説明

パネル組立式魚礁ブロック及びその組立方法

【課題】 大量に発生する浚渫土砂や、コンクリート塊廃材、雑割石・中割石を内部に収容可能な構造で、組み立て設置が容易な漁礁ブロックを提供することを課題とする。
【解決手段】 方形状の基礎材と4枚の梯形状のパネル板とにより空洞を形成させ、その空洞へ浚渫土砂及び/又はコンクリート塊、雑割石・中割石を投入するための方形状孔を形成させた四角錘形状の魚礁ブロックであって、基礎材は、その外周にH鋼或は溝型鋼の枠部材を設け、その角隅には魚礁ブロック移送用の吊金具取付ネジ・孔を設け、パネル板の一方の表面には貝殻・自然石混じりのコンクリート層を形成させた構造とし、基礎材の外周に沿う各辺には、それぞれ前記パネル板を受留める複数の受留部材をさらに設け、基礎材と各パネル板の間の三角状間隙溝、並びに前記パネル板の隣接間の三角状間隙溝がコンクリート及び/又は接着剤で充填され一体的に固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海底などの所定の位置を漁場とするため、沈めて魚の漁礁とするブロックに関し、特に、基礎材の上にパネル板を組み立てた集魚効果の高い大型のパネル組立式漁礁ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、漁礁ブロックは、多数個作成して海底に配設しなければならないので、その漁礁を量産するには比較的単純な形状(例えば直方体、立方体、六角筒など)が製造されていた。
【0003】
また、それらの漁礁ブロックは、空洞にせず、大部分コンクリートだけで形成される構成であったので、単位ブロック当たりの大きさの割に重量が大きく、コンクリート使用量の膨大な漁礁ブロック群を形成することとなっていた。
【0004】
そこで、単位漁礁ブロック当たりのコンクリート使用量を減らすために以下のような考案があった。すなわち、ブロックを形成する所定の大きさの板材で囲まれた枠体内にコンクリートをある程度流し込んでから、所定の時間をかけて固め、固まったところに複数本の古タイヤを置いて、さらにコンクリートを流し込み、古タイヤが隠れて所定の形状の大きさになるまでコンクリートを流し込む方法で製作された漁礁ブロックが特許文献1に開示されている。
【0005】
この、特許文献1の漁礁ブロックは、そのブロックの貫通孔や、古タイヤの内部空洞と、さらにそれら漁礁ブロックを多数海底にピラミッド状の積み上げてなるブロック群全体で魚の棲家を形成させる大規模な構成としている。
【0006】
また、特許文献2には、貯水槽或いは漁礁に用いることができる製造、組立てが容易で、運搬・保管効率が優れているブロック組立体の考案が開示されている。
【0007】
特許文献2のブロック組立体は、六角筒の形態とするため2個の半筒形ブロックを組合せて製造しており、漁礁とする場合は六角筒の両端面に開口窓のコンクリート枠材を接合する構成となるため、漁礁として利用する場合は、構造的に複雑な形状の組立となる問題があった。
【0008】
【特許文献1】実開平6−75157号公報(第2頁、第1図)
【特許文献1】登録実用新案 第3022083号公報(第2頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、大量に発生する浚渫土砂や、コンクリート廃材、雑割石・中割石を内部に収容可能な構造で、組み立て設置が容易な漁礁ブロックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明のパネル組立式魚礁ブロックは、方形状の基礎材と4枚の梯形状のパネル板とにより空洞を形成させ、その空洞へ浚渫土砂及び/又はコンクリート塊、雑割石・中割石とコンクリート(生コン)を少なくとも投入するための方形状孔を形成させた四角錘形状の魚礁ブロックであって、
前記基礎材は、その外周に方形状にH鋼或は溝型鋼の枠部材を設け、その枠部材の内側にはメッシュ状をなす複数の金属棒(鉄筋)と、必要に応じて補助枠部材を設けてコンクリートにより一体化させ、その方形状の4箇所の角隅にはそれぞれ魚礁ブロック移送用の吊金具取付ネジ・孔を設けた構造とし、
前記パネル板は、その対向する4枚のパネル板は少なくとも同一寸法の梯形状とし、その梯形状の底辺長Tは、前記基礎材方形状各辺長Wより前記吊金具取付ネジ/孔を除く長さにほぼ合わせ、前記梯形状の上辺長Sは、前記方形状の各辺に合わせ、その底辺と斜辺とのなす底辺角度θが、90度より十分小さく且つ45度より十分大きい範囲に入るように梯形の高さLを定め、その梯形の各外周に沿ってH鋼或は溝型鋼の枠部材を設け、その枠部材の内側にはメッシュ状をなす複数の金属棒(鉄筋)と必要に応じて補助枠部材を設けてコンクリートにより一体化させ、さらにパネルの一方の表面には貝殻・自然石混じりのコンクリート層を形成させた構造とし、
前記基礎材の外周に沿う各辺には、それぞれ前記パネル板を受留める複数の受留部材をさらに設け、
前記魚礁ブロックは前記基礎材の各辺上の前記受留部材の上に前記パネル板を載せて、前記基礎材の中心部へ向かって隣接する前記パネル板の前記斜辺が互いに接触するまで倒して形成させた四角錐の構造として、
さらに、前記基礎材と各パネル板の間の三角状間隙溝、並びに前記パネル板の隣接間の三角状間隙溝がコンクリート及び/又は接着剤で充填され一体的に固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の魚礁ブロックの組立方法は、請求項1記載の基礎材の中心に支柱部材を起立させる結合孔又はネジ孔部を設け、その中心支柱部材の所定位置に請求項1記載のパネル板の上辺長Sからなる方形状孔の各辺方向にSに一致する寸法のパネル板仮留部材を備え、
基礎材の各辺に設けられた受留部材上にパネル板を載せ、それぞれ中心支柱部材に向かってパネル上端を倒して、4枚のパネル板を仮留部材で仮留し、請求項1記載の各三角状間隙溝にコンクリート及び/又は接着剤を充填して固定することを特徴とする。
【0012】
また、前記基礎材と各パネル板間の三角状間隙溝は、基礎材のパネル受留部材の先端を釣鐘状に形成し、
一方、パネル板の板部材の貫通する金属棒又はメッシュ材(鉄筋)の先端も釣鐘状に形成し、それらの釣鐘状の先端曲線中心を通る一本又は複数本の接続棒を挿入してからコンクリートにより充填固定することを特徴とする。
【0013】
また、前記隣接パネル板間の三角状間隙溝は、それぞれパネル板の底面に平行なメッシュ材(鉄筋)をそのパネル板枠材を貫通させ、さらに、その両端を釣鐘状に形成し、それらの釣鐘状の先端曲線中心を通る一本又は複数本の接続棒を挿入してからコンクリートにより充填固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパネル組立式漁礁ブロック及びその組立て方法は以下に示す効果を呈する。
【0015】
(1)従来の漁礁に比較して、同量のコンクリート重量で大型の漁礁ブロックを製造することができる。
【0016】
(2)漁礁ブロックは単純な形状の方形状基礎材と、梯形状の4枚のパネル板を組み合わせて、空洞容積の大きい角錐体を形成させ、その上部に同時に自然に形成される開口窓より浚渫土砂、コンクリート塊、雑割石・中割石などを投入することができる。
【0017】
(3)その角錐体の傾斜角度、高さ、開口窓寸法などの変化があっても、基礎材と4枚のパネル板との接触部である三角状間隙溝で張力に充分耐える構造で接続することができる。
【0018】
(4)前記組立てられた漁礁ブロックは角筒状でなく、必要最小限の枠窓を持つ角錐体なので、パネル板表面を貝殻、自然石交じりのコンクリート層にしておけば、それらの傾斜面上の凸凹面に昆布などが繁茂し易くなる。すなわち、側面が漁礁として有効な面となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施する最良の形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明のパネル組立式漁礁ブロックの構造図である。ここで、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はX−X断面図を示す。10は漁礁ブロックの基礎材である。この例では正方形の場合を示す。この基礎材10の各辺長Wは5m、厚さVは20cm程度の大きさのコンクリート材のブロックである。
【0021】
基礎材10の4隅には、それぞれ漁礁移送用の吊金具20を取り付ける吊金具取付けネジ又は孔19がある。これに吊金具20を取付け、漁礁ブロックを吊下げて移送し海底の所定位置に設置することができる。
【0022】
基礎材10の4辺にはそれぞれ梯形状のパネル板1、2、3、4の底辺Tが載り、それらのパネル板の上辺Sを、基礎材10の中心に向かって傾斜させ定期、それぞれ隣接するパネル板の斜辺傾斜辺が接触するまで傾斜させる。そのとき中心部に4つの上辺Sにより方形状孔Rが形成される。
【0023】
11は、基礎材10の4辺の枠部材であり、大型のコンクリート材を固定するために、H鋼或いはコ型の溝型鋼の枠部材を用いる。
【0024】
12は、傾斜したパネル板1、2、3、4を受留めるためのパネル板受留部材であり、各パネル板についてそれぞれ複数の受留部材12で受留めている。その拡大図を図1(b)に示す。
【0025】
Pは、基礎材10と、傾斜させたパネル板1、2、3、4の間の4箇所の三角状間隙溝である。この間隙溝Pはコンクリート及び/又は接着剤を混ぜたコンクリートで充填する。
【0026】
なお、四角錘の空洞内に投入する浚渫土砂或いはコンクリート塊、雑割石・中割石などの重量に充分耐える強度とするため、間隙溝P、Qにさらに鉄筋を入れて張力を強化したコンクリートとして充填するようにしてもよい。この具体的な構造については後述する。
【0027】
図2は、パネル板1、2、3、4の梯形形状図を示す。Tは底辺の長さ、Sは上辺の長さ、Lは梯形の高さを示す。θは底辺と傾斜辺とのなす角度を示す。Dはパネル板の厚さを示す。
【0028】
なお、底辺の長さTは基礎材10の一辺の長さWより、吊金具取付けネジ19の占める範囲を除く長さに設定する。
【0029】
ここで、傾斜辺角度θと梯形の底辺T、上辺S、高さLとの関係式は次式で表される。
tanθ={(T−S)/2}/L
【0030】
その傾斜辺角度θは以下の条件を満足する必要がある。
90°>θ>45°
【0031】
θが45°以下では四角錘を形成できない。従って空洞も形成できない。又θが45°付近では空洞の容積が少ない。一方θが90°付近では四角筒になり必要最小限の大きさの方形状孔Rは形成されず、空洞の上部に開口窓のコンクリートの枠材が必要となる。
【0032】
空洞の容積が大きく且つ方形状孔Rが必要最小限の大きさとなる傾斜辺角度θの最適値は約50°〜60°の範囲にある。
【0033】
図3は基礎材10の構造図の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)はY−Y断面図、(c)はX−X断面図、(d)、(e)は高密度のメッシュ鉄筋棒の断面図である。f)は基礎材10本体のコンクリート材の終端にあるH鋼枠部材11の場合を示し、(g)はコ型状の溝型鋼枠部材11の場合を示す。
【0034】
基礎材10の内部の張力を増加させ、空洞内部に投入する浚渫土砂、コンクリート塊、雑割石・中割石などの重量に耐えるように多数のメッシュ用鉄筋棒13及び基礎材用補助枠材17とで方形状の枠部材11を補強した例を示している。
【0035】
(d)、(e)は、そのメッシュの密度を高くした場合であり、さらに重量に耐えるようにしている。なおこの場合の平面図は図示を省略している。
【0036】
図4はパネル板の構造図の一実施例を示し、(a)、(b)はいずれも梯形状のパネル板1、2、3、4の周縁部は溝型鋼枠部材14で囲まれている。ここで(a)はその枠部材14を補強する補助枠材15と鉄筋棒13及び結合用金属棒16を用いた場合を示す。Dはパネル板の厚さを示す。(b)は、その枠部材14を補強するメッシュ上鉄筋棒13を使用した場合を示す。
【0037】
パネル板の底辺及び傾斜辺においては前記鉄筋棒13及び結合用金属棒16はいずれもその枠材14を貫通して外側に突出させ、パネル板の底辺及び傾斜辺に沿う前記三角状間隙溝P、Qの溝中心に位置するようにしてコンクリートを充填させた場合、その張力強度を増加させる。なお、この詳細な説明は図7の説明図で後述する。
【0038】
図5は、図4における底辺T及び上辺SをそれぞれMだけ長くした場合のパネル板の構造図である。梯形の高さL、傾斜角θ、厚さDは同じ寸法である。
【0039】
基礎材10が方形状であり、一辺がMだけ長い場合は、それに合わせて図5のように底辺及び上辺がMだけ長い梯形を、その基礎材10の長い辺状に載せて、四角錘を形成させればよい。
【0040】
その四角錘の上部には方形状孔R(S´とS+Mの辺)が自然に形成される。
【0041】
具体的な寸法として図6に示されているが、基礎材10の各辺Wが5mの場合とした。
パネル板の梯形底辺Tは4.44m、上辺Sは2.4m、すなわち方形状孔Rは2.4m×2.4mの面積を有する。また、この方形状孔Rは、基礎材10底面から1.5mの位置にある。なお、パネルいたの梯形の高さLは1.62m、傾斜辺角度θは約58°である。(図6(d)参照)
【0042】
基礎材10、パネル板1、2、3、4は、それぞれ相当の重量があり、それぞれクレーンにより吊上げて組み立て及び運搬する必要がある大型の漁礁ブロックである。
【0043】
基礎材10は、その四隅に吊上げ及び運搬するための吊金具取付ネジ/孔19(図1参照)を備えているが、パネル板1、2、3、4では、上辺Sの付近に吊金具取付ネジ/孔19を設ける(図4、5に示す)。
【0044】
図6は、クレーンを用いた漁礁ブロックのパネル板の組立を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はY−Y断面図、(c)はX−X断面図、(d)はパネル板1−4の平面図である。
【0045】
基礎材10の中心を通る補助枠部材17に対して中心支柱部材51を中心軸に沿って起立させるための結合孔又はネジ孔部52を設ける。
【0046】
基礎材10の上に、4枚のパネル板1、2、3、4を載せる前に、先ず基礎材10の中心に中心支柱部材51を起立させネジ孔部52で固定させる。
【0047】
次に、中心支柱部材51の法形状孔Rが形成されると予測される位置に図のようにパネル板仮留部材アングル50を固定する。これはネジ留めなどでよい。また、X方向とY方向にそれぞれSの長さのアングル50がネジ留めされる。
【0048】
次に、クレーンによりパネル板を一枚ずつ、先ず底面をパネル板受留部材12へ載せて内側に倒して、前記パネル板仮留部材アングル50で仮留させる。
【0049】
残りのパネル板も同様に繰り返して4枚とも仮留する。ここで、基礎材10とパネル板1、2、3、4の間の三角状間隙溝P、隣接パネル板間の三角状間隙溝Qがそれぞれ4箇所形成される。
【0050】
それらの三角状間隙溝P、Qは、それぞれ梯形の底面及び傾斜辺の枠部材を貫通した鉄筋棒13も含めて、コンクリート又は/及び接着剤を含むコンクリートにより充填する。
【0051】
前記コンクリートが固化した後で、前記中心支柱部材51とパネル板仮留部材アングル50を引き抜く。
【0052】
次に、形成された方形状孔Rより浚渫土砂91、コンクリート塊93をいれ、その上部に中詰めコンクリート(生コン)90を注入する。又は中詰めコンクリート90又は雑割・中割石92を空洞に詰める。図示しないが、浚渫土砂91、コンクリート塊93、雑割・中割石92のいずれかを複合して投入し、上部にそれらが流出しないように中詰めコンクリート(生コン)90を注入することができることは勿論である。(図8参照)
【0053】
最後に、これら漁礁ブロックを吊金具取付ネジ/孔19に吊金具20を取付け、クレーンで移動させ、運搬し、海底の所定の位置へ沈めて、必要な個数設置する。
【0054】
状況に応じては、海底に運搬して沈めてから、浚渫土砂91や、コンクリート塊93、雑割・中割石92を空洞に充填して、海中で中詰めコンクリート90を注入してもよい。
【0055】
海底では、時間の経過と共に、パネル表面の貝殻/自然石99まじりコンクリート18層の凸凹表面に昆布などの海藻が繁茂して魚の棲家として最適な漁礁が形成される。(図8(b)参照)
【0056】
図7は基礎材10及びパネル板1、2、3、4の各間の三角状間隙溝P及びQの接続例を示す。(イ)は基礎材とパネル板間の三角状間隙溝Pの場合の接続図を示す。
【0057】
図7(a)はパネル板受留部材12の位置での三角状間隙溝P断面図である。パネル板受留部材12NO先端部12aは、三角状間隙溝Pに対して平行方向へ配設する鉄筋棒の接続部材100を囲むように曲げた釣鐘形状に形成させる。
【0058】
一方(b)は、パネル板の鉄筋棒又はメッシュ材13の位置での三角状間隙溝Pの断面図である。パネル板の鉄筋棒又はメッシュ材13の先端部13aは、前記接続部材100を囲むように曲げた釣鐘形状に形成させる。
【0059】
以上のようにすれば、基礎材10の一辺の受留部材12の上にパネル板を載せると、前記接続先端釣鐘部12a、13aの曲り孔に接続部材(鉄筋棒)100を挿入して、基礎材10へパネル板1、2、3、4をそれぞれ接続させる。ここで、その接続部を鉄筋棒としてその三角状間隙溝Pへコンクリートを充填すればよい。
【0060】
(ロ)は4枚のパネル板が隣接するパネル板間の三角状間隙溝Qの場合の接続図を示す。図7(c)は、パネル板底面に平行となるメッシュ材13(基礎板10の平面にも平行する)の位置での三角状間隙溝Qの断面図である。
【0061】
(c)の下側にパネル板1の水平断面を示し、右側に隣接するパネル板2の水平断面を示す。パネル板1、2の三角状間隙溝Qは、この例では直角三角形状である。
【0062】
この三角状間隙溝Qで、それぞれの枠部材14の端面の中心孔から、それぞれのメッシュ材13の先端が突出し、さらに、その先端部は(イ)の場合と同様に接続先端釣鐘部13aを形成させている。
【0063】
接続部材100、すなわち鉄筋棒をそれらの釣鐘部13aに挿入して接続させ、この状態でコンクリートを充填する。
【0064】
なお、図7(c)では、その接続位置において、同時にパネル板1及び2の各メッシュ材13が重なるように図示してあるが、勿論その位置はずれていてもよい。むしろ、重ならないようにメッシュ材13が引き出されているほうがよい。
【0065】
なお、この実施の形態では、基礎材10は正方形状のコンクリートとしたが、いずれかの辺が長い長方形であってもよい。また、基礎材用枠部材11に鉄板を溶接し基礎材10としてもよい。この場合コンクリートに比べて軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のパネル組立式漁礁ブロックの構造図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はX−X断面図である。
【図2】パネル板の梯形形状図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図3】基礎材10の構造図の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)はY−Y断面図、(c)はX−X断面図、(d)、(e)は高密度のメッシュ鉄筋棒の断面図である。f)は基礎材10本体のコンクリート材の終端にあるH鋼枠部材11の場合を示し、(g)はコ型状の溝型鋼枠部材11の場合を示す図である。
【図4】パネル板の構造図で、(a)は補助枠材付の平面図、(b)はメッシュ型の平面図である。
【図5】別の形態のパネル板の構造図で、(a)は補助枠材付の平面図、(b)はメッシュ型の平面図である。
【図6】クレーンを用いた漁礁ブロックのパネル板の組立を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はY−Y断面図、(c)はX−X断面図、(d)はパネル板1−4の平面図である。
【図7】基礎材、パネル板間の三角状間隙溝の接続実施例を示し、(a)はパネル板受留部材12の位置での三角状間隙溝P断面図、(b)はパネル板鉄筋棒又はメッシュ材13の位置での三角状間隙溝Pの断面図、(C)はパネル板底面に平行となるメッシュ材13(基礎板10の平面にも平行する)の位置での三角状間隙溝Qの断面図である。
【図8】海底に沈める漁礁空洞実装内容の実施例を示す図で、(a)は漁礁断面図、(b)はパネル板断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4 パネル板(梯形状)
10 基礎材(方形状)
11 基礎材用枠部材(H鋼、溝型鋼等)
12 パネル板受留部材
12a 接続先端釣鐘部
13 メッシュ材、鉄筋棒
13a 接続先端釣鐘部
14 パネル板用枠部材(H鋼、溝型鋼等)
15 パネル板用補助枠部材
16 結合用金属棒
17 基礎材用補助枠部材
18 パネル板用貝殻/自然石まじりコンクリート表面
19 魚礁移送用吊金具取付ネジ/孔
20 吊金具
50 パネル板仮留部材アングル
51 中心支柱部材
52 結合孔又はネジ孔部
90 中詰めコンクリート(生コン)
91 浚渫土砂
92 雑割・中割石
93 コンクリート塊
99 貝殻・自然石
100 接続部材(鉄筋棒)
P 基礎材とパネル板間の三角状間隙溝
Q 隣接パネル板間の三角状間隙溝
R 方形状孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形状の基礎材と4枚の梯形状のパネル板とにより空洞を形成させ、その空洞へ浚渫土砂及び/又はコンクリート塊、雑割石・中割石とコンクリート(生コン)を少なくとも投入するための方形状孔を形成させた四角錘形状の魚礁ブロックであって、
前記基礎材は、その外周に方形状にH鋼或は溝型鋼の枠部材を設け、その枠部材の内側にはメッシュ状をなす複数の金属棒(鉄筋)と、必要に応じて補助枠部材を設けてコンクリートにより一体化させ、その方形状の4箇所の角隅にはそれぞれ魚礁ブロック移送用の吊金具取付ネジ・孔を設けた構造とし、
前記パネル板は、その対向する4枚のパネル板は少なくとも同一寸法の梯形状とし、その梯形状の底辺長Tは、前記基礎材方形状各辺長Wより前記吊金具取付ネジ/孔を除く長さにほぼ合わせ、前記梯形状の上辺長Sは、前記方形状の各辺に合わせ、その底辺と斜辺とのなす底辺角度θが、90度より十分小さく且つ45度より十分大きい範囲に入るように梯形の高さLを定め、その梯形の各外周に沿ってH鋼或は溝型鋼の枠部材を設け、その枠部材の内側にはメッシュ状をなす複数の金属棒(鉄筋)と必要に応じて補助枠部材を設けてコンクリートにより一体化させ、さらにパネルの一方の表面には貝殻・自然石混じりのコンクリート層を形成させた構造とし、
前記基礎材の外周に沿う各辺には、それぞれ前記パネル板を受留める複数の受留部材をさらに設け、
前記魚礁ブロックは前記基礎材の各辺上の前記受留部材の上に前記パネル板を載せて、前記基礎材の中心部へ向かって隣接する前記パネル板の前記斜辺が互いに接触するまで倒して形成させた四角錐の構造として、
さらに、前記基礎材と各パネル板の間の三角状間隙溝、並びに前記パネル板の隣接間の三角状間隙溝がコンクリート及び/又は接着剤で充填され一体的に固定されていることを特徴とするパネル組立式魚礁ブロック。
【請求項2】
請求項1記載の基礎材の中心に支柱部材を起立させる結合孔又はネジ孔部を設け、その中心支柱部材の所定位置に請求項1記載のパネル板の上辺長Sからなる方形状孔の各辺方向にSに一致する寸法のパネル板仮留部材を備え、
基礎材の各辺に設けられた受留部材上にパネル板を載せ、それぞれ中心支柱部材に向かってパネル上端を倒して、4枚のパネル板を仮留部材で仮留し、請求項1記載の各三角状間隙溝にコンクリート及び/又は接着剤を充填して固定することを特徴とする魚礁ブロックの組立方法。
【請求項3】
前記基礎材と各パネル板間の三角状間隙溝は、基礎材のパネル受留部材の先端を釣鐘状に形成し、
一方、パネル板の板部材の貫通する金属棒又はメッシュ材(鉄筋)の先端も釣鐘状に形成し、それらの釣鐘状の先端曲線中心を通る一本又は複数本の接続棒を挿入してからコンクリートにより充填固定することを特徴とする請求項2記載の漁礁ブロックの組立方法
【請求項4】
前記隣接パネル板間の三角状間隙溝は、それぞれパネル板の底面に平行なメッシュ材(鉄筋)をそのパネル板枠材を貫通させ、さらに、その両端を釣鐘状に形成し、それらの釣鐘状の先端曲線中心を通る一本又は複数本の接続棒を挿入してからコンクリートにより充填固定することを特徴とする請求項2又は3記載の漁礁ブロックの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−254840(P2006−254840A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79145(P2005−79145)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(593195576)釧石工業株式会社 (1)
【出願人】(504109551)清北産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】