説明

パッシング内容判定装置

【課題】パッシングの意味を自車両から得られる情報で判断することができるパッシング内容判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】自車両周囲の撮影画像を取得する画像取得手段20と、この画像取得手段20が取得した撮影画像から他車両の情報を認識する画像認識手段22と、自車両の情報を取得する自車両情報取得手段24と、画像認識手段22の情報に基づいて他車両からのパッシングの有無を判定する判定手段25を備え、判定手段25は、画像認識手段22が他車両からのパッシングを認識したとき、自車両情報取得手段24が取得した自車両の情報に基づいて他車両からのパッシングの内容を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載カメラを用いて車両間で取り交わされるヘッドライトによるパッシング内容判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、後続車のドライバが自車両の運転に不満を持っている場合に、後続車からパッシングされることがある。従来のシステムでは、このパッシングの際のトラブルを回避するため、通信機能によってパッシングの内容を案内する等さまざまな案内方法が提案されていた(例えば特許文献1〜特許文献5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−279598号公報
【特許文献2】特開2006−205773号公報
【特許文献3】特開2006−293531号公報
【特許文献4】特開2005−215753号公報
【特許文献5】特開2006−106955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1〜特許文献3では、後続車のパッシングが案内されているが、なぜパッシングしているかを判断することができなかった。また、特許文献4ではパッシングする車両が同じ通信システムを搭載していなければならないという問題があった。また、特許文献5では、右折の際に対向車両がパッシングすると、道を譲る意味に誤解される可能性がある。例えば、対向車両がパッシングする場合、この対向車両の運転者は、自車両のヘッドライトの状態についての問い合わせの意味や、道を譲らない意味をパッシングに持たせる場合がある。特に、初心者ドライバーは相手車両からのパッシングによって相手から何を訴えられているか分からないケースが多く、運転に対する不安が生じていた。さらに、パッシングによる相手側の意思がわからないため、自らの意思をパッシングで相手側に伝えることも困難であった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、パッシングの意味を自車両から得られる情報で判断することができるパッシング内容判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、画像認識手段が他車両からのパッシングを認識したとき、自車両情報取得手段が取得した自車両の情報と記録手段にあらかじめ記録しておいた、パッシング内容に対応付けたデータテーブルに基づいて、判定手段が他車両からのパッシングの内容を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車両の運転者は、周囲の車両から行われるパッシングの意味を理解することができ、運転中の不安を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置の構成を示すブロック図
【図2】同図1の要部である記憶手段に記憶される自車両情報とパッシング内容とを対応付けたデータテーブルを説明する図
【図3】本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置の動作を説明するフローチャート図
【図4】同図3のステップS11の画像処理の動作を説明するフローチャート図
【図5】同図3のステップS12の認識処理の動作を説明するフローチャート図
【図6】同図3のステップS14の判定処理の動作を説明するフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、パッシング内容判定装置1は、ECU(Electric Control Unit)で構成される。パッシング内容判定装置1は、自車両前方を撮影する前方撮影手段2と、自車両後方を撮影する後方撮影手段3と、運転者に報知を行う報知手段4と、自車両に設けられて自車両の情報を検知する自車両情報検知手段5と接続する。
【0012】
パッシング内容判定装置1は、エンジンONで動作を開始し、前方撮影手段2、または後方撮影手段3の撮影画像によりパッシングされたか否かを判定するとともに、パッシングがされた場合に自車両情報検知手段5から取得した自車両の情報に基づいてパッシングの意味を判定し、その結果を報知手段4に出力する。
【0013】
前方撮影手段2はCCD(Charge Coupled Device)カメラなどで構成される。前方撮影手段2は、パッシング内容判定装置1に接続される。前方撮影手段2は、車体前方の位置に取り付けられて自車両前方を撮影する。前方撮影手段2の分解能は、前方20mの車両の前照灯とウインカが撮影できる程度でよい。前方撮影手段2は、自車両前方の撮影画像をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0014】
後方撮影手段3はCCDカメラなどで構成される。後方撮影手段3は、パッシング内容判定装置1に接続される。後方撮影手段3は、車体後方の位置に取り付けられて自車両後方を撮影する。後方撮影手段3は、バックガイドのカメラを代用しても後方車両の前照灯とウインカが撮影範囲内にあればよい。後方撮影手段3は、自車両後方の撮影画像をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0015】
報知手段4は少なくとも車内に設けられて自車両の運転者に報知を行う。報知手段4は視覚、聴覚、触覚いずれの知覚に報知を行うものでもよい。例えば、報知手段4は、スピーカ等の音声出力装置、ディスプレイ等の表示装置、アクセルペダルを押し戻す装置、座席を振動させる装置、前照灯スイッチを切り替える装置の少なくとも一つで構成される。報知手段4はパッシング内容判定装置1と接続される。報知手段4は、パッシング内容判定装置1から報知命令を取得すると、音声案内、画面表示など何れかの方法により運転者に警告を発する。また、報知手段4は車外にも設けられて他車両の運転者に報知を行ってもよい。
【0016】
自車両情報検知手段5は、自車両に設けられて自車両の情報を検知する。自車両情報検知手段5は、シフトギアスイッチ手段6と、前照灯スイッチ手段7と、ナビゲーション手段8と、ウインカースイッチ手段9と、車速検出手段10とを有する。
【0017】
シフトギアスイッチ手段6は自車両のシフトギアのポジションを示すスイッチで構成される。シフトギアスイッチ手段6はパッシング内容判定装置1と接続される。シフトギアスイッチ手段6は、現在のシフトギアの位置情報をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0018】
前照灯スイッチ手段7は車両の前照灯のスイッチで構成される。前照灯スイッチ手段7は、パッシング内容判定装置1と接続される。前照灯スイッチ手段7は、現在の前照灯のスイッチの位置情報をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0019】
ナビゲーション手段8はカーナビゲーションの地図データとロケーション機能で構成される。ナビゲーション手段8はパッシング内容判定装置1と接続される。ナビゲーション手段8は自車両の前方の所定範囲内の道路状況を取得し、この道路状況をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0020】
ウインカスイッチ手段9は車両のウインカスイッチの位置を示すスイッチで構成される。ウインカスイッチ手段9は、パッシング内容判定装置1に接続される。ウインカスイッチ手段9は、現在のウインカスイッチの位置情報をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0021】
車速検出手段10は、車両の速度メータなどで構成される。車速検出手段10は、パッシング内容判定装置1に接続される。車速検出手段10は、自車両の速度情報をパッシング内容判定装置1に出力する。
【0022】
次に、パッシング内容判定装置1の内部構成について詳細に説明する。
【0023】
パッシング内容判定装置1は、画像取得手段20と、画像処理手段21と、画像認識手段22と、記憶手段23と、自車両情報取得手段24と、判定手段25と、報知出力手段26とを備える。
【0024】
画像取得手段20はコネクタで構成される。画像取得手段20は、前方撮影手段2と、後方撮影手段3と、画像処理手段21に接続される。画像取得手段20は、前方撮影手段2と後方撮影手段3から取得した撮影映像を画像処理手段21へ出力する。
【0025】
画像処理手段21はCPU(CentralProcessingUnit)とメモリ素子と不揮発性メモリ素子で構成される。画像処理手段21は、画像取得手段20と、画像認識手段22に接続される。画像処理手段21の不揮発性メモリ素子には画像処理のプログラムとデータが記録される。画像処理手段21は、エンジンONにより処理を開始する。画像処理手段21は、画像取得手段20から取得した自車両前後の撮影画像の各々をフィルタ処理、エッジ処理によってノイズ除去処理する。そして、画像処理手段21は、この処理画像における平均輝度よりも高輝度の部分をこの処理画像から検出する高輝度検出処理を行う。さらに高輝度検出した画像と、高輝度検出する前の画像と、高輝度検出した後の画像から車両形状を抽出するため、輪郭強調処理を行う。ここで、輪郭強調処理による形状抽出に際しては画像により異なる閾値が設定されている。画像処理手段21は、ノイズ除去処理された自車両前後の撮影画像とこの高輝度検出処理によって検出された高輝度部分の情報とを画像認識手段22に出力する。
【0026】
画像認識手段22はCPUとメモリ素子と不揮発性メモリ素子で構成される。画像認識手段22は、画像処理手段21と、判定手段25に接続される。画像認識手段22の不揮発性メモリ素子には画像認識のプログラムとデータが記録される。画像認識手段22は、
画像処理手段21から自車両前後の撮影画像とこの撮影画像における高輝度部分の情報の入力により処理を開始する。画像認識手段22は、自車両前後の撮影画像において、高輝度部分が前照灯と同じ位置に存在するか否か、輪郭強調処理により車両の形状か否かを認識する。ここで、輪郭強調処理による形状認識に際しては昼夜で異なる閾値が設定されている。さらにパッシングのときには前照灯の光によって車両の形状が認識されにくい。そこで、画像認識手段22は、パッシングの前後のタイミングの撮像画像から認識した輪郭データを用いて車両の形状を認識する。そして、画像認識手段22は、この認識結果から他車両からのパッシングの有無を認識する。また、画像認識手段22は、自車両前後の撮影画像において一定時間で点滅している橙色部分を灯火しているウインカを認識し、二値化によって路上の横断歩道標示、車線、自車両の走行車線位置を認識し、全体の平均輝度より昼夜を認識する。画像認識手段22は、これらの認識結果を判定手段25に出力する。
【0027】
記憶手段23は、不揮発性メモリで構成され、判定手段25と接続する。記憶手段23は、自車両情報とパッシング内容とを対応付けたデータテーブルを記憶する。図2は、記憶手段23に記憶される自車両情報とパッシング内容とを対応付けたデータテーブルを説明する図である。
【0028】
図2に示すように、パッシング判定用のデータテーブルは、横軸に入力情報、縦軸に判定内容が設定される。このデータテーブルは、入力情報が増えた場合、横方向に拡張される。そして、判定情報の検索範囲が広げられる。また、このデータテーブルは、判定の種類が増えた場合、縦方向に拡張される。そして、判定情報の検索範囲が広げられる。
【0029】
自車両情報取得手段24は、コネクタで構成される。自車両情報取得手段24は、シフトギアスイッチ手段6と、前照灯スイッチ手段7と、ナビゲーション手段8と、ウインカスイッチ手段9と、車速検出手段10と、判定手段25に接続される。自車両情報取得手段24は、シフトギアスイッチ手段6、前照灯スイッチ手段7、ウインカスイッチ手段9のスイッチ情報を判定手段25へ出力する。また、ナビゲーション手段8で取得した地域情報、及び地図情報を判定手段25に出力する。また、車速検出手段10の車速情報を判定手段25へ出力する。
【0030】
判定手段25はCPUとメモリ素子と不揮発性メモリ素子で構成される。判定手段25は画像認識手段22と、記憶手段23と、自車両情報取得手段24と、報知出力手段26とに接続する。判定手段25の不揮発性メモリ素子には判定処理のプログラムとデータが記録される。判定手段25はエンジンONにより自車両情報取得手段24からの入力処理を開始し、画像認識手段22から認識結果が入力されると判定処理を開始する。判定手段25は、自車両情報取得手段24から入力された各種自車両の情報と、このパラメータに関する記憶手段23から読み出したパラメータテーブルとを用いて、優先順位の高いパラメータからパッシングの意味の判定を行う。判定手段25にて導き出されたパッシングの意味に基づいた報知出力手段26に出力される。
【0031】
報知出力手段26はコネクタで構成される。報知出力手段26は、報知手段4と、判定手段25に接続される。報知出力手段26は、判定手段25から出力される報知命令を報知手段4へ出力する。
【0032】
尚、各処理手段のCPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリは各々設けてもよいしまとめて1つのCPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリで処理してもよい。
【0033】
次に、本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置の動作について説明する。
【0034】
図3は本発明の実施形態におけるパッシング内容判定装置の動作を説明するフローチャート図である。
【0035】
ステップS10に示すように、画像取得手段20は前方撮影手段2が撮影した自車前方の画像と後方撮影手段3が撮影した自車後方の画像を入力する。自車両情報取得手段24は、シフトギアスイッチ手段6のシフトギアの位置情報と、前照灯スイッチ手段7のスイッチの位置情報と、ナビゲーション手段8の進行方向前方の道路形状情報と、ウインカースイッチ手段9のウインカーのスイッチ位置情報と、車速検出手段10の車速情報を取得する。
【0036】
次に、ステップS11に示すように、画像処理手段21は、画像取得手段20から取得した自車両の前方撮像画像、及び、自車両の後方撮影画像の画像処理を行う。
【0037】
次に、ステップS12に示すように、画像認識手段22は、画像処理手段21から入力された自車両の前方撮像画像、及び、自車両の後方撮影画像の認識処理を行う。
【0038】
次に、ステップS13に示すように、判定手段25は、画像認識手段22から入力された画像認識結果に基づいて他車両からのパッシングの有無を判定する。他車両からのパッシングが無いと判定手段25が判定した場合(ステップS13でNOの場合)、ステップS10の処理が繰り返される。他車両からのパッシングが有りと判定手段25が判定した場合(ステップS13でYESの場合)、ステップS14に示すように、判定手段25は、記憶手段23からデータテーブルを読み出す。そして判定手段25は、自車両情報取得手段24から入力された自車両情報と読み出したデータテーブルとを比較し、入力された自車両情報に対応する他車両からのパッシングの内容を判定する。
【0039】
そして、ステップS15に示すように、判定手段25は、報知出力手段26を介してパッシングの内容に応じた報知命令を報知手段4に行う。報知手段4は、判定手段25からの命令に応じて自車両の運転者に報知を行う。また、報知手段4は、他車両からのパッシングに対して、この他車両の運転者を含む外部に報知を行ってもよい。最後に、ステップS10に戻り処理を繰り返す。
【0040】
次に、ステップS11の画像処理について詳細に説明する。
【0041】
図4は、図3のステップS11の画像処理を説明するフローチャート図である。
【0042】
ステップS20に示すように、画像処理手段21は、画像取得手段20から取得した自車両前方の撮影画像のノイズを除去し平均輝度を算出する。
【0043】
次に、ステップS21に示すように、画像処理手段21は、ステップS20で処理した処理画像に二値化処理を実施し、横断歩道、走行車線などの白線を強調する。
【0044】
次に、ステップS22に示すように、画像処理手段21は、ステップS20でノイズ除去処理した処理画像から所定の閾値以上の輝度領域を抽出する。なお、画像処理手段21は、この所定の閾値をステップS20で算出した平均輝度から算出し設定する。この抽出された輝度領域は、他車両のパッシングの候補を意味する。
【0045】
次に、ステップS23に示すように、画像処理手段21は、ステップS22で処理した処理画像から階調変換した画像を輪郭強調処理し、物体の輪郭を強調する。ステップS23の処理は、画像認識手段22が他車両を認識するために行われる。
【0046】
次に、ステップS24に示すように、画像処理手段21は、橙色系の抽出処理を実施する。ステップS23の処理は、画像認識手段22がウインカの点灯を検出するために行われる。
【0047】
次に、ステップS12の認識処理について詳細に説明する。
【0048】
図5は、図3のステップS12の認識処理を説明するフローチャート図である。
【0049】
ステップS30に示すように、画像認識手段22は、ステップS24の処理結果に基づいて橙色系の定期的な点滅発光した他車両が自車両周囲に存在するか認識処理を行う。
【0050】
ステップS30でYESの場合、画像認識手段22は、ウインカ検出状態のフラグを立てる。そして、画像認識手段22は、ステップS23の処理結果に基づいて輪郭強調された他車両の形状と左右いずれの方向のウインカであるかを認識する。一方、ステップS30でNOの場合、画像認識手段22は、ステップS32の処理を実行する。
【0051】
ステップS32に示すように、画像認識手段22は、自車両前方の撮影画像及び自車両後方の撮影画像のうち、ステップS23で輪郭強調された領域の画像とステップS22で抽出された輝度領域の画像とをそれぞれ重畳する。画像認識手段22は、所定時間、この重畳画像における輝度領域が輪郭強調によって抽出された他車両内に存在し、その後さらに所定時間、高輝度状態でなくなったとき、他車両がパッシングしたことを認識する。ステップS32でNOの場合、処理を終了する。一方、ステップS32でYESの場合、ステップS33に示すように、画像認識手段22は、パッシングを認識した領域の撮像画像の位置から対向車、後続車、右進入車、左進入車のいずれであるかを認識する。
【0052】
次に、ステップS34に示すように、画像認識手段22は、ステップS21の処理結果に基づいて自車両の前方に横断歩道のマークの存在を認識する。
【0053】
次に、ステップS35に示すように、画像認識手段22は、ステップS21の処理結果に基づいて自車両の前方より右側の車線を認識する。そして、画像認識手段22は、この白線のさらに右側にある車線を認識し、両車線間の幅により、右側に車線があるか否かを認識する。画像認識手段22は、認識した車線の幅が規定値以下の場合、現在走行している車線を右車線と認識する。
【0054】
次に、ステップS14のテーブル処理について詳細に説明する。
【0055】
図6は、図3のステップS14のテーブル処理を説明するフローチャート図である。
【0056】
ステップS40に示すように、判定手段25は、図2に示されるパッシング判定用のデータテーブルの検索項目の範囲を全体(図2のC0〜C10)に設定する。
【0057】
ステップS41に示すように、判定手段25は、ステップS40で設定された検索項目に関して、入力された各種自車両の情報と合致するか否か判定する。例えば、判定手段25は、データテーブルに基づいて、検索項目の左側から順に(C0からC10にかけて)、入力された自車両の情報があるか確認する。判定手段25は、データテーブルの検索項目の左端から右側に向かって確認を進める。そして、判定手段25は、徐々に判定範囲を狭めていき、判定条件が全て一致した行の判定内容をパッシングの意味と判定する。条件が当てはまらない場合、判定手段25は、このデータテーブルでは判別不可能と判断する。なお、パッシングの意味が地域によって異なる判定をされる可能性に鑑み、記憶手段23への図示しない書き込み手段をさらに設けて、データテーブルをカスタマイズできるよ
うにされてもよい。
【0058】
ステップS41でYESの場合、ステップS42に示すように、判定手段25は、データテーブルの各検索項目についてそれぞれ対応する判定情報と合致する列を検索範囲内で検索して、該当する項目があるか判定する。ステップS42でYESの場合、判定手段25は、ステップS43に示すように検索項目の範囲を1項目ずつ狭める。例えば、判定手段25は、図2のC0を検索して「対向車」を検索した場合、C0の相手車両の項目が「対向車」となっている判定結果の行を次回以降の検索範囲として、検索項目を右側のC1に1つ移す。そしてステップS43に示すように、判定手段25は、図2のC1〜C10を検索範囲に設定する。そして、判定手段25は、再度ステップS41を行う。
【0059】
一方、ステップS41でNOの場合、判定手段25は、ステップS44に示すとおり、検索結果よりが判定情報と一致した項目が一項目になっているか判断する。ステップS44でYESの場合、ステップS45に示すように、判定手段25は、この残った一項目の検索結果をパッシングの意味として特定する。例えば「対向車」からのパッシングで自車両の前照灯がハイビームだった場合、判定手段25は、C0の項目が「対向車」、C1の項目が「ハイ」(ハイビーム)である判定結果の行を図2に示されるデータテーブルから抽出する。このとき、判定手段25は、データテーブルでC2以降は「判定不要」になっていること、データテーブルの他の行でC0、C1の項目と判定情報が合致する行がないこと、から、「前照灯のハイビーム」がパッシングの意味であると判定する。
【0060】
ステップS42でNOの場合、およびステップS43でNOの場合、ステップS46に示すように、判定手段25は、パッシングの意味がこのデータテーブルに示されている意味に該当せず、その他の理由であると判定して処理を終了する。
【0061】
なお、本実施形態では、記憶手段23が図2に示されるデータテーブルを記憶し、判定手段25は、自車両情報取得手段24が取得した自車両の情報とこのデータテーブルとに基づいて他車両からのパッシングの内容を判定したが、自車両情報取得手段24が取得した自車両の情報のみによってパッシングの内容を判定してもよい。すなわち、判定手段25は、自車両情報取得手段24が取得した自車両の情報の種別ごとに都度条件判定を行ってパッシングの内容を判定してもよい。但し、データテーブルを用いる方が、パッシングの意味が変化した場合などにデータ更新がしやすいためメンテナンス性が良く、判定情報の増減にも対応しやすい。
【0062】
以上のように、本発明によれば、画像認識手段22が他車両からのパッシングを認識したとき、自車両情報取得手段24が取得した自車両の情報に基づいて他車両からのパッシングの内容を判定手段25が判定する。このため、パッシング内容判定装置1は、パッシングの状況を分析し、最も可能性の高い原因を推定して自車両や他車両の運転者に報知手段4を介してパッシングの意味を伝えることができる。これによって、運転者の運転に対する不安を低減するとともに、運転者は迷うことなく安全運転に集中することができる。さらに、交通をスムーズにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のパッシング内容判定装置は、他車両からパッシングをされたときにパッシングの意味を特定する際に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 パッシング内容判定装置
2 前方撮影手段
3 後方撮影手段
4 報知手段
5 自車両情報検知手段
20 画像取得手段
21 画像処理手段
22 画像認識手段
23 記憶手段
24 自車両情報取得手段
25 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周囲の撮影画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段が取得した撮影画像から他車両からのパッシングの有無を認識する画像認識手段と、
自車両の情報を取得する自車両情報取得手段と、
前記画像認識手段が前記他車両からのパッシングを認識したとき、前記自車両情報取得手段が取得した自車両の情報に基づいて前記他車両からのパッシングの内容を判定する判定手段を備えたことを特徴とするパッシング内容判定装置。
【請求項2】
前照灯のスイッチの位置を取得する前照灯スイッチ手段と、
進行方向の道路状況を取得する道路状況取得手段と、
自車のウインカスイッチの位置を取得するウインカスイッチ手段と、
自車の車速を取得する車速検出手段と
から構成された自車両情報検知手段をさらに備え、
この自車両情報検知手段は、検知した自車両の情報を前記自車両情報取得手段に入力することを特徴とする請求項1に記載のパッシング内容判定装置。
【請求項3】
前記自車両情報検知手段は、シフトギアの位置を検出するシフトギアスイッチ手段をさらに備え、
前記判定手段は、自車両前方または後方の前記他車両からのパッシングの内容を判定することを特徴とする請求項2に記載のパッシング内容判定装置。
【請求項4】
自車両周囲を撮影して前記画像取得手段に撮影画像を入力する撮影手段をさらに備え、この撮影手段は、少なくとも自車両前方または後方を撮像することを特徴とする請求項3に記載のパッシング内容判定装置。
【請求項5】
前記判定手段が前記他車両からのパッシングを判定した場合に外部に報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のパッシング内容判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−177997(P2012−177997A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39775(P2011−39775)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】