パネル型殺菌装置
【課題】これら問題を解決しつつ、間仕切りとしても使用可能な遮蔽機能を発揮しつつ、十分な殺菌能力を有する殺菌装置を提供する。
【解決手段】本発明のパネル型殺菌装置1は、内部空間22、第1開口部3および第2開口部4を有する薄型の筐体2と、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられる吸気ファン5と、他方に設けられる排気ファン6と、内部空間22であって第1開口部3と第2開口部4との間に形成される空気の循環路Aと、内部空間22に設けられると共に循環路Aを循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部7と、を備え、紫外線照射部7は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【解決手段】本発明のパネル型殺菌装置1は、内部空間22、第1開口部3および第2開口部4を有する薄型の筐体2と、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられる吸気ファン5と、他方に設けられる排気ファン6と、内部空間22であって第1開口部3と第2開口部4との間に形成される空気の循環路Aと、内部空間22に設けられると共に循環路Aを循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部7と、を備え、紫外線照射部7は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の間仕切りともなりうる薄型の形状を有していると共に室内の空気を内部に取り込んで、所定周波数帯域の紫外線によって空気を滅菌・殺菌するパネル型殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、職場や病院などでは、不特定多数の人が集まることや、病人の存在などによって、衛生環境の保持が求められている。あるいは最近では、一般家庭においても、新型インフルエンザや花粉症などといったウイルスや細菌対策が求められるようになっている。職場においては、複数の異なる人が、異なる環境から集合する状態であるので、複数の人が様々な雑菌を持ち込んでくる可能性が高い。職場においては、様々な雑菌が蔓延したり、隣接する席の人からの雑菌の影響が生じたりする。病院においても同様であり、入院や通院患者が生じさせる雑菌や、見舞い患者等によって持ち込まれる雑菌などが存在している。家庭内においても、住人が外部から雑菌を持ち帰ることもありえるし、来客が雑菌を持ち込むこともありえる。小売店なども同様である。
【0003】
このように、職場、病院、家庭、小売店といった、人の出入りや集合が生じる場所においては、衛生環境の保持や衛生環境の改善が求められている。もちろん、外気を通じて進入する雑菌やウイルスも存在してこれらに対する対策が求められているが、特に、出入りしたり集まったりする人に起因する雑菌やウイルスへの対策が求められている。
【0004】
職場や病院においては、環境の様々な多数の人間が集まる状態があるので、各人同士を仕切る間仕切りによって、相互に雑菌やウイルスを遮断しあうことが考えられる。間仕切りによって雑菌やウイルスが行き交うことを防止できれば、少なくとも自分以外の他人という、自分が制御不可能な雑菌やウイルス源への対応が可能となるからである。また、家庭内においても、必要に応じて間仕切りを用いて、雑菌やウイルスの蔓延を遮断することが求められている。
【0005】
しかしながら、間仕切りはあくまでも物理的な間仕切りに過ぎず、室内の空気中に存在する細菌やウイルスを消滅させることはできない。このような中、室内の空気中に存在する細菌やウイルスを滅菌したり殺菌したりする種々の殺菌装置が提供されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、箱型の殺菌装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
ここで、病院、職場、家庭などにおいては、室内の空気を殺菌する殺菌機能と合わせて空気の往来を遮断する遮断機能との両立が求められている。空気が殺菌されても殺菌されていない室内の別の場所からの空気が到達すれば、殺菌の効果が減少するし、空気の往来が遮断できるだけでは衛生状態を維持することは不十分だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−220122号公報
【特許文献2】特開2005−106296号公報
【特許文献3】特開平11−192405号公報
【特許文献4】特開平11−47257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3は、吸気によって空気を取り込んで、殺菌装置内部を循環する空気を紫外線や光触媒で殺菌する殺菌装置を開示する。
【0009】
特許文献1は、吸引ファンによって取り込んだ空気を、紫外線と光触媒とによって殺菌する脱臭方法を開示する。職場、病院、家庭などに設置されて、室内の空気を脱臭することに用いられる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示される脱臭方法とこの装置は、非常に大掛かりであって室内における設置場所が限られる問題点もある。また、特許文献1に開示される装置は、あくまでも脱臭装置(殺菌装置)としての機能を果たすだけに過ぎず、例えば隣接する席や人同士を仕切る間仕切りとして使用できるわけではない。室内の細菌やウイルス対策としては、殺菌だけに限らず、必要な場所における空気の往来の遮断も必要となる。しかしながら、特許文献1に開示される装置は、空気の往来を遮断できない。
【0011】
特許文献2は、クリーンルームなどの特殊環境において、室内全体の空気を吸引し、殺菌してから空気を戻す空調システムを開示する。室内全体の空気の殺菌や微生物処理が可能となる点では優れているが、一般的な職場、病院、家庭に設置するのは困難である。また、これらの一般的な室内においては、室内全体の空気を吸引して殺菌することまでが求められているものでもない。
【0012】
このため、特許文献2に開示される空調システムは、一般的な室内において適用ができない問題を有している。
【0013】
特許文献3は、空調機器の空気導入路に装着される光触媒ユニットであって、空調機器の動作時に吸引される室内の空気を殺菌する光触媒ユニットを開示する。
【0014】
しかしながら、特許文献3に開示される光触媒ユニットは、空調機器に装着されるしか、室内に設置の方法がない問題がある。すなわち、設置場所を選び空気の往来の遮断ができない問題を有している。もちろん、空調機器が停止中には、空気の吸引がなされないので、殺菌機能が働かない問題もある。すなわち、特許文献3に開示される光触媒ユニットは、空調機器と連動しなければ使用が困難である問題もある。
【0015】
特許文献1〜3に開示される技術は、室内の空気を殺菌することはできるが、病院、職場、家庭のような一般的な室内において容易に設置しつつ、空気の往来の遮蔽機能をも実現できるものではない。
【0016】
特許文献4は、特許文献1〜3と同様に、空気を吸引して紫外線や光触媒によって吸引した空気を殺菌する殺菌装置を開示する。特許文献1〜3と異なり、殺菌装置が箱型であるので、設置が多少容易となるメリットがある。
【0017】
しかしながら、特許文献4に開示される殺菌装置も、設置する場所の容易性が高まるだけで、空気の往来を遮蔽する機能を有するわけではない。
【0018】
以上のように、従来技術の殺菌装置は、室内の空気を吸引して細菌やウイルスを殺菌するが、設置場所の容易性が低い上に、室内の空気の往来を遮蔽する機能を有していない問題がある。室内における各人にとっての衛生状態の維持においては、(1)隣接する人同士での空気の往来を遮蔽する遮蔽機能、(2)室内の空気を殺菌する殺菌機能、の両方が実現される必要がある。このような状況においては、遮蔽としての間仕切りが可能であるパネルのような薄型でかつ殺菌機能を有している殺菌装置が求められる。
【0019】
しかしながら、外部に対して殺菌機能を生じさせる殺菌装置の場合には、殺菌のために人体にも有害な紫外線等が外部に発生することになる。隣接する人の間の遮蔽機能を発揮する場合には、当然ながら有害な紫外線等が人体に照射されてしまう問題がある。
【0020】
一方で、人体に有害な紫外線等を照射しないように、筐体内部に空気を吸引して内部で殺菌する殺菌装置の場合には(特許文献1などと同様)、筐体をパネルのように薄型にするには、次のような種々の問題を生じさせる。
【0021】
(問題1)筐体が薄いので、十分な空気の取り込みが困難である。
(問題2)取り込んだ空気が十分に筐体内部を循環することの困難性。
(問題3)薄型の筐体に紫外線照射部を効率的に設置することが難しく、狭い筐体内部で効率的に循環する空気に紫外線を照射することが難しい。
(問題4)問第2、3が相まって、十分な殺菌機能を発揮することが難しい。
(問題5)メンテナンスなどが難しい。
【0022】
このような問題を生じさせないようにすると、殺菌装置が大型となったり、高さが低くなったりして、間仕切りのような遮蔽機能を発揮させることは困難である。
【0023】
以上のように、このような問題1〜問題5を解決でき、遮蔽機能と殺菌機能とを両立できる、薄型の殺菌装置が求められている。
【0024】
本発明は、上記の課題に鑑み、これら問題を解決しつつ、間仕切りとしても使用可能な遮蔽機能を発揮しつつ、十分な殺菌能力を有する殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明のパネル型殺菌装置は、内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、第1開口部および第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、内部空間に設けられると共に循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、紫外線照射部は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のパネル型殺菌装置は、薄型であるので、職場において隣接する人同士の間仕切りとして利用したり、病院において隣接するベッド同士の間仕切りとして使用したりできる。間仕切りとして使用できるので、空気の往来を遮蔽でき、ある領域での衛生状態を維持できる。また、殺菌機能も有しているので、遮蔽された空間における空気を吸引して、室内の空気を殺菌できる。すなわち、空気の往来の遮蔽機能と、殺菌機能とを両立できる。
【0027】
また、本発明のパネル型殺菌装置は、薄型でありながら、吸気・排気・紫外線照射部の工夫によって、高い殺菌能力を有する。この結果、遮蔽機能と殺菌機能との両立が更に強まり、職場、病院、家庭などの様々な場面での活用が可能となる。
【0028】
更には、本発明のパネル型殺菌装置は、高いメンテナンス性も有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の動作説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置1の模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置を上から見た図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2におけるパネル型殺菌装置の模式図である。
【図11】本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置されている室内の模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置された病室の模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3におけるエアーカーテンを形成した病室の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係るパネル型殺菌装置は、内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、第1開口部および第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、内部空間に設けられると共に循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、紫外線照射部は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【0031】
この構成により、パネル型殺菌装置は、薄型でありながら、室内の空気を取り込んで殺菌できる。
【0032】
本発明の第2の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1の発明に加えて、筐体は、室内における間仕切りと兼用可能である。
【0033】
この構成により、パネル型殺菌装置は、空気の遮蔽機能と殺菌機能を両立できる。
【0034】
本発明の第3の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1又は第2の発明に加えて、内部空間は、筐体の横方向であるX軸、筐体の高さ方向であるY軸、筐体の厚み方向であるZ軸を有し、循環路は、Y軸方向に主として形成され、紫外線照射部は、X軸およびZ軸の少なくとも一方において、連通部分を形成する。
【0035】
この構成により、パネル型殺菌装置は、狭い内部空間においても、確実に循環路を形成できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部の少なくとも一つは、筐体の側面から出し入れ可能に、内部空間において設置可能である。
【0037】
この構成により、狭小空間の内部空間に、紫外線照射部を容易に設置できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係るパネル型殺菌装置では、第4の発明に加えて、複数の紫外線照射部の一部は、筐体の側面の一方から内部空間に突出して設けられ、複数の紫外線照射部の他は、筐体の側面の他方から内部空間に突出して設けられる。
【0039】
この構成により、紫外線照射部は、循環路を形成できると共に、高い効率で紫外線を照射できる。
【0040】
本発明の第6の発明に係るパネル型殺菌装置では、第4の発明に加えて、筐体の側面の一方から突出する紫外線照射部と、筐体の側面の他方から突出する紫外線照射部とは、Y軸において互い違いに配列する。
【0041】
この構成により、紫外線照射部は、確実に紫外線を照射できる。
【0042】
本発明の第7の発明に係るパネル型殺菌装置では、第3から第6のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部のそれぞれは、X軸に沿っている。
【0043】
この構成により、紫外線照射部は、狭い内部空間でも容易に配置される。
【0044】
本発明の第8の発明に係るパネル型殺菌装置では、第3から第6のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部のそれぞれは、X軸に交差するように、筐体の側面のそれぞれから突出して設けられる。
【0045】
この構成により、紫外線照射部は、内部空間において、広範囲に紫外線を照射できる。
【0046】
本発明の第9の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、紫外線照射部は、発光部と基板部とを備え、基板部は、連通部分を形成する。
【0047】
この構成により、紫外線照射部は、狭い内部空間であっても、確実に循環路を形成できる。
【0048】
本発明の第10の発明に係るパネル型殺菌装置では、第9の発明に加えて、発光部は、発光ダイオードを有する。
【0049】
この構成により、紫外線照射部は、容易に紫外線を照射できる。
【0050】
本発明の第11の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、第1開口部は、筐体の上面、筐体の正面および筐体の背面のいずれかに設けられ、第2開口部は、筐体の底面、筐体の正面および筐体の背面のいずれかに設けられ、第1開口部は、第2開口部よりも、Y軸において上方に位置する。
【0051】
この構成により、パネル型殺菌装置は、室内において様々な空気循環を形成でき、殺菌空気を必要な領域に送出できる。
【0052】
本発明の第12の発明に係るパネル型殺菌装置では、第11の発明に加えて、吸気ファンおよび排気ファンのそれぞれは、第1開口部および第2開口部のいずれか一方の開口部分に合わせて配置される。
【0053】
この構成により、吸気と排気との方向を決定できる。
【0054】
本発明の第13の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、内部空間に、吸気ファンと排気ファンの間に配置される補助ファンを更に備える。
【0055】
この構成により、内部空間における空気循環がより十分になる。
【0056】
本発明の第14の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、筐体は、放熱板を備える。
【0057】
この構成により、パネル型殺菌装置は、籠もりがちな熱を排出できる。
【0058】
本発明の第15の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、筐体は、側面に放熱孔を有する。
【0059】
この構成により、パネル型殺菌装置は、籠もりがちな熱を放出できる。
【0060】
本発明の第16の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第15のいずれかの発明に加えて、パネル型殺菌装置が、空調機器を備える室内に設置される場合に、空調機器から送出される空気の対流方向と、吸気ファンから排気ファンにかけて形成される循環路とが、同方向である。
【0061】
この構成により、空調機器から送出される細菌の多い空気が、確実に殺菌されるようになる。
【0062】
本発明の第17の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第16のいずれかの発明に加えて、パネル型殺菌装置が、病床ベッドを有する病室に他の間仕切りと合わせてパーティションとして設置される場合に、病床ベッドの頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、パネル型殺菌装置が配置される。
【0063】
この構成により、病人の周辺の衛生状態が効率的に保たれる。
【0064】
本発明の第18の発明に係るパネル型殺菌装置では、第17の発明に加えて、病床ベッドの一端に第1のパネル型殺菌装置が設置され、病床ベッドの他端に第2のパネル型殺菌装置が設置され、第1のパネル型殺菌装置は、第1開口部に排気ファンを設置すると共に第2開口部に吸気ファンを設置し、第2のパネル型殺菌装置は、第1開口部に吸気ファンを設置すると共に第2開口部に排気ファンを設置する。
【0065】
この構成により、病床ベッドの周囲が、殺菌空気で覆われるようになる。
【0066】
本発明の第19の発明に係るパネル型殺菌装置では、第18の発明に加えて、第1のパネル型殺菌装置と第2のパネル型殺菌装置は、病床ベッドの上空に、エアーカーテンを形成する。
【0067】
この構成により、病人の衛生状態が高く保たれるようになる。
【0068】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0069】
(実施の形態1)
【0070】
(全体概要)
まず、図1を用いて実施の形態1のパネル型殺菌装置の全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。破線によって内部に存在する要素を示している。パネル型殺菌装置1は、筐体2、筐体2内部に設けられる吸気ファン5、排気ファン6および単数又は複数の紫外線照射部7を備える。
【0071】
筐体2は、第1開口部3および第2開口部4を有する薄型の部材である。薄型の筐体2は、パネル型殺菌装置1の外形を形成するので、パネル型殺菌装置1のパネル形状の外形は、この薄型の筐体2によって生み出される。筐体2は、内部空間22を有する薄型の部材であって、この内部空間22に、吸気ファン5、排気ファン6および紫外線照射部7を取り付けている。内部空間22は、これらの要素によって、取り込んだ筐体2外部の空気を殺菌する。
【0072】
筐体2は、内部空間22と外部を通じさせる第1開口部3と第2開口部4を備える。第1開口部3と第2開口部4とは、筐体2において異なる位置に設けられている。第1開口部3と第2開口部4とによって、内部空間22に外部の空気が取り込まれたり、内部空間22で殺菌した空気を外部に送り出したりする。すなわち、第1開口部3と第2開口部4とは、殺菌する空気の導入と殺菌した空気の排出とを実現する。
【0073】
吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方の近傍に設けられる。近傍とは、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に近接すると共に内部空間22である位置か、筐体2の外部である位置を含む。すなわち、吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方を介して、外部の空気を内部空間22に吸引できる位置に設置されていればよい。例えば、第1開口部3および第2開口部4のいずれかに設けられても良い。吸気ファン5は、その吸引力によって、外部から内部空間22に空気を吸引する。
【0074】
排気ファン6は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方の近傍に設けられる。近傍の定義は、上記と同じである。排気ファン6は、吸気ファン5と異なる位置に設けられるので、吸気ファン5が第1開口部3の近傍に設けられる場合には、排気ファン6は、第2開口部4の近傍に設けられる。逆に吸気ファン5が第2開口部4の近傍に設けられる場合には、排気ファン6は、第1開口部3の近傍に設けられる。排気ファン6は内部空間22を循環した空気を外部に排出する。
【0075】
内部空間22には、第1開口部3と第2開口部4との間に形成される空気の循環路Aが形成される。図1では、矢印によって示されている。吸気ファン5と排気ファン6の働きにより、矢印Aによって示される循環路Aが形成されている。内部空間22においては、循環路Aに沿って、空気が循環する。なお、循環路Aは、空気の移動経路を示すものであって、部材として明確に形成されなくてはならないものではない。すなわち、後述の紫外線照射部7などの内部空間22に形成される要素の隙間が、結果的な循環路Aとなればよい。
【0076】
紫外線照射部7は、内部空間22内部に設けられ、循環路Aを循環する空気に対して所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する。特定周波数の紫外線によって、空気は殺菌されるようになる。ここで、内部空間22は、単数又は複数の紫外線照射部7を備える。紫外線照射部7は、内部空間22に備えられる場合に、循環路Aにおいて連通部分を生じるように配置される。すなわち、紫外線照射部7は、内部空間22において、第1開口部3と第2開口部4とをつなぐ方向において、空気の循環を遮蔽しない。紫外線照射部7は、空気の循環路Aを残すようにして、内部空間22に配置される。
【0077】
以上のように、パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2を外形としつつ、その内部空間22に紫外線照射部7などの空気の殺菌に必要な要素を含んだ構成を有している。
【0078】
(動作手順)
次に、パネル型殺菌装置1の動作手順(機能)について説明する。
【0079】
パネル型殺菌装置1は、病院、職場、家庭、小売店、役場など、人の集まる様々な場所の室内に設置される。パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2がその外形であるので、様々な場所に設置が容易である。特に、筐体2は薄型であるので、筐体2は、室内における間仕切りと兼用が可能である。このため、例えば、パネル型殺菌装置1は、職場の隣接する席同士の間仕切りとして設置されたり、病院における隣接する病床同士の間仕切りとして設置されたりする。このように、筐体2が間仕切りと兼用できることで、パネル型殺菌装置1が、室内における間仕切りとして空気の往来を遮蔽できる。
【0080】
このように、パネル型殺菌装置1は、まず室内における隣接する人同士の間での空気の往来を遮蔽(完全でなくてもよい)する機能を発揮する。
【0081】
設置されたパネル型殺菌装置1は、図1には図示していないが電源を有しており、電源から電力が供給されると、吸気ファン5と排気ファン6とが動作を開始する。また、電源から電力が供給されることで、紫外線照射部7も紫外線を内部空間22に照射するようになる。
【0082】
図1では、第1開口部3が筐体2の上面に設けられ、第2開口部4が筐体2の底面に設けられている。また吸気ファン5は第2開口部4の近傍に設けられ、排気ファン6は第1開口部3の近傍に設けられている。すなわち、筐体2の底面に吸気ファン5が設けられ、筐体2の上面に排気ファン6が設けられている状態である。
【0083】
図2を用いて、電力供給後の動作を説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の動作説明図である。電力が供給されることで、吸気ファン5と排気ファン6は、動作を開始する。この結果、吸気ファン5は、第2開口部4を通じて室内の空気を吸引する。矢印Cは、この吸気ファン5によって、内部空間22に吸引される空気の流れを示している。矢印Cに従って、室内の空気は、吸気ファン5の働きで内部空間22に到達する。
【0084】
内部空間22においては、吸気ファン5および排気ファン6との働きによって、循環路Aを空気が移動する。循環路Aは、上述の通り内部空間22に設置される紫外線照射部7の隙間に生じる連通部分によって形成される。内部空間22に取り込まれた空気は、循環路Aに従って移動する際に、紫外線照射部7からの紫外線を受ける。紫外線照射部7は、殺菌効果を生じさせる所定の周波数の紫外線を照射する。紫外線照射部7は、この紫外線の照射によって、循環路Aを移動する空気を殺菌する。
【0085】
このとき、吸気ファン5、排気ファン6および筐体2の高さのそれぞれのバランスによって、循環路Aを移動する空気の速度を変更できる。空気の移動速度が遅ければ、紫外線照射部7による紫外線の照射時間が長くなって殺菌効果が高まる。例えば、筐体2の高さが高いことで、循環路Aが長くなる。この結果、紫外線照射部7による紫外線の照射時間が長くなり、殺菌効果が高まる。あるいは、吸気ファン5の回転速度が排気ファン6の回転速度よりも速いことも好適である。吸気が強く排気が弱いことで、内部空間22に空気がより滞留することになって、循環路Aを移動する空気に対する紫外線の照射時間が長くなる。この場合にも、紫外線による殺菌効果が高まる。
【0086】
内部空間22において循環路Aを移動する空気は、このように単数または複数の紫外線照射部7による紫外線の照射による殺菌を受けて、殺菌された状態の空気となる。なお、殺菌とは、完全な殺菌のみを含む概念ではなく、滅菌など、細菌やウイルスなどを減少させることも含む概念である。殺菌された空気は、排気ファン6の働きによって、第1開口部3から筐体2外部に排出される。図2の矢印Dに示されるように、空気は室内に排出される。このようにして、殺菌された空気が、室内を再び循環するようになる。
【0087】
以上のように、パネル型殺菌装置1は、吸気ファン5と排気ファン6とによって室内の空気を内部空間22に取り込みつつ排気することを繰り返して、室内の空気を殺菌する。すなわち、パネル型殺菌装置1は、殺菌機能を発揮する。上述の通り、パネル型殺菌装置1は遮蔽機能も発揮するので、遮蔽機能と殺菌機能とを併せ持って室内の衛生状態を維持できる。
【0088】
次に、各部の詳細について説明する。
(筐体)
【0089】
筐体2は、パネル型殺菌装置1の外形を構成する。薄型の形状を有しており、間仕切りとして兼用できる。このため、その底面に足部を有していることも好適である。筐体2は、横方向であるX軸、高さ方向であるY軸および厚み方向であるZ軸を有しており、厚みであるZ軸の大きさが小さいことで、薄型を構成している。ここで、筐体2は、図1に示されるような直方体である必要はなく、厚みのある楕円形や多角形など、種々の形状を有していてもよい。ただ、いずれにしても間仕切りとして兼用できる薄型であることが好ましい。
【0090】
筐体2は、樹脂、金蔵、合金、木材など種々の素材で形成されれば良い。特に、室内で使用されるので、表面の質感がソフトであることも好ましい。
【0091】
筐体2は、内部空間22を有するので、内部空間22を形成するように、板部材が組み合わされて形成されることも好適である。もちろん、打ち抜きや板金によって一体的に形成されても良い。
【0092】
また、筐体の大きさの一例として、高さが1500mm〜1800mm、横幅が900mm〜1200mm、厚みが100mm〜150mmである。これに限られるものではないが、このような大きさを有していることで、パネル型殺菌装置1は、非常に薄型となる。
【0093】
(内部空間)
内部空間22は、筐体2内部に形成される空間である。筐体2がX軸、Y軸、Z軸を有するので、内部空間22もこのX軸、Y軸、Z軸を有する空間である。内部空間22は、その内部に紫外線照射部7を備え、この紫外線照射部7の隙間(連通部分)に循環路Aを備える。このとき、紫外線照射部7は、X軸およびZ軸の少なくとも一方において連通部分を生じさせる。この結果、Y軸に沿った循環路Aが形成されるようになる。
【0094】
内部空間22は、紫外線照射部7を備えるので、その取り付けに必要な取り付け部を備えることも好適である。また、殺菌対象となる空気が移動する空間であるので、その表面に殺菌処理が施されていることも好適である。
【0095】
例えば、内部空間22を形成する筐体2の内側には、光触媒が塗布されていることも好適である。酸化チタンなどを例とする光触媒が塗布されていることで、紫外線照射部7による紫外線の照射と合わせて循環路Aを移動する空気の殺菌効果が高まる。
【0096】
(第1開口部と第2開口部)
第1開口部3と第2開口部4は、筐体2の一部に設けられ、第1開口部3および第2開口部4は、内部空間22と連通する。第1開口部3および第2開口部4が内部空間22と連通することで、筐体2外部の空気(パネル型殺菌装置1の設置される室内の空気)が内部空間22に取り込まれるようになる。
【0097】
第1開口部3と第2開口部4は、吸気と排気とによって、循環路Aにおける空気循環を生み出す。このため、第1開口部3と第2開口部4は、筐体2の一部に設けられ、好ましくは筐体2において第1開口部3と第2開口部4とが離隔して設けられる。第1開口部3は、筐体2の上面、筐体2の正面および筐体2の背面のいずれかに設けられる。同様に、第2開口部4は、筐体2の底面、筐体2の正面および筐体2の背面のいずれかに設けられる。加えて、第1開口部3は、第2開口部4よりもY軸において情報に位置する。すなわち、第1開口部3、常に第2開口部4よりも上に備えられる。
【0098】
第1開口部3および第2開口部4は、吸気ファン5および排気ファン6の働きと相まって、循環路Aによる空気循環を形成する。この循環路Aの空気循環によってパネル型殺菌装置1が設置される室内に空気循環が形成される。
【0099】
図3は、室内の空気循環の一例を示す。図3は、本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。図3では、パネル型殺菌装置1がある室内に設置され、第1開口部3は筐体2の上面に設けられ、第2開口部4は筐体2の底面に設けられる。また、第2開口部4の近傍に吸気ファン5が設置され、第1開口部3の近傍に排気ファン6が設置される。この結果、パネル型殺菌装置1は、室内の未殺菌空気を、筐体2の底面の第2開口部4から吸引し、循環路Aの循環に合わせて、筐体2の上面の第1開口部3から排気される。排気されるのは、殺菌された殺菌空気である。この結果、図3の矢印E、矢印Fに示されるように、室内の底面から未殺菌空気がパネル型殺菌装置1に入り、室内の上方から殺菌空気が排気される循環が生じる。
【0100】
あるいは、第1開口部3および第2開口部4の位置を変えることで、室内における空気循環を変えることもできる。図4は、本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。図4においては、第1開口部3は、筐体2の背面に設置され、第2開口部4は、筐体2の正面に設置されている。第1開口部3には排気ファン6が、第2開口部4には吸気ファン5が設けられることで、第2開口部4から未殺菌空気が吸引され、第1開口部3から殺菌空気が排出される。この結果、矢印E、矢印Fに示される空気循環が、室内に形成される。
【0101】
図3、図4は、パネル型殺菌装置1が生じさせる空気循環の一例であり、第1開口部3、第2開口部4の相対的な位置関係、吸気ファン5および排気ファン6の相対的な位置関係を変化させることで、様々な空気循環を形成できる。第1開口部3は、第2開口部よりも上方に位置するので、第1開口部3に吸気ファン5を設置し、第2開口部4に排気ファンを設置することで、上方から下方に向かう空気循環を形成することができる(図3、図4と逆)。殺菌された殺菌空気を必要とする領域に合わせて、第1開口部3、第2開口部4、吸気ファン5、排気ファン6を組み合わせることで、フレキシビリティの高いパネル型殺菌装置1が実現される。
【0102】
また、第1開口部3、第2開口部4は、予め筐体2の複数の位置に設けられておき、開口している複数の部分のいずれかを蓋やキャップで塞いで、残った開口部分を、第1開口部3および第2開口部4とすることもよい。この場合には、一つのパネル型殺菌装置1によって、第1開口部3と第2開口部4の様々な組み合わせを、事後的に実現できる。もちろん、吸気ファン5および排気ファン6の回転方向も変更可能であることで、吸気と排気方向(循環路Aの方向)を変えることもできる。
【0103】
(吸気ファン、排気ファン)
吸気ファン5と排気ファン6は、室内の空気を内部空間22に取り込んで、殺菌後の空気を室内に排出する。吸気ファン5と排気ファン6とは、その回転方向や回転数を制御可能であり、これらの制御によって、循環路Aの方向や循環路Aでの空気の移動速度を調整できる。
【0104】
吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられ、排気ファン6も、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられる。このとき、吸気ファン5と排気ファン6とは、異なる開口部に設けられる。これによって、循環路Aが形成される。
【0105】
第1開口部3および第2開口部4で説明した通り、吸気ファン5と排気ファン6の組み合わせの工夫によって、循環路Aおよび室内循環のパターンを様々に構成できる。
【0106】
吸気ファン5および排気ファン6は、回転する羽根を有する回転ファンであってもよいし、物理的な吸引力を機能とする吸引ファンであってもよい。また、内部空間22内部に設けられてもよいし(第1開口部3や第2開口部4の内側)、筐体2の外側に設けられても良い。後者の場合には、第1開口部3や第2開口部の外側に、吸気ファン5および排気ファン6が設置されることになる。
【0107】
(紫外線照射部)
紫外線照射部7は、内部空間22において循環路Aを移動する空気に紫外線を照射する。紫外線照射部7は、殺菌に最適な周波数の紫外線を照射する。
【0108】
使用する紫外線としては、殺菌機能を有する波長を有していればよい。一般的にはUV−Cとして定義される周波数帯域の紫外線が用いられる。特に、殺菌効果の高い波長として、235.7nmであることが適当である。このような波長の紫外線を、紫外線照射部7が使用することで、高い殺菌効果を実現できる。もちろん、紫外線照射部7が使用する紫外線は、殺菌を目的としているのであるから、波長や周波数を限定しなければならないわけではなく、現在あるいは将来において殺菌効果の高い波長の紫外線が検出されれば、これらの波長の紫外線を用いることができる。
【0109】
また、内部空間22の表面が光触媒で塗布されている場合には、紫外線照射部7による紫外線と相まって、内部空間22における殺菌能力が更に高まる。
【0110】
内部空間22は、単数または複数の紫外線照射部7を備えており、紫外線照射部7は、連通部分を生じさせることで、循環路Aを形成する。例えば、複数の紫外線照射部7が設けられる場合には、複数の紫外線照射部7同士が連通部分を生じさせることで、循環路Aが形成される。
【0111】
ここで、紫外線照射部7は、筐体2の側面から出し入れ可能であることも好適である。筐体2は、薄型であるので、第1開口部3や第2開口部4から紫外線照射部7を出し入れすることは難しい。一方で、紫外線照射部7は、交換が必要な部品であり、パネル型殺菌装置1のメンテナンスのためには紫外線照射部7の容易な出し入れを必要とする。筐体2の側面からの出し入れが可能であると、紫外線照射部7の取替えなどが容易となり、メンテナンスが簡便となる。
【0112】
図5は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置1の模式図である。図5は、筐体2の側面21Aから紫外線照射部7Aが出し入れ可能となっている状態を示している。側面21Aに紫外線照射部7Aにあわせた扉や窓が設けられることで、側面21Aから紫外線照射部7Aが出し入れ可能である。もちろん、紫外線照射部7Bも側面21Bから出し入れ可能である。
【0113】
このように、紫外線照射部7が筐体2の側面21から出し入れ可能であることで、紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に投入されて設置されるようになる。すなわち、紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に突出して設けられる。特に、複数の紫外線照射部7の一部は、側面21Aから内部空間22に突出して設けられ、他は、側面21Bから内部空間22に突出して設けられることも好適である。言い換えれば、筐体2の両側面21A,21Bのそれぞれから、紫外線照射部7が互い違いに突出するように設けられる。
【0114】
図6は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。図6は、正面から見た状態を模式的に示している。
【0115】
複数の紫外線照射部7のそれぞれにおいて、筐体2の側面の一方である側面21Aから突出する紫外線照射部7と、筐体2の側面の他方である側面21Bから突出する紫外線照射部7とが、Y軸において互い違いに配列している。この互い違いの配置によって生じる連通部分をつなげるように、循環路Aが形成される。このように、複数の紫外線照射部7は、Y軸において、側面21Aおよび側面21Bから互い違いに配列されることでも良い。この場合には、内部空間22において、循環路Aを塞ぐことなく、移動する空気への紫外線の照射が効率的となるメリットがある。
【0116】
また、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に沿っていることも好適である。図6に示されるパネル型殺菌装置1でも、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に沿っている。このように紫外線照射部7がX軸に沿っていることで、紫外線照射部7は、広い範囲に渡って紫外線を照射できる。この結果、循環路Aを移動する空気は、十分に殺菌される。
【0117】
あるいは、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に交差するように、側面21から内部空間22に突出して設けられることも好適である。図7は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。図7は、複数の紫外線照射部7のそれぞれが、X軸に交差するように設けられている状態を示している。図7では、ある紫外線照射部7は、X軸に対して、Y軸下を向くように交差しており、別の紫外線照射部7は、X軸に対して、Y軸上を向くように交差している。このように、複数の紫外線照射部7は、様々な交差を有している。
【0118】
図7に示されるように、複数の紫外線照射部7がX軸に対して交差するように設けられると、循環路Aを移動する空気に対して、種々の方向から紫外線が照射されるようになる。位置によっては、2つの紫外線照射部7からの紫外線が照射される。この結果、紫外線照射部7による殺菌が高い能力で行われるようになり、空気の殺菌度合いが高まるメリットがある。
【0119】
このように、紫外線照射部7が、内部空間22において様々な態様で設置されることで、内部空間22の大きさや形状に合わせて、循環路Aを移動する空気の殺菌能力を高めることができる。また、側面21から取り出し可能であることで、狭い内部空間22に紫外線照射部7が設置容易であるし、交換容易となって、設計はもちろんメンテナンスが容易となる。
【0120】
(紫外線照射部の別態様)
紫外線照射部7は、所定の周波数の紫外線を照射する機能を有する。例えば、紫外線ランプなどが用いられる。あるいは、LED(発光ダイオード)などの半導体による発光素子が用いられることも好適である。発光素子が用いられる紫外線照射部7は、発光部と基板部とを備える。発行部は、LEDなどの発光素子そのものであり、基板部は、発光素子に電力を供給する回路を有する。このような発光部と基板部とを備える紫外線照射部7は、幅のある発光部と幅の小さい基板部とを混在させることができる。
【0121】
紫外線照射部7は、内部空間22に設けられる。内部空間22は、薄型の筐体2であるために、非常に薄い。紫外線照射部7は、一定以上の大きさを有するので、紫外線照射部7が、内部空間22に設けられると空気の循環路Aを狭めてしまう問題がある。循環路Aが狭まると、空気の移動が弱くなり殺菌能力の低下が生じてしまう。
【0122】
発光部と基板部とを備える紫外線照射部7は、幅の小さい基板部を有しているので、この基板部が連通部分となって、空気の循環路Aを内部空間22に形成できる。すなわち、紫外線照射部7の設置位置の制約にかかわらず、基板部が循環路Aを形成できる。
【0123】
図8は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置を上から見た図である。内部が見えるように示している。
【0124】
紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に突出するように設けられている。ここで、紫外線照射部7は、基板部71と発光部72とを備えている。発行部72は、LEDなどの発光素子を備えるので、幅が大きくなりやすい。このため、内部空間22の厚み(Z軸方向)が、発光部72によって占有されることもある。図8では、発光部72A、発光部72B共に、内部空間22のZ軸方向を占有している。また、側面21Aからは紫外線照射部7Aが、側面21Bからは紫外線照射部7Bが突出しているが、内部空間22のX軸方向の幅が小さいと、二つの紫外線照射部7A、7Bが設けられると、図6などに示されるのと異なり、紫外線照射部7A、7B同士の間に、循環路Aが形成されにくい。
【0125】
このような場合でも、紫外線照射部7A、7Bが、基板部71A、71Bを備えていると、この基板部71A、71Bの幅は小さいので、この基板部71A、71Bの周りに、循環路Aが形成される。また、基板部71A、71Bには、発光部72A,72Bが隣接しており、基板部71A,71Bの周囲に形成される循環路Aに紫外線が十分に照射されるようになる。
【0126】
以上のように、紫外線照射部7を発光部72と基板部71とによって形成することで、内部空間22が非常に狭い場合でも、空気の循環路Aを確保できるようになる。
【0127】
(実現例)
図9は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。図9より明らかな通り、パネル型殺菌装置1は、非常に薄型で間仕切りとしても利用可能な殺菌装置として実現される。また、パネル型殺菌装置1は、設置の安定性を実現するために、足部50を有することも好適である。
【0128】
以上、実施の形態1のパネル型殺菌装置1は、薄型でありながら、種々の工夫によって紫外線による高い殺菌能力を実現して、間仕切りによる遮蔽機能と殺菌による殺菌機能とを両立できる。この結果、様々な室内において、隣接する人同士での衛生状態を維持することができる。
【0129】
(実施の形態2)
【0130】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明したパネル型殺菌装置1に追加される、様々な工夫や改良について説明する。
【0131】
(補助ファン)
内部空間22は、循環路Aでの空気循環を補助する補助ファンを更に備えることも好適である。
【0132】
図10は、本発明の実施の形態2におけるパネル型殺菌装置の模式図である。図1などと同じ要素については説明を割愛する。
【0133】
図10に示されるパネル型殺菌装置1は、内部空間22に、補助ファン30を備える。補助ファン30は、吸気ファン5と排気ファン6との間に設けられるので、循環路Aの途中で弱くなりうる空気の循環を補助できる。補助ファン30は、吸気ファン5や排気ファン6と同様に、回転や圧縮方式によって空気の循環を生じさせる。吸気ファン5と排気ファン6との途中に設けられるので、吸気ファン5の吸引によって内部空間22に吸引された空気の循環力が弱まったところに、補助ファン30が作用する。この結果、循環路Aでの空気の循環力が余り衰えないままに、排気ファン6による排気が行われる。
【0134】
このように、補助ファン30によって循環路Aでの空気循環が十分であることで、パネル型殺菌装置1が設置される室内での空気循環が高まる。
【0135】
(放熱)
パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2をその外形とし、狭小な内部空間22で空気を殺菌する。この内部空間22は、紫外線照射部7や吸気ファン5などの電力に基づいて動作する要素を備えている。これらの要素は、動作によって熱を発することもある。特に、内部空間22は、非常に狭小な空間であるので、発生した熱が籠もってしまう問題もある。
【0136】
このため、筐体2は、放熱板を備えることも好適である。放熱板は、金属、合金などの熱伝導性の高い素材で形成される。銅やアルミニウムは熱伝導性が高く、放熱板の素材として好適である。
【0137】
放熱板は、筐体2に別途取り付けられてもよいし、筐体2の素材が、熱伝導性の高い素材であることで、筐体2の外壁が放熱板としての役割を果たすことでもよい。筐体2が放熱板を備える場合には、吸気ファン5や排気ファン6によって、熱が追い出されやすくなるというメリットもある。
【0138】
あるいは、筐体2が放熱孔を有することも好適である。放熱孔があることで、内部空間22に籠もる熱が、外部に放出されるようになる。特に、筐体2の側面21に放熱孔が設けられることが好適である。側面21から熱が放出されれば、パネル型殺菌装置1が設置される室内において、使用者の不便が少なくなるからである。
【0139】
以上のように、実施の形態2におけるパネル型殺菌装置は、種々の工夫によって、その能力や使い勝手を更に高めることができる。
【0140】
(実施の形態3)
【0141】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、パネル型殺菌装置1の設置の工夫による、よりメリットの高い衛生状態の維持について説明する。
【0142】
(空調機器との対応)
パネル型殺菌装置1が、空調機器を備える室内に設置される場合に、空調機器から送出される空気の滞留方向と、吸気ファン5から排気ファン6にかけて形成される循環路Aとが同方向であることも好適である。
【0143】
図11は、本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置されている室内の模式図である。ある室内にパネル型殺菌装置1が設置されている。この室内には、空調機器40が設置されている。空調機器40は、通常室内の壁の上の方に設置されることが多い。このため、空調機器40は、その吹き出し口から空気(空調された空気)を送出する。このとき、矢印Gのように室内の上方から空気を送出することが多い。
【0144】
この場合、パネル型殺菌装置1は、筐体2の上方に第1開口部3と吸気ファン5を配置し、筐体2の下方に第2開口部4と排気ファン6を配置することが好適である。矢印Gに沿って送出される空気が、第1開口部3から内部空間22に取り込まれ、循環路Aは、上から下向きに形成されて、第2開口部4から排出される。空調機器40は、もともと矢印Gに沿った空気の送出と、矢印Hに沿った空気の還流とを形成しているので、第2開口部4から排出される殺菌された空気は、この矢印Gに沿って循環する。この結果、殺菌された空気が矢印Hに沿って循環するようになり、室内の衛生環境が維持される。特に、空調機器40が生じさせる空気循環経路とパネル型殺菌装置1の内部における循環路Aとの方向が同一であることで、室内全体での空気循環が妨げられることがない。この点で、室内での殺菌された空気の循環と殺菌すべき空気の循環とが効率的になる。
【0145】
特に、空調機器40は、内部にカビなどを有していることも多く、送出される空気は細菌などを有していることが多い。この点は、問題点として考えられていた。
【0146】
パネル型殺菌装置1は、吸気方向と排気方向を容易に変更できる上、パネル型であるので、室内の上方と下方とに吸気と排気を生み出すことができる。これらの結果、空調機器40によって生じうる細菌を含んだ空気の殺菌が、容易に行われるようになる。
【0147】
なお、空調機器40の空気の送出方向が、図11の矢印G,Hと逆方向になる場合には、パネル型殺菌装置1の吸気ファン5と排気ファン6との位置をぎゃくにすればよい。逆にすることで、室内においては、空調機器40、矢印H、循環路A,矢印Gとの、図11とは逆の空気循環が生まれる。この場合も、空調機器40から送出されたばかりの、細菌を多く含むと考えられる空気の、効率的な殺菌が実現される。
【0148】
(病室での設置位置)
パネル型殺菌装置1が、病床ベッドを有する病室に、他の間仕切りと合わせてパーティションとされる場合には、病床ベッドの頭部および足部に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されることも好適である。
【0149】
図12は、本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置された病室の模式図である。病室は、個室であることもあるが、複数の病床ベッド60が設置されている複数人部屋であることも多い。このような複数人部屋である場合には、病人同士の衛生状態を維持するために、病床ベッド60の周囲に間仕切り50によってパーティション51を設置することがある。パーティション51によって、病床ベッド60同士の空気の往来の遮蔽を実現する。
【0150】
このとき、病床ベッド60の周囲はかなりの長さを有しているので、パーティション51を形成するには、オフィス用品などとして市販されている通常の間仕切り50が使われることが適当である。しかしながら、全てが通常の間仕切り50であると、空気の往来の遮蔽機能は果たせても、空気の殺菌機能は果たせない。
【0151】
このため、パーティション51の一部は、通常の間仕切り50ではなく、実施の形態1〜2で説明したパネル型殺菌装置1が用いられることが好適である。しかしながら、パネル型殺菌装置1は、通常の間仕切りよりはコストが生じたり消費電力が生じたりする。このため、パーティション51の中で、効率的にパネル型殺菌装置1が組み込まれるのが好適である。
【0152】
図12では、病床ベッド60の頭部および足部に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されている。細菌やウイルスの影響は、病人の呼吸器から混入することが問題である。病床ベッド60では、頭部もしくは足部に、病人の頭が位置するようになる。このため、病床ベッド60の頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されることで、コストや効果の面で、最適なパーティション51が実現できる。
【0153】
(エアーカーテン)
病床ベッド60の一端に第1のパネル型殺菌装置1が設置され、他端に第2のパネル型殺菌装置1が設置されて、病床ベッド60の上空に殺菌された殺菌空気によるエアーカーテンを形成することも好適である。図13は、本発明の実施の形態3におけるエアーカーテンを形成した病室の模式図である。病床ベッド60には、病人61が寝ている。病床ベッド60の一端(頭部側)に、パネル型殺菌装置1Aが設置され、病床ベッド60の他端(足側)に、パネル型殺菌装置1Bが設置されている。
【0154】
ここで、パネル型殺菌装置1Aにおいては、第1開口部3に排気ファン6が設置され、第2開口部4に吸気ファン5が設置される。一方、パネル型殺菌装置1Bにおいては、第1開口部3に吸気ファン5が設置され、第2開口部4に排気ファン6が設置される。このためパネル型殺菌装置1Aの内部空間22では、上向きに循環路Aが形成され、パネル型殺菌装置1Bの内部空間22では、下向きに循環路Aが形成される。
【0155】
この結果、パネル型殺菌装置1Aは、上方にある第1開口部3から殺菌された殺菌空気を排出する。この排出された殺菌空気は、パネル型殺菌装置1Bの第1開口部3での吸引によって、矢印Jに従った移動をする。すなわち、病人61の上空では、殺菌された殺菌空気が移動することになって、病人61にとっての衛生状態が保たれる。
【0156】
パネル型殺菌装置1Bでは、上方の第1開口部3に吸気ファン5が設置されているので、矢印Jに従って移動した空気を吸引する。パネル型殺菌装置1Bの第1開口部3に入力する空気は、病人61の上空を移動してきているので、殺菌が薄れて細菌を含んでいる可能性がある。このような空気が、パネル型殺菌装置1Bの循環路Aを移動する中で再び殺菌されて、下方にある第2開口部4から排出される。排出された殺菌空気は、矢印Kに従って病床ベッド60の下方を移動する。これは、パネル型殺菌装置1Aの第2開口部4に備わる吸気ファン5による吸引力の結果である。
【0157】
このように、病床ベッド60の両端にパネル型殺菌装置1が配置されて、吸気方向と排気方向とを合わせることで、矢印J、Kに示されるようなエアーカーテンが、病床ベッド60の上空に形成されるようになる。しかも、このエアーカーテンは、殺菌された殺菌空気であるので、病人61の周囲は高い衛生状態が保たれる。
【0158】
例えば、病人用に、酸素テントや無菌テントが設けられることがあるが、多くの病人は、このような大掛かりな衛生維持装置を必要とすることは少ない。しかし、可能な範囲で衛生状態を維持したいとの希望が働くこともある。図13に示される殺菌空気によるエアーカーテンは、この点で非常にメリットが高い。
【0159】
このように、病院やその他の場所で、複数のパネル型殺菌装置1を適切に配置することで、衛生状態を維持する様々な仕組みを構築できる。
【0160】
なお、実施の形態1〜3で説明されたパネル型殺菌装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0161】
1 パネル型殺菌装置
2 筐体
21 側面
22 内部空間
3 第1開口部
4 第2開口部
5 吸気ファン
6 排気ファン
7 紫外線照射部
40 空調機器
50 間仕切り
51 パーティション
60 病床ベッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の間仕切りともなりうる薄型の形状を有していると共に室内の空気を内部に取り込んで、所定周波数帯域の紫外線によって空気を滅菌・殺菌するパネル型殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、職場や病院などでは、不特定多数の人が集まることや、病人の存在などによって、衛生環境の保持が求められている。あるいは最近では、一般家庭においても、新型インフルエンザや花粉症などといったウイルスや細菌対策が求められるようになっている。職場においては、複数の異なる人が、異なる環境から集合する状態であるので、複数の人が様々な雑菌を持ち込んでくる可能性が高い。職場においては、様々な雑菌が蔓延したり、隣接する席の人からの雑菌の影響が生じたりする。病院においても同様であり、入院や通院患者が生じさせる雑菌や、見舞い患者等によって持ち込まれる雑菌などが存在している。家庭内においても、住人が外部から雑菌を持ち帰ることもありえるし、来客が雑菌を持ち込むこともありえる。小売店なども同様である。
【0003】
このように、職場、病院、家庭、小売店といった、人の出入りや集合が生じる場所においては、衛生環境の保持や衛生環境の改善が求められている。もちろん、外気を通じて進入する雑菌やウイルスも存在してこれらに対する対策が求められているが、特に、出入りしたり集まったりする人に起因する雑菌やウイルスへの対策が求められている。
【0004】
職場や病院においては、環境の様々な多数の人間が集まる状態があるので、各人同士を仕切る間仕切りによって、相互に雑菌やウイルスを遮断しあうことが考えられる。間仕切りによって雑菌やウイルスが行き交うことを防止できれば、少なくとも自分以外の他人という、自分が制御不可能な雑菌やウイルス源への対応が可能となるからである。また、家庭内においても、必要に応じて間仕切りを用いて、雑菌やウイルスの蔓延を遮断することが求められている。
【0005】
しかしながら、間仕切りはあくまでも物理的な間仕切りに過ぎず、室内の空気中に存在する細菌やウイルスを消滅させることはできない。このような中、室内の空気中に存在する細菌やウイルスを滅菌したり殺菌したりする種々の殺菌装置が提供されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、箱型の殺菌装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
ここで、病院、職場、家庭などにおいては、室内の空気を殺菌する殺菌機能と合わせて空気の往来を遮断する遮断機能との両立が求められている。空気が殺菌されても殺菌されていない室内の別の場所からの空気が到達すれば、殺菌の効果が減少するし、空気の往来が遮断できるだけでは衛生状態を維持することは不十分だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−220122号公報
【特許文献2】特開2005−106296号公報
【特許文献3】特開平11−192405号公報
【特許文献4】特開平11−47257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3は、吸気によって空気を取り込んで、殺菌装置内部を循環する空気を紫外線や光触媒で殺菌する殺菌装置を開示する。
【0009】
特許文献1は、吸引ファンによって取り込んだ空気を、紫外線と光触媒とによって殺菌する脱臭方法を開示する。職場、病院、家庭などに設置されて、室内の空気を脱臭することに用いられる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示される脱臭方法とこの装置は、非常に大掛かりであって室内における設置場所が限られる問題点もある。また、特許文献1に開示される装置は、あくまでも脱臭装置(殺菌装置)としての機能を果たすだけに過ぎず、例えば隣接する席や人同士を仕切る間仕切りとして使用できるわけではない。室内の細菌やウイルス対策としては、殺菌だけに限らず、必要な場所における空気の往来の遮断も必要となる。しかしながら、特許文献1に開示される装置は、空気の往来を遮断できない。
【0011】
特許文献2は、クリーンルームなどの特殊環境において、室内全体の空気を吸引し、殺菌してから空気を戻す空調システムを開示する。室内全体の空気の殺菌や微生物処理が可能となる点では優れているが、一般的な職場、病院、家庭に設置するのは困難である。また、これらの一般的な室内においては、室内全体の空気を吸引して殺菌することまでが求められているものでもない。
【0012】
このため、特許文献2に開示される空調システムは、一般的な室内において適用ができない問題を有している。
【0013】
特許文献3は、空調機器の空気導入路に装着される光触媒ユニットであって、空調機器の動作時に吸引される室内の空気を殺菌する光触媒ユニットを開示する。
【0014】
しかしながら、特許文献3に開示される光触媒ユニットは、空調機器に装着されるしか、室内に設置の方法がない問題がある。すなわち、設置場所を選び空気の往来の遮断ができない問題を有している。もちろん、空調機器が停止中には、空気の吸引がなされないので、殺菌機能が働かない問題もある。すなわち、特許文献3に開示される光触媒ユニットは、空調機器と連動しなければ使用が困難である問題もある。
【0015】
特許文献1〜3に開示される技術は、室内の空気を殺菌することはできるが、病院、職場、家庭のような一般的な室内において容易に設置しつつ、空気の往来の遮蔽機能をも実現できるものではない。
【0016】
特許文献4は、特許文献1〜3と同様に、空気を吸引して紫外線や光触媒によって吸引した空気を殺菌する殺菌装置を開示する。特許文献1〜3と異なり、殺菌装置が箱型であるので、設置が多少容易となるメリットがある。
【0017】
しかしながら、特許文献4に開示される殺菌装置も、設置する場所の容易性が高まるだけで、空気の往来を遮蔽する機能を有するわけではない。
【0018】
以上のように、従来技術の殺菌装置は、室内の空気を吸引して細菌やウイルスを殺菌するが、設置場所の容易性が低い上に、室内の空気の往来を遮蔽する機能を有していない問題がある。室内における各人にとっての衛生状態の維持においては、(1)隣接する人同士での空気の往来を遮蔽する遮蔽機能、(2)室内の空気を殺菌する殺菌機能、の両方が実現される必要がある。このような状況においては、遮蔽としての間仕切りが可能であるパネルのような薄型でかつ殺菌機能を有している殺菌装置が求められる。
【0019】
しかしながら、外部に対して殺菌機能を生じさせる殺菌装置の場合には、殺菌のために人体にも有害な紫外線等が外部に発生することになる。隣接する人の間の遮蔽機能を発揮する場合には、当然ながら有害な紫外線等が人体に照射されてしまう問題がある。
【0020】
一方で、人体に有害な紫外線等を照射しないように、筐体内部に空気を吸引して内部で殺菌する殺菌装置の場合には(特許文献1などと同様)、筐体をパネルのように薄型にするには、次のような種々の問題を生じさせる。
【0021】
(問題1)筐体が薄いので、十分な空気の取り込みが困難である。
(問題2)取り込んだ空気が十分に筐体内部を循環することの困難性。
(問題3)薄型の筐体に紫外線照射部を効率的に設置することが難しく、狭い筐体内部で効率的に循環する空気に紫外線を照射することが難しい。
(問題4)問第2、3が相まって、十分な殺菌機能を発揮することが難しい。
(問題5)メンテナンスなどが難しい。
【0022】
このような問題を生じさせないようにすると、殺菌装置が大型となったり、高さが低くなったりして、間仕切りのような遮蔽機能を発揮させることは困難である。
【0023】
以上のように、このような問題1〜問題5を解決でき、遮蔽機能と殺菌機能とを両立できる、薄型の殺菌装置が求められている。
【0024】
本発明は、上記の課題に鑑み、これら問題を解決しつつ、間仕切りとしても使用可能な遮蔽機能を発揮しつつ、十分な殺菌能力を有する殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明のパネル型殺菌装置は、内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、第1開口部および第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、内部空間に設けられると共に循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、紫外線照射部は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のパネル型殺菌装置は、薄型であるので、職場において隣接する人同士の間仕切りとして利用したり、病院において隣接するベッド同士の間仕切りとして使用したりできる。間仕切りとして使用できるので、空気の往来を遮蔽でき、ある領域での衛生状態を維持できる。また、殺菌機能も有しているので、遮蔽された空間における空気を吸引して、室内の空気を殺菌できる。すなわち、空気の往来の遮蔽機能と、殺菌機能とを両立できる。
【0027】
また、本発明のパネル型殺菌装置は、薄型でありながら、吸気・排気・紫外線照射部の工夫によって、高い殺菌能力を有する。この結果、遮蔽機能と殺菌機能との両立が更に強まり、職場、病院、家庭などの様々な場面での活用が可能となる。
【0028】
更には、本発明のパネル型殺菌装置は、高いメンテナンス性も有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の動作説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置1の模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置を上から見た図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2におけるパネル型殺菌装置の模式図である。
【図11】本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置されている室内の模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置された病室の模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3におけるエアーカーテンを形成した病室の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係るパネル型殺菌装置は、内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、第1開口部および第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、内部空間に設けられると共に循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、紫外線照射部は、循環路において連通部分を生じるように配置されている。
【0031】
この構成により、パネル型殺菌装置は、薄型でありながら、室内の空気を取り込んで殺菌できる。
【0032】
本発明の第2の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1の発明に加えて、筐体は、室内における間仕切りと兼用可能である。
【0033】
この構成により、パネル型殺菌装置は、空気の遮蔽機能と殺菌機能を両立できる。
【0034】
本発明の第3の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1又は第2の発明に加えて、内部空間は、筐体の横方向であるX軸、筐体の高さ方向であるY軸、筐体の厚み方向であるZ軸を有し、循環路は、Y軸方向に主として形成され、紫外線照射部は、X軸およびZ軸の少なくとも一方において、連通部分を形成する。
【0035】
この構成により、パネル型殺菌装置は、狭い内部空間においても、確実に循環路を形成できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部の少なくとも一つは、筐体の側面から出し入れ可能に、内部空間において設置可能である。
【0037】
この構成により、狭小空間の内部空間に、紫外線照射部を容易に設置できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係るパネル型殺菌装置では、第4の発明に加えて、複数の紫外線照射部の一部は、筐体の側面の一方から内部空間に突出して設けられ、複数の紫外線照射部の他は、筐体の側面の他方から内部空間に突出して設けられる。
【0039】
この構成により、紫外線照射部は、循環路を形成できると共に、高い効率で紫外線を照射できる。
【0040】
本発明の第6の発明に係るパネル型殺菌装置では、第4の発明に加えて、筐体の側面の一方から突出する紫外線照射部と、筐体の側面の他方から突出する紫外線照射部とは、Y軸において互い違いに配列する。
【0041】
この構成により、紫外線照射部は、確実に紫外線を照射できる。
【0042】
本発明の第7の発明に係るパネル型殺菌装置では、第3から第6のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部のそれぞれは、X軸に沿っている。
【0043】
この構成により、紫外線照射部は、狭い内部空間でも容易に配置される。
【0044】
本発明の第8の発明に係るパネル型殺菌装置では、第3から第6のいずれかの発明に加えて、複数の紫外線照射部のそれぞれは、X軸に交差するように、筐体の側面のそれぞれから突出して設けられる。
【0045】
この構成により、紫外線照射部は、内部空間において、広範囲に紫外線を照射できる。
【0046】
本発明の第9の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、紫外線照射部は、発光部と基板部とを備え、基板部は、連通部分を形成する。
【0047】
この構成により、紫外線照射部は、狭い内部空間であっても、確実に循環路を形成できる。
【0048】
本発明の第10の発明に係るパネル型殺菌装置では、第9の発明に加えて、発光部は、発光ダイオードを有する。
【0049】
この構成により、紫外線照射部は、容易に紫外線を照射できる。
【0050】
本発明の第11の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、第1開口部は、筐体の上面、筐体の正面および筐体の背面のいずれかに設けられ、第2開口部は、筐体の底面、筐体の正面および筐体の背面のいずれかに設けられ、第1開口部は、第2開口部よりも、Y軸において上方に位置する。
【0051】
この構成により、パネル型殺菌装置は、室内において様々な空気循環を形成でき、殺菌空気を必要な領域に送出できる。
【0052】
本発明の第12の発明に係るパネル型殺菌装置では、第11の発明に加えて、吸気ファンおよび排気ファンのそれぞれは、第1開口部および第2開口部のいずれか一方の開口部分に合わせて配置される。
【0053】
この構成により、吸気と排気との方向を決定できる。
【0054】
本発明の第13の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、内部空間に、吸気ファンと排気ファンの間に配置される補助ファンを更に備える。
【0055】
この構成により、内部空間における空気循環がより十分になる。
【0056】
本発明の第14の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、筐体は、放熱板を備える。
【0057】
この構成により、パネル型殺菌装置は、籠もりがちな熱を排出できる。
【0058】
本発明の第15の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、筐体は、側面に放熱孔を有する。
【0059】
この構成により、パネル型殺菌装置は、籠もりがちな熱を放出できる。
【0060】
本発明の第16の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第15のいずれかの発明に加えて、パネル型殺菌装置が、空調機器を備える室内に設置される場合に、空調機器から送出される空気の対流方向と、吸気ファンから排気ファンにかけて形成される循環路とが、同方向である。
【0061】
この構成により、空調機器から送出される細菌の多い空気が、確実に殺菌されるようになる。
【0062】
本発明の第17の発明に係るパネル型殺菌装置では、第1から第16のいずれかの発明に加えて、パネル型殺菌装置が、病床ベッドを有する病室に他の間仕切りと合わせてパーティションとして設置される場合に、病床ベッドの頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、パネル型殺菌装置が配置される。
【0063】
この構成により、病人の周辺の衛生状態が効率的に保たれる。
【0064】
本発明の第18の発明に係るパネル型殺菌装置では、第17の発明に加えて、病床ベッドの一端に第1のパネル型殺菌装置が設置され、病床ベッドの他端に第2のパネル型殺菌装置が設置され、第1のパネル型殺菌装置は、第1開口部に排気ファンを設置すると共に第2開口部に吸気ファンを設置し、第2のパネル型殺菌装置は、第1開口部に吸気ファンを設置すると共に第2開口部に排気ファンを設置する。
【0065】
この構成により、病床ベッドの周囲が、殺菌空気で覆われるようになる。
【0066】
本発明の第19の発明に係るパネル型殺菌装置では、第18の発明に加えて、第1のパネル型殺菌装置と第2のパネル型殺菌装置は、病床ベッドの上空に、エアーカーテンを形成する。
【0067】
この構成により、病人の衛生状態が高く保たれるようになる。
【0068】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0069】
(実施の形態1)
【0070】
(全体概要)
まず、図1を用いて実施の形態1のパネル型殺菌装置の全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。破線によって内部に存在する要素を示している。パネル型殺菌装置1は、筐体2、筐体2内部に設けられる吸気ファン5、排気ファン6および単数又は複数の紫外線照射部7を備える。
【0071】
筐体2は、第1開口部3および第2開口部4を有する薄型の部材である。薄型の筐体2は、パネル型殺菌装置1の外形を形成するので、パネル型殺菌装置1のパネル形状の外形は、この薄型の筐体2によって生み出される。筐体2は、内部空間22を有する薄型の部材であって、この内部空間22に、吸気ファン5、排気ファン6および紫外線照射部7を取り付けている。内部空間22は、これらの要素によって、取り込んだ筐体2外部の空気を殺菌する。
【0072】
筐体2は、内部空間22と外部を通じさせる第1開口部3と第2開口部4を備える。第1開口部3と第2開口部4とは、筐体2において異なる位置に設けられている。第1開口部3と第2開口部4とによって、内部空間22に外部の空気が取り込まれたり、内部空間22で殺菌した空気を外部に送り出したりする。すなわち、第1開口部3と第2開口部4とは、殺菌する空気の導入と殺菌した空気の排出とを実現する。
【0073】
吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方の近傍に設けられる。近傍とは、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に近接すると共に内部空間22である位置か、筐体2の外部である位置を含む。すなわち、吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方を介して、外部の空気を内部空間22に吸引できる位置に設置されていればよい。例えば、第1開口部3および第2開口部4のいずれかに設けられても良い。吸気ファン5は、その吸引力によって、外部から内部空間22に空気を吸引する。
【0074】
排気ファン6は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方の近傍に設けられる。近傍の定義は、上記と同じである。排気ファン6は、吸気ファン5と異なる位置に設けられるので、吸気ファン5が第1開口部3の近傍に設けられる場合には、排気ファン6は、第2開口部4の近傍に設けられる。逆に吸気ファン5が第2開口部4の近傍に設けられる場合には、排気ファン6は、第1開口部3の近傍に設けられる。排気ファン6は内部空間22を循環した空気を外部に排出する。
【0075】
内部空間22には、第1開口部3と第2開口部4との間に形成される空気の循環路Aが形成される。図1では、矢印によって示されている。吸気ファン5と排気ファン6の働きにより、矢印Aによって示される循環路Aが形成されている。内部空間22においては、循環路Aに沿って、空気が循環する。なお、循環路Aは、空気の移動経路を示すものであって、部材として明確に形成されなくてはならないものではない。すなわち、後述の紫外線照射部7などの内部空間22に形成される要素の隙間が、結果的な循環路Aとなればよい。
【0076】
紫外線照射部7は、内部空間22内部に設けられ、循環路Aを循環する空気に対して所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する。特定周波数の紫外線によって、空気は殺菌されるようになる。ここで、内部空間22は、単数又は複数の紫外線照射部7を備える。紫外線照射部7は、内部空間22に備えられる場合に、循環路Aにおいて連通部分を生じるように配置される。すなわち、紫外線照射部7は、内部空間22において、第1開口部3と第2開口部4とをつなぐ方向において、空気の循環を遮蔽しない。紫外線照射部7は、空気の循環路Aを残すようにして、内部空間22に配置される。
【0077】
以上のように、パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2を外形としつつ、その内部空間22に紫外線照射部7などの空気の殺菌に必要な要素を含んだ構成を有している。
【0078】
(動作手順)
次に、パネル型殺菌装置1の動作手順(機能)について説明する。
【0079】
パネル型殺菌装置1は、病院、職場、家庭、小売店、役場など、人の集まる様々な場所の室内に設置される。パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2がその外形であるので、様々な場所に設置が容易である。特に、筐体2は薄型であるので、筐体2は、室内における間仕切りと兼用が可能である。このため、例えば、パネル型殺菌装置1は、職場の隣接する席同士の間仕切りとして設置されたり、病院における隣接する病床同士の間仕切りとして設置されたりする。このように、筐体2が間仕切りと兼用できることで、パネル型殺菌装置1が、室内における間仕切りとして空気の往来を遮蔽できる。
【0080】
このように、パネル型殺菌装置1は、まず室内における隣接する人同士の間での空気の往来を遮蔽(完全でなくてもよい)する機能を発揮する。
【0081】
設置されたパネル型殺菌装置1は、図1には図示していないが電源を有しており、電源から電力が供給されると、吸気ファン5と排気ファン6とが動作を開始する。また、電源から電力が供給されることで、紫外線照射部7も紫外線を内部空間22に照射するようになる。
【0082】
図1では、第1開口部3が筐体2の上面に設けられ、第2開口部4が筐体2の底面に設けられている。また吸気ファン5は第2開口部4の近傍に設けられ、排気ファン6は第1開口部3の近傍に設けられている。すなわち、筐体2の底面に吸気ファン5が設けられ、筐体2の上面に排気ファン6が設けられている状態である。
【0083】
図2を用いて、電力供給後の動作を説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の動作説明図である。電力が供給されることで、吸気ファン5と排気ファン6は、動作を開始する。この結果、吸気ファン5は、第2開口部4を通じて室内の空気を吸引する。矢印Cは、この吸気ファン5によって、内部空間22に吸引される空気の流れを示している。矢印Cに従って、室内の空気は、吸気ファン5の働きで内部空間22に到達する。
【0084】
内部空間22においては、吸気ファン5および排気ファン6との働きによって、循環路Aを空気が移動する。循環路Aは、上述の通り内部空間22に設置される紫外線照射部7の隙間に生じる連通部分によって形成される。内部空間22に取り込まれた空気は、循環路Aに従って移動する際に、紫外線照射部7からの紫外線を受ける。紫外線照射部7は、殺菌効果を生じさせる所定の周波数の紫外線を照射する。紫外線照射部7は、この紫外線の照射によって、循環路Aを移動する空気を殺菌する。
【0085】
このとき、吸気ファン5、排気ファン6および筐体2の高さのそれぞれのバランスによって、循環路Aを移動する空気の速度を変更できる。空気の移動速度が遅ければ、紫外線照射部7による紫外線の照射時間が長くなって殺菌効果が高まる。例えば、筐体2の高さが高いことで、循環路Aが長くなる。この結果、紫外線照射部7による紫外線の照射時間が長くなり、殺菌効果が高まる。あるいは、吸気ファン5の回転速度が排気ファン6の回転速度よりも速いことも好適である。吸気が強く排気が弱いことで、内部空間22に空気がより滞留することになって、循環路Aを移動する空気に対する紫外線の照射時間が長くなる。この場合にも、紫外線による殺菌効果が高まる。
【0086】
内部空間22において循環路Aを移動する空気は、このように単数または複数の紫外線照射部7による紫外線の照射による殺菌を受けて、殺菌された状態の空気となる。なお、殺菌とは、完全な殺菌のみを含む概念ではなく、滅菌など、細菌やウイルスなどを減少させることも含む概念である。殺菌された空気は、排気ファン6の働きによって、第1開口部3から筐体2外部に排出される。図2の矢印Dに示されるように、空気は室内に排出される。このようにして、殺菌された空気が、室内を再び循環するようになる。
【0087】
以上のように、パネル型殺菌装置1は、吸気ファン5と排気ファン6とによって室内の空気を内部空間22に取り込みつつ排気することを繰り返して、室内の空気を殺菌する。すなわち、パネル型殺菌装置1は、殺菌機能を発揮する。上述の通り、パネル型殺菌装置1は遮蔽機能も発揮するので、遮蔽機能と殺菌機能とを併せ持って室内の衛生状態を維持できる。
【0088】
次に、各部の詳細について説明する。
(筐体)
【0089】
筐体2は、パネル型殺菌装置1の外形を構成する。薄型の形状を有しており、間仕切りとして兼用できる。このため、その底面に足部を有していることも好適である。筐体2は、横方向であるX軸、高さ方向であるY軸および厚み方向であるZ軸を有しており、厚みであるZ軸の大きさが小さいことで、薄型を構成している。ここで、筐体2は、図1に示されるような直方体である必要はなく、厚みのある楕円形や多角形など、種々の形状を有していてもよい。ただ、いずれにしても間仕切りとして兼用できる薄型であることが好ましい。
【0090】
筐体2は、樹脂、金蔵、合金、木材など種々の素材で形成されれば良い。特に、室内で使用されるので、表面の質感がソフトであることも好ましい。
【0091】
筐体2は、内部空間22を有するので、内部空間22を形成するように、板部材が組み合わされて形成されることも好適である。もちろん、打ち抜きや板金によって一体的に形成されても良い。
【0092】
また、筐体の大きさの一例として、高さが1500mm〜1800mm、横幅が900mm〜1200mm、厚みが100mm〜150mmである。これに限られるものではないが、このような大きさを有していることで、パネル型殺菌装置1は、非常に薄型となる。
【0093】
(内部空間)
内部空間22は、筐体2内部に形成される空間である。筐体2がX軸、Y軸、Z軸を有するので、内部空間22もこのX軸、Y軸、Z軸を有する空間である。内部空間22は、その内部に紫外線照射部7を備え、この紫外線照射部7の隙間(連通部分)に循環路Aを備える。このとき、紫外線照射部7は、X軸およびZ軸の少なくとも一方において連通部分を生じさせる。この結果、Y軸に沿った循環路Aが形成されるようになる。
【0094】
内部空間22は、紫外線照射部7を備えるので、その取り付けに必要な取り付け部を備えることも好適である。また、殺菌対象となる空気が移動する空間であるので、その表面に殺菌処理が施されていることも好適である。
【0095】
例えば、内部空間22を形成する筐体2の内側には、光触媒が塗布されていることも好適である。酸化チタンなどを例とする光触媒が塗布されていることで、紫外線照射部7による紫外線の照射と合わせて循環路Aを移動する空気の殺菌効果が高まる。
【0096】
(第1開口部と第2開口部)
第1開口部3と第2開口部4は、筐体2の一部に設けられ、第1開口部3および第2開口部4は、内部空間22と連通する。第1開口部3および第2開口部4が内部空間22と連通することで、筐体2外部の空気(パネル型殺菌装置1の設置される室内の空気)が内部空間22に取り込まれるようになる。
【0097】
第1開口部3と第2開口部4は、吸気と排気とによって、循環路Aにおける空気循環を生み出す。このため、第1開口部3と第2開口部4は、筐体2の一部に設けられ、好ましくは筐体2において第1開口部3と第2開口部4とが離隔して設けられる。第1開口部3は、筐体2の上面、筐体2の正面および筐体2の背面のいずれかに設けられる。同様に、第2開口部4は、筐体2の底面、筐体2の正面および筐体2の背面のいずれかに設けられる。加えて、第1開口部3は、第2開口部4よりもY軸において情報に位置する。すなわち、第1開口部3、常に第2開口部4よりも上に備えられる。
【0098】
第1開口部3および第2開口部4は、吸気ファン5および排気ファン6の働きと相まって、循環路Aによる空気循環を形成する。この循環路Aの空気循環によってパネル型殺菌装置1が設置される室内に空気循環が形成される。
【0099】
図3は、室内の空気循環の一例を示す。図3は、本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。図3では、パネル型殺菌装置1がある室内に設置され、第1開口部3は筐体2の上面に設けられ、第2開口部4は筐体2の底面に設けられる。また、第2開口部4の近傍に吸気ファン5が設置され、第1開口部3の近傍に排気ファン6が設置される。この結果、パネル型殺菌装置1は、室内の未殺菌空気を、筐体2の底面の第2開口部4から吸引し、循環路Aの循環に合わせて、筐体2の上面の第1開口部3から排気される。排気されるのは、殺菌された殺菌空気である。この結果、図3の矢印E、矢印Fに示されるように、室内の底面から未殺菌空気がパネル型殺菌装置1に入り、室内の上方から殺菌空気が排気される循環が生じる。
【0100】
あるいは、第1開口部3および第2開口部4の位置を変えることで、室内における空気循環を変えることもできる。図4は、本発明の実施の形態1における室内の空気循環を示す説明図である。図4においては、第1開口部3は、筐体2の背面に設置され、第2開口部4は、筐体2の正面に設置されている。第1開口部3には排気ファン6が、第2開口部4には吸気ファン5が設けられることで、第2開口部4から未殺菌空気が吸引され、第1開口部3から殺菌空気が排出される。この結果、矢印E、矢印Fに示される空気循環が、室内に形成される。
【0101】
図3、図4は、パネル型殺菌装置1が生じさせる空気循環の一例であり、第1開口部3、第2開口部4の相対的な位置関係、吸気ファン5および排気ファン6の相対的な位置関係を変化させることで、様々な空気循環を形成できる。第1開口部3は、第2開口部よりも上方に位置するので、第1開口部3に吸気ファン5を設置し、第2開口部4に排気ファンを設置することで、上方から下方に向かう空気循環を形成することができる(図3、図4と逆)。殺菌された殺菌空気を必要とする領域に合わせて、第1開口部3、第2開口部4、吸気ファン5、排気ファン6を組み合わせることで、フレキシビリティの高いパネル型殺菌装置1が実現される。
【0102】
また、第1開口部3、第2開口部4は、予め筐体2の複数の位置に設けられておき、開口している複数の部分のいずれかを蓋やキャップで塞いで、残った開口部分を、第1開口部3および第2開口部4とすることもよい。この場合には、一つのパネル型殺菌装置1によって、第1開口部3と第2開口部4の様々な組み合わせを、事後的に実現できる。もちろん、吸気ファン5および排気ファン6の回転方向も変更可能であることで、吸気と排気方向(循環路Aの方向)を変えることもできる。
【0103】
(吸気ファン、排気ファン)
吸気ファン5と排気ファン6は、室内の空気を内部空間22に取り込んで、殺菌後の空気を室内に排出する。吸気ファン5と排気ファン6とは、その回転方向や回転数を制御可能であり、これらの制御によって、循環路Aの方向や循環路Aでの空気の移動速度を調整できる。
【0104】
吸気ファン5は、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられ、排気ファン6も、第1開口部3および第2開口部4のいずれか一方に設けられる。このとき、吸気ファン5と排気ファン6とは、異なる開口部に設けられる。これによって、循環路Aが形成される。
【0105】
第1開口部3および第2開口部4で説明した通り、吸気ファン5と排気ファン6の組み合わせの工夫によって、循環路Aおよび室内循環のパターンを様々に構成できる。
【0106】
吸気ファン5および排気ファン6は、回転する羽根を有する回転ファンであってもよいし、物理的な吸引力を機能とする吸引ファンであってもよい。また、内部空間22内部に設けられてもよいし(第1開口部3や第2開口部4の内側)、筐体2の外側に設けられても良い。後者の場合には、第1開口部3や第2開口部の外側に、吸気ファン5および排気ファン6が設置されることになる。
【0107】
(紫外線照射部)
紫外線照射部7は、内部空間22において循環路Aを移動する空気に紫外線を照射する。紫外線照射部7は、殺菌に最適な周波数の紫外線を照射する。
【0108】
使用する紫外線としては、殺菌機能を有する波長を有していればよい。一般的にはUV−Cとして定義される周波数帯域の紫外線が用いられる。特に、殺菌効果の高い波長として、235.7nmであることが適当である。このような波長の紫外線を、紫外線照射部7が使用することで、高い殺菌効果を実現できる。もちろん、紫外線照射部7が使用する紫外線は、殺菌を目的としているのであるから、波長や周波数を限定しなければならないわけではなく、現在あるいは将来において殺菌効果の高い波長の紫外線が検出されれば、これらの波長の紫外線を用いることができる。
【0109】
また、内部空間22の表面が光触媒で塗布されている場合には、紫外線照射部7による紫外線と相まって、内部空間22における殺菌能力が更に高まる。
【0110】
内部空間22は、単数または複数の紫外線照射部7を備えており、紫外線照射部7は、連通部分を生じさせることで、循環路Aを形成する。例えば、複数の紫外線照射部7が設けられる場合には、複数の紫外線照射部7同士が連通部分を生じさせることで、循環路Aが形成される。
【0111】
ここで、紫外線照射部7は、筐体2の側面から出し入れ可能であることも好適である。筐体2は、薄型であるので、第1開口部3や第2開口部4から紫外線照射部7を出し入れすることは難しい。一方で、紫外線照射部7は、交換が必要な部品であり、パネル型殺菌装置1のメンテナンスのためには紫外線照射部7の容易な出し入れを必要とする。筐体2の側面からの出し入れが可能であると、紫外線照射部7の取替えなどが容易となり、メンテナンスが簡便となる。
【0112】
図5は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置1の模式図である。図5は、筐体2の側面21Aから紫外線照射部7Aが出し入れ可能となっている状態を示している。側面21Aに紫外線照射部7Aにあわせた扉や窓が設けられることで、側面21Aから紫外線照射部7Aが出し入れ可能である。もちろん、紫外線照射部7Bも側面21Bから出し入れ可能である。
【0113】
このように、紫外線照射部7が筐体2の側面21から出し入れ可能であることで、紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に投入されて設置されるようになる。すなわち、紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に突出して設けられる。特に、複数の紫外線照射部7の一部は、側面21Aから内部空間22に突出して設けられ、他は、側面21Bから内部空間22に突出して設けられることも好適である。言い換えれば、筐体2の両側面21A,21Bのそれぞれから、紫外線照射部7が互い違いに突出するように設けられる。
【0114】
図6は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。図6は、正面から見た状態を模式的に示している。
【0115】
複数の紫外線照射部7のそれぞれにおいて、筐体2の側面の一方である側面21Aから突出する紫外線照射部7と、筐体2の側面の他方である側面21Bから突出する紫外線照射部7とが、Y軸において互い違いに配列している。この互い違いの配置によって生じる連通部分をつなげるように、循環路Aが形成される。このように、複数の紫外線照射部7は、Y軸において、側面21Aおよび側面21Bから互い違いに配列されることでも良い。この場合には、内部空間22において、循環路Aを塞ぐことなく、移動する空気への紫外線の照射が効率的となるメリットがある。
【0116】
また、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に沿っていることも好適である。図6に示されるパネル型殺菌装置1でも、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に沿っている。このように紫外線照射部7がX軸に沿っていることで、紫外線照射部7は、広い範囲に渡って紫外線を照射できる。この結果、循環路Aを移動する空気は、十分に殺菌される。
【0117】
あるいは、複数の紫外線照射部7のそれぞれは、X軸に交差するように、側面21から内部空間22に突出して設けられることも好適である。図7は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の正面図である。図7は、複数の紫外線照射部7のそれぞれが、X軸に交差するように設けられている状態を示している。図7では、ある紫外線照射部7は、X軸に対して、Y軸下を向くように交差しており、別の紫外線照射部7は、X軸に対して、Y軸上を向くように交差している。このように、複数の紫外線照射部7は、様々な交差を有している。
【0118】
図7に示されるように、複数の紫外線照射部7がX軸に対して交差するように設けられると、循環路Aを移動する空気に対して、種々の方向から紫外線が照射されるようになる。位置によっては、2つの紫外線照射部7からの紫外線が照射される。この結果、紫外線照射部7による殺菌が高い能力で行われるようになり、空気の殺菌度合いが高まるメリットがある。
【0119】
このように、紫外線照射部7が、内部空間22において様々な態様で設置されることで、内部空間22の大きさや形状に合わせて、循環路Aを移動する空気の殺菌能力を高めることができる。また、側面21から取り出し可能であることで、狭い内部空間22に紫外線照射部7が設置容易であるし、交換容易となって、設計はもちろんメンテナンスが容易となる。
【0120】
(紫外線照射部の別態様)
紫外線照射部7は、所定の周波数の紫外線を照射する機能を有する。例えば、紫外線ランプなどが用いられる。あるいは、LED(発光ダイオード)などの半導体による発光素子が用いられることも好適である。発光素子が用いられる紫外線照射部7は、発光部と基板部とを備える。発行部は、LEDなどの発光素子そのものであり、基板部は、発光素子に電力を供給する回路を有する。このような発光部と基板部とを備える紫外線照射部7は、幅のある発光部と幅の小さい基板部とを混在させることができる。
【0121】
紫外線照射部7は、内部空間22に設けられる。内部空間22は、薄型の筐体2であるために、非常に薄い。紫外線照射部7は、一定以上の大きさを有するので、紫外線照射部7が、内部空間22に設けられると空気の循環路Aを狭めてしまう問題がある。循環路Aが狭まると、空気の移動が弱くなり殺菌能力の低下が生じてしまう。
【0122】
発光部と基板部とを備える紫外線照射部7は、幅の小さい基板部を有しているので、この基板部が連通部分となって、空気の循環路Aを内部空間22に形成できる。すなわち、紫外線照射部7の設置位置の制約にかかわらず、基板部が循環路Aを形成できる。
【0123】
図8は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置を上から見た図である。内部が見えるように示している。
【0124】
紫外線照射部7は、側面21から内部空間22に突出するように設けられている。ここで、紫外線照射部7は、基板部71と発光部72とを備えている。発行部72は、LEDなどの発光素子を備えるので、幅が大きくなりやすい。このため、内部空間22の厚み(Z軸方向)が、発光部72によって占有されることもある。図8では、発光部72A、発光部72B共に、内部空間22のZ軸方向を占有している。また、側面21Aからは紫外線照射部7Aが、側面21Bからは紫外線照射部7Bが突出しているが、内部空間22のX軸方向の幅が小さいと、二つの紫外線照射部7A、7Bが設けられると、図6などに示されるのと異なり、紫外線照射部7A、7B同士の間に、循環路Aが形成されにくい。
【0125】
このような場合でも、紫外線照射部7A、7Bが、基板部71A、71Bを備えていると、この基板部71A、71Bの幅は小さいので、この基板部71A、71Bの周りに、循環路Aが形成される。また、基板部71A、71Bには、発光部72A,72Bが隣接しており、基板部71A,71Bの周囲に形成される循環路Aに紫外線が十分に照射されるようになる。
【0126】
以上のように、紫外線照射部7を発光部72と基板部71とによって形成することで、内部空間22が非常に狭い場合でも、空気の循環路Aを確保できるようになる。
【0127】
(実現例)
図9は、本発明の実施の形態1におけるパネル型殺菌装置の斜視図である。図9より明らかな通り、パネル型殺菌装置1は、非常に薄型で間仕切りとしても利用可能な殺菌装置として実現される。また、パネル型殺菌装置1は、設置の安定性を実現するために、足部50を有することも好適である。
【0128】
以上、実施の形態1のパネル型殺菌装置1は、薄型でありながら、種々の工夫によって紫外線による高い殺菌能力を実現して、間仕切りによる遮蔽機能と殺菌による殺菌機能とを両立できる。この結果、様々な室内において、隣接する人同士での衛生状態を維持することができる。
【0129】
(実施の形態2)
【0130】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明したパネル型殺菌装置1に追加される、様々な工夫や改良について説明する。
【0131】
(補助ファン)
内部空間22は、循環路Aでの空気循環を補助する補助ファンを更に備えることも好適である。
【0132】
図10は、本発明の実施の形態2におけるパネル型殺菌装置の模式図である。図1などと同じ要素については説明を割愛する。
【0133】
図10に示されるパネル型殺菌装置1は、内部空間22に、補助ファン30を備える。補助ファン30は、吸気ファン5と排気ファン6との間に設けられるので、循環路Aの途中で弱くなりうる空気の循環を補助できる。補助ファン30は、吸気ファン5や排気ファン6と同様に、回転や圧縮方式によって空気の循環を生じさせる。吸気ファン5と排気ファン6との途中に設けられるので、吸気ファン5の吸引によって内部空間22に吸引された空気の循環力が弱まったところに、補助ファン30が作用する。この結果、循環路Aでの空気の循環力が余り衰えないままに、排気ファン6による排気が行われる。
【0134】
このように、補助ファン30によって循環路Aでの空気循環が十分であることで、パネル型殺菌装置1が設置される室内での空気循環が高まる。
【0135】
(放熱)
パネル型殺菌装置1は、薄型の筐体2をその外形とし、狭小な内部空間22で空気を殺菌する。この内部空間22は、紫外線照射部7や吸気ファン5などの電力に基づいて動作する要素を備えている。これらの要素は、動作によって熱を発することもある。特に、内部空間22は、非常に狭小な空間であるので、発生した熱が籠もってしまう問題もある。
【0136】
このため、筐体2は、放熱板を備えることも好適である。放熱板は、金属、合金などの熱伝導性の高い素材で形成される。銅やアルミニウムは熱伝導性が高く、放熱板の素材として好適である。
【0137】
放熱板は、筐体2に別途取り付けられてもよいし、筐体2の素材が、熱伝導性の高い素材であることで、筐体2の外壁が放熱板としての役割を果たすことでもよい。筐体2が放熱板を備える場合には、吸気ファン5や排気ファン6によって、熱が追い出されやすくなるというメリットもある。
【0138】
あるいは、筐体2が放熱孔を有することも好適である。放熱孔があることで、内部空間22に籠もる熱が、外部に放出されるようになる。特に、筐体2の側面21に放熱孔が設けられることが好適である。側面21から熱が放出されれば、パネル型殺菌装置1が設置される室内において、使用者の不便が少なくなるからである。
【0139】
以上のように、実施の形態2におけるパネル型殺菌装置は、種々の工夫によって、その能力や使い勝手を更に高めることができる。
【0140】
(実施の形態3)
【0141】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、パネル型殺菌装置1の設置の工夫による、よりメリットの高い衛生状態の維持について説明する。
【0142】
(空調機器との対応)
パネル型殺菌装置1が、空調機器を備える室内に設置される場合に、空調機器から送出される空気の滞留方向と、吸気ファン5から排気ファン6にかけて形成される循環路Aとが同方向であることも好適である。
【0143】
図11は、本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置されている室内の模式図である。ある室内にパネル型殺菌装置1が設置されている。この室内には、空調機器40が設置されている。空調機器40は、通常室内の壁の上の方に設置されることが多い。このため、空調機器40は、その吹き出し口から空気(空調された空気)を送出する。このとき、矢印Gのように室内の上方から空気を送出することが多い。
【0144】
この場合、パネル型殺菌装置1は、筐体2の上方に第1開口部3と吸気ファン5を配置し、筐体2の下方に第2開口部4と排気ファン6を配置することが好適である。矢印Gに沿って送出される空気が、第1開口部3から内部空間22に取り込まれ、循環路Aは、上から下向きに形成されて、第2開口部4から排出される。空調機器40は、もともと矢印Gに沿った空気の送出と、矢印Hに沿った空気の還流とを形成しているので、第2開口部4から排出される殺菌された空気は、この矢印Gに沿って循環する。この結果、殺菌された空気が矢印Hに沿って循環するようになり、室内の衛生環境が維持される。特に、空調機器40が生じさせる空気循環経路とパネル型殺菌装置1の内部における循環路Aとの方向が同一であることで、室内全体での空気循環が妨げられることがない。この点で、室内での殺菌された空気の循環と殺菌すべき空気の循環とが効率的になる。
【0145】
特に、空調機器40は、内部にカビなどを有していることも多く、送出される空気は細菌などを有していることが多い。この点は、問題点として考えられていた。
【0146】
パネル型殺菌装置1は、吸気方向と排気方向を容易に変更できる上、パネル型であるので、室内の上方と下方とに吸気と排気を生み出すことができる。これらの結果、空調機器40によって生じうる細菌を含んだ空気の殺菌が、容易に行われるようになる。
【0147】
なお、空調機器40の空気の送出方向が、図11の矢印G,Hと逆方向になる場合には、パネル型殺菌装置1の吸気ファン5と排気ファン6との位置をぎゃくにすればよい。逆にすることで、室内においては、空調機器40、矢印H、循環路A,矢印Gとの、図11とは逆の空気循環が生まれる。この場合も、空調機器40から送出されたばかりの、細菌を多く含むと考えられる空気の、効率的な殺菌が実現される。
【0148】
(病室での設置位置)
パネル型殺菌装置1が、病床ベッドを有する病室に、他の間仕切りと合わせてパーティションとされる場合には、病床ベッドの頭部および足部に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されることも好適である。
【0149】
図12は、本発明の実施の形態3におけるパネル型殺菌装置が設置された病室の模式図である。病室は、個室であることもあるが、複数の病床ベッド60が設置されている複数人部屋であることも多い。このような複数人部屋である場合には、病人同士の衛生状態を維持するために、病床ベッド60の周囲に間仕切り50によってパーティション51を設置することがある。パーティション51によって、病床ベッド60同士の空気の往来の遮蔽を実現する。
【0150】
このとき、病床ベッド60の周囲はかなりの長さを有しているので、パーティション51を形成するには、オフィス用品などとして市販されている通常の間仕切り50が使われることが適当である。しかしながら、全てが通常の間仕切り50であると、空気の往来の遮蔽機能は果たせても、空気の殺菌機能は果たせない。
【0151】
このため、パーティション51の一部は、通常の間仕切り50ではなく、実施の形態1〜2で説明したパネル型殺菌装置1が用いられることが好適である。しかしながら、パネル型殺菌装置1は、通常の間仕切りよりはコストが生じたり消費電力が生じたりする。このため、パーティション51の中で、効率的にパネル型殺菌装置1が組み込まれるのが好適である。
【0152】
図12では、病床ベッド60の頭部および足部に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されている。細菌やウイルスの影響は、病人の呼吸器から混入することが問題である。病床ベッド60では、頭部もしくは足部に、病人の頭が位置するようになる。このため、病床ベッド60の頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、パネル型殺菌装置1が配置されることで、コストや効果の面で、最適なパーティション51が実現できる。
【0153】
(エアーカーテン)
病床ベッド60の一端に第1のパネル型殺菌装置1が設置され、他端に第2のパネル型殺菌装置1が設置されて、病床ベッド60の上空に殺菌された殺菌空気によるエアーカーテンを形成することも好適である。図13は、本発明の実施の形態3におけるエアーカーテンを形成した病室の模式図である。病床ベッド60には、病人61が寝ている。病床ベッド60の一端(頭部側)に、パネル型殺菌装置1Aが設置され、病床ベッド60の他端(足側)に、パネル型殺菌装置1Bが設置されている。
【0154】
ここで、パネル型殺菌装置1Aにおいては、第1開口部3に排気ファン6が設置され、第2開口部4に吸気ファン5が設置される。一方、パネル型殺菌装置1Bにおいては、第1開口部3に吸気ファン5が設置され、第2開口部4に排気ファン6が設置される。このためパネル型殺菌装置1Aの内部空間22では、上向きに循環路Aが形成され、パネル型殺菌装置1Bの内部空間22では、下向きに循環路Aが形成される。
【0155】
この結果、パネル型殺菌装置1Aは、上方にある第1開口部3から殺菌された殺菌空気を排出する。この排出された殺菌空気は、パネル型殺菌装置1Bの第1開口部3での吸引によって、矢印Jに従った移動をする。すなわち、病人61の上空では、殺菌された殺菌空気が移動することになって、病人61にとっての衛生状態が保たれる。
【0156】
パネル型殺菌装置1Bでは、上方の第1開口部3に吸気ファン5が設置されているので、矢印Jに従って移動した空気を吸引する。パネル型殺菌装置1Bの第1開口部3に入力する空気は、病人61の上空を移動してきているので、殺菌が薄れて細菌を含んでいる可能性がある。このような空気が、パネル型殺菌装置1Bの循環路Aを移動する中で再び殺菌されて、下方にある第2開口部4から排出される。排出された殺菌空気は、矢印Kに従って病床ベッド60の下方を移動する。これは、パネル型殺菌装置1Aの第2開口部4に備わる吸気ファン5による吸引力の結果である。
【0157】
このように、病床ベッド60の両端にパネル型殺菌装置1が配置されて、吸気方向と排気方向とを合わせることで、矢印J、Kに示されるようなエアーカーテンが、病床ベッド60の上空に形成されるようになる。しかも、このエアーカーテンは、殺菌された殺菌空気であるので、病人61の周囲は高い衛生状態が保たれる。
【0158】
例えば、病人用に、酸素テントや無菌テントが設けられることがあるが、多くの病人は、このような大掛かりな衛生維持装置を必要とすることは少ない。しかし、可能な範囲で衛生状態を維持したいとの希望が働くこともある。図13に示される殺菌空気によるエアーカーテンは、この点で非常にメリットが高い。
【0159】
このように、病院やその他の場所で、複数のパネル型殺菌装置1を適切に配置することで、衛生状態を維持する様々な仕組みを構築できる。
【0160】
なお、実施の形態1〜3で説明されたパネル型殺菌装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0161】
1 パネル型殺菌装置
2 筐体
21 側面
22 内部空間
3 第1開口部
4 第2開口部
5 吸気ファン
6 排気ファン
7 紫外線照射部
40 空調機器
50 間仕切り
51 パーティション
60 病床ベッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、
前記第1開口部および前記第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、
前記内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、
前記内部空間に設けられると共に前記循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、
前記紫外線照射部は、前記循環路において連通部分を生じるように配置されているパネル型殺菌装置。
【請求項2】
前記筐体は、室内における間仕切りと兼用可能である、請求項1記載のパネル型殺菌装置。
【請求項3】
前記内部空間は、前記筐体の横方向であるX軸、前記筐体の高さ方向であるY軸、前記筐体の厚み方向であるZ軸を有し、
前記循環路は、前記Y軸方向に主として形成され、
前記紫外線照射部は、前記X軸および前記Z軸の少なくとも一方において、前記連通部分を形成する、請求項1又は2記載のパネル型殺菌装置。
【請求項4】
前記複数の紫外線照射部の少なくとも一つは、前記筐体の側面から出し入れ可能に、前記内部空間において設置可能である、請求項1から3のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項5】
前記複数の紫外線照射部の一部は、前記筐体の側面の一方から前記内部空間に突出して設けられ、前記複数の紫外線照射部の他は、前記筐体の側面の他方から前記内部空間に突出して設けられる、請求項4記載のパネル型殺菌装置。
【請求項6】
前記筐体の側面の一方から突出する前記紫外線照射部と、前記筐体の側面の他方から突出する前記紫外線照射部とは、前記Y軸において互い違いに配列する、請求項4記載のパネル型殺菌装置。
【請求項7】
前記複数の紫外線照射部のそれぞれは、前記X軸に沿っている、請求項3から6のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項8】
前記複数の紫外線照射部のそれぞれは、前記X軸に交差するように、前記筐体の側面のそれぞれから突出して設けられる、請求項3から6のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項9】
前記紫外線照射部は、発光部と基板部とを備え、前記基板部は、前記連通部分を形成する、請求項1から8のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項10】
前記発光部は、発光ダイオードを有する、請求項9記載のパネル型殺菌装置。
【請求項11】
前記第1開口部は、前記筐体の上面、前記筐体の正面および前記筐体の背面のいずれかに設けられ、前記第2開口部は、前記筐体の底面、前記筐体の正面および前記筐体の背面のいずれかに設けられ、
前記第1開口部は、前記第2開口部よりも、前記Y軸において上方に位置する、請求項1から10のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
ようにしています
【請求項12】
前記吸気ファンおよび前記排気ファンのそれぞれは、前記第1開口部および前記第2開口部のいずれか一方の開口部分に合わせて配置される、請求項11記載のパネル型殺菌装置。
【請求項13】
前記内部空間に、前記吸気ファンと前記排気ファンの間に配置される補助ファンを更に備える、請求項1から12のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項14】
前記筐体は、放熱板を備える、請求項1から13のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項15】
前記筐体は、側面に放熱孔を有する、請求項1から14のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項16】
前記パネル型殺菌装置が、空調機器を備える室内に設置される場合に、
前記空調機器から送出される空気の対流方向と、前記吸気ファンから前記排気ファンにかけて形成される前記循環路とが、同方向である、請求項1から15のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項17】
前記パネル型殺菌装置が、病床ベッドを有する病室に他の間仕切りと合わせてパーティションとして設置される場合に、
前記病床ベッドの頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、前記パネル型殺菌装置が配置される、請求項1から16のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項18】
前記病床ベッドの一端に第1の前記パネル型殺菌装置が設置され、前記病床ベッドの他端に第2の前記パネル型殺菌装置が設置され、
前記第1の前記パネル型殺菌装置は、前記第1開口部に排気ファンを設置すると共に前記第2開口部に吸気ファンを設置し、
前記第2の前記パネル型殺菌装置は、前記第1開口部に吸気ファンを設置すると共に前記第2開口部に排気ファンを設置する、請求項17記載のパネル型殺菌装置。
【請求項19】
前記第1の前記パネル型殺菌装置と前記第2の前記パネル型殺菌装置は、前記病床ベッドの上空に、エアーカーテンを形成する、請求項18記載のパネル型殺菌装置。
【請求項1】
内部空間、第1開口部および第2開口部を有する薄型の筐体と、
前記第1開口部および前記第2開口部のいずれか一方に設けられる吸気ファンと、他方に設けられる排気ファンと、
前記内部空間であって第1開口部と第2開口部との間に形成される空気の循環路と、
前記内部空間に設けられると共に前記循環路を循環する空気に対して、所定の周波数帯域を有する紫外線を照射する単数又は複数の紫外線照射部と、を備え、
前記紫外線照射部は、前記循環路において連通部分を生じるように配置されているパネル型殺菌装置。
【請求項2】
前記筐体は、室内における間仕切りと兼用可能である、請求項1記載のパネル型殺菌装置。
【請求項3】
前記内部空間は、前記筐体の横方向であるX軸、前記筐体の高さ方向であるY軸、前記筐体の厚み方向であるZ軸を有し、
前記循環路は、前記Y軸方向に主として形成され、
前記紫外線照射部は、前記X軸および前記Z軸の少なくとも一方において、前記連通部分を形成する、請求項1又は2記載のパネル型殺菌装置。
【請求項4】
前記複数の紫外線照射部の少なくとも一つは、前記筐体の側面から出し入れ可能に、前記内部空間において設置可能である、請求項1から3のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項5】
前記複数の紫外線照射部の一部は、前記筐体の側面の一方から前記内部空間に突出して設けられ、前記複数の紫外線照射部の他は、前記筐体の側面の他方から前記内部空間に突出して設けられる、請求項4記載のパネル型殺菌装置。
【請求項6】
前記筐体の側面の一方から突出する前記紫外線照射部と、前記筐体の側面の他方から突出する前記紫外線照射部とは、前記Y軸において互い違いに配列する、請求項4記載のパネル型殺菌装置。
【請求項7】
前記複数の紫外線照射部のそれぞれは、前記X軸に沿っている、請求項3から6のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項8】
前記複数の紫外線照射部のそれぞれは、前記X軸に交差するように、前記筐体の側面のそれぞれから突出して設けられる、請求項3から6のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項9】
前記紫外線照射部は、発光部と基板部とを備え、前記基板部は、前記連通部分を形成する、請求項1から8のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項10】
前記発光部は、発光ダイオードを有する、請求項9記載のパネル型殺菌装置。
【請求項11】
前記第1開口部は、前記筐体の上面、前記筐体の正面および前記筐体の背面のいずれかに設けられ、前記第2開口部は、前記筐体の底面、前記筐体の正面および前記筐体の背面のいずれかに設けられ、
前記第1開口部は、前記第2開口部よりも、前記Y軸において上方に位置する、請求項1から10のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
ようにしています
【請求項12】
前記吸気ファンおよび前記排気ファンのそれぞれは、前記第1開口部および前記第2開口部のいずれか一方の開口部分に合わせて配置される、請求項11記載のパネル型殺菌装置。
【請求項13】
前記内部空間に、前記吸気ファンと前記排気ファンの間に配置される補助ファンを更に備える、請求項1から12のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項14】
前記筐体は、放熱板を備える、請求項1から13のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項15】
前記筐体は、側面に放熱孔を有する、請求項1から14のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項16】
前記パネル型殺菌装置が、空調機器を備える室内に設置される場合に、
前記空調機器から送出される空気の対流方向と、前記吸気ファンから前記排気ファンにかけて形成される前記循環路とが、同方向である、請求項1から15のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項17】
前記パネル型殺菌装置が、病床ベッドを有する病室に他の間仕切りと合わせてパーティションとして設置される場合に、
前記病床ベッドの頭部および足部の少なくとも一方に対向する位置に、前記パネル型殺菌装置が配置される、請求項1から16のいずれか記載のパネル型殺菌装置。
【請求項18】
前記病床ベッドの一端に第1の前記パネル型殺菌装置が設置され、前記病床ベッドの他端に第2の前記パネル型殺菌装置が設置され、
前記第1の前記パネル型殺菌装置は、前記第1開口部に排気ファンを設置すると共に前記第2開口部に吸気ファンを設置し、
前記第2の前記パネル型殺菌装置は、前記第1開口部に吸気ファンを設置すると共に前記第2開口部に排気ファンを設置する、請求項17記載のパネル型殺菌装置。
【請求項19】
前記第1の前記パネル型殺菌装置と前記第2の前記パネル型殺菌装置は、前記病床ベッドの上空に、エアーカーテンを形成する、請求項18記載のパネル型殺菌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−103032(P2013−103032A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250185(P2011−250185)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(507356545)エネフォレスト株式会社 (3)
【出願人】(511277515)株式会社ターボブレード (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(507356545)エネフォレスト株式会社 (3)
【出願人】(511277515)株式会社ターボブレード (1)
【Fターム(参考)】
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