説明

パネル体取付部材、およびパネル体の取付構造

【課題】加工工数や部品点数の増加によりコストが上昇するのを低減しつつ、取付対象物に対してパネル体を安定的且つ容易に取り付けることが可能なパネル体取付部材、および、パネル体の取付構造を提供する。
【解決手段】パネル体5を受け入れるパネル受入位置と、受け入れたパネル体5を該パネル体5の厚さ方向両側から挟持するパネル挟持位置との間で変位可能な保持部11と、間仕切壁3の上端部3aに対して該上端部3aを挟み込んで取付可能な取付部12と、該取付部12と保持部11とを連係させる連係部13とを備え、取付部12は、上端部3aに取り付けられ拡開される拡開位置と、それ以外の拡開位置よりも閉じた閉位置との間で変位可能であり、連係部13は、取付部12が拡開位置にされたときに、保持部11をパネル挟持位置側に向かって押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネル体取付部材、およびパネル体の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスに設置される間仕切壁やデスク天板などにパネル体を取り付けることで、目隠し効果による作業性の向上を図ったり、限られた空間を区分して有効利用を図るものがある。
上記パネル体を取付対象物に取り付けるパネル体取付構造にあっては、取付対象物に対して着脱可能に構成されたパネル体取付部材に凹溝を形成し、この凹溝に対してパネル体を差し込むことでパネル体を被取付部に取り付ける方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、パネル体を保持する保持力を安定的に得るために、パネル体の厚さ方向でビス等の締結部材によりパネル体を挟み込んでパネル体とパネル体取付部材とを締結する方法(例えば、特許文献3〜5参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平07−023122号公報
【特許文献2】特開2007−186913号公報
【特許文献3】特開2006−265932号公報
【特許文献4】特開2007−182717号公報
【特許文献5】特開2003−013520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のパネル体の取付構造では、パネル体を凹溝に差し込む際に比較的大きな力が必要になったり、パネル体を取り付けるための締結部材が必要となり、また、締結部材などが外部に露出しないようにする化粧板などの部材を追加しなければならないなど構造が複雑化し、加工工数や部品点数が増加してコストが上昇してしまう。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加工工数や部品点数の増加によりコストが上昇するのを低減しつつ、取付対象物に対してパネル体を安定的且つ容易に取り付けることが可能なパネル体取付部材、および、パネル体の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
本発明に係るパネル体の取付構造は、取付対象物にパネル体を取り付けるパネル体取付部材において、前記パネル体を受け入れるパネル受入位置と、受け入れた前記パネル体を該パネル体の厚さ方向両側から挟持するパネル挟持位置との間で変位可能な保持部と、前記取付対象物の被取付部に対して該被取付部を挟み込んで取付可能な一対の取付部と、該取付部と前記保持部とを連係させる連係部とを備え、前記取付部は、前記被取付部に取り付けられ互いに拡開される拡開位置と、それ以外の拡開位置よりも互いに近接して配置された閉位置との間で変位可能であり、前記連係部は、前記取付部が拡開位置にされたときに、前記保持部を前記パネル挟持位置側に向かって弾性的に押圧することを特徴としている。
このように構成することで、受入位置にある保持部に対してパネル体を挿入し、この状態で、取付対象物の被取付部を挟み込むようにして取付部を取り付けると、取付部が拡開位置まで変位する。そして、取付部の変位に伴い、連係部が変位して、保持部をパネル挟持位置側に押圧する状態となり、この連係部の変位により保持部がパネル挟持位置側に変位して、パネル体が保持部によって挟持される。したがって、従来のように構成が複雑になり加工工数や部品点数が増加してコストが上昇するのを抑制しつつ、取付対象物に対してパネル体を安定的且つ容易に取り付けることが可能になる。
【0006】
さらに、本発明に係るパネル体取付部材は、上記パネル体取付部材において、前記保持部は、断面視凹状に形成され、前記連係部は、前記保持部の断面視凹状の開口縁部から前記パネル体の厚さ方向両外側に向かうとともに下方に向かって延びて形成され、前記連係部は、前記取付部が拡開位置のときに、前記保持部の開口縁部を閉じる方向に押圧するようにしてもよい。
このように構成することで、パネル体を凹状の保持部に挿入することで、パネル体の位置決めを容易に行うことができる。
【0007】
また、パネル体取付部材を被取付部に取り付けて、取付部が拡開位置まで変位されると、この取付部の変位により連係部の上部が内側に向かって傾動するように変位され、保持部の開口縁部が連係部によってパネル挟持位置側に押圧される。したがって、断面視凹状に形成された保持部の底部側の部分と比較して、内側に向かって変位し易い保持部の開口縁部を連係部によって弾性的に押圧できるので、同じ押圧力でより強固にパネル体を挟持することができる。
【0008】
さらに、本発明に係るパネル体取付部材は、上記パネル体取付部材において、前記保持部は、前記取付部が拡開位置と閉位置との何れの位置にある場合も、前記パネル体の厚さ方向両側から前記パネル体を押圧する押圧部を備え、該押圧部は、前記開口縁部よりも前記取付部側に設けられるようにしてもよい。
このように構成することで、パネル体を保持部に挿入した後に、取付部が拡開位置にされるまでの間にパネル体を仮止めすることができる。また、保持部の開口縁部よりも取付部側に押圧部を配置することで、連係部により押圧される位置とは異なる位置に押圧部を配置することができるため、取付部が拡開位置とされた場合には、連係部による押圧と押圧部による押圧との両方でパネル体を挟持することができる。
【0009】
さらに、本発明に係るパネル体取付部材は、上記パネル体取付部材において、前記連係部は、前記パネル体の厚さ方向両外側に向かうにつれて、下方に向かって傾斜するようにしてもよい。
このように構成することで、パネル体取付部材を取付対象物に取り付ける際の作業性を良好にすることができる。また、パネル取付状態における意匠性を良好にすることができる。
【0010】
本発明に係るパネル体の取付構造は、上記パネル体取付部材と、前記閉位置にある前記取付部よりも幅広な被取付部とを備え、前記受入位置にある前記保持部に前記パネル体が挿入され、前記取付部が拡開された状態で前記被取付部に取り付けられ、前記連係部により前記保持部がパネル挟持位置側に押圧され、前記パネル体が前記保持部によって挟持されていることを特徴としている。
このように構成することで、パネル体を保持部に挿入して取付部を被取付部に取り付けた状態で、取付部が拡開位置になり、連係部が保持部を押圧した状態になり、この連係部による保持部の押圧によりパネル体が保持部によって挟持され固定されることとなる。したがって、簡単な取付作業でパネル体を安定的に取付対象物に取り付けることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るパネル体の取付構造は、上記パネル体の取付構造において、前記被取付部は、一対の凹溝の垂下面を備えて構成されるようにしてもよい。
このように構成することで、天板上面などの平面に対して、垂下面を有する凹溝を形成することで、平面を取付面としてパネル体を立設することができる。
【0012】
さらに、本発明に係るパネル体の取付構造は、上記パネル体の取付構造において、前記被取付部は、前記取付対象物の一対の縦壁の垂下面を備えて構成されるようにしてもよい。
このように構成することで、間仕切壁等の狭幅な場所にパネル体を立設することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るパネル体の取付構造は、上記パネル体の取付構造において、前記パネル体取付部材の前記取付部は、その内側面に、内側に向かって突出する係止爪部を備え、前記垂下面は、前記被取付部に前記パネル体を取り付けた状態で、前記係止爪部に対向する位置に凹部を備えるようにしてもよい。
このように構成することで、被取付部に対してパネル体取付部材を取り付けた際に、係止爪部が凹部に入り込み、パネル体取付部材の取付対象物に対する着脱方向への変位を規制できるため、簡単な構成で確実且つ安定的にパネル体を立設することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るパネル体の取付構造によれば、受入位置にある保持部に対してパネル体を挿入し、この状態で、取付対象物の被取付部を挟み込むようにして取付部を取り付けると、取付部が拡開位置まで変位する。そして、この取付部の変位により連係部が保持部をパネル挟持位置側に変位させて弾性的に保持部を押圧する状態となり、この押圧力によりパネル体を保持部により挟持することができる。したがって、従来のように構成が複雑になり加工工数や部品点数が増加してコストが上昇するのを抑制しつつ、取付対象物に対してパネル体を安定的且つ容易に取り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態におけるパネル体を取り付けた間仕切壁の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるパネル体取付部材の正面図である。
【図3】上記パネル体取付部材の上面図である。
【図4】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図6】上記パネル体取付部材にパネル体を挿入した状態を示す側面図である。
【図7】上記パネル体取付部材を間仕切壁に取り付けた状態を示す側面図である。
【図8】この実施形態の第一変形例における図6に相当する側面図である。
【図9】この実施形態の第二変形例における図6に相当する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の実施形態におけるパネル体取付部材、および、パネル体の取付構造について図面を参照して説明する。なお、この実施形態においては、デスク1の天板2に立設された間仕切壁3にパネル体5を取り付ける場合を一例にして説明する。
図1に示すように、デスク1の天板2上には、取付対象物である平板状の間仕切壁3が立設され、この間仕切壁3の上端部3aには、その上辺に沿って十分な間隔を空けて、2つのパネル体取付部材4が取り付けられている。このパネル体取付部材4には、略平板状のパネル体5が、間仕切壁3を上方に延長する方向に延在して取り付けられている。パネル体5は、間仕切壁3の上辺に沿う方向に長い略矩形に形成されたアクリル板や板ガラスなどからなり、例えば、目隠し用として用いられる場合には、無透明又は半透明とされる。
【0017】
図2から図7に示すように、パネル体取付部材4は、断面視略凹状に形成された保持部11と、間仕切壁3に取り付けられる取付部12と、これら保持部11および取付部12の間を繋ぐ連係部13とを備え、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)など、弾性を有した樹脂材料によって一体的に形成されている。なお、樹脂材料に限られず、十分な弾性を有していれば金属材料に置き換えてもよい。
【0018】
保持部11は、パネル体取付部材4が間仕切壁3に装着されていない状態で、パネル体5の厚さ寸法Lよりも若干広い間隔L1(図6参照)で略平行に配置される一対の縦壁15を備えており、保持部11の上辺に沿う延在方向の両側(図2参照)には、縦壁15の下端同士を接続する一対の底壁16が設けられている。これら底壁16が形成されることで、開口縁部15aと反対側の縦壁15の端部同士が、接近および離間方向へ変位するのを制限することができ、さらに、保持部11がパネル体5を受け入れた際にパネル体5の縁部が突き当たってパネル体5の位置決めすることができる。さらに、パネル体取付部材4を間仕切壁3に取り付けた際には、間仕切壁3の上端面(被取付部)3a(図6参照)に突き当たりパネル体5の荷重を間仕切壁3に逃がすことができる。
【0019】
保持部11は、上述した一対の底壁16に挟まれた保持部11の延在方向の中央部に(図2参照)、保持部11の内側に向かって突出する押圧部17を対向配置して備えている。この押圧部17の構成により、保持部11にパネル体5が挿入されると、パネル体5により押圧部17同士の間隙が押し広げられて縦壁15が弾性変形し、この縦壁15の復元力によって、パネル体5がその厚さ方向外側から押圧部17に押圧される。また、押圧部17の内側面は、断面略半円状に形成されており、これにより、保持部11が後述する受入位置にある場合に、パネル体5を保持部11から円滑に挿抜することが可能となっている。なお、図3に示す如く、パネル体取付部材4の底壁16が形成される部位と、押圧部17が形成される部位とは、それぞれ保持部11の延在方向において、間隙L2をもって若干離間され、底壁16が押圧部17の変位を妨げないようになっている。
【0020】
取付部12は、上述した一対の縦壁15の間隔L1よりも広い間隔で略平行に配置される一対の挟持壁18を備えている。取付部12は、一対の挟持壁18によって、間仕切壁3の上端部3aをその厚さ方向両外側から弾性的に挟み込んで取付可能となっている。取付部12は、間仕切壁3の上端部3aに取り付けられて一対の挟持壁18が互いに拡開される拡開位置と、一対の挟持壁18が拡開位置よりも互いに近接される閉位置との間で変位可能となっている。さらに、取付部12は、上記閉位置のとき、一対の挟持壁18の間隔が間仕切壁3の厚さ寸法よりも狭くなるように設定され、間仕切壁3の上端部3aに取り付けられていないときには、閉位置に保持されるようになっている。
すなわち、保持部12を閉位置から拡開位置まで変位させて、一対の挟持壁18の内側に間仕切壁3の上端部3a(図1参照)を挿入すると、保持部12が閉位置に戻ろうとして、一対の挟持壁18が間仕切壁3の上端部3aを弾性的に挟持し、その結果、パネル体取付部材4が間仕切壁3に固定された状態になる。
【0021】
取付部12の一対の挟持壁18には、さらに、取付部12の延在方向で底壁16の位置に対応する位置(図2参照)に、それぞれ取付部12の端部から内側に向かって突出する係止爪部19が形成されている。
【0022】
取付部12と、保持部11との間には、これら取付部12と保持部11とを連係させる連係部13が設けられている。より具体的には、連係部13は、取付部12と保持部11との間に配置され、縦壁15の開口縁部15aと、取付部12の保持部11側の端部とを接続する略平板状に形成された一対の傾斜壁20を備えて構成されている。これら傾斜壁20は、側面視で、取付部12に近づくほど離間するように傾斜して形成され、連係部13と縦壁15とのなす角度が、鋭角をなしている。連係部13には、底壁16の位置に対応し、且つ、最も取付部12側の位置に、間仕切壁3の角部を位置決めする位置決め部21が突出形成されている。
【0023】
さらに、連係部13は、図2、図6に示す如く、保持部11の延在方向の両端において、傾斜壁20と縦壁15との間の空間を塞ぐ側壁13aを具備している。
【0024】
一方、図6、図7に示すように、間仕切壁3は、閉位置にある取付部12の挟持壁18の間隔よりも厚く形成されており、間仕切壁3の上端部3aには、厚さ方向の両外側に一対の垂下面25が形成されている。また、一対の垂下面25には、一対の挟持壁18により一対の垂下面25が挟持された際に上述した係止爪部19が没入される一対の溝部26が形成されている。この溝部26に係止爪部19が没入されることで、係止爪部19が溝部26の上側に形成された突部27に引っかかり、間仕切壁3から離脱する方向へのパネル体取付部材4の変位が規制されるようになっている。
【0025】
この実施形態のパネル体取付部材4および、パネル体5の取付構造は上記構成をなしており、次に、上記パネル体取付部材4の作用について図6、図7を参照しながら説明する。
まず、パネル体取付部材4が間仕切壁3に取り付けられていない状態で、パネル体取付部材4の保持部11に対してパネル体5を下辺側から挿入する。ここで、図6の保持部11は、受入位置にある状態を示しており、縦壁15の間隔が間隔L1となっている。
【0026】
保持部11に対してパネル体5が挿入されると、押圧部17がパネル体5により押し広げられて、押圧部17が弾性的にパネル体5を厚さ方向両側から挟持する状態となる。さらに、パネル体5を押し込むと、パネル体5の下辺が保持部11の底壁16に突き当たり、パネル体5の位置決めがなされる。
【0027】
次いで、パネル体5を保持部11に挿入した状態のパネル体取付部材4を、間仕切壁3に取り付けるべく、取付部12の一対の挟持壁18を外側(図7の矢印方向)に拡開させ、その内側に間仕切壁3の上端部3aを挿入する。この際、係止爪部19を、溝部26に没入させる。これにより一対の挟持壁18の内面が、一対の垂下面25を弾性的に押圧した状態で拡開位置に保持される。
【0028】
取付部12が拡開位置に保持されることで、挟持壁18が、その端部ほど拡開された傾斜状態となり、この挟持壁18の傾斜に伴って、連係部13が内側に向かって傾斜しようとする。これにより、連係部13が保持部11の縦壁15、特に開口縁部15a側を押圧して、主に底壁16が撓んで、縦壁15の開口縁部15aが、保持部11内側のパネル挟持位置(図7の矢印方向)に向かって変位する。この変位によりパネル体5が、その厚さ方向両外側から縦壁15により挟持されることとなる。その後、取付部12を間仕切壁3から取り外して取付部12が閉位置とされるまで、パネル体5が縦壁15により挟持された状態が保持される。なお、図7中、保持部11がパネル挟持位置の場合、および、取付部12が拡開位置の場合を、実線で示し、保持部11が受入位置の場合、および、取付部12が閉位置の場合を、二点鎖線で示している。
【0029】
したがって、上述した実施形態のパネル体取付部材4によれば、受入位置にある保持部11に対してパネル体5を挿入し、この状態で、取付対象物の被取付部である間仕切壁3の上端部3aを挟み込むようにして取付部12を取り付けると、取付部12が拡開位置まで変位し、そして、この取付部12の変位により連係部13が保持部11をパネル挟持位置側に変位させて保持部11を押圧する状態となり、この押圧力によりパネル体5が保持部11により挟持されるため、従来のように構成が複雑になり加工工数や部品点数が増加してコストが上昇するのを抑制しつつ、間仕切壁3に対してパネル体5を安定的且つ容易に取り付けることが可能になる。
【0030】
さらに、保持部11が、断面視略凹状に形成され、連係部13が、保持部11の開口縁部15aからパネル体5の厚さ方向両外側、且つ、下方に向かって延びて形成され、連係部13が、取付部12が拡開位置のときに、保持部11の開口縁部15aを閉じる方向に押圧するので、パネル体5を凹状の保持部11に挿入することで、パネル体5の位置決めを容易に行うことができ、また、パネル体取付部材4を間仕切壁3の上端部3aに取り付けて、取付部12が拡開位置まで変位されると、この取付部12の変位により連係部13の下部が外側に向かって変位され、これに伴い連係部13の上部が内側に向かって変位されて、保持部11の開口縁部15aが連係部13によってパネル挟持位置側に押圧される。その結果、断面視略凹状に形成された保持部11の底壁16側よりも内側に向かって変位し易い保持部11の開口縁部15a側を連係部13によって押圧できるので、同じ押圧力でより強固にパネル体5を挟持することができる。
【0031】
さらに、取付部12が拡開位置と閉位置との何れの位置にある場合もパネル体5の厚さ方向両側からパネル体5を押圧する押圧部17を備え、この押圧部17が、保持部11の開口縁部15aよりも取付部12側に設けられているので、パネル体5を保持部11に挿入した後に、取付部12が拡開位置にされるまでの間、パネル体5をパネル体取付部材4に仮止めすることができる。
また、保持部11の開口縁部15aよりも取付部12側に押圧部17を配置することで、連係部13により押圧される位置とは異なる位置に押圧部17を配置することができるため、取付部12が拡開位置とされた場合には、連係部13による押圧と押圧部17による押圧との両方でパネル体5を挟持することができる。
【0032】
そして、上述した実施形態のパネル体5の取付構造によれば、パネル体5を保持部11に挿入して取付部12を間仕切壁3の上端部3aに取り付けると、取付部12が拡開位置まで変位して連係部13が保持部11を押圧するようになり、この押圧によりパネル体5を保持部11によって挟持して固定することができるため、簡単な取付作業でパネル体5を安定的に間仕切壁3に取り付けることができる。
【0033】
さらに、間仕切壁3の一対の垂下面25を取付部12により挟持してパネル体取付部材4を間仕切壁3の上端部3aに取り付けることができるため、間仕切壁3の上端部3a等の狭幅な場所にもパネル体5を立設することができる。
【0034】
さらに、パネル体取付部材4の取付部12が、その内側面に、内側に向かって突出する係止爪部19を備え、垂下面25が、間仕切壁3の上端部3aにパネル体5を取り付けた状態で、係止爪部19に対向する位置に溝部26を備えていることで、間仕切壁3の上端部3aに対してパネル体取付部材4を取り付けた際に、係止爪部19が溝部26に入り込み、パネル体取付部材4の間仕切壁3の上端部3aに対する着脱方向への変位を規制できるため、簡単な構成で確実且つ安定的にパネル体5を立設することができる。
【0035】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態においては、比較的狭幅に形成された間仕切壁3の上端部3aに取り付ける場合を一例にして説明したが、これに限られず、例えば、図8に示す第一変形例の如く、デスク天板などの平面30に、取付部12の挟持壁18を挿入可能な一対の略平行な凹溝31を形成し、これら一対の凹溝31の各内側の垂下面25aを、挟持壁18で挟持するようにしてもよい。また、係止爪部19を係止させるための溝部26aを垂下面25aに形成するようにしてもよい。
【0036】
さらに、上述した実施形態においては、連係部13の傾斜壁20が略平板状に形成されている場合を一例に説明したが、取付部12が拡開位置とされた際に、保持部11にパネル体5を挟持させる押圧力を作用させることができれば、上記の形状に限られるものではなく、さまざまな形状の連係部13を採用できる。例えば、図9に示す第二変形例の如く、パネル体5の厚さ方向両外側に向かうにつれて、下方に傾斜するように湾曲形成された壁部20Aを連係部13に設けるようにしてもよい。この場合、パネル体取付部材4を間仕切壁3に取り付ける際に作業者が把持しやすく、作業性を良好にすることができ、さらに、パネル体5の取付状態における意匠性をも良好にできる点で有利となる。
【0037】
また、上述した実施形態においては、取付部12の挟持壁18が、樹脂材料の弾性により被取付部である上端部3aを挟持する場合を一例に説明したが、取付部12の挟持壁18を閉位置に向かって付勢するばね等の弾性体を別途設けるようにしてもよい。
【0038】
さらに、上述した実施形態のパネル体取付部材4は、樹脂材料により保持部11、取付部12、および、連係部13をそれぞれ一体的に形成する場合を一例に説明したが、複数の部品に分割してこれらを組み立てるようにしてもよい。また、保持部11、取付部12、および、連係部13を個別に形成して、それぞれリンクなどを介して傾動可能に連係するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
3 間仕切壁(取付対象物)
3a 上端部(被取付部)
5 パネル体
11 保持部
12 取付部
13 連係部
17 押圧部
19 係止爪部
31 凹溝
25,25a 垂下面
26,26a 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物にパネル体を取り付けるパネル体取付部材において、
前記パネル体を受け入れるパネル受入位置と、受け入れた前記パネル体を該パネル体の厚さ方向両側から挟持するパネル挟持位置との間で変位可能な保持部と、
前記取付対象物の被取付部に対して該被取付部を挟み込んで取付可能な一対の取付部と、
該取付部と前記保持部とを連係させる連係部とを備え、
前記取付部は、前記被取付部に取り付けられ互いに拡開される拡開位置と、それ以外の拡開位置よりも互いに近接して配置された閉位置との間で変位可能であり、
前記連係部は、前記取付部が拡開位置にされたときに、前記保持部を前記パネル挟持位置側に向かって弾性的に押圧することを特徴とするパネル体取付部材。
【請求項2】
前記保持部は、断面視凹状に形成され、
前記連係部は、前記保持部の断面視凹状の開口縁部から前記パネル体の厚さ方向両外側に向かうとともに下方に向かって延びて形成され、
前記連係部は、前記取付部が拡開位置のときに、前記保持部の開口縁部を閉じる方向に押圧する請求項1に記載のパネル体取付部材。
【請求項3】
前記保持部は、前記取付部が拡開位置と閉位置との何れの位置にある場合も、前記パネル体の厚さ方向両側から前記パネル体を押圧する押圧部を備え、該押圧部は、前記開口縁部よりも前記取付部側に設けられている請求項2に記載のパネル体取付部材。
【請求項4】
前記連係部は、前記パネル体の厚さ方向両外側に向かうにつれて、下方に向かって傾斜する請求項1から3の何れか一項に記載のパネル体取付部材。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のパネル体取付部材と、前記閉位置にある前記取付部よりも幅広な被取付部とを備え、前記受入位置にある前記保持部に前記パネル体が挿入され、前記取付部が拡開された状態で前記被取付部に取り付けられ、前記連係部により前記保持部がパネル挟持位置側に押圧され、前記パネル体が前記保持部によって挟持されていることを特徴とするパネル体の取付構造。
【請求項6】
前記被取付部は、一対の凹溝の垂下面を備えて構成される請求項5に記載のパネル体の取付構造。
【請求項7】
前記被取付部は、前記取付対象物の一対の縦壁の垂下面を備えて構成される請求項5に記載のパネル体の取付構造。
【請求項8】
前記パネル体取付部材の前記取付部は、その内側面に内側に向かって突出する係止爪部を備え、
前記垂下面は、前記被取付部に前記パネル体を取り付けた状態で、前記係止爪部に対向する位置に凹部を備える請求項6又は7に記載のパネル体の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−94283(P2013−94283A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237831(P2011−237831)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】