説明

パルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法

蛍光色素等の疎水性色素を用いる、パルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパルプ及び繊維に関し、より詳細にはパルプ及び繊維中に存在する微細粘着物(microstickies)等の有機夾雑物を検出及び/又は定量化する方法に関する。
【0002】
本願は、2007年5月16日付で出願された先の米国仮特許出願第60/930,414号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものである。
【0003】
古新聞印刷用紙(new print)、古段ボール箱、及び混合オフィス古紙(office waste)のような古紙製品の通常の再生処理は、多くの紙含有製品の一部を紙製品に含有される再生繊維とするという環境的要求から、今日の製紙工場で重要な側面である。したがって、製紙工場は、紙製品の再生処理が必要不可欠な状態にある。しかしながら、紙製品の再生処理は一般に、紙製品で使用可能な繊維にするための付加的な処理工程を必要とする。
【0004】
新聞印刷用紙の製造で最初に使用する種類の繊維に匹敵する繊維を得るための古新聞紙の通常の再生処理は、当該技術分野では「脱墨(de-inking)」として知られ、典型的にはパルプ化、一般に界面活性剤による洗浄、スクリーニング、一般に強苛性処理による不溶性夾雑物の可溶化、洗浄、及び苛性処理による黄ばみを中和する繊維の漂白を包含する。
【0005】
一般に、通常の再生処理の第一工程は、紙を水により個々の繊維へと分離して、パルプスラリーを形成することであり、続いてスクリーニング、遠心分離クリーニング(centrifugal cleaning)、洗浄、浮選等の様々な処理工程の組み合わせにより繊維からインク及び夾雑物を除去する。スクリーニング工程及び遠心分離クリーニング工程では、ペーパークリップ、ステープル、プラスチック等の大きな夾雑物が除去される。洗浄工程及び浮選工程の主目的は夾雑物を水に可溶化及び/又は懸濁させ、水から夾雑物を除くことである。界面活性剤及び苛性剤は、繊維からの夾雑物の可溶化及び分離を促進するために添加される。苛性剤を使用すると繊維に多少の黄ばみが生じ、繊維の漂白が必要になる。この繊維は典型的には未使用繊維(virginfibers)と混合された後、繊維の性質に適した製紙プロセスで使用される。紙廃棄物の脱墨における近年の発展により、繊維からのインクの剥離除去を促進するために酵素が利用されている。これらのプロセスが示すのは、特定の種類の酵素を使用すると、塊状のインク粒子を除去する浮選の使用に伴う苛性処理が白色度に悪影響を与えることなく、インク除去が促進されるということである。
【0006】
「粘着物(stickies)」として知られる有機夾雑物を除去するために、以前より苛性剤等の化学添加物が添加されていた。粘着物は一般に接着剤、グルー、ホットメルト、コーティング、コーティング結合剤(coating binders)、残インク、脱墨化学物質、木材樹脂、ロジン、及びパルプ化されていない湿潤強力樹脂(unpulped wet strength resins)であり、典型的には再生される繊維と共に存在するものである。これらの有機夾雑物は、典型的には後続処理工程に影響しないよう相当量を除去しなければならない。このような有機夾雑物をより有効に環境に優しい方法で除去する新しい方法の開発が、製紙業界で常に望まれている。
【0007】
「粘着物」は一般に、再生紙システムに見られる粘着性のある疎水性の柔軟な有機物質と説明することができる。粘着物の融点は広い範囲にあり、粘着度は粘着物の組成により異なる。温度、pH、濃度、サイズ、及び組成が粘着物の粘着性に影響し得る。
【0008】
再生紙の繊維は、再生繊維プラント内で再パルプ化されるときに粘着物となる多くの成分を含有する。再生完成紙料は数十もの異なる種類の粘着物を有することもあり、粘着物にはそれぞれに特有の性質がある。粘着物の起源には接着剤、ホットメルト、コーティング結合剤、残インク、脱墨化学物質、木材樹脂、ロジン、ピッチ(pitch)、及び湿潤強力樹脂のいずれかが含まれ得る。抄紙機に実際に見られる粘着性堆積物は、タルク、クレイ、又は炭酸カルシウム等の無機粒子に加えてこれらの有機夾雑物をいくつか組合せたものであり得る。
【0009】
粘着物は機械の表面、ファブリック、ワイヤ、フェルト、及びロールに堆積し、ウェットエンド中断、プレスルーム故障(pressroom breaks)、ドライヤセクション中断(dryersection breaks)、穴、シート傷、及び汚れの増加等の問題になる。これらの堆積物及び関連する問題は、年間でかなりの量のダウンタイムになる。粘着物のコストは、ダウンタイムコスト、化学薬品コスト、生産ロス、不合格材料、及び顧客の苦情を考慮すると、米国で年間5億ドルを越えると見積もられている。
【0010】
粘着物の除去には典型的には、機械的方法及び化学的方法という2つの主要な方法がある。機械的方法には、スクリーニング、クリーニング、洗浄、浮選、及びディスパージング(disperging)が含まれ、各方法は異なるサイズの夾雑物の除去するように設計されている。スクリーニングは典型的には大きい又は巨大な(0.004インチ又は100ミクロン超)粘着物を除去する。フォワードクリーナー及びリバースクリーナーを使用することができる。遠心力を使用して密度差に基づいて、フォワードクリーナーは水より重い夾雑物を除去し、リバースクリーナーは水より軽い粒子を除去する。この方法は、微細粘着物より巨大粘着物を除去する。浮選は中間サイズの粘着物(50ミクロン〜300ミクロン)を除去するが、それが厄介なのは、この粘着物が小さすぎてスクリーニング及びクリーニングでは受け止められないが、洗浄で除去するには大きすぎるからである。ディスパージングでは、紙料は濃縮され、高温、高圧、高剪断速度で装置を通され、それにより粘着物を含む有機夾雑物が粉砕される。
【0011】
様々な化学的方法を使用することができる。例えば、パシフィケーション(pacification)では、タルク、クレイ、非イオン性有機ポリマー、及び他の無機粒子のような添加物が粘着物の粘着性を弱めるために使用される。分散では、分散剤、界面活性剤、及び溶剤が粘着物をより小さくするために使用される。
【0012】
固定では、粘着物に電荷を与えるカチオン性水溶性ポリマーを使用して粘着物を紙シートに付着させる。分散及び固定では、分散剤を最初に添加して粘着物のサイズを減少させ、その後カチオン性ポリマーを使用して粘着物をシートに固定する。パシベーション(passivation)では、分散剤、溶剤、及び低分子量カチオン性ポリマーの使用により抄紙機が受ける粘着物の影響を少なくする。
【0013】
粘着物を除去するために好まれるアプローチは、機械的クリーニング装置により可能な限り多くの「粘着物」を除去することができるように、紙料調製エリア(preparea)内の粘着物を大きい状態に保つことである。その後、残留する全ての粘着物が機械的又は化学的に分散され、繊維に固定され、シートと共に送り出すことができる。
【0014】
可能な限り多くの粘着物を機械的に除去した後、以前は機械的に、化学的に、又は両者を組合せて使用することにより残りを分散させてきた。分散させた後、これらの粒子がシートに保持されるように、粒子を最小状態に安定させるポリマーの添加が使用されてきた。
【0015】
再生紙製造プロセスにおける粘着物の調整及び制御は常に難題であった。再生紙の質の変化及び製造されるパルプ1トン当たりに組み込む紙廃棄物の量を増加させる傾向は、それぞれこの難題への取り組みをさらに困難にする要因である(非特許文献1)。これらの変化は、工場システムに入る粘着物の量の予測を煩雑にする。これらの粘着物がシステムに入ると、より大きな夾雑物、又は巨大粘着物は機械的に除去されることが多い。しかしながら、高い完成紙料稠度のようなスクリーン及びクリーナーバンク(cleaner banks)への付加的ストレス、不適切なインスクリーン(in-screen)希釈、不適切な排斥率、及び圧力差制御の問題が、形成される巨大粘着物の通過(acceptance)を助長する(Gallagher, 1997)。巨大粘着物とは0.10mm(100ミクロン)のスクリーンプレート上に保持される粘着物であると定義されている(Heise, 1998)。接着剤、コーティング、結合剤、及び他の物質に由来するこれらの夾雑物がパルプ化プロセス中に完成紙料に組み込まれ、ファブリック、プレスフェルト、ドライヤファブリック、プレスセクションピックロール、Uhleボックス、及びカレンダースタック上に堆積する(Douek, 1997)。これらの物質は製紙プロセスにおいて粘着性を保ち、「粘着物」ラベルになる(Doshi, 1997)。物質が完成紙料に組み込まれると、除去するのが困難なのは、自然には分解せず、水特有の重力に近いことが多いからである。これらの物理的特徴が異なるスクリーニング及びクリーニングにとって難題となるのは、これらの夾雑物が、水及び繊維を通すように設計されるスクリーン及びクリーナーを通り抜けるからである(Scholz, 1997)。この事実の結果、スクリーニング後のプロセスに巨大粘着物が入る。
【0016】
クリーニングシステム及びスクリーニングシステムが適切に行われ、ほとんどの巨大粘着物を除去しても、残存する微細粘着物が問題を引き起こす可能性がある。微細粘着物の塊、0.1mm(100ミクロン)スクリーン上に保持されない粘着物は、後で機械上に及びファクリック表面上に堆積する巨大粘着物の形成につながる可能性がある(非特許文献5)。
【0017】
粘着物の堆積にかかるコストはかなり大きい。ある情報源は、当業界に対する粘着物問題のコストを機械のダウンタイムの見地から、主要な再生紙グレードに関して年間5億ドルを越えると見積もっている(Friberg, 1997)。巨大粘着物がスクリーニングシステム及びクリーニングシステム後の完成紙料中に存在すると、粘着物除去の機械的手段が消耗する。微細粘着物の凝集の防止もまた巨大粘着物の問題に加えて問題である。
【0018】
以前より、製紙プロセスにおいて有機夾雑物、特に微細粘着物が存在するか否かモニタリング又は判定する技法は幾つかあった。しかしながら、これらの試験の全てではないが大部分は、時間がかかり、不正確であり、偽陽性測定値をもたらし、工場において使用するのが困難であり、実時間検査に基づかない等の問題がある。製紙工場にとって、存在する有機夾雑物を制御するために適切な措置を取ること、及び/又は現在の処理がパルプ及び繊維中の有機夾雑物を十分に制御しているか否か判定することができるように、製紙プロセスにおいて存在する有機夾雑物、特に微細粘着物を検出及び/又は定量化する方法を有することは重要であり得る。これを即時に行なうこと、迅速且つ経済的に行なうことができ、さらにこれを正確に行なうことが可能な方法を有することは有益であり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Pulp and Paper Fact Book, 2000
【発明の概要】
【0020】
本発明の特徴は、パルプ及び繊維中の有機夾雑物、例えば微細粘着物を検出する方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる特徴は、パルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物を定量化する方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる特徴は、パルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物を即時に検出及び/又は定量化する方法を提供することである。
【0023】
本発明の付加的な特徴は、正確な測定値をもたらし、製紙工場敷地内で行なうことができる、パルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出及び/又は定量化する方法を提供することである。
【0024】
本発明の付加的な特徴及び利点は、以下の記載で一部説明され、一部は記載より明らかであるか、又は本発明の実施により理解され得る。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲内で詳しく示される要素及び組合せにより実現及び達成される。
【0025】
これら及び他の利点を達成するために、且つ本発明の目的に従って、本明細書中に具体化され、広く記載されるように、本発明はパルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法に一部関する。該方法は、パルプ及び繊維の試料を得ること、及び試料を蛍光疎水性色素又は他の励起疎水性色素等の少なくとも1つの疎水性色素と接触させることを含むが、ここで疎水性色素は試料中に存在する有機夾雑物を染色する。この染色の後、任意で有機夾雑物の量を、試料を顕微鏡に置き、有機夾雑物をパルプ及び繊維、並びに他の有機夾雑物ではない物質から容易に見分けるために存在し得る疎水性色素を励起する適切なエネルギー源と試料を接触させることにより測定することができる。そのようにして、夾雑物のサイズ、夾雑物の表面積、夾雑物の数、及び観察から得ることができる任意の他の決定因子(determination)を判定することができる。
【0026】
本発明は、パルプ及び繊維を染色することなくパルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物を染色する、少なくとも1つの疎水性色素で染色されるパルプ及び繊維中の有機夾雑物にさらに関する。
【0027】
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載は共に例示的及び説明的であるに過ぎず、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図するものと理解されよう。
【0028】
添付の図面は、本願に援用されてその一部を構成し、本発明の実施形態の幾つかを示し、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】染色されていないパルプ及び繊維の間に存在する、蛍光色素で染色された有機夾雑物を示す顕微鏡写真である。
【図2】以下に示した実施例に記載するように、製紙設備において行なった試験で測定したKrofta送り装置(feed)及び受け装置(accepts)の微細粘着物データをプロットしたグラフである。
【図3】以下に示した実施例に記載するように、製紙設備において行なった試験で測定した抄紙機(PM)ヘッドボックス及びPM白水(WW)の微細粘着物データをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、パルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法に一部関する。本発明は、少なくとも1つの疎水性色素で染色された有機夾雑物を含有するパルプ及び繊維(任意でパルプ及び繊維自体は染色されていない)にさらに関する。本発明は、1つ又は複数の疎水性色素を用いて、パルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物の1つ又は複数の特性を定量化する、及び/又はそうでなければ分析する方法にさらに関する。
【0031】
本発明の目的では、有機夾雑物の例としては、当業界では「粘着物」として知られるもの、接着剤等に由来する合成ポリマー、グルー、ホットメルト、コーティング、コーティング結合剤、残インク、脱墨化学物質、木材樹脂、ロジン、そしてパルプ化されていない湿潤強力樹脂が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
これらの種類の物質は典型的には、新聞印刷用紙、段ボール箱、及び/又は混合オフィス古紙といった紙含有製品に見られる。これらの有機夾雑物は典型的には、スチレンブタジエンゴム、アクリル酸ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、天然ゴム、エチルビニルアセテート、ポリビニルアセテート、エチルビニルアルコール、ポリビニルアルコール、スチレンアクリレート等のポリマー(例えば熱可塑性プラスチック(複数可))、及び/又は他の合成系ポリマーを含有する。
【0033】
上述のように、本発明の目的では、巨大粘着物は典型的には100ミクロンを超える粒径を有する粘着物であり、微細粘着物は100ミクロン以下(例えば、10ミクロン〜100ミクロン)の粒径を有する有機夾雑物粒子と見なされる。本発明は、微細粘着物が典型的には上述のように機械的技法及び/又は化学的技法を用いて効果的に除去することができるため、パルプ及び繊維中の微細粘着物の検出に特に有用である。存在する微細粘着物の量に基づく適切な処理、処理レベル、及び/又は処理を開始するべきか否かの決定に関して製紙工場を支援するために、パルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物、特に微細粘着物を検出し、それに関する情報を知ることが可能であることは非常に有益であり得る。言うまでもなく、これらの種の決定は即時に行なわなくてはならない、又は製紙工場は単に安全措置として有機夾雑物、特に微細粘着物が、これらの有機夾雑物が実際に存在するか否かにかかわらず、製紙工場に或る程度存在すると仮定する必要がある。本発明は製紙工場が有機夾雑物、特に微細粘着物を即時に検出することを可能にするが、これにより製紙工場が微細粘着物の処理を実際の情報に基づいて調整すること、及び/又は処理レベルを存在する粘着物の量に基づいて調節することが可能となり、製紙工場は相当量の資金、化学物質を削減し、製紙工場施設の効率を高めることができる。
【0034】
本発明の1つ又は複数の実施形態では、本発明はパルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法に関する。該方法は、パルプ及び繊維の試料を得る工程と、その後この試料を少なくとも1つの疎水性色素と接触させる工程とを含むが、ここで疎水性色素は試料中に存在する有機夾雑物を染色する。好ましくは、疎水性色素は、有機夾雑物の染色がパルプ及び繊維から明らかに区別可能であるように、試料中に存在するパルプ及び繊維を染色しないか、又は少なくとも有意にはパルプ及び繊維を染色しない。
【0035】
パルプ及び繊維は製紙工場で使用される任意のパルプ及び繊維であり得る。パルプ及び繊維は未使用繊維、再生繊維、又はその2つの混合物であり得る。繊維は典型的にはセルロース繊維、より典型的には古段ボール箱(OCC)、古新聞印刷用紙(ONP)、混合オフィス古紙(MOW)、又はそれらの組み合わせといった1つ又は様々な紙製品又は繊維含有製品に由来する再生繊維を含む。これらの種の紙含有製品は、典型的には紙製品に存在する多量の有機夾雑物を含有している。これらの種の紙製品を再生した場合、これらの有機夾雑物は製紙プロセスのパルプ化段階中に形成された繊維と共に存在する。これらの有機夾雑物は、もし十分に取り除かれることがなければ、形成された紙シートの質及び/又は製紙に使用される機器類に影響を与えることで、製紙プロセスの後の段階を著しく妨げる可能性がある。つまり、このような有機夾雑物が繊維中に存在する場合、有機夾雑物の排除が製紙プロセスに重要となる。
【0036】
試料を得ることに関して、パルプ及び繊維の試料は、製紙プロセスの任意の段階(又は複数の段階)で得ることができる。例えば、試料は有機夾雑物を制御する任意の機械的処理又は化学的処理の前に得ることができる。試料は任意の機械的処理又は化学的処理中、処理後、又は製紙プロセスの任意の他の段階で得ることができる。試料を製紙プロセスからどこで採取し得るかに関しては限定されない。試料の量に関して、任意の量のパルプ及び繊維試料、例えば約10g〜約30g(炉乾燥重量)の繊維(パルプスラリーの場合)、又は約1g〜約200gの水性試料(すなわち、白水/プロセス水、Uhleボックス排液(discharge)、洗浄液(washer)、加圧濾液(繊維低含有試料))を使用することができる。試料のサイズは本発明の方法に重要ではない。存在する有機夾雑物の量又は濃度を判定する際に、試験される試料の量を知ることは有用である。
【0037】
試料を採取した後、試料を少なくとも1つの疎水性色素と接触させる。疎水性色素は好ましくは蛍光色素であるか、又はそうでなければ検出することのできる放射線を発するように励起可能な色素である。好ましくは、疎水性色素は蛍光疎水性色素又は可視線を発する色素であるが、UVで検出可能な色素又は赤外線で検出可能な色素も使用することができる。
【0038】
使用することのできる疎水性色素の例としては、キノリン色素(ナフタルイミド)(例えば、Morplas Fluorescent Yellow G Powder、異名:Solvent Yellow 43))、アントラキノン(例えば、Morplas Red 46 Powder、異名:Solvent Red 168、及びMorplas Blue 1003 Powder、異名:Solvent Blue 36)、クマリン(例えば、Navipal SWNR Powder、Fluorescent Brightener 140、及びRanipal SWNR Powder)が挙げられるが、これに限定されない。これらは各々、Sunbelt Corporationから入手可能である。他の例としては、Day−Glo Color Corporation製のTRY 53 Tracer Yellow Dye及びTRY−33 Tracer Yellow Dye Solutionが挙げられる。
【0039】
また、Oil Red O、Sudan III、Sudan IV、又はSudan black B等、Sudan群(Sudan group)の疎水性色素を使用することができる。他の例としては、フェノキサゾン色素であるナイルレッドが挙げられる。他の例としては、蛍光色素を含むOrcoplast(登録商標)色素群等のOrco製の色素が挙げられる。使用することのできる他の色素(疎水性色素)には、蛍光色素を含むNewDragon Co., Ltd.製の色素が含まれる。アミノスチリル部分及びキノリニウム部分を有する蛍光色素を使用することができる。これらの色素は、蛍光アミノスチリルキノリニウム色素としても知られている。使用することのできる他の蛍光疎水性色素としては、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)及び1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン(DPH)が挙げられる。
【0040】
本発明において使用される疎水性色素の量は、パルプ及び繊維試料中に存在する有機夾雑物を染料するのに十分な任意の量であり得る。好ましくは、色素は適切な溶剤、例えばプロピレングリコール等の有機溶剤で希釈されるか、又はそれに溶解される。使用することのできる有機溶剤の他の例としては、メチルカルビトール、メチルビロリドン、テトラヒドロフラン、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ブタノール、アセトン、及びアルコールが挙げられるが、これに限定されない。テトラヒドロフランは酢酸無水物として得ることができ、ブタノール、アルコール、及びアセトンは特に無水形態であり得る。疎水性色素は、疎水性色素を含有させる効率の観点から、分散液調製用の有機溶剤に25℃で少なくとも2g/L、好ましくは20g/L〜500g/Lの量で溶解する色素であるのが望ましい。
【0041】
適切な溶剤は、対象とする特定の種類の疎水性色素を可溶化する能力に基づいて選択することができる。色素の溶解性が実質的に同様であるのが好ましい。溶剤は非環式(acyl)炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、又は複素環式炭化水素であり得る。溶剤はハロゲン、酸素、硫黄、窒素、及び/又はリン(phosphorous)を末端基、又は環若しくは鎖の一体部分として有しても又は有しなくてもよい。具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、ペンタン、アセトン、DMSO、又は塩化メチレン等の溶剤を使用することができる。クロロホルム等の塩素系溶剤を使用してもよい。例えば、1gの色素を100mlの有機溶剤(プロピレングリコール等)と合わせて適切な溶液を作製することができ、これを次にパルプ及び繊維試料中に存在する有機夾雑物の染色に使用することができる。概して、使用することのできる色素の量は約100ppm〜約1重量%(又はそれ以上)であるが、ここで色素はこれらの濃度レベルを達成する量の少なくとも1つの有機溶剤との溶液中に存在する。色素は、色素を含有する溶液全体の1000ppm〜約1重量%の量で溶剤中に存在し得る。
【0042】
疎水性色素の例としては油溶性色素、分散色素等が挙げられる。油溶性色素としては、例えばC.I. Solvent Black 3、7、27、29及び34;C.I. Solvent Yellow 14、16、29、56及び82;C.I. Solvent Red 1、3、8、18、24、27、43、51、72及び73;C.I. Solvent Violet 3;C.I. Solvent Blue 2、11及び70;C.I. Solvent Green 3及び7;C.I. Solvent Orange 2;C.I. Disperse Yellow 5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I. Disperse Orange 13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I. Disperse Red 54、60、72、73、86、88、91、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I. Disperse Violet 33;C.I. Disperse Blue 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;C.I. Disperse Green 6:1及び9等が挙げられるが、特定の1つに限定されない。
【0043】
一実施形態では、スクアレイン(squaraine)、例えば1,3−ビス[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)メチル]−2,4−ジヒドロキシ−シクロブテンジイリウム(cyclobutenediylium)のビス(内塩)であり得る赤色色素、及び2−(3,5−ジメチルピロール−2−イル)−4−(3,5−ジメチル−2H−ピロール−2−イリデン)−3−ヒドロキシ−2−シクロブテン−1−オンであり得る橙色色素等の1つ又は複数の蛍光色素を使用することができる。第1の色素と第2の色素とのモル比は約0〜10000であり得る。どちらの色素も例えば紫外線から約800nmの範囲の同じ吸収波長で励起し、互いに少なくとも10nm、好ましくは30nm、より好ましくは少なくとも50nm離れた、2つの異なる本質的に重複しない波長で蛍光を発し得る。例えば、色素#1の発光ピークは585nmであり、色素#2の発光ピークは630nmであり得る。
【0044】
スクアリン酸系蛍光色素は文献に記載の方法により合成することができる。例えば、Sprenger et al. Angew. Chem., 79, 581 (1967)、Angew. Chem., 80, 541(1968)、及びMaaks et al., Angew Chem. Intern. Edit., 5, 888 (1966)を参照されたい。簡潔に述べると、1当量のスクアリン酸(1,2−ジヒドロキシシクロブテンジオン)を、2当量の活性化合物(ピロール、インドリン、又はアニリン等)と縮合し、アルコールと芳香族溶剤(ベンゼン等)との混合物中、反応混合物からの水分除去を可能にする条件下で還流させる。得られた色素を回収し、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の多数の標準的な方法により精製することができる。さらに、Lawet al., J. Org. Chem. 57, 3278, (1992)に記載されるような方法によって、非対称置換型のスクアリン酸化合物を合成することができる。このような色素を製造する具体的な方法は当該技術分野で既知であり、例えば米国特許第5,795,981号明細書、同第5,656,750号明細書、同第5,492,795号明細書、同第4,677,045号明細書、同第5,237,498号明細書、及び同第5,354,873号明細書に見ることができる。このような色素は任意で、安定な蛍光生成物を形成することが可能な官能基を含有し得るが、官能基としては活性化エステル、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ハロゲン化物、酸アジド、アジド、マレイミド、アルコール、アクリルアミド、ハロアセトアミド、フェノール、チオール、酸アルデヒド、アルデヒド及びケトンが挙げられる。
【0045】
シクロブテンジオン誘導体、置換セファロスポリン化合物、フッ化スクアレイン組成物、対称及び非対称スクアレイン、アルキルアルコキシスクアレイン、又はスクアリリウム化合物等の関連色素を使用することができる。これらの色素の一部は、近赤外線波長及び赤外線波長で蛍光を発し、発光スペクトルの範囲を最大約1000nmまで効果的に拡大し得る。
【0046】
スクアレイン(スクアリン酸から誘導される)に加えて、フタロシアニン及びナフタロシアニン等の疎水性色素を、より長い波長で作用させるように選択してもよい。他の種類の蛍光色素も本発明による色素としての使用に同等に適切である。これらの色素の一部をここに列挙する:3−ヒドロキシピレン−5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン(Fuhsin)、アクリジンオレンジ、アクリジンレッド、アクリジンイエロー、アクリフラビン、AFA(アクリフラビンフォイルゲンSITSA)、アリザリンコンプレキソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、ACMA、アミノアクチノマイシンD、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル、アリール置換ポリオレフィン若しくはヘテロアリール置換ポリオレフィン、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7 GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO 9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、BOBO 1、ブランコフォアFFG溶液、ブランコフォアSV、Bodipy Fl、BOPRO 1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルセインブルー、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコフロール(Calcophor)ホワイトABT溶液、カルコフロールホワイト標準溶液、カルボシアニン、カルボスチリル、カスケードブルー、カスケードイエロー、カテコールアミン、キナクリン(Chinacrine)、コリホスフィンO、クマリン、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、Dans(1−ジメチルアミノナフタレン(Naphaline)−5−スルホン酸)、Dansa(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH、DAPI、ジアミノフェニルオキサジアゾール(Oxydiazole)(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、ジピロメテンボロンジフルオリド、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エオシン、エリスロシンITC、臭化エチジウム、オイクリシン(Euchrysin)、FIF(ホルムアルデヒド誘導性蛍光色素)、フラゾオレンジ、Fluo 3、フルオレサミン、Fura−2、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、グロキサン酸(GloxalicAcid)、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、ヘキスト33258(DNAと結合)、Indo−1、イントラホワイトCfリキッド、ロイコフォアPAF、ロイコフォアSF、ロイコフォアWS、リッサミンローダミンB200(RD200)、ルシファーイエローCH、ルシファーイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10 GFF、マキシロンブリリアントフラビン8 GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ナイルレッド、ニトロベンゾキシアジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド、ヌクレアイエロー、ナイロサンブリリアントフラビンE8G、オレゴングリーン、オキサジン、オキサゾール、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラローザニリン(フォイルゲン)、ホルワイトAR溶液、ホルワイトBKL、ホルワイトRev、ホルワイトRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイエロー、ヨウ化プロピジウム、ピロニン、ピロニンB、ピラゾール(Pyrozal)ブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5 GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB 200、ローダミンBエキストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、ローズベンガル、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、Snarf 1、スルホ(sulphO)ローダミンB Can C、スルホローダミンGエキストラ、テトラサイクリン、テキサスレッド、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チアゾール(Thiozol)オレンジ、チノパール(Tinopol)CBS、TOTO 1、TOTO 3、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、XRITC、YO PRO 1、又はこれらの組み合わせ。所望の発光性及び吸収性、並びにその疎水性が適切である限り、このような色素からいずれを選択すべきか当業者には確実に明らかである。色素の有機溶剤への溶解性がより高く、光安定性及び量子収量が改善されたものであることが好ましい。
【0047】
本発明の1つ又は複数の実施形態では、本発明はしたがって少なくとも1つの疎水性色素、好ましくは少なくとも1つの疎水性蛍光色素で染色される有機夾雑物を含有するパルプ及び繊維試料に関するか、又はそれを含む。染色において存在する色素の量は前述の量に基づき得る。
【0048】
本発明に従って蛍光性を判定する方法は、例えば米国特許第4,564,598号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)に記載される光ファイバーサイトメーターの使用を伴い得る。蛍光を受信及び計数することのできる比較的少ない容量を規定するために光ファイバーを使用した。この容量は、既定の変動をもたらす1つ又は比較的少数の粒子が存在する可能性のある容量と関連する。変動分析に関する幾つかの数学的手法のいずれか1つを採用することにより、蛍光変動は試料における分析物の存在に関連付けられる。変動は静止状態において或る期間にわたって観察されるか、又は好ましくは試料を大量にサンプリングすることで観察される。観察結果を分析物を含まないことが分かっている試料若しくは較正物質、及び分析物を含有することが分かっている他の試料若しくは較正物質を用いて得られた結果と比較することで、未知の試料における分析物の存在又は非存在を判定することができる。
【0049】
試料を少なくとも1つの疎水性色素と接触させることは、対象を染色するために色素を使用する任意の方法で行なうことができる。例えば、点眼器を使用することができ、ピペットを使用することができ、噴霧ボトルを使用することができ、ビーカーを使用することができ、また滴定装置を使用することができる。色素をパルプ及び繊維試料と接触させることのできる方法に関しては限定されない。
【0050】
試料を疎水性色素と接触させた後、試料は次に有機夾雑物が存在するか否か、有機夾雑物が微細粘着物であるか否か、有機夾雑物の他の特性(表面積、量等)を判定するために分析することができる。この分析は任意で顕微鏡、又は色素の検出を可能にする他の検出装置の下で行なうことができる。例えば、GFP照明器を使用することができ、GFP観察用の立体顕微鏡を使用することができ、蛍光分光計を使用することができ、またmoticカメラを使用することができる。これらは幾つかの例に過ぎない。有機夾雑物の分析が容易に行なわれるように、蛍光ライト、又は色素が励起可能な場合に色素を照明する他の手段のいずれかを備える顕微鏡を使用することができる。
【0051】
例えば、蛍光能力を有し、且つ蛍光色素が使用された顕微鏡又は他の装置の下に置くと、本明細書の図1に示すように、有機夾雑物がパルプ及び繊維中に存在する他の物質から容易に識別可能であることが容易に理解できる。さらに、パルプ及び繊維自体は有意に染色されていない。
【0052】
観察によって、例えば有機夾雑物の量を判定することができ、夾雑物のサイズを判定することができ、また夾雑物の表面積を判定することができる。この方法に基づいて判定することのできる有機夾雑物の他の特性としては、表面形態、表面色、及び粘着物(すなわちインク粒子、タルク)上の汚染度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
また、試料を少なくとも1つの疎水性色素と接触させ、有機夾雑物を染色した後、この試料を、例えばスライド上でコンピュータ分析にかけることができるが、ここで染色を分析するためにプログラムを使用することができ、コンピュータプログラムによりこの試料の様々な特性(有機夾雑物の表面積、有機夾雑物の量等)を計算することができる。プログラムはさらに使用者にこれらの特性の情報を提供することができ、コンピュータをさらにこの分析に基づき有機夾雑物を処理するために使用すべき適切な処理を決定するようにプログラムすることができる。例えば、コンピュータプログラムにより使用すべき化学処理、化学処理の量、及び/又は化学処理の期間を決定することができる。コンピュータプログラムを用いて、又は用いずとも単に染色した試料の目視による分析に基づいて、これらの観察を同様に行なうことができることは明らかである。
【0054】
本発明の方法に関して、有機夾雑物を検出する方法は連続的に、半連続的に、バッチによって、又は有機夾雑物を検出する必要性が所望される度に行なうことができる。パルプ及び繊維中に存在する有機夾雑物の量を効果的にモニタリングするために、任意の種類の系統的分析を行なうことができる。
【0055】
本発明の方法の目的は、有機夾雑物(すなわち、粘着物)を染色して、繊維のサイズ、形状、種類等(長い/短い/硬い/軟かい)にかかわらず繊維の中から容易に検出/認識/観察可能なようにすることである。
【0056】
また、本発明によって、異なる有機夾雑物を異なる強度で染色可能であることが理解され得る。したがって、本発明により有機夾雑物の総合特性を把握することができるだけでなく、さらに存在する有機夾雑物の種類、例えば夾雑物が或る特定の割合のエチレン酢酸ビニル、スチレンブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル等を有するか否かを把握することが可能である。様々な有機夾雑物が分光計又は他の観察装置を介して観察された場合、異なる強度を示し、それにより存在する特定の有機夾雑物の判定を行なうことができることが実験を通して分かっている。粘着物の蛍光ライト下での観察に基づき、異なる種類の粘着物がわずかに異なる色(複数可)を有することが観察されている。例えば、ポリ酢酸ビニルは「鮮緑色」を示し、スチレンは「白緑色」を示す。
【0057】
本発明では、染色した有機夾雑物を有する試料を研究するために画像分析を使用することができるが、これは目視によって、又はコンピュータプログラムを用いて行なうことができる。この画像分析により、サイズ分布、夾雑物の量等を使用することが可能となる。さらに、この情報はオンライン技法、電子メール、又はこのような情報を提供することのできる他の電子的手段によって製紙工場又は他の使用者に提供することができる。本発明の実施形態は蛍光色素の使用に関して本明細書中で説明されているが、当然のことながら、本発明の概念は発光技術(リン光、化学発光又は生物発光、摩擦発光、及び他の形態の発光等)を用いて、より広範に応用されると考えられる。
【0058】
分析を含む本発明のプロセス全体は完全に自動化することができる。
【0059】
本発明は、本発明の例示であると意図される以下の実施例によってさらに詳しく説明される。
【実施例】
【0060】
実施例1
D4染料(Dupont #4色素、E.I. DuPont de Nemours & Co.製)の水道水中1%(w/w)の溶液を新たに調製した。染料の完全な溶解を保障するために、溶液を沸騰寸前まで加熱した。0.1g(0.1ml)の紙料サンプルを試験管に入れた。5mlのD4溶液を添加し、試験管を20分間熱湯(沸騰はしていない)中に置いた。試験管の内容物を時計皿にあけた。微量の繊維及び液体を顕微鏡スライド上に移した。スライドを40倍、100倍、400倍の倍率で検査した。
【0061】
試料は赤色及び緑色の繊維の集合のように見え、着色した粒子及び無色の粒子が繊維の周囲に分散していた。粘着物は非晶質で、わずかに丸みを帯び、角ばっていない粒子のように見えた。粘着物は水相中にあるか、又は繊維に付着して存在し得る。
【0062】
【表X】

【0063】
上の表から分かるように、各々の有機夾雑物は異なる色を有するため、存在する粘着物の全体量を知る以外に各々の夾雑物の量を判定することが可能である。また、40倍〜150倍の顕微鏡下で見られる粒子数と、抄紙機に見られる問題の間には直接の相関がある。
【0064】
実施例2
微細粘着物を計数する手順は、現場応用(すなわち、実際の製紙設備)において実験的に研究されている。この製紙設備では、再生紙(recovered post consumer papers)を原料として使用して市販用の紙製品を製造する。従来、この特定の場所で、抄紙機の装置への粘着物の堆積により運転上の問題が生じている。これらの運転上の「アウトブレーク(outbreaks)」(すなわち穴、欠陥/汚染、PM故障、生産量減少、ダウンタイム等による粗悪な(off-quality)シート)にはコストがかかる。さらに、これらの粘着物関連アウトブレークは従来予測されていなかった。
【0065】
下の表1は、これらの実験の蛍光標識/微細粘着化合物に関する励起波長及び発光波長の表である。データはXenon Power Supplyを備えるPerkin−Elmer 150 Fluorescence Spectrophotometerを用いて生成した。
【0066】
【表1】

【0067】
評価の開始時に、製紙設備において以下の4つの試料位置をサンプリングのために選択した:
*PMヘッドボックス
*PM WW
*Krofta送り装置
*Krofta受け装置。
【0068】
これらの研究に関して微細粘着物の検出及び計数の方法のために試験者が使用した手順を以下の表Aに記載する。
【0069】
表A 実際の微細粘着物の検出及び計数の方法
材料:
*UVリングライトを備える立体鏡
*大型の顕微鏡スライドガラス(2インチ×3インチ)
*カスタマイズ/エッチング加工された罫線付き溶融水晶(石英)スライド(2インチ×3インチ)
*125M(100um)スクリーンを備えるBritt Jar装置
*Millipore濾過装置及び真空連結部/源
*黒色Millipore濾紙
*5ml〜10ml容のシリンジ
*マイクロピペット(1ml抽出用)
*粘着物色素溶液
*1000ml容ガラスビーカー、200ml容ガラスビーカー、10ml容ガラスビーカー1つ

希薄紙料(0.9%(&)以下の(and less)稠度):
1.Britt Jarを作動させ、RPMを1500に設定する
2.1000mlのヘッドボックス/パルプスラリーをBritt Jar(125Mサイズのスクリーン(100um)を備えるBritt Jar)に投入する
3.パルプスラリーでBritt Jarを1分間稼働する
4.Britt Jarのドレーンを2秒〜3秒間開く(「ヘッド」の除去)
5.100mlの濾液を回収する(清浄なガラスビーカーで保存する)
6.シリンジを用いて5mlの濾液をとり、小型のガラスビーカーに入れる
7.マイクロピペットを用いて、0.1mlの粘着物色素を濾液(5ml)に添加する
8.マイクロピペットのチップで2秒〜3秒間よく混合する(チップは処分する)
9.Millipore濾過装置を用いて(水分除去のため)、処理した濾液の試料5mlを漏斗に投入する(黒色濾紙が所定位置にあることを確認する)
10.真空装置(vacuum)を作動させ、排液する(5秒以内に行なわなければならない)
11.黒色濾紙試料をMillipore濾過装置から慎重に取り除く
12.黒色濾紙を標準ガラス顕微鏡スライド(2インチ×3インチ)上に置く
13.石英カバースライド*を「処理試料」を含有する黒色濾紙の上に慎重に置く
14.試料を立体鏡の台の上に載せる
15.UVリングライトを点灯する
16.試料を2.5倍で観察する
17.各々の区画における粘着物数を計数する(200個の区画で計数する)
18.微細粘着物数として報告する

注釈:
*エッチング加工された石英スライドの代わりに、予め形成された金網を使用した。
*紙料溶液(稠度9%超)に関して、試料はヘッドボックスの稠度まで希釈する必要がある。下の計算例を参照されたい。

プレス:25%濃度
ヘッドボックス:65%濃度

Britt Jar(1000ml)に関して、6.5gの繊維が必要である
6.5/.0025=26gのベルトプレス+1000mlの温水
【0070】
一連の試験は製紙設備において異なる日取りで行なった(本明細書中では試験番号1〜15で表す)。これらの試験に関する結果は図2及び図3に示す。図2は試験に関するKrofta受け装置及びKrofta送り装置の微細粘着物データを示す。図3は試験に関するPMヘッドボックス及びPM WWの微細粘着物データを示す。
【0071】
試験結果のデータは統計ソフトウェアプログラムを用いて分析した。結果の初期統計分析は、PM WWにおける微細粘着物数が少なくとも以下と幾らか有意に相関することを示唆している:
*Krofta受け装置(微細粘着物)
*Krofta受け装置(NTU、オンライン試料及び実験室試料の両方)
*細目スクリーン(巨大粘着物)
*DIストレージ(巨大粘着物)
*Krofta送り装置(NTU、実験室)(負の相関)。
【0072】
同様に、PMヘッドボックス試料における微細粘着物は少なくとも以下と幾らか有意に相関する:
*Krofta送り装置(微細粘着物)
*Krofta受け装置(オンライン試料及び実験室試料)。
【0073】
さらなる研究では、粘着物のPMアウトブレークと微細粘着物数の上昇との間の相関が示された。PMヘッドボックス試料中の微細粘着物数は、試験者の注意をひくレベルまで増加した。翌日、PM WW試料において通常より高い微細粘着物数が同様に試験者の注意をひいた。最終的に、巨大粘着物数もこの日に増加した(表2及び表3参照)。次の24時間の間に、抄紙機に粘着物関連アウトブレーク(粘着物の堆積)が認められた。その数は上昇し、2日間上昇したままであった。この間に堆積物の試料を抄紙機から取り出し、分析した。堆積物は、標準的な分析で確認したところ、粘着物としても知られるPVAを含有していた。機械への堆積により、機械操作者は化学薬品OPTIMYZE(登録商標)(粘着物の堆積を制御するために使用したプロセス薬品)の用量を増加させることとなった。用量は22cc/分から32cc/分に増加させた。およそ12日後、微細粘着物において別の急上昇(PM WW試料及びヘッドボックス試料)が起こったが、抄紙機において粘着物の堆積はなかった。
【0074】
微細粘着物
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
これらの試験の結果、本発明の方法自体が再現可能で正確な結果を生むことが明らかになった。この手順を用いる理由の1つは、抄紙機の動作に関してより良い予測を行なうためである。試験結果から得られた他の特定の観察値及び結論は以下のことを含む:
*このデータ(巨大粘着物)は巨大粘着物数の増加と機械アウトブレークとの間に相関があることを示唆する。
*データ(微細粘着物)も機械の不調と相関がある。
*微細粘着物試験の手順は潜在的な問題の指標である。微細粘着物数が高い場合、少なくとも抄紙機でアウトブレークが起こり得る可能性がある。
*微細粘着物データは、アウトブレークが起こった時点でPMシステムにおいて高いレベルが見られることを示唆する。
*PM WW/PMヘッドボックス試料におけるより高い微細粘着物数と、実際の抄紙機での粘着物の堆積との間には相関があると考えられる。
*手順は工場内で容易に使用される。
*手順は再現性がある/信頼性が高いと考えられる。
【0077】
これらの試験結果は、異なる種類の光源(UV対可視光)を蛍光標識剤と組合せて導入及び利用することに基づく、本発明の実施形態の実現性及び利点を示す。概して、1つ又は複数の実施形態では、本発明は色素の使用(色付け)には依存しないが、代わりに蛍光標識と組合せて使用されるUV光源に依存する。このプロセスでは、標識は試料中に存在する微細粘着物(PVAc、SBR等)と反応する。試料をUV光源に曝し、UV光源の中で見ると、粘着物/標識複合体は強い蛍光シグナルを発している。他の「バックグラウンド」成分(すなわちタルク、クレイ、繊維、でんぷん等)も蛍光標識を吸収するが、これらの対象から放出される得られた光シグナルは、励起した微細粘着物/色素複合体から放出されるシグナルより著しく弱い。結果として、操作者/観察者は微細粘着物を容易に見ることができる。最終的に、この技法により偽陽性測定値が減少する。比較すると、微細粘着物を所与の試料中の他の物質と可視光源で観察したときの「色」により区別するために色素(複数可)/顔料を使用した場合、着色した微細粘着物と他の着色した対象全て(バックグラウンドノイズ)とを区別するのは困難であり、偽陽性測定値をもたらす。これに対し、本発明は、代替的な光源(UV)を蛍光標識(微細粘着物と特異的に反応する)と組合せて使用することに重点を置く。UV光源の中で試料を観察した結果は、優れた光シグナルの発光であり、これにより偽陽性測定値が減少する。結果として、本発明の試験手順は操作者が使用するのが容易であるため、より再現性があり、抄紙機システムにおける粘着物アウトブレークの予測因子/バロメーターとしてより有用である可能性がある。
【0078】
また、当然ながら、本実施例は単なる例示である。本発明は異なる形態の発光を用いて実施することができる。発光とは「光」であり、高温によってのみ生じるものではない。この関連での発光の非限定的な例は以下を含む:
*フォトルミネセンス(蛍光、リン光(暗闇で光る))
*化学発光「グロースティック」(生細胞における場合(ホタル)には生物発光と呼ばれる)
*摩擦発光(機械エネルギーの適用による「光」の放出)。
【0079】
最も一般的には、発光技術は特定の化学製品(商品化された酵素)、様々な産業プロセスにおける特性及び属性をモニタリング、測定、及び検出するのを助けるために使用され得る。より重要なことには、本発明のこの技術は、オンライン対オフラインモニタリングを可能にする。
【0080】
実施例3
BULAB(登録商標)5453ベントナイト(Buckman Laboratories(Memphis TN)製)で実験評価を行い、Krofta受け装置において懸濁したコロイド状物質の量を低減する性能を評価した。具体的には微細粘着物に重点を置き、評価の一環としてモニタリング及び計数した。4週間の期間にわたって評価を行ったが、生産工程中にBULAB(登録商標)5453ベントナイトを製紙設備において使用される既存の無機プログラムと置き換え、これらの研究の目的上、これを「ベースライン」と見なした。ベースライン物質は製造期間の4週間前に使用し、モニタリングした。微細粘着物を下に記載する方法で検出し、計数した。
【0081】
試験結果により、1ヶ月にわたるベントナイト評価と比較した、ベースライン月の日間平均濁度と比較してオンライン濁度が43%低下したことが示される。また、Krofta効率について行うと、Krofta効率の全体除去効率は、無機成分にかかわらず除去効率80%に維持されたことが見出された。
【0082】
結果を下の表4に示す。
【0083】
Krofta効率:ベースライン対ベントナイト試験
【表4】

【0084】
統計分析を微細粘着物、Krofta濁度、及び製造データについて、これらの間に相関があるか判定した。分析によって、PM WWとKrofta(受け装置)濁度とに関して最大の統計相関があり、次に強い相関がKrofta受け装置微細粘着物とKrofta受け装置濁度との間にあることが示された。抄紙機故障データと微細粘着物データとの間に関係性が認められた。また、ベントナイト評価の間、Krofta内の微細粘着物の循環が低下した(Krofta送り装置では17%の低下、及びKrofta受け装置では18%の低下)。また、抄紙機において微細粘着物の減少が認められた(ヘッドボックスでは19%の微細粘着物の減少、及びPM WWでは7%の減少)。
【0085】
結果を下の表5に示す。
【0086】
微細粘着物のデータ集:ベースライン対ベントナイト試験
【表5】

*単位=試料1L当たりの微細粘着物の数
【0087】
微細粘着物試験手順では、特定の色素で処理した1Lの試料を使用した;処理した1Lの試料の少量の試料を次に顕微鏡下で分析して微細粘着物数を判定する。データの報告の際には、微細粘着物数を1Lの試料サイズに外挿するが、これによりプロセスと容易に関連付けることができる定量値が与えられる。微細粘着物のデータは試料1L当たりの微細粘着物の数として示した。
【0088】
ベントナイト評価の間に巨大粘着物は増加したが、このわずかな増加は同じ時間枠での高い脱墨製造速度によるものであると考えられる。ベントナイト評価の間に流入する巨大粘着物は27%(8個から11個)増加したが、脱墨ストレージにおける巨大粘着物の増加はわずか11%(23個から26個)であった。
【0089】
結果を下の表6に示す。
【0090】
巨大粘着物のデータ集:ベースライン対ベントナイト試験
【表6】

*単位=10g(炉乾燥重量)の繊維(O.D.gF)当たりの巨大粘着物の数
【0091】
出願人は、全ての引用文献の完全な内容をこの開示に具体的に援用する。さらに、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータは範囲、好ましい範囲、又は好ましい最大値及び好ましい最小値の羅列のいずれかで与えられる場合、これは任意の上限範囲又は好ましい値と任意の下限範囲又は好ましい値との任意の組から成る全範囲を、範囲が別個に開示されるか否かにかかわらず、具体的に開示するものと理解される。数値範囲が本明細書中で列挙される場合、特に指定のない限り、この範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数値及び分数値を含むと意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する際に列挙される具体的な値に限定されると意図されるものではない。
【0092】
本発明の他の実施形態は、本明細書を検討し、本明細書中に開示される本発明を実施することにより当業者に明らかである。本明細書及び実施例は単に例示であると見なされ、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ及び繊維中の有機夾雑物を検出する方法であって、該パルプ及び繊維の試料を得ること、並びに前記試料を少なくとも1つの疎水性色素と接触させることを含み、前記疎水性色素が前記試料中に存在する前記有機夾雑物を染色する、方法。
【請求項2】
前記疎水性色素が蛍光疎水性色素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疎水性色素がMorplasブルーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疎水性色素が発光疎水性色素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記疎水性色素が励起疎水性色素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パルプ及び繊維が前記疎水性色素により染色されない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記有機夾雑物のサイズが100ミクロン以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試料を染色する前に、100ミクロンを超えるサイズの有機夾雑物を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記試料において染色された有機夾雑物の量を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記測定が蛍光分光計、GFP照明器、又は実体顕微鏡、又はmoticカメラを用いて達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの疎水性色素で染色される有機夾雑物を有する前記試料を、コンピュータプログラムを用いたデジタル解析により分析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記有機夾雑物が2つ以上の異なる有機夾雑物を含み、且つ前記疎水性色素が2つ以上の異なる有機夾雑物を、該有機夾雑物を互いに区別するために、各々の有機夾雑物が異なる色又は色調(shadecolor)を発するように染色する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
パルプ及び繊維、並びに少なくとも1つの疎水性色素により染色される少なくとも1つの有機夾雑物を含む、パルプ及び繊維試料。
【請求項14】
前記疎水性色素が蛍光疎水性色素である、請求項13に記載のパルプ及び繊維試料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−529421(P2010−529421A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508570(P2010−508570)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/063693
【国際公開番号】WO2008/144383
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(590003238)バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】BUCKMAN LABORATORIES INTERNATIONAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】