説明

パネル及びその取付方法

【課題】水中構造物の壁面への水生生物の付着を防止する。
【解決手段】水生生物の忌避物質が防汚塗料として少なくとも表面全体に塗布された角形板状のパネル本体2と、パネル本体の少なくともいずれか一辺の周縁部に一体に形成された連結片X1,Y1を有し、連結片はパネル本体の厚み相当分の段差をもってパネル本体の裏面側に形成され、パネル本体の他辺の周縁部は他のパネルの連結片の表面側に重ね合わせられる連結縁部X2,Y2として形成され、かつ連結片および連結縁部には合致する位置にアンカーボルト等の取付具が挿通する取付孔4がそれぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水生生物の付着を防止するために水中構造物の壁面に取り付けられるパネル、及びそのパネルを水中構造物の表面に隙間なく取り付けるための取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の水中構造物、たとえば発電所における海水取水施設等においては、その表面にフジツボやイガイ等の水生生物(海生生物)が多量に付着し、それに起因する機能低下や機能障害を引き起こす懸念がある。従来においては付着した水生生物を定期的に掻き落として除去するしかなかったが、最近においては水生生物が嫌う各種の忌避物質が開発され、これを水中構造物の表面に防汚塗料として予め塗布することで水生生物の付着自体を防止し抑制することが行われるようになってきている。
【0003】
しかし、従来においては忌避物質を防汚塗料として水中構造物の表面に直接的に塗布することから、水面下の壁面に対してはそのまま塗布作業を行うことができず、塗布面全体をドライにする必要があるので、それが不可能な場合には適用できないものである。
また、ドライにして塗布作業を行うことが可能であっても、通常は塗布面に対して大がかりな足場を設置する必要があり、また忌避物質の効果を長期にわたって持続させるためには防汚塗料を充分な厚さに重ね塗りする必要があるため施工期間が長期に及んでしまい、しかも、いずれにしても1年ないし数年程度で防汚塗料の塗り直しが必要となるのでそのたびにドライにする必要があり、その際には既に付着している水生生物を掻き落とすという面倒な準備作業も必要である。
以上のことから、水生生物の忌避物質を防汚塗料として水中構造物の表面に直接的に塗布するという従来の塗布工法では、工費や施工性の点で必ずしも容易に実施できるものではなかった。
【0004】
そのため、たとえば特許文献1に示されているように、パネルの表面に予め防汚塗料を塗布してそのパネルを水中構造物の壁面に取り付けるという工法も提案されている。そのような工法によれば、水中の壁面に対してもパネルを取り付けることが可能であるので取付面をドライとする必要はないし、在来の塗布作業に比べればパネルの取付作業や交換作業も容易に行うことが可能であるので、今後は広く普及する気運にある。
【特許文献1】特開2003−342928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示される工法では、パネル間に若干の隙間が生じてしまう余地があって取付面を完全に覆うことは困難であり、そのため必ずしも全面的に充分な防汚性能を確保できない場合もあり、その点での改善が必要とされている。また、上記のパネルをたとえば海水を取水するための大口径の取水管の内面に取り付けるようなことは必ずしも容易ではないことから、そのような場合への適用も可能とするためのパネルの形態や取付手法についての改善も望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明のパネルは、水中構造物の表面への水生生物の付着を防止するべく水中構造物の表面を覆うように複数並べられて取り付けられるものであって、水生生物の忌避物質が防汚塗料として少なくとも表面全体に塗布された角形板状のパネル本体と、該パネル本体の少なくともいずれか一辺の周縁部に一体に形成された連結片とを有し、前記連結片は前記パネル本体の厚み相当分の段差をもって該パネル本体の裏面側に形成され、前記パネル本体の前記連結片が形成されていない他辺の周縁部は、隣接配置される他のパネルの連結片の表面側に重ね合わせられる連結縁部として形成され、かつ前記連結片および前記連結縁部には、隣接配置される他のパネルの連結縁部および連結片が重ね合わせられた状態で合致する位置にアンカーボルト等の取付具が挿通する取付孔がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明のパネルにおいては、パネル本体の裏面に連結縁部の裏面側を除いて連結片の厚み相当分の緩衝材を取り付けたり、パネル本体および連結片を柔軟な素材によって湾曲可能な平板状に一体成形することが好ましい。
【0008】
本発明のパネルの取付方法は、上記パネルを水中構造物の表面全体を覆うように隙間無く並べて取り付けるための方法であって、水中構造物の表面に予めアンカーボルトを取り付け、まず、いずれかのパネルを、その連結片に形成してある取付孔内にアンカーボルトを通すことによって水中構造物の表面に装着し、次いで、前記パネルに隣接配置する他のパネルを、その連結縁部に形成してある取付孔内に前記アンカーボルトを通すことによって該パネルを水中構造物の表面に装着するとともに、その連結縁部を先に装着したパネルの連結片上に重ね合わせ、該アンカーボルトに、防汚塗料を塗布した座金を介してナットを螺着して締結することにより、それら2枚のパネルの連結片と連結縁部とを重ね合わせて連結した状態で一括して水中構造物の表面に固定することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の取付方法においては、アンカーボルトに螺着するナットとして緩み止め機構つきのナットを使用するとともに、ナット螺着部には防汚塗料を塗布したキャップを装着し、かつ該キャップ内に水中硬化型の樹脂を充填して硬化させることにより、ナット螺着部全体を該樹脂により固着しかつ前記キャップにより隠蔽することが好ましい。また、相互に隙間なくかつ段差なく連結可能なように、連結片および連結縁部の形成位置が異なるのみで全体の形状と寸法が等しい4種類のパネルを組み合わせて用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパネルによれば、隣接配置されるパネルの連結片と連結縁部どうしが重ね合わせられて一体に連結された状態で取付面に対して取り付けられるので、パネル間に隙間が生じることがなく、それにより全面的に確実な防汚性能を確保することができる。また、裏面側に緩衝材を取りつけておくことにより取付面の不陸や凹凸を吸収することができる。さらに、柔軟な素材により湾曲可能なパネルとすることにより取水管の内面等の湾曲面にも支障なく取り付けることが可能である。
【0011】
本発明の取付方法によれば、予め製作したパネルを順次並べていって連結片と連結縁部とを重ね合わせた状態でアンカーボルトに通し、アンカーボルトに座金を介してナットを螺着することにより、各パネルを隙間なく確実にしかも単純作業の繰り返しにより施工性良く容易に取り付けることができる。特に緩み止め機構付きのナットを用い、ナット螺着部にキャップを装着して樹脂により固着することにより、万全の緩み止め効果が得られる。また、連結片と連結縁部の異なる4種のパネルを組み合わせて用いることにより、様々な形態の取付面に適用可能であり、特に管路内面に取り付ける場合に最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図8を参照して本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、図1に示すような大口径の取水管1の内面への水生生物の付着を防止するべく、その取水管1の内面全体を覆うように多数のパネルP(後述する4種類のパネルA,B,C,D)を取り付ける場合の適用例である。本実施形態におけるパネルPは、基本的には特許文献1に示されるパネルと同様に表面全体に水生生物の忌避物質が防汚塗料として塗布されているものであるが、その全体の形状は図4〜図7に示すような薄い矩形平板状に形成されており、かつその素材としてはたとえばFRP等の若干の湾曲が可能な比較的柔軟な素材が用いられていて、図1に示すように各パネルPを取り付ける際に取水管1の内面に密着させるように湾曲させ、かつ隣接して取り付けるパネルPの周縁部どうしを互いに重ね合わせた状態で隙間なく連結して固定するものとしている。
【0013】
そのため、本実施形態では図4〜図7に示す4種類のパネルPを組合わせて用いることとしている。それらパネルPは、いずれも矩形平板状のパネル本体2を主体としてそのパネル本体2のいずれかの周縁部に連結片X1、Y1が一体に形成され、かつそのような連結片X1、Y1が形成されていない他の周縁部はそれ自体が連結片X1、Y1に重ね合わせられる連結縁部X2、Y2とされているものである。そして4種類のパネルPは、それぞれに形成されている連結片X1、Y1と連結縁部X2、Y2の位置と数とが異なるのみで全体の形状と寸法は等しくされている。
【0014】
以下、本実施形態における4種類のパネルPについて説明するが、それら4種類のパネルPを区別する必要がある場合には特にそれぞれをパネルA,B,C,Dといい、図面ではそれぞれP(A),P(B),P(C),P(D)の符号を付す。なお、以下の説明ではパネルA〜Dの形状やそれらの連結の構造が理解し易いように各部に寸法を付してあるが、その寸法はあくまで一例に過ぎず、本発明をそのような寸法のものに限定する主旨では勿論ない。
【0015】
本実施形態における各パネルA〜Dは、内径が3300mmφの取水管1の内面に対して8枚を1組として1リングとなるように隙間なく並べて取り付けるものとして、いずれも全体の短辺寸法が1408mm、長辺寸法が2100mmとされ、パネル本体2の厚みが3mmとされているものである。そして、いずれもパネル本体2の一方の短辺に対して幅100mmの連結片X1が形成され、他方の短辺の周縁部は他のパネルの連結片X1上に直接的に重ね合わせられる連結縁部X2となっている。
上記の連結片X1は、パネル本体2の表面からその厚み相当分(つまり3mm)の段差をもってパネル本体2の裏面側に形成されており、したがって2枚のパネルの連結片X1と連結縁部X2とを重ね合わせることよりそれらの表面に段差や隙間が生じることなく滑らかに連結されるようになっている。なお、連結片X1自体の厚みもパネル本体2の厚さと同じく3mmとされており、したがって重ね合わせ部では6mmの厚みとなる。
【0016】
また、各パネルA〜Dの側縁部には、上記の連結片X1または連結縁部X2と同様の連結片Y1または連結縁部Y2がそれぞれ以下のようにして形成されている。
図4に示すパネルAには、パネル本体2の両方の長辺に対して連結片Y1が形成されている。
図5に示すパネルBには、パネル本体2の一方の長辺に対してのみ連結片Y1が形成され、他方の長辺の周縁部は他のパネルの連結片Y1に重ね合わせられる連結縁部Y2とされている。
図6に示すパネルCには、パネルBとは逆側の一方の長辺に対して連結片Y1が形成され、他方の長辺の周縁部が連結縁部Y2とされている。
図7に示すパネルDは、両方の長辺の周縁部が、パネルA〜Cに形成されている連結片Y1に重ね合わせられる連結縁部Y2とされている。
【0017】
そして、各パネルA〜Dの連結片X1,Y1と連結縁部X2,Y2、およびパネル本体2の幅方向の中心位置には、それぞれアンカーボルト3を通すための取付孔4が形成されている。それら取付孔4の相互間隔は、図4〜図7に示すように短辺方向では654mmを基準とし、長辺方向では665mmおよび670mmを基準としているが、図8に示すようにそれら取付孔4はいずれも各パネルの幅方向にやや長い長穴として形成され、かつ各パネルの側縁部に位置している取付孔4は上記の基準寸法線に対してやや内側に偏心したものとなっている。
【0018】
また、各パネルA〜Dのパネル本体2裏面側には、連結縁部X2,Y2の裏面側を除いて緩衝材4が取り付けられている。緩衝材5の厚みは連結片X1,Y1の厚みと同じく3mmとされ、それにより緩衝材5を含めたパネル全体の厚みは6mmとされ、パネル裏面は連結縁部X2,Y2の裏面側を除いて段差のない平坦面となっている。緩衝材5としては取付面の不陸や凹凸を吸収可能な柔軟なもの、たとえばスポンジ状のものや発泡スチロール等の多孔質のもの、もしくはゴム系のものが好適に採用可能である。
【0019】
本実施形態では、上記のパネルA〜Dを図1に示すようにそれぞれ2枚ずつ計8枚を1組として使用して取水管1の内面に1リング分として取り付け、その1リング分のパネルA〜Dを下流側から上流側に向かって取水管1の全長にわたって順次取り付けていくようにしている。その場合の各パネルA〜Dの割り付け例と、既設の取水管1の内面に対して水中作業によってそれらパネルA〜Dを取り付けていく場合の作業手順について、図2および図3を参照して説明する。
【0020】
図2は取水管1の下半部に対するパネルの割り付け例を展開図として示すものである。ここでは、最底部にパネルDを配置し、その左側にはパネルAを配置し、さらにその左側にはパネルBを配置している。また最底部のパネルDの右側にはパネルAを配置し、さらにその右側にはパネルCを配置している。また、下半部に配置した以上の5枚に加え、上半部には図1に示すように頂部にパネルD、その左側にはパネルB、右側にはパネルCを配置しており、それら全8枚のパネルA〜Dにより1リング分を形成している。
各パネルA〜Dを上記のように配置することにより、隣接配置される双方のパネルの連結片Y1と連結縁部Y2とが自ずと重ね合わせられた状態で取水管1内面に対して一体に連結固定され、さらに各パネルA〜Dの上流側にそれぞれ同種の他のパネルA〜Dを隣接配置してそれらの連結片X1と連結縁部X2とを重ね合わせることにより次の1リング分が同様に形成され、以上の作業を上流側に向かって順次繰り返していくことで取水管1の内面全体が各パネルA〜Dにより隙間なく覆われるものとなっている。
【0021】
既存の取水管1の内面に対して水中作業により各パネルA〜Dを取り付けていくための作業手順としては、まず取水管1の表面に水生生物が既に付着している場合にはそれを除去した後、アンカーボルト3の墨出し、アンカーボルト3の打設を行う。アンカーボルト3の打設は、取付面である取水管1内面が鋼面である場合には水中スタッドボルトを特殊ガンにより打ち込むと良く、コンクリート面である場合には水中ケミカルアンカーまたは適宜の機械式アンカーを用いれば良い。
そして、たとえば取水管1の底部のやや右側位置にパネルAを配置し、その連結片Y1および中央部に形成してある取付孔4内にそれぞれアンカーボルト3を通し、まず図3(b)に示すように中央部の取付孔4に対し座金6を介してナット7を螺着して仮締めする。これによりそのパネルAは自ずと湾曲して取水管内面に密着する。
図2に示したようにそのパネルAの左隣には最終的にパネルDが配置されるが、その固定は、パネルDの連結縁部Y2を先に配置した上記のパネルAの連結片Y1上に重ね合わせて取付孔4内にアンカーボルト3を通し、図3(a)に示すようにアンカーボルト3に座金6を介してナット7を螺着して締め付ける。
この際、ナット7としては緩み止め機構つきのいわゆるUナットを用いるとともに、図3に示すようにナット螺着部にはたとえばFRP製のキャップ8を装着し、さらにそのキャップ8内には水中硬化型の樹脂(つまり接着剤)9を充填する。これにより、ナット螺着部全体がキャップ8により隠蔽されるとともに樹脂9の硬化により固着され、万全の緩み止めとナット脱落防止がなされる。勿論、座金6およびキャップ8の少なくとも外表面には予め防汚塗料を塗布しておいてそこへの水生生物の付着も防止する。
【0022】
本実施形態によれば、上記の各パネルA〜Dを連結片Y1と連結縁部Y2、および結片X1と連結縁部X2とを、順次重ね合わせて連結しつつ並べて取り付けていくことにより、取水管1内面全体をそれらパネルA〜Dにより隙間なく、しかも段差なく、完全に覆うことができ、万全の防汚性能を確保することができる。また、各パネルA〜Dの裏面には緩衝材5が取り付けられているので取水管1の内面に多少の凹凸や不陸があっても支障なく吸収することができるし、取付孔4を長穴としているので取水管1の多少の寸法誤差にも対応可能である。
【0023】
また、予め製作した4種のパネルA〜Dを上記のように連結片X1,Y1上に連結縁部X2,Y2を重ねながら順次並べていってアンカーボルト3により締結固定すれば良いから、そのような単純作業の繰り返しにより優れた施工性を確保でき、大断面かつ長距離の取水管1に対しても短工期での施工が可能である。その際、上記実施形態のように下流側から上流側に向かって施工を進めて下流側のパネルPの連結片X1上に上流側のパネルPの連結縁部X2を重ねていくようにすれば、各パネルPに対して水流による揚力が作用することはなくいので万一ナット7が緩んだような場合であってもパネルPが浮き上がったり剥離するようなことはない。
勿論、各パネルA〜Dは充分に薄くかつ充分に軽量なものであるので施工の際の取り扱いは容易であるし、柔軟性を有していて軽く押し当てることのみで取水管1の内面に容易に密着させることができるから、その点においても施工性に優れるものである。
【0024】
以上で本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、たとえば以下に列挙するような適宜の設計的変更が可能である。
上記実施形態のパネルP(パネルA〜D)は取水管1の内面に取り付けることを前提として柔軟な素材により湾曲可能なものとしたのであるが、単に平坦な壁面に取り付ける場合には湾曲するものである必要はないので、その際は単なる平板状に成形して所望の強度や剛性をもたせたものとしても勿論良い。あるいは、所望の曲率の円弧状に予め成形したり、壁面のコーナー部(出隅部や入隅部)に取り付けるものとして予めL状に折曲成形しておくことも考えられる。勿論、連結片を含めてパネル本体の素材は任意であるし、緩衝材が不要な場合には省略しても差し支えない。なお、防汚塗料は少なくともパネル本体の表面全体(連結縁部も含む)に塗布しておけば良いが、連結縁部と連結片との重ね合わせ部にわずかな隙間が生じることも想定して、可能であればパネル本体や連結片の小口面やさらには裏面に対しても防汚塗料を塗布しておくとより万全である。
本発明は既設の水中構造物としての取水管に対してパネルを水中作業によって取り付けるものとして最適であるといえるが、新設構造物にも適用可能であることは当然であるし、取付面をドライにすることが可能な場合には気中作業によって取り付けることも勿論可能である。
上記実施形態では4種のパネルA〜Dを組み合わせて用いたが、必ずしもそうすることはなく、要は各パネルPどうしを連結片X1と連結縁部X2、および連結片Y1と連結縁部Y2とを重ね合わせて隙間なく連結しつつ一体に取り付けていけば良いのであって、その限りにおいて各パネルの形状(縦横比)や全体の外形寸法、厚さ寸法、パネルどうしの組み合わせや割り付け、取付作業の順序、その他を任意に設定すれば良く、同様の構造で隙間なく連結できるものどうしであれば形状や寸法の異なるパネルどうしを組み合わせることも妨げるものではない。
勿論、水中構造物に対する固定手法もアンカーボルトによる直接的な締結に限らず適宜の取付具による適宜の固定手段が採用可能であるし、取付孔の位置や数も任意であるが、いずれにしても充分な固定強度を確保できかつパネル交換も比較的簡単に行い得るものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態を示すもので、取水管の内面にパネルを取り付けた状態を示す図である。
【図2】同、パネルの割り付け状態を示す展開図である。
【図3】同、アンカーボルトによる取付部の構造を示す詳細図であり、(a)は図1におけるIIIa部の拡大図、(b)は図1におけるIIIb部の拡大図である。
【図4】同、パネルAの形状を示す図である。
【図5】同、パネルBの形状を示す図である。
【図6】同、パネルCの形状を示す図である。
【図7】同、パネルDの形状を示す図である。
【図8】同、各パネルにおける取付孔の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
P パネル
P(A) パネルA
P(B) パネルB
P(C) パネルC
P(D) パネルD
X1,Y1 連結片
X2,Y2 連結縁部
1 取水管(水中構造物)
2 パネル本体
3 アンカーボルト(取付具)
4 取付孔
5 緩衝材
6 座金
7 ナット
8 キャップ
9 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中構造物の表面への水生生物の付着を防止するべく水中構造物の表面を覆うように複数並べられて取り付けられるパネルであって、
水生生物の忌避物質が防汚塗料として少なくとも表面全体に塗布された角形板状のパネル本体と、該パネル本体の少なくともいずれか一辺の周縁部に一体に形成された連結片とを有し、
前記連結片は前記パネル本体の厚み相当分の段差をもって該パネル本体の裏面側に形成され、
前記パネル本体の前記連結片が形成されていない他辺の周縁部は、隣接配置される他のパネルの連結片の表面側に重ね合わせられる連結縁部として形成され、
かつ前記連結片および前記連結縁部には、隣接配置される他のパネルの連結縁部および連結片が重ね合わせられた状態で合致する位置にアンカーボルト等の取付具が挿通する取付孔がそれぞれ形成されていることを特徴とするパネル。
【請求項2】
請求項1記載のパネルであって、
パネル本体の裏面には、連結縁部の裏面側を除いて連結片の厚み相当分の緩衝材が取り付けられていることを特徴とするパネル。
【請求項3】
請求項1または2記載のパネルであって、
パネル本体および連結片は、柔軟な素材によって湾曲可能な平板状に一体成形されていることを特徴とするパネル。
【請求項4】
請求項1,2または3記載のパネルを水中構造物の表面全体を覆うように隙間無く並べて取り付けるためのパネルの取付方法であって、
水中構造物の表面に予めアンカーボルトを取り付け、
まず、いずれかのパネルを、その連結片に形成してある取付孔内にアンカーボルトを通すことによって水中構造物の表面に装着し、
次いで、前記パネルに隣接配置する他のパネルを、その連結縁部に形成してある取付孔内に前記アンカーボルトを通すことによって該パネルを水中構造物の表面に装着するとともに、その連結縁部を先に装着したパネルの連結片上に重ね合わせ、
該アンカーボルトに、防汚塗料を塗布した座金を介してナットを螺着して締結することにより、それら2枚のパネルの連結片と連結縁部とを重ね合わせて連結した状態で一括して水中構造物の表面に固定することを特徴とするパネルの取付方法。
【請求項5】
請求項4記載のパネルの取付方法であって、
アンカーボルトに螺着するナットとして緩み止め機構つきのナットを使用するとともに、ナット螺着部には防汚塗料を塗布したキャップを装着し、かつ該キャップ内に水中硬化型の樹脂を充填して硬化させることにより、ナット螺着部全体を該樹脂により固着しかつ前記キャップにより隠蔽することを特徴とするパネルの取付方法。
【請求項6】
請求項4または5記載のパネルの取付方法であって、
連結片および連結縁部の形成位置が異なるのみで全体の形状と寸法が等しくされ、それぞれが以下の構成(1)〜(5)からなる4種類のパネルA,B,C,Dを組み合わせて用いることを特徴とするパネルの取付方法。
(1)パネルA〜Dはいずれも矩形平板状とされ、かつ、いずれもパネル本体の一方の短辺に対して連結片X1が形成され、他方の短辺の周縁部が該連結片X1に重ね合わせ可能な連結縁部X2とされている。
(2)パネルAは、パネル本体の両方の長辺に対してそれぞれ連結片Y1が形成されている。
(3)パネルBは、パネル本体の一方の長辺に対して連結片Y1が形成され、他方の長辺の周縁部が該連結片Y1に重ね合わせ可能な連結縁部Y2とされている。
(4)パネルCは、パネルBとは逆側の一方の長辺に対して連結片Y1が形成され、他方の長辺の周縁部が該連結片Y1に重ね合わせ可能な連結縁部Y2とされている。
(5)パネルDは、パネル本体の両方の長辺の周縁部が、いずれも、パネルA〜Cにおける連結片Y1に重ね合わせ可能な連結縁部Y2とされている。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−177397(P2007−177397A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373667(P2005−373667)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(591039034)吉川海事興業株式会社 (3)
【出願人】(501481724)NKMコーティングス株式会社 (7)
【出願人】(598017929)千葉スーパーレジン株式会社 (1)