パネル供給装置およびパネル供給方法
【課題】サイズの異なる多種類のパネルを対象として、サブ基板が付加されたパネルを安定して保持して搬送することが可能なパネル供給装置およびパネル供給方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラスパネルを作業位置に供給するパネル供給装置において、搬送レール3aに沿って移動する載置テーブル4によってガラスパネルを下面側から両持ち支持し、ガラスパネルから張り出してボンディングされた基板を載置テーブル4から延出して設けられた支持部材27によって支持する。ガラスパネルを他機構から受け取り、また受け渡す受取・受渡動作に際しては、シリンダ26によって載置テーブル4をY方向に移動させて、支持部材27をY方向に退避させ、他機構との干渉を避ける。
【解決手段】ガラスパネルを作業位置に供給するパネル供給装置において、搬送レール3aに沿って移動する載置テーブル4によってガラスパネルを下面側から両持ち支持し、ガラスパネルから張り出してボンディングされた基板を載置テーブル4から延出して設けられた支持部材27によって支持する。ガラスパネルを他機構から受け取り、また受け渡す受取・受渡動作に際しては、シリンダ26によって載置テーブル4をY方向に移動させて、支持部材27をY方向に退避させ、他機構との干渉を避ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に用いられるパネルを圧着装置などの作業装置による作業位置まで搬送して供給するパネル供給装置およびパネル供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のディスプレイとして用いられるプラズマパネルや液晶パネルなどの表示パネルは、表示画面となるガラスパネルの縁部にTCP(テープキャリアパッケージ)などのコネクタを介してドライバ用のサブ基板を接合することにより組み立てられる。この組立て作業を行うパネル組立装置は、上流側装置から渡されるガラスパネルを圧着装置まで搬送して供給するパネル搬送機構を備えている。ガラスパネルを搬送する搬送機構としては、ガラスパネルを下面側からアーム状の保持具によって保持して移動させる方式が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ガラスパネルを保持する際には、ガラスパネル本体のみならずガラスパネルの縁部に接合されたサブ基板を含めて保持する必要がある。このため、ガラスパネルを保持する保持具は、サブ基板の範囲を含めた保持範囲をカバーする形状に設定され、サブ基板に対応した位置に保持具本体から支持部材を延出させた構成が用いられる場合がある。
【特許文献1】特許第3239685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年表示パネルのサイズは大型化し、パネル組立装置において搬送対象となるガラスパネルのサイズも増大している。ところがサブ基板の大きさはガラスパネルの大きさが増大してもさほど大型化しないため、サブ基板を接合した後のワーク形状は、ガラスパネルのサイズによって異なった形態となる。すなわち、小型パネルの場合には、ガラスパネルの縁部のほぼ全長に沿ってサブ基板が付加された形態となるのに対し、大型パネルの場合には、サブ基板はガラスパネルの縁部の一部分にのみ付加された形態となる。
【0005】
このため、このような大型パネルおよび小型パネルを含めた多品種対応のパネル搬送機構を実現しようとすると、サブ基板を下方から支持する支持部材の形状を対象ワークにおけるサブ基板のサイズや位置を勘案して決定しなければならず、結果としてサブ基板を支持する支持部材を、ガラスパネルを保持する保持具本体から張り出させた複雑な形状に設定する必要があった。
【0006】
しかしながら、パネル搬送機構においてガラスパネルにサブ基板が付加された状態のワークを保持する保持具および支持部材を上述のような複雑な形状に設定すると、ガラスパネルを上流側装置から保持具に受け取ったり、受け取ったワークを作業位置まで搬送するワークハンドリング動作において、張り出した支持部材が機構各部に干渉する事態が発生する場合がある。このため、従来のパネル組立装置においては、小型サイズから大型サイズまでの多種類のパネルを対象として、サブ基板が付加された形態のガラスパネルを安定して保持するパネル搬送機構を実現することが困難であった。
【0007】
そこで本発明は、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、サブ基板が付加されたパネルを安定して保持して搬送することが可能なパネル供給装置およびパネル供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパネル供給装置は、パネルを作業位置へ供給するパネル供給装置であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段と、前記受渡位置にて前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記作業位置まで移動させるパネル受取移動手段とを備え、前記パネル搬送手段は、前記搬送経路に略平行に配設された搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルを下面側から支持するパネル載置部と、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材とを備え、前記パネル受取移動手段は、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させる受取動作手段を備え、さらに前記受取動作手段による前記パネル保持部の移動において、前記支持部材と前記パネル保持部との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避手段を備えた。
【0009】
本発明のパネル供給方法は、パネルを作業位置へ供給するパネル供給方法であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送工程と、前記受渡位置に位置する前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記接合手段による作業位置まで移動させるパネル受取移動工程とを含み、前記パネル搬送工程において、前記搬送経路に配設された搬送レールに沿って移動自在に設けられ、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材を備えたパネル載置部によって、前記パネルを下面側から支持した状態で前記パネル載置部を前記搬送レールに沿って移動させ、前記パネル受取移動工程において、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させるパネル受取動作を実行し、前記パネル受取動作において、前記支持部材と前記パネル移動手段との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避動作を行う
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パネルから張り出した状態で接続された基板を下方から支持する支持部材と他の機構との干渉を避ける方向に支持部材を退避させる構成を採用することにより、サイズの異なる多種類のパネルを対象とした場合でも、基板がボンディングされたパネルを安定して保持して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図、図2は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図、図3は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図、図4は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図、図5は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の部分斜視図、図6は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の動作説明図、図7は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図、図8は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図、図9は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル搬送動作の動作説明図、図10は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図、図11は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図、図12、図13,図14,図15,図16,図17は本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図である。
【0012】
まず図1、図2を参照して、パネル組立ラインについて説明する。図1において、第1パネル組立装置M1、第2パネル組立装置M2、第3パネル組立装置M3はそれぞれ同一構造の単体装置であり、ガラスパネルの1つの辺にドライバ用の基板をTABやTCPな
どの可撓性のコネクタを介して接合する機能を有している。本実施の形態においては、このような単体装置を複数台直列に配置することによってパネル組立ラインを構成しており、これらの複数の単体装置によって主に大型のガラスパネルの複数辺に対して順次基板を接続することにより、表示パネルを組み立てる。
【0013】
単体装置の構成について説明する。基台1にはX方向(パネル搬送方向)に隣接してサブ基台1aが付設されており、サブ基台1aの上面には基板7をストックして供給する部品供給部2が設けられている。サブ基台1a、基台1の手前側(図1において下側)には、パネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8がX方向に直列に配置されている。パネル搬送機構3は平行に配設された搬送レール3aによって水平移動する1対の載置テーブル4を備えており、載置テーブル4によってガラスパネル5(パネル)を下面側から両持ち支持して、上流側(図1において左側)から下流側へ搬送する機能を有している。
【0014】
パネル搬送機構3は、各パネル組立装置において一部を上流側へ張り出して延出させた配置となっている。この張り出し部分は後述するように上流側装置からガラスパネル5が搬入される搬入位置(図9参照)となっており、搬送レール3aの下流位置は、以下に説明するパネル位置決めテーブル8へガラスパネル5を受け渡す受渡位置(図9参照)となっている。そして載置テーブル4がこの搬入位置から受渡位置に至る搬送経路に沿って移動することにより、ガラスパネル5の搬送が行われる。したがってパネル搬送機構3は、ガラスパネル5を搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段となっている。
【0015】
図2に示すように、パネル位置決めテーブル8はY軸テーブル8Y、X軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘを積層し、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面にパネル保持部9を装着した構成となっている。パネル保持部9は、載置テーブル4に載置されて前述の受渡位置まで搬送されたガラスパネル5を保持する。パネル位置決めテーブル8を駆動することにより、パネル保持部9はX方向、Y方向、Z方向およびΘ方向に移動し、パネル搬送機構3からガラスパネル5を受け取って、パネル位置決めテーブル8の背後に配設された圧着接合部12による作業位置まで移動させ位置決めする。
【0016】
したがってパネル位置決めテーブル8は、受渡位置にてガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置まで移動させるパネル受取移動手段となっている。そしてパネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8は、ガラスパネル5を圧着接合部12による作業位置に供給するパネル供給装置を構成している。
【0017】
基台1の上面において、圧着接合部12の背後側(図1において上側、図2において左側)には、基板位置決めテーブル10が配設されている。図2に示すように基板位置決めテーブル10は、X軸テーブル10X、Y軸テーブル10Yを段積みした構成となっており、Y軸テーブル10Yの上面には基板保持テーブル11が装着されている。基板保持テーブル11には、部品供給部2から基板供給機構(図示省略)によって取り出された基板7が移載され保持される。
【0018】
基板7は薄くて挟みやすいフレキシブル基板であり、そのままではハンドリングや搬送が難しいため、基板保持テーブル11によって下面側を下受けされクランプされた状態で搬送や位置決めが行われる。そして基板保持テーブル11に保持された基板7は、Y軸テーブル10Yによって圧着接合部12まで搬送し、圧着接合部12に対して位置決めされる。すなわち、基板位置決めテーブル10は、基板供給部2によって供給された基板7を、圧着接合部12まで搬送する基板搬送手段となっている。
【0019】
圧着接合部12はガラスパネル5と基板7とを接合する接合手段であり、門型のフレーム12aに昇降押圧機構13によって昇降する押圧ツール14を配設し、押圧ツール14の直下に下受部材15を配置した構造となっている(図4参照)。下受部材15の側面には基板認識カメラ16が配設されており、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を位置決めする際には、基板認識カメラ16によりガラスパネル5に設けられた認識マークを撮像することにより、ガラスパネル5の位置を認識する。
【0020】
次に図3、図4を参照して、組立対象のガラスパネル5および基板7とガラスパネル5との接合動作について説明する。図3に示すように、ガラスパネル5は液晶ディスプレイなどの表示装置に用いられ、2枚の矩形ガラス板を積層した構造となっている。ガラスパネル5の外縁部のうち、一方のガラス板が露呈した縁部5aには、前工程において予めコネクタ6が縁部5aから張り出した状態でボンディングされている。このパネル組立ラインにおけるパネル組立作業では、基板7とコネクタ6にそれぞれ設けられた接続用端子相互を、異方性導電剤をテープ状にした接合テープを介して接合する。なお、必ずしもガラスパネル5の縁部5aに予めコネクタ6をボンディングしておく必要はない。基板7の方に予めコネクタ6を基板7の縁部から張り出した状態でボンディングしておき、コネクタ6の基板7の縁部から張り出した部分をガラスパネル5の縁部5aにボンディングするようにしてもよい。
【0021】
ここでガラスパネル5は大型パネルであるため、縁部5aに接続される基板7はガラスパネル5のサイズに対して相対的に小さく、縁部5aにおける辺長の中央部分にのみ基板7が接続される形態となっている。接合動作においては、図4に示すように、基板保持テーブル11に保持され予め接合テープ17が貼付けられた基板7を、基板位置決めテーブル10によって下受部材15に対して位置決めする。次いで、コネクタ6と基板7のそれぞれの接続用端子が位置合わせされるように、ガラスパネル5をパネル位置決めテーブル8によって位置決めする。そしてこの状態で押圧ツール14を下降させることにより、ガラスパネル5に予め接合されたコネクタ6は、接合テープ17を介して基板7に接合される。
【0022】
次に図5、図6を参照して、パネル搬送機構3の詳細構造を説明する。パネル搬送機構3は、前述の搬送経路に平行に配置された1対の搬送レール3aに沿って、載置テーブル4をテーブル駆動機構(図示省略)によって往復動させる構成となっている。図5に示すように、フレーム3bの上面にはガイドレール20がX方向に配設されており、ガイドレール20にスライド自在に嵌着したスライダ21は、移動ベース22の下面に固着されている。
【0023】
移動ベース22の上面には、2条のガイドレール24およびシリンダ26がY方向に配設されており、ガイドレール24にスライド自在に嵌合したスライダ25は載置テーブル4の下面に固着されている。シリンダ26のロッド26aは載置テーブル4の側面に結合されており、シリンダ26を駆動してロッド26aを突没させることにより、載置テーブル4はY方向に往復動する。
【0024】
載置テーブル4はスライダ21が固着された基部から内側(パネル搬送中心側)に張り出して設けられたパネル支持部4aを備えている。パネル支持部4aはガラスパネル5の下面を安定して支持できるよう、ガラスパネル5の辺長に応じてX方向に両側を延出させた形状となっており、パネル支持部4a上にはガラスパネル5の両側部が両持ち状態で載置される。
【0025】
パネル支持部4aの上面には吸着孔23が設けられており、真空吸引源(図示省略)を駆動することにより吸着孔23から真空吸引し、これによりパネル支持部4a上に載置さ
れたガラスパネル5は真空吸着によって載置テーブル4に保持される。したがって載置テーブル4は、搬送レール3aに沿って移動自在に設けられ、上面に載置されたガラスパネル5を下面側から両持ち支持するパネル載置部となっている。このように、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持する構成を採用することにより、大型のガラスパネル5を安定して保持して搬送することが可能となっている。
【0026】
パネル支持部4aのX方向の両端部からはそれぞれ棒状部材を屈曲させた構成の支持部材27が延出して設けられている。ここでロッド26aが突出した通常状態(図6(a)参照)における相対向する2つの支持部材27の先端部間の間隔dは、基板7のY方向寸法Bよりも小さくなるように設定されている。基板7が縁部5aから張り出した状態でコネクタ6を介してボンディングされたガラスパネル5を載置テーブル4上に載置した状態では、基板7は支持部材27の上面に位置し、支持部材27によって下面側から支持される。このとき、上述のように支持部材27の先端部間の間隔dは、基板7のY方向寸法Bよりも小さいことから、基板7を安定して支持することができる。
【0027】
図6(a)に示すように、ロッド26aを突出させることにより、対向する2つの載置テーブル4は、それぞれのパネル支持部4aがガラスパネル5の幅寸法に応じた位置まで進出し、これにより、前述のようにガラスパネル5を下面から両持ち支持することができる。このとき、対向するパネル支持部4a間には、以下に説明するパネル保持部9が干渉することなく上下方向に通過可能な空間が確保され、これにより後述するパネル受取動作、パネル受渡動作が可能となっている。
【0028】
そしてこの状態における2つの支持部材27の先端部間の隙間寸法dは、パネル保持部9を昇降・回転させるZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dよりも小さく、このままでは後述するパネル受取動作、パネル受渡動作において、パネル保持部9をX方向に移動させることができない。このため、パネル保持部9をX方向に移動させる際には、図6(b)に示すように、シリンダ26を駆動してロッド26aを没入させることにより、載置テーブル4をY方向外側に移動させるようにしている。これにより、対向する2つの支持部材27間の隙間寸法は、ZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dよりも大きい隙間寸法d*に拡大され、パネル保持部9のX方向への移動が支障なく行えるようになる。
【0029】
次に図7を参照して、パネル位置決めテーブル8およびパネル保持部9の機能を説明する。図7(a)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面に設けられたパネル保持部9は、X軸テーブル8X、Y軸テーブル8Yを駆動することにより、X方向、Y方向に移動自在となっている。また図7(b)に示すように、X軸テーブル8Xの動作とZΘ軸テーブル8ZΘの動作とを組み合わせることにより、後述するようにガラスパネル5を受け取るパネル受取動作およびガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作を行うことができる。
【0030】
図8に示すように、パネル保持部9には、上面に載置されるガラスパネル5にコネクタ6を介して接続された基板7を下面側から支持するために、基板支持アーム41がX方向に延出して設けられている。基板支持アーム41は、図示せぬ進退機構によって、基板7を支持する支持位置と基板7を支持しない退避位置とに進退可能となっている。パネル保持部9の上面には、吸着溝42が設けられており、吸着溝42内に開口した吸引孔42aから真空吸引することにより、載置されたガラスパネル5を真空吸着により保持することができる。
【0031】
次に図9、図10、図11を参照して、パネル組立ラインにおけるガラスパネル5の搬送動作について説明する。図9において、第1パネル組立装置M1に設けられたパネル搬送機構3において、上流側に張り出した搬入位置[A]に移動した載置テーブル4上には、上流側装置によってガラスパネル5が載置される(矢印a)。そしてガラスパネル5が
載置された載置テーブル4がパネル搬送機構3の搬送経路に沿って移動することにより(矢印b)、載置テーブル4に載置されたガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8への受渡位置[B]に位置する。
【0032】
この状態でパネル位置決めテーブル8を駆動してパネル保持部9にパネル受取動作を行わせることにより、受渡位置[B]に位置したガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8の中央部、すなわち圧着接合部12へ移動するためにガラスパネル5が待機する待機位置[C]へ移動する(矢印c)。このパネル受取動作の詳細を図10を参照して説明する。図10(a)は、ガラスパネル5を載置した載置テーブル4が受渡位置[B]に、下降位置にあるパネル保持部9が待機位置[C]に、それぞれ位置した状態を示している。
【0033】
この後図10(b)に示すように、X軸テーブル8Xを駆動してパネル保持部9を受渡位置[B]へ移動させ、ガラスパネル5の下方に位置させる。次いで、図10(c)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、載置テーブル4に載置されていたガラスパネル5を下面から保持する。これにより、パネル保持部9は載置テーブル4からガラスパネル5を受け取る。この後、図10(d)に示すように、パネル保持部9を待機位置[C]まで移動させ、次いでパネル保持部9を下降させることにより、ガラスパネル5は待機位置[C]に位置する。
【0034】
この後、Y軸テーブル8Yを駆動してX軸テーブル8Xごとパネル保持部9をY方向へ移動させることにより(図7(a)参照)、図9に示すように、ガラスパネル5は圧着接合部12によってガラスパネル5へ基板7を接合するための作業位置[D]へ移動する(矢印d)。そしてここで図4に示す作業が行われた後のガラスパネル5は再び待機位置[C]に戻り、この後、第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3に設定された搬入位置[A]にガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作が実行される(矢印e)。
【0035】
このパネル受渡動作の詳細を図11を参照して説明する。図11(a)は、接合作業後のガラスパネル5を保持し下降位置にあるパネル保持部9が第1パネル組立装置M1の待機位置[C]に、また空状態の載置テーブル4が第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3の搬入位置[A]に、それぞれ位置した状態を示している。次いで図11(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、さらに図11(c)に示すようにX軸テーブル8Xを駆動して、パネル保持部9をガラスパネル5とともに搬入位置[A]へ移動させる。この後、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を下降させることにより、パネル保持部9は保持していたガラスパネル5を載置テーブル4に受け渡し、次いでパネル保持部9が待機位置[C]に戻ることにより、パネル受渡動作が終了する。
【0036】
上記構成において、パネル位置決めテーブル8に備えられたX軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘは、パネル保持部9を搬送レール3aに対して相対的に昇降およびX方向に水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させる受取動作手段となっているとともに、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を、下流側の第2パネル組立装置M2の搬入位置[A]に位置する載置テーブル4に受け渡す受渡動作手段となっている。
【0037】
さらにパネル位置決めテーブル8に備えられたY軸テーブル8Yは、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を待機位置[C]と作業位置[D]との間で移動させるパネル移動手段となっている。このように、本実施の形態において上記構成のパネル位置決めテーブル8は、上流側装置から供給されるガラスパネル5を受け取るパネル受取り、圧着接合部12へガラスパネル5を移動させるパネル移動、作業後のガラスパネル5を下流側装置へ受け渡すパネル受渡しの3つの機能を有する構成となっている。これにより、複数の
パネル組み立て装置を連結配置した構成のパネル組み立てラインにおけるパネル搬送動作の効率化が実現されている。
【0038】
図12は、パネル受取動作において載置テーブル4上に載置されたガラスパネル5をパネル保持部9によって保持する際のパネル保持部9の昇降動作を示している。すなわち図12(a)に示すように、パネル保持部9を載置テーブル4より下方に位置させ、次いで図12(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させることにより、パネル保持部9によってガラスパネル5を下面側から保持する。
【0039】
このとき、左右2つの載置テーブル4からそれぞれ内側に延出した支持部材24cの先端部間の隙間寸法dは、前述のように基板7の幅寸法B(図5参照)よりも小さくなるように設定されることから、基板7のサイズによっては、図12(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dが上述の隙間寸法dよりも大きくなる場合がある。そしてこのような場合には、パネル受取動作においてそのままパネル保持部9をX方向(図12において紙面垂直方向)に移動すると、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉する。また同様の理由により、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を、下流側のパネル組立装置の載置テーブル4に載置するパネル受渡動作においても、ZΘ軸テーブル8ZΘと支持部材27との干渉が生じる。
【0040】
このような場合にあっても、前述のように、載置テーブル4はシリンダ26によってY方向に往復動自在となっていることから、図12(c)に示すように、載置テーブル4を移動させることにより支持部材27をY方向に退避させることができる。これにより、2つの支持部材27の先端部間の隙間寸法は図6(b)に示す隙間寸法d*に拡大され、ZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避けることが可能となっている。
【0041】
すなわち、大型パネルを対象とする場合のように、基板7のサイズがガラスパネル5の辺長に対して相対的に小さい場合には、支持部材27を基板7のサイズに応じて小さな隙間寸法dで対向させる必要があり、このままではZΘ軸テーブル8ZΘと支持部材27との干渉が避けられない。このような場合にあっても上述構成を採用することにより、前述のパネル受取動作、パネル受渡動作を支障なく実行することができる。
【0042】
すなわち上記構成において、シリンダ26は、上述の受取動作手段によるパネル保持部9の移動において、支持部材27とパネル保持部9との干渉を避ける方向に支持部材27を退避させる退避手段となっている。そしてこの例では、この退避手段は、載置テーブル4を搬送経路と直交するY方向へ移動させることにより、支持部材27を退避させてパネル保持部9との干渉を避けるようにしている。
【0043】
上述のパネル組立装置によって、ガラスパネル5に基板7を圧着接合部12によって接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立方法においては、以下の動作工程が実行される。すなわちまず上流側装置から供給されたガラスパネル5を搬入位置[A]から受渡位置[B]へ至る搬送経路に沿って搬送し(パネル搬送工程)、受渡位置[B]のガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置[D]まで移動させ(パネル受取移動工程)、圧着接合部12によってガラスパネル5と基板7とを接合する(接合工程)。
【0044】
そしてパネル搬送工程においては、搬送経路に略平行に配設された搬送レール3aに沿って移動自在に設けられ、縁部5aから張り出した状態でボンディングされた基板7を下方から支持する支持部材27を備えた載置テーブル4によって、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持した状態で、載置テーブル4を搬送レール3aに沿って移動させる。
【0045】
またパネル受取移動工程においては、パネル保持部9を搬送レール3aに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させるパネル受取動作を実行するようにしている。そしてこのパネル受取動作において、支持部材27と受取動作手段であるZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避ける方向に載置テーブル4を移動させることにより、支持部材27を退避させる退避動作を行うようにしている。
【0046】
なお上記実施の形態においては、載置テーブル4を搬送レール3aに対して搬送経路と直交するY方向に相対移動させることによって支持部材27を退避させる構成を採用しているが、支持部材27を退避させる方法は上述実施例に限定されるものではなく、以下に例示するように種々の構成が採用可能である。
【0047】
図13は、載置テーブル4を搬送レール3aに対してY方向に固定しておき、搬送レール3aを支持する脚部30をX方向に移動させることにより支持部材27を退避させるようにした例を示している。すなわち、図13(a)において、搬送レール3aを支持する脚部30の下面に固着されたスライダ31は、Y方向に固定されたガイドレール32にスライド自在に嵌合している。左右2つの脚部30に内蔵されたナット部材(図示省略)には、Y方向に配置された送りねじ33が螺合している。
【0048】
送りねじ33は左右両端で逆ピッチのねじ溝が設けられており、送りねじ33を回転させることにより、左右2つの脚部30は相互に逆方向に移動する。支持部材27を退避させる際には、図13(b)に示すように、送りねじ33を回転させて脚部30を外側方向へ移動させる。これにより、載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、支持部材27はZΘ軸テーブル8ZΘと干渉する位置から退避する。
【0049】
図14は、図13と同様に載置テーブル4を搬送レール3aに対してY方向に固定しておき、搬送レール3aを支持する脚部30をX方向に移動させることにより支持部材27を退避させる構成において、脚部30をそれぞれシリンダ34によって個別に駆動して移動させるようにしたものである。すなわち、図14(a)において、搬送レール3aを支持する脚部30の下面に固着されたスライダ31は、Y方向に固定されたガイドレール32にスライド自在に嵌合している。
【0050】
左右2つの脚部30は、水平外向きにロッドを向けて配設されたシリンダ34によって駆動され、シリンダ34を往復駆動することにより、左右2つの脚部30は相互に逆方向に移動する。支持部材27を退避させる際には、図14(b)に示すように、シリンダ34を駆動してロッド34aを突出させる。これにより、載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、支持部材27はZΘ軸テーブル8ZΘと干渉する位置から退避する。
【0051】
図15、図16は、対向する1対の載置テーブル4のうち、一方側のみを可動にした構成例を示している。すなわち、図15(a)において、左側の搬送レール3aは脚部30aによって固定支持されており、右側の搬送レール3aを支持する脚部30は、図13に示す例と同様にスライダ31、ガイドレール32を用いたスライド機構によってY方向に可動となっている。脚部30に内蔵されたナット部材(図示省略)には、Y方向に配置された送りねじ35が螺合しており、回転駆動源36によって送りねじ33を回転させることにより、脚部30はY方向に往復動する。
【0052】
支持部材27を退避させる際には、図15(b)に示すように、回転駆動源36を駆動して脚部30を外側方向へ移動させる。これにより、右側の載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、対向する支持部材27の間の間隔がZΘ軸テーブル
8ZΘが通過可能な幅寸法に拡大する。ZΘ軸テーブル8ZΘをX方向に移動させる際には、図16(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを一旦Y方向に移動させた後、X方向に移動させる。これにより、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉することなく、X方向に移動することができる。
【0053】
上述の図13,図14,図15に示す例は、支持部材27の退避動作において、載置テーブル4を搬送経路と直交する方向(Y方向)へ移動させる構成例を示したが、図17は支持部材27の退避動作において支持部材27を垂直面内で旋回させる構成例を示している。すなわち、図17(a)において、対向する2つの搬送レール3aは脚部30aによって固定支持されており、載置テーブル4には支持部材27が回転駆動機構37によって水平な回転軸37a廻りに垂直面内で回動自在に保持されている。
【0054】
回転駆動機構37を駆動することにより、図17(b)に示すように、支持部材27は回転軸37a廻りに旋回し、これにより、対向する2つの支持部材27の間の間隔が増大し、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉することなく、X方向に移動することができる。もちろん、支持部材27を載置テーブル4に対して回動させる替わりに、載置テーブル4自体を搬送レール3aに対して回動させることにより、支持部材27をZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避ける位置に退避させるようにしてもよい。
【0055】
上記説明したように、本実施の形態に示すパネル組立装置においては、ガラスパネル5から張り出した状態でボンディングされた基板7を下方から支持する支持部材27と、パネル位置決めテーブル8など他の機構との干渉を避ける方向に支持部材27を退避させるようにしている。これにより、前述のパネル受取動作、パネル受渡動作においてパネル保持部9を他機構との干渉を生じることなくX方向に移動させることができ、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、基板7が張り出した状態で接続されたガラスパネル5を安定して保持して搬送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のパネル組立装置およびパネル組立方法は、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、基板が張り出した状態で接続されたパネルを安定して保持して搬送することができるという利点を有し、パネルに基板を接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図
【図4】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図
【図5】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の部分斜視図
【図6】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図
【図9】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル搬送動作の動作説明図
【図10】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図
【図11】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図
【図12】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図13】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図14】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図15】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図16】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図17】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【符号の説明】
【0058】
2 部品供給部
3 パネル搬送機構
4 載置テーブル
5 ガラスパネル
6 コネクタ
7 基板
8 パネル位置決めテーブル
9 パネル保持部
10 基板位置決めテーブル
12 圧着接合部
26 シリンダ
27 支持部材
M1 第1パネル組立装置
M2 第2パネル組立装置
[A] 搬入位置
[B] 受渡位置
[C] 待機位置
[D] 作業位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に用いられるパネルを圧着装置などの作業装置による作業位置まで搬送して供給するパネル供給装置およびパネル供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のディスプレイとして用いられるプラズマパネルや液晶パネルなどの表示パネルは、表示画面となるガラスパネルの縁部にTCP(テープキャリアパッケージ)などのコネクタを介してドライバ用のサブ基板を接合することにより組み立てられる。この組立て作業を行うパネル組立装置は、上流側装置から渡されるガラスパネルを圧着装置まで搬送して供給するパネル搬送機構を備えている。ガラスパネルを搬送する搬送機構としては、ガラスパネルを下面側からアーム状の保持具によって保持して移動させる方式が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ガラスパネルを保持する際には、ガラスパネル本体のみならずガラスパネルの縁部に接合されたサブ基板を含めて保持する必要がある。このため、ガラスパネルを保持する保持具は、サブ基板の範囲を含めた保持範囲をカバーする形状に設定され、サブ基板に対応した位置に保持具本体から支持部材を延出させた構成が用いられる場合がある。
【特許文献1】特許第3239685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年表示パネルのサイズは大型化し、パネル組立装置において搬送対象となるガラスパネルのサイズも増大している。ところがサブ基板の大きさはガラスパネルの大きさが増大してもさほど大型化しないため、サブ基板を接合した後のワーク形状は、ガラスパネルのサイズによって異なった形態となる。すなわち、小型パネルの場合には、ガラスパネルの縁部のほぼ全長に沿ってサブ基板が付加された形態となるのに対し、大型パネルの場合には、サブ基板はガラスパネルの縁部の一部分にのみ付加された形態となる。
【0005】
このため、このような大型パネルおよび小型パネルを含めた多品種対応のパネル搬送機構を実現しようとすると、サブ基板を下方から支持する支持部材の形状を対象ワークにおけるサブ基板のサイズや位置を勘案して決定しなければならず、結果としてサブ基板を支持する支持部材を、ガラスパネルを保持する保持具本体から張り出させた複雑な形状に設定する必要があった。
【0006】
しかしながら、パネル搬送機構においてガラスパネルにサブ基板が付加された状態のワークを保持する保持具および支持部材を上述のような複雑な形状に設定すると、ガラスパネルを上流側装置から保持具に受け取ったり、受け取ったワークを作業位置まで搬送するワークハンドリング動作において、張り出した支持部材が機構各部に干渉する事態が発生する場合がある。このため、従来のパネル組立装置においては、小型サイズから大型サイズまでの多種類のパネルを対象として、サブ基板が付加された形態のガラスパネルを安定して保持するパネル搬送機構を実現することが困難であった。
【0007】
そこで本発明は、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、サブ基板が付加されたパネルを安定して保持して搬送することが可能なパネル供給装置およびパネル供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパネル供給装置は、パネルを作業位置へ供給するパネル供給装置であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段と、前記受渡位置にて前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記作業位置まで移動させるパネル受取移動手段とを備え、前記パネル搬送手段は、前記搬送経路に略平行に配設された搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルを下面側から支持するパネル載置部と、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材とを備え、前記パネル受取移動手段は、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させる受取動作手段を備え、さらに前記受取動作手段による前記パネル保持部の移動において、前記支持部材と前記パネル保持部との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避手段を備えた。
【0009】
本発明のパネル供給方法は、パネルを作業位置へ供給するパネル供給方法であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送工程と、前記受渡位置に位置する前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記接合手段による作業位置まで移動させるパネル受取移動工程とを含み、前記パネル搬送工程において、前記搬送経路に配設された搬送レールに沿って移動自在に設けられ、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材を備えたパネル載置部によって、前記パネルを下面側から支持した状態で前記パネル載置部を前記搬送レールに沿って移動させ、前記パネル受取移動工程において、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させるパネル受取動作を実行し、前記パネル受取動作において、前記支持部材と前記パネル移動手段との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避動作を行う
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パネルから張り出した状態で接続された基板を下方から支持する支持部材と他の機構との干渉を避ける方向に支持部材を退避させる構成を採用することにより、サイズの異なる多種類のパネルを対象とした場合でも、基板がボンディングされたパネルを安定して保持して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図、図2は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図、図3は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図、図4は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図、図5は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の部分斜視図、図6は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の動作説明図、図7は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図、図8は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図、図9は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル搬送動作の動作説明図、図10は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図、図11は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図、図12、図13,図14,図15,図16,図17は本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図である。
【0012】
まず図1、図2を参照して、パネル組立ラインについて説明する。図1において、第1パネル組立装置M1、第2パネル組立装置M2、第3パネル組立装置M3はそれぞれ同一構造の単体装置であり、ガラスパネルの1つの辺にドライバ用の基板をTABやTCPな
どの可撓性のコネクタを介して接合する機能を有している。本実施の形態においては、このような単体装置を複数台直列に配置することによってパネル組立ラインを構成しており、これらの複数の単体装置によって主に大型のガラスパネルの複数辺に対して順次基板を接続することにより、表示パネルを組み立てる。
【0013】
単体装置の構成について説明する。基台1にはX方向(パネル搬送方向)に隣接してサブ基台1aが付設されており、サブ基台1aの上面には基板7をストックして供給する部品供給部2が設けられている。サブ基台1a、基台1の手前側(図1において下側)には、パネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8がX方向に直列に配置されている。パネル搬送機構3は平行に配設された搬送レール3aによって水平移動する1対の載置テーブル4を備えており、載置テーブル4によってガラスパネル5(パネル)を下面側から両持ち支持して、上流側(図1において左側)から下流側へ搬送する機能を有している。
【0014】
パネル搬送機構3は、各パネル組立装置において一部を上流側へ張り出して延出させた配置となっている。この張り出し部分は後述するように上流側装置からガラスパネル5が搬入される搬入位置(図9参照)となっており、搬送レール3aの下流位置は、以下に説明するパネル位置決めテーブル8へガラスパネル5を受け渡す受渡位置(図9参照)となっている。そして載置テーブル4がこの搬入位置から受渡位置に至る搬送経路に沿って移動することにより、ガラスパネル5の搬送が行われる。したがってパネル搬送機構3は、ガラスパネル5を搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段となっている。
【0015】
図2に示すように、パネル位置決めテーブル8はY軸テーブル8Y、X軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘを積層し、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面にパネル保持部9を装着した構成となっている。パネル保持部9は、載置テーブル4に載置されて前述の受渡位置まで搬送されたガラスパネル5を保持する。パネル位置決めテーブル8を駆動することにより、パネル保持部9はX方向、Y方向、Z方向およびΘ方向に移動し、パネル搬送機構3からガラスパネル5を受け取って、パネル位置決めテーブル8の背後に配設された圧着接合部12による作業位置まで移動させ位置決めする。
【0016】
したがってパネル位置決めテーブル8は、受渡位置にてガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置まで移動させるパネル受取移動手段となっている。そしてパネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8は、ガラスパネル5を圧着接合部12による作業位置に供給するパネル供給装置を構成している。
【0017】
基台1の上面において、圧着接合部12の背後側(図1において上側、図2において左側)には、基板位置決めテーブル10が配設されている。図2に示すように基板位置決めテーブル10は、X軸テーブル10X、Y軸テーブル10Yを段積みした構成となっており、Y軸テーブル10Yの上面には基板保持テーブル11が装着されている。基板保持テーブル11には、部品供給部2から基板供給機構(図示省略)によって取り出された基板7が移載され保持される。
【0018】
基板7は薄くて挟みやすいフレキシブル基板であり、そのままではハンドリングや搬送が難しいため、基板保持テーブル11によって下面側を下受けされクランプされた状態で搬送や位置決めが行われる。そして基板保持テーブル11に保持された基板7は、Y軸テーブル10Yによって圧着接合部12まで搬送し、圧着接合部12に対して位置決めされる。すなわち、基板位置決めテーブル10は、基板供給部2によって供給された基板7を、圧着接合部12まで搬送する基板搬送手段となっている。
【0019】
圧着接合部12はガラスパネル5と基板7とを接合する接合手段であり、門型のフレーム12aに昇降押圧機構13によって昇降する押圧ツール14を配設し、押圧ツール14の直下に下受部材15を配置した構造となっている(図4参照)。下受部材15の側面には基板認識カメラ16が配設されており、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を位置決めする際には、基板認識カメラ16によりガラスパネル5に設けられた認識マークを撮像することにより、ガラスパネル5の位置を認識する。
【0020】
次に図3、図4を参照して、組立対象のガラスパネル5および基板7とガラスパネル5との接合動作について説明する。図3に示すように、ガラスパネル5は液晶ディスプレイなどの表示装置に用いられ、2枚の矩形ガラス板を積層した構造となっている。ガラスパネル5の外縁部のうち、一方のガラス板が露呈した縁部5aには、前工程において予めコネクタ6が縁部5aから張り出した状態でボンディングされている。このパネル組立ラインにおけるパネル組立作業では、基板7とコネクタ6にそれぞれ設けられた接続用端子相互を、異方性導電剤をテープ状にした接合テープを介して接合する。なお、必ずしもガラスパネル5の縁部5aに予めコネクタ6をボンディングしておく必要はない。基板7の方に予めコネクタ6を基板7の縁部から張り出した状態でボンディングしておき、コネクタ6の基板7の縁部から張り出した部分をガラスパネル5の縁部5aにボンディングするようにしてもよい。
【0021】
ここでガラスパネル5は大型パネルであるため、縁部5aに接続される基板7はガラスパネル5のサイズに対して相対的に小さく、縁部5aにおける辺長の中央部分にのみ基板7が接続される形態となっている。接合動作においては、図4に示すように、基板保持テーブル11に保持され予め接合テープ17が貼付けられた基板7を、基板位置決めテーブル10によって下受部材15に対して位置決めする。次いで、コネクタ6と基板7のそれぞれの接続用端子が位置合わせされるように、ガラスパネル5をパネル位置決めテーブル8によって位置決めする。そしてこの状態で押圧ツール14を下降させることにより、ガラスパネル5に予め接合されたコネクタ6は、接合テープ17を介して基板7に接合される。
【0022】
次に図5、図6を参照して、パネル搬送機構3の詳細構造を説明する。パネル搬送機構3は、前述の搬送経路に平行に配置された1対の搬送レール3aに沿って、載置テーブル4をテーブル駆動機構(図示省略)によって往復動させる構成となっている。図5に示すように、フレーム3bの上面にはガイドレール20がX方向に配設されており、ガイドレール20にスライド自在に嵌着したスライダ21は、移動ベース22の下面に固着されている。
【0023】
移動ベース22の上面には、2条のガイドレール24およびシリンダ26がY方向に配設されており、ガイドレール24にスライド自在に嵌合したスライダ25は載置テーブル4の下面に固着されている。シリンダ26のロッド26aは載置テーブル4の側面に結合されており、シリンダ26を駆動してロッド26aを突没させることにより、載置テーブル4はY方向に往復動する。
【0024】
載置テーブル4はスライダ21が固着された基部から内側(パネル搬送中心側)に張り出して設けられたパネル支持部4aを備えている。パネル支持部4aはガラスパネル5の下面を安定して支持できるよう、ガラスパネル5の辺長に応じてX方向に両側を延出させた形状となっており、パネル支持部4a上にはガラスパネル5の両側部が両持ち状態で載置される。
【0025】
パネル支持部4aの上面には吸着孔23が設けられており、真空吸引源(図示省略)を駆動することにより吸着孔23から真空吸引し、これによりパネル支持部4a上に載置さ
れたガラスパネル5は真空吸着によって載置テーブル4に保持される。したがって載置テーブル4は、搬送レール3aに沿って移動自在に設けられ、上面に載置されたガラスパネル5を下面側から両持ち支持するパネル載置部となっている。このように、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持する構成を採用することにより、大型のガラスパネル5を安定して保持して搬送することが可能となっている。
【0026】
パネル支持部4aのX方向の両端部からはそれぞれ棒状部材を屈曲させた構成の支持部材27が延出して設けられている。ここでロッド26aが突出した通常状態(図6(a)参照)における相対向する2つの支持部材27の先端部間の間隔dは、基板7のY方向寸法Bよりも小さくなるように設定されている。基板7が縁部5aから張り出した状態でコネクタ6を介してボンディングされたガラスパネル5を載置テーブル4上に載置した状態では、基板7は支持部材27の上面に位置し、支持部材27によって下面側から支持される。このとき、上述のように支持部材27の先端部間の間隔dは、基板7のY方向寸法Bよりも小さいことから、基板7を安定して支持することができる。
【0027】
図6(a)に示すように、ロッド26aを突出させることにより、対向する2つの載置テーブル4は、それぞれのパネル支持部4aがガラスパネル5の幅寸法に応じた位置まで進出し、これにより、前述のようにガラスパネル5を下面から両持ち支持することができる。このとき、対向するパネル支持部4a間には、以下に説明するパネル保持部9が干渉することなく上下方向に通過可能な空間が確保され、これにより後述するパネル受取動作、パネル受渡動作が可能となっている。
【0028】
そしてこの状態における2つの支持部材27の先端部間の隙間寸法dは、パネル保持部9を昇降・回転させるZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dよりも小さく、このままでは後述するパネル受取動作、パネル受渡動作において、パネル保持部9をX方向に移動させることができない。このため、パネル保持部9をX方向に移動させる際には、図6(b)に示すように、シリンダ26を駆動してロッド26aを没入させることにより、載置テーブル4をY方向外側に移動させるようにしている。これにより、対向する2つの支持部材27間の隙間寸法は、ZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dよりも大きい隙間寸法d*に拡大され、パネル保持部9のX方向への移動が支障なく行えるようになる。
【0029】
次に図7を参照して、パネル位置決めテーブル8およびパネル保持部9の機能を説明する。図7(a)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面に設けられたパネル保持部9は、X軸テーブル8X、Y軸テーブル8Yを駆動することにより、X方向、Y方向に移動自在となっている。また図7(b)に示すように、X軸テーブル8Xの動作とZΘ軸テーブル8ZΘの動作とを組み合わせることにより、後述するようにガラスパネル5を受け取るパネル受取動作およびガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作を行うことができる。
【0030】
図8に示すように、パネル保持部9には、上面に載置されるガラスパネル5にコネクタ6を介して接続された基板7を下面側から支持するために、基板支持アーム41がX方向に延出して設けられている。基板支持アーム41は、図示せぬ進退機構によって、基板7を支持する支持位置と基板7を支持しない退避位置とに進退可能となっている。パネル保持部9の上面には、吸着溝42が設けられており、吸着溝42内に開口した吸引孔42aから真空吸引することにより、載置されたガラスパネル5を真空吸着により保持することができる。
【0031】
次に図9、図10、図11を参照して、パネル組立ラインにおけるガラスパネル5の搬送動作について説明する。図9において、第1パネル組立装置M1に設けられたパネル搬送機構3において、上流側に張り出した搬入位置[A]に移動した載置テーブル4上には、上流側装置によってガラスパネル5が載置される(矢印a)。そしてガラスパネル5が
載置された載置テーブル4がパネル搬送機構3の搬送経路に沿って移動することにより(矢印b)、載置テーブル4に載置されたガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8への受渡位置[B]に位置する。
【0032】
この状態でパネル位置決めテーブル8を駆動してパネル保持部9にパネル受取動作を行わせることにより、受渡位置[B]に位置したガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8の中央部、すなわち圧着接合部12へ移動するためにガラスパネル5が待機する待機位置[C]へ移動する(矢印c)。このパネル受取動作の詳細を図10を参照して説明する。図10(a)は、ガラスパネル5を載置した載置テーブル4が受渡位置[B]に、下降位置にあるパネル保持部9が待機位置[C]に、それぞれ位置した状態を示している。
【0033】
この後図10(b)に示すように、X軸テーブル8Xを駆動してパネル保持部9を受渡位置[B]へ移動させ、ガラスパネル5の下方に位置させる。次いで、図10(c)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、載置テーブル4に載置されていたガラスパネル5を下面から保持する。これにより、パネル保持部9は載置テーブル4からガラスパネル5を受け取る。この後、図10(d)に示すように、パネル保持部9を待機位置[C]まで移動させ、次いでパネル保持部9を下降させることにより、ガラスパネル5は待機位置[C]に位置する。
【0034】
この後、Y軸テーブル8Yを駆動してX軸テーブル8Xごとパネル保持部9をY方向へ移動させることにより(図7(a)参照)、図9に示すように、ガラスパネル5は圧着接合部12によってガラスパネル5へ基板7を接合するための作業位置[D]へ移動する(矢印d)。そしてここで図4に示す作業が行われた後のガラスパネル5は再び待機位置[C]に戻り、この後、第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3に設定された搬入位置[A]にガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作が実行される(矢印e)。
【0035】
このパネル受渡動作の詳細を図11を参照して説明する。図11(a)は、接合作業後のガラスパネル5を保持し下降位置にあるパネル保持部9が第1パネル組立装置M1の待機位置[C]に、また空状態の載置テーブル4が第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3の搬入位置[A]に、それぞれ位置した状態を示している。次いで図11(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、さらに図11(c)に示すようにX軸テーブル8Xを駆動して、パネル保持部9をガラスパネル5とともに搬入位置[A]へ移動させる。この後、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を下降させることにより、パネル保持部9は保持していたガラスパネル5を載置テーブル4に受け渡し、次いでパネル保持部9が待機位置[C]に戻ることにより、パネル受渡動作が終了する。
【0036】
上記構成において、パネル位置決めテーブル8に備えられたX軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘは、パネル保持部9を搬送レール3aに対して相対的に昇降およびX方向に水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させる受取動作手段となっているとともに、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を、下流側の第2パネル組立装置M2の搬入位置[A]に位置する載置テーブル4に受け渡す受渡動作手段となっている。
【0037】
さらにパネル位置決めテーブル8に備えられたY軸テーブル8Yは、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を待機位置[C]と作業位置[D]との間で移動させるパネル移動手段となっている。このように、本実施の形態において上記構成のパネル位置決めテーブル8は、上流側装置から供給されるガラスパネル5を受け取るパネル受取り、圧着接合部12へガラスパネル5を移動させるパネル移動、作業後のガラスパネル5を下流側装置へ受け渡すパネル受渡しの3つの機能を有する構成となっている。これにより、複数の
パネル組み立て装置を連結配置した構成のパネル組み立てラインにおけるパネル搬送動作の効率化が実現されている。
【0038】
図12は、パネル受取動作において載置テーブル4上に載置されたガラスパネル5をパネル保持部9によって保持する際のパネル保持部9の昇降動作を示している。すなわち図12(a)に示すように、パネル保持部9を載置テーブル4より下方に位置させ、次いで図12(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させることにより、パネル保持部9によってガラスパネル5を下面側から保持する。
【0039】
このとき、左右2つの載置テーブル4からそれぞれ内側に延出した支持部材24cの先端部間の隙間寸法dは、前述のように基板7の幅寸法B(図5参照)よりも小さくなるように設定されることから、基板7のサイズによっては、図12(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘの径寸法Dが上述の隙間寸法dよりも大きくなる場合がある。そしてこのような場合には、パネル受取動作においてそのままパネル保持部9をX方向(図12において紙面垂直方向)に移動すると、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉する。また同様の理由により、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を、下流側のパネル組立装置の載置テーブル4に載置するパネル受渡動作においても、ZΘ軸テーブル8ZΘと支持部材27との干渉が生じる。
【0040】
このような場合にあっても、前述のように、載置テーブル4はシリンダ26によってY方向に往復動自在となっていることから、図12(c)に示すように、載置テーブル4を移動させることにより支持部材27をY方向に退避させることができる。これにより、2つの支持部材27の先端部間の隙間寸法は図6(b)に示す隙間寸法d*に拡大され、ZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避けることが可能となっている。
【0041】
すなわち、大型パネルを対象とする場合のように、基板7のサイズがガラスパネル5の辺長に対して相対的に小さい場合には、支持部材27を基板7のサイズに応じて小さな隙間寸法dで対向させる必要があり、このままではZΘ軸テーブル8ZΘと支持部材27との干渉が避けられない。このような場合にあっても上述構成を採用することにより、前述のパネル受取動作、パネル受渡動作を支障なく実行することができる。
【0042】
すなわち上記構成において、シリンダ26は、上述の受取動作手段によるパネル保持部9の移動において、支持部材27とパネル保持部9との干渉を避ける方向に支持部材27を退避させる退避手段となっている。そしてこの例では、この退避手段は、載置テーブル4を搬送経路と直交するY方向へ移動させることにより、支持部材27を退避させてパネル保持部9との干渉を避けるようにしている。
【0043】
上述のパネル組立装置によって、ガラスパネル5に基板7を圧着接合部12によって接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立方法においては、以下の動作工程が実行される。すなわちまず上流側装置から供給されたガラスパネル5を搬入位置[A]から受渡位置[B]へ至る搬送経路に沿って搬送し(パネル搬送工程)、受渡位置[B]のガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置[D]まで移動させ(パネル受取移動工程)、圧着接合部12によってガラスパネル5と基板7とを接合する(接合工程)。
【0044】
そしてパネル搬送工程においては、搬送経路に略平行に配設された搬送レール3aに沿って移動自在に設けられ、縁部5aから張り出した状態でボンディングされた基板7を下方から支持する支持部材27を備えた載置テーブル4によって、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持した状態で、載置テーブル4を搬送レール3aに沿って移動させる。
【0045】
またパネル受取移動工程においては、パネル保持部9を搬送レール3aに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させるパネル受取動作を実行するようにしている。そしてこのパネル受取動作において、支持部材27と受取動作手段であるZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避ける方向に載置テーブル4を移動させることにより、支持部材27を退避させる退避動作を行うようにしている。
【0046】
なお上記実施の形態においては、載置テーブル4を搬送レール3aに対して搬送経路と直交するY方向に相対移動させることによって支持部材27を退避させる構成を採用しているが、支持部材27を退避させる方法は上述実施例に限定されるものではなく、以下に例示するように種々の構成が採用可能である。
【0047】
図13は、載置テーブル4を搬送レール3aに対してY方向に固定しておき、搬送レール3aを支持する脚部30をX方向に移動させることにより支持部材27を退避させるようにした例を示している。すなわち、図13(a)において、搬送レール3aを支持する脚部30の下面に固着されたスライダ31は、Y方向に固定されたガイドレール32にスライド自在に嵌合している。左右2つの脚部30に内蔵されたナット部材(図示省略)には、Y方向に配置された送りねじ33が螺合している。
【0048】
送りねじ33は左右両端で逆ピッチのねじ溝が設けられており、送りねじ33を回転させることにより、左右2つの脚部30は相互に逆方向に移動する。支持部材27を退避させる際には、図13(b)に示すように、送りねじ33を回転させて脚部30を外側方向へ移動させる。これにより、載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、支持部材27はZΘ軸テーブル8ZΘと干渉する位置から退避する。
【0049】
図14は、図13と同様に載置テーブル4を搬送レール3aに対してY方向に固定しておき、搬送レール3aを支持する脚部30をX方向に移動させることにより支持部材27を退避させる構成において、脚部30をそれぞれシリンダ34によって個別に駆動して移動させるようにしたものである。すなわち、図14(a)において、搬送レール3aを支持する脚部30の下面に固着されたスライダ31は、Y方向に固定されたガイドレール32にスライド自在に嵌合している。
【0050】
左右2つの脚部30は、水平外向きにロッドを向けて配設されたシリンダ34によって駆動され、シリンダ34を往復駆動することにより、左右2つの脚部30は相互に逆方向に移動する。支持部材27を退避させる際には、図14(b)に示すように、シリンダ34を駆動してロッド34aを突出させる。これにより、載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、支持部材27はZΘ軸テーブル8ZΘと干渉する位置から退避する。
【0051】
図15、図16は、対向する1対の載置テーブル4のうち、一方側のみを可動にした構成例を示している。すなわち、図15(a)において、左側の搬送レール3aは脚部30aによって固定支持されており、右側の搬送レール3aを支持する脚部30は、図13に示す例と同様にスライダ31、ガイドレール32を用いたスライド機構によってY方向に可動となっている。脚部30に内蔵されたナット部材(図示省略)には、Y方向に配置された送りねじ35が螺合しており、回転駆動源36によって送りねじ33を回転させることにより、脚部30はY方向に往復動する。
【0052】
支持部材27を退避させる際には、図15(b)に示すように、回転駆動源36を駆動して脚部30を外側方向へ移動させる。これにより、右側の載置テーブル4および支持部材27がともにY方向外側へ移動し、対向する支持部材27の間の間隔がZΘ軸テーブル
8ZΘが通過可能な幅寸法に拡大する。ZΘ軸テーブル8ZΘをX方向に移動させる際には、図16(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを一旦Y方向に移動させた後、X方向に移動させる。これにより、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉することなく、X方向に移動することができる。
【0053】
上述の図13,図14,図15に示す例は、支持部材27の退避動作において、載置テーブル4を搬送経路と直交する方向(Y方向)へ移動させる構成例を示したが、図17は支持部材27の退避動作において支持部材27を垂直面内で旋回させる構成例を示している。すなわち、図17(a)において、対向する2つの搬送レール3aは脚部30aによって固定支持されており、載置テーブル4には支持部材27が回転駆動機構37によって水平な回転軸37a廻りに垂直面内で回動自在に保持されている。
【0054】
回転駆動機構37を駆動することにより、図17(b)に示すように、支持部材27は回転軸37a廻りに旋回し、これにより、対向する2つの支持部材27の間の間隔が増大し、ZΘ軸テーブル8ZΘは支持部材27と干渉することなく、X方向に移動することができる。もちろん、支持部材27を載置テーブル4に対して回動させる替わりに、載置テーブル4自体を搬送レール3aに対して回動させることにより、支持部材27をZΘ軸テーブル8ZΘとの干渉を避ける位置に退避させるようにしてもよい。
【0055】
上記説明したように、本実施の形態に示すパネル組立装置においては、ガラスパネル5から張り出した状態でボンディングされた基板7を下方から支持する支持部材27と、パネル位置決めテーブル8など他の機構との干渉を避ける方向に支持部材27を退避させるようにしている。これにより、前述のパネル受取動作、パネル受渡動作においてパネル保持部9を他機構との干渉を生じることなくX方向に移動させることができ、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、基板7が張り出した状態で接続されたガラスパネル5を安定して保持して搬送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のパネル組立装置およびパネル組立方法は、サイズの異なる多種類のパネルを対象として、基板が張り出した状態で接続されたパネルを安定して保持して搬送することができるという利点を有し、パネルに基板を接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図
【図4】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図
【図5】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の部分斜視図
【図6】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図
【図9】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル搬送動作の動作説明図
【図10】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図
【図11】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図
【図12】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図13】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図14】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図15】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図16】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【図17】本発明の一実施の形態のパネル組立装置によるパネル受取・受渡動作における支持部材退避動作の動作説明図
【符号の説明】
【0058】
2 部品供給部
3 パネル搬送機構
4 載置テーブル
5 ガラスパネル
6 コネクタ
7 基板
8 パネル位置決めテーブル
9 パネル保持部
10 基板位置決めテーブル
12 圧着接合部
26 シリンダ
27 支持部材
M1 第1パネル組立装置
M2 第2パネル組立装置
[A] 搬入位置
[B] 受渡位置
[C] 待機位置
[D] 作業位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを作業位置へ供給するパネル供給装置であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段と、前記受渡位置にて前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記作業位置まで移動させるパネル受取移動手段とを備え、
前記パネル搬送手段は、前記搬送経路に略平行に配設された搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルを下面側から支持するパネル載置部と、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材とを備え、
前記パネル受取移動手段は、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させる受取動作手段を備え、
さらに前記受取動作手段による前記パネル保持部の移動において、前記支持部材と前記パネル保持部との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避手段を備えたことを特徴とするパネル供給装置。
【請求項2】
前記退避手段は、前記パネル載置部を前記搬送経路と直交する方向へ移動させることにより前記支持部材を退避させること特徴とする請求項1記載のパネル供給装置。
【請求項3】
パネルを作業位置へ供給するパネル供給方法であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送工程と、前記受渡位置に位置する前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記接合手段による作業位置まで移動させるパネル受取移動工程とを含み、
前記パネル搬送工程において、前記搬送経路に配設された搬送レールに沿って移動自在に設けられ、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材を備えたパネル載置部によって、前記パネルを下面側から支持した状態で前記パネル載置部を前記搬送レールに沿って移動させ、
前記パネル受取移動工程において、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させるパネル受取動作を実行し、
前記パネル受取動作において、前記支持部材と前記パネル移動手段との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避動作を行うことを特徴とするパネル供給方法。
【請求項4】
前記退避動作において、前記パネル載置部を前記搬送方向と直交する方向へ移動させることにより前記支持部材を退避させることを特徴とする請求項3記載のパネル供給方法。
【請求項1】
パネルを作業位置へ供給するパネル供給装置であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段と、前記受渡位置にて前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記作業位置まで移動させるパネル受取移動手段とを備え、
前記パネル搬送手段は、前記搬送経路に略平行に配設された搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルを下面側から支持するパネル載置部と、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材とを備え、
前記パネル受取移動手段は、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させる受取動作手段を備え、
さらに前記受取動作手段による前記パネル保持部の移動において、前記支持部材と前記パネル保持部との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避手段を備えたことを特徴とするパネル供給装置。
【請求項2】
前記退避手段は、前記パネル載置部を前記搬送経路と直交する方向へ移動させることにより前記支持部材を退避させること特徴とする請求項1記載のパネル供給装置。
【請求項3】
パネルを作業位置へ供給するパネル供給方法であって、前記パネルを搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送工程と、前記受渡位置に位置する前記パネルをパネル保持部によって保持して受け取って前記接合手段による作業位置まで移動させるパネル受取移動工程とを含み、
前記パネル搬送工程において、前記搬送経路に配設された搬送レールに沿って移動自在に設けられ、前記パネルにこのパネルの縁部から張り出した状態でボンディングされた前記基板を下方から支持する支持部材を備えたパネル載置部によって、前記パネルを下面側から支持した状態で前記パネル載置部を前記搬送レールに沿って移動させ、
前記パネル受取移動工程において、前記パネル保持部を前記搬送レールに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、前記受渡位置に位置する前記パネル載置部上の前記パネルを下面側から前記パネル保持部に保持させるパネル受取動作を実行し、
前記パネル受取動作において、前記支持部材と前記パネル移動手段との干渉を避ける方向に前記支持部材を退避させる退避動作を行うことを特徴とするパネル供給方法。
【請求項4】
前記退避動作において、前記パネル載置部を前記搬送方向と直交する方向へ移動させることにより前記支持部材を退避させることを特徴とする請求項3記載のパネル供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−219231(P2006−219231A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32560(P2005−32560)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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