説明

パラフィン類用のゲル化剤及びゲル化方法

【課題】 流動パラフィンに代表されるパラフィン類用のゲル化剤及びそのゲル化方法を提供する。
【解決手段】 2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸とを有効成分として含有することを特徴とするパラフィン類用のゲル化剤、及び該ゲル化剤を用いることを特徴とするパラフィン類のゲル化方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動パラフィンに代表されるパラフィン類のゲル化方法に関し、特にインキ、塗料、電気電子、機械、建設、金属、自動車、潤滑油、切削加工、医薬品、医薬部外品、化粧品、農業、畜産、林業、水産、食品、化学、繊維、高分子、ゴム等の加工分野等で利用されているパラフィン類に適用することができるパラフィン類のゲル化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前記産業分野において、例えばインキや塗料用溶剤、化学反応の溶剤、潤滑油、熱媒、粘度調整剤、顔料保持剤、希釈液などとして種々の油が用いられている。これら油類を増粘、ゲル化する機能を有するものとして、シリカ、合成スメクタイト、12−ヒドロキシステアリン酸、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルグルタミン酸誘導体等が知られている。また、吸油性高分子としてメタクリレート系架橋重合体(特開昭50−15882号公報)、アクリル酸エステル架橋重合体(特開平4−41538号公報)、ポリノルボルネン(特開平3−221582号公報)、スチレンーブタジエン共重合体(特開平7−102238号公報)等がある。
【0003】これらのうち、無機系ゲル化剤は、安価ではあるが添加量が多く分離沈降性が高い。また、吸油性高分子は油のみの選択吸油性能が高いものの高粘度潤滑油等には適さず高価である。そのため、その使用はリサイクルして使用できる場合か、海上流出油などの漏洩処理のような特殊な用途に提案されている。
【0004】一般的な増粘ゲル化剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体、アルミニウム石鹸等があるが、これらは全て固体であるために分散性が悪く、加熱溶解させてゲル化させている。また、常温でゲル化させるため特殊な有機溶剤に溶解させて使用する方法も提案されている( 特開昭63−90599号公報、特開昭63−128093号公報、特開平6−80986号公報)。
【0005】例えば、酢酸ビニルの共重合体と脂肪酸等の組み合わせで廃食用油を20℃で分散溶解させて1時間を要してゲル化している例(特開平8−127797号公報)、2種類の(メタ)アクリレートと架橋剤の水性懸濁重合体微粒子による膨潤性吸油剤(特開平6−166725号公報)は、トルエン、灯油については1〜2分で膨潤するものの、菜種油の場合には45分を要している。
【0006】また、特に機械油、潤滑油、切削油、動植物油等のように粘度の高い油を常温で増粘、ゲル化する方法があまりなかった。例えばポリビニルアルコール水溶液とホウ酸の組み合わせ(特開平4−122796号公報)もあるが、油100gをゲル化すると200g以上のように体積が倍以上になる欠点を有している。また、ジアミノシクロヘキサンのアミド誘導体やウレア誘導体による有機液体のゲル化又は固化剤(特開平8−48965号公報、特開平8−231942号公報)の場合は、60℃以上で加熱溶解した後冷却固化させている。このように加熱固化するタイプは、固化物を攪拌するとぺ一スト状となり溶剤を分離する傾向があった。
【0007】以上述べたように、増粘ゲル化剤が種々提案されているが、飽和炭化水素化合物を主成分とする有機溶剤類、特に、パラフィン類の簡便な透明ゲル化方法は知られていなかった。
【0008】アルミニウム石鹸は増粘ゲル化剤としてよく知られているが一般的に知られているステアリン酸アルミニウムは、溶剤に対する溶解性が悪い。80℃以上で加熱溶解し、冷却後は白濁不透明ながら固化するが、経時で分離する傾向があるなど、パラフィン系溶剤には向いていなかった。また、2 一エチルヘキサン酸アルミニウムも一般的な溶剤に対しては容易にゲル化して透明になるが、パラフィン系溶剤をゲル化することは困難であった。オクチル酸アルミニウムと高級脂肪酸アルミニウムとを併用するか或いはオクチル酸アルミニウム中のオクチル酸を高級脂肪酸で置換したものをゲル化剤として用いる方法(特開平10−43282号公報)も提案されているが、実用的でなく、この他にも容易なゲル化手段は提案されていない。
【0009】本発明者らは、2−エチルヘキサン酸アルミニウムによる各種溶剤のゲル化についてすでに種々提案している。その一つに、動植物油脂類に2−エチルヘキサン酸アルミニウムと不飽和脂肪酸を有効成分として添加することで、常温でゲル化することを提案した(特開平9−316436号公報)。
【0010】近年、化学物質が人体に与える影響に関して感心が高まってきている。そのうち、有機溶剤ではベンゼンが発癌性物質に指定されていることはよく知られているところである。そこで、より安全性を高めるために、種々の産業分野において飽和炭化水素化合物を主成分とする有機溶剤類への転換が試みられている。ところが、非芳香族系溶剤、中でも飽和炭化水素系溶剤は芳香族系溶剤に比べて溶解力や分子の極性が小さいことや或いは化学的に安定であることなどから、従来と同様の薬剤や処方では目的とする物性が得られず新たな対応を迫られている産業分野もある。このような流れを背景にして、飽和炭化水素化合物を主成分とする有機溶剤、特に、パラフィン類の増粘、ゲル化技術の開発が強く望まれてきている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、人体に与える悪影響が少ないと考えられ、今後も各種産業分野において使用されると考えられる飽和炭化水素化合物を主成分とする有機溶剤類、特にパラフィン類をより簡便にゲル化するゲル化剤とそのゲル化方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究の結果、2−エチルヘキサン酸アルミニウムと特定の脂肪酸とを用いることにより飽和炭化水素化合物を主成分とする有機溶剤類、特にパラフィン類を増粘、ゲル化し得ることを見い出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、つぎの各発明を包含する。
【0013】(1)2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸を有効成分としてなるゲル化剤を用いることを特徴とする、パラフィン類のゲル化方法。
(2)前記脂肪酸が炭素数8〜24である飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸である(1)項に記載のパラフィン類のゲル化方法。
(3)パラフィン類100重量部に対して2−エチルヘキサン酸アルミニウム0.1〜100重量部と脂肪酸0.1〜100重量部とを添加することにより、該パラフィン類をゲル化することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のパラフィン類のゲル化方法。
(4)パラフィン類が、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの飽和炭化水素を主成分とするパラフィン類であることを特徴とする(1)項、(2)項又は(3)項に記載のパラフィン類のゲル化方法。
【0014】(5)2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする、パラフィン類用のゲル化剤。
(6)前記脂肪酸が炭素数8〜24である飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸である(5)項に記載のパラフィン類用のゲル化剤。
(7)パラフィン類が、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの飽和炭化水素を主成分とするパラフィン類であることを特徴とする(5)項又は(6)項に記載のパラフィン類用のゲル化剤。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によれば、2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸とを用いることにより、パラフィン類のうち常温で液状であるものならば常温で増粘、ゲル化することができ、また常温で固体であるものは液状になるよう加熱された条件下で増粘、ゲル化することができる。その増粘、ゲル化物を塗料、インキ、潤滑油、接着剤、粘着剤、高分子、ゴム、化粧品、医薬品、農業分野等の基剤、もしくは製剤とすることができ、又、利用することができる。あるいは廃溶剤、廃食用油、廃潤滑油、廃金属加工油等のいわゆる廃油を対象とすることができる。
【0016】本発明の方法で使用できる脂肪酸とは、炭素数が8〜24である飽和及び/又は不飽和脂肪酸である。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは一種及び/又は複数種で用いることができ、さらには、溶剤等で希釈されたものでもよい。
【0017】本発明でゲル化対象とするパラフィン類としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルデカン、ノルマルトリデカン、ノルマルテトラデカン、ノルマルヘキサデカン、イソオクタン、イソドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサンのような一種からなるものや、主として直鎖飽和炭化水素からなるノルマルパラフィン、分枝鎖状飽和炭化水素を多く含むイソパラフィン、主としてアルキルナフテンからなる流動パラフィン、主として炭素数25から35程度の直鎖炭化水素混合物のパラフィンワックス等が挙げられるが、これらに限定されるものものではない。また、ポリブテンは末端に二重結合を持つ合成高分子の炭化水素であるが、このように一部オレフィンを含むような化合物も対象とする。さらには、水素添加処理のように化学的にオレフィン類をアルカンに、芳香族種を飽和環状炭化水素に変性させたものも対象とすることができる。
【0018】本発明では、パラフィン類100重量部に2−エチルヘキサン酸アルミニウムを0.1〜100重量部、脂肪酸を0.1〜100重量部添加してもよいが、2−エチルヘキサン酸アルミニウム0.1〜30重量部、脂肪酸0.1〜30重量部の範囲で添加するのが経済的にも好ましい。ただし、これらの範囲に限定されるものではない。
【0019】本発明において、2−エチルヘキサン酸アルミニウムはゲルを形成する主たる役割を担い、脂肪酸は2−エチルヘキサン酸アルミニウムが有機溶剤に溶解するのを助ける作用や架橋反応を起こすことを促進するなどの補助的役割を担うと考えられ、添加量は2−エチルヘキサン酸アルミニウムの量を超えない範囲で十分であるが、必ずしも限定されるものではない。
【0020】また、上述のように脂肪酸が補助的な役割を果たすことから、従来ゲル化剤としては2−エチルヘキサン酸アルミニウムに劣ると考えられてきた各種脂肪酸のアルミニウム塩、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム等が2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸がゲルを形成するのを阻害しない範囲で2−エチルヘキサン酸アルミニウムに混入されることができる。それは、例えば2−エチルヘキサン酸アルミニウムとは別に脂肪酸アルミニウムとして混入されてもよいし、又、2−エチルヘキサン酸アルミニウムを製造する際に2−エチルヘキサン酸の一部が別の脂肪酸に置き換えられてもよいし、例えば2−エチルヘキサン酸の一部が別の脂肪酸に置き換えられて製造された主成分が2−エチルヘキサン酸の脂肪酸アルミニウム塩に別の脂肪酸アルミニウムが混入してもよい。もちろん混入される脂肪酸は一種類及び/又は二種類以上の場合が考えられるがそのいずれでもよい。
【0021】本発明において、パラフィン類のゲル化では、2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸とで常温において透明ゲルが形成されるものもあるが、限定されるものではない。すなわち、常温において不透明なゲルを形成し、加熱により透明なゲルを形成するものもある。また、常温においてゲルを形成せず、加熱により透明及び/又は不透明なゲルを形成するものもある。さらに、常温において固体状態のワックスのように加熱により液状となるものにも効果がある。
【0022】本発明におけるパラフィン類のゲル化は、パラフィン類の一種及び/又は二種以上を対象とすることができるが、これらに限定されるものではない。すなわち、パラフィン類を他の溶剤等に混在させてもよく、また、接着剤、粘着剤、インキ、塗料、高分子あるいはゴム等に分散させたパラフィン類をゲル化する目的で混在させることも可能である。
【0023】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、常温でのゲル形成の評価は、ゲル化剤添加後一昼夜の後、ゲル化したものの評価を○とし、ゲル化しないものを×とした。また、加熱した場合の評価は、最高180℃まで加熱した際にその間にゲル化しないものを×とし、加熱時にゲル化し、冷却後一週間ゲルに変化がみられなかったものを○とした。
【0024】各実施例等で使用した流動パラフィンは、カネダ(株)製の商品名「ハイコールK−230」〔流動パラフィン(70秒):13cSt(37.8℃)〕、商品名「ハイコールK−350」〔流動パラフィン(350秒):70cSt(37.8℃)〕であり、以下、単に「流動パラフィン(70秒)」、「流動パラフィン(350秒)」を表示する。
【0025】実施例1200mlビーカーに流動パラフィン(70秒)100gを計り取り、攪拌しながら別に計り取った2−エチルヘキサン酸アルミニウム5.0gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これに、オレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。この時点ですでに増粘しており、2時間後には透明ゲルが形成されていた。同様にして、種々の脂肪酸についてゲル化テストしたものを表1 に示す。
【0026】
【表1 】


【0027】EHA:2−エチルヘキサン酸,OLA:オレイン酸,StA:ステアリン酸,BeA:ベヘニン酸,MHA:トリメチルヘキサン酸,UnA:ウンデシレン酸,LaA:ラウリン酸,iStA:イソステアリン酸。
【0028】実施例2200mlビーカーにノルマルデカン100gを計り取り、攪拌しながら別に計り取った2−エチルヘキサン酸アルミニウム5.0gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これに、オレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。この時点ですでに増粘しており、翌日にはゲルが進行していた( 不透明ゲル) 。加熱をしたが、少し白っぽさが残り、不透明であった。一週間後のゲルも安定であった。同様にして、その他のパラフィン類に対して、2−エチルヘキサン酸アルミニウムとオレイン酸を添加してゲル化テストしたものを表2及び表3に示す。
【0029】
【表2】


【0030】
【表3】


【0031】表2及び表3中、「日石」は日本石油株式会社製を表し、「日本精蝋」は日本精蝋株式会社製を表す。また、EHA・Alは2−エチルヘキサン酸アルミニウムを表す。
【0032】実施例3200mlビーカーに流動パラフィン(350秒)100g計り取り、攪拌しながら別に計り取った2−エチルヘキサン酸アルミニウム3.0gとステアリン酸アルミニウム2.0gとを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これに、オレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。一昼夜の後も増粘のみで固さや透明感が得られなかったので、加熱をしたところ透明なゲルを形成した。このゲルは一週間後も安定であった。
【0033】実施例4200mlビーカーに流動パラフィン(350秒)100gを計り取った。製造時に2−エチルヘキサン酸量を100としたときの20重量部をステアリン酸に置き換えて反応させた2−エチルヘキサン酸ステアリン酸混酸アルミニウムを別に5.0g計り取り、攪拌しながら徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これにオレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。一昼夜の後も増粘のみで固さや透明感が得られなかったので、加熱をしたところ透明なゲルを形成した。このゲルは一週間後も安定であった。
【0034】比較例1200mlビーカーに流動パラフィン(70秒)100gを計り取り、攪拌しながらジベンジリデジソルビトール5.0gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。一昼夜静置したが溶解せず沈降していたので、加熱して攪拌したが溶解しなかった。
【0035】比較例2200mlビーカーに流動パラフィン(70秒)100gを計り取り、攪拌しながら12−ヒドロキジステアリン酸5.09gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。一昼夜静置したが溶解せず沈降していたので、加熱して撹絆すると、冷却後不透明なゲルができた。このゲルに力を加えると、ゲルはくずれてもとの形には戻らなかった。
【0036】比較例3200mlビーカーに流動パラフィン(350秒)100gを計り取り、攪拌しながらアクリル酸系高分子である「オレオソーブPW−170」〔(株)日本触媒社製〕5.0gを徐々に加えていき、60分間攪拌し続けた。その後一昼夜静置したところ、粒子が膨潤してゲル状態になったが均一性がなく不透明であった。
【0037】比較例4200mlビーカーに流動パラフィン(350秒)100gを計り取り、攪拌しながらスチレンーブタジエン系高分子である「アルファゲル」〔(株)アルファジャパン社製〕5.0gを徐々に加えていき、60分間攪拌し続けた。その後一昼夜静置したところ、粒子が膨潤してゲル状態になったが不均一で分離をしていた。
【0038】比較例5200mlビーカーに流動パラフィン(70秒)100gをを計り取り、攪拌しながら別に計り取ったステアリン酸アルミニウム5.0gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これに、オレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。一昼夜静置後にゲル化していないので、攪拌しながら70〜80℃に加熱をしたところ不透明ながらゲルが形成された。しかし、二日後位から流動パラフィンを吐き出しはじめ、一週間後にはゲルがこわれていた。
【0039】比較例6200mlビーカーに流動パラフィン(70秒)100gを計り取り、攪拌しながら別に計り取ったラウリン酸アルミニウム5.0gを徐々に加えていき、15分間攪拌することで十分分散させた。これに、オレイン酸2.5gを加え1時間攪拌後静置した。一昼夜静置後にゲル化していないので、攪拌しながら70〜80℃に加熱をしたところ不透明ながらゲルが形成された。しかし、翌日から流動パラフィンを吐き出しはじめ、一週間後にはゲルがこわれていた。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明はパラフィン類をゲル化するための薬剤とその方法を提供するものであり、各実施例及び比較例から明らかなように、オクチル酸アルミニウムと脂肪酸とを有効成分として併用することにより、従来ゲル化が困難であったパラフィン類をゲル化することに顕著な効果を奏し得たものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸を有効成分として含有するゲル化剤を用いることを特徴とする、パラフィン類のゲル化方法。
【請求項2】 前記脂肪酸が炭素数8〜24である飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸である請求項1に記載のパラフィン類のゲル化方法。
【請求項3】 パラフィン類100重量部に対して2−エチルヘキサン酸アルミニウム0.1〜100重量部と脂肪酸0.1〜100重量部とを添加することにより、該パラフィン類をゲル化することを特徴とする請求項1又は2に記載のパラフィン類のゲル化方法。
【請求項4】 パラフィン類が、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの飽和炭化水素を主成分とするパラフィン類であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパラフィン類のゲル化方法。
【請求項5】 2−エチルヘキサン酸アルミニウムと脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とするパラフィン類用のゲル化剤。