説明

パッシブキーレスエントリー装置

【課題】 車載機の設計に自由度があり、制御部が応答信号を判断する場合、時間を要さずに携帯機の存在場所を判断するパッシブキーレスエントリー装置を提供する。
【解決手段】 車載機10と携帯機20とからなるパッシブキーレスエントリー装置で、車載機10は、制御部5の制御により、第1アンテナ2(1)を通して室内及び室外の所定範囲内へのリクエスト信号の送信と第2アンテナ2(2)を通して室内への妨害信号の送信とを同時に行う2重送信と、第1アンテナ2(1)を通して室内及び室外の所定範囲内へのリクエスト信号を送信する単独送信とに切替え、各切替時におけるアンサー信号の受信可否に応じて携帯機20の存在位置を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機と携帯機とからなるパッシブキーレスエントリー装置及び当該装置を用いた携帯機位置の判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の移動車両においては、自動車の不使用時に、当該自動車が盗難にあったり、当該自動車内に侵入されて内部の装置が破損されたりするのを防ぐために自動車のドアにドアロックを設けている。従来、当該ドアロックの施錠あるいは解錠は、エンジン始動のためのキーをキー孔に挿入することによって行っていたが、利便性の面から、キーをキー孔に挿入することなく携帯機のスイッチを操作することによってドアロック解錠・施錠を行ういわゆるキーレスエントリー装置が用いられている。さらに、近年では、スイッチを操作しなくても所定の携帯機を持っていて所定の領域に位置すれば、自動的にドアロック解錠・施錠を行ういわゆるパッシブキーレスエントリー装置が用いられている。さらには、当該パッシブキーレスエントリー装置にエンジンの始動に関する電気的な認証機能を持たせ、自動車本体と携帯機との間で認証が成立しないと、エンジンがスタートしないようにして保安性を高めたものもある。
【0003】
かかるパッシブキーレスエントリー装置の動作は、当該自動車に搭載された車載機に既登録されている携帯機を携帯保持した運転者または決められた者が当該自動車に近接したとき、車載機からウエークアップ信号を含んだ低周波信号であるリクエスト信号を無線信号として送信し、携帯機がその無線信号を受信すると、携帯機がその無線信号に応答して指令信号を含んだ高周波信号であるアンサー信号を無線信号として送信し、車載機がそのアンサー信号を受信すると、車載機がアンサー信号に含まれる指令信号に従った被制御機器の制御、例えば、当該自動車のドアのロックを解除したり、当該自動車のエンジンを起動したりするもので、それにより運転者が当該自動車を運転することができるようになる。
【0004】
かかる一連の動作が行われるパッシブキーレスエントリー装置には、携帯機が自動車の室内にある場合にエンジンの起動に寄与する機能を有するもの、自動車の室外にある場合にドアロックの施錠・解錠に寄与する機能を有するもの、あるいは携帯機の室内への置き忘れ防止のために、携帯機が室内にある場合にドアの施錠を行うことができない機能を有するもの等がある。
【0005】
このようなパッシブキーレスエントリー装置においては、携帯機が自動車の室内にあるかを高精度で検知する必要があり、また、自動車の室内と室外のいずれにあるかについても確実な判断をする必要がある。かかる検知や判断を行うパッシブキーレスエントリー装置には、低周波信号を送信する複数のアンテナを自動車の室内及び室外にそれぞれ配置したものが知られている(下記特許文献1乃至3を参照)。そして、この種のパッシブキーレスエントリー装置によれば、これら複数のアンテナを通して車載機から低周波信号が無線送信されるので、携帯機が自動車の室内または室外の所定範囲内のいずれかにあれば、車載機と携帯機との間で確実に無線信号の送受信を行うことが可能であり、それによって携帯機が室内にあるか室外にあるかを正確に判断することができる。
【特許文献1】特開2002−077972号公報
【特許文献2】特開2003−003710号公報
【特許文献3】特開平06−207484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記既知のパッシブキーレスエントリー装置は、携帯機が自動車の室内にあるときまたは自動車の室外の所定範囲内にあるときのいずれであっても、車載機から携帯機に対して低周波信号が確実に無線送信され、それに基づいて携帯機からの応答信号を車載機が受信することができるもので、このような無線信号の送受信を行うことによって携帯機が室内にあるかまたは室外の所定範囲内にあるかを判断することができるものである。
【0007】
ところで、これらのパッシブキーレスエントリー装置は、いずれも2つまたはそれ以上のアンテナを通してそれぞれ正規の低周波信号を無線送信したときに、いずれかの低周波信号を受信した携帯機がそれに応答して応答信号を送信し、車載機がその携帯機からの応答信号を受信することに基づいて当該携帯機のある場所を判断するものであるが、所定のエリア内に携帯機が存在することを特定するためには、送信アンテナの指向性を十分に高めて複数設けるようにしたり、または、複数のアンテナを用い正規の信号を送信するアンテナを切替えてどのアンテナからのリクエスト信号に応答したかによって判定するようにしたり、あるいは、リクエスト信号の受信強度を携帯機からのアンサー信号に含めて送信し、受信したアンサー信号の受信強度データから位置を特定するようにする等の方法が用いられており、それにより車載機側においては、車載機の設計の自由が損なわれたり、携帯機を検知するまでの時間が長くなったり、複雑な信号形式を用いているために回路が複雑になったりする等の問題点を有するものである。
【0008】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、車載機の設計に自由度が確保され、制御部が応答信号を判断する場合に、時間を要することなく携帯機のある場所を特定することを可能にしたパッシブキーレスエントリー装置及び当該パッシブキーレスエントリー装置を用いた携帯機位置の判断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によるパッシブパッシブキーレスエントリー装置は、車両に搭載された車載機と携帯可能な携帯機とからなり、車載機は、車載アンテナと、車載アンテナを通して車内及び車外の車載アンテナ近傍の第1領域内にリクエスト信号を送信する第1送信手段と、携帯機がリクエスト信号を受信し、受信したリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信したとき、そのアンサー信号を受信する受信手段と、各部を制御する制御部とを備え、制御部がアンサー信号の受信に応答して車両ドアを開錠するものであって、車載アンテナを通して車載アンテナ近傍の第1領域の一部を含む第2領域内にリクエスト信号を無効にする妨害信号を送信する第2送信手段を設け、制御部は、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信が可能であって、当該2重送信時におけるリクエスト信号に応答するアンサー信号の受信可否に応じて携帯機の存在位置を判断する第1の構成を具備する。
【0010】
前記第1の構成において、制御部は、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信への切替時にアンサー信号が受信されれば、携帯機が第1領域内の第2領域を除いた位置に存在すると判断する。
【0011】
前記第1の構成において、制御部は、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信への切替時にアンサー信号が受信されず、第1送信手段からリクエスト信号だけを送信する単独送信への切替時にアンサー信号が受信されれば、携帯機が第1領域と第2領域とが重なった位置に存在すると判断する。
【0012】
前記第1の構成において、制御部は、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信への切替時、及び、第1送信手段からリクエスト信号だけを送信する単独送信への切替時にアンサー信号が受信されなければ、携帯機が第1領域及び第2領域に存在しないと判断する。
【0013】
また、前記目的を達成するために、本発明による携帯機位置の判断方法は、車載機と携帯機とからなり、車載機が、車内アンテナと、車内アンテナを通して車内領域及び車両近傍の車外領域を含む第1領域にリクエスト信号を送信する第1送信手段と、携帯機がリクエスト信号の受信時にそのリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信し、そのアンサー信号を受信する受信手段と、車内アンテナを通して第1領域の車内領域の少なくとも一部を含む第2領域に、リクエスト信号を無効にする妨害信号を送信する第2送信手段と、各部を制御する制御部とを備えるパッシブキーレスエントリー装置によって行われるものであって、制御部は、始めに、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する第1切替時点を設定し、この第1切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できれば、携帯機が第1領域内の第2領域を除いた位置に存在すると判断し、第1切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できない場合、次に第1送信手段からリクエスト信号だけを送信する第2切替時点を設定し、この第2切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できれば、携帯機が第1領域と第2領域とが重なった位置に存在すると判断し、第2切替時点から所定時間の間においてもアンサー信号が受信できなければ、携帯機が第1領域及び第2領域に存在しないと判断する第2の構成を具備する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載されたパッシブキーレスエントリー装置によれば、車載機は、複数のアンテナを有し、1つのアンテナを通して車内領域及び車両近傍の車外領域を含む第1領域にリクエスト信号を送信する第1送信手段と、他のアンテナを通して第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に、リクエスト信号を無効にする妨害信号を送信する第2送信手段とが設けられ、制御部が第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信の際にリクエスト信号に応答してアンサー信号を受信した場合に第1領域内の第2領域を除いた位置に携帯機が存在するのを判断しているもので、このような位置に携帯機が存在することを短時間内に特定することができ、それによってこのような位置に携帯機が存在することを短時間内に特定するパッシブキーレスエントリー装置を構成する上でその設計の自由度を高めることができる。さらに、複数のアンテナから必ずしも正規のリクエスト信号を送信しなくても、携帯機の位置を限られた狭い範囲内の位置に存在することを特定できるので、設計の自由度を高めることができる。
【0015】
また、請求項3乃至5に記載されたパッシブキーレスエントリー装置によれば、2重送信と単独送信との切替を行うもので、いずれの切替状態であっても携帯機からのアンサー信号の受信ができたかできなかったかを判断するだけで、携帯機が第1領域内の第2領域を除いた位置に存在する、第1領域と第2領域とが重なった位置に存在する、第1領域及び第2領域に存在しないのいずれかであるかを一義的に判断することができ、しかも、車載機の設置に際して、アンテナの配置位置を考慮すれば足りるので、車載機の設計の自由度を高めることができるという効果がある。
【0016】
また、本発明のパッシブキーレスエントリー装置の第2の構成によれば、制御部が、始めに、第1送信手段からリクエスト信号を送信し第2送信手段から妨害信号を同時に送信する第1切替時点を設定し、この第1切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できれば、携帯機が第1領域内の第2領域を除いた位置に存在すると判断でき、第1切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できない場合、次に第1送信手段からリクエスト信号だけを送信する第2切替時点を設定し、この第2切替時点から所定時間の間にアンサー信号が受信できれば、携帯機が第1領域と第2領域とが重なった位置に存在すると判断でき、第2切替時点から所定時間の間においてもアンサー信号が受信できなければ、携帯機が第1領域及び第2領域に存在しないと判断することができるので、制御部における携帯機の存在位置の判断を一義的に時間を要することなく行うことができるという効果があり、それと同時に車載機の設計の自由度を高めることができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明によるパッシブキーレスエントリー装置の第1の実施の形態を示すもので、図1は、このパッシブキーレスエントリー装置に用いる車載機の要部構成を示し、図2は、このパッシブキーレスエントリー装置に用いる携帯機の要部構成を示すものである。
【0019】
図1に示されるように、第1の実施の形態による車載機10は、2つの低周波信号送信部TX1、TX2からなる低周波信号送信部(LF TX)1と、送信用低周波アンテナ(請求項の車載アンテナに相当)を構成する第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)と、高周波信号受信部(RF RX)3と、受信用高周波アンテナ4と、制御部(CPU)5と、低周波発振器(LF OSC)6と、妨害信号発生器7(N GEN)と、駆動信号送信部(DS TX)8と、記憶部9とからなっている。この場合、低周波発振器6は、低周波信号送信部1から第1コイルアンテナ2(1)を通して送信される低周波信号を発生するものであり、妨害信号発生器7は、低周波信号送信部1から第2コイルアンテナ2(2)を通して送信される妨害信号を発生するものである。記憶部9は、車載機10に割り当てられた第1のIDと、この車載機10とともに使用される後述の携帯機20に割り当てられた第2のIDとを格納している。
【0020】
低周波信号送信部1は、低周波信号送信部TX1及び低周波信号送信部TX2の入力端が制御部5に接続され、低周波信号送信部TX1の出力端が第1コイルアンテナ2(1)に接続され、低周波信号送信部TX2の出力端が第2コイルアンテナ2(2)に接続されている。高周波信号受信部3は、入力端が受信用高周波アンテナ4に接続され、出力端が制御部5に接続されている。低周波発振器6及び妨害信号発生器7は、それぞれの出力端が制御部5に接続されている。駆動信号送信部8は、入力端が制御部5に接続され、出力端が外部接続端子8(1)に接続されている。記憶部9は、制御端が制御部5に接続されている。
【0021】
低周波発振器6から出力された低周波信号は、制御部5に供給され、妨害信号発生器7から出力された妨害信号は、同じように制御部5に供給される。制御部5は、低周波信号が供給されたとき、記憶部9から第1のIDを読み出し、読み出した第1のIDを含む必要な情報を低周波信号に付加し、リクエスト信号を形成する。リクエスト信号の送信タイミングが設定されると、制御部5の制御により、このリクエスト信号が低周波信号送信部1に供給される。低周波信号送信部TX1は、供給されたリクエスト信号を送信に適した信号レベルまで増幅し、増幅されたリクエスト信号を第1コイルアンテナ2(1)に供給し、第1コイルアンテナ2(1)から無線送信する。同じように、制御部5は、妨害信号が供給され、妨害信号の送信タイミングが設定されると、制御部5の制御により、この妨害信号が低周波信号送信部1に供給される。低周波信号送信部TX2は、供給された妨害信号を送信に適した信号レベルまで増幅し、増幅された妨害信号を第2コイルアンテナ2(2)に供給し、第2コイルアンテナ2(2)から無線送信する。
【0022】
高周波信号受信部3は、後述の携帯機20から無線送信された当該携帯機20の第2のIDや指令信号を含んだ高周波信号(アンサー信号)を受信用高周波アンテナ4を通して受信し、受信したアンサー信号を所定信号レベルに増幅し、増幅したアンサー信号を制御部5に供給する。制御部5は、アンサー信号に含まれた第2のIDを、記憶部9から読み出した第2のIDを用いて認証し、その認証が成立すると、アンサー信号に含まれた指令信号から駆動信号を形成し、この駆動信号を駆動信号送信部8に供給する。駆動信号送信部8は、駆動信号が供給されると、その駆動信号を対応する図示を省略したドアロックの施錠及び解錠を行うモータ、あるいはエンジン始動回路等の被制御機構に伝送し、その被制御機構を駆動信号に従って制御する。
【0023】
また、図2に示されるように、この実施の形態による携帯用送受信機20は、高周波信号送信部(RF TX)11と、送信用高周波アンテナ12と、低周波信号受信部(LF RX)13と、受信用低周波アンテナ14と、制御部(CPU)15と、高周波発振器(RF OSC)16と、記憶部17とからなっている。
【0024】
この場合、高周波信号送信部11は、入力端が制御部15に接続され、出力端が送信用高周波アンテナ12に接続されている。低周波信号受信部13は、入力端が受信用低周波アンテナ14に接続され、出力端が制御部15に接続されている。高周波発振器16は、出力端が制御部15に接続されている。記憶部17は、制御端が制御部15に接続されている。
【0025】
高周波信号送信部11は、制御部15から第2のIDや指令信号を含んだ高周波信号(アンサー信号)が供給されると、そのアンサー信号を無線送信に適した信号レベルまで増幅し、増幅したアンサー信号を送信用高周波アンテナ12を通して無線送信する。低周波信号受信部13は、車載機10から無線送信された第1のIDを含んだ低周波信号または妨害信号を受信用低周波アンテナ14を通して受信し、受信した低周波信号または妨害信号を所定信号レベルまで増幅し、増幅した低周波信号または妨害信号を制御部15に供給する。高周波発振器16は、高周波信号を発振するもので、発振した高周波信号が制御部15に供給される。このとき、制御部15は、この高周波信号に第2のIDや指令信号等の必要な情報信号を付加してアンサー信号を形成する。このアンサー信号は、高周波信号を搬送波とし、第2のIDや指令信号等の必要な情報信号を周波数変調により付加したもので、高周波信号送信部11を通して送信用高周波アンテナ12に供給される。記憶部17は、車載機10に割り当てられた第1のIDや自己の携帯機20に割り当てられた第2のID、それに各種の指令信号を記憶しているもので、制御部15の制御により、第1のIDまたは第2のIDや指令信号が適宜読み出される。
【0026】
次に、図3は、車載機10における第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)の設置位置の第1例を示すアンテナ設置図である。
【0027】
図3に示されるように、この第1例においては、第1コイルアンテナ2(1)が自動車の室内の一方のサイドドア上側部分に設置され、第2コイルアンテナ2(2)が自動車の室内の天井中央部分に設置されている。
【0028】
前記構成を備えた車載機10及び携帯機20の動作を、図1乃至図3を用いて説明する。
【0029】
車載機10は、制御部5が第1の送信タイミングの到来を検知すると、2重送信が行われる第1切替時点に設定される。この第1切替時点において、制御部5に低周波信号発振器6からの低周波信号、及び、妨害信号発生器7からの妨害信号がそれぞれ供給されると、制御部5がその低周波信号に前述の情報信号を付加してリクエスト信号を形成し、このリクエスト信号を低周波信号送信部TX1に供給し、同時に妨害信号を低周波信号送信部TX2に供給する。低周波信号送信部TX1はリクエスト信号を第1コイルアンテナ2(1)に供給し、図3に示されるように、第1コイルアンテナ2(1)から領域A、すなわち自動車の室内及び室外の所定範囲内に無線送信し、低周波信号送信部TX2は妨害信号を第2コイルアンテナ2(2)に供給し、図3に示されるように、第1コイルアンテナ2(1)から領域B、すなわち自動車の室内に無線送信する。
【0030】
このとき、携帯機20が車載機10から無線送信されたリクエスト信号の伝達範囲内、例えば自動車の室外の所定範囲内にあって、そのリクエスト信号を受信用低周波アンテナ14で受信すると、受信されたリクエスト信号が低周波信号受信部13で増幅及び検波された後、制御部15においてリクエスト信号から第1及び第2のIDが抽出される。制御部15は、抽出した第1及び第2のIDと記憶部17に記憶されている対応するIDとの一致を認証する。そして、制御部15は、その一致認証すると、携帯機20の固有の第2のID及び指令信号を含んだアンサー信号を形成し、形成したアンサー信号を高周波信号送信部11に供給し、このアンサー信号を高周波信号送信部11から送信用高周波アンテナ12を通して車載機10に無線送信する。
【0031】
車載機10は、携帯機20から無線送信されたアンサー信号を受信用高周波アンテナ4で受信すると、そのアンサー信号が高周波信号受信部3で増幅及び検波され、制御部5で受信信号中の第2のID及び指令信号が抽出される。制御部5は、第2のID及び指令信号が供給されると、供給された第2のIDが記憶部9に既登録されているIDとの一致を認証し、その一致が認証されると、制御部5は、携帯機20からアンサー信号が返信されたことを確認し、この確認が行われとき、携帯機20が自動車の室外の所定範囲内に存在すると判断する。なお、当該車載機10は、第1切替時点から所定時間の間にのみアンサー信号を受信した場合に限って、正規の携帯機20からの信号であると判断する。
【0032】
そして、この携帯機20の位置の判断とともに、制御部5は、供給された指令信号に基づいてそれに対応する駆動信号を記憶部9から読み出し、読み出した駆動信号を駆動信号送信部8から対応する被制御機器に供給し、その被制御機器を制御するように動作させるようにし、具体的には運転席がある側のドアのみのロックを直ちに解除する等のことができるので、その応答性が向上する。一方、制御部5は、供給された第2のIDが記憶部9に既登録されているIDとの一致を認証したとき、その一致が認証されないと、携帯機20の存在位置を判断することができないだけでなく、被制御機器の制御も行われない。
【0033】
ところで、自動車の室内にある領域Aは、第1コイルアンテナ2(1)から送信されたリクエスト信号の伝達範囲内であるが、第2コイルアンテナ2(2)から送信された妨害信号の伝達範囲Bに重なり合うため、その重なり合う領域(便宜上、この領域を領域A+Bという)に伝達されたリクエスト信号は妨害信号によって妨害され、リクエスト信号の有効性が大きく阻害されている。このため、携帯機20が自動車の室内の領域A+Bにあるときには、車載機10から無線送信されたリクエスト信号が携帯機20で受信されないことになり、携帯機20から車載機10に向けてアンサー信号が送信されず、車載機10でアンサー信号が受信されない。このため、この時点においては、車載機10における携帯機20の存在位置の判断ができないので、車載機10を第1切替時点の設定から後述する第2切替時点の設定に移行させる。
【0034】
車載機10は、制御部5が第2の送信タイミングの到来を検知すると、今度は単独送信が行われる第2切替時点に設定される。この第2切替時点において、制御部5に低周波信号発振器6からの低周波信号が供給されると、制御部5がその低周波信号に前述の情報信号を付加してリクエスト信号を形成し、このリクエスト信号を低周波信号送信部TX1に供給し、第1コイルアンテナ2(1)から領域A、すなわち自動車の室内及び室外の所定範囲内に無線送信する。このとき、低周波信号送信部TX2には妨害信号が供給されず、第2コイルアンテナ2(2)から領域Bに妨害信号等の何の信号も無線送信されない。
【0035】
このとき、携帯機20が車載機10から無線送信されたリクエスト信号の伝達範囲内である自動車の室内にあったすると、自動車の室内ではリクエスト信号だけが伝達されるので、携帯機20でリクエスト信号の受信が可能になる。この場合、携帯機20がリクエスト信号を受信用低周波アンテナ14で受信すると、そのリクエスト信号が低周波信号受信部13で増幅及び検波された後、制御部15においてリクエスト信号から第1及び第2のIDが抽出される。制御部15は、抽出した第1及び第2のIDと記憶部17に記憶されている対応するIDとの一致を認証する。そして、制御部15は、その一致認証すると、携帯機20の固有の第2のID及び指令信号を含んだアンサー信号を形成し、形成したアンサー信号を高周波信号送信部11に供給し、このアンサー信号を高周波信号送信部11から送信用高周波アンテナ12を通して車載機10に無線送信する。
【0036】
車載機10は、携帯機20から無線送信されたアンサー信号を受信用高周波アンテナ4で受信すると、受信されたアンサー信号が高周波信号受信部3で増幅及び検波され、制御部5でアンサー信号の第2のID及び指令信号を抽出する。制御部5は、抽出した第2のIDと記憶部9に既登録されている第2のIDとの一致を認証し、その一致が認証されると、制御部5は、携帯機20からアンサー信号が返信されたことを確認し、この確認が行われとき、携帯機20が自動車の室内に存在すると判断する。なお、この場合も前述と同様に、第2切替時点から所定時間の間にのみ、アンサー信号を受信した場合に限って正規の携帯機20からの信号であると判断する。
【0037】
そして、この場合も、この携帯機20の位置の判断とともに、制御部5は、供給された指令信号に基づいてそれに対応する駆動信号を記憶部9から読み出し、読み出した駆動信号を駆動信号送信部8から対応する被制御機器に供給し、その被制御機器を制御するように動作させるようにし、具体的には、例えば、IDの一致が認証されている状態において図示が省略されているスイッチを押すと、エンジンを起動する等の制御を行わせる。一方、制御部5は、供給された第2のIDが記憶部9に既登録されているIDとの一致を認証したとき、その一致が認証されないと、この時点においても、携帯機20の存在位置を判断することができず、被制御機器の制御も行われない。
【0038】
このように、この実施の形態によれば、最初のリクエスト信号の送信と妨害信号との2重送信時に、自動車の室内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が同じくその範囲に伝達される妨害信号によって無効になり、自動車の室外の所定範囲内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室外の所定範囲内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室外の所定範囲内であると判断される。このとき、携帯機20がそれ以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号の受信できないので、携帯機20の所在位置を正しく判断することができる。そして、このように、1回目の同時送信により携帯機20を認証が可能になり、直ちにドアロックを解除する等の制御操作ができるので、利便性に優れたものになる。
【0039】
また、前記2重送信時に、携帯機20の所在位置が判断できなかった場合、次のリクエスト信号だけの単独送信に移行する。このとき、リクエスト信号が伝達される全域にわたり、リクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室内であると判断される。このとき、携帯機20が自動車の室内及び自動車の室外の所定範囲内以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号を受信できないので、携帯機20の所在位置がどこであるかを正しく判断することができる。この場合、運転者が車に乗車してからエンジンを始動させるまでには、運転者がシートに座る等の時間的余裕があるため、ドアロックの解除に比べて若干時間を要したとしても問題はない。なお、携帯機20が車外に存在することだけを特定したい場合には、単独送信を行う必要はない。
【0040】
また、図3においては、携帯機20が車内であっても、車室内以外の箇所、例えばエンジンルームやトランク等の領域に存在する場合においても、携帯機20が車外にあると判断するが、このような領域に携帯機20が存在する可能性はほとんどなく、この場合に携帯機20が外部領域と電磁遮蔽されるので、このような領域に携帯機20が存在すると判断される可能性はないと考えられる。
【0041】
次いで、図4は、車載機10における第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)の設置位置の第2例を示すアンテナ設置図である。
【0042】
図4に示されるように、この第2例においては、第1コイルアンテナ2(1)が自動車の室内の一側のサイドドア部分に設置され、第2コイルアンテナ2(2)が自動車の室内の他側のサイドドア部分に設置されているもので、第1コイルアンテナ2(1)から送信されるリクエスト信号の伝達範囲は、自動車の室内と自動車の室外の一側の所定範囲内であり、第2コイルアンテナ2(2)から送信される妨害信号の伝達範囲は、自動車の室内と自動車の室外の他側の所定範囲内である。
【0043】
この第2例においても、最初に、第1コイルアンテナ2(1)によるリクエスト信号の送信と第2コイルアンテナ2(2)による妨害信号との2重送信、それに続く、第1コイルアンテナ2(1)による妨害信号の送信と第2コイルアンテナ2(2)によるリクエスト信号の送信と、それに続く、第1コイルアンテナ2(1)によるリクエスト信号の単独送信が行われる。
【0044】
そして、最初のリクエスト信号の送信と妨害信号との2重送信時に、自動車の室内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が同じくその範囲に伝達される妨害信号によって無効になり、自動車の室外の一側の所定範囲内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室外の一側の所定範囲内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室外の所定範囲内であると判断される。このとき、携帯機20がそれ以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号の受信できないので、携帯機20の所在位置を正しく判断することができる。このため、例えば、この際の位置の特定を運転席以外の車外であるとすれば、直ちに運転者はドアを開くようにすることができる。
【0045】
また、前記2重送信時に、携帯機20の所在位置が判断できなかった場合、次に妨害信号とリクエスト信号を逆のアンテナから送信するが、基本的動作は前述の動作と同じであるため、その詳細は省略する。次に、リクエスト信号だけの単独送信に移行する。このとき、リクエスト信号が伝達される全域にわたり、リクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室内であると判断される。このとき、携帯機20が自動車の室内及び自動車の室外の一側の所定範囲内以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号を受信できないので、携帯機20の所在位置がどこであるかを正しく判断することができる。なお、この場合においても、いずれか一方の車外だけを特定したい場合には、いずれか一方側のアンテナによるリクエスト信号と他方側のアンテナによる妨害信号との2重送信だけを行うようにすればよい。
【0046】
また、図4では、携帯機20が車内の車室内以外の領域、例えば、エンジンルームやトランク等に存在している場合においても、携帯機20が車外にあると判断するが、このような領域に携帯機20が存在する可能性はほとんどなく、この場合に携帯機20が外部領域と電磁遮蔽されるので、このような領域に携帯機20が存在すると判断される可能性はないと考えられる。
【0047】
続く、図5は、車載機10における第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)の設置位置の第3例を示すアンテナ設置図である。
【0048】
図5に示されるように、この第3例においては、第1コイルアンテナ2(1)と第2コイルアンテナ2(2)にヘルムホルツコイルが使用されている例で、第1コイルアンテナ2(1)が自動車の室内の一側のサイドドア部分に設置され、第2コイルアンテナ2(2)が自動車の室内の他側のサイドドア部分に設置されているものである。また、第3コイルアンテナ2(3)が自動車の室内の一側のサイドドア部分に設置されている。第3コイルアンテナ2(3)から送信されるリクエスト信号の伝達範囲は、自動車の室内と自動車の室外の一側の所定範囲(A)内であり、第1コイルアンテナ2(1)と第2コイルアンテナ2(2)が同時に励振された場合に送信される妨害信号の伝達範囲は、第1コイルアンテナ2(1)と第2コイルアンテナ2(2)との間の自動車の室内(B)である。
【0049】
この第3例においても、最初に、第3コイルアンテナ2(3)によるリクエスト信号の送信と第1コイルアンテナ2(1)と第2コイルアンテナ2(2)による妨害信号との2重送信、それに続く、第3コイルアンテナ2(3)によるリクエスト信号の単独送信が行われる。
【0050】
そして、最初のリクエスト信号の送信と妨害信号との2重送信時に、自動車の室内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が同じくその範囲に伝達される妨害信号によって無効になり、自動車の室外の一側の所定範囲内においては、その範囲に伝達されるリクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室外の一側の所定範囲内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室外の所定範囲内であると判断される。このとき、携帯機20がそれ以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号の受信できないので、携帯機20の所在位置を正しく判断することができる。
【0051】
また、前記2重送信時に、携帯機20の所在位置が判断できなかった場合、次のリクエスト信号だけの単独送信に移行する。このとき、リクエスト信号が伝達される全域にわたり、リクエスト信号が妨害信号による影響を受けないので、携帯機20が自動車の室内に存在すれば、携帯機20が車載機10からのリクエスト信号を受信し、携帯機20がリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信するので、車載機10が携帯機20からのがアンサー信号を受信することにより、携帯機20の所在位置が自動車の室内であると判断される。このとき、携帯機20が自動車の室内及び自動車の室外の一側の所定範囲内以外の場所にあれば、携帯機20がリクエスト信号を受信できず、車載機10が携帯機20からのアンサー信号を受信できないので、携帯機20の所在位置がどこであるかを正しく判断することができる。
【0052】
これらの実施の形態においては、常時、携帯機20の位置を監視し、車内に携帯機20が存在する場合には、ドアロックを行わないように制御する、あるいは携帯機20が自動車の室外にあることを条件としてドアロックを行わせる等の制御が可能である。
【0053】
次に、図6は、このキーレスエントリー装置に実際に使用される信号波形の例を示す。ここで、図6(a)は、リクエスト信号を示すもので、記憶部9に記憶されたリクエスト信号を形成させるための2値の信号を低周波発振器6の信号で周波数変調した信号である。図6(b)は、妨害信号を示すもので、低周波発振器6の周波数で一定振幅の信号である。このため、リクエスト信号と妨害信号が2重送信された場合、双方の信号が検知できる重なり合った領域で信号波形は図6(c)に示すような信号波形になる。そして、重なり合った領域においてはリクエスト信号のほとんどが妨害信号に埋もれた状態になり、その信号を検波した際にコードとして検知できないように妨害信号の送信電力が調整されているため、この領域においてはリクエスト信号を検知することができない。
【0054】
妨害信号は、妨害信号とリクエスト信号とが同時受信された場合に、リクエスト信号を検知できないような信号であればよく、図7に図示されるように、常時、出力されつづける必要がない。すなわち、妨害信号は、リクエスト信号に同期した信号であって、リクエスト信号の1ビットに相当する時間だけ送信し、その時間に携帯機20が正規のリクエスト信号を受信していないと判断できれば、足りるものである。
【0055】
なお、前記の実施の形態における第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)は、自動車の室内に取り付ける場合、両サイドドア部分に設置したり、自動車の室内の中央天井部分に設置した例を挙げて説明したが、本発明による第1コイルアンテナ2(1)及び第2コイルアンテナ2(2)の設置位置は、両サイドドア部分または室内の中央天井部分に設置したものに限られず、室内全域に対応するように自動車の室内の床面部分と天井部分とに設置するようにしてもよい。また、後部に2つの座席がある場合には後部席を挟むように一対のコイルアンテナをさらに設け、前席(運転席と助手席)と同様の制御を行うようにしてもよく、さらには一つの座席を挟むように設置してもよく、要は検知すべきエリアを挟むように設置され、かつ、設置可能な箇所であれば、自動車の室内のどのような位置に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明による実施の形態を示すもので、パッシブキーレスエントリー装置に用いる車載機の要部構成を示す構成部である。
【図2】この発明による実施の形態を示すもので、パッシブキーレスエントリー装置に用いる携帯機の要部構成を示す構成部である。
【図3】車載機における第1コイルアンテナ及び第2コイルアンテナの設置位置の第1例を示すアンテナ設置図である。
【図4】車載機における第1コイルアンテナ及び第2コイルアンテナの設置位置の第2例を示すアンテナ設置図である。
【図5】車載機における第1コイルアンテナ及び第2コイルアンテナの設置位置の第3例を示すアンテナ設置図である。
【図6】このパッシブキーレスエントリー装置に用いる信号の一例を示す信号波形図である。
【図7】このパッシブキーレスエントリー装置に用いる信号の他の例を示す信号波形図である。
【符号の説明】
【0057】
1 低周波信号送信部(LF TX)
2(1) 第1コイルアンテナ
2(2) 第2コイルアンテナ
3 高周波信号受信部(RF RX)
4 受信用高周波アンテナ
5 制御部(CPU)
6 低周波発振器(LF OSC)
7 妨害信号発生器(N GEN)
8 駆動信号送信部(DS TX)
9 記憶部
10 車載機
11 高周波信号送信部(RF TX)
12 送信用高周波アンテナ
13 低周波信号受信部(LF RX)
14 受信用低周波アンテナ
15 制御部(CPU)
16 高周波発振器(RF OSC)
17 記憶部
20 携帯機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載機と携帯可能な携帯機とからなり、前記車載機は、車載アンテナと、前記車載アンテナを通して車内及び車外の前記車載アンテナ近傍の第1領域内にリクエスト信号を送信する第1送信手段と、前記携帯機が前記リクエスト信号を受信し、受信したリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信したとき、そのアンサー信号を受信する受信手段と、各部を制御する制御部とを備え、前記制御部が前記アンサー信号の受信に応答して車両ドアを開錠するパッシブキーレスエントリー装置であって、前記車載アンテナを通して前記車載アンテナ近傍の前記第1領域の一部を含む第2領域内に前記リクエスト信号を無効にする妨害信号を送信する第2送信手段を設け、前記制御部は、前記第1送信手段から前記リクエスト信号を送信し前記第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信が可能であって、当該2重送信時における前記リクエスト信号に応答する前記アンサー信号の受信可否に応じて前記携帯機の存在位置を判断することを特徴とするパッシブキーレスエントリー装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記2重送信時における前記リクエスト信号に応答して前記アンサー信号が受信されれば、前記携帯機が前記第1領域内の前記第2領域を除いた位置に存在すると判断することを特徴とする請求項1に記載のパッシブキーレスエントリー装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1送信手段から前記リクエスト信号を送信し前記第2送信手段から前記妨害信号をしない単独送信に、前記2重送信から切替え可能としたことを特徴とする請求項1に記載のパッシブキーレスエントリー装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1送信手段から前記リクエスト信号を送信し前記第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信の際に、前記リクエスト信号に応答した前記アンサー信号が受信されず、前記第1送信手段から前記リクエスト信号だけを送信する単独送信の際に、前記リクエスト信号に応答して前記アンサー信号が受信されれば、前記携帯機が前記第1領域と前記第2領域とが重なった位置に存在すると判断することを特徴とする請求項3に記載のパッシブキーレスエントリー装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1送信手段から前記リクエスト信号を送信し前記第2送信手段から妨害信号を同時に送信する2重送信の際、及び、前記第1送信手段から前記リクエスト信号だけを送信する単独送信の際に、それぞれの前記リクエスト信号に応答した前記アンサー信号が受信されなければ、前記携帯機が前記第1領域及び前記第2領域に存在しないと判断することを特徴とする請求項3に記載のパッシブキーレスエントリー装置。
【請求項6】
車載機と携帯機とからなり、前記車載機が、車内アンテナと、前記車内アンテナを通して車内領域及び車両近傍の車外領域を含む第1領域にリクエスト信号を送信する第1送信手段と、前記携帯機が前記リクエスト信号の受信時にそのリクエスト信号に応答してアンサー信号を送信し、そのアンサー信号を受信する受信手段と、前記車内アンテナを通して前記第1領域の車内領域の少なくとも一部を含む第2領域に、前記リクエスト信号を無効にする妨害信号を送信する第2送信手段と、各部を制御する制御部とを備えるパッシブキーレスエントリー装置により行われる携帯機位置の判断方法であって、前記制御部は、始めに、前記第1送信手段から前記リクエスト信号を送信し前記第2送信手段から妨害信号を同時に送信する第1切替時点を設定し、この第1切替時点から所定時間の間に前記アンサー信号が受信できれば、前記携帯機が前記第1領域内の前記第2領域を除いた位置に存在すると判断し、前記第1切替時点から所定時間の間に前記アンサー信号が受信できない場合、次に前記第1送信手段から前記リクエスト信号だけを送信する第2切替時点を設定し、この第2切替時点から所定時間の間に前記アンサー信号が受信できれば、前記携帯機が前記第1領域と前記第2領域とが重なった位置に存在すると判断し、前記第2切替時点から所定時間の間においても前記アンサー信号が受信できなければ、前記携帯機が前記第1領域及び前記第2領域に存在しないと判断することを特徴とする携帯機位置の判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−249828(P2006−249828A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69518(P2005−69518)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】