説明

パテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び壁の施工方法

【課題】下地用パテが乾燥するまで待つ時間ロスを無くして、工期を短縮できるパテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法を提供する
【解決手段】建築物の壁部の構築前に、工場にて、前記石膏ボード2の表面2aに予め略均一厚さcでパテ材3が塗布される。ストックヤードで2,3日養生されたパテ付きボード1は、施工現場まで搬送されて、該下地処理材が略乾燥状態で、石膏ボード2が、前記壁部に釘等を用いて貼設される。釘頭は約3mm程度埋め込まれるように打たれる。この釘頭の部分は、仕上げ用パテが盛られて処理される。仕上げ用パテの盛られる面積は小さいので、短時間で乾燥する。次に、約1m程度の長尺状の定規をあてて、高くなっている箇所をサンダー等で調整する。この調整でも調整しきれなかった箇所は、仕上げ用パテ材で仕上げ施工が行われる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に、ユニット建物等、建築物に用いられるパテ付きボード、壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の建築物の壁部の表面処理としては、壁部に貼設された石膏ボードの表面処理工程がある。
【0003】このようなものでは、パネル本体としての石膏ボードと石膏ボードとの段差が、施工現場でパテ処理される。このパテ処理では、まず、下地用パテが、平板状の石膏ボード表面に塗布される。
【0004】下地用パテは、2,3日かけて乾燥させ、高低差を略無くした後、仕上げ用パテが再度、この下地用パテの表面に塗布される。
【0005】そして、下地用パテ及び仕上げ用パテが完全に乾燥してから、サンダー等を用いて最終的な調整を行うようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の壁部の表面処理では、まず、下地用パテが、平板状の石膏ボード表面に塗布されてから、この下地用パテが乾燥するまで、2,3日かかる。
【0007】このため、下地用パテが乾燥するまで、次の作業工程に進むことが出来ず、壁部の施工全体の工期が長くなってしまうといった問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、下地用パテが乾燥するまで待つ時間ロスを無くして、工期を短縮できるパテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、略平板状のパネル本体の表面に、予め略均一厚さで、パテ材が塗布され、略乾燥されてなるパテ付きボードを特徴としている。
【0010】このように構成された請求項1記載のものでは、予め略均一厚さで、略平板状のパネル本体の表面にパテ材が、塗布されて、略乾燥されているので、建築物の壁部に、貼設する際、直ちに仕上げ用パテ又は表面仕上げ塗装を施工することが出来る。
【0011】また、請求項2に記載されたものでは、前記パテ材の乾燥後の塗り厚を2〜10mmとする請求項1記載のパテ付きボードを特徴としている。
【0012】このように構成された請求項2記載のものでは、前記パテ材の乾燥後の塗り厚が、2〜10mmであるので、例えば、サンダー等を用いて切削し、周囲の高さと合うように調整できる。
【0013】更に、請求項3に記載されたものでは、前記パネル本体を建築物壁部に貼設させてなる請求項1記載のパテ付きボードを用いた壁を特徴としている。
【0014】このように構成された請求項3に記載されたものでは、前記パネル本体が建築物壁部に貼設されることにより、壁部に下地処理材が同時に設けられる。
【0015】また、請求項4に記載されたものでは、請求項1記載のパテ付きボードを建築物壁部に貼設し、該パテ付きボード間の段差を該パテ材を削ることで解消する壁の施工方法を特徴としている。
【0016】このように構成された請求項4記載のものでは、パテ付きボードが、建築物壁部に貼設された後、直ちに該パテ付きボード間の段差を該パテ材を削ることで解消する事が出来る。
【0017】このため、直ちに仕上げ用パテ材による仕上げ施工或いは仕上げ塗装を施すことが出来、従来のように下地用パテが乾燥するまで待つ時間ロスを無くして、工期を短縮できる。
【0018】
【発明の実施の形態1】以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0019】図1及び図2は、この発明の実施の形態1のパテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法を示すものである。
【0020】まず、構成を説明すると、図1中に示すパテ付きボード1では、略平板状のパネル本体としての石膏ボード2の表面2aに、予め略均一厚さcで、下地処理材としてのパテ材3が塗布されている。
【0021】前記このパテ材3は、液状のパテ材を略乾燥させたもので、実施の形態1では前記石膏ボード2の厚さbを12.5mmとして、このパテ材3の塗布される厚さcを3mmとすることにより、全体の厚さaを合計約15.5mmとしている。
【0022】次に、この実施の形態1のパテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法の作用について施工順序に沿って説明する。
【0023】この実施の形態1では、建築物の壁部の構築前に、工場にて、前記石膏ボード2の表面2aに予め略均一厚さcでパテ材3が塗布される。
【0024】ストックヤードで2,3日養生された前記パテ付きボード1は、施工現場まで搬送されて、該下地処理材が略乾燥状態で、前記石膏ボード2が、前記壁部に釘等を用いて貼設される。釘頭は約3mm程度埋め込まれるように打たれる。
【0025】この釘頭の部分は、通常の如く仕上げ用パテが盛られて処理される。仕上げ用パテの盛られる面積は小さいので、短時間で乾燥する。
【0026】次に、約1m程度の長尺状の定規をあてて、高くなっている箇所をサンダー等で切削等行い周囲の高さに合わせるように調整される。厚みの足りない部分は通常の如く、仕上げ用パテ材で仕上げ施工が行われる。
【0027】このように、予め略均一厚さcで、略平板状の石膏ボード2の表面2aにパテ材3が、塗布されているので、建築物の壁部に、貼設する際、直ちに仕上げ用パテ又は表面仕上げ塗装を施工することが出来る。
【0028】また、下地処理材として、通常の液状のパテ材を用いても、工期を短縮できるので、施工コストを増大させる虞がない。
【0029】更に、前記石膏ボードが建築物壁部に貼設されることにより、壁部にパテ材によって構成される下地処理材層が同時に設けられる。この点においても、工期が短縮される。
【0030】また、建築物壁部の構築前に、前記石膏ボード2の表面2aに予め略均一厚さcでパテ材3が塗布されて、このパテ材3が略乾燥状態で、石膏ボード2が前記壁部に貼設される。
【0031】このため、直ちに仕上げ用パテ材で仕上げ施工を施すことが出来、従来のように下地用パテが乾燥するまで待つ時間ロスを無くして、工期を短縮できる。
【0032】以上、本発明の実施の形態1のパテ付きボード、該パテ付きボードを用いた壁及び該パテ付きボードを用いた壁の施工方法を図を用いて説明してきたが、本発明は、前記実施の形態1に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0033】例えば、前記実施の形態1パテ付きボードでは、パネル本体として石膏ボードを用いたものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、木製ボード等、略平板状のものであるならば、材質、形状、大きさが特に限定されるものではなく、また、パテの厚さ等が特に限定されるものでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、予め略均一厚さで、略平板状のパネル本体の表面にパテ材が、塗布されて、略乾燥されているので、建築物の壁部に、貼設する際、直ちに仕上げ用パテ又は表面仕上げ塗装を施工することが出来る。
【0035】また、請求項2に記載されたものでは、前記パテ材の乾燥後の塗り厚が、2〜10mmであるので、例えば、サンダー等を用いて切削し、周囲の高さと合うように調整できる。
【0036】更に、請求項3に記載されたものでは、前記パネル本体が建築物壁部に貼設されることにより、壁部に下地処理材が同時に設けられる。
【0037】また、請求項4に記載されたものでは、パテ付きボードが、建築物壁部に貼設された後、直ちに該パテ付きボード間の段差を該パテ材を削ることで解消する事が出来る。
【0038】このため、直ちに仕上げ用パテ材による仕上げ施工或いは仕上げ塗装を施すことが出来、従来のように下地用パテが乾燥するまで待つ時間ロスを無くして、工期を短縮できる、という実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるパテ付きボードの構成を説明する側面図である。
【図2】実施の形態1で、パテ付きボードの構成を説明する平面図である。
【符号の説明】
1 パテ付きボード
2 石膏ボード(パネル本体)
2a 表面
3 パテ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】略平板状のパネル本体の表面に、予め略均一厚さで、パテ材が塗布され、略乾燥されてなることを特徴とするパテ付きボード。
【請求項2】前記パテ材の乾燥後の塗り厚を2〜10mmとすることを特徴とする請求項1記載のパテ付きボード。
【請求項3】前記パネル本体を建築物壁部に貼設させてなることを特徴とする請求項1記載のパテ付きボードを用いた壁。
【請求項4】請求項1記載のパテ付きボードを建築物壁部に貼設し、該パテ付きボード間の段差を該パテ材を削ることで解消することを特徴とする壁の施工方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】特開2001−90250(P2001−90250A)
【公開日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−272708
【出願日】平成11年9月27日(1999.9.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(596135951)株式会社セキスイハーモネート施工技術センター (1)
【Fターム(参考)】