説明

パラソル

【課題】シート22が上傾して開閉するようにしたパラソルの軸を中空にすると共に上下方向に伸縮可能にして、軸の伸縮動に関連してシート22の開閉状態を調節可能にし、安全性、性能性及び美観性に加えて低コスト化を図る。
【解決手段】支柱2、3、4、5の上端に案内パイプ6を夫々枢着している。台板1の中央には内筒11及び外筒9を上下方向に伸縮自在に立設している。内筒11には、骨取付片14を具備した内筒挿通用パイプ13を取り付けている。骨19は案内パイプ6内を挿通され、内端は骨取付片14に枢着されて案内パイプ6の軸心を中心として放射状に配置され、外端間にはシート22が張設されている。シート22の上面には内筒11の上端に形成した漏斗状雨受け12が開口している。内筒11、内筒挿通用パイプ13の高さ方向位置との関連により、シート22は開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外イベント会場やレジャー施設、公園等に設置し、多数人の雨除けや日除けとして使用するパラソルに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、屋外イベント会場等に設置する開閉式のパラソルは、公知の携帯式雨傘、日傘を大きくしたものが用いられている。つまり、軸上端に傘骨の上端を外側方に放射状且つ下傾させて枢着し、傘骨の下面側中途位置には方杖の上端を枢着し、軸に遊挿されたリングには方杖の下端を枢着し、リングの上下動により傘骨の上面に張設されたシートを開閉可能にし、軸周面に突設した係止片をリング内周面に凹設した係止溝に係合させてシートの展開状態を保持し、軸の下端にコンクリート塊等の重量物を設け、重量物の重みにより軸が地面に対して略垂直状態を保持するようにして地面に設置していた。
【0003】
しかしながら、上記パラソルであると軸上端に傘骨上端を枢着し、軸に沿ってスライドするリングと骨に両端を夫々枢着した方杖でシートが開閉する構成であるため、傘骨を軸上端枢着部を中心として傘骨外端が上方に位置するように回動させシートを展開させると、展開されたシートの下方に雨が降り込み易く、又、風をシート下方に巻き込み強風に煽られ易く、風に煽られて傘骨が折れ、風の勢いにより瞬時に傘骨がシートと共に下方に垂下移動する事態が生じる場合がある。このような事態が発生した場合、展開されたシートの下方で店舗を開設等していると、風の勢いで垂下する骨やシートにより店舗が損壊し、下方に居た人も危害を受ける場合があるという問題点があった。又、パラソルを閉じる場合は、傘骨をシートと共に軸上端枢着部を中心として下方に回動させなければならず、開設店舗やイベント施設に傘骨下端やシート周縁部が接触しパラソルを閉じることができないという問題点があった。また、パラソルを開いた状態では、シート及び傘骨が軸を中心として下傾しているため、雨天時において、展開したシートの周縁真下位置を通過の際に、頭上から多量の雨水が落下し、不快であるという問題点があった。
【0004】
この改善策として、屋根骨内端が枢着されたリングがテーパ状支柱の長さ方向中途位置より下方に移動不可能に取り付けられ、屋根骨下面側中間位置と支柱外周面には方杖の両端が夫々枢着されて架設され、支柱上端部、中間部に設けた滑車と支柱下端部に設けたウインチにはロープが巻回され、ロープの移動により屋根骨外端が同一高さを保持しながら傾斜角度を変化させて動き、屋根骨上面に設けたシートを開閉するように構成した屋根骨が支柱に対して下傾した傘形屋根が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この傘形屋根は、屋根骨がシート展開時と同一高さを保持して閉じられるようにし、屋根を閉じる際にシート下方に設置した店舗等に屋根骨やシートが接触しないという効果があり、危険面での改善は見られるものの、屋根骨及びシートが支柱に対して下傾して取り付けられているため、雨天時には雨水が屋根骨外端やシート外周縁から落下するという問題点は改善されていない。
【0005】
上記問題点に鑑みて、シートが支柱に対して上傾して展開するようにし、雨水が支柱の方向に導かれるようにした形状のパラソルが考案されている。例えば、筒状支柱に外側方に上傾して突出する複数の骨の内端を枢着し、骨の上面間にはシートを設け、復筒に支柱を遊挿し、復筒と支柱上部に夫々滑車を設け、これら滑車間にロープを巻回し、ロープの索引操作により支持骨(方杖)の傾斜角度を小さくしてパラソルを開き、ロープの弛緩操作により支持骨を起こし支持骨の傾斜角度を大きくしてパラソルを閉じるようにし、シートの上面に降った雨はテント上面を支柱の方向へ集水され、支柱の上端開口より支柱の中空部を流下し地中へと排水されるように構成されたものが存在する(例えば、実用新案文献1参照)。
【0006】
上記実用新案文献1記載のパランルは雨水が骨外端やシート外周縁より落下せず、シートの下方を出入りする人が多量の雨水を頭上から浴びることがないという効果がある。しかしながら、骨及びシートを支持する支持骨や復筒が外観上視覚を通じて認識され、イベント会場等に設置するファッション性を求められるパラソルとしては見苦しく、美観上の問題を有している。又、ロープを復筒の外面に設けた止金に係留して骨を定位置に固定し、シートを一定の展開状態に保持する構造であるため、何人もロープを取り外すことが可能で、悪戲に用いられる可能性があり、極めて危険であるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、本願の発明者は骨内端の枢着部よりも上方位置で開口する筒体の開口を通るチェーン外端を骨の上面側に連結し、シートの上方に位置するチェーンの移動によりシートを開閉させるようにし、又、枢着部を中空支柱の上端に連設した雨受けの内側に配設して多量の雨水であっても周辺に溢れ出させることなく完全且つ正確に中空支柱の中空部を通って外部内に排水可能にしたパラソルを発明し、特願2004−234921号として特許出願した。
【特許文献1】特開平8−35359号公報
【実用新案文献1】
実公平6−14569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特願2004−234921号は、安全性、性能性及び美観性を満足する発明であるが、本願発明は特願2004−234921号と同様な安全性、性能性及び美観性を有し、更に低コスト化を図らんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、高さ方向に伸縮可能な中空軸を立設し、この中空軸には中空軸をガイドとして高さ方向に移動する骨取付片が摺動自在に取り付けられ、前記中空軸の上端には該中空軸の中空部と連通する雨受けを設け、前記中空軸の外側方には中空軸を囲むように複数の支柱を立設し、該支柱の上端には骨をガイドする案内パイプが内外方向に回動自在に設けられ、前記案内パイプに骨を摺動可能に挿通すると共に、骨の下端部を前記骨取付片に枢着して、前記案内パイプを中心として骨を放射状に配置し、前記骨間にはシートが張設され、このシート上面への降雨はシートの略中心部へ集水され、前記雨受けを通って前記中空軸の中空部を流下し、中空軸の中空部より外部へ排水可能に、前記シートの略中心位置に前記雨受けが開口連通してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は構成部品点数が少ないため軽量化及び低コスト化が可能であるという効果がある。
中空軸を摺動する骨取付片と支柱に上傾した骨が移動可能に架け渡され、骨取付片の中空軸に対する位置的関連に対応してシートの開閉状態が決定される構成であるので、シート外周縁から雨水が落下せず、又、骨が起きて内側方に移動することによりシートは閉じるため、シート開閉作業の際に周辺の歩行者や店舗が危険防止のために現場から離れる必要がなく、そのままの状態で安全にシート開閉作業ができるという効果がある。
中空軸の外側に一定長の支柱を立設しているため、支柱に幟や旗を取り付けることも可能で、イベント会場等の雰囲気を盛り上げることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0011】
図1はシートを開いた状態のパラソルの一部切欠斜視図、図2はシートを開いた状態のパラソルの一部切欠側面図、図3はシートを閉じた状態のパラソルの側面図である。これらの図において、平視略正方形状台板1の四隅に、支柱2、3、4、5を台板1の上面に対して垂直で、且つ固定的に立設している。支柱2、3、4、5の上端には案内パイプ6を夫々枢着している。台板1の上面に於いて、対角位置に設けられた支柱2、3、4、5の軸心を結ぶ2本の対角線が交差する交点位置に、外筒受具7を台板1の上面に対して90°の角度を有して固定的に立設している。外筒受具7は上方を開口した有底筒体の側壁下部に排水口8を備えて形成されている。
【0012】
外筒9は上下両端を開口したパイプより成り、上端外面には、外筒9の軸心を中心として外側方の互いに相反する方向で同一直線上に夫々突出し、支柱3、5と連結する係止杆10を設けている。係止杆10は、その上端縁が台板1と平行な位置関係となるように形成されている。外筒9の下部は、外筒受具7の内側に配設されている。
【0013】
内筒11は上下両端が開口され、外筒9の内径よりも小径な外径を有するパイプより成る。内筒11の上端には漏斗状の雨受け12を設け、雨受け12に集水された雨水等が内筒11の内側を流下するように、雨受け12の底部に内筒11の上端開口が開口形成されている。内筒11は、外筒9の内側を軸方向にスライド可能に配設されている。内筒11は外筒9内をスライドして昇降動し、外筒9の上端開口より出入りして内筒11及び外筒9より構成される中空軸を伸縮可能に形成している。
【0014】
内筒挿通用パイプ13の長さ方向中途部位より上部には、内筒挿通用パイプ13の軸心を中心として外側方に放射状に突出する骨取付片14を設け、この骨取付片14には軸孔が穿設されている。内筒挿通用パイプ13の下端には、外端に支柱挿通用パイプ15を備えた連杆16を、内筒挿通用パイプ13の軸心を中心として互いに相反する方向で一直線上に位置するように延設している。内筒挿通用パイプ13の側壁と支柱挿通用パイプ15の側壁には螺孔が穿設されている。螺孔には、例えばボルト等よりなる締着具17、18を螺合して、内筒挿通用パイプ13を内筒11に、支柱挿通用パイプ15を支柱3、5に締着するようにしている。内筒挿通用パイプ13には内筒11を、支柱挿通用パイプ15には支柱3、5を夫々挿通して取り付けている。
【0015】
骨19は、案内パイプ6内に挿通自在に取り付けられ、骨19の内端は、骨取付片14の軸孔に設けられた枢軸20により回転可能に枢着されている。骨19の外端にはフック21が設けられている。展開することにより方形を呈するシート22の角部は、フック21が取り付けている。シート22の中心位置には雨受け12が開口し、シート22の上面への降雨は雨受け12へ集水され、内筒11の中空部を流下するようにしている。支柱2、3、4、5の上部には、シート22の下面側を照射可能にライト23が取り付けられている。
【0016】
次に作用について説明する。
締着具17を締め付け、内筒挿通用パイプ13を内筒11に固定的に取り付け、締着具18を緩め、支柱挿通用パイプ15が支柱3、5をスライド可能にした状態で、連杆16を上昇させ所望位置にて締着具18を締め付けて支柱挿通用パイプ15を支柱3、5に固定的に取り付け、骨取付片14を備えた内筒挿通用パイプ13を定位置に安定的に保持する。案内パイプ6は外方へ回動し、骨19は枢着部より上傾するように側方に開き、シート22は撓み中心部が窪んだ状態で、骨19間に展開される。次に、内筒11を上昇させると雨受け12に連設されているシート22の中心部も持ち上げられ上昇し、シート22は骨19間に緊張状態で張設される。雨受け12が高さ方向所望位置に位置されると、締着具17を締め付けて内筒挿通用パイプ13を内筒11に固定的に取り付ける。ライト23の下方からの照明により、シートの美観に色彩的工夫を凝らすことも可能である。
【0017】
シート22が雨受け12に向って下傾しているため、シート22の上面への降雨は雨受け12へ集水され、内筒11内を流下し、さらに外筒9内を流下し、外筒受具7の排水口8より外部へ排水される。
シート22を閉じる場合は、締着具18を緩め連杆16を下降させる。連杆16を下降させると、連杆16の下端縁は係止杆10の上端縁に重合し、連杆16は係止杆10に係止される。案内パイプ6は内側方に回動し、骨19は立ち、骨19の傾斜角度は大になる。次に締着具17を緩めると、内筒11は下降し外筒9内に収納され、シート22は閉じる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】シートを開いた状態のパラソルの一部切欠斜視図である。(実施例1)
【図2】シートを開いた状態のパラソルの一部切欠側面図である。(実施例1)
【図3】シートを閉じた状態のパラソルの側面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0019】
2、3、4、5 支柱
6 案内パイプ
12 雨受け
14 骨取付片
19 骨
22 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に伸縮可能な中空軸を立設し、この中空軸には該中空軸をガイドとして高さ方向に移動する骨取付片が摺動自在に取り付けられ、中空軸の上端には中空軸の中空部と連通する雨受けを設け、
前記中空軸の外側方には中空軸を囲むように複数の支柱を立設し、該支柱の上端には骨をガイドする案内パイプが内外方向に回動自在に設けられ、
前記案内パイプに骨を摺動可能に挿通すると共に、骨の下端部を前記骨取付片に枢着して、前記案内パイプを中心として骨を放射状に配置し、
前記骨間にはシートが張設され、このシート上面への降雨はシートの略中心部へ集水され、前記雨受けを通って前記中空軸の中空部を流下し、中空軸の中空部より外部へ排水可能に、前記シートの略中心位置に前記雨受けが開口連通してなることを特徴とするパラソル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−117700(P2007−117700A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342822(P2005−342822)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(597025080)神村鉄工株式会社 (8)
【Fターム(参考)】