パラサイト赤外線に対する統合化されたシールドを有する赤外線撮像デバイス及びその製造方法
【課題】パラサイト赤外線に対する統合化されたシールドを有する赤外線撮像デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本デバイスは、赤外線検出器(40)を有する支持体(62)と、検出器に面する少なくとも1つの光学デバイス(28)と、パラサイト赤外線に対するシールドとを備える。シールドは、互いに離間し、支持体から光学デバイスまで延び、ベントを有し、支持体と光学デバイスの間を横方向に貫通するパラサイト赤外線を顕著に減衰させる材料で作成された、少なくとも2つの連続するビード(c1,c2)を備える。これらベントを有する2つのビードは、バッフルを形成する。デバイスは、フリップチップ技術を用いて製造される。
【解決手段】本デバイスは、赤外線検出器(40)を有する支持体(62)と、検出器に面する少なくとも1つの光学デバイス(28)と、パラサイト赤外線に対するシールドとを備える。シールドは、互いに離間し、支持体から光学デバイスまで延び、ベントを有し、支持体と光学デバイスの間を横方向に貫通するパラサイト赤外線を顕著に減衰させる材料で作成された、少なくとも2つの連続するビード(c1,c2)を備える。これらベントを有する2つのビードは、バッフルを形成する。デバイスは、フリップチップ技術を用いて製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラサイト赤外線(parasite infrared radiation)に対する統合化されたシールドを有する赤外線撮像デバイス及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、冷却カメラの領域で利用でき、カメラが出力する画像の熱雑音を低減するために、このタイプのカメラの赤外線検出器が冷却される。その結果、カメラが設置されるクライオスタット内側の温かい部分によって放出されるパラサイト赤外線から保護される。
【背景技術】
【0003】
図1は、公知の冷却式サーマルカメラ(cooled thermal camera)、すなわち冷却カメラ(cryogenic camera)を含む公知のクライオスタット(cryostat)2の断面図を示す。クライオスタットの内部は真空下に置かれている。残留圧力は一般的に、10−5Pa以下である。図1に示される実施例の場合では1度だけ、あるいは、図示しない適切な手段を用いた場合では動的に、真空が形成される。
【0004】
冷却カメラは、クライオスタット2に設置され、クライオスタットに取り付けられた窓6に面する赤外線検出デバイス4と、赤外線検出デバイス4で観察されるシーン画像を形成し、クライオスタット2の外部で窓6に面する光学デバイス8とを備える。
【0005】
コールドテーブル10はクライオスタットの内部に設置され、赤外線検出デバイス4がコールドテーブル10の上に設置される。図に示すように、コールドテーブルは適切に密閉された孔13を介してクライオスタットの壁を貫通するコールドピン12によって延長される。
【0006】
このコールドピン12はクライオスタットの外部に設置された(図示しない)クライオジェニックマシン(cryogenic machine)の端部を形成する。例えば、クライオジェニックマシンは、回転式クライオジェニックマシン、スターリングクーラ又はパルスチューブであってもよい。
【0007】
従って、赤外線検出デバイス4は、極低温領域、一般的には77Kの温度に冷却される。これにより、最適なSN比を得るために熱雑音を最小化する。
【0008】
赤外線検出デバイス4は、シールド14が設けられ、パラサイト赤外線から保護される。シールド14は通常、軽金属で、熱の良導体であるアルミニウムで作られる。シールド14には、赤外線検出デバイス4の視野角、例えば30°を画定するダイヤフラムを形成する開口部16がある。
【0009】
シールド14は、例えば、光学デバイス8における、開口部を介して向けられたシーンの外部に位置付けられる点や、周囲温度(約20℃)であるクライオスタットの温かい壁等の、カメラの視野の外側の領域由来の熱放射の伝達15を遮断又は減少するように設計される。
【0010】
シールド14は、コールドテーブル10に固定される。従って、シールド14は冷却され−これがコールドシールとも呼ばれる理由である−、内部の放射汚染を防ぐ。
【0011】
実際に、カメラによって占有される体積は原則的に、(クライオスタット2の外部に位置付けられる)光学デバイスによって決められる。例えば、次の特許文献1(WO 2006/122907, Optical head for detecting the launch of missiles or other monitoring equipment, Bouchardy et al)を参照されたい。
【0012】
特許文献1は、大容量の光学デバイスを備える非常に広い視野のカメラを示す。
【0013】
しかしながら、例えば、オプトエレクトロニクスシステムを軽飛行機等の手段に組み入れることができるためにオプトエレクトロニクスシステムを小型化し、ほんの小さな体積の対象物を中に取り付けることができるようにするニーズが高まっている。
【0014】
従って、検出デバイスに可能な限り近い光学機能の統合により、従来のシステムよりも良好な光学的性能及び放射性能を提供すると共に、1kg以下のオーダーの重量と10cm以下のオーダーのサイズとを有する小型化された完全なシステムの設計手段となる。
【0015】
長い間、本来の運転ニーズを満たす追加機能をオプトエレクトロニクスシステムに組み入れることができなかった。しかしながら、最近、コールドシールドの体積によって画定されるフリースペースに光学機能の統合が構想された。例えば、以下の特許文献2(US 2005/0078208, Cold shield for cryogenic camera, Minarik et al)を参照されたい。
【0016】
フリップチップ技術が公知であるということにも注意されたい。フリップチップ技術は、チップを組み立てて互いに相互接続するのに使用される。そして、結果として、アセンブリの最終高さが、1μmのオーダーの優れた精度で得られる。
【0017】
従って、フリップチップ技術は直接、光学デバイスの相対位置に対して、オプトエレクトロニクスに使用され、特にフリースペースにおける2つの光学デバイス間の光結合をもたらし得る。
【0018】
フリップチップ技術は、マトッリクス検出デバイスに適用されてもよい。例えば、図2の断面図に見られる検出デバイスの製造に使用することができる。
【0019】
これは、赤外線カメラ・オン・チップデバイスであり、リード回路20上に、赤外線検出回路18の第1アセンブリ又は赤外線網膜(infrared retina)を備える。本アセンブリは、フリップチップ技術を用い、そして、ハンダボール22を用いて作成される。リード回路20は、機械的支持体を形成し、また光学基準としての機能を果たす、セラミック基板24に固定される。全ての光学素子は、該機械的支持体に対して置かれる。
【0020】
より大きなハンダボール26を用いて、光学デバイス28がリード回路20にハイブリッド形成(一体化)されてもよい。光学デバイス28は赤外線検出デバイス18上にシーン画像を形成する。例えば、光学デバイス28は、赤外線検出回路18への距離がより大きなハンダボール26の高さによって画定される、マイクロレンズ・マトリックス30を備える。
【0021】
図2に示すように、赤外線検出回路18上に設置されるマイクロレンズ・マトリックスは、取り付けられた金属ホールマスク32のため、ダイヤフラム加工されたコールドフィルターを形成する。
【0022】
このような構造はダイヤフラム加工された単一チャネル光学エレメント34の周期的繰り返しの結果である。このようなエレメントに関して、以下の特許文献3(WO 2010/040914, Infrared wide field imaging system integrated in a vacuum housing, Druart et al)を参照されたい。
【0023】
光学デバイス28は、参照されるべき以下の非特許文献1(Jun Tanida et al., Thin observation module by bound optics (TOMBO): concept and experimental verification, Applied Optics, Vol. 40, No. 11, 2001, pp. 1806-1813)で公知である、TOMBOタイプのコンセプトに従い、網膜18に向けてデバイス28を移動させることによって、カメラの小型化を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公報第2006/122907号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0078208号明細書
【特許文献3】国際公報第2010/040914号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Jun Tanida et al., Thin observation module by bound optics (TOMBO): concept and experimental verification, Applied Optics, Vol. 40, No. 11, 2001, pp. 1806-1813
【発明の概要】
【0026】
本発明は、パラサイト赤外線に対する赤外線撮像デバイス用シールドの問題を解決することを目的とする。パラサイト赤外線は、デバイスのパーツを形成する赤外線検出器に到達し、かつ、正面パラサイト赤外線のような観察視野に由来しない赤外線を含むことができる。
【0027】
さらに具体的に言えば、本発明は、赤外線撮像デバイスのパーツを形成する赤外線検出器と光学デバイスとの間のスペースに横方向に通過することがある、パラサイト赤外線に対する赤外線撮像デバイス用シールドの問題を解決することを目的とする。
【0028】
具体的には、本発明は、赤外線に敏感な領域を含む赤外線検出器を有する支持体と、前記赤外線検出器に面して設置される少なくとも1つの光学デバイスと、パラサイト赤外線、すなわち、前記支持体と前記光学デバイスの間のスペースを前記光学デバイスを介して貫通することができる正面パラサイト赤外線(frontal parasite radiation)、及び、前記スペースを横方向に貫通することができる横方向パラサイト赤外線(lateral parasite radiation)に対するシールドデバイスとを備える赤外線撮像デバイスであって、前記シールドデバイスは、互いに離間し、各々がベントを備えて横方向パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で形成されるN個の連続するビードを有する少なくとも1つのシールドアセンブリを備え、前記N個のビードの各々が前記支持体から前記光学デバイスまで延び、Nは少なくとも2に等しい整数であり、階層1のビードが少なくとも前記赤外線検出器の前記感度領域を囲み、階層iのビードが階層i−1のビードを囲み、iが2〜Nの範囲で変化し、対応するベントを備えるN個のビードが少なくとも1つのバッフルを形成することを特徴とする赤外線撮像デバイスである。
【0029】
横方向パラサイト赤外線の減衰は80%を超え、かつ、使用されるビードの数があまりにも大きくなることはないが十分に広がるようにビードを作成する材料は選択されるといくことに留意すべきである。
【0030】
また、次の点に留意すべきである。
−赤外線撮像デバイスが真空化に置かれるとき、ベントは光学デバイスと赤外線検出器の間にある空気を排出するために使用されること、
−2つの連続するビードの間のスペースはこのスペースを通過することができるパラサイト赤外線用ガイド領域を形成し、パラサイト赤外線がビードの壁の間を導かれ、パラサイト赤外線の強度が壁の間を進むに従い低減化されること。
【0031】
本発明は多くの利点を有する。
−接着剤を使用するニーズを回避し、赤外線検出器の支持体を光学デバイスの支持体に接合する;そして
−検出器支持体とコンポーネント支持体との間の均一な接合の信頼性の問題を除去する。これは、本発明が試行することなく気密シールを得られるからであり、特に赤外線検出器が位置付けられる領域に真空が形成されるからである。
【0032】
本発明の赤外線撮像デバイスの好ましい一実施形態によれば、各シールドアセンブリにおいて、階層i及びi+1個のビードそれぞれに対して、ベントが互いに180°反対であり、iが1〜N−1の範囲で変化する。
【0033】
好ましくは、各ベントのサイズは範囲[1μm;10μm]内にある。
【0034】
本発明のデバイスの特別な一実施形態によれば、Nが少なくとも3に等しい。
【0035】
好ましくは、各シールドアセンブリの連続するビードが範囲[1μm;10μm]内にある。
【0036】
本発明において、ビードは有利にはハンダビードである。
【0037】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、第2の面は赤外線検出器に面し、シールドデバイスはまた、第1の面の上に形成され、正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する層を備える。
【0038】
好ましくは、光学デバイスは、横方向パラサイト赤外線の伝達を阻止することができる材料を光学デバイスの両サイドに備える。
【0039】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、赤外線撮像デバイスは、M個の光学デバイスを備え、シールドデバイスはM個のシールドアセンブリを備え、Mは少なくとも2に等しい整数であり、各光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、階層1の光学デバイスの第2の面は赤外線検出器に面し、階層jの光学デバイスの第2の面は階層j−1の光学デバイスの第1の面に面し、階層1のシールドアセンブリは支持体から階層1の光学デバイスまで延び、階層jのシールドアセンブリは階層j−1の光学デバイスから階層jの光学デバイスまで延び、jは2〜Mの範囲で変化し、シールドデバイスはまた、階層Mの光学デバイスの正面に形成される層を備え、前記層は正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する。
【0040】
本発明の特別な一実施形態によれば、支持体はまた、基板と、基板上のリード回路とを備え、赤外線検出器は、ハンダボールによってリード回路にハイブリッド形成され、基板に最も近い光学デバイスは、シールドアセンブリを介して、赤外線検出器、リード回路及び基板の中から選択されるエレメントの一つに接続される。
【0041】
他の特別な実施形態によれば、支持体はまた、基板とリード回路の間の相互接続ネットワークを備え、基板に最も近い光学デバイスは、シールドアセンブリを介して、赤外線検出器、リード回路、基板及び相互接続ネットワークの中から選択されるエレメントの一つに接続される。
【0042】
他の特別な実施形態によれば、少なくとも1つの光学デバイスは基本検出チャネルを画定するマイクロレンズ・マトリックスを備える赤外線撮像デバイスであり、さらに、パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で作成され、マイクロレンズ・マトリックスと検出器との間に設置され、互いに基本チャネルを分離する壁のセットを備える。
【0043】
本発明はまた、前記発明の赤外線撮像デバイスの製造方法に関し、赤外線検出器を備える支持体の上に前記シールドアセンブリを形成し、赤外線検出器に面して光学デバイスを設置し、シールドアセンブリに光学デバイスを固定する。
【0044】
本製造方法の好ましい一実施形態によれば、フリップチップ技術を用いて支持体に赤外線検出器を組み立て、ハンダビードを用いてシールドアセンブリを形成し、フリップチップ技術を用いてハンダビードに前記光学デバイスを固定する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】公知の冷却カメラを含む公知のクライオスタットの断面図。
【図2】チップ上の赤外線カメラの断面図。
【図3】図3A及び図3Bは横方向のパラサイト赤外線に対する本発明に使用され得るシールドの平面図である。
【図4】シールドを使用し、パラサイト赤外線の強度の漸減を示す図。
【図5】本発明に使用され得るマイクロレンズ・マトリックスの例示的光学チャネルの実施例の断面図。
【図6】本発明の赤外線撮像デバイスの特定の実施形態の断面図。
【図7】従来の赤外線撮像デバイスの実施例の断面図。
【図8】本発明の赤外線撮像デバイスの他の特定の実施形態の断面図。
【図9】本発明の赤外線撮像デバイスの他の特定の実施形態の断面図。
【図10】図10は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図10Aは平面図に、図10Bは断面図に対応する。
【図11】図11は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図11Aは平面図に、図11Bは断面図に対応する。
【図12】図12は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図12Aは平面図に、図12Bは断面図に対応する。
【図13】図13は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図13Aは平面図に、図13Bは断面図に対応する。
【図14】図14A〜図14Fはフリップチップ組立技術の工程を示す図。
【図15】図15A〜図15Cはフリップチップ組立技術の工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、添付図面を参照し、単にガイダンス目的のための与え、全く制限するものではない例示的実施形態の記載を読んだ後、より深く理解される。
【0047】
以下に、本発明の様々な実施形態を説明する。これら実施形態は、図2を参照して説明されるチップ上のカメラを使用する。
【0048】
本発明によれば、カメラが使用されるときに内部にカメラが設置される(図示しない)極低温容器又はクライオスタットと、カメラが設置されるシーン表面の観察視野の外部にあるものとに由来するパラサイト赤外線に対してシールドするために、カメラが修正される。
【0049】
正面パラサイト赤外線は、アドオン光学デバイス28(図2)と光学デバイス28を通過する赤外線検出回路18との間のスペースに入り込めるパラサイト赤外線として定義される。
【0050】
横方向パラサイト赤外線はまた、光学デバイス28をリード回路20にハイブリッド形成するのに使用される、より大きなハンダボール26間のスペースに横方向に貫通するパラサイト赤外線として定義される。
【0051】
チップ上のカメラの構成は、固有の防御特性を与える。アドオン光学デバイス28は、光学デバイス28のダイヤフラム面、すなわち、ホールマスク32が位置付けられる面のために、正面パラサイト赤外線に対してカメラをシールドすることができる。従って、横方向パラサイト赤外線からチップ上のカメラを保護することのみが残される。
【0052】
本発明によれば、より大きなハンダボール26の代わりに、連続接合を形成する周囲ハンダビード(peripheral solder bead)が横方向光学シールドを形成するために使用される。
【0053】
次に、光学デバイス28を形成するマイクロレンズ・マトリックスを移動させるため、連続するハンダビードは、ハンダリフローの前に使用されたハンダ容量と、互いに面する濡れ性のある面とによって画定される、凝固の後の高さで形成される。
【0054】
この場合、溶融ハンダの表面張力の平衡を使用する従来のハイブリッド形成ルールが使用される。この点に関するさらなる情報のために、文献(G. Humpston and D. Jacobson, Principles of soldering, pp. 189-242, ASM International, 2004)を参照されたい。
【0055】
実際、クライオスタット中に真空を形成するときには、光学デバイスと検出回路との間の空気を抜くために、ベントがビードに設けられなければならない。
【0056】
さらに、各々が自身にベントを有する2つハンダビードが1つのビードに代えて設けられ、パラサイト赤外線の導入を最小化する好適な光学シールドを形成する。そして、これらベントを有するビードが残余パラサイト赤外線を捕捉する少なくとも1つのバッフルを内部に形成するように、ベントが配置される。例えば、2つのビードのみが設けられる場合、対応するベントは互いに面しない。
【0057】
しかしながら、非常に低いSN比が必要である非常に影響を受けやすいコンポーネントに対して、2つより多いビードを使用し、かつ適切にビードを配置することによって、バッフルの数を増加することを定めることができる。
【0058】
図3A及び図3Bは、横方向パラサイト赤外線に対するシールドの実施例の平面図を示す。
【0059】
図3Aに示される、シールド36又はシールドアセンブリは、本発明と適合する赤外線撮像デバイスのパーツを形成し、リード回路38とリード回路38にハイブリッド形成された赤外線検出器40のみを見ることできる。
【0060】
シールドアセンブリ36は、横方向パラサイト赤外線42を減衰し、ベントe1及びe2をそれぞれ有する2つのハンダビードc1及びc2から構成される。ビードc1は検出器40を囲み、ビードc2はビードc1を囲む。
【0061】
ベントe1及びe2は、これらベントを有する2つのビードがバッフルを形成するように設置される。従って、2つのベントは互いに面しない。実施例において、2つのベントは互いに180°反対であり、後でその理由がわかる。
【0062】
図3Bに示される、シールド44又はシールドアセンブリは、本発明と適合する赤外線撮像デバイスのパーツを形成し、リード回路46とリード回路46にハイブリッド形成された赤外線検出器48のみを見ることできる。
【0063】
シールドアセンブリ44は、横方向パラサイト赤外線50を減衰し、ベントe1,e2,・・・,eN−1,eNをそれぞれ有するN個のハンダビードc1,c2,・・・,cN−1,cNから構成される。ここで、Nは少なくとも3に等しい整数である。示された実施例において、整数Nは7に等しい。ビードc1は検出器48を囲み、ビードc2はビードc1を囲み、・・・、ビードcNはビードcN−1を囲む。
【0064】
N個のベントe1〜eNは、これらのベントを有するN個のビードc1〜cNが少なくとも1つのバッフルを形成するように設置される。例えば、(検出器の単一サイドで全てが)互いに面するN−1個のベントと、これらN−1個のベントと面せず、かつ、これらN−1個のベントから例えば180°反対である(従って、検出器に対して、これらN−1個のベントと反対である)1つのベントとがあってもよい。
【0065】
しかし、好ましくは、図3Bに示されるように、いくつかのバッフルがあり、2つの連続したビードに対応するベントがさらに互いに180°反対である。ベントe1はベントe2と180°反対であり、・・・、ベントeN−1はベントeNと180°反対である。
【0066】
好ましくは、ベントによって形成される開口部のサイズは、これらベントに形成されるバッフルに入るパラサイト赤外線が可能な限り低くなるほどである。一般的には、これら開口部に与えられるサイズTは1μm〜10μmで変化する。
【0067】
好ましくは、2つの連続したビード間のスペースEはまた、1μm〜10μmで変化する。
【0068】
入射(incoming)パラサイト赤外線の経路が出来る限り長くなるように、ベントそれぞれの位置は互いに反対であることが好ましい。これにより、ハンダビードの壁の間で導かれる入射パラサイト赤外線の強度損失によって得られる利益を最大化する。これら壁はパラサイト赤外線を拡散する粗度を有する。従って、壁での連続する反射の期間、パラサイト赤外線の強度が減衰する。
【0069】
図4に示す図は、図3Aの実施例と同じものを示す。
【0070】
パラサイト赤外線52が、2つのビードc1とc2との間を、垂直入射で貫通することがわかる。従って、パラサイト赤外線52は、2つのビードによって画定される領域の外部ではね返される。パラサイト赤外線54はまた、2つのビードの壁の間で導かれ、従って、これらビードによって形成されるバッフルに捕捉されるということがわかる。パラサイト赤外線54の強度は壁の間を進行するに従って減衰する。
【0071】
ハンダビードの厚さ及び高さは直接、使用される光学構造に関連する。「カメラ・オン・チップ」アプローチの枠組みにおいて、光学工学により、レイトレーシングによって得られるサイズとなる。
【0072】
図5は、マイクロレンズ・マトリックス(図2)の例示的基本光学チャネル34の実施例の断面図である。基本チャネルは、Zemax(登録商標)、Oslo(登録商標)又はCODE V(登録商標)型の商業的レイトレーシング・ソフトウェアを使用して設計される。
【0073】
基本光学チャネルは、赤外線検出器40(図3A)又は赤外線検出器48(図3B)の、赤外線に敏感な感度領域Zから距離Hに設置されるマイクロレンズ56によって特徴付けられる。
【0074】
距離Hは直接、マイクロレンズの焦点距離に関連する。示された実施例において、距離Hは0mm〜1mmの範囲である。
【0075】
また、図2のホールマスク32のパーツ58を見ることができる。パーツは開口部60を有する金属ダイヤフラムを形成する。このダイヤフラムの寸法Dは、感度領域Zの画素サイズよりも大きく、検出器の画素サイズよりも小さい。そして、実施例において、開口部60の直径φは0.1μm〜Dの範囲である。
【0076】
ハンダ量及び濡れ性のある面によって画定されるハンダビードの厚さ及び高さは、フリップチップ技術を用いて、非常に精確に、検出器の上に光学デバイスを位置付ける。
【0077】
図6は、結果としてもたらされる本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の断面図を示す。これは、正面及び横方向パラサイト赤外線に対してシールドされるチップ上のカメラである。
【0078】
図2及び図3Aのいくつかの表記を利用すると、図6に以下が示される。
−例えばセラミックで作成される、基板62
−基板62に支持されるリード回路38
−ハンダボール64によってリード回路にハイブリッド形成される赤外線検出器40
−各光学チャネルを光学的に分離する壁のセットP
−マイクロレンズ・マトリックス30を備える光学デバイス28
−正面及び横方向パラサイト赤外線に対するシールドデバイス
【0079】
シールドデバイスは、
−光学デバイス28の第1の面に支持されたホールマスク32(光学デバイス28の第2の面は第1の面の反対側で赤外線検出器40に面する);
−横方向パラサイト赤外線の伝達を防止する材料の光学デバイス28の両サイドのデポジットd(一般に、光学デバイスは横方向パラサイト赤外線の伝達を防止可能な材料を光学デバイスの両側に備えることで十分である);及び
−示された実施例でリード回路38から光学デバイス28に延びる、2つの連続したハンダビードc1及びc2によって形成されるシールドアセンブリ、を備える。
【0080】
また、セラミック基板62を支持し、コールドピン68によって延びるコールドテーブル66を見ることができるが、コールドピン、コールドテーブル、そして、極低温、例えば77Kに撮像デバイスの温度を下げる機械は図示されない。
【0081】
しかしながら、使用時、撮像デバイスが設置されるクライオスタットは破線69で示される。そして、(図示しない)窓は、光学デバイス28が設置され、面するクライオスタットの壁に設けられる。
【0082】
ワイヤー70の一部はまた、リード回路38を出力ワイヤー72に電気的に接続することがわかる。出力ワイヤーは、リード回路38を、(クライオスタットの内部に設置されるのと同等であるが)クライオスタットの外部に設置される、撮像デバイスの(図示しない)電子的制御手段に接続する。
【0083】
図7は、従来の撮像デバイスの実施例の断面図を示す。図7において、赤外線検出器40は、リード回路38、リード回路を支持する基板62、コールドピン68によって延長するコールドテーブル66、ワイヤー70及び出力ワイヤー72にハイブリッド形成(一体化)されることがわかる。
【0084】
図7の場合、パラサイト赤外線に対する検出器40の保護は、コールドスクリーン74によってもたらされる。コールドスクリーンは、検出器40に面する開口部76を備え、視野角78を画定する。
【0085】
図7のデバイスがその使用のために設置されるクライオスタットは、図示されない。クライオスタットは、開口部76に面する窓を備えている。撮像デバイスは、クライオスタットの外部に設置される(図示しない)光学素子を備え、窓に面する。
【0086】
図6及び図7を互いに比較すると、図6のデバイスにおいて、図7のデバイスのコールドスクリーンが、
−光学デバイス上に形成され、そして、ホールマスク32で、すなわち、開口部が、形成され、かつ正面パラサイト赤外線を阻止し、正面パラサイト赤外線に対して検出器を保護する材料で作成された層で、構成される上部シールド、
−横方向パラサイト赤外線の伝達を防止する光学デバイス28の両サイドのデポジットd、及び
−横方向パラサイト赤外線に対して、特に、ワイヤー70中の電流の通過からもたらされる放射エネルギー79にして、検出器を保護する2つのハンダビードc1及びc2によって形成される周囲シールド、
によって置き換えられていることがわかる。
【0087】
周囲ハンダビードが検出器の下に位置付けられる支持体の上に形成されてもよいということを考慮すれば、検出器がいつもパラサイト赤外線に対して保護されるという条件で、カメラ・オン・チップ構成の変形例が想定される。
【0088】
例えば、システム・イン・パッケージ(System-In-Package)型構造がシリコン貫通ビア(through-silicon vias)によって相互接続されるチップの積層体を備えることを考慮すると、結果物は本発明と同じ他の構造である。図8は、この他の構造の断面図を示す。
【0089】
図に示すように、図8に示されたデバイスは、デバイスが相互接続ネットワーク80も備える点で、図6に示されたデバイスと異なる。相互接続ネットワークは基板62の上に支持される。
【0090】
検出器40はハンダボール64を介して、図6のリード回路38と同じリード回路82に、ハイブリッド形成される。リード回路は、他のハンダボール86を介して相互接続ネットワークにハイブリッド形成されるシリコン貫通ビア84を備える。
【0091】
さらに、図8に示されるような場合、図6のビードc1及びc2に対応するハンダビードC1及びC2は、相互接続ネットワーク80から光学デバイス28に延びる。そして、出力ワイヤー72はワイヤー70を介して相互接続ネットワーク80に接続される。
【0092】
一般に、撮像デバイスがクライオスタットの中にあり、すぐに使用できる場合、これらビードが(間接的に)コールドピン68と接続し、検出器40をクライオスタットのパラサイト赤外線源(特に、ワイヤー及びクライオスタットの温かい壁)から保護するという条件で、ダイヤフラム式光学デバイスを囲むビードは、支持体の上に配置されてもよく、支持体自身に基板62及び検出器40を含む。
【0093】
セラミック基板上にビードを設置することが要求される場合、ハンダが接着し得る適切な金属領域がセラミック基板上に設けられる。
【0094】
検出器上にビードを位置付けることが要求される場合、ビードは検出器の感度領域、換言すれば、赤外線の全検出画素を囲むように、配置される。
【0095】
本発明と同じデバイスはまた、中間ハンダビード(intermediate solder beads)によって垂直に積層される幾つかの光学ステージのセットを備えるように設計され得る。これは、本発明の他の実施例の断面図を示す図9に図示される。
【0096】
次のものが、図9において使用される。
−赤外線検出器からの最端部はホールマスクが設けられ、正面パラサイト赤外線を阻止する、M個の光学デバイス、及び
−横方向パラサイト赤外線を減衰するM個のシールドアセンブリ(但し、Mは1より大きな整数)
【0097】
実施例において、Mは2であり、各シールドアセンブリは2つのハンダビードを備え、図3Aの場合のように各々が(図示しない)ベントを備える。
【0098】
図に示すように、図9に示される撮像デバイスは、撮像デバイスが1つの光学デバイスの代わりに2つの光学デバイスを備え、各々の光学デバイスが結像機能(imagery function)又は分光フィルター機能を有することができるという事実によって、図6に示された撮像デバイスと異なる。これら2つの機能はまた、(光学デバイスの数を制限するために)少なくとも1つのジオプター(dioptre)が結像機能を実行するために形成され、そして、スペクトル帯を制限する処理、又は例えば反射防止処理を受けた、同じ光学デバイスによって実行されてもよい。
【0099】
同じエレメントは、図6及び図9で同じ符号を有する。図9の撮像デバイスは、結像機能を実行するマイクロレンズ・マトリックス90を有する第1光学デバイス88と、デバイス88と検出器40との間でコールドフィルター機能を実行する第2光学デバイス92とを備える。
【0100】
さらに、デバイス88の下面は2つのハンダビード98及び100によってデバイス92の上面に接続され、デバイス92の下面は2つのハンダビード102及び103によってリード回路38に接続される。そして、図に示すように、横方向パラサイト赤外線の伝達を防止するデバイス88及び92の両サイドにまだデポジットdがある。
【0101】
デバイス88の上面に形成されるホールマスク96と同じタイプのダイヤフラムのセットは、ホールマスクが設置される光学デバイスの上面の金属デポジットを使用して得ることができる。
【0102】
さらに、本発明によれば、光学構造は必ずしも、TOMBO型構造を必要としない(この頭字語(TOMBO)の意味は、上述の非特許文献1に説明されている)。
【0103】
ベントを有する連続するビードを作成するために、フリップチップ技術を説明した。この技術は、位置合わせ及び熱伝導性の観点から非常に効率的である。
【0104】
しかしながら、材料の特性により光学デバイス及び/又は機械を精確に位置決めできるものであれば、フリップチップ技術の実施に使用される材料と異なる材料、例えば、導電性ポリマー又はナノ材料等あらゆる種類への転換により、同じシールド結果物をもたらすことができる。
【0105】
さらに、上述の実施例で検討された光学デバイスはマイクロレンズ・マトリックスである。しかし、本発明は、赤外線検出器、例えば、単一のチャネル光学素子、フィルター、回折格子等に面して設置されなければならない、他のタイプの光学デバイスと共に使用され得る。
【0106】
さらに、上記の実施例において、ホールマスクは、正面パラサイト赤外線に対して検出器をシールドするために使用される。しかしながら、他のシールド、例えば、コード化マスク(coded mask)、ダイヤフラム、アイリス(iris)等も、このパラサイト赤外線に対して可能である。
【0107】
本発明は次の特別な利点を有することに留意すべきである。
−本発明は大きな体積のパーツであるコールドスクリーンを有さない;
−本発明はクライオスタットの体積を低減することができることから、本発明は、例えばコンパクトな対象物しか収容することができない軽飛行機等の手段に統合するのに役立つ;そして、
−本発明は、冷却される体積の低減化のために、極低温運転温度、例えば77Kに到達するのに必要な時間の短縮化を可能にする。
【0108】
次に、図10A及び図10Bを参照して、本発明の撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を説明する。この工程の各々は、後で再度説明されるフリップチップアセンブリ技術を使用する。
【0109】
文字Aが付加された図面は平面図に対応し、文字Bが付加された図面は断面図に対応する。
【0110】
最初の工程では、赤外線検出器とリード回路をハイブリッド形成するために、リード回路106又は他のホスト回路の上にハンダボール104のセットを形成する(図10A及び図10B)。
【0111】
次の工程では、撮像システム、例えば、ハンダボール104によってリード回路106上に適切な赤外線検出回路108のハイブリッド形成によってIRCMOS(InfraRed Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプの撮像システムを形成する(図11A及び図11B)。ハンダにより接着される回路106及び108の金属パッドが図示されないことに留意すべきである。
【0112】
次の工程では、図3Aに示されるような構造をもたらす、検出器108周囲のリード回路106上に、ベント114,116をそれぞれ有する2つの連続する周囲ハンダボール110,112を形成する(図12A及び図12B)。
【0113】
リード回路106は前もって、2つのビードを形成するためにハンダを添加できるように、ハンダによって濡れ性のある(wettable)適切な金属面118を備えたことに留意すべきである。また、ベントがビードと同時に形成されることに留意すべきである。この形成のために使用されるフォトリソグラフィーマスクはこのために提供される。
【0114】
次の工程は、リード回路106の上に光学デバイス119のハイブリッド形成(一体化)である(図13A及び図13B)。光学デバイス119は実質的に、図6のデバイス28と同じタイプである。マイクロレンズ120と、ホールマスク121(ダイヤフラムのセット)と、周囲シールド122(メタライゼーション)とを備える。また、ハイブリッド形成のため、ハンダによって濡れ性のある適切な金属面123を備える。
【0115】
結果として、得られた構造体はパラサイト赤外線124に対して保護される。
【0116】
従って、結果物は、図6に示したタイプのデバイスである。当業者であれば当然、既に説明した方法を適用し、図8及び図9に示したタイプのデバイスを形成することができる。
【0117】
次に、図14A〜図14F及び図15A〜図15Cの部分断面図を参照して、フリップチップアセンブリ技術の様々な工程を簡単に説明する。
【0118】
最初の工程では、領域128等のパッシベーション領域(passivation zones)と、これら領域中に、例えばディスク状のアルミニウム製の金属ディスク130とを有する、コンポーネント126、例えば工場からCMOS回路を準備する(図14A)。次の工程では、金属ディスクの上に、面132等の濡れ性のある面を堆積させる(図14B)。
【0119】
次の工程では、ハンダ、例えばインジウムの有効体積を画定するために、濡れ性のある面に不可欠なフォトリソグラフィーであり、例えばエレメント134等の感光性樹脂エレメントを使用する(図14C)。そして、ハンダを堆積させ、塊136等の有効なハンダ塊を形成する(図14D)。
【0120】
次の工程は、感光性樹脂を除去するリフトオフである(図14E)。そして、リフローが行われ、ボール状のハンダボール138を対応する濡れ性のある面の上に形成する(図14F)。
【0121】
従って、リフトオフを使用するハンダボールの形成のための技術を説明する。しかしながら、ハンダボールの形成のための他の技術も使用され得る。例えば、別々のボールを移動し、又は、インクジェット、電気分解、フォトリソグラフィーを使用することができる。
【0122】
これら全ての技術は共通して、各ボールの形態(直径、高さ)が、堆積材料の体積−実施例におけるインジウムの量−、及び、濡れ性のある面の面積(リフロー後のボールのベース)により決定されるという点を有する。
【0123】
次の工程は、コンポーネント126の上に、パッド142を備える他のコンポーネント140のハイブリッド形成である。
【0124】
最初の工程は、適当なマイクロスコープ144を使用し、例えばフリップチップボンダーを用いて、2つのコンポーネント126及び140をあわせる。例えば、SETカンパニー・レファレンスFC150で販売されるデバイス(図15A)が使用され得る。
【0125】
そして、コンポーネント140のパッド142は、コンポーネント126の対応するハンダボール138の上に位置付けられる(図15B)。次の工程は、ボール138のリフローであり、コンポーネント126及び140の自己調整をもたらす(図15C)。
【0126】
再度、本発明に使用される光学デバイスを検討する。
【0127】
光学デバイスは必ずしも硬い必要はない。本発明において、柔軟性のある光学デバイスを使用することができ、すなわち、ビードに由来するパラサイト赤外線に対してシールドを維持しながら、異なるサイズのビードを使用し湾曲させ、光学デバイスを湾曲させる。
【0128】
さらに、ハンダビードは上記実施例において使用されるが、他のタイプのビードも可能である。
【0129】
例えば、ベントを有し赤外線を減衰させる金属で作成され、かつ、互いにネストする管状のビードを、使用することができる。
【0130】
例えば、再び図6の場合を検討すると、ビードc2は回路38上に支持されるチューブの第1部分によって置換され、そして、ビードc1はコンポーネント28上に支持されるチューブの第2部分によって置換され、第1部分にネストする。
【0131】
さらに、複数のチャネルを有する光学デバイスの特別な場合、撮像デバイスの領域の外部のいくつかの赤外線束は、光学デバイス上のダイヤフラムによってスクリーンされず(図6の実施例のホールマスク32)、従って、所定のチャネルに隣接するチャネル専用の検出器の領域上に焦点を合わせることができる。
【0132】
この場合、異なるチャネルの両サイドは処理され、チャネル間パラサイト赤外線を阻止するために、チャネル上に金属デポジットを形成する。
【0133】
この点は、壁Pのセットを示す図6に示される。これら壁は、マイクロレンズ・マトリックス30と検出器40の間に配置され、互いにチャネルを分離する。
【0134】
実際に、この点は、図13Bの説明においてチャネルで扱われた周囲シールドの転位(transposition)である。
【0135】
さらに、これら壁についての情報は、上述の非特許文献1で開示されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラサイト赤外線(parasite infrared radiation)に対する統合化されたシールドを有する赤外線撮像デバイス及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、冷却カメラの領域で利用でき、カメラが出力する画像の熱雑音を低減するために、このタイプのカメラの赤外線検出器が冷却される。その結果、カメラが設置されるクライオスタット内側の温かい部分によって放出されるパラサイト赤外線から保護される。
【背景技術】
【0003】
図1は、公知の冷却式サーマルカメラ(cooled thermal camera)、すなわち冷却カメラ(cryogenic camera)を含む公知のクライオスタット(cryostat)2の断面図を示す。クライオスタットの内部は真空下に置かれている。残留圧力は一般的に、10−5Pa以下である。図1に示される実施例の場合では1度だけ、あるいは、図示しない適切な手段を用いた場合では動的に、真空が形成される。
【0004】
冷却カメラは、クライオスタット2に設置され、クライオスタットに取り付けられた窓6に面する赤外線検出デバイス4と、赤外線検出デバイス4で観察されるシーン画像を形成し、クライオスタット2の外部で窓6に面する光学デバイス8とを備える。
【0005】
コールドテーブル10はクライオスタットの内部に設置され、赤外線検出デバイス4がコールドテーブル10の上に設置される。図に示すように、コールドテーブルは適切に密閉された孔13を介してクライオスタットの壁を貫通するコールドピン12によって延長される。
【0006】
このコールドピン12はクライオスタットの外部に設置された(図示しない)クライオジェニックマシン(cryogenic machine)の端部を形成する。例えば、クライオジェニックマシンは、回転式クライオジェニックマシン、スターリングクーラ又はパルスチューブであってもよい。
【0007】
従って、赤外線検出デバイス4は、極低温領域、一般的には77Kの温度に冷却される。これにより、最適なSN比を得るために熱雑音を最小化する。
【0008】
赤外線検出デバイス4は、シールド14が設けられ、パラサイト赤外線から保護される。シールド14は通常、軽金属で、熱の良導体であるアルミニウムで作られる。シールド14には、赤外線検出デバイス4の視野角、例えば30°を画定するダイヤフラムを形成する開口部16がある。
【0009】
シールド14は、例えば、光学デバイス8における、開口部を介して向けられたシーンの外部に位置付けられる点や、周囲温度(約20℃)であるクライオスタットの温かい壁等の、カメラの視野の外側の領域由来の熱放射の伝達15を遮断又は減少するように設計される。
【0010】
シールド14は、コールドテーブル10に固定される。従って、シールド14は冷却され−これがコールドシールとも呼ばれる理由である−、内部の放射汚染を防ぐ。
【0011】
実際に、カメラによって占有される体積は原則的に、(クライオスタット2の外部に位置付けられる)光学デバイスによって決められる。例えば、次の特許文献1(WO 2006/122907, Optical head for detecting the launch of missiles or other monitoring equipment, Bouchardy et al)を参照されたい。
【0012】
特許文献1は、大容量の光学デバイスを備える非常に広い視野のカメラを示す。
【0013】
しかしながら、例えば、オプトエレクトロニクスシステムを軽飛行機等の手段に組み入れることができるためにオプトエレクトロニクスシステムを小型化し、ほんの小さな体積の対象物を中に取り付けることができるようにするニーズが高まっている。
【0014】
従って、検出デバイスに可能な限り近い光学機能の統合により、従来のシステムよりも良好な光学的性能及び放射性能を提供すると共に、1kg以下のオーダーの重量と10cm以下のオーダーのサイズとを有する小型化された完全なシステムの設計手段となる。
【0015】
長い間、本来の運転ニーズを満たす追加機能をオプトエレクトロニクスシステムに組み入れることができなかった。しかしながら、最近、コールドシールドの体積によって画定されるフリースペースに光学機能の統合が構想された。例えば、以下の特許文献2(US 2005/0078208, Cold shield for cryogenic camera, Minarik et al)を参照されたい。
【0016】
フリップチップ技術が公知であるということにも注意されたい。フリップチップ技術は、チップを組み立てて互いに相互接続するのに使用される。そして、結果として、アセンブリの最終高さが、1μmのオーダーの優れた精度で得られる。
【0017】
従って、フリップチップ技術は直接、光学デバイスの相対位置に対して、オプトエレクトロニクスに使用され、特にフリースペースにおける2つの光学デバイス間の光結合をもたらし得る。
【0018】
フリップチップ技術は、マトッリクス検出デバイスに適用されてもよい。例えば、図2の断面図に見られる検出デバイスの製造に使用することができる。
【0019】
これは、赤外線カメラ・オン・チップデバイスであり、リード回路20上に、赤外線検出回路18の第1アセンブリ又は赤外線網膜(infrared retina)を備える。本アセンブリは、フリップチップ技術を用い、そして、ハンダボール22を用いて作成される。リード回路20は、機械的支持体を形成し、また光学基準としての機能を果たす、セラミック基板24に固定される。全ての光学素子は、該機械的支持体に対して置かれる。
【0020】
より大きなハンダボール26を用いて、光学デバイス28がリード回路20にハイブリッド形成(一体化)されてもよい。光学デバイス28は赤外線検出デバイス18上にシーン画像を形成する。例えば、光学デバイス28は、赤外線検出回路18への距離がより大きなハンダボール26の高さによって画定される、マイクロレンズ・マトリックス30を備える。
【0021】
図2に示すように、赤外線検出回路18上に設置されるマイクロレンズ・マトリックスは、取り付けられた金属ホールマスク32のため、ダイヤフラム加工されたコールドフィルターを形成する。
【0022】
このような構造はダイヤフラム加工された単一チャネル光学エレメント34の周期的繰り返しの結果である。このようなエレメントに関して、以下の特許文献3(WO 2010/040914, Infrared wide field imaging system integrated in a vacuum housing, Druart et al)を参照されたい。
【0023】
光学デバイス28は、参照されるべき以下の非特許文献1(Jun Tanida et al., Thin observation module by bound optics (TOMBO): concept and experimental verification, Applied Optics, Vol. 40, No. 11, 2001, pp. 1806-1813)で公知である、TOMBOタイプのコンセプトに従い、網膜18に向けてデバイス28を移動させることによって、カメラの小型化を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公報第2006/122907号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0078208号明細書
【特許文献3】国際公報第2010/040914号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Jun Tanida et al., Thin observation module by bound optics (TOMBO): concept and experimental verification, Applied Optics, Vol. 40, No. 11, 2001, pp. 1806-1813
【発明の概要】
【0026】
本発明は、パラサイト赤外線に対する赤外線撮像デバイス用シールドの問題を解決することを目的とする。パラサイト赤外線は、デバイスのパーツを形成する赤外線検出器に到達し、かつ、正面パラサイト赤外線のような観察視野に由来しない赤外線を含むことができる。
【0027】
さらに具体的に言えば、本発明は、赤外線撮像デバイスのパーツを形成する赤外線検出器と光学デバイスとの間のスペースに横方向に通過することがある、パラサイト赤外線に対する赤外線撮像デバイス用シールドの問題を解決することを目的とする。
【0028】
具体的には、本発明は、赤外線に敏感な領域を含む赤外線検出器を有する支持体と、前記赤外線検出器に面して設置される少なくとも1つの光学デバイスと、パラサイト赤外線、すなわち、前記支持体と前記光学デバイスの間のスペースを前記光学デバイスを介して貫通することができる正面パラサイト赤外線(frontal parasite radiation)、及び、前記スペースを横方向に貫通することができる横方向パラサイト赤外線(lateral parasite radiation)に対するシールドデバイスとを備える赤外線撮像デバイスであって、前記シールドデバイスは、互いに離間し、各々がベントを備えて横方向パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で形成されるN個の連続するビードを有する少なくとも1つのシールドアセンブリを備え、前記N個のビードの各々が前記支持体から前記光学デバイスまで延び、Nは少なくとも2に等しい整数であり、階層1のビードが少なくとも前記赤外線検出器の前記感度領域を囲み、階層iのビードが階層i−1のビードを囲み、iが2〜Nの範囲で変化し、対応するベントを備えるN個のビードが少なくとも1つのバッフルを形成することを特徴とする赤外線撮像デバイスである。
【0029】
横方向パラサイト赤外線の減衰は80%を超え、かつ、使用されるビードの数があまりにも大きくなることはないが十分に広がるようにビードを作成する材料は選択されるといくことに留意すべきである。
【0030】
また、次の点に留意すべきである。
−赤外線撮像デバイスが真空化に置かれるとき、ベントは光学デバイスと赤外線検出器の間にある空気を排出するために使用されること、
−2つの連続するビードの間のスペースはこのスペースを通過することができるパラサイト赤外線用ガイド領域を形成し、パラサイト赤外線がビードの壁の間を導かれ、パラサイト赤外線の強度が壁の間を進むに従い低減化されること。
【0031】
本発明は多くの利点を有する。
−接着剤を使用するニーズを回避し、赤外線検出器の支持体を光学デバイスの支持体に接合する;そして
−検出器支持体とコンポーネント支持体との間の均一な接合の信頼性の問題を除去する。これは、本発明が試行することなく気密シールを得られるからであり、特に赤外線検出器が位置付けられる領域に真空が形成されるからである。
【0032】
本発明の赤外線撮像デバイスの好ましい一実施形態によれば、各シールドアセンブリにおいて、階層i及びi+1個のビードそれぞれに対して、ベントが互いに180°反対であり、iが1〜N−1の範囲で変化する。
【0033】
好ましくは、各ベントのサイズは範囲[1μm;10μm]内にある。
【0034】
本発明のデバイスの特別な一実施形態によれば、Nが少なくとも3に等しい。
【0035】
好ましくは、各シールドアセンブリの連続するビードが範囲[1μm;10μm]内にある。
【0036】
本発明において、ビードは有利にはハンダビードである。
【0037】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、第2の面は赤外線検出器に面し、シールドデバイスはまた、第1の面の上に形成され、正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する層を備える。
【0038】
好ましくは、光学デバイスは、横方向パラサイト赤外線の伝達を阻止することができる材料を光学デバイスの両サイドに備える。
【0039】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、赤外線撮像デバイスは、M個の光学デバイスを備え、シールドデバイスはM個のシールドアセンブリを備え、Mは少なくとも2に等しい整数であり、各光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、階層1の光学デバイスの第2の面は赤外線検出器に面し、階層jの光学デバイスの第2の面は階層j−1の光学デバイスの第1の面に面し、階層1のシールドアセンブリは支持体から階層1の光学デバイスまで延び、階層jのシールドアセンブリは階層j−1の光学デバイスから階層jの光学デバイスまで延び、jは2〜Mの範囲で変化し、シールドデバイスはまた、階層Mの光学デバイスの正面に形成される層を備え、前記層は正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する。
【0040】
本発明の特別な一実施形態によれば、支持体はまた、基板と、基板上のリード回路とを備え、赤外線検出器は、ハンダボールによってリード回路にハイブリッド形成され、基板に最も近い光学デバイスは、シールドアセンブリを介して、赤外線検出器、リード回路及び基板の中から選択されるエレメントの一つに接続される。
【0041】
他の特別な実施形態によれば、支持体はまた、基板とリード回路の間の相互接続ネットワークを備え、基板に最も近い光学デバイスは、シールドアセンブリを介して、赤外線検出器、リード回路、基板及び相互接続ネットワークの中から選択されるエレメントの一つに接続される。
【0042】
他の特別な実施形態によれば、少なくとも1つの光学デバイスは基本検出チャネルを画定するマイクロレンズ・マトリックスを備える赤外線撮像デバイスであり、さらに、パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で作成され、マイクロレンズ・マトリックスと検出器との間に設置され、互いに基本チャネルを分離する壁のセットを備える。
【0043】
本発明はまた、前記発明の赤外線撮像デバイスの製造方法に関し、赤外線検出器を備える支持体の上に前記シールドアセンブリを形成し、赤外線検出器に面して光学デバイスを設置し、シールドアセンブリに光学デバイスを固定する。
【0044】
本製造方法の好ましい一実施形態によれば、フリップチップ技術を用いて支持体に赤外線検出器を組み立て、ハンダビードを用いてシールドアセンブリを形成し、フリップチップ技術を用いてハンダビードに前記光学デバイスを固定する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】公知の冷却カメラを含む公知のクライオスタットの断面図。
【図2】チップ上の赤外線カメラの断面図。
【図3】図3A及び図3Bは横方向のパラサイト赤外線に対する本発明に使用され得るシールドの平面図である。
【図4】シールドを使用し、パラサイト赤外線の強度の漸減を示す図。
【図5】本発明に使用され得るマイクロレンズ・マトリックスの例示的光学チャネルの実施例の断面図。
【図6】本発明の赤外線撮像デバイスの特定の実施形態の断面図。
【図7】従来の赤外線撮像デバイスの実施例の断面図。
【図8】本発明の赤外線撮像デバイスの他の特定の実施形態の断面図。
【図9】本発明の赤外線撮像デバイスの他の特定の実施形態の断面図。
【図10】図10は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図10Aは平面図に、図10Bは断面図に対応する。
【図11】図11は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図11Aは平面図に、図11Bは断面図に対応する。
【図12】図12は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図12Aは平面図に、図12Bは断面図に対応する。
【図13】図13は本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を示す図であって、図13Aは平面図に、図13Bは断面図に対応する。
【図14】図14A〜図14Fはフリップチップ組立技術の工程を示す図。
【図15】図15A〜図15Cはフリップチップ組立技術の工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、添付図面を参照し、単にガイダンス目的のための与え、全く制限するものではない例示的実施形態の記載を読んだ後、より深く理解される。
【0047】
以下に、本発明の様々な実施形態を説明する。これら実施形態は、図2を参照して説明されるチップ上のカメラを使用する。
【0048】
本発明によれば、カメラが使用されるときに内部にカメラが設置される(図示しない)極低温容器又はクライオスタットと、カメラが設置されるシーン表面の観察視野の外部にあるものとに由来するパラサイト赤外線に対してシールドするために、カメラが修正される。
【0049】
正面パラサイト赤外線は、アドオン光学デバイス28(図2)と光学デバイス28を通過する赤外線検出回路18との間のスペースに入り込めるパラサイト赤外線として定義される。
【0050】
横方向パラサイト赤外線はまた、光学デバイス28をリード回路20にハイブリッド形成するのに使用される、より大きなハンダボール26間のスペースに横方向に貫通するパラサイト赤外線として定義される。
【0051】
チップ上のカメラの構成は、固有の防御特性を与える。アドオン光学デバイス28は、光学デバイス28のダイヤフラム面、すなわち、ホールマスク32が位置付けられる面のために、正面パラサイト赤外線に対してカメラをシールドすることができる。従って、横方向パラサイト赤外線からチップ上のカメラを保護することのみが残される。
【0052】
本発明によれば、より大きなハンダボール26の代わりに、連続接合を形成する周囲ハンダビード(peripheral solder bead)が横方向光学シールドを形成するために使用される。
【0053】
次に、光学デバイス28を形成するマイクロレンズ・マトリックスを移動させるため、連続するハンダビードは、ハンダリフローの前に使用されたハンダ容量と、互いに面する濡れ性のある面とによって画定される、凝固の後の高さで形成される。
【0054】
この場合、溶融ハンダの表面張力の平衡を使用する従来のハイブリッド形成ルールが使用される。この点に関するさらなる情報のために、文献(G. Humpston and D. Jacobson, Principles of soldering, pp. 189-242, ASM International, 2004)を参照されたい。
【0055】
実際、クライオスタット中に真空を形成するときには、光学デバイスと検出回路との間の空気を抜くために、ベントがビードに設けられなければならない。
【0056】
さらに、各々が自身にベントを有する2つハンダビードが1つのビードに代えて設けられ、パラサイト赤外線の導入を最小化する好適な光学シールドを形成する。そして、これらベントを有するビードが残余パラサイト赤外線を捕捉する少なくとも1つのバッフルを内部に形成するように、ベントが配置される。例えば、2つのビードのみが設けられる場合、対応するベントは互いに面しない。
【0057】
しかしながら、非常に低いSN比が必要である非常に影響を受けやすいコンポーネントに対して、2つより多いビードを使用し、かつ適切にビードを配置することによって、バッフルの数を増加することを定めることができる。
【0058】
図3A及び図3Bは、横方向パラサイト赤外線に対するシールドの実施例の平面図を示す。
【0059】
図3Aに示される、シールド36又はシールドアセンブリは、本発明と適合する赤外線撮像デバイスのパーツを形成し、リード回路38とリード回路38にハイブリッド形成された赤外線検出器40のみを見ることできる。
【0060】
シールドアセンブリ36は、横方向パラサイト赤外線42を減衰し、ベントe1及びe2をそれぞれ有する2つのハンダビードc1及びc2から構成される。ビードc1は検出器40を囲み、ビードc2はビードc1を囲む。
【0061】
ベントe1及びe2は、これらベントを有する2つのビードがバッフルを形成するように設置される。従って、2つのベントは互いに面しない。実施例において、2つのベントは互いに180°反対であり、後でその理由がわかる。
【0062】
図3Bに示される、シールド44又はシールドアセンブリは、本発明と適合する赤外線撮像デバイスのパーツを形成し、リード回路46とリード回路46にハイブリッド形成された赤外線検出器48のみを見ることできる。
【0063】
シールドアセンブリ44は、横方向パラサイト赤外線50を減衰し、ベントe1,e2,・・・,eN−1,eNをそれぞれ有するN個のハンダビードc1,c2,・・・,cN−1,cNから構成される。ここで、Nは少なくとも3に等しい整数である。示された実施例において、整数Nは7に等しい。ビードc1は検出器48を囲み、ビードc2はビードc1を囲み、・・・、ビードcNはビードcN−1を囲む。
【0064】
N個のベントe1〜eNは、これらのベントを有するN個のビードc1〜cNが少なくとも1つのバッフルを形成するように設置される。例えば、(検出器の単一サイドで全てが)互いに面するN−1個のベントと、これらN−1個のベントと面せず、かつ、これらN−1個のベントから例えば180°反対である(従って、検出器に対して、これらN−1個のベントと反対である)1つのベントとがあってもよい。
【0065】
しかし、好ましくは、図3Bに示されるように、いくつかのバッフルがあり、2つの連続したビードに対応するベントがさらに互いに180°反対である。ベントe1はベントe2と180°反対であり、・・・、ベントeN−1はベントeNと180°反対である。
【0066】
好ましくは、ベントによって形成される開口部のサイズは、これらベントに形成されるバッフルに入るパラサイト赤外線が可能な限り低くなるほどである。一般的には、これら開口部に与えられるサイズTは1μm〜10μmで変化する。
【0067】
好ましくは、2つの連続したビード間のスペースEはまた、1μm〜10μmで変化する。
【0068】
入射(incoming)パラサイト赤外線の経路が出来る限り長くなるように、ベントそれぞれの位置は互いに反対であることが好ましい。これにより、ハンダビードの壁の間で導かれる入射パラサイト赤外線の強度損失によって得られる利益を最大化する。これら壁はパラサイト赤外線を拡散する粗度を有する。従って、壁での連続する反射の期間、パラサイト赤外線の強度が減衰する。
【0069】
図4に示す図は、図3Aの実施例と同じものを示す。
【0070】
パラサイト赤外線52が、2つのビードc1とc2との間を、垂直入射で貫通することがわかる。従って、パラサイト赤外線52は、2つのビードによって画定される領域の外部ではね返される。パラサイト赤外線54はまた、2つのビードの壁の間で導かれ、従って、これらビードによって形成されるバッフルに捕捉されるということがわかる。パラサイト赤外線54の強度は壁の間を進行するに従って減衰する。
【0071】
ハンダビードの厚さ及び高さは直接、使用される光学構造に関連する。「カメラ・オン・チップ」アプローチの枠組みにおいて、光学工学により、レイトレーシングによって得られるサイズとなる。
【0072】
図5は、マイクロレンズ・マトリックス(図2)の例示的基本光学チャネル34の実施例の断面図である。基本チャネルは、Zemax(登録商標)、Oslo(登録商標)又はCODE V(登録商標)型の商業的レイトレーシング・ソフトウェアを使用して設計される。
【0073】
基本光学チャネルは、赤外線検出器40(図3A)又は赤外線検出器48(図3B)の、赤外線に敏感な感度領域Zから距離Hに設置されるマイクロレンズ56によって特徴付けられる。
【0074】
距離Hは直接、マイクロレンズの焦点距離に関連する。示された実施例において、距離Hは0mm〜1mmの範囲である。
【0075】
また、図2のホールマスク32のパーツ58を見ることができる。パーツは開口部60を有する金属ダイヤフラムを形成する。このダイヤフラムの寸法Dは、感度領域Zの画素サイズよりも大きく、検出器の画素サイズよりも小さい。そして、実施例において、開口部60の直径φは0.1μm〜Dの範囲である。
【0076】
ハンダ量及び濡れ性のある面によって画定されるハンダビードの厚さ及び高さは、フリップチップ技術を用いて、非常に精確に、検出器の上に光学デバイスを位置付ける。
【0077】
図6は、結果としてもたらされる本発明の赤外線撮像デバイスの実施例の断面図を示す。これは、正面及び横方向パラサイト赤外線に対してシールドされるチップ上のカメラである。
【0078】
図2及び図3Aのいくつかの表記を利用すると、図6に以下が示される。
−例えばセラミックで作成される、基板62
−基板62に支持されるリード回路38
−ハンダボール64によってリード回路にハイブリッド形成される赤外線検出器40
−各光学チャネルを光学的に分離する壁のセットP
−マイクロレンズ・マトリックス30を備える光学デバイス28
−正面及び横方向パラサイト赤外線に対するシールドデバイス
【0079】
シールドデバイスは、
−光学デバイス28の第1の面に支持されたホールマスク32(光学デバイス28の第2の面は第1の面の反対側で赤外線検出器40に面する);
−横方向パラサイト赤外線の伝達を防止する材料の光学デバイス28の両サイドのデポジットd(一般に、光学デバイスは横方向パラサイト赤外線の伝達を防止可能な材料を光学デバイスの両側に備えることで十分である);及び
−示された実施例でリード回路38から光学デバイス28に延びる、2つの連続したハンダビードc1及びc2によって形成されるシールドアセンブリ、を備える。
【0080】
また、セラミック基板62を支持し、コールドピン68によって延びるコールドテーブル66を見ることができるが、コールドピン、コールドテーブル、そして、極低温、例えば77Kに撮像デバイスの温度を下げる機械は図示されない。
【0081】
しかしながら、使用時、撮像デバイスが設置されるクライオスタットは破線69で示される。そして、(図示しない)窓は、光学デバイス28が設置され、面するクライオスタットの壁に設けられる。
【0082】
ワイヤー70の一部はまた、リード回路38を出力ワイヤー72に電気的に接続することがわかる。出力ワイヤーは、リード回路38を、(クライオスタットの内部に設置されるのと同等であるが)クライオスタットの外部に設置される、撮像デバイスの(図示しない)電子的制御手段に接続する。
【0083】
図7は、従来の撮像デバイスの実施例の断面図を示す。図7において、赤外線検出器40は、リード回路38、リード回路を支持する基板62、コールドピン68によって延長するコールドテーブル66、ワイヤー70及び出力ワイヤー72にハイブリッド形成(一体化)されることがわかる。
【0084】
図7の場合、パラサイト赤外線に対する検出器40の保護は、コールドスクリーン74によってもたらされる。コールドスクリーンは、検出器40に面する開口部76を備え、視野角78を画定する。
【0085】
図7のデバイスがその使用のために設置されるクライオスタットは、図示されない。クライオスタットは、開口部76に面する窓を備えている。撮像デバイスは、クライオスタットの外部に設置される(図示しない)光学素子を備え、窓に面する。
【0086】
図6及び図7を互いに比較すると、図6のデバイスにおいて、図7のデバイスのコールドスクリーンが、
−光学デバイス上に形成され、そして、ホールマスク32で、すなわち、開口部が、形成され、かつ正面パラサイト赤外線を阻止し、正面パラサイト赤外線に対して検出器を保護する材料で作成された層で、構成される上部シールド、
−横方向パラサイト赤外線の伝達を防止する光学デバイス28の両サイドのデポジットd、及び
−横方向パラサイト赤外線に対して、特に、ワイヤー70中の電流の通過からもたらされる放射エネルギー79にして、検出器を保護する2つのハンダビードc1及びc2によって形成される周囲シールド、
によって置き換えられていることがわかる。
【0087】
周囲ハンダビードが検出器の下に位置付けられる支持体の上に形成されてもよいということを考慮すれば、検出器がいつもパラサイト赤外線に対して保護されるという条件で、カメラ・オン・チップ構成の変形例が想定される。
【0088】
例えば、システム・イン・パッケージ(System-In-Package)型構造がシリコン貫通ビア(through-silicon vias)によって相互接続されるチップの積層体を備えることを考慮すると、結果物は本発明と同じ他の構造である。図8は、この他の構造の断面図を示す。
【0089】
図に示すように、図8に示されたデバイスは、デバイスが相互接続ネットワーク80も備える点で、図6に示されたデバイスと異なる。相互接続ネットワークは基板62の上に支持される。
【0090】
検出器40はハンダボール64を介して、図6のリード回路38と同じリード回路82に、ハイブリッド形成される。リード回路は、他のハンダボール86を介して相互接続ネットワークにハイブリッド形成されるシリコン貫通ビア84を備える。
【0091】
さらに、図8に示されるような場合、図6のビードc1及びc2に対応するハンダビードC1及びC2は、相互接続ネットワーク80から光学デバイス28に延びる。そして、出力ワイヤー72はワイヤー70を介して相互接続ネットワーク80に接続される。
【0092】
一般に、撮像デバイスがクライオスタットの中にあり、すぐに使用できる場合、これらビードが(間接的に)コールドピン68と接続し、検出器40をクライオスタットのパラサイト赤外線源(特に、ワイヤー及びクライオスタットの温かい壁)から保護するという条件で、ダイヤフラム式光学デバイスを囲むビードは、支持体の上に配置されてもよく、支持体自身に基板62及び検出器40を含む。
【0093】
セラミック基板上にビードを設置することが要求される場合、ハンダが接着し得る適切な金属領域がセラミック基板上に設けられる。
【0094】
検出器上にビードを位置付けることが要求される場合、ビードは検出器の感度領域、換言すれば、赤外線の全検出画素を囲むように、配置される。
【0095】
本発明と同じデバイスはまた、中間ハンダビード(intermediate solder beads)によって垂直に積層される幾つかの光学ステージのセットを備えるように設計され得る。これは、本発明の他の実施例の断面図を示す図9に図示される。
【0096】
次のものが、図9において使用される。
−赤外線検出器からの最端部はホールマスクが設けられ、正面パラサイト赤外線を阻止する、M個の光学デバイス、及び
−横方向パラサイト赤外線を減衰するM個のシールドアセンブリ(但し、Mは1より大きな整数)
【0097】
実施例において、Mは2であり、各シールドアセンブリは2つのハンダビードを備え、図3Aの場合のように各々が(図示しない)ベントを備える。
【0098】
図に示すように、図9に示される撮像デバイスは、撮像デバイスが1つの光学デバイスの代わりに2つの光学デバイスを備え、各々の光学デバイスが結像機能(imagery function)又は分光フィルター機能を有することができるという事実によって、図6に示された撮像デバイスと異なる。これら2つの機能はまた、(光学デバイスの数を制限するために)少なくとも1つのジオプター(dioptre)が結像機能を実行するために形成され、そして、スペクトル帯を制限する処理、又は例えば反射防止処理を受けた、同じ光学デバイスによって実行されてもよい。
【0099】
同じエレメントは、図6及び図9で同じ符号を有する。図9の撮像デバイスは、結像機能を実行するマイクロレンズ・マトリックス90を有する第1光学デバイス88と、デバイス88と検出器40との間でコールドフィルター機能を実行する第2光学デバイス92とを備える。
【0100】
さらに、デバイス88の下面は2つのハンダビード98及び100によってデバイス92の上面に接続され、デバイス92の下面は2つのハンダビード102及び103によってリード回路38に接続される。そして、図に示すように、横方向パラサイト赤外線の伝達を防止するデバイス88及び92の両サイドにまだデポジットdがある。
【0101】
デバイス88の上面に形成されるホールマスク96と同じタイプのダイヤフラムのセットは、ホールマスクが設置される光学デバイスの上面の金属デポジットを使用して得ることができる。
【0102】
さらに、本発明によれば、光学構造は必ずしも、TOMBO型構造を必要としない(この頭字語(TOMBO)の意味は、上述の非特許文献1に説明されている)。
【0103】
ベントを有する連続するビードを作成するために、フリップチップ技術を説明した。この技術は、位置合わせ及び熱伝導性の観点から非常に効率的である。
【0104】
しかしながら、材料の特性により光学デバイス及び/又は機械を精確に位置決めできるものであれば、フリップチップ技術の実施に使用される材料と異なる材料、例えば、導電性ポリマー又はナノ材料等あらゆる種類への転換により、同じシールド結果物をもたらすことができる。
【0105】
さらに、上述の実施例で検討された光学デバイスはマイクロレンズ・マトリックスである。しかし、本発明は、赤外線検出器、例えば、単一のチャネル光学素子、フィルター、回折格子等に面して設置されなければならない、他のタイプの光学デバイスと共に使用され得る。
【0106】
さらに、上記の実施例において、ホールマスクは、正面パラサイト赤外線に対して検出器をシールドするために使用される。しかしながら、他のシールド、例えば、コード化マスク(coded mask)、ダイヤフラム、アイリス(iris)等も、このパラサイト赤外線に対して可能である。
【0107】
本発明は次の特別な利点を有することに留意すべきである。
−本発明は大きな体積のパーツであるコールドスクリーンを有さない;
−本発明はクライオスタットの体積を低減することができることから、本発明は、例えばコンパクトな対象物しか収容することができない軽飛行機等の手段に統合するのに役立つ;そして、
−本発明は、冷却される体積の低減化のために、極低温運転温度、例えば77Kに到達するのに必要な時間の短縮化を可能にする。
【0108】
次に、図10A及び図10Bを参照して、本発明の撮像デバイスの実施例の製造方法の工程を説明する。この工程の各々は、後で再度説明されるフリップチップアセンブリ技術を使用する。
【0109】
文字Aが付加された図面は平面図に対応し、文字Bが付加された図面は断面図に対応する。
【0110】
最初の工程では、赤外線検出器とリード回路をハイブリッド形成するために、リード回路106又は他のホスト回路の上にハンダボール104のセットを形成する(図10A及び図10B)。
【0111】
次の工程では、撮像システム、例えば、ハンダボール104によってリード回路106上に適切な赤外線検出回路108のハイブリッド形成によってIRCMOS(InfraRed Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプの撮像システムを形成する(図11A及び図11B)。ハンダにより接着される回路106及び108の金属パッドが図示されないことに留意すべきである。
【0112】
次の工程では、図3Aに示されるような構造をもたらす、検出器108周囲のリード回路106上に、ベント114,116をそれぞれ有する2つの連続する周囲ハンダボール110,112を形成する(図12A及び図12B)。
【0113】
リード回路106は前もって、2つのビードを形成するためにハンダを添加できるように、ハンダによって濡れ性のある(wettable)適切な金属面118を備えたことに留意すべきである。また、ベントがビードと同時に形成されることに留意すべきである。この形成のために使用されるフォトリソグラフィーマスクはこのために提供される。
【0114】
次の工程は、リード回路106の上に光学デバイス119のハイブリッド形成(一体化)である(図13A及び図13B)。光学デバイス119は実質的に、図6のデバイス28と同じタイプである。マイクロレンズ120と、ホールマスク121(ダイヤフラムのセット)と、周囲シールド122(メタライゼーション)とを備える。また、ハイブリッド形成のため、ハンダによって濡れ性のある適切な金属面123を備える。
【0115】
結果として、得られた構造体はパラサイト赤外線124に対して保護される。
【0116】
従って、結果物は、図6に示したタイプのデバイスである。当業者であれば当然、既に説明した方法を適用し、図8及び図9に示したタイプのデバイスを形成することができる。
【0117】
次に、図14A〜図14F及び図15A〜図15Cの部分断面図を参照して、フリップチップアセンブリ技術の様々な工程を簡単に説明する。
【0118】
最初の工程では、領域128等のパッシベーション領域(passivation zones)と、これら領域中に、例えばディスク状のアルミニウム製の金属ディスク130とを有する、コンポーネント126、例えば工場からCMOS回路を準備する(図14A)。次の工程では、金属ディスクの上に、面132等の濡れ性のある面を堆積させる(図14B)。
【0119】
次の工程では、ハンダ、例えばインジウムの有効体積を画定するために、濡れ性のある面に不可欠なフォトリソグラフィーであり、例えばエレメント134等の感光性樹脂エレメントを使用する(図14C)。そして、ハンダを堆積させ、塊136等の有効なハンダ塊を形成する(図14D)。
【0120】
次の工程は、感光性樹脂を除去するリフトオフである(図14E)。そして、リフローが行われ、ボール状のハンダボール138を対応する濡れ性のある面の上に形成する(図14F)。
【0121】
従って、リフトオフを使用するハンダボールの形成のための技術を説明する。しかしながら、ハンダボールの形成のための他の技術も使用され得る。例えば、別々のボールを移動し、又は、インクジェット、電気分解、フォトリソグラフィーを使用することができる。
【0122】
これら全ての技術は共通して、各ボールの形態(直径、高さ)が、堆積材料の体積−実施例におけるインジウムの量−、及び、濡れ性のある面の面積(リフロー後のボールのベース)により決定されるという点を有する。
【0123】
次の工程は、コンポーネント126の上に、パッド142を備える他のコンポーネント140のハイブリッド形成である。
【0124】
最初の工程は、適当なマイクロスコープ144を使用し、例えばフリップチップボンダーを用いて、2つのコンポーネント126及び140をあわせる。例えば、SETカンパニー・レファレンスFC150で販売されるデバイス(図15A)が使用され得る。
【0125】
そして、コンポーネント140のパッド142は、コンポーネント126の対応するハンダボール138の上に位置付けられる(図15B)。次の工程は、ボール138のリフローであり、コンポーネント126及び140の自己調整をもたらす(図15C)。
【0126】
再度、本発明に使用される光学デバイスを検討する。
【0127】
光学デバイスは必ずしも硬い必要はない。本発明において、柔軟性のある光学デバイスを使用することができ、すなわち、ビードに由来するパラサイト赤外線に対してシールドを維持しながら、異なるサイズのビードを使用し湾曲させ、光学デバイスを湾曲させる。
【0128】
さらに、ハンダビードは上記実施例において使用されるが、他のタイプのビードも可能である。
【0129】
例えば、ベントを有し赤外線を減衰させる金属で作成され、かつ、互いにネストする管状のビードを、使用することができる。
【0130】
例えば、再び図6の場合を検討すると、ビードc2は回路38上に支持されるチューブの第1部分によって置換され、そして、ビードc1はコンポーネント28上に支持されるチューブの第2部分によって置換され、第1部分にネストする。
【0131】
さらに、複数のチャネルを有する光学デバイスの特別な場合、撮像デバイスの領域の外部のいくつかの赤外線束は、光学デバイス上のダイヤフラムによってスクリーンされず(図6の実施例のホールマスク32)、従って、所定のチャネルに隣接するチャネル専用の検出器の領域上に焦点を合わせることができる。
【0132】
この場合、異なるチャネルの両サイドは処理され、チャネル間パラサイト赤外線を阻止するために、チャネル上に金属デポジットを形成する。
【0133】
この点は、壁Pのセットを示す図6に示される。これら壁は、マイクロレンズ・マトリックス30と検出器40の間に配置され、互いにチャネルを分離する。
【0134】
実際に、この点は、図13Bの説明においてチャネルで扱われた周囲シールドの転位(transposition)である。
【0135】
さらに、これら壁についての情報は、上述の非特許文献1で開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線に敏感な領域を含む赤外線検出器(40)を有する支持体(62)と、
前記赤外線検出器に面して設置される少なくとも1つの光学デバイス(28,88,92)と、
パラサイト赤外線、すなわち、前記支持体と前記光学デバイスの間のスペースを前記光学デバイスを介して貫通することができる正面パラサイト赤外線、及び、前記スペースを横方向に貫通することができる横方向パラサイト赤外線に対するシールドデバイス(32,c1,c2,cN−1,cN,C1,C2,96,98,100,102,103,121,122)とを備える赤外線撮像デバイスであって、
前記シールドデバイスは、
互いに離間し、各々がベント(e1,e2,eN−1,eN)を備えて横方向パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で形成されるN個の連続するビード(c1,c2,cN−1,cN,C1,C2,98,100,102,103)を有する少なくとも1つのシールドアセンブリを備え、
前記N個のビードの各々が前記支持体から前記光学デバイスまで延び、
Nは少なくとも2に等しい整数であり、
階層1のビードが少なくとも前記赤外線検出器の感度領域を囲み、
階層iのビードが階層i−1のビードを囲み、
iが2〜Nの範囲で変化し、
対応するベントを備えるN個のビードが少なくとも1つのバッフルを形成することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の赤外線撮像デバイスであって、
各シールドアセンブリにおいて、階層i及びi+1個のビードそれぞれに対して、前記ベント(e1,e2,eN−1,eN)は互いに180°反対であり、
iは1〜N−1の範囲で変化することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載の赤外線撮像デバイスであって、
各ベント(e1,e2,eN−1,eN)のサイズは範囲[1μm;10μm]内にあることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
Nが少なくとも3に等しいことを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
各シールドアセンブリの連続するビード(c1,c2,cN−1,cN,98,100,102,103)の間隔は範囲[1μm;10μm]内にあることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記ビードはハンダビードであることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記光学デバイス(28)は対向する第1の面及び第2の面を備え、
前記第2の面は前記赤外線検出器(40)に面し、
前記シールドデバイスはまた、前記第1の面の上に形成され、正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する層(32)を備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記光学デバイスは、前記光学デバイスの両サイドに横方向パラサイト赤外線の伝達を阻止することができる材料(d)を備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
M個の光学デバイス(88,92)を備え、
前記シールドデバイスは、M個のシールドアセンブリを備え、
Mは少なくとも2に等しい整数であり、
各光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、
階層1の光学デバイスの第2の面は前記赤外線検出器(40)に面し、
階層jの光学デバイスの第2の面は前記階層j−1の光学デバイスの第1の面に面し、
階層1のシールドアセンブリは前記支持体から階層1の光学デバイスまで延び、
階層jのシールドアセンブリは階層j−1の光学デバイスから階層jの光学デバイスまで延び、
jは2〜Mの範囲で変化し、
前記シールドデバイスはまた、階層Mの光学デバイスの正面に形成される層(96)を備え、
前記層(96)は正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記支持体はまた、基板(62)と、前記基板(62)上のリード回路(38,82)とを備え、
前記赤外線検出器(40)は、ハンダボール(64)によって前記リード回路にハイブリッド形成され、
前記基板に最も近い光学デバイス(28)は、シールドアセンブリ(c1,c2)を介して、前記赤外線検出器、前記リード回路及び前記基板の中から選択されるエレメントの一つに接続されることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記支持体はまた、前記基板(62)と前記リード回路(82)の間の相互接続ネットワーク(80)を備え、
前記基板に最も近い光学デバイス(28)は、シールドアセンブリ(c1,c2)を介して、前記赤外線検出器、前記リード回路、前記基板及び前記相互接続ネットワークの中から選択されるエレメントの一つに接続されることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
少なくとも1つの光学デバイスは基本検出チャネルを画定するマイクロレンズ・マトリックス(30)を備える赤外線撮像デバイスであり、
さらに、パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で作成され、前記マイクロレンズ・マトリックスと前記検出器との間に設置され、互いに基本チャネルを分離する壁(P)のセットを備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスの製造方法であって、
前記赤外線検出器を備える前記支持体の上に前記シールドアセンブリを形成し、
前記赤外線検出器に面して前記光学デバイスを設置し、
前記シールドアセンブリに前記光学デバイスを固定することを特徴とする赤外線撮像デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の赤外線撮像デバイスの製造方法であって、
フリップチップ技術を用いて前記支持体に前記赤外線検出器を組み立て、
ハンダビードを用いて前記シールドアセンブリを形成し、
フリップチップ技術を用いて前記ハンダビードに前記光学デバイスを固定することを特徴とする赤外線撮像デバイスの製造方法。
【請求項1】
赤外線に敏感な領域を含む赤外線検出器(40)を有する支持体(62)と、
前記赤外線検出器に面して設置される少なくとも1つの光学デバイス(28,88,92)と、
パラサイト赤外線、すなわち、前記支持体と前記光学デバイスの間のスペースを前記光学デバイスを介して貫通することができる正面パラサイト赤外線、及び、前記スペースを横方向に貫通することができる横方向パラサイト赤外線に対するシールドデバイス(32,c1,c2,cN−1,cN,C1,C2,96,98,100,102,103,121,122)とを備える赤外線撮像デバイスであって、
前記シールドデバイスは、
互いに離間し、各々がベント(e1,e2,eN−1,eN)を備えて横方向パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で形成されるN個の連続するビード(c1,c2,cN−1,cN,C1,C2,98,100,102,103)を有する少なくとも1つのシールドアセンブリを備え、
前記N個のビードの各々が前記支持体から前記光学デバイスまで延び、
Nは少なくとも2に等しい整数であり、
階層1のビードが少なくとも前記赤外線検出器の感度領域を囲み、
階層iのビードが階層i−1のビードを囲み、
iが2〜Nの範囲で変化し、
対応するベントを備えるN個のビードが少なくとも1つのバッフルを形成することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の赤外線撮像デバイスであって、
各シールドアセンブリにおいて、階層i及びi+1個のビードそれぞれに対して、前記ベント(e1,e2,eN−1,eN)は互いに180°反対であり、
iは1〜N−1の範囲で変化することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載の赤外線撮像デバイスであって、
各ベント(e1,e2,eN−1,eN)のサイズは範囲[1μm;10μm]内にあることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
Nが少なくとも3に等しいことを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
各シールドアセンブリの連続するビード(c1,c2,cN−1,cN,98,100,102,103)の間隔は範囲[1μm;10μm]内にあることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記ビードはハンダビードであることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記光学デバイス(28)は対向する第1の面及び第2の面を備え、
前記第2の面は前記赤外線検出器(40)に面し、
前記シールドデバイスはまた、前記第1の面の上に形成され、正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有する層(32)を備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記光学デバイスは、前記光学デバイスの両サイドに横方向パラサイト赤外線の伝達を阻止することができる材料(d)を備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
M個の光学デバイス(88,92)を備え、
前記シールドデバイスは、M個のシールドアセンブリを備え、
Mは少なくとも2に等しい整数であり、
各光学デバイスは対向する第1の面及び第2の面を備え、
階層1の光学デバイスの第2の面は前記赤外線検出器(40)に面し、
階層jの光学デバイスの第2の面は前記階層j−1の光学デバイスの第1の面に面し、
階層1のシールドアセンブリは前記支持体から階層1の光学デバイスまで延び、
階層jのシールドアセンブリは階層j−1の光学デバイスから階層jの光学デバイスまで延び、
jは2〜Mの範囲で変化し、
前記シールドデバイスはまた、階層Mの光学デバイスの正面に形成される層(96)を備え、
前記層(96)は正面パラサイト赤外線を減衰することができる材料で作成され、かつ、開口部を有することを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記支持体はまた、基板(62)と、前記基板(62)上のリード回路(38,82)とを備え、
前記赤外線検出器(40)は、ハンダボール(64)によって前記リード回路にハイブリッド形成され、
前記基板に最も近い光学デバイス(28)は、シールドアセンブリ(c1,c2)を介して、前記赤外線検出器、前記リード回路及び前記基板の中から選択されるエレメントの一つに接続されることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の赤外線撮像デバイスであって、
前記支持体はまた、前記基板(62)と前記リード回路(82)の間の相互接続ネットワーク(80)を備え、
前記基板に最も近い光学デバイス(28)は、シールドアセンブリ(c1,c2)を介して、前記赤外線検出器、前記リード回路、前記基板及び前記相互接続ネットワークの中から選択されるエレメントの一つに接続されることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスであって、
少なくとも1つの光学デバイスは基本検出チャネルを画定するマイクロレンズ・マトリックス(30)を備える赤外線撮像デバイスであり、
さらに、パラサイト赤外線を顕著に減衰することができる材料で作成され、前記マイクロレンズ・マトリックスと前記検出器との間に設置され、互いに基本チャネルを分離する壁(P)のセットを備えることを特徴とする赤外線撮像デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の赤外線撮像デバイスの製造方法であって、
前記赤外線検出器を備える前記支持体の上に前記シールドアセンブリを形成し、
前記赤外線検出器に面して前記光学デバイスを設置し、
前記シールドアセンブリに前記光学デバイスを固定することを特徴とする赤外線撮像デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の赤外線撮像デバイスの製造方法であって、
フリップチップ技術を用いて前記支持体に前記赤外線検出器を組み立て、
ハンダビードを用いて前記シールドアセンブリを形成し、
フリップチップ技術を用いて前記ハンダビードに前記光学デバイスを固定することを特徴とする赤外線撮像デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−255782(P2012−255782A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129964(P2012−129964)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【出願人】(593024391)オフィス ナシオナール デチュード エ ド ルシェルシュ アエロスパシアル (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【出願人】(593024391)オフィス ナシオナール デチュード エ ド ルシェルシュ アエロスパシアル (4)
【Fターム(参考)】
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