説明

パネル状表示具

【課題】パネル状表示具全体の厚みの縮小を図り、これにより、利便性の向上を図る。
【解決手段】線状に延びるレール穴10が形成されたパネル本体4と、第1の溝部26と第2の溝部28とを有し、レール穴10の短手方向に関して一方の側のレール穴10周縁のパネル本体4部分が第1の溝部26に挟み込まれ且つ他方の側のレール穴10周縁のパネル本体4部分が第2の溝部28に挟み込まれることで、レール穴10に沿ってスライド可能なようにパネル本体4に取り付けられるスライダ20と、を備え、レール穴10に対するスライダ20の相対的な位置によって所定の情報を表示するように構成されたパネル状表示具2において、パネル本体4を紙で構成し、スライダ20を、紙からなるシート30を第1及び第2の溝部26,28が形成されるように折り曲げて製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール穴が形成されたパネル本体とレール穴に沿ってスライド可能なスライダとを備えたパネル状表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば問診の際、患者が自身の症状の重さを医師に伝えるために、複数のレール穴が形成された樹脂製のパネル本体と、レール穴に沿ってスライド可能にパネル本体に取り付けられた樹脂製のスライダと、を有するパネル状表示具が用いられることがある。
【0003】
この種のパネル状表示具は、複数種類の痛みの程度を表示するように構成されており、痛みの種類毎に、レール穴とスライダが設けられている。各種類の痛みの程度は、レール穴に対するスライダの相対的な位置によって示される。例えば、頭痛の程度を示すためのレール穴において該レール穴の左端部にスライダが位置することは、頭痛が全くないことを示し、該レール穴の右端部にスライダが位置することは最も強い頭痛であることを示し、該レール穴の中央部にスライダが位置するときは中程度の頭痛であることを示す。
【0004】
かかる構成のパネル状表示具を用いると、患者が口頭のみで医師に症状を伝える場合に比べて、簡易で且つ正確な問診を行うことができる。
【0005】
また、同様の構成からなるパネル状表示具は、患者の症状の程度を表示するためだけでなく、その他の種々の情報を表示するために利用することも可能であり、その場合も、簡易で且つ正確な情報伝達を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のパネル状表示具では、パネル本体とスライダがいずれも樹脂からなるため、パネル状表示具全体の厚みを小さくすることが困難であった。そのため、複数のパネル状表示具をパンフレット形式で束ねたり、雑誌の中にパネル状表示具を綴じ込んだりすることが困難であり、利便性に関して改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、レール穴が形成されたパネル本体とレール穴に沿ってスライド可能なスライダとを備えたパネル状表示具に関して、パネル状表示具全体の厚みの縮小を図り、これにより、利便性の向上を図ることを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るパネル状表示具は、
線状に延びるレール穴が形成されたパネル本体と、
第1の溝部と第2の溝部とを有し、前記レール穴の短手方向に関して一方の側の前記レール穴周縁のパネル本体部分が前記第1の溝部に挟み込まれ且つ他方の側の前記レール穴周縁のパネル本体部分が前記第2の溝部に挟み込まれることで、前記レール穴に沿ってスライド可能なように前記パネル本体に取り付けられるスライダと、を備え、
前記レール穴に対する前記スライダの相対的な位置によって所定の情報を表示するように構成されたパネル状表示具であって、
前記パネル本体は紙からなり、
前記スライダは、紙からなるシートが前記の第1及び第2の溝部を形成するように折り曲げられてなる部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パネル状表示具を構成するパネル本体とスライダとが、いずれも紙からなるため、パネル状表示具全体の厚みを小さくすることができる。したがって、複数のパネル状表示具をパンフレット形式で束ねたり、雑誌の中にパネル状表示具を綴じ込んだりすることが容易になるため、利便性の向上を図ることができる。また、パネル本体とスライダがいずれも紙からなるため、廃棄の利便性の向上、および材料コストの低減に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るパネル状表示具を示す図である。
【図2】図1に示すパネル状表示具のパネル本体を示す図である。
【図3】図1に示すパネル状表示具のスライダを示す斜視図である。
【図4】付属パネルを示す図である。
【図5】スライダ製作用のシートを示す斜視図である。
【図6】スライダの製作手順を示す斜視図である。
【図7】スライダの製作手順を示す斜視図である。
【図8】スライダの製作手順を示す斜視図である。
【図9】スライダの製作手順を示す斜視図である。
【図10】スライダの製作手順を示す斜視図である。
【図11】第2の実施形態に係るパネル状表示具の表面を示す図である。
【図12】図11に示すパネル状表示具の裏面を示す図である。
【図13】図11及び図12に示すパネル状表示具のスライダを表面側から見た斜視図である。
【図14】図13に示すスライダを裏面側から見た斜視図である。
【図15】図13及び図14に示すスライダを製作するためのシートを示す斜視図である。
【図16】図13及び図14に示すスライダの製作手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパネル状表示具2を示す。本実施形態で説明するパネル状表示具2は、病院等において患者が自身の症状の程度を医師に伝達するために使用されるものである。ただし、本発明は、患者の症状以外の種々の情報の伝達に使用されるパネル状表示具にも等しく適用することができる。
【0013】
パネル状表示具2は、線状に延びるレール穴10(10a〜10e)が形成されたパネル本体4と、レール穴10に沿ってスライド可能なようにパネル本体4に取り付けられるスライダ20とを備え、レール穴10に対するスライダ20の相対的な位置が所定の情報、本実施形態では、患者の症状の程度を示す。
【0014】
図2に示すように、パネル本体4は、レール穴10が形成された表面パネル部6と、表面パネル部6の裏面に折り重ね可能なように折り目60を介して表面パネル部6に連ねて設けられた裏面パネル部8と、を備えている。表面パネル部6と裏面パネル部8は例えば矩形であり、互いに等しい形状と大きさを有する。ただし、本発明において、表面パネル部6と裏面パネル部8の形状は特に限定されるものでなく、表面パネル部6と裏面パネル部8とが互いに異なる形状と大きさを有することを妨げるものでない。
【0015】
本実施形態において、レール穴10は、表面パネル部6において上下方向に間隔を空けて複数設けられている。各レール穴10は、横方向に沿って直線状に延びるように設けられている。全てのレール穴10の長さは互いに等しく、レール穴10の長さ方向に関し、全てのレール穴10の両端部はそれぞれ同じ位置に揃えられている。
【0016】
ただし、本発明において、レール穴10の構成はこれに限定されるものでない。例えば、本発明は、レール穴10毎に長さを異ならせたり、レール穴10の形状を直線以外の種々の形状としたり、複数のレール穴10が交差するようにレール穴10を設けたりすることを妨げるものでない。
【0017】
表面パネル部6の表面には、レール穴10に対するスライダ20の相対的な位置によって示される情報、具体的には患者の症状の程度に関する情報を特定するための複数の表示部11,12(12a〜12e),14(14a〜14e),16,18が設けられている。
【0018】
これらの表示部11,12,14,16,18について具体的に説明する。
【0019】
先ず、表面パネル部6の表面の例えば上端部には、表示具2の使用を促すための第1の表示部11が設けられている。第1の表示部11には、患者による症状の程度の伝達を促す文字、具体的には、例えば「痛みの程度を教えてください」等の文字が記される。
【0020】
また、各レール穴10に対応して、症状の種類を示す第2の表示部12(12a〜12e)が設けられている。各第2の表示部12は、レール穴10の例えば左側近傍部に設けられている。第2の表示部12には、例えば「頭痛」又は「腹痛」などといった症状の種類が例えば文字で表示されている。
【0021】
さらに、各レール穴10の周縁部には、レール穴10に対するスライダ20の相対的な位置を視認しやすくするための第3の表示部14(14a〜14e)が設けられている。第3の表示部14には、右に向かうに連れて上下方向の幅が徐々に大きくなる図形が記されている。具体的に、第3の表示部14に記された図形は、例えば、レール穴10の右端近傍部においてレール穴10よりも上側の部分と下側の部分とに跨って上下方向に延びる底辺と、該底辺の両端からそれぞれレール穴10の左端近傍部へ延びる残りの2辺とを備えた概略三角形である。第3の表示部14に記された図形は、その図形の上下方向の幅が大きいほど、症状が重いことを意味する。また、第3の表示部14に記される図形は、横方向の位置によって色または/および色の濃さを異ならせるようにしてもよく、この場合、症状の程度を一層明確に表示することができる。
【0022】
ただし、本発明において、第3の表示部14の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、上述の図形以外の種々の形状の図形、又は、目盛などを第3の表示部14に記してもよい。
【0023】
表面パネル部6の表面の左端部には第4の表示部16が設けられ、表面パネル部6の表面の右端部には第5の表示部18が設けられている。第4の表示部16には、スライダ20がレール穴10の左端部に位置するときに症状の程度が最小であることを明確にするための表示がなされている。具体的に、第4の表示部16には、「痛みはない」という文字が記されるとともに、患者の穏やかな表情を表す絵が描かれている。第5の表示部18には、スライダ20がレール穴10の右端部に位置するときに症状の程度が最大であることを明確にするための表示がなされている。具体的に、第5の表示部18には、「もっとも強い痛み」という文字が記されるとともに、患者の苦痛の表情を表す絵が描かれている。これらの第4及び第5の表示部16,18により、レール穴10におけるスライダ20の横方向の位置がレール穴10の左端部に近いときほど症状が軽く、レール穴10の右端部に近いときほど症状が重いことを一層明確に示すことができる。
【0024】
本実施形態において、第1〜第5の表示部11,12,14,16,18は、表面パネル部6の表面への印刷により形成されているが、本発明は、第1〜第5の表示部11,12,14,16,18の一部または全部を、例えば表面パネル部6の表面へのシールの貼り付け等、印刷以外の方法により形成することを妨げるものでない。
【0025】
裏面パネル部8は、スライダ20が取り付けられた状態の表面パネル部6の裏面に折り重ねられることで、スライダ20の裏面を覆い隠す機能を有する。つまり、パネル本体4に裏面パネル部8を設けることで、スライダ20がパネル本体4から容易に脱落したり、スライダ20の裏面側部分が破損したりすることを防止することができる。なお、裏面パネル部8は、後述のように表面パネル部6の裏面に接着される。また、本実施形態において、裏面パネル部8には、表面パネル部6のような表示部が何ら設けられていないが、何らかの表示部を設けるようにしてもよい。
【0026】
以上のように構成されたパネル本体4は紙からなる。そのため、従来のようにパネル本体が樹脂で構成される場合に比べて、パネル本体4の厚みを小さくすることができ、パネル状表示具2全体の厚みの低減に貢献することができる。
【0027】
図3に示すように、スライダ20は、スライダ20がパネル本体4に取り付けられた状態において表面パネル部6の表面側に配置される表面部21と、スライダ20がパネル本体4に取り付けられた状態において表面パネル部6の裏面側に配置される裏面部23と、表面部21と裏面部23との間に形成された第1及び第2の溝部26,28とを有する。
【0028】
表面部21と裏面部23は、互いに平行な面方向に沿って配置されている。表面部21と裏面部23は、レール穴10の短手方向に関してレール穴10よりも大きな幅を有し、これにより、レール穴10からのスライダ20の脱落が防止される。表面部21と裏面部23の形状は、レール穴10の長さ方向に長い長方形とされている。ただし、本発明において、表面部21と裏面部23の形状は特に限定されるものでない。
【0029】
スライダ20の表面部21には、スライダ20の横方向の基準の位置を示す基準表示部22が設けられている。基準表示部22には、例えば、上下方向(図1における上下方向)に細長い菱形の図形が記されており、これにより、該菱形の上下の先端部の位置がスライダ20の横方向の基準の位置であることが示されている。ただし、本発明において、基準表示部22に付す表示は、スライダ20の横方向の基準の位置を示すものであれば、菱形の図形以外の表示であってもよい。基準表示部22は、例えば印刷により表面シート部32の表面に形成されるが、本発明において、基準表示部22は、例えばシールの貼り付け等、印刷以外の方法により形成されるようにしてもよい。
【0030】
また、表面部21には、スライダ20をレール穴10に沿ってスライドさせる際に摘むための摘み片24が突設されている。これにより、表面部21を摘んでスライダ20をスライドさせることが困難な場合であっても、摘み片24を摘むことでスライダ20を容易にスライドさせることができる。
【0031】
第1の溝部26は、表面部21の短手方向一端部と裏面部23の短手方向一端部とに跨る断面倒V字状に形成され、第2の溝部28は、表面部21の短手方向他端部と裏面部23の短手方向他端部とに跨る断面倒V字状に形成されている。これら第1の溝部26と第2の溝部28は、パネル本体4にスライダ20を取り付けるために設けられた溝である。つまり、レール穴10の上側周縁において表面パネル部6が第1の溝部26に挟み込まれ且つレール穴10の下側周縁において表面パネル部6が第2の溝部28に挟み込まれることで、スライダ20がレール穴10に沿ってスライド可能なようにパネル本体4の表面パネル部6に取り付けられる。
【0032】
表面パネル部6へのスライダ20の取付けは、パネル本体4を開いた状態で行われ、スライダ20が表面パネル部6に取り付けられた後、表面パネル部6の裏面に裏面パネル部8が重ねられて接着される。これにより、表面パネル部6と裏面パネル部8との間にスライダ20の裏面部23が挟み込まれるため、裏面部23の保護が図られるとともに、パネル本体4からのスライダ20の脱落が一層確実に防止される。なお、レール穴10に沿ったスライダ20の移動を許容するために、表面パネル部6と裏面パネル部8との接着は、レール穴10の周縁部を残して行われる。
【0033】
パネル状表示具2には、図4に示す付属パネル60が含まれるようにしてもよい。付属パネル60は、パネル本体4とは別体で且つ紙からなるパネルであり、パネル本体4の表面パネル部6の表面に重ねて使用される。付属パネル60の外縁形状は表面パネル部6の外縁形状と同一であることが好ましく、これにより、表面パネル部6の表面に付属パネル60を重ねるとき、表面パネル部6に対して付属パネル60を容易に位置決めすることができる。付属パネル60には、表面パネル部6のレール穴10に対応した開口部70(70a〜70e)がレール穴10毎に形成されている。各開口部70は、付属パネル60が表面パネル部6の表面に重ねられた状態においてレール穴10を囲むように且つスライダ20と干渉しないように形成されている。開口部70の例えば下縁部には、レール穴10に対するスライダ20の相対的な位置を具体的に示すための位置表示部64(64a〜64e)が設けられている。付属パネル60の位置表示部64には、表面パネル部6の第3の表示部14よりも明確にスライダ20の位置を示すための表示がなされている。本実施形態において、各位置表示部64には、例えば100個の目盛線を備えた目盛が記されている。これにより、表面パネル部6の表面に付属パネル60を重ねてパネル状表示具2を使用することで、スライダ20の位置を一層迅速且つ正確に視認することができる。
【0034】
次に、スライダ20の製作に関する構成について説明する。
【0035】
図3に示すスライダ20は、図5に示す紙からなるシート30が表面部21、裏面部23、第1の溝部26及び第2の溝部28を形成するように折り曲げられることで製作される。また、このように製作されたスライダ20がパネル本体4に取り付けられた状態において、スライダ20の表面部21は表面パネル部6の表面に重ねられるようにして配置され、スライダ20の裏面部23は表面パネル部6と裏面パネル部8との間に挟み込まれる。そのため、スライダ20の厚みを、従来のように樹脂で構成されたスライダに比べて著しく小さくすることができる。また、上述のようにパネル本体4も紙で構成されるため、パネル状表示具2全体の厚みを従来よりも遙かに小さくすることができる。よって、複数のパネル状表示具2をパンフレット形式で束ねたり、雑誌の中にパネル状表示具2を綴じ込んだりすることが容易になるため、利便性の向上を図ることができる。さらに、パネル本体4とスライダ20がいずれも紙で構成されることにより、材料コストの低減と、廃棄の利便性向上とを図ることもできる。
【0036】
図5を参照しながら、スライダ20を製作するためのシート30の構成について説明する。なお、図5は、シート30を裏面側から見た斜視図である。また、以下の説明において、「山折り」及び「谷折り」という折り曲げ方向を示す用語は、シート30の裏面側から見た方向を指すものとする。
【0037】
図5に示すように、シート30は、スライダ20が取り付けられたパネル本体4の表面を見たときにパネル本体4よりも手前側に現れる表面シート部32と、第1の溝部26を形成するために表面シート部32に連ねて設けられた第1シート片34と、第2の溝部28を形成するために表面シート部32に連ねて設けられた第2シート片36と、を備えている。
【0038】
表面シート部32は、スライダ20が完成した状態においてスライダ20の表面部21を構成する。表面シート部32の形状は、一対の長辺と一対の短辺とを備えた長方形である。表面シート部32の一方の短辺側には、谷折りである折り目58を介して摘み片24が連ねて設けられている。表面シート部32の中央部には、摘み片24の先端を差し込むための切り込み44が設けられている。切り込み44は、折り目58に平行な方向に沿って直線状に形成されている。
【0039】
第1シート片34は、表面シート部32の一方の長辺側に連ねて設けられ、第2シート片36は、表面シート部32の他方の長辺側に連ねて設けられている。これにより、表面シート部32と第1シート片34と第2シート片36とは、全体として、表面シート部32の短辺に平行な方向に延びる帯状に形成されている。
【0040】
第1シート片34は、谷折りである折り目51を介して表面シート部32に隣接する第1シート部38aと、山折りである折り目53を介して第1シート部38aに隣接する第2シート部40aと、谷折りである折り目55を介して第2シート部40aに隣接する第3シート部42aを備えている。
【0041】
同様に、第2シート片36は、谷折りである折り目52を介して表面シート部32に隣接する第1シート部38bと、山折りである折り目54を介して第1シート部38bに隣接する第2シート部40bと、谷折りである折り目56を介して第2シート部40bに隣接する第3シート部42bを備えている。
【0042】
第1シート片34の第1シート部38aと第2シート部40aとは第1の溝部26を構成し、第2シート片36の第1シート部38bと第2シート部40bとは第2の溝部28を構成する。第1シート片34及び第2シート片36のいずれにおいても、第1シート部38a,38bと第2シート部40a,40bの形状は、表面シート部32の長辺と同じ長さの一対の長辺と、表面シート部32の短辺よりも短い一対の短辺とを備えた長方形である。
【0043】
第1シート片34及び第2シート片36のいずれにおいても、第3シート部42a,42bの形状は、表面シート部32と同じ形状である。各第3シート部42a,42bの裏面にはシール部46,48が設けられている。シール部46,48は、第3シート部42,42bにおいて折り目55,56とは反対側の縁部に沿って設けられている。
【0044】
続いて、図6〜図10を参照しながら、シート30を用いてスライダ20を製作する手順について説明する。
【0045】
先ず、図6に示すように、摘み片24を表面シート部32の裏面に折り重ね、摘み片24の先端を切り込み44に差し込む。このような簡単な構成により、摘み片24の先端部が表面シート部32の表面側に突出し、スライダ20の完成後において使用者が摘み片24の先端部を容易に摘むことができる状態となる。
【0046】
次に、図7に示すように、第2シート片36を折り畳む。具体的に、第2シート部40bを第1シート部38bの表面に折り重ね、第3シート部42bを第2シート部40bの裏面に折り重ねる。
【0047】
続いて、図8に示すように、折り畳まれた状態の第2シート片36を表面シート部32の裏面に折り重ね、第2シート片36の第3シート部42bを、シール部48を介して表面シート部32の裏面に貼り合わせる。これにより、第2シート片36の第2シート部40bと第3シート部42bとのコーナー部が表面シート部32から離間しないように維持することができる。よって、第2の溝部28の幅を小さく形成することができ、これにより、スライダ20の厚みの縮小に貢献することができる。
【0048】
次に、図9に示すように、第1シート片34を折り畳む。具体的に、第2シート部40aを第1シート部38aの表面に折り重ね、第3シート部42aを第2シート部40aの裏面に折り重ねる。
【0049】
続いて、図10に示すように、折り畳まれた状態の第1シート片34を表面シート部32の裏面に折り重ね、第1シート片34の第3シート部42aを、シール部46を介して第2シート片36の第3シート部42bの表面に貼り合わせる。これにより、スライダ20が完成する。
【0050】
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係るパネル状表示具102を示す。第1の実施形態と同様、パネル状表示具102は、パネル本体104とスライダ120とを備えている。
【0051】
第1の実施形態と同様、パネル本体104は紙で構成されている。しかも、本実施形態に係るパネル本体104は、第1の実施形態のパネル本体4のような折り返し構造を有さず、第1の実施形態の表面パネル部6に相当する部分のみで構成されている。したがって、パネル本体104の厚みを一層小さくすることができる。
【0052】
パネル本体104には、第1の実施形態と同様のレール穴10(10a〜10e)が形成されており、パネル本体104の表面には、第1の実施形態と同様の複数の表示部11,12(12a〜12e),14(14a〜14e),16,18が設けられている。
【0053】
図12は、パネル本体104の裏面を示す。図12に示すように、本実施形態では、パネル本体104の裏面にも、表面の表示部11,12,14,16,18に合わせて、複数の表示部111,112(112a〜112e),114(114a〜114e),116,118が設けられている。これにより、パネル本体104の裏面においても、パネル本体104の表面に示される情報と同様の情報を示すことができるため、使用者は、パネル本体104の裏面を見ながらパネル本体104の表示について説明することができる。つまり、パネル本体104の裏面を見ている使用者と、パネル本体104の表面を見ながら説明を受ける者とが、一つの情報を共有することができる。
【0054】
具体的に、パネル本体104の裏面には、第6〜第10の表示部111,112,114,116,118が設けられている。
【0055】
第6の表示部111は、パネル本体104表面の第1の表示部11と同様の構成を有し、第1の表示部11と同様の位置に配置されている。
【0056】
第7の表示部112(112a〜112e)は、パネル本体104表面の第2の表示部12(12a〜12e)と同様の構成を有する。各第7の表示部112は、レール穴10の例えば右側近傍部に設けられている。
【0057】
第8の表示部114(114a〜114e)は、パネル本体104表面の第3の表示部14(14a〜14e)と同様の構成を有するが、第8の表示部114に記される図形の向きは、左右方向に関して、第3の表示部14に記された図形の向きとは逆になっている。つまり、第8の表示部114に記された図形は、左に向かうに連れて上下方向の幅が徐々に大きくなるように構成されている。これにより、パネル本体104の表面側から見てスライダ120の位置がレール穴10の右端に近いほど症状が重いことを示すパネル本体104の表面の表示に対応して、パネル本体104の裏面側から見てスライダ120の位置がレール穴10の左端に近いほど症状が重いことを示している。
【0058】
なお、第8の表示部114の構成は、第3の表示部14の構成に合わせて変更したり、又は、第3の表示部14の構成に関係なく変更したりすることが可能である。例えば、第8の表示部114に記される図形は、レール穴10の長さ方向の位置によって色または/および色の濃さを異ならせるようにしてもよく、これにより、症状の程度を一層明確に表示することができる。また、上述の図形以外の種々の形状の図形、又は、目盛などを第8の表示部114に記してもよい。
【0059】
第9の表示部116は、パネル本体104表面の第4の表示部16と同様の構成を有し、パネル本体104裏面の右端部に配置されている。一方、第10の表示部118は、パネル本体104表面の第5の表示部18と同様の構成を有し、パネル本体104裏面の左端部に配置されている。
【0060】
第6〜第10の表示部111,112,114,116,118は、第1〜第5の表示部11,12,14,16,18と同様、パネル本体104への印刷により形成されているが、本発明は、第6〜第10の表示部111,112,114,116,118の一部または全部を、例えばパネル本体104の裏面へのシールの貼り付け等、印刷以外の方法により形成することを妨げるものでない。
【0061】
図13は、本実施形態に係るスライダ120を表面側から見た斜視図であり、図14は、スライダ120を裏面側から見た斜視図である。
【0062】
図13に示すように、スライダ120は、第1の実施形態と同様、表面部21と裏面部23と第1及び第2の溝部26,28とを有する。また、第1の実施形態と同様、スライダ20の表面部21には、基準表示部22と、パネル本体104の表面側から摘むための摘み片24とが設けられている。
【0063】
図14に示すように、本実施形態に係るスライダ120の裏面部23には、表面部21の基準表示部22と同様の基準表示部122が設けられており、これにより、スライダ120の裏面側についてもスライダ120の横方向の基準の位置が明確に示されている。
【0064】
また、本実施形態に係るスライダ120の裏面部23には、裏面側の摘み片124が突設されている。このように、表面側の摘み片24に加えて裏面側の摘み片124を設けることにより、スライダ120をレール穴10に沿ってスライドさせる際、パネル本体104の裏面側から裏面側摘み片124を摘んでスライダ120を操作することができ、利便性の向上が図られている。
【0065】
本実施形態に係るスライダ120は、図15に示す紙からなるシート130が表面部21、裏面部23、第1の溝部26及び第2の溝部28を形成するように折り曲げられることで製作される。
【0066】
図15に示すように、シート130は、裏面側摘み片124と裏面側摘み片124を差し込むための切り込み144とを有する点を除いて、第1の実施形態に係るシート30と同様の構成を有する。
【0067】
裏面側摘み片124は、第1シート片34の第3シート部42aの一方の短辺側に、谷折りである折り目158を介して連ねて設けられている。一方、切り込み144は、第3シート部42aの中央部において、折り目158に平行な方向に沿って直線状に形成されている。
【0068】
図16に示すように、スライダ120を製作する際は、先ず、表面側摘み片24を表面シート部32の裏面に折り重ねて、表面側摘み片24の先端部を切り込み44に差し込むとともに、裏面側摘み片124を第1シート片34の第3シート部144の裏面に折り重ねて、裏面側摘み片124の先端部を切り込み144に差し込む。その後は、第1の実施形態と同様の手順で、シート130の折り曲げと接着を行うことにより、スライダ120が完成する。
【0069】
このように、本実施形態においても、スライダ120は紙からなるシート130の折り曲げにより製作されるため、スライダ120の厚みを極めて小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
2,102:パネル状表示具、4,104:パネル本体、6:表面パネル部、8:裏面パネル部、10(10a〜10e):レール穴、20,120:スライダ、24,124:摘み片、26:第1の溝、28:第2の溝、30,130:シート、32:表面シート部、34:第1シート片、36:第2シート片、38(38a,38b):第1シート部、40(40a,40b):第2シート部、42(42a,42b):第3シート部、44,144:切り込み、46,48:シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状に延びるレール穴が形成されたパネル本体と、
第1の溝部と第2の溝部とを有し、前記レール穴の短手方向に関して一方の側の前記レール穴周縁のパネル本体部分が前記第1の溝部に挟み込まれ且つ他方の側の前記レール穴周縁のパネル本体部分が前記第2の溝部に挟み込まれることで、前記レール穴に沿ってスライド可能なように前記パネル本体に取り付けられるスライダと、を備え、
前記レール穴に対する前記スライダの相対的な位置によって所定の情報を表示するように構成されたパネル状表示具であって、
前記パネル本体は紙からなり、
前記スライダは、紙からなるシートが前記の第1及び第2の溝部を形成するように折り曲げられてなる部材であることを特徴とするパネル状表示具。
【請求項2】
前記シートは、前記スライダが取り付けられた前記パネル本体の表面を見たときに前記パネル本体よりも手前側に現れる表面シート部と、前記第1の溝部を形成するために前記表面シート部に連ねて設けられた第1シート片と、前記第2の溝部を形成するために前記表面シート部に連ねて設けられた第2シート片と、を備え、
前記第1シート片と前記第2シート片はそれぞれ、前記シートの裏面側から見て谷折りである折り目を介して前記表面シート部に隣接する第1シート部と、前記シートの裏面側から見て山折りである折り目を介して前記第1シート部に隣接する第2シート部と、を備え、
前記第1の溝部は、前記第1シート片の前記第1シート部と前記第2シート部とで構成され、
前記第2の溝部は、前記第2シート片の前記第1シート部と前記第2シート部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル状表示具。
【請求項3】
前記第1シート片と前記第2シート片はそれぞれ、前記シートの裏面側から見て谷折りである折り目を介して前記第2シート部に隣接する第3シート部を備え、
前記スライダが完成した状態において、前記第1シート片の前記第3シート部に、前記第2シート片の前記第3シート部が接着されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル状表示具。
【請求項4】
前記スライダが完成した状態において、前記第1シート片の前記第3シート部が、前記表面シート部の裏面に接着されていることを特徴とする請求項3に記載のパネル状表示具。
【請求項5】
前記スライダを前記レール穴に沿ってスライドさせる際に摘むための摘み片が、前記表面シート部に連ねて設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のパネル状表示具。
【請求項6】
前記表面シート部には切り込みが設けられ、
前記スライダが完成した状態において、前記表面シート部の裏面に折り重ねられた前記摘み片の先端が、前記切り込みに差し込まれて前記表面シート部の表面側に突出していることを特徴とする請求項5に記載のパネル状表示具。
【請求項7】
前記パネル本体の少なくとも表面に、前記スライダの前記相対的な位置によって示される情報を特定するための表示がなされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパネル状表示具。
【請求項8】
前記スライダは、前記スライダを前記レール穴に沿ってスライドさせる際に前記パネル本体の表面側から摘むための表面側摘み片と、前記スライダを前記レール穴に沿ってスライドさせる際に前記パネル本体の裏面側から摘むための裏面側摘み片と、を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパネル状表示具。
【請求項9】
前記パネル本体は、前記レール穴が形成された表面パネル部と、前記表面パネル部の裏面に折り重ね可能なように折り目を介して前記表面パネル部に連ねて設けられた裏面パネル部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパネル状表示具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−128211(P2011−128211A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284081(P2009−284081)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【特許番号】特許第4657363号(P4657363)
【特許公報発行日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000156846)カンナル印刷株式会社 (7)
【Fターム(参考)】