説明

パラメトリックリフレクティブ技術を用いたRFIDシステム

【課題】無線周波数アンテナを用いて情報を符号化および復号するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】本RFIDシステム10は、少なくとも一つ以上のインテロゲータ装置とRFIDデータタグを備える。RFIDデータタグは、基板または物体に直接形成された複数のアンテナ素子を有する。アンテナ素子は、配向と、偏波および位相情報を提供する寸法とを有しており、この情報はRFIDタグ200の符号化された情報を表している。インテロゲータ装置は領域をスキャンし、レーダーイメージング技術を用いてスキャン領域の画像を生成する。この装置は、データタグのアンテナ素子から再放射されたRF信号を受信する。データタグは画像に表されることが好ましい。再放射されたRF信号は、各アンテナ素子の偏波および位相情報を含むことが好ましく、この情報からRFデータタグ200の情報を復号するため、レーダー信号イメージングアルゴリズムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、内容を参考文献としてここに含め共有される、「パラメトリックリフレクティブ符号化を用いたミリメートル波RFIDシステム」と題した発明者マイケル・グレゴリー・ペタスの名義で2004年6月22日に出願された米国仮特許出願番号60/581384号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は直接的には、概してRFID(無線周波数ID)インテロゲータおよびデータタグ、符号化および復号方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
物品、物体、車両および人間を識別する所望の機能を実施する既存の技術が現在開発され、普及している。バーコードおよび磁気ストライプは通常、短距離デバイスとして知られている。より最近では、読み取り信頼性を高める技術が無線周波数ID、すなわちRFIDの一般的な分野で利用されている。
【0004】
RFID技術は、物体に配置されたタグトランスポンダと、タグを読み取り、識別する、本願でインテロゲータと呼ぶリーダを利用する。RFID技術は広くは、通信距離が最長の「アクティブ」タグを用いる技術と通信距離がはるかに短い(通常、20フィート以下)の「パッシブタグ」を用いる技術とに分類される。業界ではアクティブタグを、その場所の近辺から電源(バッテリなど)をとり、インテロゲータにより読み取られる信号を自身が送信するものと分類している。業界ではまたパッシブタグを、電源をリーダから得るものと分類し、パッシブタグはリーダから信号を受け取ると、情報を再送または中継するようになっている。
【0005】
これら二つの種類のタグは両方とも、通常は集積回路またはシリコンチップで形成された電子回路を備えており、この回路が識別データを保存し、リーダと通信するようになっている。チップに加えて、タグは、チップと電気的に接続されたある形状のアンテナを備えている。アクティブタグの場合は、タグ自身の電源からリーダと通信するアンテナを内蔵している。パッシブタグの場合、アンテナはリーダから生じる無線周波数(RF)エネルギーを電気出力に変換するトランスデューサとして働き、チップは励起して、リーダとの通信機能を実行するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクティブタグもパッシブタグもチップ形式の電子回路を備えた場合、タグの製造コストは大きくなる。チップ自体に関わるコストの他に、タグにチップを配置するために数多くの処理ステップが必要となる。さらに既存のタグは、アンテナをチップに機械的および電気的に接続する方法を必要とするため、製造コストは一層増加する。
【0007】
アクティブおよびパッシブなRFIDタグ技術は、基本的に探索して通信する(interrogate−and−then−communicate)シーケンス動作に基づいていることに留意すべきである。したがって、インテロゲータがタグを読み取るために要する時間はRF帯域幅と、インテロゲータとタグとの間の通信チャネルのデータ転送速度に依存する。インテロゲータの範囲内に二つ以上のタグが存在する場合、インテロゲータが一つのタグの読み取りを試みると複数の送信障害が発生することがある。さらに、上述の種類のRFIDシステムにおいて、タグの位置を正確に特定し、追跡する直接的な方法はない。上述の技術はタグを識別する方法のみを提供している。
【0008】
インテロゲータと複数のタグとの間の範囲をより大きくし、タグの製造コストを削減し、相互に近接して配置された複数のタグの読取時間を短縮するチップレスRFIDシステムおよび方法が必要とされている。さらに、タグの位置を正確に特定し、追跡するシステムも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
無線周波数アンテナを用いて情報を符号化および復号するシステムおよび方法は、一つ以上のインテロゲータ装置とRFIDデータタグを備える。RFIDデータタグは、基板または直接物体に形成された複数のアンテナ素子を有している。アンテナ素子は配向性および、RFIDタグに符号化された情報を表す偏波および位相情報を提供する寸法を有している。インテロゲータ装置は領域をスキャンし、レーダーイメージング技術を用いてスキャン領域の画像を生成する。この装置は、データタグのアンテナ素子から再放射された無線信号を受信し、データタグを画像上に表す。再放射された無線信号は、各アンテナ素子の偏波および位相情報を含むことが好ましく、この情報はRFデータタグの情報を復号するレーダー信号イメージングアルゴリズムを用いて利用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インテロゲータと複数のタグとの間の範囲をより大きくし、タグの製造コストを削減し、相互に近接して配置された複数のタグの読取時間を短縮するとともに、タグの位置を正確に特定し、追跡することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の特徴および長所は、本発明の実施の形態を例示する本明細書の一部を構成する添付の図面と、本発明の原理および実施を説明する以下の詳細な説明を参照して明らかになる。
以下、本発明の実施の形態のパラメトリックリフレクティブ技術を用いたRFIDシステムについて説明する。以下の本発明の詳細な説明は例示に過ぎず、限定を意図したものではないことは当業者には明らかである。本発明の他の実施の形態はここに開示された内容から当業者には容易に想到される。添付の図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。図面および以下の詳細な説明において、同様の部分については同一の参照符号を付す。
【0012】
ここに説明する本発明は、好ましくは半導体技術もチップ技術も必要としない、超低コストのRFIDタグの構成を使用する。本発明は、好ましくは100メートルまでの距離からRFIDタグを読み取ることができると同時に、1秒間当たりに数千のRFIDタグを読み取り、識別することができることが好ましい。さらに本発明は、RFIDタグを配置した二次元および/または三次元の位置を正確に提供可能であることが好ましい。RFIDタグが移動体に配置された場合、本発明のインテロゲータにより速度と軌跡情報が算出可能である。本発明は、好ましくは草木や非金属建築材料の背後のRFIDタグを検出可能な、ミリメートル波の領域の周波数を利用する。しかしながら、本発明はその他の範囲の周波数を使用することも意図しており、ミリメートル波の領域に限定されることはない。
【0013】
本発明は、動作費用を削減し、効率性を向上し、産業、行政機関、国土安全、軍隊、医療、教育、輸送および消費者に高い利便性を提供する。本発明は、特に限定されないが、例えば、棚卸しの備品管理、荷箱の場所を追跡し、出荷する在庫管理、車両出入管理(例えば、有料道路など)、移動車両の識別、患者、薬品、機器および人間用IDの医療目的の識別および追跡、安全保護のための人間および機器の追跡とモニタリング、飛行場の旅行鞄および手荷物の識別、遺失物(例えば、鍵、書類、ゴルフボール、衣料品など)の特定システムなど幅広い用途で使用可能である。
【0014】
図1Aは、本発明の一つの典型的な実施の形態のRFIDシステムを示す図である。図1Aに示されるように、RFIDシステム10は、リーダとも呼ばれる一つ以上のインテロゲータ100と、一つ以上のRFIDタグ200とを備えている。図1Aに示すシステムには、飛行場に通常見られるコンベヤーベルト97と、コンベヤーベルト97の上で運ばれている様々なスーツケース98と荷物99とが示されている。図1Aに示されるように、荷物99には、一つ以上のRFIDタグ200が印刷、または貼着されており、スーツケース98はそれぞれ、RFIDタグ200を有した付属品96を具備している。図1B、図1Dおよび図1Eは、スーツケースおよび荷物のRFIDタグ200を示す図である。
【0015】
図1Aには単独型のインテロゲータ100が示されており、このインテロゲータ100は、物品(スーツケース98、荷物99)がコンベヤーベルト97上を移動すると、それぞれのRFIDタグ200を特定し、識別し、場合によっては追跡するようになっている。他の実施の形態では、インテロゲータは、図1Cに示すように、携帯装置101で構成される。本発明のRFIDシステム10は、数多くの用途および設定で動作可能であり、その一部を以下に説明するが、以下に示す実施例および説明に限定されることはない。
【0016】
RFIDシステム10は、好ましくはRFIDタグ200を復号および識別するため、レーダーイメージング分野の数学的焦点アルゴリズムを用いる。RFIDシステム10で使用されるこの種の数学的焦点アルゴリズムは用途に依存する。例えば、図1に示すように、RFIDシステム10は、逆合成開口レーダー(ISAR)アルゴリズムを使用して、一つ以上のインテロゲータ100に対して並進する方向にコンベヤーベルト97上を物理的に移動している複数の手荷物品(スーツケース98、荷物99)のRFID移動タグ200(合成開口レーダー用語(SAR)で「移動ターゲット」と呼ぶ。)を識別することができる。また、図1Aに示す用途には他の数学的焦点アルゴリズムを用いても良く、SARに限定されない。一実施の形態では、インテロゲータ100は、コンベヤーベルト97に沿った様々な場所に固定して配置される。インテロゲータ100は好ましくは、コンベヤーベルト97の移動方向に対して直交および平行に配置される。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態のRFIDインテロゲータの概略図である。図2に示すインテロゲータ100の構成要素が好ましいが、インテロゲータ100は図示されていない構成要素を有しても良い。図2に示すように、インテロゲータ100は好ましくは、アンテナ構造体102、偏波および位相送信制御ブロック(送信制御ブロック)110、無線周波数送信器112、デジタル信号プロセッサ(DSP)114、制御プロセッサ116、無線周波数受信器118および偏波および位相受信制御ブロック(受信制御ブロック)120を備えている。図示されていないが、インテロゲータ100は、指定された距離内のRFIDタグ200を特定し識別するために必要な電源を供給する内部および/または外部電源を備えている。好ましくは、インテロゲータ100のアンテナ構造体102は、偏波および位相送信制御ブロック110および偏波および位相受信制御ブロック120と接続している。偏波および位相送信制御ブロック110は、好ましくは無線周波数送信器112と接続し、その両方は好ましくは制御プロセッサ116と接続している。偏波および位相受信制御ブロック120は、好ましくは無線周波数受信器118と接続し、その両方は制御プロセッサ116と同様に接続している。無線周波数送信器112と無線周波数受信器118とは好ましくはデジタル信号プロセッサ(DSP)114と接続し、このデジタル信号プロセッサ114は制御プロセッサ116と接続している。
【0018】
制御プロセッサ116は、インテロゲータ100の動作の効率性を確実にするため、インテロゲータ100の構成要素と同期することが好ましい。一実施の形態では、制御プロセッサ116は有線または無線通信技術(例えば、POE「パワーオーバーイーサネット(登録商標)」などのイーサネット(登録商標)、ブルートゥース、赤外線、無線周波数無線LAN)を介して有線または無線ネットワーク(LAN、シリアルポートおよび無線通信)122に接続している。一実施の形態では、インテロゲータ100は、携帯装置(図1C)内などに内蔵の表示部およびユーザ制御部124を備え、この表示部およびユーザ制御部124は制御プロセッサ116と接続している。一実施の形態では、インテロゲータ100は、ネットワークコンピュータなどの外部表示部およびユーザ制御部124と接続している。
【0019】
一実施の形態では、共通スキャン領域に対する別々の視点からの像(以後、「パースペクティブ」と呼ぶ)情報が一つの集合画像として分析できるように、複数のインテロゲータ100はネットワーク化されて互いに通信し、無線周波数で位相が同期している。異なる場所に配置された一つ以上のインテロゲータ100は複数の無線信号を同時または非同時に送信することが可能と想定される。さらに、一つ以上のインテロゲータは、複数のRFIDタグ200からの反射信号を同様に、同時または非同時に受信することも可能と想定される。これらの共同の信号処理方法は、複数の画像のパースペクティブを生成するための基礎となり、様々なパースペクティブから複数のRFIDタグ200の場所を示すスキャン領域の画像を生成することが可能となる。
【0020】
好ましい実施の形態では、インテロゲータ100は、図2に示すアンテナ構造体102を使用して無線電磁放射信号を送受信する。特に、アンテナ構造体は好ましくは、アンテナ構造体102において別々の部位で示される送信アンテナアレイ102Aと受信アンテナアレイ102Bを備えている。図2に示す実施の形態では、送信アンテナアレイ102Aはアンテナ構造体102の頂部に、受信アンテナアレイ102Bはアンテナ構造体102の底部に位置している。或いは、個々の送信アンテナアレイ102Aおよび受信アンテナアレイ102Bはそれぞれアンテナ構造体102面の頂部から底部に交互に配置可能であることが想定される。他の実施の形態では、一つのアンテナ群が送信および受信機能を実現する。図2に示す実施の形態では、アンテナ構造体102は、実質的に平形であり平面(二次元)を有して表されている。他の実施の形態では、アンテナ構造体102は非平面の構成(例えば、円錐形、球形、角度を有した形状)で、個々のアンテナはアレイとして三次元に配置されている。
【0021】
一般的に、インテロゲータ100は、一つ以上のレーダー(RADAR)技術を用いてスキャン領域にある複数のタグを識別する。インテロゲータ100の送信アンテナアレイ102Aは、所望の周波数で広域に電磁放射波を送信する。周波数は、システム10が使用される用途に応じて、30GHzから300GHzの範囲が好ましい。しかしながら、この範囲外の周波数も考慮されている。電磁放射波は、スキャン領域内のRFIDタグ200で受信され、このRFIDタグ200のアンテナ構造体は、所望の周波数で共振し、インテロゲータ100の方向に電磁信号を再放射して返す。インテロゲータ100はRFIDタグから受信した信号およびスキャン領域の全ての物体から反射された電磁放射波をサンプルして保存し、信号位相履歴をメモリシステムに構築する。他の処理アルゴリズムも考えられるが、数学的コヒーレント位相分析によりインテロゲータ100は、一般的な合成開口レーダー(SAR)信号処理アルゴリズムを用いて位相履歴および偏波サンプルを処理することが好ましい。こうして、インテロゲータ100は、領域のRFIDタグを識別するため、位相履歴サンプルおよび関連する偏波データからスキャン領域の画像を生成することができる。換言すると、インテロゲータ100はレーダー技術を用いてスキャン領域を「眺め」、RFIDタグを「見て」、RFIDタグ200とその他の物体とを識別し、RFIDタグ200をアンテナ構造体自身の配向と寸法で特定する。
【0022】
本発明のRFIDシステム10は、好ましくはミリメートル波の領域で、偏波および位相情報を用いてRFIDタグ200を検出し、識別する。図2に示すように、インテロゲータ100のアンテナ構造体102は送信アンテナアレイ(送信部)102Aおよび受信アンテナアレイ(受信部)102Bに、複数の垂直に配置された垂直指向性アンテナ106と複数の水平に配置された水平指向性アンテナ108とを備えている。個々のアンテナ106,108は、異なる無線偏波方式を用いて信号を個別に送受信する。例えば、アンテナ構造体102は、無線信号を垂直偏波(V)と水平偏波(H)で送信することができる。これは、垂直偏波信号Vについては垂直指向性アンテナ106を励起して、水平偏波信号Hについては水平指向性アンテナ108を励起して実現することが好ましい。
【0023】
図2のアンテナ構造体102では、インテロゲータ100は一つの偏波方式を用いて信号を送信することができ、受信部102Bのアンテナを制御して他の偏波方式の信号を受信することもできる。一例に過ぎないが、インテロゲータ100は垂直偏波信号Vを送信し、水平に偏波された信号Hを同時に受信することができる。
【0024】
さらに、インテロゲータ100は、垂直アンテナと水平アンテナの両方を制御して、付加的な偏波パラメータを送受信することができる。インテロゲータ100は垂直指向性アンテナ106を励起しながら同時に水平指向性アンテナ108を適当な位相差で励起して左旋円(LC)または右旋円(RC)偏波信号を生成することができる。RFIDシステム10では、垂直、水平、左旋円および右旋円(V、H、LC、RC)の送信偏波および受信偏波を個々に組み合わせることが好ましい。これによりRFIDシステム10は、以下により詳細に説明するように、偏波の相違および多様性を使用してインテロゲータ100が様々な送受信偏波パラメータで生成された受信信号を保存することを可能にする。
【0025】
インテロゲータ100は、RFIDタグの共振アンテナ素子の周波数領域に対応する周波数領域の無線周波数信号を生成し、受信する。送信信号の周波数は、デジタル信号プロセッサ114により生成される変調信号により時間的に変調される。デジタル信号プロセッサ114は、変調信号を無線周波数送信器112に送り、無線周波数送信器112は好ましくは、周波数変調連続波(FMCW)信号を生成する。当業者には明らかなように、インテロゲータ100とRFIDタグ200との間の距離(z軸)は、FMCW信号を用いて決定することができる。特に、送信アンテナアレイ102Aの掃引数および掃引帯域幅が測定され、受信アンテナアレイ102Bで受信された信号を変換し、ビート周波数の内容を測定することによりベースバンドにビート周波数が生成される。
【0026】
図2に示すように、無線周波数送信器112はFMCW信号を偏波および位相送信制御ブロック110に送信し、この偏波および位相送信制御ブロック110はFMCW信号を所望の偏波および/または位相に整える。偏波および位相送信制御ブロック110は、偏波および位相調整信号を送信アンテナアレイ102Aに出力する。この信号は送信アンテナアレイ102Aにより電磁放射波に変換される。調整された信号に基づき、送信アンテナアレイ102Aは垂直(V)、水平(H)、右旋円(RC)または左旋円(LC)に偏波された電磁放射波をビームスキャンパターンに沿って送信する。
【0027】
送信アンテナアレイ102Aは、放射状、並進、水平(x)および/または垂直(y)方向の両方に一つ以上のパターン126で示された電磁放射波を指向性を持って放射することができる。インテロゲータ100は好ましくは、合成開口を形成するためにレーダー画像で使用される数学的焦点方法を、RFIDタグ200の広い物理的領域を探索するビームスキャン方法とともに用いても良い。当該技術分野で周知のビームスキャン方法は、物理的領域をスキャンして使用することができる。一実施の形態では、インテロゲータ100は、一つ以上のアンテナの機械的な動きを統合し、領域を放射状にスキャンおよび/またはビームを平行移動させてスキャンしても良い。他の実施の形態では、インテロゲータ100は、フェイズドアレイビームの形成および制御を連携して領域をスキャンする。一実施の形態では、送信アンテナアレイ102Aは連続して電磁放射信号を送信し、同時に受信アンテナアレイ102Bは連続して再放射された電磁放射波を受信する。
【0028】
他の実施の形態では、送信アンテナアレイ102Aはパルスで電磁放射波を送信し、受信アンテナアレイ102Bは送信アンテナアレイ102Aからパルスとパルスの間に反射された電磁放射波を受信する。インテロゲータ100は、信号を一つ以上のRFIDタグ200に送信してから、返されて受信されるまでに要する時間を測定するため、正確な電子タイミングクロック信号を用いる。一つ以上のタグ100との距離は、送信パルスの伝搬速度に測定されたパルス送信時とパルス受信時との時間差の積を求めて算出することができる。空間的にスキャンしたデータ(x、y)とともにこうして算出された距離(z軸)を用いてRFIDタグ200の三次元位置を決定する情報を得ることができる。上述の説明は実施の形態の一例に過ぎず、本発明は、正確に無線信号を送受信するその他の如何なる適当な方法を用いることが可能であることに留意すべきである。
【0029】
一実施の形態では、インテロゲータ100と各種RFIDタグ200との間の動作距離範囲は、環境と障害物の性質に応じて数百フィートまで可能である。電磁放射波がミリメートル波周波数で送受信される用途では、スキャン領域に存在する様々な物質が無線周波数エネルギーを吸収することがある。例えば、本システムを用いた用途では、RFIDタグ200を紙と段ボールの梱包材料を介して探索するようにして、インテロゲータ100と紙/段ボールの梱包材料との間の距離範囲は減衰に対応できるように短縮しても良い。本システム10を如何なるRFIDの用途にも使用可能にするため、本システムの構成において、所望のビームパターンのサイズ、無線周波数送信の出力、使用する焦点方法は用途に応じて決定することができる。
【0030】
インテロゲータ100が使用する出力は、インテロゲータ100とFRIDタグ200との間の距離範囲、RFIDシステム10が動作する周波数領域、その他の要因に依存する。一実施の形態では、インテロゲータ100は10mWの送信出力で動作し、アンテナアレイ102Aおよび102Bごとに30dBiのアンテナ利得を有し、デジタル信号処理後、インテロゲータ100は10dBのRFIDタグアンテナ素子ごとに信号レベルのマージンを生成する。RFIDタグ200が大きくなると、反射する信号の距離範囲は長くなる。しかしながら、これは一例にすぎず、本インテロゲータおよび/またはRFIDタグはこれらの数値に限定されることはない。本インテロゲータが使用する出力は、個別の用途、スペクトル規制を考慮した認可機器か否か、本インテロゲータが軍事目的で使用されるか否かに依存する。送信出力レベルは数マイクロワットから100ミリワットの範囲が可能である。しかしながら、他の出力値も可能であり、ここで示される数値に限定されることはない。
【0031】
インテロゲータ100は、好ましくは反射された電磁放射波を、送信アンテナアレイ102Aとは独立して、受信アンテナアレイ102Bで受信する。インテロゲータ100により受信されたパターン128で示される電磁放射波は、少なくとも一つのRFIDタグ200から反射されている。図2に示すように、受信アンテナアレイ102Bが反射された電磁放射波を受信すると、信号は受信アンテナアレイ102Bにより無線周波数信号に変換される。こうして受信された無線周波数信号は、偏波および位相受信制御ブロック120に送られる。偏波および位相受信制御ブロック120は受信アンテナレイ102Bと連動して、受信信号に対して所望の偏波および位相応答を生成し、図2に示すように、その信号を無線周波数受信器118に出力する。無線周波数受信器118はこの受信信号をベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号はデジタル信号プロセッサ114に送られる。このデジタル信号プロセッサ114は、好ましくは受信したベースバンド信号をレーダー画像信号処理アルゴリズムを用いて処理してベースバンド信号を分析する。このアルゴリズムは、合成開口レーダー(SAR)、逆合成開口レーダー(ISAR)、干渉SAR(InSAR)、poliametric SAR(POLSAR)、poliametric interferometry SAR(POLIINSAR)および時間周波数共同領域分析(JTFA)の用途で使用されるアルゴリズムで用いられるアルゴリズム演算から導き出されるが、これに限定されることはない。本システムの用途で他のレーダー信号イメージングデータ処理方法も可能であることに留意すべきである。本システム10を使用する用途に応じて、これらの種類の画像処理方法を一つ以上応用してスキャン領域に独自の画像を形成する。一実施の形態では、RFIDタグの単独のアンテナを1ピクセルとして表し、RFIDタグ200の視覚的な形状をその情報とともに表示画面に表示して、RFIDタグ200を個別に識別および追跡するようにしてもよい。データの分析方法について理解を容易にするため、最初にRFIDタグ200のアンテナ素子について説明する。
【0032】
図3〜図4は、本発明のRFIDタグ200の様々な実施の形態を示す図である。図3Aおよび図3Bは、本発明のRFIDタグ200の一実施の形態を示している。図3Aに示すように、RFIDタグ200は、一つ以上の伝導アンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218を搭載した基板レイヤ202を有している。説明を簡潔にするため、図3Aに示すアンテナ素子は通常は何れも参照符号204を用いて説明し、必要な場合に限り参照符号206、208、210、212、214、216、218を用いて個別のアンテナ素子を説明することにする。図3Aに示すアンテナ素子204の相対的な寸法、数、位置は非限定的な一例であり、本発明を限定するものでないことに留意すべきである。さらに、アンテナ素子204は大きく強調して示されているが、何れも個別のアンテナ素子同士の縮尺、または基板レイヤ202に対する縮尺を示すものではないことにも留意されたい。構成の異なる複数のタグについての説明において、一つのタグの参照符号を用いた説明であっても、何れのタグの構成でも適用可能である。
【0033】
一実施の形態では、基板レイヤ202は任意の導電性接地面203の上に、または導電性接地面203と一体として構成されている。接地面203は放射波の効率性を高めるとともに、アンテナ素子の共振、振幅応答、位相応答および偏波応答反射のパラメータ制御を強化することができる。しかしながら、接地面203を使用せずに作動させても、例えば、アンテナ素子を直接荷物(梱包容器)99(図1B)に直接印刷する、アンテナ構造体を製品に直接埋め込むなど、これらに限定されないが多くの用途で十分な応答をする。
【0034】
長さと幅の寸法が異なる様々なアンテナ素子204が図3Aに示され、幅の寸法は好ましくは、アンテナダイポールの両端で測定する。長さの寸法は、約1/2波長であるλ/2程度が好ましい。アンテナ素子の幅の寸法は、約λ/10が好ましい。一例を挙げると、周波数が60GHzの場合、アンテナ素子のλ/2の寸法は自由空間で約2.50mmとなる。アンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218はお互いに少なくともλ/2の間隔で離間して配置されていることが好ましい。しかしながら、アンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218がお互いにλ/2以下の間隔で離間して配置される場合も可能であると考えられる。
【0035】
基板レイヤ202は、数式(1)に従って面の伝導素子に関連する波長の物理的寸法を下げる効果がある。
【0036】
λg=λ/√εγ (1)
【0037】
数式1で、λgは物理的波長(ガイド長)であり、λは自由空間波長、εγは基板レイヤ202の材料の比誘電率または誘電定数である。例えば、基板レイヤ202の材料の誘電定数が2.0とすると数式(1)から、面の伝導素子の物理的波長(λg)は60GHzで3.54mmとなり、アンテナ素子の長さ寸法に沿ったアンテナ素子206のλg/2は1.77mmとなる。基板レイヤ202の厚さ寸法は、λ/10からλ/50の程度が好ましいが、その他の寸法も想定される。
【0038】
タグ200のアンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218は、インテロゲータ100から送信されて入射される電磁放射波に応答する。特に、アンテナ素子204は、入射される電磁放射波がアンテナ素子204の波長特性に対応する場合は、入射される電磁放射波と共振して電気信号に変換する。こうして励起すると、アンテナ素子204により生成された電磁信号はアンテナ素子204の導電性構造体、および終端の伝送回路または結合する電気インピーダンスを介して伝送される。
【0039】
アンテナ素子204がアンテナ素子自身の終端インピーダンスと比較して低い電気インピーダンスで直接終端しているとした場合、アンテナ素子204は直ちに電気信号を電磁放射波に変換し、変換された電磁放射波は再放射され、アンテナ素子204からの反射として、インテロゲータ100により受信される。しかしながら、反射された放射波は、インテロゲータ100により個別のアンテナ素子204を識別するために使用される振幅、位相、偏波などのパラメータと特性を有しており、これら情報を総合してインテロゲータ100はRFIDタグ200およびRFIDタグ200に関連する情報を識別するようになっている。これらのパラメータは、反射波を生成するアンテナ素子204の物理的特性により調整される。
【0040】
図3Aの実施の形態に示すように、アンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218は各種の寸法上の長さと回転配向を有している。アンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218の寸法上の長さおよび配向は、それぞれの個別の位相および偏波応答を調整し、インテロゲータ100がアンテナ素子を識別するために必要な情報をアンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218が提供することを可能にする。図3Aのタグ200の左上隅のアンテナ素子204を基準アンテナ素子として、アンテナ素子206、208、210、212、214、216、218の配向、偏波特性は基準アンテナ素子204を基準として決定されることが好ましい。これにより、RFIDタグ200(およびRFIDタグ200が貼着された物体)の全体的な回転配向を、個々のアンテナ素子の読み出しと無関係にすることができる。換言すると、インテロゲータ100は、RFIDタグ200の表が上になっているのかまたは反対になっているかとは無関係に、タグ200をそのアンテナ素子204、206、208、210、212、214、216、218に基づいて効果的に識別することが可能になる。基準となるアンテナ素子204はタグ200、またはタグ200が貼着された物体の如何なる位置に配置されても良く、左上隅に限定されることはないことに留意すべきである。さらに、本発明の範囲を逸脱せずに、一つのRFIDタグ200ごとに基準アンテナ素子を二つ以上有しても良いことに留意されたい。
【0041】
図3Aにおいて、アンテナ素子204は0度の配向を有し、垂直偏波(V)として示されている。図3Aの隣接するアンテナ素子206は、90度の配向を有し、水平偏波(H)として示されている。アンテナ素子208と210は、45度と135度(θ)の配向を有し、それぞれの角度に偏波されて示されている。同様に、アンテナ素子212と214は垂直偏波(V)で示されており、アンテナ素子216は水平偏波(H)として示されている。アンテナ素子218は、45度の偏波として示されている。ここに示された個別の回転配向は例示に過ぎず、これらの角度に限定されるものではないことに留意されたい。本発明の範囲で任意の角度、すなわち偏波特性が可能であることは明かである。
【0042】
例示に過ぎないが、アンテナ構造体204、206、208および210は同一の長さ寸法を有し、同一の位相で無線信号を再放射する。図3Aのアンテナ素子212、214、216および218は異なる長さ寸法を有して示されている。アンテナ素子212および214はアンテナ素子204と同様に垂直偏波(0度)であるが、アンテナ素子212および214は長さ寸法が互いに、さらにアンテナ素子204とも異なるため、アンテナ素子212と214は互いに異なる位相応答特性を有する。このため、アンテナ素子212および214、さらにアンテナ素子204は、互いに位相の異なる電磁放射波を応答および反射する。アンテナ素子216はアンテナ素子206と同様に水平偏波で90度であるが、長さ寸法が異なるため、アンテナ素子216の応答および反射は素子206とは位相が異なる。アンテナ218にも同様の理論が適用される。
【0043】
図3Cは、本発明の他の実施の形態のRFIDタグ300を示す図である。図3Cに示すように、アンテナ素子304、306、308、310、312、314、316、318は、長方形または正方形の導電性材料のストリップとして示されている。アンテナ素子304、306、308、310、312、314、316、318は長さ寸法および幅寸法にともにほぼλg/2として構成され、幅寸法は長方形のアンテナ素子が共振周波数に応答するように構成される。アンテナ素子は互いに少なくともλ/2の間隔で離間して配置されていることが好ましい。図3AのRFIDタグ200では、個別のアンテナ素子の位相および偏波反射パラメータを調整するため、アンテナ素子の物理的寸法および/または配向は変更されている。
【0044】
図4Aは、本発明の他の実施の形態のRFIDタグ400を示す図である。図4Aに示されるように、アンテナ素子404、406、408、410、412、414、416、418は同一の長さ寸法と幅寸法を有している。他の実施の形態では、アンテナ素子404、406、408、410、412、414、416、418の少なくとも一つは、長さ寸法および幅寸法が他のアンテナ素子と異なる。図4Aの基板402上には8つのアンテナ素子404、406、408、410、412、414、416、418が示されているが、1つも含めて任意の数のアンテナ素子が想定されることに留意されたい。簡潔にするため、図4Aに示すアンテナ素子は通常は何れも参照符号404を用いて説明し、必要な場合に限り参照符号404、406、408、410、412、414、416、418を用いてアンテナ素子を説明することにする。
【0045】
図4Aに示す各アンテナ素子は、自身から延伸する伝送回線部を有している。特に、アンテナ素子404は伝送回線部420を有し、アンテナ素子406は伝送回線部422を有し、他も同様である。図4Aに示すように、伝送回線部420、422、424、426、428、430、432および434は長さおよび位置がそれぞれ異なり、伝送回線部の長さおよび位置は、アンテナ素子が入射される電磁放射波に応答する位相および偏波パラメータを調整する。図4Aのアンテナ素子404ごとに伝送回線部はそれぞれ、第1伝送回線420Aと第2伝送回線420Bとを有し、第1伝送回線420Aはアンテナ素子404から垂直に延出している。第2伝送回線420Bは第1伝送回線420Aから直角に、そしてアンテナ素子404の側部に対して平行に延伸している。
【0046】
伝送回線部420の位置および全長は、入射される電磁放射波を受信する際のアンテナ素子の偏波および位相応答を調整する。図4Aに示すように、伝送回線部420の配向は0度で垂直偏波(V)の基準となる。伝送回線部422の配向は90度で水平偏波(H)の基準となる。アンテナ素子408とアンテナ素子410において、伝送回線部424と426の配向はそれぞれ135度と45度である。
【0047】
既に説明した様に、伝送回線部420の全長はまた、入射される電磁放射波を受信する際の位相パラメータの応答を調整する。図4Aに示すように、伝送回線部420は伝送回線部428より長さ寸法が長いが、伝送回線部430より長さ寸法が短い。全長寸法の相違により、アンテナ素子404、412、414が入射される電磁放射波を異なった位相で反射することを可能とする。その他のアンテナ素子406、408、410、416、418はそれぞれ、位相および偏波反射パラメータに影響を与える様々な伝送回線部の長さ寸法および/または配向を有している。
【0048】
図4Bは、好ましくは、アンテナ素子506、508、510、512、514、516、518、520を有した他の実施の形態のRFIDタグ500を示す図である。図4Bに示すように、アンテナ素子はそれぞれ、一つ以上の伝送回線部を有し、その伝送回線部は長さ、位置および数がお互いに異なる。アンテナ素子506、508、510、512、514、516、518、520は、図4Aで説明したアンテナ素子と同様であるため、同様な構成については説明を省略する。しかしながら、アンテナ素子504と512はそれぞれ、二つの伝送回線部の組520と522を有している。
【0049】
図4Bに示すアンテナ素子504および512は円偏波であり、残りのアンテナ素子は直線偏波である。例えば、アンテナ素子504で、伝送回線部520は配向されており、長さ寸法は伝送回線部522より長く示されている。配向およびより長い長さ寸法は、伝送回線部520が他の伝送回線部522の位相遅延よりもπ/2ラジアン長い位相遅延を有するようにさせることが好ましい。位相遅延の違いは、アンテナ素子504の隣接し合う側部で直角位相状態を生成し、円偏波パラメータ(例えば、LC、RC)が生成される。特に、円偏波の方向(右旋または左旋の何れか)は、正方形パッチアンテナの側部が直角(π/2ラジアン)に進んでいるか遅れているかにより決定される。例えば、アンテナ素子512の伝送回線部524は、図4Bに示されるように、伝送回線部526より長さ寸法が長短い。この伝送回線部524と526の長さ寸法の違いは、アンテナ素子512の隣接し合う側部で、円偏波方向がアンテナ素子504と比較して反対の直角位相状態を生成する。これらの複同調アンテナ素子504、512は、以下に説明するように、アンテナ素子504、512が電磁放射波に円偏波の形式で付加情報を提供することを可能にする。
【0050】
上述の一つ以上のアンテナ構造体において、この構造体は、基板またはその他の面に印刷することができる導電性インクで形成されることが好ましい。アンテナ構造体、すなわちRFIDタグは、レーザ、インクジェットまたは市販のプリンタで安価に製造することが可能である。アンテナ構造体はまた、その他従来のRFIDタグを生成する方法を用いて印刷することもできる。他の実施の形態においてアンテナ構造体にエッチング、沈着、その他の適切な方法を適用すること可能である。
【0051】
図5は、インテロゲータ100のデジタル信号プロセッサ114が受信信号を処理し、分析し、RFIDタグ200からの情報を復号し、識別し、抽出する方法の一例を示すフロー図である。図2を参照して既に説明したように、偏波および位相送信制御ブロック110は、送信アンテナアレイ102Aとデジタル信号プロセッサ114と共に、時間的に順序付けられた偏波パラメータを有した入射電磁放射波を生成し、送信する。電磁放射波の偏波として、垂直V、水平H、右旋円RC、左旋円LCが可能である。入射電磁放射波がRFIDタグのアンテナ構造体(図3〜図4)と共振を起こすと、RFIDタグ200は放射波を反射し、インテロゲータ100の受信アンテナアレイ102Bで受信される。偏波および位相受信制御ブロック120(図2)はデジタル信号プロセッサ114とともに、特定の反射電磁放射波に対してより敏感な所定のアンテナ構成を実現する。この所定の偏波構成は順序付けられて保存され、こうして保存された構成と受信した反射信号の偏波の多様性とをインテロゲータ100が比較することにより、タグ200の識別と復号を支援できるようになっている。
【0052】
RFIDタグ以外の物体からの通常の後方散乱反射は、インテロゲータ100により受信されるが、タグのアンテナ素子と比較して不規則な偏波および位相を有している。このため、既知の位相と偏波パラメータのアンテナが既知の相対的位置の符号化パターンに印刷されており、アプリオリの基準返信信号が確立されている。この技術はインテロゲータに、タグ200にロックオンして、位相および偏波復号基準を生成するための効果的な方法を提供する。
【0053】
このようにして偏波放射波の送受信方法を制御することにより、送受信された放射波と関連する偏波構成は、サンプルされた受信信号情報に時間的指標を付して保存する方法を制御する。一実施の形態では、この受信信号情報は時間的に順序付けられ、メモリに指標が付される。図5に示すように、ベースバンド信号は無線周波数受信器118(図2)により受信される。一実施の形態では、ベースバンド信号はアナログ方式で受信され、このアナログ信号は、デジタル方式に変換される(ステップ602)。変換されたデジタル信号は、所定時間ごとの送受信偏波の組合せVt−Vr、Ht−Hr、Ht−Vr、LCt−LCr、RCt−RCr、LCt−RCr、Vt−LCr、Vt−RCr、Ht−LCr、Ht−RCrの時間系列からなることが好ましい。例えば、偏波の組合せV−LCrは所定時間に垂直偏波放射波が送信され左旋円偏波された放射波が受信された際に受信されたデータを表す。時間的指標が付された偏波サンプルの偏波の組合せの群はそれぞれ、604A−604Jとして示される、偏波メモリ画像ペインと呼ばれる個別のメモリ領域の一つに保存されることが好ましい(ステップ604)。本発明はここに示し、説明される偏波の組合せに限定されることはなく、送受信される偏波放射波は任意の数または任意の組合せが想定されることに留意されたい。
【0054】
ステップ606では、好ましくはフーリエ変換アルゴリズムを受信データに実行して、メモリペインごとにレーダー画像信号処理を適用する。フーリエ変換されたデータはサンプルごとにメモリの2つのデータ領域により記号化され、データからサンプルごとの振幅および位相情報を計算することが可能になる。サンプルごとの振幅および位相情報を算出することにより、スキャン領域の任意の数のRFIDタグ200のアンテナ素子ごとに偏波および位相情報が決定される。
【0055】
図5に示すように、フーリエ変換アルゴリズムを用いてデータが処理されると、データに合成開口レーダー演算が実行されて、高度(y)圧縮データサンプル群が算出される(ステップ608)。必要な場合は、ステップ610に示すように位相補正演算を高度(y)圧縮データに実行する(ステップ608)。ステップ612では、補正された位相データは、好ましくは再びフーリエ変換アルゴリズムを用いて処理(ステップ614)して、圧縮方位データ(x)サンプル群を算出(ステップ616)する。高度データサンプル群(ステップ608による)および方位データサンプル群(ステップ616による)から、スキャン領域のデジタル画像の初期デジタル画像を生成(ステップ618)することができ、データ620A−620Jの複数のメモリペインを使用(ステップ620)して、RFIDタグ200の復号(ステップ622)および/またはRFIDタグ200およびRFIDタグ200を含む全スキャン領域両方の視覚的画像として出力する(ステップ624)。
【0056】
データ620A−620Jの複数のメモリペインを生成することにより、本システムはタグパターンデータを補正および認識することができる。例えば、所定の時間で送信アンテナアレイ102Aが垂直偏波Vで、受信アンテナアレイ102Bもまた垂直偏波の場合、その時間に得られたデータサンプルは固有のメモリ領域に保存され、時間的な指標が付され、Vt−Vrとして表される。送信側がHで受信側がVの場合、別個のメモリペイン領域が使用され、Ht−Vrとして表され、その他も同様である。有効な数学的置換により、異なる送受信偏波の組合せを分析するために必要なメモリペイン群はVt−Vr、Ht−Hr、Ht−Vr、LCt−LCr、RCt−RCr、LCt−RCr、Vt−LCr、Vt−RCr、Ht−LCrおよびHt−RCrの群であることが知られている。これらの画像ペイン群を数学的に関連付けることにより、タグの偏波および位相の識別が推定される。次にメモリペイン内部の数学的関連付けが行われ、画像内の偏波の内容を強調した画像の詳細が導き出される。こうして時間指標の付された偏波の組合せ群ごとに固有の画像を形成することが可能になる。
【0057】
RFIDタグ200周囲の物体、壁、建物の正確なSARイメージングもまた、スキャン領域内に表される物体に関連する範囲におけるタグ200の場所の処理に利用することができる。一実施の形態では、インテロゲータをGPSシステムと図形マッピングソフトウェアとともに使用して、地理的座標に対応するRFIDタグの位置を特定し、追跡することができる。RFIDタグ200および一つ以上のインテロゲータの位置を地図が描かれた図形表示上に示して、ユーザがターゲットの場所を認識できるようにすることも想定される。一実施の形態では、RFIDシステム10が部屋の壁などの境界領域をスキャンして、インテロゲータの位置をマッピングして、これを実行する。境界の周辺が確定すると、境界周辺内部のインテロゲータ100の場所は決定され、RFIDタグ200の相対的位置も同様に決定される。インテロゲータ100およびRFIDタグ200の位置は、部屋などの静止した設定でも、インテロゲータ100および/またはRFIDタグ200が移動している場合であっても決定することが可能であることに留意されたい。
【0058】
図5に示されるように、好ましくはレーダー画像信号処理を用いた数学的焦点演算は、認識された個別のタグ構造体200に実行され、一つ以上の所定のタグアンテナ構造体200の周波数および位相応答を推定する。偏波、周波数および位相応答を推定する場合、タグ200の情報を復号することができる(622)。例示に過ぎないが、図6に、RFIDタグアンテナ構造体コードの復号体系の一例を示すテーブルを示す。図6に示したテーブルは、アンテナ構造体の偏波および位相特性のみを考慮して構造体を復号していることに留意されたい。例示に過ぎないが、図6のテーブルを参照して図3Aで論じたRFIDタグについて説明する。しかしながら、この他の任意のアンテナ構成にもテーブルを用いることが可能で、図3Aに示す構成に限定されないことに留意されたい。
【0059】
図6に示すように、テーブルは4つのレベルの偏波コードと4つのレベルの位相コードを提供している。このためテーブルは、RFIDタグ200から受信した偏波および位相情報を合計で16の異なる組合せまたは状態で表せるように設定されている。バイナリデータの用語では、コードのビットサイズはlog16=4となる。このため、図6のテーブルは、偏波および位相に関して4ビットコードの組合せで全て表すことが可能である。
【0060】
既に説明したように、一実施の形態では、インテロゲータ100は無線信号を、1秒間当たりに広い周波数領域を何度も掃引する周波数変調キャリア(例えばFMCW)で送信する。タグのアンテナ構造体は、構造体の配置を変更することにより、異なる波長の信号を再放射するように調整できることから、図6のサンプルテーブルの偏波および位相の組合せは、異なる別個の周波数でも再現可能である。これにより、所定のアンテナ構造体により多くのビットを、順に符号化し、復号することが可能になる。周波数分離の程度は、共振の鋭さ(すなわちQ)に影響を与える、アンテナ構造体、導電率および基板の誘電損失に依存する。例えば、4つの周波数「ビン」を使用して、各ビンでそれぞれ4ビットの偏波および位相データを独立して分析した場合、全体で4×16、すなわち合計64の組合せが可能になる。Log64=6であることから、6ビットのコードで、4つのビンの周波数分離を用いた各アンテナ構造体を表すことができることが理解される。
【0061】
一実施の形態では、本システムはアンテナ構造体ごとに、高品質のビット符号化が望まれる用途において高密度のコードに対応することができるため、一つのタグ領域ごとの符号化データは多くなる。所定のタグ領域ごとに符号化することが可能なデータビット数の非限定的な例では、一平方インチのタグで、1波長(λ)、すなわち60GHzの周波数で5mmの間隔で離間した約25個のλ/2マイクロストリップパッチアンテナを収容することができる。このことから、6ビット符号化体系を用いた場合に1平方インチ当たりの領域に符号化されるビット数の合計は6×25=150ビットとなる。同様の符号化体系を92GHz(λ=3.2mm)に用いた場合、1平方インチ内に約60個のパッチアンテナが収容可能となる。このことから、360ビット(6×60)を符号化可能となる。
【0062】
図7は、アンテナ素子で符号化可能な符号化方法の一例を示す図である。図7に示すように、符号化する情報をまず英数字文字からデータ符号化フォーマット(例えば、ASCII)に変換する(ステップ700)。データ文字は、標準または独自の仕様に対応可能な適当な位相および偏波値に変換されることが好ましい(ステップ702)。次に、この位相および偏波値はそれぞれ文字ごとに、適当なアンテナ構造体に変換されることが好ましい(ステップ704)。この全体の処理はソフトウェアプログラムにより実行することが可能であり、この情報はプリンタに送信されてアンテナ構造体の構成が生成される(ステップ706)。上述のように、基準アンテナ素子をプリントアンテナの構成に配置することも想定される。一実施の形態では、エラー訂正符号化法(例えば、パリティ符号化、ターボ符号化)をアンテナ素子に実際に符号化するデータに適用する。一実施の形態では、安全のため、アンテナ素子は暗号化/復号方法を用いて符号化および復号される。この方法には、これに限定されることはないが、MD2、MD4、MD5および/またはSHAアルゴリズムなどのハッシュアルゴリズム、デジタル署名が含まれる。ハッシュアルゴリズムはまた本発明と関連して、検出強化用信号の不規則性向上のために使用することもできる。
【0063】
本発明の様々な実施の形態および用途について説明したが、当業者にはこの開示によりここに記載した以外の多くの変形態様が本発明の範囲を逸脱しないで可能であることが理解される。本発明は、したがって、添付の特許請求の範囲以外に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】本発明の実施の形態に従った手荷物の識別のために用いられる無線周波数ID(RFID)システムを示す図である。
【図1B】本発明の一実施の形態のRFIDタグを有した手荷物ラベルを示す図である。
【図1C】本発明の一実施の形態に従った携帯用RFIDインテロゲータを示す図である。
【図1D】本発明の一実施の形態に従ったRFIDタグを有した個人識別カードを示す図である。
【図1E】本発明の一実施の形態に従った複数のRFIDタグを有した容器を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に従ったRFIDインテロゲータの概要を示す図である。
【図3A】本発明の一実施の形態に従ったRFIDタグの基板上のアンテナ構成の概要を示す図である。
【図3B】本発明の一実施の形態に従ったRFIDタグの基板の側面を示す図である。
【図3C】本発明の一実施の形態に従った基板上の他のRFIDタグアンテナの構成の概要を示す図である。
【図4A】本発明の一実施の形態に従った基板上の他のRFIDタグアンテナの構成の概要を示す図である。
【図4B】本発明の一実施の形態に従った基板上の他のRFIDタグアンテナの構成の概要を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に従った復号処理を説明するブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態に従ったRFIDタグのデータ符号化体系のテーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に従った符号化処理の一例を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0065】
10 RFIDシステム
100 インテロゲータ
102 アンテナ構造体
102A 送信アンテナアレイ
102B 受信アンテナアレイ
106 垂直指向性アンテナ
108 水平指向性アンテナ
110 偏波および位相送信制御ブロック
112 無線周波数送信器
114 デジタル信号プロセッサ(DSP)
116 制御プロセッサ
118 無線周波数受信器
120 偏波および位相受信制御ブロック
200 RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の偏波でスキャン領域に電磁放射波を放射するステップと、
アンテナ素子を有した前記スキャン領域のRFデータタグが、偏波パラメータおよび位相パラメータで電磁放射波を再放射すると、前記再放射された電磁放射波を受信するステップと、
前記受信した電磁放射波から前記アンテナ素子の前記偏波パラメータおよび位相パラメータを決定するステップと、
前記偏波パラメータおよび位相パラメータを前記RFデータタグに符号化された情報を表すデータに変換するステップと、を有することを特徴とするRFデータタグに保存されたデータを読み取る方法。
【請求項2】
前記決定するステップはさらに、前記RFデータタグを識別するため、偏波情報および位相情報から高度および方位圧縮データを算出するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定するステップはさらに、偏波特性および位相特性を算出するため、前記受信した電磁放射波に信号画像処理アルゴリズムを実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電磁放射波が放射されて受信された前記スキャン領域の画像を生成するステップをさらに有し、前記画像には前記アンテナ素子が存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RFデータタグの前記再放射された電磁放射波は、前記RFタグの移動時に受信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放射された電磁放射波の周波数を変更するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の送信および受信場所から実行される送信は同期していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
符号化する情報を所定のビット符号化体系に変換するステップと、
前記ビット符号化体系を位相特性および偏波特性の少なくとも一つに変換するステップと、
前記位相特性および偏波特性の少なくとも一つを有したアンテナ素子を生成するステップと、を有することを特徴とする情報をRFデータタグに符号化する方法。
【請求項9】
前記アンテナ素子を基板に印刷するステップをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アンテナ素子は、所定の周波数で入射される電磁放射波を受信すると、前記位相特性および偏波特性の少なくとも一つを有する電磁放射波を再放射することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アンテナ素子は、配向と、前記偏波特性および位相特性の少なくとも一つに関連する少なくとも一つの寸法とを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記アンテナ素子は基準アンテナ素子であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記アンテナ素子は、入射されるRF信号を受信すると、RF信号を再放射し、前記再放射されたRF信号は処理されて前記RFデータタグの符号化情報を復号することが可能であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも二つの異なった偏波特性を有するRF信号を含む複数のRF信号を送信するステップと、
偏波情報および位相情報を有したアンテナ素子を具備したRFデータタグから、それぞれ対応する送信されたRF信号に対応し、前記アンテナ素子の偏波情報を有する、複数の再放射された無線信号を受信するステップと、
それぞれの再放射されたRF信号ごとに前記偏波情報を比較して、前記アンテナ素子を識別するステップと、
前記識別されたアンテナ素子の前記偏波情報および位相情報を前記アンテナ素子で符号化された情報を表すデータに変換するステップと、を有することを特徴とするRFタグに保存されたデータを読み出す方法。
【請求項15】
それぞれ受信したRF信号ごとに前記偏波情報および位相情報を保存するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記比較するステップは、前記RFデータタグを識別するために、前記偏波情報および位相情報から高度および方位圧縮データを算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記偏波情報および位相情報を決定するために、前記再放射されたRF信号に信号画像処理アルゴリズムを実行するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記RF信号の電磁放射波が送受信されるスキャン領域の画像を生成するステップをさらに有し、前記画像には前記アンテナ素子が存在することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
放射状運動および並進運動の少なくとも一つで送信が実行されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
複数の送信および受信場所から実行される送信は同期していることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
符号化された情報を有し、所定の位相パラメータおよび偏波パラメータを有するアンテナ素子と、
前記RFデータタグに電磁放射波を送信し、前記RFデータタグから再放射された電磁放射波を受信して、前記受信した再放射された電磁放射波の少なくとも一つの偏波パラメータと少なく一つの位相パラメータから前記符号化された情報を復号する、少なくとも一つのインテロゲータ装置と、を備えたRFデータタグ識別システム。
【請求項22】
前記アンテナ素子は、配向と、前記偏波パラメータおよび位相パラメータに関連する少なくとも一つの寸法とを有することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記RFデータタグはさらに、前記アンテナ素子と少なくとも半波長離間した基準アンテナを備えることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記インテロゲータ装置および前記RFデータタグの少なくとも一つは移動していることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記インテロゲータ装置は、レーダー画像信号処理アルゴリズムを用いて前記再放射された電磁放射波から前記偏波パラメータおよび位相パラメータを決定することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
送信および受信される前記電磁放射波からスキャンした領域の画像を生成する前記インテロゲータ装置と接続した表示装置をさらに備え、前記画像は、少なくとも前記RFデータタグの場所および前記RFデータタグ自体の何れか一つを含むことたことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
相互に接続された複数のインテロゲータ装置をさらに備え、前記複数のインテロゲータ装置の少なくとも一つのインテロゲータ装置は、前記複数のインテロゲータ装置とは別の少なくとも一つの装置にRFデータタグ情報を提供することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
第1のインテロゲータ装置は電磁放射波を放射し、前記複数のインテロゲータ装置は、前記再放射された電磁放射波を同時に受信することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
第1のインテロゲータ装置は電磁放射波を放射し、前記複数のインテロゲータ装置は、前記再放射された電磁放射波を所望の順序で受信することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
複数のインテロゲータ装置は電磁放射波を順番に放射し、前記複数のインテロゲータ装置は前記再放射された電磁放射波を同時に受信することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
複数のインテロゲータ装置は第1の順番で電磁放射波を放射し、前記複数のインテロゲータ装置は前記再放射された電磁放射波を第2の順番で受信することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
入射される電磁放射波を受信し、それぞれ符号化された情報を表す位相パラメータおよび偏波パラメータを有する複数のアンテナ素子を有し、
少なくとも一つのアンテナ素子は、前記符号化された情報を表す位相パラメータおよび偏波パラメータを有する電磁放射波を再放射する情報を有することを特徴とする符号化されたRFデータタグ。
【請求項33】
前記複数のアンテナ素子は、導電性インクでプリントされていることを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項34】
少なくとも一つのアンテナ素子は、既知の位相パラメータおよび偏波パラメータを有する基準アンテナ素子であることを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項35】
前記複数のアンテナ素子は、相互に少なくとも半波長離間していることを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項36】
前記複数のアンテナ素子はそれぞれ、配向と、前記偏波パラメータおよび位相パラメータに関連した少なくとも一つの寸法とを有することを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項37】
前記複数のアンテナ素子は、基板に配設されていることを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項38】
前記複数のアンテナ素子は、物体に直接導電性インクで印刷されていることを特徴とする請求項32に記載のデータタグ。
【請求項39】
電磁放射波を放射し、RFデータタグから再放射された電磁放射波を検知するアンテナ構造体と、
前記検知された電磁放射波から少なくとも偏波情報および位相情報を決定する第1の回路と、
前記偏波情報および位相情報を前記RFデータタグに符号化された情報を表し、機器が読取可能なデータに変更する第2の回路と、を備えたことを特徴とするRFデータタグに符号化された情報を復号するインテロゲータ装置。
【請求項40】
前記第1の回路は、前記偏波情報および位相情報を決定するため、レーダー画像信号処理を実行することを特徴とする請求項39に記載の装置。
【請求項41】
インテロゲータは、所望の周波数で複数の電磁放射スキャンを放射し、前記複数の電磁放射スキャンのうち少なくとも一つのスキャンで放射される前記電磁放射波は、他のスキャンと異なる偏波パラメータを有することを特徴とする請求項39に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−503759(P2008−503759A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534566(P2007−534566)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/022146
【国際公開番号】WO2007/030086
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(506423545)ヴュービック インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】