説明

パネル取付構造及びパネル取付方法

【課題】複数のパネルの端部同士を近接または当接させて外観の向上を図りながら、これらのパネルの熱膨張に起因する端部の浮き上がりを防止する。
【解決手段】下地3に取付けられる第1、第2パネル11、12は第1、第2突合せ端部13、15を有し、第1突合せ端部13は第2突合せ端部15側に突出して第1突出部17を形成し、第2突合せ端部15は第1突合せ端部13側に突出して第2突出部19を形成し、第2突出部19は、第2突出部19が部位17aに当接した状態で第1突出部17の先端と部位19aとの間に第1の接着剤進入路21を形成し、第2突出部19と第1突出部17との間に第1の接着剤進入路21に通ずる第2の接着剤進入路27を形成し、接着剤5は、下地3から第1、第2の接着剤進入路21、27に進入することにより第1突出部17と第2突出部19とを両パネルの厚み方向に接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の壁や天井、床、或いは屋外の壁などの下地に対するパネルの取付構造及びパネル取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したパネルの取付構造としては、下地に対しパネルを、両面粘着テープ及び接着剤を用いて接着する構造が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。より詳細には、パネルの4辺の近傍部位に各辺に沿って両面粘着テープを貼着するとともに、パネル中央部に長手方向に沿って両面粘着テープを貼着し、両面粘着テープで囲まれたテープ非貼着部分に接着剤を配し、パネルを下地に押し付けることにより取付ける構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3117950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記構造によって複数のパネルを並べて配置しながら取付ける場合、その互いに隣り合うパネルの端部同士の間隔の設定が難しいという課題がある。これらのパネルの端部同士はなるべく近接させることが外観上好ましいが、当該端部同士を近接させると、パネルの熱膨張により当該端部同士が突き合わされることで、パネル端部が下地から浮き上がってしまうおそれがある。そのため、特許文献1に記載された構成では、パネルの端部同士の間に弾性材料からなる目地を入れ、パネルの熱膨張により当該端部同士が接近してもパネル端部が下地から浮き上がらないようにしている。
【0005】
このようにパネル端部を近接させてもパネル端部が下地から浮き上がらないようにするには、下地にパネルの端を接着することで対応できるものの、例えば接着剤の量や押し付け力が適当でないときには接着剤が端部同士の間を通って外側へはみ出し易くなり、そのはみ出した接着剤によって外観が損なわれてしまうという難点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、複数のパネルの端部同士を近接または当接させて外観の向上を図りながら、これらのパネルの熱膨張に起因する前記端部の下地からの浮き上がりを防止することが可能なパネルの取付構造及び取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明者らは、前記下地に前記各パネルを取付けるための接着剤を利用して当該パネルの端部同士を結合することにより当該端部の浮き上がりを抑止することに想到した。
【0008】
具体的に、本発明が提供するパネル取付構造は、下地に沿って互いに並べられた状態で当該下地に取付けられる第1パネル及び第2パネルと、これら第1パネル及び第2パネルを前記下地に接着するように各パネルの裏面と前記下地との間に配された接着剤とを含み、前記第1パネル及び前記第2パネルは互いに突き合わされる第1突合せ端部及び第2突合せ端部をそれぞれ有し、前記第1突合せ端部のうち前記下地に近い側の部位は前記下地から遠い側の部位よりも前記第2突合せ端部側に突出して第1突出部を形成し、前記第2突合せ端部のうち前記下地から遠い側の部位が前記下地に近い側の部位よりも前記第1突合せ端部側に突出して第2突出部を形成し、前記第2突出部は、この第2突出部が前記第1突合せ端部のうち前記第1突出部よりも前記下地から遠い側の部位に当接した状態で当該第1突出部の先端と前記第2突合せ端部のうち前記第2突出部よりも下地に近い側の部位との間に第1の接着剤進入路を形成するように前記第1突出部よりも大きな突出長さを有するとともに、この第2突出部と前記第1突出部との間に前記第1の接着剤進入路に通ずる第2の接着剤進入路を形成するように当該第1突出部から前記下地と反対の側に離れた状態で突出し、前記接着剤は、前記下地から前記第1の接着剤進入路及び前記第2の接着剤進入路に進入することにより前記第1突出部と前記第2突出部とをパネル厚み方向に接着しているものである。この構造によれば、第2パネルの第2突合せ端部における第2突出部が第1パネルの第1突合せ端部のうち下地から遠い側の部位に近接されることで外観の向上を図りながら、前記第2突出部の浮き上がりを防ぐことが可能になる。即ち、この構造によれば、下地とパネルとの接着に寄与する接着剤が、第1の接着剤進入路さらには第2の接着剤進入路に進入して第1パネルの第1突出部と第2パネルの第2突出部とを接着するため、両パネルの熱膨張に起因して、第1パネルの第1突合せ端部のうち下地から遠い側の部位に第2突出部が当接することにより起こる第2突出部の浮き上がりが防止される。また、パネルの裏面と下地との間からはみ出る接着剤は、第2突出部の裏側にある第1及び第2の接着剤進入路に受け入れられるので、この接着剤がパネル表側にはみ出すことによる外観の低下を回避しながら上記効果が得られる。
【0009】
この構造において、前記第2突出部は、その先端部の裏面が他の部位の裏面よりも下地側に突出する形状を有することが好ましい。この裏面の突出部分は、第2の接着剤進入路に進入した接着剤がさらに第2突出部と第1パネルの第1突合せ端部との隙間からパネルの外側にはみ出ることを有効に抑止する。また、前記第2突出部のうちその先端の前記突出部分よりも根元側の部分は、前記第1突出部との間に接着剤の進入に十分な隙間(第2の接着剤進入路)を確保することができる。
【0010】
また、この構造では、各パネルと下地との間であって突合せ端部の近傍部位に、前記接着剤を前記接着剤溜り部へ向けて移動させるべく設けられた貼着テープを有するようにしてもよい。このようにした場合には、パネルと下地との間がパネルを押し付けることで狭くなって接着剤が広がっていくとき、突合せ端部の近傍部位に設けた貼着テープが接着剤の拡がり方向を規制し、接着剤を接着剤溜り部へ向けて移動させることが可能になる。
【0011】
また、本発明が提供するパネル取付方法は、第1パネル及び第2パネルを下地に沿って並べた状態で当該下地に取付けるための方法であって、前記第1パネル及び前記第2パネルとして、それぞれが互いに突き合わされる第1突合せ端部及び第2突合せ端部をそれぞれ有し、前記第1突合せ端部のうち前記下地に近い側の部位は前記下地から遠い側の部位よりも前記第2突合せ端部側に突出して第1突出部を形成し、前記第2突合せ端部のうち前記下地から遠い側の部位が前記下地に近い側の部位よりも前記第1突合せ端部側に突出して第2突出部を形成し、前記第2突出部は、この第2突出部が前記第1突合せ端部のうち前記第1突出部よりも前記下地から遠い側の部位に当接した状態で当該第1突出部の先端と前記第2突合せ端部のうち前記第2突出部よりも下地に近い側の部位との間に第1の接着剤進入路を形成するように前記第1突出部よりも大きな突出長さを有するとともに、この第2突出部と前記第1突出部との間に前記第1の接着剤進入路に通ずる第2の接着剤進入路を形成するように当該第1突出部から前記下地と反対の側に離れた状態で突出するパネルを用意することと、前記下地と前記第1パネル及び前記第2パネルの裏面との間に接着剤を介在させた状態で両パネルを前記下地に押付けることにより、前記接着剤を前記第1の接着剤進入路及び前記第2の接着剤進入路に進入させて前記第1パネルの第1突出部と前記第2パネルの第2突出部とをパネル厚み方向に接着することと、を含むものである。本発明方法による場合には、請求項1と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、第2パネルの第2突合せ端部における第2突出部が第1パネルの第1突合せ端部のうち下地から遠い側の部位に近接されることで外観の向上を図りながら、前記第2突出部の浮き上がりを防ぐことが可能になる。即ち、この構造によれば、下地とパネルとの接着に寄与する接着剤が、第1の接着剤進入路さらには第2の接着剤進入路に進入して第1パネルの第1突出部と第2パネルの第2突出部とを接着するため、両パネルの熱膨張に起因して、第1パネルの第1突合せ端部のうち下地から遠い側の部位に第2突出部が当接することにより起こる第2突出部の浮き上がりが防止される。また、パネルの裏面と下地との間からはみ出る接着剤は、第2突出部の裏側にある第1及び第2の接着剤進入路に受け入れられるので、この接着剤がパネル表側にはみ出すことによる外観の低下を回避しながら上記効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るパネル取付構造を底面側から見た図である。
【図2】パネルの底面図である。
【図3】パネル取付方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係るパネル取付構造を底面側から見た図である。
【0016】
本実施形態に係るパネル取付構造1は、下地3の上に、下地3との間に接着剤5および両面テープ7を介し、互いに端部を突き合わせて複数のパネル10、10・・・が取付けられた構造である。
【0017】
上記接着剤5としては、例えば湿気硬化型ウレタン系接着剤であるボンドKU912(コニシ(株))を用いており、粘度は70〜170Pa・s(20r/min)である。
【0018】
上記下地3は、本実施形態では床面に対して立設された屋内の壁を対象としており、その下地3の外表面にパネル10が取付けられている。
【0019】
各パネル10は、矩形板状をした同一構成のものであり、その幅方向Wを下地3の外表面と一致させて並設されており、幅方向Wの一方側(右側)に第1突合せ端部13を有し、他方側(左側)に第2突合せ端部15を有する。第1突合せ端部13には、下地3から遠い側の部位17aに対して下地3に近い側の部位を、下地3の表面に沿った側方であって隣(右隣)のパネル10の第2突合せ端部15側(後述する部位19a側)へ向けて突出させた第1突出部17が設けられ、第2突合せ端部15には、下地3に近い側の部位19aに対して下地3から遠い側の部位を、下地3の表面に沿った側方であって隣(左隣)のパネル10の第1突合せ端部13の前記部位17a側へ向けて突出させた第2突出部19が設けられている。第1突出部17は、幅方向Wにおいて部位19aに対向配設され、第2突出部19は幅方向Wにおいて前記部位17aに当接される。
【0020】
ここで、図1の中央の2つのパネル10において、左側のパネル10を第1パネル11と呼び、右側のパネル10を第2パネル12と呼ぶ。
【0021】
第1パネル11の第2突出部19は、第1パネル11よりも左側のパネル10(10A)の第1突出部17とパネル厚み方向Aにおいて対向して第1突出部17を覆い、第1パネル11の第1突出部17は、第2パネル12の第2突出部19とパネル厚み方向Aにおいて対向して第2突出部19により覆われる。
【0022】
第2パネル12の第2突出部19は、第1パネル11の第1突出部17とパネル厚み方向Aで対向して第1突出部17を覆い、第2パネル12の第1突出部17は、第2パネル12よりも右側のパネル10(10B)の第2突出部19とパネル厚み方向Aにおいて対向して第2突出部19により覆われる。
【0023】
各パネル11、12の第2突出部19の突出長さL1は、第1突出部17の突出長さL2よりも長く形成されていて、この第2突出部19が左側のパネル10の突合せ端部13における前記部位17aに当接されている。そして、この当接状態において、両方の突き合わせ端部13、15の間には、より具体的には左側のパネル10の第1突出部17と右側のパネル10の前記部位19aとの間には、第1の接着剤進入路21が形成される。
【0024】
また、第2突出部19は、左側のパネル10に近い先端部23と、その先端部23よりも左側のパネル10から遠い基端部25とを有し、基端部25は第1突出部17から下地3と反対の側に離れた状態に形成されていて、その基端部25の裏面(下面)と第1突出部17の表面(上面)との間には、第1の接着剤進入路21に連通する第2の接着剤進入路27が形成されている。更に、先端部23の裏面(下面)と第1突出部17の表面(上面)との間には、接着剤5を通す隙間29が形成されており、その隙間29は前記第2の接着剤進入路27に連通している。
【0025】
上記第2の接着剤進入路27には、この第2の接着剤進入路27を構成する左右2つのパネル10と下地3との間に設けた接着剤5が、第1の接着剤進入路21を経て供給される。即ち、これら第1及び第2の接着剤進入路21、27は接着剤5のはみ出した部分を第2突出部19の裏側で受け入れる機能を有する。なお、第2の接着剤進入路27にはみ出す接着剤は、主に右側のパネル10と下地3との間に設けた接着剤5Aで構成されるが、左側のパネル10と下地3との間に設けた接着剤5Bを含んでいてもよい。上記隙間29には、第2の接着剤進入路27に溜まる量よりも多く接着剤5が第2の接着剤進入路27にはみ出したときに、第2の接着剤進入路27に収容しきれない接着剤5が供給される。第2の接着剤進入路27を挟む基端部25と第1突出部17との間の隙間寸法Bは、隙間29のパネル厚み方向Aでの寸法Cよりも大きく、第1の接着剤進入路21の幅方向Wでの寸法Fよりも小さく設定されている。
【0026】
また、各パネル10と下地3との間であって各接着剤5(5A、5B)の幅方向W内側には、前記両面テープ7がパネル10の長手方向に沿い、かつ全長にわたって連続的に設けられている。また、接着剤5(5A、5B)も、パネル10の長手方向に沿い、かつ全長にわたって連続的に設けられる。
【0027】
図2はパネルの底面図である。
【0028】
パネル10は、第1突出部17および第2突出部19の箇所を除いて一定の厚み寸法T1に形成され、前記隙間寸法Bは、第1突出部17の厚み寸法T4に基端部25の厚み寸法T2を加えた値を、厚み寸法T1から減算した値に設定される。例えば、T1=4mm、T4=1.6mm、T2=1.6mmとすると、隙間寸法Bは、0.8mmに設定される。また、隙間29の厚み方向Aの寸法Cは、先端部23の厚み寸法T3に、第1突出部17の厚み寸法T4を加えた値を、厚み寸法T1から減算した値に設定される。例えば、T3=2.1mmとすると、隙間29の厚み方向Aの寸法Cは、0.3mmに設定される。なお、以上の寸法T1〜T4の値は一例であり、適宜異なる値を選定し得る。
【0029】
また、第2突出部19の突出長さL1は第1突出部17の突出長さL2よりも長く設定されていて、このL1からL2を減算した値が、前記幅方向Wにおける第1の接着剤進入路21の寸法Fに一致する。寸法Fは、例えばL1=5.0mm、L2=4.0mmとすると、隙間寸法Bよりも大きい1.0mmに設定される。なお、寸法F、隙間寸法B及び寸法Cについては、例えば接着剤5の種類や粘度に対応させて、第1の接着剤進入路21、第2の接着剤進入路27及び隙間29を接着剤5が支障なく移動し得る値に適宜選定することが好ましい。また、前記基端部25のパネル幅方向Wにおける長さ寸法L3は、例えばL1=5.0mmのときに3.5mm程度に設定される。
【0030】
次に、このように構成された本実施形態に係るパネル取付構造を得るためのパネル取付方法につき、図3に基づいて説明する。
【0031】
まず、壁に貼着する所定枚数のパネル10を用意する。
【0032】
次に、図3(a)に示すように、下地3の第1パネル11を取付ける領域Dに接着剤5Bを付着させるとともに、その接着剤5Bよりも幅方向W内側に両面テープ7を貼着し、下地3の第2パネル12を取付ける領域Eに接着剤5Aを付着させるとともに、その接着剤5Aよりも幅方向W内側に両面テープ7を貼着する。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、下地3の領域Dに第1パネル11を、下地3側へ押し付けて取付ける。このとき、第1パネル11の第1突出部17の表面(上面)は露出したままで、一方の第2突出部19(図に表れていない)は、この第1パネル11よりも先に取付られたパネル10(図1における10A)の第1突出部17を覆う。
【0034】
次に、図3(c)に示すように、下地3の領域Eに第2パネル12を、下地3側へ押し付けて取付ける。このとき、先に取付けた第1パネル11の第1突出部17に、第2パネル12の第2突出部19を対向させるとともに、その第2突出部19を第1パネル11の突合せ端部13の前記部位17aに当接させて両方の突合せ端部13、15の間に第1の接着剤進入路21を形成する。
【0035】
次に、第2パネル12を下地側へ押し付けて、下地3と第2パネル12との間の接着剤5Aを、第1の接着剤進入路21を経由して第2の接着剤進入路27へ進入させ、更には隙間29に接着剤5Aを供給し、下地3の上に第2パネル12を貼着する。このとき、両面テープ7は、接着剤5Aが両面テープ7側へ拡がるのを規制し、両面テープ7が接着剤5Aを第2の接着剤進入路27へ移動させるように働く。なお、第1の接着剤進入路21及び第2の接着剤進入路27には、下地3と第2パネル12との間の接着剤5Aだけでなく、第1パネル11と下地3との間の接着剤5Bも進入するようにしてもよい。換言すると、接着剤5としては、これら第1パネル11及び第2パネル12の取付けが完了するまでは硬化せず、第1の接着剤進入路21及び第2の接着剤進入路27への進入が可能な粘性や硬化速度を有するものを用いるのが好ましい。
【0036】
これにより第2パネル12が下地3の上に取付けられる。以上の工程は、以降のパネルの取付けにおいても同様に繰り返し行われる。
【0037】
したがって、本実施形態による場合には、第2パネル12の第2突合せ端部15における第2突出部19が第1パネル11の第1突合せ端部13のうち下地3から遠い側の部位17aに近接されることで外観の向上を図りながら、前記第2突出部19の浮き上がりを防ぐことが可能になる。即ち、下地3とパネル10との接着に寄与する接着剤5が、第1の接着剤進入路21さらには第2の接着剤進入路27に進入して第1パネル11の第1突出部17と第2パネル12の第2突出部19とを接着するため、両パネル11、12の熱膨張に起因して、第1パネル11の第1突合せ端部13のうち下地3から遠い側の部位17aに第2突出部19が当接することにより起こる第2突出部19の浮き上がりが防止される。また、パネル10の裏面と下地3との間からはみ出る接着剤5は、第2突出部19の裏側にある第1及び第2の接着剤進入路21、27に受け入れられるので、この接着剤5がパネル表側にはみ出すことによる外観の低下を回避しながら上記効果が得られる。
【0038】
また、本実施形態にあっては、第2突出部19は、その先端部23の裏面が他の部位(基端部25)の裏面よりも下地3側に突出する形状を有するので、この裏面の突出部分23aは、第2の接着剤進入路27に進入した接着剤5がさらに第2突出部19と部位17aとの当接部Hからパネルの外側にはみ出ることを有効に抑止する。また、第2突出部19のうちその先端の前記突出部分23aよりも根元側の部分(基端部25)は、第1突出部17との間に接着剤5の進入に十分な隙間(第2の接着剤進入路)27を確保することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態においては、第1パネル11を貼着した後に第2パネル12を貼着しているが、本発明はこれに限らず、第1パネル11及び第2パネル12の2枚を仮セットしてから両者を同時に貼着してもよく、或いは、3枚以上のパネルを同様にして貼着するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態においては、第2突出部19と部位17aとを当接させているが、本発明はこれに限らず、第2突出部19と部位17aとの間に少し隙間を有する近接状態にしてもよく、この場合にあっても同様に適用することができる。
【0041】
更に、上述した実施形態において、パネル10と下地3との間であって突合せ端部13、15の近傍部位に、接着剤5を第2の接着剤進入路27へ向けて移動させるべく両面テープ7を設けているが、本発明はこれに限らず、両面テープ7に代えて、片面に粘着膜が設けられたテープや、粘着膜が省略されたテープを接着剤で貼着するタイプのものを用いてもよい。
【0042】
更にまた、上述した実施形態では接着剤5をパネル10の長手方向の全長にわたり連続的に設けているが、本発明はこれに限らず、パネル10の長手方向に沿って断続的に設けてもよい。
【0043】
更にまた、上述した実施形態では幅方向に複数のパネルを並設する場合を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限らず、長手方向に複数のパネルを並設する場合においても同様に実施できる。更に、幅方向と長手方向の両方に複数のパネルを取付ける場合にも適用することができる。
【0044】
更にまた、上述した実施形態では床面から立設した屋内の壁にパネルを取付ける場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らず、床面や天井面、或いは屋外の壁などにも同様にパネルを取付けることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 パネル取付構造
3 下地
5、5A、5B 接着剤
7 両面テープ(貼着テープ)
10 パネル
11 第1パネル
12 第2パネル
13 第1突合せ端部
15 第2突合せ端部
17 第1突出部
17a 部位
19 第2突出部
19a 部位
21 第1の接着剤進入路
23 先端部
25 基端部
27 第2の接着剤進入路
29 隙間
A パネル厚み方向
L1 第2突出部の突出長さ
L2 第1突出部の突出長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地に沿って互いに並べられた状態で当該下地に取付けられる第1パネル及び第2パネルと、これら第1パネル及び第2パネルを前記下地に接着するように各パネルの裏面と前記下地との間に配された接着剤とを含み、
前記第1パネル及び前記第2パネルは互いに突き合わされる第1突合せ端部及び第2突合せ端部をそれぞれ有し、
前記第1突合せ端部のうち前記下地に近い側の部位は前記下地から遠い側の部位よりも前記第2突合せ端部側に突出して第1突出部を形成し、
前記第2突合せ端部のうち前記下地から遠い側の部位が前記下地に近い側の部位よりも前記第1突合せ端部側に突出して第2突出部を形成し、
前記第2突出部は、この第2突出部が前記第1突合せ端部のうち前記第1突出部よりも前記下地から遠い側の部位に当接した状態で当該第1突出部の先端と前記第2突合せ端部のうち前記第2突出部よりも下地に近い側の部位との間に第1の接着剤進入路を形成するように前記第1突出部よりも大きな突出長さを有するとともに、この第2突出部と前記第1突出部との間に前記第1の接着剤進入路に通ずる第2の接着剤進入路を形成するように当該第1突出部から前記下地と反対の側に離れた状態で突出し、
前記接着剤は、前記下地から前記第1の接着剤進入路及び前記第2の接着剤進入路に進入することにより前記第1突出部と前記第2突出部とをパネル厚み方向に接着していることを特徴とするパネル取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル取付構造において、
前記第2突出部は、その先端部の裏面が他の部位の裏面よりも下地側に突出する形状を有することを特徴とするパネル取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパネル取付構造において、
各パネルと下地との間であって突き合わせ端部の近傍部位に、前記接着剤を前記接着剤溜り部へ向けて移動させるべく設けられた貼着テープを有することを特徴とするパネル取付構造。
【請求項4】
第1パネル及び第2パネルを下地に沿って並べた状態で当該下地に取付けるための方法であって、
前記第1パネル及び前記第2パネルとして、それぞれが互いに突き合わされる第1突合せ端部及び第2突合せ端部をそれぞれ有し、前記第1突合せ端部のうち前記下地に近い側の部位は前記下地から遠い側の部位よりも前記第2突合せ端部側に突出して第1突出部を形成し、前記第2突合せ端部のうち前記下地から遠い側の部位が前記下地に近い側の部位よりも前記第1突合せ端部側に突出して第2突出部を形成し、前記第2突出部は、この第2突出部が前記第1突合せ端部のうち前記第1突出部よりも前記下地から遠い側の部位に当接した状態で当該第1突出部の先端と前記第2突合せ端部のうち前記第2突出部よりも下地に近い側の部位との間に第1の接着剤進入路を形成するように前記第1突出部よりも大きな突出長さを有するとともに、この第2突出部と前記第1突出部との間に前記第1の接着剤進入路に通ずる第2の接着剤進入路を形成するように当該第1突出部から前記下地と反対の側に離れた状態で突出するパネルを用意することと、
前記下地と前記第1パネル及び前記第2パネルの裏面との間に接着剤を介在させた状態で両パネルを前記下地に押付けることにより、前記接着剤を前記第1の接着剤進入路及び前記第2の接着剤進入路に進入させて前記第1パネルの第1突出部と前記第2パネルの第2突出部とをパネル厚み方向に接着することと、を含むことを特徴とするパネル取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−28966(P2013−28966A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166040(P2011−166040)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】