05)。いずれの抽出物も、本モデルで使用されたデキサメタゾンと類似の作用を有する。一般に、1mg/mlの濃度で使用された抽出物は、5μMのデキサメタゾンで認められるのと同様又はそれ以上の阻害率を示した。加えて、この抗炎症作用は、炎症反応を誘導する公知の薬剤であるLPSの存在下でも観察された(p<0.05)。
【0090】
実施例7.2
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
ビテキシン-2-O-ラムノシド(rhaminoside)(FR13-23)
【0091】
ヒト皮膚由来線維芽細胞をリポ多糖類(LPS)の存在下、又はUV照射条件下でインキュベーションし、炎症性マーカーIL-6及びIL-8の分泌を誘導した。これらの炎症性マーカーの分泌の減少により、試料の抗炎症性能力を同定した。
【0092】
使用した材料:最大でも10継代以内の培養条件下で維持したヒト皮膚由来線維芽細胞。96ウェルの滅菌培養プレート、96ウェルの未滅菌プレート、15ml及び50mlのコニカルチューブ、UVBランプを搭載した放射チャンバー。
【0093】
試薬:実施例7.1で示したのと同じ試薬が使用された。
【0094】
培養細胞の調製
96ウェルプレートに、10%SFB含有DMEM100μl中、2x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。培養培地を捨て、ウェルを200μlのPBSで洗浄した。
【0095】
LPSによる細胞刺激
1%SFB及び適切な刺激因子を含有する100μlのDMEMを添加した。CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(1%SFB含有DMEMのみ)
-LPS 10ng/ml;
-LPS 10ng/ml+デキサメタゾン 5μM;
-LPS 10ng/ml+試料A 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.5mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.25mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料A 0.125mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 1mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.5mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.25mg/ml
-LPS 10ng/ml+試料FR13-23 0.125mg/ml
【0096】
UVBによる細胞刺激
100μlのPBS及び適切な刺激因子を添加した。CO2オーブン中で50分間インキュベーションを行った。以下の如く処理を行った。
-対照(PBSのみ添加した細胞に紫外線照射無し);
-UVB 0.23J/cm2(PBSのみ添加した細胞にインキュベーション後紫外線照射);
-UVB 0.23J/cm2+ヒドロコルチゾン5μm;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 1mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.5mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.25mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料A 0.125mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 1mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.5mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.25mg/ml;
-UVB 0.23J/cm2+試料FR13-23 0.125mg/ml;
【0097】
細胞への照射期間の後(対照を除く)、ウェルの上澄を捨て、1%SFB及び前記適切な刺激因子を含有するDMEM100μlに置き換えた。その後、一昼夜CO2インキュベーションした。
【0098】
上澄の回収及び細胞生存率の解析
刺激の後、上澄を回収し、-20℃で保管し、そしてELISA(以下に記載)により解析した。刺激後の細胞生存率を維持するため、細胞を3時間中性赤とインキュベーションし、200μlのPBSで洗浄した後、200μlの現像溶液を添加して、540nmで読取りを実行した。全ての処理において、細胞生存率は、最低でも対照の生存率の80%以上であるべきである。細胞生存率データは、後でELISAにより取得されたデータを正規化するのにも使用された。
【0099】
ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
ELISA試験において、96ウェルプレートを使用した。炎症性マーカーの定量は、IL-6又はIL-8専用に作成した標準曲線を用いた比較から決定した。以下の工程に従い、培養上澄を使用した。
-感作緩衝液で希釈した捕捉抗体(1:250、100μl/ウェル)を添加し;
-4℃で一昼夜インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液でプレート内の自由領域をブロッキング(200μl/ウェル)し;
-1時間室温でインキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した標準及び試料希釈物(1:200)を調製し;
-それらの標準、試料、及び対照希釈物を添加し(100μl/ウェル);
-室温で2時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄(200μl/ウェル)し;
-ブロッキング緩衝液で希釈した検出抗体とストレプトアビジン-ペルオキシダーゼとのコンジュゲート(各1:250、100μl/ウェル)を添加し;
-室温で1時間インキュベーションし;
-プレートを洗浄緩衝液で7回洗浄(200μl/ウェル)し;
-基質溶液(100μl/ウェル)を添加し;
-プレートを暗黒中室温で30分間インキュベーションし;
-停止溶液(50μl/ウェル)を添加し;
-450nmで吸光度を読み取る。
【0100】
得られた結果からIL-6及びIL-8における分泌阻害の値を導き出し、表4及び表5にまとめ、図10及び11でLPSによる刺激のグラフを描画し、図12及び13でUVBによる刺激のグラフを描画した。「参照」の欄は、そこに記載されている試料のデータが、他の試料の阻害パーセンテージの計算の基礎として使用されたことを示す。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
解析されたデータによると、試料A及びFr13-23には、潜在的な抗炎症性活性が示され、インビトロでヒト線維芽細胞におけるIL-6及びIL-8分泌が減少した(p<0.05)。
【0104】
試料Aは、前記2つのモデル(LPSによる刺激及びUVBによる刺激)における試験した全ての濃度において、抗炎症性活性を示した(p<0.05)。
【0105】
試料Fr13-23は、0.125mg/mlの濃度において、ヒト線維芽細胞に対して細胞毒性ではなかった。恐らく、これは、この試料のビテキシン-2-O-ラミノシドの濃度が高いことによる。この濃度では、前記2つのモデル(LPSによる刺激及びUVBによる刺激)において、該試料は顕著な抗炎症性活性を示した。
【0106】
実施例8- インビトロでの接着分子ICAM-1の発現の評価
炎症プロセスの過程で、マクロファージによるTNF-αの放出及び線維芽細胞が、白血球と内皮細胞との間のシグナリングに重要な役割を果たすことが知られている。病変に対する細胞の応答は、後毛細血管細静脈への白血球の接着、続いて血管外部への接着性細胞の移動、血管外部位への転移、その後の病変部への蓄積を含み、そのメカニズムは、白血球と内皮細胞との間の複雑な相互作用及びシグナリングの連続として記述される。ICAM-1、V-CAM及びE-セレクチン等の接着分子の発現の増大は、安定な白血球-内皮細胞接着の前提条件であり、かつ本質的に白血球溢出に先行する(Quinlan et al., 1999; Fuchs et al., 2001)。従って、それらの評価は、新規分子の炎症性又は抗炎症性評価のインビトロ実験モデルとして使用され得る。
【0107】
実施例8.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料A(全フラボノイド16.54%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.02%を含有する)
【0108】
ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)をTNF-αとインキュベーションして、抗炎症性プロセスの細胞浸潤に寄与するICAM-1発現を誘導した。この分子の発現減少により、試料の抗炎症性能力を同定した。
【0109】
材料:6継代以内のヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)
【0110】
試薬:培養培地M199;ウシ胎児血清;トリプシン(Gibco)。ヒトTNF-α(Peprotech Mexico, S.A.)、ヒト抗ICAM-1抗体(BD Biosciences Pharmingen);リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ血清アルブミン。
【0111】
培養細胞の調製
24ウェルプレートに、10%SFB含有M199中、5x104細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。これらの細胞を、CO2オーブン中で一昼夜インキュベーションした。この期間の後、細胞を濃度の異なる試料Aと12時間インキュベーションした。それから、細胞を10ng/mlのTNF-αに6時間晒してICAM-1発現を刺激した。6時間というのは、Perfetto et al. (2003)及びJiang et al. (2004)の記載によると、培養条件下で維持される内皮細胞の分子発現のピークを表す。加えて、TNF-αの10ng/mlという濃度は、細胞の生存に干渉することなく接着分子の発現を誘導することが出来る濃度として決定された(Piela-Smith et al., 1992)。
【0112】
TNF-αとのインキュベーションの後、トリプシンを用いてプレートから細胞を解離し、トリプシンを除去するためにSFB含有培養培地中で洗浄し、300gで8分間遠心分離し、そして1%パラホルムアルデヒド1mlで15分間再懸濁して固定した。それから、パラホルムアルデヒドを除去するために細胞を再び遠心分離し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS100μlで再懸濁し、5μlの抗ICAM抗体(FITC)を加えて、4℃遮光下で1時間インキュベーションした。その後、細胞を8分間300gで遠心分離し、PBSで再懸濁し、これを、Cell QuestPro(登録商標)ソフトウェアを使用するコンピューターに接続したフローサイトメーターFACS CALIBUR (BD)の読取り試料とした。10,000イベントを取得した。抗体の陰性対照として、同形抗体(isotypical antibody)のマーキングを使用した。前記サイトメーターにより取得したデータを、前記ソフトウェアを利用して解析し、抗体によりマーキングされた細胞のパーセンテージとして表現される数値は、表面にICAM-1を発現する細胞のパーセンテージを表し、また、各試料の蛍光強度は、TNF-α及び異なる濃度の試料による処理残後の接着分子の発現を定量的に示す。
【0113】
上記処理により取得した結果を、図14及び15のグラフに表現する。
【0114】
試料濃度をより高く(316μg/ml)しただけで細胞を培養すると、培養培地のみで維持した細胞と比較してICAM-1接着分子の発現の増大を示したが、この増大は、有意な差を示すものではなかった(p>0.05)。TNF-αとのインキュベーションは、これらの接着分子の発現の顕著な増大を引き起こした(p<0.001)。試料濃度をより低く(100μg/ml)して細胞をインキュベーションすることにより、HUVECのICAM-1接着分子の発現におけるTNF-αの効果を部分的に(しかし顕著に、P<0.001)阻害することが可能である。
【0115】
実施例9- インビボ皮膚刺激の防止及び治療作用の評価
この研究は、鼻唇溝領域になされる化学傷害の適用により引き起こされる皮膚刺激の予防的及び治療的処置において、主観評価用のペインスケールを使用して、異なる濃度で化粧品製剤中に含有されるパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を評価することを目的とする。化学障害による刺激は、一時的であるが、疼痛及び刺激のシグナルカスケード(紅斑、発赤)を開始させる微小炎症性プロセスにより特徴付けられることが知られている。
【0116】
実施例9.1
本発明に係るパッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物の以下の試料が使用された:
試料C(全フラボノイド16.46%を含有し、ビテキシン-2-o-r11.87%を含有する)
【0117】
この抽出物は、0.25%、0.4%、0.75%、及び1%の濃度で、化粧品組成物中に含有される。該抽出物を含有する組成物を、互いに、並びに偽薬(有効成分の入っていない化粧品組成物)及び陽性対照(コルチゾンの皮膚科学的使用)と比較した。使用した製剤を、表6に記載する。
【0118】
【表9】
【0119】
鼻唇溝領域の穿刺試験(sting test)が陽性であった20〜50歳(平均35歳)のボランティアの鼻唇溝領域の左右に、1.0x2.0cmの2つの長方形(サイトと称する)を、外科ペンでマーキングした。この研究は、Guidelines and Standards regulating Research involving Human Beingsの下で、Resolution 196/96 of the National Health Councilの決定に従い、計画及び指揮された。この研究のプロトコルは、第372/2006号意見書の下で、Medical Sciences College of the State University of CampinasのCommittee on Research Ethicsにより、2006年7月25日に認可された。データの統計的な有意性(p<0.05)は、分散分析(One-Way ANOVA)、続いてTukey多重比較により検証された。
【0120】
薬用スポイトを使用して、10%乳酸溶液を1滴、各サイトに適用した。乳酸適用直後の刺激を評価した。それから、前記生産物を無作為に適用した。適用の5分及び10分後、形成された刺激を評価した。このプロトコルは、治療作用の評価を目的としている。
【0121】
予防作用において、1日2回3日連続で適用した。4日目に、前記生産物を適用してその30分後、10%乳酸溶液を1滴、各サイトに使用して、化学傷害を行った。乳酸適用直後、5分後及び10分後の刺激を評価した。
【0122】
数的定量スケールを使用して、0(疼痛及び刺激が無い)〜10(疼痛及び刺激が強い)のスケール内で、痛みの強さ及び重大度の作用における刺激を評価した。
【0123】
本著値の治療作用及び予防作用の結果を、それぞれ図16及び17にグラフとして示している。
【0124】
治療作用において、試料Cを含有する化粧品製剤は全て、局所使用の市販のコルチコイドと同程度の性能を示した(p>0.05)。偽薬製剤の治療作用は、前記コルチコイド及び試験抽出物を含有する全ての製剤より低かった(p<0.05)。このデータは、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を試験されたいずれの濃度で含有する化粧品組成物も、不快感(疼痛、刺激及びかゆみ)を減少させるのに有効であることを示す。それらの作用は、コルチコイド局所使用によりもたらされるものと顕著な違いは無く、偽薬製剤の結果を上回る。従って、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物中に存在する有効成分は、これらの化粧品製剤において観察される、刺激及び疼痛の減少に関する性能に寄与している。
【0125】
予防作用において、試料Cを含有する全ての製剤は、疼痛及び刺激の強度の減少を示した。これらの作用は、本研究において利用された局所使用のコルチコイドにより観察されるものと、本質的に同程度であった。偽薬製剤の作用はコルチコイドと顕著に相異(p<0.05)することから、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)抽出物を含有する化粧品製剤が疼痛及び刺激を防止する効率は、含有している試料Cの存在によることが確認される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を調製するプロセスであり:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)で取得した水性抽出物を、特定の樹脂を充填したクロマトグラフィーカラム中の含水アルコール溶液を用いた少なくとも1つの溶出に付し;
c)(b)で取得された抽出物を濃縮及び噴霧乾燥する
工程を含むことを特徴とする前記プロセス。
【請求項2】
工程b)とc)との間に:
-工程(b)で取得した産物を高温エタノールに再懸濁し、これを冷却する
工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
抗炎症有効成分として、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)種の植物抽出物を含有することを特徴とする化粧品組成物。
【請求項4】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2のいずれか1項において定義されるプロセスを通じて取得された抽出物であることを特徴とする、請求項3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
抗加齢組成物又は抗しわ組成物であることを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、前記組成物総重量の0.25%〜1.0重量%を占めることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
抗炎症有効成分として、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)種の植物抽出物を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2において定義されるプロセスを通じて取得された抽出物であることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
局所投与用の組成物であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
経口投与用の組成物であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、前記組成物総重量の0.25%〜1.0重量%を占めることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
化粧品組成物又は医薬組成物中の抗炎症剤として使用されることを特徴とする、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物の使用。
【請求項13】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2において定義されるプロセスに従い取得されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項1】
パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物を調製するプロセスであり:
a)パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)植物の葉を、水を用いた抽出に付して水性抽出物を取得し;
b)(a)で取得した水性抽出物を、特定の樹脂を充填したクロマトグラフィーカラム中の含水アルコール溶液を用いた少なくとも1つの溶出に付し;
c)(b)で取得された抽出物を濃縮及び噴霧乾燥する
工程を含むことを特徴とする前記プロセス。
【請求項2】
工程b)とc)との間に:
-工程(b)で取得した産物を高温エタノールに再懸濁し、これを冷却する
工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
抗炎症有効成分として、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)種の植物抽出物を含有することを特徴とする化粧品組成物。
【請求項4】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2のいずれか1項において定義されるプロセスを通じて取得された抽出物であることを特徴とする、請求項3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
抗加齢組成物又は抗しわ組成物であることを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、前記組成物総重量の0.25%〜1.0重量%を占めることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
抗炎症有効成分として、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)種の植物抽出物を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2において定義されるプロセスを通じて取得された抽出物であることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
局所投与用の組成物であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
経口投与用の組成物であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、前記組成物総重量の0.25%〜1.0重量%を占めることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
化粧品組成物又は医薬組成物中の抗炎症剤として使用されることを特徴とする、パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物の使用。
【請求項13】
前記パッシフロラ・アラタ(Passiflora alata)の植物抽出物が、請求項1又は2において定義されるプロセスに従い取得されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−537953(P2010−537953A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522139(P2010−522139)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000269
【国際公開番号】WO2009/030008
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510057936)ナチュラ コスメティコス ソシエダッド アノニマ (3)
【出願人】(510057958)ウニベルシダーデ フェデラル デ サンタカリーナ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000269
【国際公開番号】WO2009/030008
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510057936)ナチュラ コスメティコス ソシエダッド アノニマ (3)
【出願人】(510057958)ウニベルシダーデ フェデラル デ サンタカリーナ (1)
【Fターム(参考)】
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