説明

パラジウムサブナノ粒子の製造方法

【課題】平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で意図的に制御しつつ、パラジウムサブナノ粒子を得ることができるパラジウムサブナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】デンドリマー分子の存在下でパラジウム化合物とパラジウム化合物をパラジウム粒子に変換する変換剤とを、モル比:(該変換剤)/(該パラジウム化合物中のパラジウム原子)が1.0〜10となる量比で反応させることを含む平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子、即ち、パラジウムサブナノ粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子は、電子材料、分子センサーおよび触媒などの分野で応用が期待されている素材である。ナノ粒子においては、粒子直径が小さいほど比表面積は大きくなり、配位不飽和である表面原子数の割合も増えることから、単位質量あたりの機能は粒子直径が小さいほど高くなると予想される。従って、粒子直径が1.0 nmを超えるナノ粒子と比較して、粒子直径が1.0 nm以下であるサブナノ粒子は、より高機能な素材としての可能性が期待できる。
【0003】
粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウムサブナノ粒子の製造方法の例は多くはないが知られている。例えば、粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト上で平均粒子直径約0.8 nmのPd粒子(Pd原子 約10個からなる粒子)を調製した例(非特許文献1)、ポリマーミセル内に平均粒子直径約0.7 nmのPd粒子(Pd原子 約7個からなる粒子)を調製した例(非特許文献2)、FAU型(Y型)ゼオライトの細孔内に平均粒子直径約0.8 nmのPd粒子(Pd原子13個からなる粒子)を調製した例(非特許文献3)およびMFI型・MOR型ゼオライトの細孔内に平均粒子直径約0.7 nmのPd粒子(Pd原子6個からなる粒子)を調製した例(非特許文献4)などが知られている。
【0004】
しかし、これらの例においては、反応系に依存するある特定の平均粒子直径のパラジウムサブナノ粒子を調製することができるのみであり、パラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径を任意に制御することはできない。即ち、得られるパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径は、モンモリロナイト上では約0.8 nmに、ポリマーミセル内では約0.7 nmに、FAU型(Y型)ゼオライトの細孔内では約0.8 nmに、MFI型・MOR型ゼオライトの細孔内では約0.7 nmに限定されている。このように、反応系に用いる支持体に応じて、調製できるパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径が著しく限定され、それ以外の平均粒子直径を有するパラジウムサブナノ粒子を調製する事は困難である。
【0005】
また、平均粒子直径が1.0 nmを超えるパラジウムナノ粒子をデンドリマー分子内部で製造する方法は知られている。例えば、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー分子内で平均粒子直径約1.5 nmのパラジウムナノ粒子を製造した例(非特許文献5)、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー分子内で平均粒子直径約1.6〜2.0 nmのパラジウムナノ粒子を製造した例(非特許文献6)、外殻末端を水酸基としたポリプロピレンイミンデンドリマー分子内で平均粒子直径約1.2 nmのパラジウムナノ粒子を製造した例(非特許文献7)、外殻末端をトリエトキシフェニル基としたポリプロピレンイミンデンドリマー分子内で平均粒子直径約2.3〜2.6 nmのパラジウムナノ粒子を製造した例(非特許文献8)などが知られている。
【0006】
これらの例に記載されたパラジウム粒子の中には、粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子を部分的に含むものもある。しかし、その場合であっても、パラジウム粒子全体としては平均粒子直径が1.0 nmを超えることから少なくとも過半数のパラジウム粒子はナノ粒子(即ち、平均粒子直径が1.0 nmを超える粒子)として存在しているため、これらの例は平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子、即ち、パラジウムサブナノ粒子の調製法としては適切でない。
【0007】
そこで、平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で意図的に制御しつつ、パラジウムサブナノ粒子を得ることができるパラジウムサブナノ粒子の製造方法の開発が望まれていた。
【非特許文献1】T. Mitsudome, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 46 (2007) 3288
【非特許文献2】K. Okamoto et al, J. Am. Chem. Soc., 127 (2005) 2125
【非特許文献3】K. Okumura et al., J. Catal, 231 (2005) 245
【非特許文献4】K. Okumura et al., J. Phys. Chem. B, 108 (2004) 6250
【非特許文献5】H. Ye et al., Langmuir, 20 (2004) 2915
【非特許文献6】K. Esumi et al., Langmuir, 20 (2004) 237
【非特許文献7】R.W.J. Scott et al., Chem. Mater., 15 (2003) 3873
【非特許文献8】M. Ooe et al., Nano Lett., 2 (2002) 999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で意図的に制御しつつ、パラジウムサブナノ粒子を得ることができるパラジウムサブナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、パラジウムサブナノ粒子の製造方法について鋭意検討した結果、デンドリマー分子の存在下でパラジウム化合物とパラジウム化合物をパラジウム粒子に変換する変換剤とを反応させるときに、モル比:(該変換剤)/(該パラジウム化合物中のパラジウム原子)を1.0〜10の範囲内で調整することにより、パラジウムサブナノ粒子を得ることができ、更に、その平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で、特に0.4 〜1.0 nmの範囲内で意図的に制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
よって、本発明は、デンドリマー分子の存在下でパラジウム化合物とパラジウム化合物をパラジウム粒子に変換する変換剤とを、モル比:(該変換剤)/(該パラジウム化合物中のパラジウム原子)が1.0〜10となる量比で反応させることを含む平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子、即ち、パラジウムサブナノ粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、パラジウムサブナノ粒子を容易かつ効率的に製造することができる。更に、上記モル比を単独で調整することにより、または、上記モル比を調整するとともに、デンドリマー分子の分子量および世代数、ならびに、デンドリマー分子に対する上記パラジウム化合物中のパラジウム原子のモル比のうちの少なくとも1つを調整することにより、得られるパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で、特に0.4 〜1.0 nmの範囲内で意図的に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において「パラジウムサブナノ粒子」とは平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子をいう。また、「パラジウム化合物をパラジウム粒子に変換する変換剤」を単に「変換剤」という場合がある。
【0013】
[デンドリマー分子]
デンドリマー分子とは、中心部分(コア)と分岐を有する側鎖部分(デンドロン)とから構成される分子をいう。また、デンドロンの分岐回数は世代数と呼ばれる。更に、デンドリマー分子の末端は該分子の最外殻に位置し、デンドリマー分子の反応性や機能に影響を与える。
以下、本発明で用いるデンドリマー分子について説明する。
【0014】
本発明において、デンドリマー分子は特に制限されず、例えば、公知のデンドリマー分子および公知のデンドリマー分子を公知の方法により修飾して得たデンドリマー分子を用いることができる。デンドリマー分子は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
デンドリマー分子の分子量は、合成のしやすさや得られるパラジウム粒子の平均粒子直径の大きさなどの観点から、3000〜100000の範囲内であることが好ましく、4000〜50000の範囲内であることが特に好ましい。また、デンドリマーの世代数は、合成のしやすさや得られるパラジウム粒子の平均粒子直径の大きさなどの観点から、3〜7であることが好ましく、4〜6であることが特に好ましい。更に、前記分子量の範囲と前記世代数の範囲とが同時に満たされることがより好ましい。
【0016】
デンドリマー分子は構成元素として炭素、水素、および窒素を含むことが好ましく、更に酸素を含むことがより好ましい。また、デンドリマー分子は構成元素として実質的に炭素、水素、窒素および酸素以外の元素を含まないことが好ましい。ここで、「デンドリマー分子は構成元素として実質的に炭素、水素、窒素および酸素以外の元素を含まない」とは、デンドリマー分子中の炭素、水素、窒素および酸素の合計量が該デンドリマー分子中の全構成元素に対して、98〜100原子%、好ましくは99.5〜100原子%であることをいう。炭素、水素、窒素および酸素以外の元素としては、例えば、塩素、臭素、硫黄、りん、珪素などが微量存在しうるが、その合計量は該デンドリマー分子中の全構成元素に対して、0〜2原子%であることが好ましく、0〜0.5原子%であることがより好ましい。
【0017】
デンドリマー分子の最外殻に位置する末端の構造は特に制限されないが、デンドリマー分子が末端に下記一般式(I)で表される基を有することが好ましい。
【0018】
【化1】

(I)

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は同一または異なり、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基または炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表す。)
【0019】
上記一般式(I)において炭素原子数1〜3のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、上記一般式(I)において炭素原子数1〜3のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)で表される基の中でも、R1およびR5が水素原子であり、R2、R3、およびR4が炭素原子数2〜3のアルコキシ基(即ち、エトキシ基、プロポキシ基およびイソプロポキシ基)である基が特に好ましい。
【0021】
末端に上記一般式(I)で表される基を有するデンドリマー分子は、末端に官能基を有する原料デンドリマー分子と、該官能基と反応しうる反応性基および上記一般式(I)で表される基を有する原料化合物とを、該官能基と該反応性基との組み合わせに応じた公知の方法により反応させることにより製造することができる。該官能基と該反応性基との組み合わせとしては、アミノ基とハロアルキル基との組み合わせ、アミノ基とハロカルボニル基との組み合わせ等が挙げられる。具体的には、末端に上記一般式(I)で表される基を有するデンドリマー分子は、例えば、末端にアミノ基を有する原料デンドリマー分子と、ハロアルキル基またはハロカルボニル基および上記一般式(I)で表される基を有する原料化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0022】
デンドリマー分子としては、例えば、下記一般式(II)で表される分子、下記一般式(III)で表される分子および下記一般式(IV)で表される分子が挙げられる。
【0023】
【化2】

(II)

(式中、Aは独立にメチレン基またはカルボニル基を表し、mは独立に2〜4の整数を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【0024】
【化3】

(III)

(式中、A、m、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【0025】
【化4】

(IV)

(式中、A、m、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【0026】
上記一般式(II)で表される分子、上記一般式(III)で表される分子および上記一般式(IV)で表される分子はそれぞれ、例えば、下記一般式(II’)で表されるアミン化合物、下記一般式(III’)で表されるアミン化合物および下記一般式(IV’)で表されるアミン化合物を下記一般式(V)で表されるハロゲン化物と反応させることにより得ることができる。
【0027】
【化5】

(II’)

(式中、mは前記と同じ意味を表す。)
【0028】
【化6】

(III’)

(式中、mは前記と同じ意味を表す。)
【0029】
【化7】

(IV’)

(式中、mは前記と同じ意味を表す。)
【0030】
【化8】

(V)

(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表し、A、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【0031】
デンドリマー分子の具体例としては、図1〜3に示す分子が挙げられる。
【0032】
[パラジウム化合物]
本発明において、パラジウム化合物は特に制限されず、公知のパラジウム化合物を用いることができる。パラジウム化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
パラジウム化合物は、反応性や得られるパラジウム粒子の平均粒子直径の大きさなどの観点から、可溶性パラジウム化合物であることが好ましい。可溶性パラジウム化合物としては、用いる溶媒に溶解するパラジウム化合物であれば特に制限されない。可溶性パラジウム化合物は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。可溶性パラジウム化合物としては、例えば、有機溶媒可溶性パラジウム化合物、水溶性パラジウム化合物が挙げられる。
【0034】
有機溶媒可溶性パラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス[ビス(p−イソプロピルフェニル)ペンタ−1,4−ジエン−3−オン]二パラジウム(0)、テトラアセタトテトラカルボニル四パラジウム(I)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウム(II)、ジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、プロピオン酸パラジウム(II)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(II)などが挙げられる。有機溶媒可溶性パラジウム化合物は、本発明の製造方法において溶媒を用い、かつ、該溶媒として有機溶媒のみを用いる場合に好適に使用することができる。
【0035】
水溶性パラジウム化合物としては、例えば、硝酸パラジウム(II)、テトラクロロパラジウム(II)酸、テトラクロロパラジウム(II)酸リチウム、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、テトラブロモパラジウム(II)酸カリウム、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)酢酸塩、ビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)塩化物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウムなどが挙げられる。水溶性パラジウム化合物は、本発明の製造方法において溶媒を用い、かつ、該溶媒として水または含水有機溶媒を用いる場合に好適に使用することができる。
【0036】
[変換剤]
本発明の製造方法で用いられる変換剤はパラジウム化合物をパラジウム粒子に変換することができる物質であれば特に限定されない。変換剤は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
パラジウム化合物が0価のパラジウム原子および1価のパラジウム原子のどちらか一方または両方を含む場合、変換剤としては、例えば、アンモニア、水、エチレンジアミン、塩化水素、弗化水素などの分解剤が挙げられる。これらの化合物は、ハードなルイス塩基性の配位子を供し、これらの配位子を、0価または1価という低原子価のパラジウム化合物を安定化するホスフィン類やカルボニル、オレフィンなどのソフトなルイス塩基と競合させることによって、該パラジウム化合物を分解に導くものである。この中でも、アンモニアまたは水が好ましい。
【0038】
パラジウム化合物が2価のパラジウム原子および4価のパラジウム原子のどちらか一方または両方を含む場合、変換剤としては、例えば、水素、水素化リチウムアルミニウム、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム、蟻酸、蟻酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム、ヒドラジンなどの還元剤が挙げられる。この中でも、水素、水素化リチウムアルミニウム、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウムが好ましい。
【0039】
[パラジウムサブナノ粒子の調製]
本発明の製造方法によれば、デンドリマー分子の存在下でパラジウム化合物と変換剤とを、モル比:(変換剤)/(パラジウム化合物中のパラジウム原子)が1.0〜10となる量比で反応させることによりパラジウムサブナノ粒子を調製することができる。
【0040】
本発明の製造方法では、パラジウム化合物と変換剤との量比を適宜選択して上記モル比を1.0〜10の範囲内で調整することにより、得られるパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で、特に0.4〜1.0nmの範囲内で意図的に制御することができる。上記モル比は、得ようとするパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径に応じて上記範囲内で適宜調整すればよいが、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0である。
【0041】
本発明において、デンドリマー分子に対する上記パラジウム化合物中のパラジウム原子のモル比:(パラジウム化合物中のパラジウム原子)/(デンドリマー分子)は、得られるパラジウム粒子の平均粒子直径の大きさなどの観点から、1〜100であることが好ましく、2〜50であることが特に好ましい。
【0042】
本発明において、パラジウム粒子の平均粒子直径は、該平均粒子直径が1nm以下の範囲では放射光を用いたパラジウムK端EXAFS測定により測定することができる。また、該平均粒子直径は、該平均粒子直径が1nmを超える範囲では高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)による観察で直接測定することができる。
【0043】
本発明において、パラジウムサブナノ粒子は湿式処理にて、即ち、溶媒中で調製することもできるし、乾式処理にて、即ち、溶媒を用いないで調製することができるが、湿式処理にて調製することが好ましい。湿式処理により溶媒中で調製する場合はパラジウム化合物として可溶性パラジウム化合物を用いることが好ましい。以下、湿式処理の具体的な手順について説明する。
【0044】
・湿式処理
まず、デンドリマー分子を溶媒に添加して、デンドリマー分子の溶液または分散液を得る。次に、この溶液または分散液にパラジウム化合物を添加して、好ましくは可溶性パラジウム化合物を含む溶液を添加して、デンドリマー分子およびパラジウム化合物を含む中間生成物を得る。この中間生成物においてパラジウム化合物はデンドリマー分子内部に取り込まれているものと推測される。得られた中間生成物は必要に応じて精製してもよい。最後に、溶媒中で上記中間生成物に変換剤を、モル比:(変換剤)/(添加したパラジウム化合物中のパラジウム原子)が1.0〜10となる量比で添加して、パラジウム化合物をパラジウムサブナノ粒子に変換する。このときパラジウムサブナノ粒子はデンドリマー分子内部で生成するものと推測される。
【0045】
デンドリマー分子の溶液または分散液を得るために用いる溶媒としては、デンドリマー分子が実際に溶解または分散する溶媒であれば特に制限されないが、親水性のデンドリマー分子の場合には高極性溶媒が好ましく、疎水性のデンドリマー分子の場合には低極性溶媒が望ましい。高極性溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アセトンなどが挙げられる。低極性溶媒としては、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
可溶性パラジウム化合物を含む溶液を得るために用いる溶媒としては、可溶性パラジウム化合物が実際に溶解する溶媒であれば特に制限されないが、例えば、有機溶媒、水、含水有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。また、含水有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒と水との混合物であれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒の少なくとも1種と水との混合物が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
デンドリマー分子の溶液または分散液を得るために用いる溶媒と可溶性パラジウム化合物を含む溶液を得るために用いる溶媒とは同一であっても異なっていてもよい。両溶媒としてともに混合溶媒を用いる場合には、両混合溶媒の間で、混合溶媒を構成する溶媒の種類および組成比のいずれもが同一であってもよいし、いずれか一方または両方が異なっていてもよい。
【0048】
デンドリマー分子およびパラジウム化合物を含む中間生成物を必要に応じて精製する場合、精製操作としては、例えば、洗浄やカラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。洗浄としては、例えば、分離膜を用いたろ過洗浄法、デンドリマー分子の溶液または分散液を得るために用いる溶媒とこの溶媒とは混和しない溶媒との組み合わせを用いた液々抽出法等が挙げられる。液々抽出法で用いる溶媒の組み合わせとしては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムまたはベンゼンなどと水との組み合わせが挙げられる。ここで用いる水は純水であっても、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、塩化水素等の電解質を含んでいてもよい。また、カラムクロマトグラフィーとしては、例えば、デキストリン系充填剤を用いたカラムクロマトグラフィー、逆相系充填剤を用いたカラムクロマトグラフィー、順相系充填剤を用いたカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。デキストリン系充填剤または逆相系充填剤を用いてカラムクロマトグラフィーを行う場合、溶媒としては、例えば、水、メタノール、アセトニトリルまたはこれらの混合溶媒などが挙げられる。順相系充填剤を用いてカラムクロマトグラフィーを行う場合、溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、クロロホルムまたはこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらの精製操作は1種単独で行ってもよいが、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0049】
デンドリマー分子およびパラジウム化合物を含む中間生成物と変換剤との反応を行うために用いる溶媒としては、この反応によりパラジウムサブナノ粒子が得られる溶媒であれば特に制限されないが、例えば、有機溶媒、水、含水有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。また、含水有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒と水との混合物であれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒の少なくとも1種と水との混合物が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
【0050】
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、操作は室温にて行った。
【0051】
<合成例1>
(トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の調製)
ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)(DSMファインケミカル製)1.69 g(1.0 mmol)とトリエチルアミン 11.3 g (111 mmol)を25 mlのテトラヒドロフランに溶解させた。この溶液に3,4,5−トリエトキシベンゾイルクロリド 6.1 g(22.5 mmol)を徐々に添加した。得られた溶液を室温で48時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。生成した残渣を水酸化ナトリウム水溶液(40 g/L)35 mlで洗浄した後、水35 mlで3回洗浄し、45℃で真空乾燥して、トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)を得た(収量4.2 g(0.76 mmol))。その構造を図1に示す。
【0052】
<合成例2>
(トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)の調製)
合成例1において、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)(DSMファインケミカル製)1.69 g(1.0 mmol)の代わりに、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)(DSMファインケミカル製)1.76 g(0.5 mmol)を用いた以外は合成例1と同様にして、トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)を得た(収量4.2 g(0.38 mmol))。その構造を図2に示す。
【0053】
<合成例3>
(トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)の調製)
合成例1において、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)(DSMファインケミカル製)1.69 g(1.0 mmol)の代わりに、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)(DSMファインケミカル製)1.79 g(0.25 mmol)を用いた以外は合成例1と同様にして、トリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)を得た(収量4.2 g(0.19 mmol))。その構造を図3に示す。
【0054】
<実施例1>
合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)0.11 g(0.02 mmol)をクロロホルム30 mlに溶解させた。得られた溶液にテトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム47 mg(0.16 mmol)を含む16 mlの水溶液を添加して攪拌した。さらに、飽和食塩水15mlを加えて攪拌し、分液ロートで水相を分離した。クロロホルム相を集め、これに硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、減圧下で濃縮乾固した。
【0055】
生成した残渣に10.4 mg(0.19 mmol)のテトラヒドロホウ酸カリウムを含む水−メタノール混合溶液(7:3(体積比)、1.28mL)を加えて該残渣を溶解させた。得られた溶液を2時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去してパラジウム粒子を得た(収量約17mg、収率約100%)。
【0056】
得られた粒子を高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)で観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.99 nmであった。
【0057】
<実施例2>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例2で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)0.22 g(0.02 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約17mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.99 nmであった。
【0058】
<実施例3>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約17mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.76 nmであった。
【0059】
<実施例4>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用い、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウムの量を23.5 mg(0.08 mmol)に変更し、テトラヒドロホウ酸カリウムの量を5.2 mg(0.095 mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約8mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.50 nmであった。
【0060】
<実施例5>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用い、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウムの量を11.8 mg(0.04 mmol)に変更し、テトラヒドロホウ酸カリウムの量を2.7 mg(0.048 mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約4mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.41 nmであった。
【0061】
<実施例6>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用い、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウムの量を94 mg(0.32 mmol)に変更し、テトラヒドロホウ酸カリウムの量を20.7 mg(0.38 mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約34mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.97 nmであった。
【0062】
<実施例7>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用い、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウムの量を188 mg(0.64 mmol)に変更し、テトラヒドロホウ酸カリウムの量を41.4 mg(0.77 mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約81mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.97 nmであった。
【0063】
<実施例8>
実施例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)0.44 g(0.02 mmol)を用い、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウムの量を376 mg(1.28 mmol)に変更し、テトラヒドロホウ酸カリウムの量を82.8 mg(1.54 mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量163mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の直径を測定しようとしたが、該粒子が小さすぎたため測定不能であった。そこで、Spring-8の放射光でパラジウムK端EXAFS測定を行ったところ、該粒子の平均粒子直径は0.97 nmであった。
【0064】
<比較例1>
合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)3.4 mg(0.625 μmol)をクロロホルム3 mlに溶解させた。得られた溶液に5 mMテトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム水溶液2.0 ml(10 μmol)を添加して攪拌した。さらに、飽和食塩水15mlを加えて攪拌し、分液ロートで水相を分離した。クロロホルム相を集め、これに硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、減圧下で濃縮乾固した。
【0065】
生成した残渣に10.4 mg(0.19 mmol)のテトラヒドロホウ酸カリウムを含む水−メタノール混合溶液(7:3(体積比)、1.28mL)を加えて該残渣を溶解させた。得られた溶液を1時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去してパラジウム粒子を得た(収量約1mg)。
【0066】
得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の平均粒子直径を測定したところ、2.6 nmであった。
【0067】
<比較例2>
比較例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例2で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)6.9 mg(0.625 μmol)を用いた以外は比較例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約1mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の平均粒子直径を測定したところ、2.4 nmであった。
【0068】
<比較例3>
比較例1において、合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の代わりに、合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)13.9 mg(0.625 μmol)を用いた以外は比較例1と同様にして、パラジウム粒子を得た(収量約1mg)。得られた粒子をHR-TEMで観察して該粒子の平均粒子直径を測定したところ、2.3 nmであった。
【0069】
<評価>
実施例1〜8および比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。表1に示すとおり、実施例ではパラジウムサブナノ粒子が得られたのに対し、比較例ではパラジウムサブナノ粒子が得られなかった。
【0070】
なお、100nm以下のナノ粒子は本質的に凝集しやすいことが知られている(「ナノマテリアル工学大系 第1巻 ニューセラミックス・ガラス」、初版、株式会社フジ・テクノシステム、2005年、p.217)。この点を考慮すると、上記の各例で得られたパラジウム粒子がサブナノ粒子またはナノ粒子の形で存在できているということは、これらのパラジウム粒子が凝集できない環境にあることを示していると考えることができる。したがって、これらのパラジウム粒子は、デンドリマー分子外部の自由空間に存在しているというよりはデンドリマー分子内部に束縛されている可能性が高いと推測される。即ち、上記パラジウム粒子は各例で用いたデンドリマー分子内で生成したものと推測される。
【0071】
【表1】


表中、「Pd原子/デンドリマー」はモル比:(パラジウム化合物中のパラジウム原子)/(デンドリマー分子)を表し、「変換剤/Pd原子」はモル比:(変換剤)/(パラジウム化合物中のパラジウム原子)を表し、「Pd粒子の直径」はパラジウム粒子の平均粒子直径を表す。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、パラジウムサブナノ粒子を容易かつ効率的に製造することができ、更に、得られるパラジウムサブナノ粒子の平均粒子直径を1.0 nm以下の範囲内で、特に0.4 〜1.0 nmの範囲内で意図的に制御することができる。よって、本発明の製造方法は、電子材料、センサー、触媒などに適用できるパラジウムサブナノ粒子を得るための方法として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】合成例1で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数3)の構造を示す図である。
【図2】合成例2で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数4)の構造を示す図である。
【図3】合成例3で得たトリエトキシベンズアミド修飾ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(世代数5)の構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンドリマー分子の存在下でパラジウム化合物とパラジウム化合物をパラジウム粒子に変換する変換剤とを、モル比:(該変換剤)/(該パラジウム化合物中のパラジウム原子)が1.0〜10となる量比で反応させることを含む平均粒子直径が1.0 nm以下であるパラジウム粒子の製造方法。
【請求項2】
前記パラジウム化合物が可溶性パラジウム化合物である請求項1に係る製造方法。
【請求項3】
前記デンドリマー分子の分子量が3000〜100000の範囲内である請求項1または2に係る製造方法。
【請求項4】
前記デンドリマー分子が構成元素として炭素、水素、および窒素を含む請求項1〜3のいずれか一項に係る製造方法。
【請求項5】
前記デンドリマー分子が構成元素として実質的に炭素、水素、窒素および酸素以外の元素を含まない請求項1〜4のいずれか一項に係る製造方法。
【請求項6】
前記デンドリマー分子が末端に下記一般式(I)で表される基を有する請求項1〜5のいずれか一項に係る製造方法。
【化1】

(I)

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は同一または異なり、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基または炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表す。)
【請求項7】
前記デンドリマー分子が下記一般式(II)で表される分子、下記一般式(III)で表される分子および下記一般式(IV)で表される分子の少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に係る製造方法。
【化2】

(II)

(式中、Aは独立にメチレン基またはカルボニル基を表し、mは独立に2〜4の整数を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【化3】

(III)

(式中、A、m、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)
【化4】

(IV)

(式中、A、m、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ意味を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−191320(P2009−191320A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33636(P2008−33636)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000228198)エヌ・イーケムキャット株式会社 (87)
【Fターム(参考)】