説明

パネルの樹脂塗布方法、ディスプレイ用パネルの製造方法及び樹脂塗布装置

【課題】液晶セル等、ディスプレイ用パネルを反転させずに下基板のエッジ部と接続基板の下面との間に樹脂を円滑かつ確実に供給する。
【解決手段】樹脂の塗布ステージには、2組のディスペンサ20,40が設けられている。ディスペンサ20は液晶セル1における上部側角隅部に、またディスペンサ40は下部側角隅部に向けて樹脂を供給する。ディスペンサ40は、シリンジ41と針状ノズル42とを有し、針状ノズル42は下部側角隅部に向けて斜め上方に樹脂を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置等におけるディスプレイ用のパネルに接続した接続基板を補強するために、このパネルの基板接続部に樹脂を塗布する方法及びこのようにして樹脂を塗布することを特徴とするディスプレイ用パネルの製造方法、さらにパネルの基板接続部に樹脂を塗布する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶ディスプレイ装置におけるディスプレイ用のパネルは、上下2枚のガラス基板間に液晶を封入した液晶セルとして構成される。この液晶セルを構成する2枚のガラス基板のうち、一方のガラス基板(通常は下基板と呼ばれる)を他方のガラス基板(下基板に対して上基板と呼ばれる)よりサイズを大きくして、下基板の少なくとも2辺に駆動用の回路基板が接続される。この回路基板は印刷回路基板(PCB)から構成されるが、液晶ディスプレイ装置における額縁の幅を制限するために、印刷回路基板を折り曲げるようにして装着される。このために、液晶セルと印刷回路基板との間をフレキシブル基板で連結するが、このフレキシブル基板にはICが搭載されたものと、ICを下基板に搭載してフレキシブル基板には配線パターンのみを設けたもの等がある。
【0003】
図3に液晶セルと印刷回路基板との間にICを搭載したフレキシブル基板を接続したものを示す。図中において、1は液晶セルであって、この液晶セル1は共にガラス基板からなる下基板2と上基板3とを有し、例えばTFT型の液晶ディスプレイにあっては、下基板2はTFT基板であり、上基板3はカラーフィルタである。そして、これら両基板2,3間には液晶が封入されている。下基板2にはマトリックス状にトランジスタが形成されており、これらトランジスタに接続した配線7(図4参照)を引き出すために、下基板2は少なくとも相隣接する2辺において、所定の幅分だけ上基板3から張り出している。これら各配線7にはIC4aを搭載したフレキシブル基板4に設けた電極8(図4参照)と電気的に接続される。そして、フレキシブル基板4の他側の電極には印刷回路基板5が接続されている。ここで、下基板2の配線7は所定数を群として形成されており、フレキシブル基板4はこれら配線群毎に複数枚装着される。
【0004】
各々のフレキシブル基板4を下基板2に装着するに当って、図4に示したように、フレキシブル基板4に設けた電極8を下基板2に形成した配線7と電気的に接続するために、ACFテープ6を介して行われる。ACFテープ6は微小な導電粒子6aを粘着性のあるバインダ樹脂6bに分散させたものからなり、このACFテープ6は下基板2に、その配線7の部位を覆うように予め貼り付けられる。そして、フレキシブル基板4を下基板2に対して位置合わせして、ACFテープ6の上に装着して、熱圧着することによって、バインダ樹脂6bを熱硬化させて、フレキシブル基板4を下基板2に固着すると共に、導電粒子6aが配線7と電極8との間に挟持されるようになって、その間が電気的に接続されることになる。
【0005】
ここで、液晶セル1を構成する下基板2の張り出し部2aは、その大半がフレキシブル基板4により覆われているが、このフレキシブル基板4の端部と上基板3の端部との間には多少の隙間が生じている。この隙間の部位を樹脂で覆うことによって、配線7及び電極8を保護し、その間の隙間から異物等が侵入するのを防止する等の措置を図ることができる。具体的には、液晶セル1における下基板2の張り出し部2aと上基板3の端部との間の角隅部に向けて針状ノズルを有するディスペンサを配置して、液晶セル1とノズルとを相対移動させながら、ノズルから溶融した樹脂を前述した角隅部に塗布して、この樹脂を自然乾燥させるか、または紫外線等により硬化させるようにしている。
【0006】
ここで、液晶セルにおいて、下基板とフレキシブル基板との間ではなく、下基板と上基板との接合部の角隅部にディスペンサを用いて樹脂を塗布するようになし、このディスペンサを構成するニードルを上下の基板の角隅部に対して非接触状態に配置して、樹脂を供給しながらニードルを移動させるように構成したものは従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−305245号(第4頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ACFテープ6は所定の幅寸法を有するものであって、下基板2に貼り付けた状態では、この下基板2のエッジ部にまでは及ばないものとなっている。フレキシブル基板4は下基板2に重ねられるが、この重なり合った中間部分はACFテープ6で固着されるが、この固着部の両側に下基板2に単に当接しているだけの部分が存在する。このために、フレキシブル基板4が下基板2の表面から浮き上がる可能性があり、その間に異物が混入したり、またフレキシブル基板4またはこのフレキシブル基板4に接続した印刷回路基板5に外力が作用して剥離したりする可能性等がある。
【0009】
以上のことから、フレキシブル基板4の下面と下基板2の端部とで形成される角隅部に樹脂を供給して、フレキシブル基板4が下基板2から浮き上がらないようにするのがより望ましい。しかしながら、前述したディスペンサを使用して樹脂の供給を行うようにする場合には、まず液晶セル1に対して針状ノズルを下基板2の表面側における上基板3との角隅部に溶融した樹脂を供給した後、液晶セル1を反転させて、下基板2のエッジ部とフレキシブル基板の下面との間に針状ノズルを向けて、このノズルから溶融した樹脂を供給することになる。
【0010】
しかしながら、前述した方式では、液晶セル1を、その下基板2が下方に位置する状態から一度上向きとなるように反転させて、樹脂を供給した後に、再び上基板3が上方となるように再度反転させなければならない。従って、液晶セル1の反転機構を必要とするために、構成が複雑になるだけでなく、処理時間も長くなる等といった問題点がある。
【0011】
本発明は前述した課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、液晶セル等のディスプレイ用パネルを反転させずに下基板のエッジ部と接続基板の下面との間に樹脂を供給できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明において、ディスプレイ用パネルの端部側の表面に接続基板を部分的に重ね合わせて搭載した後に、前記パネルの端部から前記接続基板が導出する角隅部に樹脂を塗布する方法としては、前記接続基板の下方にディスペンサを配置して、前記パネルとディスペンサとを相対移動させながら、この接続基板とパネルの端面とで形成される下部側の角隅部に向けて樹脂を塗布する工程と、塗布された樹脂を乾燥させる工程とからなることをその特徴とするものである。
【0013】
ディスペンサはパネルと接続基板のエッジ部との間に対して斜め上方に向けて配置して樹脂を供給する。ディスペンサから供給される樹脂は溶融状態となっており、ある程度の粘性を有することから、このディスペンサをパネル及び接続基板に対して非接触状態で近接した位置から樹脂を供給することによって、確実に所定の位置に樹脂を供給することができる。
【0014】
ここで、接続基板は合成樹脂のボードに配線パターンと電子回路部品を搭載した印刷回路基板であってもよく、また電子回路部品を搭載するか否かはともかくとして折り曲げ可能なフレキシブル基板で構成することができる。そして、パネルの端部に所定のピッチ間隔で複数のフレキシブル基板が接続されるものである場合には、ディスペンサからはこれら各フレキシブル基板の接続部毎に間欠的に樹脂を塗布することになる。また、樹脂の塗布位置は角隅部の狭い領域に限定される場合には、ディスペンサによる樹脂の供給部としては、針状ノズルとする。樹脂を塗布するに当っては、パネル或いはディスペンサのいずれかを移動させるが、パネルを搬送手段に装着して、この搬送手段によって樹脂の塗布ラインの方向に向けて移動させるようになし、ディスペンサから接続基板の下面に向けて樹脂を供給することができる。
【0015】
また、本発明において、上下2枚の基板からなり、下基板の少なくとも2辺が上基板より張り出しており、この下基板の張り出し部に所定のピッチ間隔をもって複数のフレキシブル基板が装着されたパネルに、下基板の張り出し部と上基板との間で形成される上部側角隅部、及び下基板の前記フレキシブル基板からの引き出し部の下部側角隅部に樹脂を塗布する方法としては、前記上部側角隅部と下部側角隅部とに、非接触状態となるように樹脂の塗布を行うディスペンサを配設し、前記パネルまたはディスペンサのいずれか一方を他方に対して相対移動させる間に、これら各ディスペンサから前記上部側及び下部側の各角隅部に向けて樹脂を塗布するようになし、上部側角隅部に対しては、前記パネルの全長にわたってほぼ均一に樹脂を塗布し、下部側角隅部に対しては、各フレキシブル基板の装着部毎に樹脂を塗布することをその特徴とする。
【0016】
以上のようにして樹脂が塗布された後に、さらに種々の工程を経ることによって、ディスプレイ用パネルが製造されるが、このように樹脂塗布において特徴のあるディスプレイ用パネルを製造する方法が請求項4の発明である。
【0017】
さらに、本発明において、ディスプレイ用パネルの端部側の表面に接続基板を部分的に重ね合わせて搭載した後に、前記パネルの端部から前記接続基板が導出する角隅部に樹脂を塗布するための装置の構成としては、前記パネルの端部と接続基板の下面との角隅部に向けて吐出口が開口するように斜め上方に向けて設けた針状ノズルと、溶融状態の樹脂が貯留され、下部側から樹脂が流出するシリンジと、前記シリンジと前記針状ノズルとの間に接続した樹脂の流路と、前記シリンジの液面を加圧することによって、樹脂を前記針状ノズルに圧送する加圧手段と、前記針状ノズルから樹脂の吐出及び吐出停止の制御を行う制御手段とを備えている。
【0018】
さらにまた、上下2枚の基板からなり、下基板の少なくとも2辺が上基板より張り出しており、この下基板の張り出し部に所定のピッチ間隔をもって複数のフレキシブル基板が装着されたパネルに、下基板の張り出し部と上基板との間で形成される上部側角隅部、及び下基板の前記フレキシブル基板からの引き出し部の下部側角隅部に樹脂を塗布する装置としては、前記上部側角隅部と下部側角隅部とに、非接触状態となるように樹脂の塗布を行うために、第1,第2のディスペンサが配設されており、これら第1,第2のディスペンサは、それぞれシリンジと針状ノズルとから構成され、前記下部側角隅部に樹脂を供給する第2のディスペンサは、前記シリンジの下部側から供給された樹脂を針状ノズルにより斜め上方に向けて方向転換させる流路が設けられており、前記パネルまたはディスペンサのいずれか一方を搬送手段により他方に対して相対移動させるようになし、上部側角隅部に対して樹脂を塗布する前記第1のディスペンサには、第1の制御手段により前記パネルの全長にわたってほぼ均一に樹脂を塗布するように制御し、下部側角隅部に樹脂を塗布する前記第2のディスペンサには、第2の制御手段により各フレキシブル基板の装着部毎に樹脂を塗布するように制御する構成としたことをその特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2に基づいて本発明の実施の一形態を参照して詳細に説明する。図1において、図3で示したと同じ部材については同一の符号を用いている。而して、下基板2と上基板3とからなる液晶セル1には、IC4aを搭載したフレキシブル基板4が接続されており、この状態で、液晶セル1は位置調整台10に設けたテーブル10a上に真空吸着等の手段で固定的に保持されている。そして、位置調整台10は搬送手段として、ねじ軸11aと、ガイドレール11bとからなるリニアガイド手段11によって、図1の紙面と直交する方向に搬送されるようになっている。同図には樹脂の塗布ステージが示されており、図示は省略するが、この塗布ステージの手前側には液晶セル1の位置決めを行うステージが設けられている。
【0020】
樹脂の塗布ステージには、2組のディスペンサ20,40が設けられている。ディスペンサ20(第1のディスペンサ)は液晶セル1における上基板3の端面と下基板2の張り出し部2aとの間における上部側角隅部に向けて樹脂を供給するものであり、またディスペンサ40(第2のディスペンサ)は下基板2の端面とフレキシブル基板4の下面との角隅部、つまり下部側角隅部に向けて樹脂を供給するためのものである。
【0021】
ディスペンサ20,40は、溶融状態の樹脂が導入されるシリンジ21,41と、これらシリンジ21,41から液晶セル1に向けて樹脂を供給する針状ノズル22,42とを備えている。また、シリンジ21,41に樹脂を補給するために、樹脂液タンク23,43が設けられており、これら樹脂液タンク23,43とシリンジ21,41との間には配管24,44が接続されている。また、これらの配管24,44の途中には制御弁25,45が設けられており、さらにシリンジ21,41には液面センサ32,56が装着されている。従って、液面センサ32,56によって、シリンジ21,41内の樹脂が所定レベル以下になると、制御弁25,45を開いて、樹脂液タンク23,43からシリンジ21,41に樹脂の補給が行われるようになっている。なお、樹脂液タンク23,43には加熱手段(図示せず)が設けられて、樹脂の粘度を一定に保つようにしている。また、必要に応じてシリンジ21,41にも内部の樹脂の粘度を調整するための加熱手段を設けるのが望ましい。
【0022】
シリンジ21,41から液晶セル1に樹脂を供給するために、これらシリンジ21,41内の液面を加圧する手段が接続されている。この手段は、図示しない不活性ガスボンベ等からなる不活性ガス供給源とシリンジ21,41内の液面上とを結ぶ配管29,49と、これら配管29,49の途中に設けた制御器30,50とから構成される。制御器30,50は、シリンジ21,41から針状ノズル22,42を介して液晶セル1に向けて吐出される樹脂の圧力(及び流量)を制御すると共に、供給及び供給停止の制御も行われる。樹脂の吐出圧制御は不活性ガス(具体的には、例えば窒素ガス)の供給圧により、またその供給及び供給停止の制御は配管29,49を介してシリンジ21,41内に圧力を供給する状態と、圧力の供給を遮断する状態とに切り換えることにより行われる。
【0023】
さらに、樹脂液タンク23,43からシリンジ21,41への樹脂補給を行うためにも、樹脂液タンク23,43の液面への加圧を行うようにしている。このために、樹脂液タンク23,43には、その樹脂液の液面上に臨むように配管27,47が接続されており、これら配管27,47の他端には不活性ガス(窒素ガス)の供給源に接続されている。そして、樹脂液タンク23,43からシリンジ21,41に樹脂の補給を行う際に、その吐出圧を制御するために、吐出圧制御器28,48が設けられている。ここで、好ましくは、樹脂液タンク23,43における液面は常時加圧状態に保持される。その結果、液面センサ32,56によってシリンジ21,41内の液面レベルが僅かに低下する毎に制御弁25,45を開いて、これらシリンジ21,41内に樹脂を補給できるようになり、もってシリンジ21,41の液面レベルをほぼ一定に制御される。
【0024】
ディスペンサ20における針状ノズル22は斜め下方を向いており、従って針状ノズル22はシリンジ21に直結される。そして、針状ノズル22の先端吐出部の位置及びその角度を調整するために、この針状ノズル22に直結したシリンジ21は位置調整手段31に取り付けられており、この位置調整手段31によって、針状ノズル22の先端吐出部の位置調整を行うことができるようになっている。
【0025】
一方、ディスペンサ40における針状ノズル42は、その先端吐出部はフレキシブル基板4の下面において、下基板2の端面との間の角隅部に向けられることから、斜め上方に向けられる。これに対して、シリンジ41は液面が加圧される関係から、その樹脂の供給部は下方に向けられる。従って、シリンジ41から針状ノズル42への樹脂の供給流路は、シリンジ41の下端部から斜め上方に向けられている針状ノズル42に向けて方向転換させなければならない。このために、針状ノズル42はシリンジ41に直結することができず、シリンジ41と針状ノズル42との間には、樹脂の供給流路として可撓性を有するチューブ51により接続されている。シリンジ41は、シリンジ21と同様に位置調整手段52に取り付けられているが、さらに針状ノズル42はこの位置調整手段52に設けたスイングアーム53の先端における手首部54に連結されている。そして、位置調整手段52の下部位置には溶剤タンク55が設けられている。針状ノズル42から樹脂の吐出及び吐出停止を繰り返す間には、上方を向いた針状ノズル42の吐出口周辺に樹脂が溜まることになる。そこで、適宜針状ノズル42は溶剤タンク55に浸漬させることによって、針状ノズル42の先端部をクリーニングできるようになっている。
【0026】
さらに、図1において、26,46は樹脂液タンク23,43に装着され、これら樹脂液タンク23,43が最低液面となったことを検出する液面センサであり、樹脂液タンク23,43が最低液面となると警報を発して、樹脂の補給が要求されることになる。
【0027】
以上のように構成される樹脂の供給システムを用いて、液晶セル1への樹脂を塗布する方法について説明する。
【0028】
複数のフレキシブル基板4を装着した液晶セル1は、その下基板2が位置調整台10のテーブル10aに真空吸着された状態で固定され、位置決めステージにおいてこの液晶セル1が所定の位置となるように調整された上で、樹脂の塗布ステージにまで搬送される。樹脂の塗布ステージにおいては、位置調整手段31,52によりディスペンサ20,40の位置調整がなされており、位置調整台10において、位置調整がなされた液晶セル1が進行すると、ディスペンサ20,40を構成する針状ノズル22,42のそれぞれの吐出口が液晶セル1に対して所定の位置に対面する。つまり、針状ノズル22は上基板3の端面と下基板2の張り出し部2aとの間の上部側角隅部に、また針状ノズル42はフレキシブル基板4の下面部であって、それと下基板2の端部との間の下部側角隅部に対面する。
【0029】
ここで、針状ノズル22,42は前述した各角隅部に対して非接触状態であって、それらに近接した位置に保持される。そして、その離間距離は樹脂の塗布量とほぼ対応する。従って、樹脂の塗布量を多くする場合には、針状ノズル22,42を液晶セル1から離間させて高い吐出圧を作用させ、また塗布量を少なくする場合には、針状ノズル22,42を液晶セル1から離間させると共に樹脂の吐出圧を低くする。この角隅部との離間距離は針状ノズル22,42について、それぞれ位置調整手段31,52によって個別的に設定できる。
【0030】
ここで、下基板2と上基板3との間の上部側角隅部は、液晶セル1の全長に及ぶものであるから、液晶セル1と対面する位置から針状ノズル22から樹脂を吐出させ、液晶セル1が通過するまでこの上部側角隅部への樹脂の塗布状態を継続し、液晶セル1が通過すると、樹脂の吐出を停止させる。この制御は制御器30により行われるものであり、具体的には、樹脂の吐出を開始するには、シリンジ21の液面上を加圧する配管29を不活性ガス供給源と接続し、吐出を停止する場合には配管29と不活性ガス供給源との接続を遮断し、配管29の内部を密閉状態にする。
【0031】
一方、フレキシブル基板4は下基板2に対して所定のピッチ間隔をもって間欠的に装着されているので、下部側角隅部は間欠的なものとなる。従って、針状ノズル42がフレキシブル基板4と対面すると、この針状ノズル42から樹脂を吐出させ、フレキシブル基板4とそれに隣接するフレキシブル基板4との間の位置では樹脂の吐出を停止させる。この動作も、針状ノズル22と同様、配管49に設けた制御器50により制御される。
【0032】
ここで、針状ノズル42から吐出される樹脂は下基板2とフレキシブル基板4の引き出し部との接合部に限定する必要があり、下基板2の裏面側に回り込まないようにしなければならない。針状ノズル42における吐出口は斜め上方に向いていることから、吐出を停止したときには、この吐出口に樹脂が盛り上がるように付着する。そして、繰り返し吐出及び吐出停止を繰り返すと、樹脂の盛り上がり量が多くなってしまう。そこで、好ましくは1枚の液晶セル1に樹脂を塗布する毎に、また樹脂の粘度等によっては複数枚の液晶セル1に対する樹脂塗布毎に、スイングアーム53を作動させて、針状ノズル42の先端部分を溶剤タンク55に浸漬させて、その吐出口周辺に付着している樹脂を除去する。これによって、針状ノズル42からは確実に下基板2のフレキシブル基板4の引き出し部における接合部のみに樹脂が供給され、それ以外の部位に樹脂が付着するようなことはなくなる。
【0033】
前述したようにして、液晶セル1における下基板2の上部側における上基板3との間の上部側角隅部と、下部側とフレキシブル基板4との間の下部側角隅部とに樹脂が塗布されるが、この樹脂は溶融状態にあり、その粘性によりこれらの角隅部に付着している。そこで、後続の工程において、樹脂を硬化させる。この樹脂の硬化は自然乾燥によることもできるが、樹脂の硬化工程を迅速化するためには、供給される樹脂として紫外線等により硬化するものを用いるようになし、後続の工程で樹脂の塗布部に紫外線等を照射するのが望ましい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液晶セル等のディスプレイ用パネルを反転させずに下基板のエッジ部と接続基板の下面との間に樹脂を円滑かつ確実に供給できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す液晶セルへの樹脂塗布システムの構成説明図である。
【図2】液晶セルへの樹脂の塗布状態を示す作用説明図である。
【図3】ディスプレイ用パネルの一例としての液晶セルに、接続基板としてのフレキシブル基板及び印刷回路基板を接続した状態を示す平面図である。
【図4】図3において、液晶セルの下基板とフレキシブル基板との接合部の断面図である。
【符号の説明】
1 液晶セル
2 下基板 3 上基板
4 フレキシブル基板
5 印刷回路基板
10 位置調整台
11 リニアガイド手段
20,40 ディスペンサ
21,41 シリンジ
22,42 針状ノズル
23,43 樹脂液タンク
27,47 配管
30,50 制御器
31,52 位置調整手段
51 チューブ
53 スイングアーム
54 手首部
55 溶剤タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ用パネルの端部側の表面に接続基板を部分的に重ね合わせて搭載した後に、前記パネルの端部から前記接続基板が導出する角隅部に樹脂を塗布する方法であって、
前記接続基板の下方にディスペンサを配置して、前記パネルとディスペンサとを相対移動させながら、この接続基板とパネルの端面とで形成される下部側の角隅部に向けて樹脂を塗布する工程と、
塗布された樹脂を乾燥させる工程と
からなることを特徴とするパネルの樹脂塗布方法。
【請求項2】
前記接続基板はフレキシブル基板からなり、前記パネルの端部には、所定のピッチ間隔で複数のフレキシブル基板が接続されており、前記ディスペンサからはこれら各フレキシブル基板の接続部毎に間欠的に樹脂を塗布するようにしたことを特徴とする請求項1記載のパネルの樹脂塗布方法。
【請求項3】
上下2枚の基板からなり、下基板の少なくとも2辺が上基板より張り出しており、この下基板の張り出し部に所定のピッチ間隔をもって複数のフレキシブル基板が装着されたパネルに、下基板の張り出し部と上基板との間で形成される上部側角隅部、及び下基板の前記フレキシブル基板からの引き出し部の下部側角隅部に樹脂を塗布する方法であって、
前記上部側角隅部と下部側角隅部とに、非接触状態となるように樹脂の塗布を行うディスペンサを配設し、
前記パネルまたはディスペンサのいずれか一方を他方に対して相対移動させる間に、これら各ディスペンサから前記上部側及び下部側の各角隅部に向けて樹脂を塗布するようになし、
上部側角隅部に対しては、前記パネルの全長にわたってほぼ均一に樹脂を塗布し、
下部側角隅部に対しては、各フレキシブル基板の装着部毎に樹脂を塗布する
ことを特徴とするパネルの樹脂塗布方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパネルの樹脂塗布方法によって、前記接続基板とパネルの端面とで形成される下部側の角隅部に樹脂を塗布したパネルを用いて、ディスプレイ用パネルを製造することを特徴とするディスプレイ用パネルの製造方法。
【請求項5】
ディスプレイ用パネルの端部側の表面に接続基板を部分的に重ね合わせて搭載した後に、前記パネルの端部から前記接続基板が導出する角隅部に樹脂を塗布するための装置であって、
前記パネルの端部と接続基板の下面との角隅部に向けて吐出口が開口するように斜め上方に向けて設けた針状ノズルと、
溶融状態の樹脂が貯留され、下部側から樹脂が流出するシリンジと、
前記シリンジと前記針状ノズルとの間に接続した樹脂の流路と、
前記シリンジの液面を加圧することによって、樹脂を前記針状ノズルに圧送する加圧手段と、
前記針状ノズルから樹脂の吐出及び吐出停止の制御を行う制御手段と
から構成したことを特徴とするパネルの樹脂塗布装置。
【請求項6】
前記針状ノズルはスイングアームに装着され、この針状ノズルと前記シリンジとの間の流路を可撓性チューブで形成し、前記スイングアームを揺動させることによって、前記針状ノズルの吐出口を前記パネルの端部と接続基板の下面との角隅部に向ける状態と、この吐出口を溶剤タンクに浸漬させる状態とに変位可能な構成としたことを特徴とする請求項5記載のパネルの樹脂塗布装置。
【請求項7】
上下2枚の基板からなり、下基板の少なくとも2辺が上基板より張り出しており、この下基板の張り出し部に所定のピッチ間隔をもって複数のフレキシブル基板が装着されたパネルに、下基板の張り出し部と上基板との間で形成される上部側角隅部、及び下基板の前記フレキシブル基板からの引き出し部の下部側角隅部に樹脂を塗布するために、
前記上部側角隅部と下部側角隅部とに、非接触状態となるように樹脂の塗布を行うために、第1,第2のディスペンサが配設されており、
これら第1,第2のディスペンサは、それぞれシリンジと針状ノズルとから構成され、
前記下部側角隅部に樹脂を供給する第2のディスペンサは、前記シリンジの下部側から供給された樹脂を針状ノズルにより斜め上方に向けて方向転換させる流路が設けられており、
前記パネルまたはディスペンサのいずれか一方を搬送手段により他方に対して相対移動させるようになし、
上部側角隅部に対して樹脂を塗布する前記第1のディスペンサには、第1の制御手段により前記パネルの全長にわたってほぼ均一に樹脂を塗布するように制御されるものであり、
下部側角隅部に樹脂を塗布する前記第2のディスペンサには、第2の制御手段により各フレキシブル基板の装着部毎に樹脂を塗布するように制御される
構成としたことを特徴とするパネルの樹脂塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−205985(P2004−205985A)
【公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−377632(P2002−377632)
【出願日】平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願人】(000233480)日立電子エンジニアリング株式会社 (34)
【Fターム(参考)】