説明

パルプモールド用透水性型形成性組成物

【課題】 軽量で生産性に優れ、切削加工により種々の形状の型面の賦与が容易で、しかもドリル等による透水目的の開孔が不要な、透水性に優れるパルプモールド用透水性型を与えるパルプモールド用透水性型形成性組成物、並びに該透水性型内に抄紙液を充填し、水を型外に透過させて成形してなるパルプモールドを提供する。
【解決手段】 平均粒径1.4〜32.0mmの合成樹脂含有粒子(A)およびバインダー(B)を含有してなる、パルプモールド用透水性型形成性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプモールド用透水性型形成性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルプモールド用成形型としては、目的とするパルプモールドの形状を賦与する金属製成形型に、抄紙液中の水を除去するための複数の貫通孔をドリルで開孔し、さらに開孔口に抄紙もれ防止用金網を張り付けたものが用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−057738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような方法では金属製成形型が高価であり相当な重量物であること、ドリルによる開孔や金網張り付け作業等に長時間を要すること等、コストや生産性の点で問題があった。また、パルプモールドは求められる形状の変更が極めて頻繁であることから、このようなニーズにも迅速に対応できることが成形型に切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、平均粒径1.4〜32.0mmの樹脂含有粒子(A)およびバインダー(B)を含有してなる、パルプモールド用透水性型形成性組成物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明のパルプモールド用透水性型形成性組成物は下記の効果を奏する。
(1)透水性に優れるパルプモールド用透水性型を与える。
(2)該透水性型は、切削加工により種々の形状の型面の賦与が容易である。
(3)該透水性型は、ドリル等による開孔が不要であり、細かい多孔質のため抄紙もれ防止用金網を張り付ける必要もない。
(4)該透水性型は、金属製型に比べ軽量で生産性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[合成樹脂含有粒子(A)]
本発明における(A)は合成樹脂(a1)を含有する粒子である。(a1)には、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が含まれる。
該熱可塑性樹脂としては、ビニル樹脂〔ポリオレフィン樹脂[例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等]、ポリアクリル樹脂[例えばポリメタクリル酸メチル等]、ポリスチレン樹脂[ビニル基含有芳香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体、例えばポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)等]等〕;ポリエステル樹脂[例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等];ポリアミド樹脂[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12等];ポリカーボネート樹脂[例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等];ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0007】
該熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0008】
これらの(a1)のうち、バインダー(B)との接着性、切削加工の容易さ、パルプモールド用透水性型としたときの耐久性の観点から好ましいのは熱硬化性樹脂、さらに好ましいのはポリウレタン樹脂(熱硬化性)、エポキシ樹脂である。
(a1)は非中空のものでも中空のもの(マイクロバルーン等)であってもよい。該マイクロバルーンとしては、例えばマツモトマイクロスフェアーF−80SDEおよびMFLシリーズ[いずれも松本油脂製薬(株)製]、フェノリックマイクロバルーンBJO−0930[ユニオンカーバイド(株)製]、スコッチライトK−15、K−37[いずれもスコッチライト(株)製]等のプラスチックマイクロバルーンが挙げられる。
【0009】
(A)には、上記合成樹脂(a1)以外に無機粉(a2)を含有させてもよい。
(a2)としては、炭酸カルシウム、タルク、金属(鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等)粉、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化チタン等)粉、金属水酸化物(水酸化アルミ等)粉、セラミック(窒化珪素、ジルコニア等)粉、二酸化珪素、ベントナイト、雲母、ミルドファイバー等が挙げられる。
これらの(a2)のうち切削加工の容易さの観点から好ましいのは炭酸カルシウム、タルク、ベントナイト、雲母、さらに好ましいのは炭酸カルシウム、タルクである。
【0010】
(a1)と(a2)の重量比は、パルプモールド用透水性型の軽量性および切削加工の容易さの観点から好ましくは60/40〜98/2、さらに好ましくは75/25〜95/5である。
【0011】
(A)には、上記合成樹脂(a1)、無機粉(a2)以外に、さらに軽量化の目的で気泡(a3)および/または無機マイクロバルーン(a4)を含有させてもよい。
(a3)としては合成樹脂(A1)が熱硬化性ポリウレタン樹脂の場合、通常行われる水発泡や発泡剤(トリクロロモノフルオルメタン、ジクロルジフルオルメタン、ペンタン等)発泡によって得られる炭酸ガス、ハロゲン化アルカンガス、アルカンガス気泡が挙げられる。
また、メカニカルフロス法によって任意の気体(空気、窒素、アルゴン等)からなる気泡とすることもできる。
合成樹脂(A1)が熱可塑性樹脂の場合、発泡剤を分散しながら射出成形することで、気泡を含有させ、得られた成形品を破砕することで所望の粒子を得ることができる。
【0012】
無機マイクロバルーン(a4)としては、無機物(ガラス、アルミナ、シラス、カーボン等)からなる各中空微粒子が挙げられる。
【0013】
(A)の密度は、パルプモールド用透水性型の機械的強度および軽量性、切削の容易さの観点から好ましくは0.05〜1.45g/cm3、さらに好ましくは0.1〜1.3g/cm3である。
【0014】
(A)の粒子形状は、とくに限定されることはなく、球状、楕円球状、サイコロ状、板状、不定形状等いずれであってもよい。これらのうち、粒子同士が接着しかつ透水性型における水路が確保できるとの観点から好ましいのは不定形状、球状および楕円球状である。
【0015】
(A)を製造する方法としては、例えば射出成形、押出成形、金型注型等による成形品を、破砕機で破砕する方法が挙げられる。
破砕機としては通常プラスチックや木材のリサイクルのために使用される一軸破砕機や二軸破砕機、ハンマー式破砕機が使用できる。また、破砕を容易にし、しかも微粉砕するために成形品を冷凍した後に粉砕してもよい。破砕、粉砕した粒子を篩を用いて篩い分けることにより所望の平均粒径の粒子が得られる。
【0016】
(A)の平均粒径は、1.4〜32.0mm、好ましくは3.4〜22.8mm、さらに好ましくは7.1〜14.3mmである。平均粒径が1.4mm未満では透水性が悪くなり、32.0mmを超えると型内面の凹凸が大きくなり、表面平滑性に優れるパルプモールドが得られない。
(A)の平均粒径は粒子を篩い分けする篩の目開き寸法で決められる。該篩は、JIS A 1204−2000「土の粒度試験法」に準拠するもので、本発明における目開き寸法には0.85mm、2.0mm、4.75mm、9.5mm、19mm、26.5mm、37.5mmが含まれる。
各篩を通過することができる粒子の中間値、例えば「4.75mmの篩」の場合は、2.0〜4.75mmの粒子が通過できるので平均粒径は(2.0+4.75)/2=3.4mmとなる。
異なる目開きの篩い品を混合した場合は、各目開きの篩い品の重量配分から計算される。例えば26.5mmの篩い品30重量%と9.5mmの篩い品70重量%の混合品であれば、平均粒径は(22.8×0.3+7.1×0.7)=11.8mmとなる。ここで22.8mmは(19+26.5)/2=22.8mm、7.1mmは(4.75+9.5)/2=7.1mmから求められる。
【0017】
[バインダー(B)]
バインダー(B)には、反応硬化型樹脂形成性組成物が含まれる。
該組成物としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエポキシおよびシアノアクリレートの各樹脂組成物等が挙げられ、通常接着剤として使用されるものであれば使用できる。
【0018】
(B)のうち、加熱・乾燥が不要で、接着強度に優れ、作業性の観点から好ましいのは、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂である。
【0019】
[パルプモールド用透水性型形成性組成物]
本発明のパルプモールド用透水性型形成性組成物は、前記の合成樹脂含有粒子(A)とバインダー(B)を含有してなる。
(A)と(B)の重量比は、透水路の確保および(B)が均一に(A)の表面に行き渡るとの観点から好ましくは60/40〜90/10さらに好ましくは70/30〜85/15である。
【0020】
該組成物は、例えば撹拌翼が容器の中にあり撹拌翼または容器が回転する構造を持つ混合機(モルタルミキサーやハードミキサー等)を用いて(A)と(B)を混合することで製造することができる。
混合条件のうち、温度、圧力は好ましくは常温、常圧であり、混合速度は好ましくは20〜60rpmである。また、さらに簡便にはモルタル用の底の浅い容器やバケットに(A)と(B)を入れシャベル、スコップまたはハンドミキサー等で混合することによっても製造することができる。
【0021】
[パルプモールド用透水性型]
本発明のパルプモールド用透水性型の製造方法には下記の2とおりが含まれる。
(1)直方体や円筒状のブロックを製造しこれを切削加工して透水性型を製造する。
(2)所望形状の透水性型のキャビティを有する成形型に充填し、成形型を脱型して透水性型を製造する。
(1)は直方体や円筒状等のキャビティを有する成型型に該(A)と(B)の混合物を充填して、反応硬化させて、脱型して得られる直方体や円筒状等のブロックを切削加工することにより透水性型を製造する方法である。
(2)は透水性型の形状を有するキャビティに該(A)と(B)の混合物を充填して、(1)と同様に硬化させ脱型することにより透水性型を製造する方法である。
両方法とも該(A)と(B)の混合物を硬化させる工程が必要である。
硬化温度は、通常5〜45℃、生産性の観点から好ましくは10〜35℃、硬化時間は、通常0.5〜6時間、品質安定性および生産性の観点から好ましくは1〜4時間である。
本発明のパルプモールド用透水性型の透水性は、抄紙作業性および得られるパルプモールドの表面の滑らかさの観点から好ましくは、該透水性型に常温常圧で水のみを通した時の流速で0.5〜10cm/秒、さらに好ましくは1〜5cm/秒である。
【0022】
前記(1)の方法では、本発明のパルプモールド用透水性型は、前記硬化物表面を所望の形状に切削加工して得られる。
切削加工はノミやカンナを使用した手加工でも可能であるが、通常はCAD図面からNC加工プログラムを作成し、NCフライス盤やマシニングセンタを用いて機械切削加工を行う。
該切削時の刃物の回転数は、刃径が20mmで最大切り込み深さを10mmとした場合、作業性と硬化物の切削抵抗の観点から好ましくは300〜10,000rpm、さらに好ましくは1,000〜5,000rpmである。
切削時の刃物の移動速度は、刃径が20mmで最大切り込み深さを10mmとした場合、作業性と硬化物の切削抵抗の観点から好ましくは100〜8,000mm/分、さらに好ましくは500〜5,000mm/分である。
【0023】
[パルプモールド]
本発明のパルプモールドは、前記パルプモールド用透水性型のキャビティ内に抄紙液を充填し、水を型外に透過させて成形することにより製造することができる。抄紙液中の水を型外に透過させる方法としては、常圧で水を自然透過させる方法、型外を減圧にして
強制的に水を透過させる方法等が挙げられる。
パルプモールド用抄紙液に使用されるパルプとしては、例えば新聞、雑誌、ダンボール等の古紙、または該古紙と純パルプの混合品が挙げられ、古紙と純パルプの重量比率は古紙再生、経済性およびパルプモールドの機械特性の観点から好ましくは50/50〜100/0である。パルプモールド用抄紙液は、該パルプを水中で撹拌し繊維をほぐした溶解液、またはこれに必要により硫酸バンドやサイズ剤等を添加した溶解液として得られる。
【0024】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部、%は重量%を表す。
【0025】
実施例および比較例に使用した原料の組成、記号等は次のとおりである。
合成樹脂含有粒子(A−1):ポリウレタン樹脂含有ブロック材[商品名「サンモジュー
ルNo.7K−1505」、三洋化成工業(株)製、密度0.64g
/cm3。以下同じ。]を東和工業(株)製ハンマー式小型万能破砕
機[商品名「HM−4060」、東和工業(株)製、以下同じ。]を
用いて1,200rpmで5分間粉砕した後、得られた粒子を、目開
き2.0mmの篩で篩い、目開き0.85mmの篩上に残った平均粒
径1.4mmの粒子。ここおよび以下における篩はJIS A 12
04−2000「土の粒度試験法」に準拠した篩を用いた。
合成樹脂含有粒子(A−2):ポリウレタン樹脂含有ブロック材を(A−1)と同様に粉
砕して得られた粒子を、目開き37.5mmの篩で篩い、目開き26
.5mmの篩上に残った平均粒径32.0mmの粒子。
合成樹脂含有粒子(比A−1):ポリウレタン樹脂含有ブロック材を(A−1)と同様に
粉砕して得られた粒子を、目開き0.85mmの篩で篩い、目開き0
.425mmの篩上に残った平均粒径0.6mmの粒子。
合成樹脂含有粒子(比A−2):ポリウレタン樹脂含有ブロック材を(A−1)と同様に
粉砕して得られた粒子を、目開き53.0mmの篩で篩い、目開き3 7.5mmの篩上に残った平均粒径45.3mmの粒子。
合成樹脂含有粒子(A−3):硬質ウレタンフォーム[商品名「フォームライトボードF
L−50」、(株)イノアック製、密度0.05g/cm3]を(A
−1)と同様に粉砕して得られた粒子を、目開き4.75mmの篩で
篩い、目開き2.0mmの篩上に残った平均粒径3.4mmの粒子。
合成樹脂含有粒子(A−4):ポリウレタン樹脂含有ブロック材[商品名「サンモジュー
ルTH−6504」、三洋化成工業(株)製、密度1.45g/cm
3]を(A−1)と同様に粉砕して得られた粒子を目開き4.75m
mの篩で篩い、目開き2.0mmの篩上に残った平均粒径3.4mm
の粒子。
合成樹脂含有粒子(A−5):エポキシ樹脂含有ブロック材[商品名「サンモジュールJ
T−5」、三洋化成工業(株)製、密度0.79g/cm3]を(A
−1)と同様に粉砕して得られた粒子を目開き4.75mmの篩で篩
い、目開き2.0mmの篩上に残った平均粒径3.4mmの粒子。
バインダー(B):エポキシ樹脂2液硬化型樹脂組成物(接着剤)[商品名「サンモジュ
ールAD−201」、三洋化成工業(株)製]
パルプモールド用抄紙液:ブランケット判の新聞紙1枚(約10g)と水道水2Lを撹拌
混合機[商品名「ブレンダーHBH450」、ハミルトン(株)製]
を使用して24,000rpmで5分間撹拌、混合した溶解液。
【0026】
実施例1〜7
表1に示す配合比で合成樹脂含有粒子、バインダー(B)を20Lオープンペール缶に入れ、日本ソセー工業(株)製ハードミキサーMK−2型を用いて10分間撹拌、混合した。該混合物を内寸が縦20cm、横20cm、深さ5cmの金型に充填し、表面をモルタル用こてで均して、25℃で4時間放置後硬化物を脱型した。NCマシンを用い下記切削条件で該硬化物を加工し、内寸が縦15cm、横15cm、深さ3cmのくぼみを彫りパルプモールド用透水性型とした。得られたパルプモールド用透水性型について下記項目を評価した。結果を表1、2に示す。
<切削条件>
NCマシン :MM800型、(株)岩間工業所製
刃物 :直径20mmハイスフラットエンドミル、オーエスジー(株)製
送り速度 :500mm/分
回転数 :3,000rpm
切り込み深さ:30mm
ステップ量 :10mm

<パルプモールド用透水性型評価項目>
(1)切削性
切削時の切削音、合成樹脂含有粒子の飛散、仕上がり型の外観について下記基準で評価した。
○ 低切削音で粒子の飛散がなく、型外観良好
△ 低切削音であるが粒子の飛散があり、型外観やや不良
× 高切削音で粒子の飛散があり、型外観不良
(2)透水性
水平位置に静置したパルプモールド用透水性型(縦15cm×横15cm×深さ3cm)に液が途切れないようにかつ液が溢れないように抄紙液を流し込んだ。流し込み開始から水が表面から見かけ上なくなるまでの時間を計測し透水時間とした。該透水時間から下記計算式で透水速度(cm/秒)を求めた。

透水速度(cm/秒)=2000/(15×15×透水時間(秒))

(3)抄紙もれ性
上記(2)で透水後、型面上に残った紙繊維と水からなるペーストを透水性型ごと60℃の乾燥機内に6時間静置した。その後乾燥機から透水性型ごと取り出しパルプモールドを脱型した。パルプモールドの重量を測定し、抄紙液の作製に用いた新聞紙の重量から下記計算式で抄紙損失率(%)を求めた。

抄紙損失率(%)=(使用した新聞紙重量−パルプモールド重量)×100
/(使用した新聞紙重量)

(4)パルプモールド表面外観
脱型したパルプモールドの、透水性型の型面に接していた表面を観察し、下記の基準で評価した。

○ 紙繊維のケバ立ちがほとんどなく、表面が滑らか
× 紙繊維のケバ立ちが多く、表面に凹凸あり
【0027】
比較例1〜2
表1に記載の配合比で実施例と同様にパルプモールド透水性型を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のパルプモールド用透水性型形成性組成物は、透水性に優れるパルプモールド用透水性型を与える。該透水性型は軽量で生産性に優れ、切削加工により種々の形状の型面の賦与が容易であることから、卵用トレー、青果物用トレー、瓶詰めケースの内装材、電気・工業製品等の緩衝材または固定材、コーナーパッド、食品容器、学校教材、民芸品、病院・特養ホーム向けディスポーザブル製品等の幅広い用途に種々の形状で用いられるパルプモールドを作製するための透水性型用素材として好適に使用することができ、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径1.4〜32.0mmの合成樹脂含有粒子(A)およびバインダー(B)を含有してなる、パルプモールド用透水性型形成性組成物。
【請求項2】
(A)の密度が0.05〜1.45g/cm3である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(A)と(B)の重量比が60/40〜90/10である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を成形してなるパルプモールド用透水性型。
【請求項5】
請求項4記載の型内に抄紙液を充填し、水を型外に透過させて成形してなるパルプモールド。
【請求項6】
請求項4記載の型内に抄紙液を充填し、水を型外に透過させて成形することを特徴とするパルプモールドの製造方法。

【公開番号】特開2010−52328(P2010−52328A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221061(P2008−221061)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】