説明

パネル構造

【課題】その設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省いて材料費や工事費用を安価にすることができるパネル構造を提供する。
【解決手段】パネル構造20の両端部に配置される一対の端部部材22,24と、前記一対の端部部材22,24それぞれの間に配置され、前記一対の端部部材22,24間を連結する一以上の連結部材26,28とを備えた。
【効果】パネル構造の設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省いて材料費や工事費用を安価にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フリーアクセスフロアに用いられるフロアパネル等のパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーアクセスフロアに用いられるフロアパネルは、建築構造物のコンクリートを用いた基礎床面である第1の床部分の上方に空間を隔てて設けた第2の床部分を有して二重床構造を構成するフリーアクセスフロア構造において、その第2の床部分に用いられるものである。
【0003】
従来のフロアパネルには、図15に示すように、その上面の平面形状が略正方形に形成された、支持脚3と共にフリーアクセスフロア4を構成する、フロアパネル2があった(特許文献1参照)。
【0004】
この従来のフロアパネル2は、部屋1の壁6の近傍において、コンクリートを用いた基礎床面7上に立設された支持脚3により、その四隅部を下側から支持されるようになっていた。そしてフロアパネル2は、基礎床面7から上方に離れた水平面において、上から見て縦横二軸両方向に互いに隣合うように整列して、水平面上に複数配置されるものであった。
【0005】
一方、図15に示すように、壁6から離れた、部屋1の中央寄り等の場所において、その上面の平面形状が略正方形に形成され、支持脚11と共にフリーアクセスフロアを構成する、フロアパネル10があった(特許文献1参照)。
【0006】
この従来のフロアパネル10は、基礎床面7上に図示しない免震装置を介して設けられた免震構造体9上に立設された支持脚11により、その四隅部を下側から支持されるようになっていた。そしてフロアパネル10は、基礎床面7から上方に離れた水平面において、上から見て縦横二軸両方向に互いに隣合うように整列して、水平面上に複数配置されるようになっていた。
【0007】
このため従来のフロアパネル10の方は、免震装置及び免震構造体9によって、地震等による建築構造物の振動や変位が直接伝わるのを防止されているが、その免震装置及び免震構造体9が備えられていない従来のフロアパネル2の方は、地震等による建築構造物の振動や変位が直接伝わるのを防止されていないので、従来のフロアパネル10とは異なる動きをするようになっていた。
【0008】
このため、フロアパネル2と10は、地震等による建築構造物の振動や変位により互いに衝突することがないように、それらの水平方向に所定の間隔をおいて、互いに離れて配置されるようになっていた。
【0009】
このようなフロアパネル2,10間の所定の間隔は、予め地震等による建築構造物の揺れ等を予測解析した結果を用いて定められるものであり、たとえ同じ建築構造物であってもその階によってその間隔の寸法が異なる値に設定されていた。
【0010】
図15に示すように、フロアパネル2,10間には、それらの間の所定の間隔と同じ寸法でそれらの間に開いた開口を上方から塞ぐための板状部材14が設けられていた。
【0011】
すなわち、板状部材14は、その長さ方向の基端部が、水平面上に複数配置されたフロアパネル10のうち、それらの最外周部に配置されたフロアパネル10の隅部を支持する支持脚11上に固定された、固定金物15の上に支持されており、その長さ方向の先端部は、フロアパネル2の上面の上に重なるように配置されていた。
【0012】
このような従来のフロアパネル2,10及び板状部材14は、それらの下方に床下空間を形成するようになっており、この床下空間に電気機器のコード等を配線することができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平7−42835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の板状部材14は、その外形形状が金型等により一体成形されて、その長さ寸法が一定であるような定型形状になっているために、以下のような問題があった。
【0015】
すなわち、上述したように従来のフロアパネル2,10間の互いの間隔の寸法は、常に一定ではなく、フリーアクセスフロアを敷設する建築構造物、及びその階ごとに異なるものであるから、その互いの間隔と同じ寸法でそれらの間に開いた開口を上方から塞ぐように配置される板状部材14の長さ寸法も一定ではなく、フリーアクセスフロアを敷設する建築構造物、及びその階ごとに異なるものであった。
【0016】
このため、金型等により一体成形された定型形状の板状部材14の長さ寸法が、フリーアクセスフロアを敷設する現場において、それに求められる長さ寸法よりも長い場合には、その余分な長さ部分を切断する作業を現場において行う必要が生じ、その作業には手間が掛かるという問題があった。また、板状部材14の切断した余分な長さ部分が無駄になってしまうという問題もあった。
【0017】
また、従来のフロアパネル2についても、従来の板状部材14と同様に、その外形形状が金型等により一体成形されてその長さ寸法が一定の定型形状になっているために、以下のような問題があった。
【0018】
すなわち、図16(a)及び(b)に示すように、互いに対向する2つの壁18,18間に挟まれた通路16に、従来のフロアパネル2と支持脚3からなるフリーアクセスフロアを敷設する場合において、2つの壁18,18間の寸法が、金型等により一体成形されたフロアパネル2の長さ寸法の倍数に等しい寸法でない限り、フロアパネル2と壁18の間には種々の寸法の間隔と同じ寸法の開口が生じてしまう。
【0019】
そして、このフロアパネル2と壁18の間の開口を塞ぐためには、この開口と等しい寸法になるようにフロアパネル2を切断する作業を現場において行う必要が生じ、その作業に手間が掛かると共に、フロアパネル2の、切断して使う長さ部分以外の余分な長さ部分が無駄になってしまうという問題があった。
【0020】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省いて材料費や工事費用を安価にすることができるパネル構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明によるパネル構造は、
パネル構造の両端部に配置される一対の端部部材と、
前記一対の端部部材それぞれの間に配置され、前記一対の端部部材間を連結する一以上の連結部材と
を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明によるパネル構造は、
前記一対の端部部材と前記連結部材のそれぞれは、互いの隣接部が接合されることにより連結されていることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明によるパネル構造は、
前記一対の端部部材と前記連結部材のそれぞれは、前記隣接部の上下方向の一端部に嵌合部が形成され、かつ前記隣接部の上下方向の他端部に接合部が形成されており、
前記嵌合部同士が嵌合することにより前記隣接部の上下方向の一端部同士が連結されると共に、前記接合部同士が摩擦撹拌接合手段により接合されることにより前記隣接部の上下方向の他端部同士が連結されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
このような本発明のパネル構造によれば、
パネル構造の両端部に配置される一対の端部部材と、
前記一対の端部部材それぞれの間に配置され、前記一対の端部部材間を連結する一以上の連結部材とを備えたことにより、
パネル構造の設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省いて材料費や工事費用を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル20の上面図である。
【図2】図1に示すフロアパネル20のB−B線矢視断面図である。
【図3】図1における中空押出形材22の正面断面図である。
【図4】図1における中空押出形材24の正面断面図である。
【図5】図1における中空押出形材26の正面断面図である。
【図6】図1における中空押出形材28の正面断面図である。
【図7】フロアパネル20の製造方法を説明するための図であって、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材26の嵌め込み凸部24dの先端部を嵌合させた状態を示す正面断面図である。
【図8】やはりフロアパネル20の製造方法を説明するための図であって、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材26の嵌め込み凸部24dを嵌合させると共に、中空押出形材22の係合部22fに中空押出形材26の係合部24fを係合させた状態を示す正面断面図である。
【図9】図2に示すフロアパネル20からその中空押出形材26を取り除いた、第2の実施例に係るフロアパネル21を示す正面断面図である。
【図10】図2に示すフロアパネル20におけるその中空押出形材26の代わりに別の中空押出形材28を配置した、第3の実施例に係るフロアパネル23を示す正面断面図である。
【図11】図1に示すフロアパネル20を用いたフリーアクセスフロア32が設置された通路36を示す図であって、図11(a)はそのフリーアクセスフロア32の上面図であり、図11(b)は図11(a)に示すフリーアクセスフロア32のC−C線矢視断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル50の正面断面図である。
【図13】図12における押出形材52の正面断面図である。
【図14】図12における押出形材54の正面断面図である。
【図15】従来のフリーアクセスフロアのフロアパネル2,10及び板状部材14が設置された部屋1の一部を示す部分断面図である。
【図16】図15に示すフロアパネル2を用いたフリーアクセスフロア4が設置された通路16を示す図であって、図16(a)はそのフリーアクセスフロア4の上面図であり、図16(b)は図16(a)に示すフリーアクセスフロア4のA−A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のパネル構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図11は、本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル20について説明するために参照する図である。
【0027】
図1及び図2に示すように、フロアパネル20は、その図中左右両端部に、断面形状が略矩形の、2つの角筒状の中空押出形材22,24(端部部材)が配置されている。中空押出形材22,24それぞれの図2中左右方向において互いに対向する側面板部27,29の間に、断面形状が略矩形の、2つの角筒状の中空押出形材26,28(連結部材)が配置されている。
【0028】
そしてフロアパネル20は、中空押出形材22,24,26,28の互いに隣合う側面板部(隣接部)同士が互いに連結されることにより構成されている。
【0029】
すなわち、フロアパネル20は、図2に示す中空押出形材22,24,26,28それぞれの互いに隣合う側面板部の図中上部において、図3,5,6に示す中空押出形材22,26,28の嵌め込み凹部22d(嵌合部)に、図5,6,4に示す中空押出形材26,28,24の嵌め込み凸部24d(嵌合部)がそれぞれ嵌め込まれて嵌合するようになっている。
【0030】
また図2に示すように、上記互いに隣合う側面板部の図中下部において、図3,5,6に示す中空押出形材22,26,28の係合部22f(係合部)と、図5,6,4に示す中空押出形材26,28,24の係合部24f(係合部)のそれぞれが接触して係合するようになっている。
【0031】
中空押出形材22,26は、互いに係合した係合部22f,24f間を摩擦撹拌接合手段(Friction Stir Welding)により互いに接合されるようになっている。また、中空押出形材26,28と中空押出形材28,24も中空押出形材22,26と同様に、互いに係合した係合部22f,24f間が摩擦撹拌接合手段により互いに接合されるようになっている。図2における黒い半円部分が、摩擦撹拌接合手段により接合された接合部Wである。
【0032】
ここで、摩擦撹拌接合手段とは、例えば、特許第2712838号,第2792233号公報に記載されているように、略円柱形状の部分と、その部分の先端部から同一軸線方向に突出するネジ棒状の突起部(以下、プローブと呼ぶ)とを有する工具のプローブを、その軸線回りに回転させながらその先端部を、接合部材同士の接合部分に対応する面、又はその近傍部の面にほぼ垂直に押し付ける。
【0033】
このときの、回転するプローブと接合部材との間の摩擦熱で、接合部材を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した接合部材の肉厚内に前記プローブがその先端部から入り込んで、接合部材同士間において回転するプローブの撹拌作用により塑性流動を生じさせ、接合部材同士の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させた後、温度降下により固化するような接合手段をいう。
【0034】
このような摩擦撹拌接合手段による接合により、フロアパネル20は、中空押出形材22,24,26,28の側面板部同士が一体的に連結されており、その上面全体の平面形状が略長方形になっている。
【0035】
そして、本実施の形態に係るパネル構造を備えたフロアパネル20は、前記従来の支持脚3と共にフリーアクセスフロア4を構成するフロアパネル2と同様に、図11に示すように、支持脚34と共にフリーアクセスフロア32を構成するようになっている。
【0036】
フロアパネル20は、前記従来のフロアパネル2と同様に、図11に示すように、コンクリートを用いた基礎床面37上に立設された支持脚34により、その底面を下側から支持されるようになっている。そして、このフロアパネル20は、基礎床面37から上方に離れた水平面上の縦横二軸両方向に互いに隣合うように整列して、複数配置されるようになっている。
【0037】
フロアパネル20の中空押出形材22,24,26,28は、図3ないし図6に示すように、アルミニウム製の中空状の押出形材により形成されており、その押出し方向(図中紙面垂直方向)に所望の長さを有しており、その押出し方向に垂直な断面が略矩形状に形成されているので、それらは略角筒状に形成されている。
【0038】
この中空押出形材22,24,26,28の押出し方向の長さ寸法は、押出し成形後に所望の長さに切断されて、それぞれが同じ長さに形成されるようになっている。また、中空押出形材22,24,26,28は、その内部に、図3ないし図6に示す補強板部22g,24g,26c,28cをそれぞれ備えるようになっている。
【0039】
図2,3に示すように、フロアパネル20の中空押出形材22は、図3中右上の隅部に、上面22aを有する肉厚部が側面板部27より水平方向外側(図3中右側)に突出するよう延長したその先端部が、中空押出形材22の底面22b側に向かって折れ曲がるように形成することにより、その内側に凹むように嵌め込み凹部22dが形成されている。
【0040】
中空押出形材22は、その図3中右下隅部の、その底面22bに、その上面22a側に向かって2,3mm位凹んだ凹み面22cが形成されている。
【0041】
そして、中空押出形材22は、その図3中右下隅部に、その側面板部27より図中右方外側に突き出した突出部22eが形成されていると共に、その突出部22eの下側に係合部22fが形成されている。
【0042】
図4に示すように、フロアパネル20の中空押出形材24は、その図中左上隅部に、側面板部29より図中左方外側に突出して、その先端部が図中上方に向かって折れ曲がることにより嵌め込み凸部24dが形成されている。そして、この中空押出形材24の嵌め込み凸部24dは、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに嵌合するようになっている。
【0043】
中空押出形材24は、その図4中左下隅部に、その側面板部29より図中左方外側に突き出した突出部24eが形成されている。そして、この突出部24eの下面には、その底面24bからその上面24a側に向かって2,3mm位凹んだ凹み面24cが形成されている。
【0044】
中空押出形材24は、その突出部24eの上側に係合部24fが形成されるようになっている。この中空押出形材24の係合部24fは、その嵌め込み凸部24dが中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに嵌合して、上面22aと上面24aが同一平面になった際に、中空押出形材22の係合部22fに接触して係合するようになっている。そしてこのとき、中空押出形材24の突出部24eの先端が、中空押出形材22の係合部22fから直角の当接面22hに当接するようになっている。
【0045】
図2,5に示すフロアパネル20の中空押出形材26は、その幅方向(図中左右方向)の寸法が、図2,6に示すフロアパネル20の中空押出形材28の幅方向(図中左右方向)の寸法よりも短く形成されている点、及び補強板部の数が異なる点を除くと、中空押出形材28と略同じ外形形状を有するようになっている。
【0046】
すなわち、これらの中空押出形材26,28は、その図5,6中右側の側面板部の外形形状が、図3に示す中空押出形材22の右側の側面板部27の外形形状と略同一形状に形成されており、その図5,6中左側の側面板部の外形形状が、図4に示す中空押出形材24の左側の側面板部29の外形形状と略同一形状に形成されている。
【0047】
詳しくは、図5及び図6に示すように、中空押出形材26,28は、その図中右上隅部に嵌め込み凹部22dが形成されており、その図中右下隅部に凹み面22c、突出部22e及び係合部22fが形成されている。そして、中空押出形材26,28は、その図中左上隅部に嵌め込み凸部24dが形成されており、その図中左下隅部に凹み面24c、突出部24e及び係合部24fが形成されている。
【0048】
そして、中空押出形材22,24,26,28は、押出し成形によりそれぞれ上述するような断面形状に一体的に形成されるようになっている。
【0049】
図7及び図8は、本発明の第1の実施の形態に係るフロアパネル20の製造方法について説明するために参照する図である。
【0050】
ここで、フロアパネル20は、中空押出形材22,24,26,28の互いに隣合う側面板部同士が互いに連結されることにより構成されており、図2に示した、中空押出形材22と26、中空押出形材26と28、中空押出形材28と24のそれぞれの連結方法は同じであるので、以下に中空押出形材22と26の連結方法について代表して説明する。
【0051】
まず、図7に示すように、中空押出形材22,26を、それらの上面22a,26aが図中下側に位置し、それらの下面22b,26bが図中上側に位置するように上下逆さまに配置する。
【0052】
そして、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに、中空押出形材26の嵌め込み凸部24dの先端部を嵌合させて、その先端部が、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに完全に入り込むように、中空押出形材26を図中時計回り方向に回動させる。
【0053】
すると、図8に示すように、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材26の嵌め込み凸部24dが完全に嵌合する。このとき、中空押出形材22の係合部22fと中空押出形材26の係合部24fとが、互いに接触して係合するようになっていると共に、中空押出形材26の突出部24eの先端が中空押出形材22の係合部22fから直角の当接面22hに突き当たって接触するようになっている。
【0054】
このとき、中空押出形材22の上面22aと中空押出形材26の上面26aが同一平面上に連続すると共に、中空押出形材22の底面22bと中空押出形材26の底面26bも同一平面上に連続する。
【0055】
また、図8に示すように、中空押出形材22の凹み面22cと中空押出形材26の凹み面24cが同一平面上に隣合って配置されている。そして、係合部22f,24fが重なって互いに接触した部分に対応する凹み面22c,24cの互いの隣接部に、摩擦撹拌接合手段の工具30のプローブ30aをその軸線回りに回転させながら上方からほぼ垂直に押し付ける。
【0056】
このとき、回転するプローブ30aと中空押出形材22,26との間の摩擦熱で、中空押出形材22,26を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した中空押出形材22,26の肉厚内にプローブ30aがその先端部から入り込んで、中空押出形材22,26間において回転するプローブ30aの撹拌作用により塑性流動を生じさせ、中空押出形材22,26の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させた後、温度降下により固化する。
【0057】
このような摩擦撹拌接合手段による接合により、図2に示すように、中空押出形材22,26が一体的に接合されて、その後中空押出形材22,26を裏返して、それぞれの上面22a,26aが上にくるような本来の状態に配置されるようになっている。
【0058】
そして、このような中空押出形材22と26の連結方法と同一の連結方法を用いて、中空押出形材26と28、中空押出形材28と24のそれぞれについても一体的に連結されることにより、上面全体の平面形状が略長方形であるフロアパネル20を構成するようになっている。
【0059】
このように、フロアパネル20は、複数の中空押出形材22,24,26,28により1つのフロアパネル20を構成するようになっているため、その製造時において、2つの中空押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に配置される中空押出形材を適宜選択することにより、フロアパネル20の幅方向(図2中左右方向)の寸法を調整することができるようになっている。
【0060】
例えば、図9に示す、第2の実施例に係るフロアパネル21のように、2つの中空押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に、中空押出形材26が配置されないで中空押出形材28のみが配置されて、それらの互いに隣接する側面板部同士が互いに連結されることにより構成されていてもよい。
【0061】
このような中空押出形材22,24の側面板部27,29間に、中空押出形材28のみが連結される構成の第2の実施例に係るフロアパネル21は、中空押出形材22,24の側面板部27,29間に2つの中空押出形材26,28が連結される構成の、第1の実施例に係るフロアパネル20よりも、その幅方向(図9中左右方向)の寸法を小さくすることができる。
【0062】
また、図10に示す、第3の実施例に係るフロアパネル23のように、2つの中空押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に、第1の実施例に係るフロアパネル20における中空押出形材26の代わりに中空押出形材28がもう1つ配置されて、それらの互いに隣接する側面板部同士が互いに連結されることにより構成されていてもよい。
【0063】
このような中空押出形材22,24の側面板部27,29の間に、中空押出形材28が2つ連結される構成の第3の実施例に係るフロアパネル23は、中空押出形材22,24の側面板部27,29間に2つの中空押出形材26,28が連結される構成の、第1の実施例に係るフロアパネル20よりも、その幅方向(図10中左右方向)の寸法を大きくすることができる。
【0064】
このように本実施の形態に係るフロアパネル20は、その連結時において、2つの中空押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に配置される、中空押出形材の幅方向の寸法を適宜選択することにより、フロアパネル20をフロアパネル21,23のようにその幅方向の寸法を調整することができる。
【0065】
また、フロアパネル20は、その製造時において、中空押出形材22,24,26,28の押出し方向の長さ寸法は、押出し成形後に所望の長さに切断されるようになっているため、フロアパネル20の押出し方向の長さ寸法をその製造時に選定することができる。
【0066】
図11に示すように、このようなフロアパネル20と、それを支持する支持脚34からなるフリーアクセスフロア32を、互いに対向する2つの壁38,38間に挟まれた通路36に敷設する場合においては、フロアパネル20は、その中空押出形材22,24,26,28の幅方向(図中左右方向)の寸法の合計を、2つの壁38,38間の長さ寸法と同じ寸法になるように調整することができることにより、フロアパネル20を敷設した際に壁38との間に開口が生じるのを防ぐことができる。
【0067】
また、フロアパネル20は壁38との間に隙間が生じないため、従来のフロアパネル2とそれを支持する支持脚3からなるフリーアクセスフロア4を敷設する場合のように、フロアパネル20を切断する作業を現場において行う必要がなく、その設置作業を容易に行なうことができる。また、フロアパネル20は、現場において切断する必要がないだけでなく、その余分な長さ部分も発生することがないので、材料の無駄を省き材料費を安価にすることができる。
【0068】
また、図11に示すような通路36においては、フロアパネル20の取り付け、取り外しが頻繁には行われないため、その点を考慮して、その壁38と平行方向の長さ寸法が大きいフロアパネル20を設置することができる。そして、設置されるフロアパネル20の同方向の長さ寸法を大きくすると、設置されるフロアパネル20の数を減らすことができ、かつ、その底面を支持する支持脚34の数も減らすことができるため、部品の数を減らして工事費用を安価にすることができると共に、その設置作業を容易に行なうことができる。
【0069】
以上に説明したように、本実施の形態に係るフロアパネル20によれば、その設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省き材料費や工事費用を安価にすることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル20によれば、複数の中空押出形材22,24,26,28により1つのフロアパネル20を構成するようになっているため、フロアパネル20を構成する中空押出形材22等のそれぞれを従来のフロアパネル2より小型にできる。
【0071】
このため、中空押出形材22等の押出し成形に用いる押出装置は、前記従来のフロアパネル2の押出し成形に用いる押出装置より略半分位の大きさの小型なもので済ますことができるので、中空押出形材22等の製造費用を安価にすることができる。
【0072】
また、中空押出形材22,24,26,28は、アルミニウム製の中空構造になっており、それらの互いに隣合う側面板部を接合する構造となっているため、その重量を軽いものにすることができると共に、それぞれ補強板部22g,24g,26c,28cを有しているのでその強度を強いものにすることができる。
【0073】
また、中空押出形材22,24,26,28は、それぞれ凹み面22c,24cの互いの隣接部から摩擦撹拌接合手段により接合されるようになっているため、接合部やその近傍が凹み面22c,24cよりも多少盛り上がったりしても、それらの底面22b,24b,26b,28bより外側に出っ張ることを防止することができる。このため、フロアパネル20は、中空押出形材22,24,26,28間の接合部W(図2参照)やその周辺部に研削や研磨等のような後処理加工をしなくても済む。
【0074】
また、中空押出形材22,24,26,28それぞれの互いに隣合う側面板部の上部は、互いに接合ではなくて嵌合されているため、摩擦撹拌接合手段による接合箇所は互いに隣合う側面板部の下部だけで済み、上部は不要となるので、摩擦撹拌接合手段による接合箇所を減らすことができる。
【0075】
また側面板部の上部の摩擦撹拌接合手段による接合は不要となるので、押出し成形により形成された精度の高い平面状態が摩擦撹拌接合手段により損なわれることを防止することができ、精度の高い平面状態をそのままフロアパネル20の上面として利用することができる。
【0076】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル50について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態における同一の部位には同一の符号を付し、重複する構成の説明はなるべく省略するものとする。
【0077】
前記第1の実施の形態における、図2に示すフロアパネル20のような、断面が略矩形の、2つの略角筒状の中空押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部の間に、断面が略矩形の、2つの略角筒状の中空押出形材26,28が配置されて連結されるのに対して、図12に示すような、本発明の第2の実施の形態におけるフロアパネル50は、2つの中実板状の押出形材52,54(端部部材)それぞれの幅方向(図中左右方向)において互いに対向する、図13,14に示す側面部52a,54a(隣接部)の間に、2つの中実板状の押出形材56,58(連結部材)が配置されて連結されている点において、前記第1の実施の形態におけるフロアパネル20と異なるものである。
【0078】
このようなフロアパネル50は、前記第1の実施の形態に係るフロアパネル20と同様に、その連結時において、2つの押出形材52,54それぞれの幅方向において互いに対向する側面部52a,54aの間に配置される、押出形材の幅方向の寸法を適宜選択することにより、フロアパネル50の幅方向の寸法を調整することができる。
【0079】
また、フロアパネル50は、その製造時において、押出形材52,54,56,58の長さ方向(図11中紙面垂直方向)の寸法が所望の長さに切断されるようになっており、それぞれが同じ長さに形成されるようになっているため、フロアパネル50の長さ方向の寸法をその製造時に所望の長さに選定することができる。
【0080】
このような本実施の形態におけるフロアパネル50によっても、その設置作業を容易に行なうことができると共に、その幅方向の寸法を所望の寸法に調整することができ、かつ材料の無駄を省き材料費や工事費用を安価にすることができる。
【0081】
なお、前記第1の実施の形態におけるフロアパネル20は、その上面の平面形状が全体として略長方形になっていたが、その上面の平面形状は長方形に限定されず、正方形や他の形状に形成されるようになっていてもよい。
【0082】
また、前記第1の実施の形態におけるフロアパネル20は、2つの押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に、1つ又は2つの押出形材が配置されて連結されるようになっていたが、3つ以上の押出形材が配置されて連結されるようになっていてもよい。
【0083】
また、2つの押出形材22,24それぞれの幅方向において互いに対向する側面板部27,29間に、押出形材が配置されずに2つの押出形材22,24が互いに直接連結されるようになっていてもよい。
【0084】
また、前記第1の実施の形態におけるフロアパネル20は、図16(b)に示す従来のフロアパネル2と同様に、図11(b)に示す基礎床面37上に立設する支持脚34に支持されるようになっていたが、図15に示す従来のフロアパネル10のように、基礎床面7上に免震装置を介して設けられた免震構造体9上に立設された支持脚11により支持されるようになっていてもよく、また、図15に示す従来の板状部材14のように、従来のフロアパネル2,10間の所定の間隔と同寸法の開口を上方から塞ぐように配置されるようになっていてもよい。
【0085】
また、前記第1の実施の形態における中空押出形材22,24,26,28は、アルミニウム製の中空押出形材により形成されており、前記第2の実施の形態における押出形材52,54,56,58は、中実板状に形成されるようになっていたが、互いに連結されるようになっていればこれに限定されず、他の断面形状を有する部材や他の製法、他の材料を用いてもよい。
【0086】
また、前記第1の実施の形態における中空押出形材22,24,26,28は、摩擦撹拌接合手段による接合により互いに連結されるようになっていたが、これに限定されず、貼り付けや溶接等の他の手段を用いて互いに連結されるようになっていてもよい。また、前記第1の実施の形態における中空押出形材22,24,26,28相互間の連結方法は、全て同じ連結方法を用いる必要はなく、異なる連結方法を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
また、前記第1の実施の形態におけるフロアパネル20は、予め所定の長さを有する中空押出形材22,24,26,28を連結するようになっていたが、中空押出形材22,24,26,28を連結した後に、所定の長さになるようにフロアパネル20をその幅方向に切断してその長さを定めるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 部屋
2 フロアパネル
3 支持脚
4 フリーアクセスフロア
6 壁
7 基礎床面
9 免震構造体
10 フロアパネル
11 支持脚
14 板状部材
15 固定金物
16 通路
17 基礎床面
18 壁
20,21 フロアパネル
22 中空押出形材
22a 上面
22b 底面
22c 凹み面
22d 嵌め込み凹部
22e 突出部
22f 係合部
22g 補強板部
22h 当接面
23 フロアパネル
24 中空押出形材
24a 上面
24b 底面
24c 凹み面
24d 嵌め込み凸部
24e 突出部
24f 係合部
24g 補強板部
26,28 中空押出形材
26a,28a 上面
26b,28b 底面
26c,28c 補強板部
27,29 側面板部
30 工具
30a 突起部
32 フリーアクセスフロア
34 支持脚
36 通路
37 基礎床面
38 壁
50 フロアパネル
52,54,56,58 押出形材
52a,54a 側面部
W 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル構造の両端部に配置される一対の端部部材と、
前記一対の端部部材それぞれの間に配置され、前記一対の端部部材間を連結する一以上の連結部材と
を備えたことを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記一対の端部部材と前記連結部材のそれぞれは、互いの隣接部が接合されることにより連結されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
前記一対の端部部材と前記連結部材のそれぞれは、前記隣接部の上下方向の一端部に嵌合部が形成され、かつ前記隣接部の上下方向の他端部に接合部が形成されており、
前記嵌合部同士が嵌合することにより前記隣接部の上下方向の一端部同士が連結されると共に、前記接合部同士が摩擦撹拌接合手段により接合されることにより前記隣接部の上下方向の他端部同士が連結されることを特徴とする請求項2に記載のパネル構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−149428(P2012−149428A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8269(P2011−8269)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】