説明

パネル体

【課題】 強度を低下させずに形態安定性に優れ、軽量でありながら重量感があるとともに、容易に製造することができるパネル体を提供する。
【解決手段】 アルミニウム合金から成る正面側化粧パネル10と、正面側化粧パネル10とほぼ平行に配置される板状の背面側化粧パネル11と、前記正面側化粧パネル10と前記背面側化粧パネル11との間に介在され、正面側化粧パネル10と背面側化粧パネル11とによって保持される合成樹脂製のコアパネル12とによってパネル体を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納骨壇および仏壇の扉などとして好適に実施することができるパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、納骨壇や仏壇の扉などには、アルミニウム合金から成るパネル体が使用されている。従来技術に係るパネル体は、アルミニウム合金の押出し型材を所定の長さに切断して長尺の形材を形成し、この長尺の形材を枠状に組み立てて長方形状のパネル枠を形成し、これに適合する大きさの2枚のアルミニウム合金製の板材を、ビスやリベットなどの複数の締結部材を用いて表裏に取り付けて形成される。このように形成されたパネル体は、意匠上の美感を向上するために、組立て後に塗料を塗布したり、図柄を描くなどして装飾加工が施される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−299565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係るパネル体は、複数の長尺の形材によってパネル枠を形成し、そのパネル枠の両面に板材を複数の締結部材によって固定することによって形成されるので、高い強度を有するが重量が大きく、パネル枠の両面に固定される板材は、前記パネル枠に固定または支持されていない領域で、厚み方向の前後に変形して湾曲し易く、形態安定性が低く、外見上の重量感に劣るという問題がある。
【0005】
また、前記従来技術では、パネル体は、パネル枠の両面に板材を固定する組立て工程の後に装飾加工されるので、工程数が多く、製造に手間を要するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、強度を低下させずに形態安定性に優れ、軽量でありながら重量感があるとともに、容易に製造することができるパネル体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アルミニウム合金から成る正面側化粧パネルと、正面側化粧パネルとほぼ平行に配置される板状の背面側化粧パネルと、前記正面側化粧パネルと前記背面側化粧パネルとの間に介在され、正面側化粧パネルと背面側化粧パネルとによって保持される合成樹脂製のコアパネルとを含むことを特徴とするパネル体である。
【0008】
また本発明は、前記正面側化粧パネルは、板状でかつ矩形の正面板部分と、正面板部分の4つの側縁部に屈曲して連なる側板部分と、各側板部分に屈曲してそれぞれ連なる背板部分とを有し、各側板部分と正面板部分とが交差する4つの第1屈曲部分および各側板部分と背板部分とが交差する4つの第2屈曲部分は、外方に凸に湾曲して形成されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記正面側化粧パネルは、前記背板部分の外表面に、前記側板部分と背板部分とが交差する交差縁部に沿って取付けられる化粧枠材をさらに含み、この化粧枠材に前記背面側化粧パネルの周縁部が固定されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記側板部分の周方向に隣接する各端部間には、前記背板部分から前記正面板部分にわたって延びる切欠きが形成され、前記切欠きには、前記切欠きを塞ぎ、前記正面側化粧パネルに嵌合されるコーナ部材が取付けられることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記コーナ部材には、前記切欠きに嵌合された状態で、各側板部分の内周部分に係止される係止爪部分が形成されることを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正面側化粧パネルと背面側化粧パネルとの間には合成樹脂製のコアパネルが介在する。したがって、パネル体の厚み方向に対する曲げ強度を高くすることができる。よって、パネル体の強度を低下させることなく、軽量で形態安定性が高く、かつ外見上の重量感の優れたパネル体を実現することができる。
【0013】
また本発明によれば、正面側化粧パネルは、正面板部分と側板部分と背板部分とを有し、これら各部分は一体に連なって形成されるので、枠材によって形成されるパネル体と比べて、より強度の高いパネル体を実現することができる。また、第1および第2屈曲部分は、外方に凸に湾曲して形成されるので、正面側化粧パネルに予め印刷などによって装飾を施していても、角部の塗膜の剥がれを防止することができる。したがって、パネル体に予め印刷などによって装飾を施すことができ、より意匠上の美感の高いパネル体を実現することができるとともに、パネル体の製造に伴う工程数を少なくすることができる。
【0014】
また本発明によれば、背板部分の外表面には化粧枠材が取付けられる。したがって、パネル体の曲げ剛性が向上され、より強度の高いパネル体を実現することができるとともに、背面側化粧パネルから化粧枠材を介して正面側化粧パネルの各側板部分にわたって各部材間に大きな段差が発生することが防がれ、外見上、実質的に連続したパネル体の背面から側面にわたる外観が得られ、パネル体の意匠上の美感を向上することができる。
【0015】
また本発明によれば、切欠きには、切欠きを塞いで嵌合されるコーナ部材が取付けられるので、各側板部分の周方向に隣接する各端部が露出することが防がれ、パネル体の操作時における安全性が向上される。
【0016】
また本発明によれば、コーナ部材には、切欠きに嵌合された状態で、各側板部分の内周部分に係止される係止爪部分が形成されるので、コーナ部材を確実にパネル体に嵌合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のパネル体1,2が組み込まれた納骨壇を示す図である。
【図2】パネル体1の背面図である。
【図3】パネル体1の分解斜視図である。
【図4】パネル体2の分解斜視図である。
【図5】図2の切断面線A−Aから見た拡大断面図である。
【図6】化粧枠材13の断面斜視図である。
【図7】化粧枠材13が枠組みされた状態を示す図である。
【図8】コーナ部材15の斜視図である。
【図9】コーナ部材15の正面図である。
【図10】図9の切断面線B−Bから見た拡大断面図である。
【図11】図9の切断面線C−Cから見た拡大断面図である。
【図12】コーナ部材15を切欠き25,26に配置する様子を示す図である。
【図13】コーナ部材15が差し込まれた状態を示す、部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態のパネル体が組み込まれた納骨壇を示す図である。図1に示すように、パネル体1,2は、たとえば納骨壇の扉として好適に用いられる。パネル体1,2の正面側外表面には、装飾が施されている。図2は、パネル体1の背面図であり、図3は、パネル体1の分解斜視図であり、図4は、パネル体2の分解斜視図であり、図5は、図2の切断面線A−Aから見た拡大断面図である。
【0019】
パネル体1,2は、アルミニウム合金から成る正面側化粧パネル10と、正面側化粧パネル10とほぼ平行に配置される板状の背面側化粧パネル11と、正面側化粧パネル10と背面側化粧パネル11との間に介在され、正面側化粧パネル10と背面側化粧パネル11とによって保持される合成樹脂製のコアパネル12と、正面側化粧パネル10に取付けられる化粧枠材13とを含んで構成される。
【0020】
正面側化粧パネル10は、板状かつ矩形の正面板部分20と、正面板部分20の4つの側縁部に屈曲して連なる側板部分21と、各側板部分21に屈曲してそれぞれ連なる背板部分22とを有する。正面側化粧パネル10の一表面(以下、「装飾表面」という。)には、プリント印刷などによって、予め装飾処理が施されており、塗膜層が形成されている。側板部分21は、正面板部分20に対して略垂直に形成される。背板部分22は、正面側化粧パネル10の内方に向かって屈曲して形成され、側板部分21に対して略垂直かつ正面板部分20と略平行に形成される。このようにして形成される正面側化粧パネル10には、コアパネル12を内包するための内部空間100が形成される。
【0021】
正面側化粧パネル10は、各側板部分21と正面板部分20とが交差する4つの部分(以下、「第1屈曲部分23」という。)と、各側板部分21と背板部分22とが交差する4つの部分(以下、「第2屈曲部分24」という。)とを有する。第1屈曲部分23および第2屈曲部分24は、外方に凸に湾曲して形成される。第1屈曲部分23および第2屈曲部分24の外表面の湾曲領域X1は、正面側化粧パネル10の厚みT=1mm〜3mmに対して、曲率半径Rが、3T以上、6T以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは3Tが好ましい。これは曲率半径Rが3T未満になると、正面側化粧パネル10の装飾表面に形成される塗膜層が破損する可能性があるからである。
【0022】
側板部分21の周方向に隣接する各端部間には、背板部分22から正面板部分20にわたって延びる切欠き25が形成される。この切欠き25には、後述するコーナ部材15が嵌合または嵌着される。なお、「嵌合」と「嵌着」とは同義であるので、以下の説明では「嵌合」と記す。正面側化粧パネル10の長手方向に沿って形成される背板部分22には、長手方向に間隔を空けて略C字状の切欠き60a,60bが形成される。
【0023】
背面側化粧パネル11は、アルミニウム合金から成る板状かつ矩形の部材である。背面側化粧パネル11は、正面側化粧パネル10の正面板部分20よりも一回り小さく形成される。背面側化粧パネル11の幅方向一端部には、間隔を空けて略C字状の切欠き61a,61bが形成される。背面側化粧パネル11は、後述する化粧枠材13が方形に枠組みされることによって形成される凹所に配置され、ビス止めおよびリベット止めされて正面側化粧パネル10に固定される。
【0024】
コアパネル12は、発泡合成樹脂から成り、本実施の形態においては、ポリエチレン製の発泡合成樹脂によって形成されている。コアパネル12は、正面側化粧パネル10の内部空間100内に配置され、パネル体1,2の補強材として機能する。コアパネル12は、板状の部材であり、図5に示す、正面側化粧パネル10の内部空間100の厚みL1とほぼ同一の厚みを有し、その長さは、内部空間100と同一または、内部空間100よりも一回り小さく形成され、またその幅は、図5に示す、一方側の背板部分22の一端部から他方側の背板部分22の一端部までの幅L2とほぼ同一の幅に形成される。コアパネル12の幅方向一端部には、長手方向に間隔を空けて略C字状の切欠き62a,62bが形成される。コアパネル12は、正面側化粧パネル10に形成される内部空間100内に配置され、正面側化粧パネル10の背板部分22と、背面側化粧パネル11とによって保持される。
【0025】
図6は、化粧枠材13の断面斜視図であり、図7は、化粧枠材13が枠組みされた状態を示す図である。
【0026】
化粧枠材13は、長手棒状の部材であり、たとえばナイロンなどの合成樹脂製の材料から形成される。化粧枠材13は、背板部分22の外表面に方形に枠組みされて取付けられる。これによって背板部分22の外表面には、背面側化粧パネル11を配置するための凹所が形成される。化粧枠材13は、受部30と受部30に段差部32をなして連なる見切り部31とを有する。受部30は、背面側化粧パネル11を支持する部分であり、板状に形成される。見切り部31は、その断面が略三日月状に形成され、段差部32を介して受部30と連なって形成される。段差部32は、背面側化粧パネル11の厚みと同一の高さを有する。見切り部31の外表面および内表面は、外方に凸に湾曲して形成される。
【0027】
見切り部31の外表面の湾曲領域X2、および見切り部31の内表面の湾曲領域X3は、第1屈曲部分23および第2屈曲部分24の外表面の湾曲領域X1の曲率半径と同一の曲率半径に形成される。このことから、化粧枠材13は、正面側化粧パネル10に段差なく取付けられる。
【0028】
また、見切り部31の外表面は、外方に凸に湾曲して形成され、この湾曲領域X2は第2屈曲部の湾曲領域X1の曲率半径と同一の曲率半径に形成されるので、化粧枠材13を正面側化粧パネル10に取付けても、パネル体1,2の各屈曲部は、その曲率半径がすべて同一に形成されることとなる。したがって、パネル体1,2は、角が全て同一の曲率半径で湾曲された形状となる。
【0029】
化粧枠材13は、その長手方向両端部を長手方向に対して45度の角度で切断して用いられる。化粧枠材13は、図7で示すように、各化粧枠部材13の対向する端面が接する状態で方形に組み立てられ、枠組みされた状態で、正面側化粧パネル10の背板部分20の外表面に取付けられる。正面側化粧パネル10の長手方向に沿って配置される2つの化粧枠材13の一方の化粧枠材13には、長手方向に間隔を空けて略C字状の切欠き63a,63bが形成される。
【0030】
パネル体1,2は、切欠き25を塞ぎ、正面側化粧パネル10に嵌合されるコーナ部材15をさらに含んで構成される。
【0031】
図8は、コーナ部材15の斜視図であり、図9は、コーナ部材15の正面図である。図10は、図9の切断面線B−Bから見た拡大断面図であり、図11は、図9の切断面線C−Cから見た拡大断面図である。
【0032】
コーナ部材15は、挿入部41と、切欠き25を塞ぐ本体部分40とを含んで構成される。コーナ部材15は、合成樹脂製の材料から形成され、本実施の形態ではAES樹脂(アクリロニトリル エチレン-プロピレン-ジエン スチレン)によって形成される。
【0033】
本体部分40は、背板部分22から正面板部分20にわたって延びる切欠き25を塞ぐ部分である。本体部分40は、断面視で略扇形に形成される。本体部分40には、その長手方向両端部に、半割れ状の回転楕円体の一部を成す形状から成る湾曲部分50,51が形成される。湾曲部分50,51は、枠組みされた状態で、隣接する化粧枠材13の各一端部の各端面の露出する領域a,bが対向する位置に形成される切欠き26を塞ぐ。湾曲部分50,51は、ほぼ球面の一部を構成する外表面を有し、この外表面の湾曲領域X4の曲率半径は、前記湾曲領域X2の曲率半径と同一に形成される。
【0034】
挿入部41は、係止部分42と、抜止め部分44と、差込み孔45と、切欠き46とを有する。係止部分42は、弾性変形可能に形成される。係止部分42の一端部には、係止爪部分43が形成される。係止爪部分43は、コーナ部材15が、正面側化粧パネル10に嵌合されたとき、各背板部分22が交差する4つの角の内部空間100に臨む端面に引っかかって、コーナ部材15を係止する。切欠き46は、挿入部41の遊端部から、本体部分40に向かって、正面視で略C字状に形成される。
【0035】
このように、コーナ部材15の挿入部41には切欠き46が形成されるので、切欠き46は、係止部分42の弾性変形を許容することができる。したがって、係止部分は、切欠き46が許容する範囲で弾性変形することができる。
【0036】
抜止め部分44は、コーナ部材15が正面側化粧パネル10に嵌合された状態で、各側板部分21の対向する端面に当接して、コーナ部材15を係止する。抜止め部分44は、図10に示すように、挿入部41の平坦部分47から、本体部分40に向かって、徐々に隆起して形成される。
【0037】
差込み孔45は、コーナ材15を厚み方向に2分する第1の仮想一平面S1に垂直な第2の仮想一平面(図11の紙面に平行)上において、第1の仮想一平面S1に関して、第2の仮想一平面上で角θ1,θ2をなす各直線を中心軸線L11,L12とする仮想直円柱体が交差する領域を切欠いて形成される、屈曲した孔である。差込み孔45の角θ1,θ2は、それぞれ45度に選ばれる。このように形成される差込み孔45の内部には、軸線L1,L2にそれぞれ垂直な円の一部を成す、受部48a,48bと、内周面49とが形成される。
【0038】
図12は、コーナ部材15を切欠き25,26に配置する様子を示す図である。
コーナ部材15は、正面側化粧パネル10の切欠き25、および化粧枠材13によって形成される切欠き26を塞いで正面側化粧パネル10に嵌合される。以下、具体的に説明する。まずコーナ部材15の係止部分42を挿入部41に近接する方向に弾性変形させながら、切欠き25,26に挿入する。
【0039】
次に、コーナ部材15を内部空間100側に押し込む。コーナ部材15を完全に押し込むと、係止部分42は弾性回復力によって前記近接した状態から挿入部41に離反する方向に復帰する。このとき、係止爪部分43が背板部分22の遊端部に引っかかり、係止される。このようにしてコーナ部材15は、正面側化粧パネル10に嵌合される。
【0040】
図13は、コーナ部材15が差し込まれた状態を示す、部分拡大図である。前述のように、コーナ部材15の本体部分40は湾曲部分50,51を有し、湾曲部分50,51の外表面における湾曲領域X4の曲率半径は、第1屈曲部分23における外表面の湾曲領域X1および化粧枠材13の見切り部31における外表面の湾曲領域X2の曲率半径と同一に形成される。これによって、コーナ部材15は、切欠き25,26を無段差で覆うことができる。
【0041】
またこのようにパネル体1,2の各4つの角部は、コーナ部材15によって覆われるので、角が全て湾曲に形成されたパネル体を実現することができる。これによって、各背板部分22および各化粧枠材13の周方向に隣接する各端部が露出することが防がれ、パネル体1,2の操作時における安全性が向上される。
【0042】
パネル体2は、補強部材16をさらに含んで構成される。補強部材16は、パネル体2を補強する部材である。補強部材16は、長手方向に延びる部材であり、アルミニウム合金から形成され、長手方向に垂直な断面は略コの字状に形成される。補強部材16は、開放側(各端部が延びる方向)を正面板部分20に向けた状態で、内部空間100内に正面側化粧パネル10の幅方向と平行に配置される。このように補強部材16を内部空間100に配置すると、パネル体2の剛性はより高くなる。これによって、たとえば化粧パネル2に取手などを取付けた場合であっても、パネル体が変形することを防ぐことができる。
【0043】
再び図3、図4をも参照して、パネル体1,2の組み立て手順について説明する。
まず、正面側化粧パネル10を準備し、正面側化粧パネル10の内部空間100にコアパネル12を配置する。このとき、パネル体2に係るコアパネル12は、補強部材16を配置する領域Pを確保するために、分割して図4に示すコアパネル12a,12bのようにして用いられ、内部空間100内に配置される。パネル体2に係る補強部材16は、コアパネル12aとコアパネル12bとの間に形成される領域Pに配置され、コアパネル12aと、コアパネル12bとに挟まれた状態で、内部空間100に配置される。
【0044】
次に、化粧枠材13を方形に組み立て、各化粧枠材13の互いに対向する端面を接着剤などを用いて固着して枠組みし、この枠組みした化粧枠材13を、接着剤などを用いて正面側化粧パネル10の背板部分22の外表面に固着する。このようにして、化粧枠材13を正面側化粧パネル10に固着すると、各化粧枠材13の受部30および段差部32によって規定される、凹所が形成される。
【0045】
次に、化粧枠材13の受部30上の前記凹所に、背面側化粧パネル11を配置し、背面側化粧パネル11を化粧枠材13を介して正面側化粧パネル10にビス止めおよびリベット止めによって固定する。これによって、正面側化粧パネル10と背面側化粧パネル11とが一体となり、コアパネル12は、正面側化粧パネル10と背面側化粧パネル11とによって保持される。
【0046】
最後に、コーナ部材15を切欠き25,26に嵌合させる。これによって、切欠き25,26を無段差で覆うことができる。
【0047】
以上のような手順で、パネル体1,2を得ることができる。このようにして得られたパネル体1,2には、図3および図4で示すように、丁番5が取付けられる。丁番5は、その一部を前記切欠き60a,60b;61a,61b;62a,62b;63a,63bによって形成される略円柱形状の凹所に嵌め込んだ状態で、背面側化粧パネル11にビス止めおよびリベット止めされて、化粧パネル1,2に取付けられる。
【0048】
また図1で示すように化粧パネル1を、開き扉として用いる場合、2つのパネル体1のうち一方の背面側化粧パネル11に、図2および図3に示すような化粧板6を取付けてもよい。これによって、一対のパネル体1,1間の隙間を塞ぐことができ、納骨棚の美感を向上することができる。
【0049】
再び図10〜図13を参照してコーナ部材15を用いた本発明の他の実施形態について説明する。
【0050】
たとえば、パネル体1の左上角の切欠き25,26に着目して見た場合、コーナ部材15は、前記仮想一平面S1と平行な中心軸線L3が、正面側化粧パネル10の長手方向に対して、45度の角度を成して、正面側化粧パネル10に嵌合される。このとき、差込み孔45の中心軸線L2は、正面側化粧パネル10の長手方向と平行となり、中心軸線L1は、前記長手方向に対して直角を成す。したがって、差込み孔45は、いずれの角においてコーナ部材15が用いられた場合であっても、常に正面側化粧パネル10の長手方向に平行に開口する。このことから、丁番5に代えて、たとえば図12および図13で示すようなヒンジピン8をパネル体1,2の幅方向両端部の上下端に差込み、ヒンジピン8の一端部を差込み孔45に挿入すると、コーナ部材15の差込み孔45は、ヒンジピン8の支持部材としても機能し、パネル体1,2の自重を支持して、円滑に開閉動作させることができる。これによって、パネル体1,2を、ヒンジピン8の軸線を中心として開閉可能な扉としても用いることができる。
【0051】
図12および図13で示すヒンジピン8は、円柱状の軸部70と、軸部70に一体に形成される円盤状のフランジ部71とを有する。軸部70を形成する円柱の直径は、差込み孔45における仮想円柱体の半径以上直径以下の値に形成される。またフランジ部71を形成する円盤の直径は、前記仮想円柱体の直径よりも大きい値に選ばれる。
【0052】
本形態においては、側板部分21の前記差込み孔45の延長上の領域には、予め前記中心軸線L11またはL12を中心軸線とする図示しないビス穴が形成されている。この状態で、コーナ部材15を差し込み、ヒンジピン8の一端部を内部空間100側から前記ビス穴に挿通させる。そうするとコーナ部材15の差込み孔45は、ヒンジピン8の他端部の延長上に配置されるので、ヒンジピン8の他端部を差込み孔45に配置することができる。
【0053】
このとき、ヒンジピン8の他端部側端面は、差込み孔45の受部48b(48a)に当接し、ヒンジピン8の他端部の外周面は、差込み孔45の内周面49に当接する。したがって、コーナ部材15は、ヒンジピン8の支持部材としても機能することができる。
【符号の説明】
【0054】
1,2 パネル体
10 正面側化粧パネル
11 背面側化粧パネル
12 コアパネル
13 化粧枠材
15 コーナ部材
20 正面板部分
21 側板部分
22 背板部分
23 第1屈曲部分
24 第2屈曲部分
25,26 切欠き
30 受部
31 見切り部
40 頭部分
41 本体部分
42 係止部分
43 係止爪部分
44 抜止め部分
45 差込み孔
46 切欠き
48 受部
49 内周面
50,51 湾曲部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金から成る正面側化粧パネルと、
正面側化粧パネルとほぼ平行に配置される板状の背面側化粧パネルと、
前記正面側化粧パネルと前記背面側化粧パネルとの間に介在され、正面側化粧パネルと背面側化粧パネルとによって保持される合成樹脂製のコアパネルとを含むことを特徴とするパネル体。
【請求項2】
前記正面側化粧パネルは、
板状でかつ矩形の正面板部分と、
正面板部分の4つの側縁部に屈曲して連なる側板部分と、
各側板部分に屈曲してそれぞれ連なる背板部分とを有し、
各側板部分と正面板部分とが交差する4つの第1屈曲部分および各側板部分と背板部分とが交差する4つの第2屈曲部分は、外方に凸に湾曲して形成されることを特徴とする請求項1記載のパネル体。
【請求項3】
前記正面側化粧パネルは、
前記背板部分の外表面に、前記側板部分と背板部分とが交差する交差縁部に沿って取付けられる化粧枠材をさらに含み、この化粧枠材に前記背面側化粧パネルの周縁部が固定されることを特徴とする請求項2記載のパネル体。
【請求項4】
前記側板部分の周方向に隣接する各端部間には、前記背板部分から前記正面板部分にわたって延びる切欠きが形成され、
前記正面側化粧パネルには、前記切欠きに嵌合されるコーナ部材が取付けられることを特徴とする請求項2または3記載のパネル体。
【請求項5】
前記コーナ部材には、前記切欠きに嵌合された状態で、各側板部分の内周部分に係止される係止爪部分が形成されることを特徴とする請求項4記載のパネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−194067(P2010−194067A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41544(P2009−41544)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)