パルス信号補正装置およびそれを用いた充填装置
【課題】流量計と充填を制御する制御装置の間でノイズなどによって流量を表すパルスが増加あるいは消失すると、制御装置が正確な流量を把握できないので、正確に充填することができない。本発明はこのような課題を解決することを目的にする。
【解決手段】パルス信号補正装置を経由して流量計の出力を制御装置に入力する。パルス信号補正装置は流量計の出力と制御装置が受信したパルス数の差分を計算し、この差分に基づいて、次の出力周期で出力パルス数を補正するようにする。制御装置が正確な流量を得ることができるので、正確に充填できる。
【解決手段】パルス信号補正装置を経由して流量計の出力を制御装置に入力する。パルス信号補正装置は流量計の出力と制御装置が受信したパルス数の差分を計算し、この差分に基づいて、次の出力周期で出力パルス数を補正するようにする。制御装置が正確な流量を得ることができるので、正確に充填できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス信号が正確に伝送されなかったことを検出して、正確なパルス数になるように補正する装置に関し、特に流量を測定して容器に充填する充填装置に用いて好適なパルス信号補正装置およびそれを用いた充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体の流量を測定して容器に充填する流量充填装置の発明が記載されている。以下、図11に基づいてこの発明の概要を説明する。
【0003】
図11は流量充填装置の構成図である。先端にノズル12が取り付けられた充填液通路11をフィラタンク10に接続し、充填液通路11に取り付けられた充填バルブ13を開閉して、図示しない容器に液体を充填する。
【0004】
充填液通路11には電磁流量計14が取り付けられている。電磁流量計14は、充填液通路11に流れる液体の流量に応じたパルス信号を出力する。このパルス信号は、制御装置15内の演算部15aに入力される。演算部15aは入力されたパルス信号をカウントし、このカウント値が記憶部15bに格納された設定値になると、充填バルブ13を閉じる。
【0005】
フィラタンク10には温度計16が設置され、その出力信号は演算部15aに入力される。フィラタンク10内の液体は温度によって膨張、収縮するので、温度計16の出力で流量を補正する。演算部15aは、記憶部15bに格納されている膨張/収縮係数を用いて、流量値を補正する。
【0006】
このような流量充填装置では、電磁流量計14の誤差等のために、容器への充填量に誤差が発生する場合がある。このため、テスト充填を行って1パルスあたりの流量を求め、この流量を設定部15cに保存しておく。演算部15aは、設定部15cから1パルスあたりの流量を読み出し、記憶部15bに格納された設定値を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−105989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような流量充填装置には、次のような課題があった。
充填液の流量を測定する電磁流量計14と制御装置15は通常離隔して設置されるので、ケーブルを用いて電磁流量計14の出力パルス信号を制御装置15に伝送しなければならない。このため、伝送途中でノイズなどが混入して、電磁流量計14が出力したパルス数と、制御装置15が受信するパルス数が異なる場合が発生し、容器への充填量に誤差が発生してしまうという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、制御装置が受信するパルス数を補正することができるパルス信号補正装置およびそれを用いた充填装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
所定の出力周期の間に出力すべきパルス数を表す設定値が入力され、パルス信号を補正して出力するパルス信号補正装置において、
補正値および前記設定値が入力され、前記設定値が表すパルス数を、前記補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して対象物に出力するパルス発生部と、
前記出力期間の間、前記パルス発生部が前記対象物に出力したパルス信号をカウントしてそのカウント値を出力するパルス計数部と、
前記設定値および前記パルス計数部の出力が入力され、前記設定値が表すパルス数と前記パルス計数部の出力の差分を演算し、この差分を前記補正値として前記パルス発生部に出力するパルス数検算部と、
を具備したものである。ノイズなどによって増加、消失したパルスを補正することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
1出力期間に補正できる最大パルス数、および/またはパルスを補正するタイミングを設定できるようにしたものである。種々の環境に対応させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、
配管に流れる流量を測定し、この測定した流量に基づいてバルブを制御して、被充填容器に所定量の流体を充填する充填装置において、
前記配管に流れる流量を測定する流量計と、
前記配管に配置され、この配管に流れる流量を制御するバルブと、
前記流量計の出力が入力される、請求項1若しくは請求項2記載のパルス信号補正装置と、
前記パルス信号補正装置が出力するパルス信号が入力され、このパルス信号に基づいて前記バルブを制御する制御装置と、
を具備したものである。ノイズなどによってパルスが増加、消失しても、正確に充填することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記パルス信号補正装置は補正したパルス数を前記流量計に出力し、
前記流量計は入力されたパルス数を積算し、この積算値が一定値以上になると、前記制御装置に警報を出力するようにしたものである。トラブルの発生前に不具合を発見することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1、2の発明によれば、所定の出力周期に出力するパルス数を表す設定値と対象物に出力したパルス数の差分を演算して補正値として出力し、パルス発生部は前記設定値で表されたパルス数をこの補正値で補正して対象物に出力するようにした。
【0015】
ノイズなどによって対象物が受信するパルスが増加あるいは消失しても、この増加あるいは消失したパルスを補正することができるので、対象物は正確な数のパルスを受信することができるという効果がある。
【0016】
また、1出力周期間で補正できる最大パルス数や補正のタイミングを可変できるようにすることにより、環境に応じた補正ができるという効果もある。
【0017】
請求項3、4の発明によれば、被充填容器に充填する流体の流量を流量計で測定して充填する充填装置において、流量計の出力を請求項1若しくは請求項2のパルス信号補正装置を経由して充填を制御する制御装置に入力するようにした。
【0018】
制御装置に至る経路の途中でパルスが増加あるいは消失しても、パルス信号補正装置で補正することができるので、制御装置は正確な流量を受信することができる。このため、制御装置は正確な流量を得ることができるので、被充填容器に正確な量を充填することができるという効果がある。
【0019】
また、補正したパルス数を積算して、この積算値が一定値以上になると制御装置に警報を出力するようにすることにより、補正が行えないようになる前に機器のチェックなどを行うことができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】パルス発生部25aの出力を表す波形図である。
【図3】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図4】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図5】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図6】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図7】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図8】パルス発生部25aの出力を表す波形図である。
【図9】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施例の構成図である。
【図11】従来の充填装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るパルス信号補正装置を用いた充填装置の一実施例を示した構成図である。
【0022】
図1において、20はタンクであり、充填する液体が格納される。21はタンク20に取り付けられている配管、22は液体を充填する被充填容器である。配管21の途中には、バルブ23が取り付けられている。バルブ23が開状態になると、タンク20中の液体は配管21を通過して被充填容器22に充填される。
【0023】
24aは流量センサであり、配管21の途中に設置される。流量センサ24aは、配管21に流れる液体の流量を検出する。流量センサ24aの出力は流量演算部24bに出力される。
【0024】
流量演算部24bは、流量センサ24aの出力から配管21に流れる液体の流量を演算し、1出力周期(例えば100mS)に流れる流量に比例するパルス数を表す設定値を出力する。流量演算部24bの出力は1出力周期に出力するパルス数を表す信号であればよく、アナログ信号あるいはデジタル値であってもよい。この設定値は、出力周期毎に更新される。流量センサ24aおよび流量演算部24bで流量計24を構成している。
【0025】
25はパルス信号補正装置であり、パルス発生部25a、パルス計数部25b、およびパルス数検算部25cで構成される。これらパルス発生部25a、パルス計数部25b、パルス数検算部25cは、流量演算部24bが出力する設定値の出力周期に同期して動作する。
【0026】
パルス発生部25aには、流量演算部24bの出力である設定値、およびパルス数検算部25cの出力が入力される。パルス発生部25aは、パルス数検算部25cの出力に基づいて、入力された設定値が表すパルス数を補正したパルス信号を生成し、パルス信号補正装置25から離隔して設置されている制御装置26に、この生成したパルス信号を出力する。
【0027】
パルス計数部25bには、制御装置26に入力されるパルス信号が入力される。パルス計数部25bは入力されたパルス信号を前記出力周期の間カウントし、そのカウント値をパルス数検算部25cに出力する。
【0028】
パルス数検算部25cには、パルス発生部25aに入力される設定値、およびパルス計数部25bの出力が入力される。パルス数検算部25cは、入力された設定値が表すパルス数とパルス計数部25bの出力の差分を演算し、その結果を補正値としてパルス発生部25aに出力する。
【0029】
制御装置26は、パルス信号補正装置25の出力パルス信号に基づいてバルブ23の開閉を制御する。制御装置26は、被充填容器22が空のときにバルブ23を開いて液体を被充填容器22に流入させる。流量計24はこの液体の流量を計測し、設定値である流量信号を出力する。この設定値は、パルス信号補正装置25で補正したパルス信号に変換され、制御装置26に入力される。制御装置26は、入力されたパルス信号のパルス数が被充填容器22に充填する充填量になると、バルブ23を閉じる。制御装置は対象物に相当する。
【0030】
パルス発生部25aが出力するパルス信号の1パルスが表す液体の容量を予め定めておく。このようにすると、制御装置26は、パルス発生部25aが出力するパルス数をカウントするだけで、被充填容器22に流入した液体の容量を知ることができる。
【0031】
なお、流量演算部24bと制御装置26の間には通信路が設置される。流量演算部24bと制御装置26は、この通信路に流れる通信信号を用いて、通信を行うことができる。
【0032】
パルス信号補正装置25と制御装置26は離隔して配置されるので、パルス信号が制御装置26に伝送される途中でノイズ等が混入してパルスが増加し、またパルスが消失して、流量演算部24bの出力値が表すパルス数と制御装置26が受け取るパルス数が異なる場合が発生する。このようなことが発生すると、実際に被充填容器22に充填された充填量と制御装置26が認識する充填量が異なり、被充填容器22に充填される液体の量がばらつくという不具合が発生する。
【0033】
このため、パルス信号補正装置25によって制御装置26に出力するパルス数を補正し、制御装置26が被充填容器22に充填された充填量を正確に認識できるようにする。
【0034】
図2に、パルス発生部25aが出力するパルス信号の波形図を示す。パルス発生部25aは、各出力周期に一定周期のパルス信号を決められた数だけ出力する。図2では、出力周期1で10個のパルスを出力し、次の出力周期2で5個のパルスを出力している。このパルス数を積算することにより、被充填容器22に流入した液体の容量を知ることができる。
【0035】
次に、図3〜図9に基づいてパルス信号補正装置25の動作を説明する。なお、図3〜図7、図9において(A)は流量演算部24bの出力、(B)は制御装置26が受信するパルス信号の波形図である。なお、(A)は模式図であり、必ずしも流量演算部24bの出力波形を表すものではない。
【0036】
図3に、ノイズ等によって制御装置26が受け取るパルス数が増加した場合の例を示す。(A)に示すように、流量演算部24bは出力周期1で10個のパルスを出力し、次の出力周期2で5個のパルスを出力する。しかし、(B)の30に示すように、制御装置26への伝送途中でノイズが混入し、パルス数が増加したとする。このノイズ混入により、出力周期1の期間に制御装置26が受け取るパルス数は11になる。
【0037】
パルス計数部25bは出力周期1の間(B)のパルス信号をカウントするので、そのカウント値も11になる。パルス計数部25bはこのカウント値11をパルス数検算部25cに出力する。
【0038】
パルス数検算部25cは、流量演算部24bの出力からパルス数を算出し、このパルス数とパルス計数部25bから入力されたパルス数の差分を演算し、この差分を補正値としてパルス発生部25aに出力する。流量演算部24bの出力から算出したパルス数は10、パルス計数部25bの出力値は11なので、補正値は−1になる。
【0039】
パルス発生部25aにはパルス数検算部25cの出力である補正値が入力される。パルス発生部25aは、この補正値(−1)によって、制御装置26が受信したパルス数が流量演算部24bの出力が表すパルス数より1つ多いことを知る。
【0040】
このパルス数の差を補正するために、次の出力周期である出力周期2で、流量演算部24bの出力が表すパルス数と入力された補正値とを加算したパルス数を有するパルス信号を生成し、制御装置26に出力する。出力周期2では流量演算部24bが表すパルス数は5なので、4個のパルスを制御装置26に出力する。すなわち、パルス発生部25aは、流量演算部24bが出力する設定値が表すパルス数を、入力された補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して制御装置26に出力する
【0041】
このように、パルス数検算部25cからの補正値が正値であると、パルス発生部25aは次の出力周期で流量演算部24bの出力が表すパルス数に補正値を加算したパルス数を出力し、負値であると補正値の絶対値だけ減じたパルス数を出力する。
【0042】
出力周期1だけで見ると流量演算部24bの出力が表すパルス数と制御装置26が受信するパルス数は異なっているが、出力周期1と2を合わせるとパルス数は15となり、両者のパルス数は一致する。従って、制御装置26は正確な積算流量値を得ることができる。
【0043】
なお、出力周期2ではパルス数検算部25bが出力するカウント値は4、流量演算部24bの出力が表すパルス数は5となるので、パルス数検算部25cの出力値は+1となる。しかし、パルス発生部25aは前回の出力周期1で1パルス補正したことを知っているので、次の出力周期では補正を行わない。
【0044】
図4に、パルスが消失する例を示す。この例では、出力周期1で制御装置26が受け取るパルスが1つ消失している。図4(B)において、31の点線は消失したパルスを表している。この場合、出力周期1におけるパルス計数部25bのカウント値は9、流量演算部24bの出力が表すパルス数は10となるので、パルス数検算部25cは差分の+1をパルス発生部25aに出力する。パルス発生部25aは、この+1によって次の出力周期2で流量演算部24bの出力が表すパルス数に1パルス追加したパルス数を、制御装置26に出力する。32は追加されたパルスを表す。
【0045】
この場合も、出力周期1だけでは流量演算部24bの出力が表すパルス数と制御装置26が受信するパルス数は異なるが、出力周期1と2を合わせると、両者のパルス数は一致する。
【0046】
図3、図4ではパルスが追加あるいは消失した次の出力周期で補正するようにしたが、次の周期で補正できない場合は、その次の出力周期以降で補正するようにしてもよい。図5にこのような例を示す。
【0047】
図5において、出力周期1において、33に示すように制御装置26が受信するパルス数が増加するが、次の出力周期である出力周期2ではパルスを補正せずに、その次の出力周期3で補正してもよい。34の点線は、補正されて除去されたパルスを表している。
【0048】
図6に、1つの出力周期では補正ができない場合の例を示す。図6において、(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、出力周期1〜3でそれぞれ5個、3個、5個である。
【0049】
(B)の出力周期1に示すように、ノイズ等によって制御装置26が受信するパルス数が4増加する。35は増加したパルスを表す。出力周期1の最後で、パルス発生部25aはパルス数検算部25bから(−4)を受け取る。パルス発生部25aは、この入力値(−4)によって出力するパルス数を4減じようとするが、次の出力周期2では流量演算部24bの出力が表すパルス数は3なので、出力周期2だけでは補正できない。
【0050】
このため、出力周期2では流量制御装置26に出力するパルス数を0とし、出力周期3で更に1つのパルスを減じるようにする。出力周期2、3の点線部は、出力されなかったパルスを表している。
【0051】
1つの出力周期で補正できるパルス数を制限して、2出力周期以上で補正するようにすることもできる。図7は1出力周期で補正できる最大パルス数を1とした例である。この最大パルス数は、パルス発生部25aに設定される。
【0052】
図7において、(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、周期1〜3でそれぞれ5である。(B)に示すように、出力周期1で制御装置26が受信するパルス数が2個増加する。36は増加したパルスを表す。
【0053】
出力周期1の終わりで、パルス発生部25はパルス数検算部25cから(−2)を受け取り、これによって2個のパルスを削除して補正しなければならないこと知る。しかし、1出力周期で補正できるパルス数の最大値は1なので、出力周期2、3でそれぞれ1個のパルスを削除するようにする。点線は削除されたパルスを表している。
【0054】
図8に、パルス発生部25aが出力するパルス信号の他の形態を示す。図2〜図7の例では、パルス発生部25aは一定周期のパルスを出力するようにしていた。このため、出力するパルス数が少ないとパルスが出力周期の前半に集中し、また1出力周期間に出力できるパルス数に制限があるという欠点がある。
【0055】
図8では、パルスを出力周期の間に均等に配置する。この場合、パルスの周期は1出力周期間に出力するパルス数によって変化する。出力周期1では10個のパルスを出力しているが、出力周期2で出力するパルス数は10個より少ないので、パルスの周期が長くなっている。
【0056】
図9に、図8の形態のパルス信号で補正を行う例を示す。図9(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、出力周期1で6個、出力周期2で4個である。これらのパルスは均等に配置されるので、出力周期1と2ではパルスの周期が異なっている。
【0057】
(B)の37に示すように、出力周期1で制御装置26が受け取るパルス数が増加したとする。パルス発生部25aはこの増加したパルスを補正するために、出力周期2で3個のパルスを制御装置26に出力する。出力周期2で出力するパルス数が少ないので、その周期は出力周期1より長くなる。
【0058】
図10に、パルス信号補正装置の他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0059】
図10において、30は流量計であり、流量センサ24a、および流量演算部30aで構成される。流量演算部30aには、補正数積算部30bが内蔵される。また、31はパルス信号補正装置であり、パルス発生部31a、パルス計数部25b、パルス数検算部25cで構成される。流量演算部30aと制御装置26の間には、通信路が設置されている。
【0060】
基本的な動作は、図1実施例とほぼ同じである。流量演算部30aは流量センサ24aが測定した流量に比例するパルス数を表す信号をパルス発生部31aに出力する。パルス発生部31aは、パルス数検算部25cが出力する補正値を用いて、制御装置26に出力するパルス数を補正する。
【0061】
この実施例では、パルス発生部31aは補正したパルスの数を補正数積算部30bに出力する。補正数積算部30bは、入力された補正値を積算する。流量演算部30aは、補正数積算部30bが積算した積算値を参照して、この積算値が一定以上になると警報信号を制御装置26に出力する。
【0062】
正常な使用状態では、パルスの補正頻度は低い。このため、補正が頻繁に行われて補正数積算部30bの積算値が大きくなると、システムのどこかに不具合が発生している可能性が高い。制御装置26は流量演算部30aから警報信号を受け取ると、この警報信号を表示してシステムの検査を促す。このようにすることにより、システムの健全性が保たれる。
【0063】
なお、図5、図7実施例において、後続するどの出力周期で補正するかを示す補正のタイミングと、1出力周期で補正できる最大パルス数のどちらか、あるいは両方をパルス発生部25a、31aに設定できるようにしてもよい。この場合、図示しない入力手段を用いて、補正のタイミング、最大パルス数を設定するようにすればよい。このようにすることにより、状況に応じて最適な補正手法を選択することができる。
【0064】
また、図1では流量計24とパルス信号補正装置25は分かれて配置されるようにしているが、パルス信号補正装置25を流量計24の内部に配置するようにしてもよい。
【0065】
また、これらの実施例では出力周期を100mSとしたが、この値に限定されることはなく、他の値でもよい。
【0066】
また、これらの実施例ではパル数数検算部25cが出力する補正値は、流量演算部24b(30a)の出力が表すパルス数とパルス計数部25bの出力の差分としたが、この値に限定されることはない。要は、増加あるいは消失したパルス数がわかる値であればよい。
【0067】
また、これらの実施例ではパルス信号補正装置には1出力周期間に出力するパルス数を表す信号を入力するようにしたが、流量演算部がパルス信号を生成し、この生成したパルス信号をパルス信号補正装置に入力するようにしてもよい。
【0068】
また、図1、図10実施例では制御装置26はバルブ23が開または閉のいずれかになるように制御するようにしたが、開閉の度合いを制御して所定の充填量になるようにしてもよい。
【0069】
また、被充填容器22に液体を充填するとして説明したが、気体であってもよい。
【0070】
また、流量計として電磁流量計を用いたが、他の流量計であってもよい。
【0071】
また、これらの実施例ではパルス信号補正装置を充填装置に用いたが、他の用途に用いてもよい。さらに、パルス信号補正装置に入力される設定値を流量としたが、流量以外の信号であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 タンク
21 配管
22 被充填容器
23 バルブ
24、30 流量計
24a 流量センサ
24b、30a 流量演算部
25、31 パルス信号補正装置
25a、31a パルス発生部
25b パルス計数部
25c パルス数検算部
26 制御装置
30b 補正数積算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス信号が正確に伝送されなかったことを検出して、正確なパルス数になるように補正する装置に関し、特に流量を測定して容器に充填する充填装置に用いて好適なパルス信号補正装置およびそれを用いた充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体の流量を測定して容器に充填する流量充填装置の発明が記載されている。以下、図11に基づいてこの発明の概要を説明する。
【0003】
図11は流量充填装置の構成図である。先端にノズル12が取り付けられた充填液通路11をフィラタンク10に接続し、充填液通路11に取り付けられた充填バルブ13を開閉して、図示しない容器に液体を充填する。
【0004】
充填液通路11には電磁流量計14が取り付けられている。電磁流量計14は、充填液通路11に流れる液体の流量に応じたパルス信号を出力する。このパルス信号は、制御装置15内の演算部15aに入力される。演算部15aは入力されたパルス信号をカウントし、このカウント値が記憶部15bに格納された設定値になると、充填バルブ13を閉じる。
【0005】
フィラタンク10には温度計16が設置され、その出力信号は演算部15aに入力される。フィラタンク10内の液体は温度によって膨張、収縮するので、温度計16の出力で流量を補正する。演算部15aは、記憶部15bに格納されている膨張/収縮係数を用いて、流量値を補正する。
【0006】
このような流量充填装置では、電磁流量計14の誤差等のために、容器への充填量に誤差が発生する場合がある。このため、テスト充填を行って1パルスあたりの流量を求め、この流量を設定部15cに保存しておく。演算部15aは、設定部15cから1パルスあたりの流量を読み出し、記憶部15bに格納された設定値を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−105989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような流量充填装置には、次のような課題があった。
充填液の流量を測定する電磁流量計14と制御装置15は通常離隔して設置されるので、ケーブルを用いて電磁流量計14の出力パルス信号を制御装置15に伝送しなければならない。このため、伝送途中でノイズなどが混入して、電磁流量計14が出力したパルス数と、制御装置15が受信するパルス数が異なる場合が発生し、容器への充填量に誤差が発生してしまうという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、制御装置が受信するパルス数を補正することができるパルス信号補正装置およびそれを用いた充填装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
所定の出力周期の間に出力すべきパルス数を表す設定値が入力され、パルス信号を補正して出力するパルス信号補正装置において、
補正値および前記設定値が入力され、前記設定値が表すパルス数を、前記補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して対象物に出力するパルス発生部と、
前記出力期間の間、前記パルス発生部が前記対象物に出力したパルス信号をカウントしてそのカウント値を出力するパルス計数部と、
前記設定値および前記パルス計数部の出力が入力され、前記設定値が表すパルス数と前記パルス計数部の出力の差分を演算し、この差分を前記補正値として前記パルス発生部に出力するパルス数検算部と、
を具備したものである。ノイズなどによって増加、消失したパルスを補正することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
1出力期間に補正できる最大パルス数、および/またはパルスを補正するタイミングを設定できるようにしたものである。種々の環境に対応させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、
配管に流れる流量を測定し、この測定した流量に基づいてバルブを制御して、被充填容器に所定量の流体を充填する充填装置において、
前記配管に流れる流量を測定する流量計と、
前記配管に配置され、この配管に流れる流量を制御するバルブと、
前記流量計の出力が入力される、請求項1若しくは請求項2記載のパルス信号補正装置と、
前記パルス信号補正装置が出力するパルス信号が入力され、このパルス信号に基づいて前記バルブを制御する制御装置と、
を具備したものである。ノイズなどによってパルスが増加、消失しても、正確に充填することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記パルス信号補正装置は補正したパルス数を前記流量計に出力し、
前記流量計は入力されたパルス数を積算し、この積算値が一定値以上になると、前記制御装置に警報を出力するようにしたものである。トラブルの発生前に不具合を発見することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1、2の発明によれば、所定の出力周期に出力するパルス数を表す設定値と対象物に出力したパルス数の差分を演算して補正値として出力し、パルス発生部は前記設定値で表されたパルス数をこの補正値で補正して対象物に出力するようにした。
【0015】
ノイズなどによって対象物が受信するパルスが増加あるいは消失しても、この増加あるいは消失したパルスを補正することができるので、対象物は正確な数のパルスを受信することができるという効果がある。
【0016】
また、1出力周期間で補正できる最大パルス数や補正のタイミングを可変できるようにすることにより、環境に応じた補正ができるという効果もある。
【0017】
請求項3、4の発明によれば、被充填容器に充填する流体の流量を流量計で測定して充填する充填装置において、流量計の出力を請求項1若しくは請求項2のパルス信号補正装置を経由して充填を制御する制御装置に入力するようにした。
【0018】
制御装置に至る経路の途中でパルスが増加あるいは消失しても、パルス信号補正装置で補正することができるので、制御装置は正確な流量を受信することができる。このため、制御装置は正確な流量を得ることができるので、被充填容器に正確な量を充填することができるという効果がある。
【0019】
また、補正したパルス数を積算して、この積算値が一定値以上になると制御装置に警報を出力するようにすることにより、補正が行えないようになる前に機器のチェックなどを行うことができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】パルス発生部25aの出力を表す波形図である。
【図3】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図4】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図5】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図6】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図7】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図8】パルス発生部25aの出力を表す波形図である。
【図9】パルスの補正手法を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施例の構成図である。
【図11】従来の充填装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るパルス信号補正装置を用いた充填装置の一実施例を示した構成図である。
【0022】
図1において、20はタンクであり、充填する液体が格納される。21はタンク20に取り付けられている配管、22は液体を充填する被充填容器である。配管21の途中には、バルブ23が取り付けられている。バルブ23が開状態になると、タンク20中の液体は配管21を通過して被充填容器22に充填される。
【0023】
24aは流量センサであり、配管21の途中に設置される。流量センサ24aは、配管21に流れる液体の流量を検出する。流量センサ24aの出力は流量演算部24bに出力される。
【0024】
流量演算部24bは、流量センサ24aの出力から配管21に流れる液体の流量を演算し、1出力周期(例えば100mS)に流れる流量に比例するパルス数を表す設定値を出力する。流量演算部24bの出力は1出力周期に出力するパルス数を表す信号であればよく、アナログ信号あるいはデジタル値であってもよい。この設定値は、出力周期毎に更新される。流量センサ24aおよび流量演算部24bで流量計24を構成している。
【0025】
25はパルス信号補正装置であり、パルス発生部25a、パルス計数部25b、およびパルス数検算部25cで構成される。これらパルス発生部25a、パルス計数部25b、パルス数検算部25cは、流量演算部24bが出力する設定値の出力周期に同期して動作する。
【0026】
パルス発生部25aには、流量演算部24bの出力である設定値、およびパルス数検算部25cの出力が入力される。パルス発生部25aは、パルス数検算部25cの出力に基づいて、入力された設定値が表すパルス数を補正したパルス信号を生成し、パルス信号補正装置25から離隔して設置されている制御装置26に、この生成したパルス信号を出力する。
【0027】
パルス計数部25bには、制御装置26に入力されるパルス信号が入力される。パルス計数部25bは入力されたパルス信号を前記出力周期の間カウントし、そのカウント値をパルス数検算部25cに出力する。
【0028】
パルス数検算部25cには、パルス発生部25aに入力される設定値、およびパルス計数部25bの出力が入力される。パルス数検算部25cは、入力された設定値が表すパルス数とパルス計数部25bの出力の差分を演算し、その結果を補正値としてパルス発生部25aに出力する。
【0029】
制御装置26は、パルス信号補正装置25の出力パルス信号に基づいてバルブ23の開閉を制御する。制御装置26は、被充填容器22が空のときにバルブ23を開いて液体を被充填容器22に流入させる。流量計24はこの液体の流量を計測し、設定値である流量信号を出力する。この設定値は、パルス信号補正装置25で補正したパルス信号に変換され、制御装置26に入力される。制御装置26は、入力されたパルス信号のパルス数が被充填容器22に充填する充填量になると、バルブ23を閉じる。制御装置は対象物に相当する。
【0030】
パルス発生部25aが出力するパルス信号の1パルスが表す液体の容量を予め定めておく。このようにすると、制御装置26は、パルス発生部25aが出力するパルス数をカウントするだけで、被充填容器22に流入した液体の容量を知ることができる。
【0031】
なお、流量演算部24bと制御装置26の間には通信路が設置される。流量演算部24bと制御装置26は、この通信路に流れる通信信号を用いて、通信を行うことができる。
【0032】
パルス信号補正装置25と制御装置26は離隔して配置されるので、パルス信号が制御装置26に伝送される途中でノイズ等が混入してパルスが増加し、またパルスが消失して、流量演算部24bの出力値が表すパルス数と制御装置26が受け取るパルス数が異なる場合が発生する。このようなことが発生すると、実際に被充填容器22に充填された充填量と制御装置26が認識する充填量が異なり、被充填容器22に充填される液体の量がばらつくという不具合が発生する。
【0033】
このため、パルス信号補正装置25によって制御装置26に出力するパルス数を補正し、制御装置26が被充填容器22に充填された充填量を正確に認識できるようにする。
【0034】
図2に、パルス発生部25aが出力するパルス信号の波形図を示す。パルス発生部25aは、各出力周期に一定周期のパルス信号を決められた数だけ出力する。図2では、出力周期1で10個のパルスを出力し、次の出力周期2で5個のパルスを出力している。このパルス数を積算することにより、被充填容器22に流入した液体の容量を知ることができる。
【0035】
次に、図3〜図9に基づいてパルス信号補正装置25の動作を説明する。なお、図3〜図7、図9において(A)は流量演算部24bの出力、(B)は制御装置26が受信するパルス信号の波形図である。なお、(A)は模式図であり、必ずしも流量演算部24bの出力波形を表すものではない。
【0036】
図3に、ノイズ等によって制御装置26が受け取るパルス数が増加した場合の例を示す。(A)に示すように、流量演算部24bは出力周期1で10個のパルスを出力し、次の出力周期2で5個のパルスを出力する。しかし、(B)の30に示すように、制御装置26への伝送途中でノイズが混入し、パルス数が増加したとする。このノイズ混入により、出力周期1の期間に制御装置26が受け取るパルス数は11になる。
【0037】
パルス計数部25bは出力周期1の間(B)のパルス信号をカウントするので、そのカウント値も11になる。パルス計数部25bはこのカウント値11をパルス数検算部25cに出力する。
【0038】
パルス数検算部25cは、流量演算部24bの出力からパルス数を算出し、このパルス数とパルス計数部25bから入力されたパルス数の差分を演算し、この差分を補正値としてパルス発生部25aに出力する。流量演算部24bの出力から算出したパルス数は10、パルス計数部25bの出力値は11なので、補正値は−1になる。
【0039】
パルス発生部25aにはパルス数検算部25cの出力である補正値が入力される。パルス発生部25aは、この補正値(−1)によって、制御装置26が受信したパルス数が流量演算部24bの出力が表すパルス数より1つ多いことを知る。
【0040】
このパルス数の差を補正するために、次の出力周期である出力周期2で、流量演算部24bの出力が表すパルス数と入力された補正値とを加算したパルス数を有するパルス信号を生成し、制御装置26に出力する。出力周期2では流量演算部24bが表すパルス数は5なので、4個のパルスを制御装置26に出力する。すなわち、パルス発生部25aは、流量演算部24bが出力する設定値が表すパルス数を、入力された補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して制御装置26に出力する
【0041】
このように、パルス数検算部25cからの補正値が正値であると、パルス発生部25aは次の出力周期で流量演算部24bの出力が表すパルス数に補正値を加算したパルス数を出力し、負値であると補正値の絶対値だけ減じたパルス数を出力する。
【0042】
出力周期1だけで見ると流量演算部24bの出力が表すパルス数と制御装置26が受信するパルス数は異なっているが、出力周期1と2を合わせるとパルス数は15となり、両者のパルス数は一致する。従って、制御装置26は正確な積算流量値を得ることができる。
【0043】
なお、出力周期2ではパルス数検算部25bが出力するカウント値は4、流量演算部24bの出力が表すパルス数は5となるので、パルス数検算部25cの出力値は+1となる。しかし、パルス発生部25aは前回の出力周期1で1パルス補正したことを知っているので、次の出力周期では補正を行わない。
【0044】
図4に、パルスが消失する例を示す。この例では、出力周期1で制御装置26が受け取るパルスが1つ消失している。図4(B)において、31の点線は消失したパルスを表している。この場合、出力周期1におけるパルス計数部25bのカウント値は9、流量演算部24bの出力が表すパルス数は10となるので、パルス数検算部25cは差分の+1をパルス発生部25aに出力する。パルス発生部25aは、この+1によって次の出力周期2で流量演算部24bの出力が表すパルス数に1パルス追加したパルス数を、制御装置26に出力する。32は追加されたパルスを表す。
【0045】
この場合も、出力周期1だけでは流量演算部24bの出力が表すパルス数と制御装置26が受信するパルス数は異なるが、出力周期1と2を合わせると、両者のパルス数は一致する。
【0046】
図3、図4ではパルスが追加あるいは消失した次の出力周期で補正するようにしたが、次の周期で補正できない場合は、その次の出力周期以降で補正するようにしてもよい。図5にこのような例を示す。
【0047】
図5において、出力周期1において、33に示すように制御装置26が受信するパルス数が増加するが、次の出力周期である出力周期2ではパルスを補正せずに、その次の出力周期3で補正してもよい。34の点線は、補正されて除去されたパルスを表している。
【0048】
図6に、1つの出力周期では補正ができない場合の例を示す。図6において、(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、出力周期1〜3でそれぞれ5個、3個、5個である。
【0049】
(B)の出力周期1に示すように、ノイズ等によって制御装置26が受信するパルス数が4増加する。35は増加したパルスを表す。出力周期1の最後で、パルス発生部25aはパルス数検算部25bから(−4)を受け取る。パルス発生部25aは、この入力値(−4)によって出力するパルス数を4減じようとするが、次の出力周期2では流量演算部24bの出力が表すパルス数は3なので、出力周期2だけでは補正できない。
【0050】
このため、出力周期2では流量制御装置26に出力するパルス数を0とし、出力周期3で更に1つのパルスを減じるようにする。出力周期2、3の点線部は、出力されなかったパルスを表している。
【0051】
1つの出力周期で補正できるパルス数を制限して、2出力周期以上で補正するようにすることもできる。図7は1出力周期で補正できる最大パルス数を1とした例である。この最大パルス数は、パルス発生部25aに設定される。
【0052】
図7において、(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、周期1〜3でそれぞれ5である。(B)に示すように、出力周期1で制御装置26が受信するパルス数が2個増加する。36は増加したパルスを表す。
【0053】
出力周期1の終わりで、パルス発生部25はパルス数検算部25cから(−2)を受け取り、これによって2個のパルスを削除して補正しなければならないこと知る。しかし、1出力周期で補正できるパルス数の最大値は1なので、出力周期2、3でそれぞれ1個のパルスを削除するようにする。点線は削除されたパルスを表している。
【0054】
図8に、パルス発生部25aが出力するパルス信号の他の形態を示す。図2〜図7の例では、パルス発生部25aは一定周期のパルスを出力するようにしていた。このため、出力するパルス数が少ないとパルスが出力周期の前半に集中し、また1出力周期間に出力できるパルス数に制限があるという欠点がある。
【0055】
図8では、パルスを出力周期の間に均等に配置する。この場合、パルスの周期は1出力周期間に出力するパルス数によって変化する。出力周期1では10個のパルスを出力しているが、出力周期2で出力するパルス数は10個より少ないので、パルスの周期が長くなっている。
【0056】
図9に、図8の形態のパルス信号で補正を行う例を示す。図9(A)に示すように、流量演算部24bの出力が表すパルス数は、出力周期1で6個、出力周期2で4個である。これらのパルスは均等に配置されるので、出力周期1と2ではパルスの周期が異なっている。
【0057】
(B)の37に示すように、出力周期1で制御装置26が受け取るパルス数が増加したとする。パルス発生部25aはこの増加したパルスを補正するために、出力周期2で3個のパルスを制御装置26に出力する。出力周期2で出力するパルス数が少ないので、その周期は出力周期1より長くなる。
【0058】
図10に、パルス信号補正装置の他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0059】
図10において、30は流量計であり、流量センサ24a、および流量演算部30aで構成される。流量演算部30aには、補正数積算部30bが内蔵される。また、31はパルス信号補正装置であり、パルス発生部31a、パルス計数部25b、パルス数検算部25cで構成される。流量演算部30aと制御装置26の間には、通信路が設置されている。
【0060】
基本的な動作は、図1実施例とほぼ同じである。流量演算部30aは流量センサ24aが測定した流量に比例するパルス数を表す信号をパルス発生部31aに出力する。パルス発生部31aは、パルス数検算部25cが出力する補正値を用いて、制御装置26に出力するパルス数を補正する。
【0061】
この実施例では、パルス発生部31aは補正したパルスの数を補正数積算部30bに出力する。補正数積算部30bは、入力された補正値を積算する。流量演算部30aは、補正数積算部30bが積算した積算値を参照して、この積算値が一定以上になると警報信号を制御装置26に出力する。
【0062】
正常な使用状態では、パルスの補正頻度は低い。このため、補正が頻繁に行われて補正数積算部30bの積算値が大きくなると、システムのどこかに不具合が発生している可能性が高い。制御装置26は流量演算部30aから警報信号を受け取ると、この警報信号を表示してシステムの検査を促す。このようにすることにより、システムの健全性が保たれる。
【0063】
なお、図5、図7実施例において、後続するどの出力周期で補正するかを示す補正のタイミングと、1出力周期で補正できる最大パルス数のどちらか、あるいは両方をパルス発生部25a、31aに設定できるようにしてもよい。この場合、図示しない入力手段を用いて、補正のタイミング、最大パルス数を設定するようにすればよい。このようにすることにより、状況に応じて最適な補正手法を選択することができる。
【0064】
また、図1では流量計24とパルス信号補正装置25は分かれて配置されるようにしているが、パルス信号補正装置25を流量計24の内部に配置するようにしてもよい。
【0065】
また、これらの実施例では出力周期を100mSとしたが、この値に限定されることはなく、他の値でもよい。
【0066】
また、これらの実施例ではパル数数検算部25cが出力する補正値は、流量演算部24b(30a)の出力が表すパルス数とパルス計数部25bの出力の差分としたが、この値に限定されることはない。要は、増加あるいは消失したパルス数がわかる値であればよい。
【0067】
また、これらの実施例ではパルス信号補正装置には1出力周期間に出力するパルス数を表す信号を入力するようにしたが、流量演算部がパルス信号を生成し、この生成したパルス信号をパルス信号補正装置に入力するようにしてもよい。
【0068】
また、図1、図10実施例では制御装置26はバルブ23が開または閉のいずれかになるように制御するようにしたが、開閉の度合いを制御して所定の充填量になるようにしてもよい。
【0069】
また、被充填容器22に液体を充填するとして説明したが、気体であってもよい。
【0070】
また、流量計として電磁流量計を用いたが、他の流量計であってもよい。
【0071】
また、これらの実施例ではパルス信号補正装置を充填装置に用いたが、他の用途に用いてもよい。さらに、パルス信号補正装置に入力される設定値を流量としたが、流量以外の信号であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 タンク
21 配管
22 被充填容器
23 バルブ
24、30 流量計
24a 流量センサ
24b、30a 流量演算部
25、31 パルス信号補正装置
25a、31a パルス発生部
25b パルス計数部
25c パルス数検算部
26 制御装置
30b 補正数積算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出力周期の間に出力すべきパルス数を表す設定値が入力され、パルス信号を補正して出力するパルス信号補正装置において、
補正値および前記設定値が入力され、前記設定値が表すパルス数を、前記補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して対象物に出力するパルス発生部と、
前記出力期間の間、前記パルス発生部が前記対象物に出力したパルス信号をカウントしてそのカウント値を出力するパルス計数部と、
前記設定値および前記パルス計数部の出力が入力され、前記設定値が表すパルス数と前記パルス計数部の出力の差分を演算し、この差分を前記補正値として前記パルス発生部に出力するパルス数検算部と、
を具備したことを特徴とするパルス信号補正装置。
【請求項2】
1出力期間に補正できる最大パルス数、および/またはパルスを補正するタイミングを設定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のパルス信号補正装置。
【請求項3】
配管に流れる流量を測定し、この測定した流量に基づいてバルブを制御して、被充填容器に所定量の流体を充填する充填装置において、
前記配管に流れる流量を測定する流量計と、
前記配管に配置され、この配管に流れる流量を制御するバルブと、
前記流量計の出力が入力される、請求項1若しくは請求項2記載のパルス信号補正装置と、
前記パルス信号補正装置が出力するパルス信号が入力され、このパルス信号に基づいて前記バルブを制御する制御装置と、
を具備したことを特徴とする充填装置。
【請求項4】
前記パルス信号補正装置は補正したパルス数を前記流量計に出力し、
前記流量計は入力されたパルス数を積算し、この積算値が一定値以上になると、前記制御装置に警報を出力するようにしたことを特徴とする請求項3記載の充填装置。
【請求項1】
所定の出力周期の間に出力すべきパルス数を表す設定値が入力され、パルス信号を補正して出力するパルス信号補正装置において、
補正値および前記設定値が入力され、前記設定値が表すパルス数を、前記補正値に基づいて補正したパルス信号を生成して対象物に出力するパルス発生部と、
前記出力期間の間、前記パルス発生部が前記対象物に出力したパルス信号をカウントしてそのカウント値を出力するパルス計数部と、
前記設定値および前記パルス計数部の出力が入力され、前記設定値が表すパルス数と前記パルス計数部の出力の差分を演算し、この差分を前記補正値として前記パルス発生部に出力するパルス数検算部と、
を具備したことを特徴とするパルス信号補正装置。
【請求項2】
1出力期間に補正できる最大パルス数、および/またはパルスを補正するタイミングを設定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のパルス信号補正装置。
【請求項3】
配管に流れる流量を測定し、この測定した流量に基づいてバルブを制御して、被充填容器に所定量の流体を充填する充填装置において、
前記配管に流れる流量を測定する流量計と、
前記配管に配置され、この配管に流れる流量を制御するバルブと、
前記流量計の出力が入力される、請求項1若しくは請求項2記載のパルス信号補正装置と、
前記パルス信号補正装置が出力するパルス信号が入力され、このパルス信号に基づいて前記バルブを制御する制御装置と、
を具備したことを特徴とする充填装置。
【請求項4】
前記パルス信号補正装置は補正したパルス数を前記流量計に出力し、
前記流量計は入力されたパルス数を積算し、この積算値が一定値以上になると、前記制御装置に警報を出力するようにしたことを特徴とする請求項3記載の充填装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−227766(P2012−227766A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94061(P2011−94061)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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