説明

パレット洗浄装置

【課題】 パレットに付着した汚れをより確実に除去することが可能なパレット洗浄装置を提供する。
【解決手段】 パレット洗浄装置は、トレーラ102内に構成され、パレット300を洗浄するものであって、パレット300を搬送するチェーンコンベア201、202、203と、パレット300に向けて水を噴射する低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207と、これら低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207より搬送方向の下流側に設置され、パレット300に衝撃を加える衝撃付加装置210と、この衝撃付加装置210より搬送方向の下流側に設置され、パレット300に向けて送風を行うエア噴射装置214とを有するとともに、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207の設置位置から衝撃付加装置210の設置位置へ移動中のパレット300にブラシ掛けを行うローラブラシ209を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラ内に構成され、配送物を搭載するためのパレットを洗浄する移動可能なパレット洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流においては、配送物の取り扱いを容易にすべく、配送物を搭載するためのパレットが用いられることが多い。このような物流用のパレットは、様々な環境下におかれるため、泥、埃、細菌等の汚れが付着しやすい。従来、このようなパレットの洗浄を行なう洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来の洗浄装置は、トレーラに搭載されて移動可能なものとなっており、基本的に、パレットに対して水(温水)を噴射することにより、パレットに付着した汚れを洗い流すようにしている。
【特許文献1】特公昭63−55994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のパレット洗浄装置では、噴射される水の圧力は、例えばパレットの形状や想定される汚れ等に基づいて、適切な圧力が決定される。しかし、パレットにおける汚れの付着状態は様々であり、決定された圧力での水の噴射では、その汚れを確実に除去することができない場合がある。
【0004】
本発明は従来の問題を解決するためになされたもので、パレットに付着した汚れをより確実に除去することが可能なパレット洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のパレット洗浄装置は、トレーラ内に構成され、配送物を搭載するためのパレットを洗浄する洗浄装置であって、前記トレーラの一端部から他端部に向けて前記パレットを搬送する搬送装置と、前記搬送装置の第1の位置に設置され、前記パレットに向けて水を噴射する水噴射装置と、前記搬送装置の第1の位置より搬送方向の下流側の第2の位置に設置され、前記パレットに衝撃を加える衝撃脱水異物除去装置と、前記搬送装置の第2の位置より搬送方向の下流側の第3の位置に設置され、前記パレットに向けて送風を行う第1の送風脱水装置とを有し、更に、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動中のパレットにブラシ掛けを行うブラシ掛け装置を有する構成となる。
【0006】
このような構成により、搬送装置により搬送されるパレットが第1の位置に到達すると、水噴射装置から噴射される水により洗浄され、その第1の位置での洗浄終了後、前記パレットが第1の位置から第2の位置へ移動する際にブラシ掛け装置によってブラシ掛けされる。その結果、第1の位置での水での洗浄にて除去しきれなかったパレットの汚れを前記ブラシ掛けにて除去することができるようになる。
【0007】
前記ブラシ掛けがなされつつ搬送されるパレットが第2の位置に到達すると、当該パレットに対して衝撃が加えられて水切り及び異物除去がなされる。その水切り及び異物除去後、更に搬送されるパレットが第3の位置に到達すると、そのパレットに対して送風がなされ、パレットに付着した水が除去される。
【0008】
また、本発明のパレット洗浄装置は、前記ブラシ掛け装置が、第1及び第2のローラ状のブラシを有し、前記第1のローラ状のブラシが前記パレットの上面に当接して回転し、前記第2のローラ状のブラシが前記パレットの下面に当接して回転する構成とすることができる。
【0009】
このような構成により、パレットが移動する際に当該パレットの上面及び下面に対するブラシ掛けを第1及び第2のローラ状のブラシによって行なうことができるようになる。
【0010】
更に、本発明のパレット洗浄装置は、前記第1及び第2のローラ状のブラシが、前記パレットの搬送方向と垂直をなす方向に沿って延在する構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、第1及び第2のローラ状のブラシを特に移動させなくても、パレットが移動する際にパレットの上下面全体のブラシ掛けを行なうことが可能となる。
【0012】
また、本発明のパレット洗浄装置は、更に、前記第2の位置から前記第3の位置へ移動中の前記パレットに向けて送風を行う第2の送風脱水装置を有する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、第2の位置にて水切りのなされたパレットが第3の位置への移動中に第2の送風脱水装置から送風を受け、第3の位置での送風を受ける前に、パレットに残った水の予備的な除去を行なうことができるようになる。
【0014】
更に、本発明のパレット洗浄装置は、前記第2の送風脱水装置が、前記パレットの上面に向けてエアを噴射する複数のノズルを備えた第1のエア噴射装置と、前記パレットの下面に向けてエアを噴射する複数のノズルを備えた第2のエア噴射装置とを有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、パレットが移動する際に当該パレットの上面及び下面に付着した水を複数のノズルによって除去できるようになる。
【0016】
また、本発明のパレット洗浄装置は、前記第1及び第2のエア噴射装置それぞれの前記複数のノズルは、前記パレットの搬送方向と約45°に配列された構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、各ノズルのエア噴射方向を変えなくても、パレットが移動する際にパレットの上下面全体に対してエアを吹き付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、パレットに水を噴射するだけでなく、その水の噴射により水が付着した状態のパレットが移動中に、そのパレットに対してブラシ掛けを行っており、パレットに付着した汚れをより確実に除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態のパレット洗浄装置を内蔵するセミトレーラ運結車について、図面を用いて説明する。
【0020】
トレーラ運結車の側面図を図1(a)に、上面図を図1(b)に示す。図1(a)及び図1(b)に示すトレーラ運結車100は、駆動部であるトラクタ101と、このトラクタ101に連結されて牽引されるトレーラ102を有する。パレット洗浄装置は、トレーラ102内に構成される。
【0021】
パレット洗浄装置の側面図を図2(a)に、上面図を図2(b)にそれぞれ示す。図2(a)及び図2(b)に示すパレット洗浄装置は、トレーラ102内に構成される。具体的には、トレーラ102のフレーム104上には基盤106が設置され、基盤106の上部には防振ゴム等の緩衝体108を介してパレット洗浄装置が設置されている。パレット洗浄装置の振動は、緩衝体108により吸収される。
【0022】
パレット洗浄装置によって洗浄され得るパレット300の斜視図を図3に示す。図3に示すパレット300の側面には、フォークリフト等の装置が爪状の部材を挿入してパレット300を支持するための孔302が形成されている。また、パレット300の上面及び下面には、水切りを良くするために複数の孔が形成されている。
【0023】
再び、図2に戻って説明する。パレット洗浄装置は、トレーラ102の後端部から前端部に向けて順に投入口A、洗浄室B、水切り室C、送風室D1、送風室D2及び取出し口Eが配列された構造となっている。
【0024】
チェーンコンベア201は、投入口Aに設置され、チェーンコンベア203は、取出し口Eに設置される。また、チェーンコンベア202は、洗浄室B、水切り室C、送風室D1及び送風室D2を貫通するように設置されている。これらチェーンコンベア201、202及び203により、パレット300が投入口Aから洗浄室B、水きり室C、送風室D1、送風室D2を通って取出し口Eまで順次搬送される。
【0025】
投入口Aには、パレット引上げ機構204が設置される。このパレット引上げ機構204は、爪状の部材を有し、この爪状の部材をパレット300に形成される孔302に挿入して上方に移動させることにより、パレット300を引き上げることができるようになっている。
【0026】
洗浄室Bには、パレット回転機構205(1)及び205(2)(以下、これらパレット回転機構205(1)及び205(2)をまとめて、適宜「パレット回転機構205」と称する)、低圧水噴射装置206(1)及び206(2)(以下、これら低圧水噴射装置206(1)及び206(2)をまとめて、適宜「低圧水噴射装置206」と称する)、高圧水噴射装置207(1)及び207(2)(以下、これら高圧水噴射装置207(1)及び207(2)をまとめて、適宜「高圧水噴射装置207」と称する)が設置されるとともに、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207よりもパレット300の搬送方向の下流側にローラブラシ209(1)及び209(2)(以下、これらローラブラシ209(1)及び209(2)をまとめて、適宜「ローラブラシ209」と称する)が設置される。
【0027】
パレット回転機構205(1)は、チェーンコンベア202の上方に設置され、停止しているパレット300を下方から押圧することにより当接する。一方、パレット回転機構205(2)は、チェーンコンベア202の下方に設置され、停止しているパレット300を下方から押圧することにより当接する。パレット300に当接した後、これらパレット回転機構205は、パレット300を回転させることができるようになっている。
【0028】
低圧水噴射装置206(1)は、搬送されるパレット300の上方に設置され、低圧水噴射装置206(2)は、搬送されるパレット300の下方に設置される。これら低圧水噴射装置206は、例えば、パレット300の上下面に水を噴射する複数のノズルと側面に水を噴射する複数のノズルとを有し、4.5kg/cm2のポンプ吐出圧力の水を400リットル/分の水量で噴射させることができるようになっている。なお、低圧水噴射装置206が使用する水は循環式であり、使用水量の削減が可能となっている。
【0029】
高圧水噴射装置207(1)は、搬送されるパレット300の上方に設置され、高圧水噴射装置207(2)は、搬送されるパレット300の下方に設置される。これら高圧水噴射装置207は、例えば、パレット300の上下面及び側面に均等に水を噴射する複数のノズルを有し、80kg/cm2のポンプ吐出圧力の水を40リットル/分の水量で噴射させることができるようになっている。
【0030】
ローラブラシ209(1)は、搬送されるパレット300の上方に設置され、ローラブラシ209(2)は搬送されるパレット300の下方に設置されている。ローラブラシ209の側面図を図4(a)に、正面図を図4(b)にそれぞれ示す。図4(a)及び図4(b)に示すローラブラシ209は、ブラシ部262及び回転軸264を有する。ブラシ部262は、ナイロン等の部材により構成され、回転軸264の外周部に巻きつけられている。回転軸264は、パレット300の搬送方向と垂直をなす方向に延在する。
【0031】
ローラブラシ209は、内蔵するモータ(図示せず)により回転軸264を回転し、この回転軸264に巻きつけられたブラシ部262により、ローラブラシ209(1)はパレットの上面を、ローラブラシ209(2)はパレット300の下面を擦ることができるようになっている。例えば、ローラブラシ209は、135回転/分の回転速度で回転することができる。なお、パレット300に付着した汚れをより確実に除去するためには、ローラブラシ209の回転方向は、パレット300の搬送方向と逆方向(図4(a)において、ローラブラシ209(1)については左回り方向、ローラブラシ209(2)については右回り方向)であることが望ましい。
【0032】
再び、図2に戻って説明する。洗浄室Bには、排気ダクト208が取り付けられている。この排気ダクト208は、洗浄室Bの除湿を行うことができるようになっている。
【0033】
また、洗浄室Bにおけるパレット300の搬入側の壁部と搬出側の壁部とには、それぞれシャッタ(図示せず)が設置されている。低圧水噴射装置206と高圧水噴射装置207とが水を噴射している間は、これらシャッタが閉鎖することにより、洗浄室Bの外部へ水が飛散することが防止される。
【0034】
水切り室Cには、衝撃付加装置210及びアーム211が設置される。衝撃付加装置210は、アーム211上のパレット300の一方端の下面に当接して、その一方端を上下に振動させることができるようになっている。
【0035】
送風室D1には、エア噴射装置212(1)及び212(2)(以下、これらエア噴射装置212(1)及び212(2)をまとめて、適宜「エア噴射装置212」と称する)が設置される。これらのうち、エア噴射装置212(1)は搬送されるパレット300の上方に設置され、エア噴射装置212(2)は搬送されるパレット300の下方に設置される。エア噴射装置212の斜視図を図5に示す。図5に示すエア噴射装置212は、複数のノズル271と、これら複数のノズル271が接合される送風管272とを有する。水切りブロア215が供給するエア供給されるエアは、送風管272を介して各ノズル271からパレット300の上下面に噴射される。なお、各エア噴射装置212における複数のノズル271は、パレット300の搬送方向に対して約45°の向きにて配列される。
【0036】
送風室D2には、パレット回転機構213(1)及び213(2)(以下、これらパレット回転機構213(1)及び213(2)をまとめて、適宜「パレット回転機構213」と称する)が設置されるとともに、エア噴射装置214(1)及び214(2)(以下、これらエア噴射装置214(1)及び214(2)をまとめて、適宜「エア噴射装置214」と称する)が設置される。これらのうち、エア噴射装置214(1)は搬送されるパレット300の上方に設置され、エア噴射装置214(2)は搬送されるパレット300の下方に設置される。
【0037】
パレット回転機構213(1)は、チェーンコンベア202の上方に設置され、停止しているパレット300を下方から押圧することにより当接する。一方、パレット回転機構213(2)は、チェーンコンベア202の下方に設置され、停止しているパレット300を下方から押圧することにより当接する。パレット300に当接した後、パレット回転機構213は、パレット300を回転させることができるようになっている。
【0038】
エア噴射装置214は、水切りブロア215から供給されるエアをパレット300の上下面に噴射することができるようになっている。
【0039】
送風室D2には、排気ダクト216が取り付けられている。この排気ダクト216は、送風室D2において除去された水滴を吸収排出することができる。
【0040】
取出し口Eには、パレット引上げ機構217が設置される。このパレット引上げ機構217は、爪状の部材を有し、この爪状の部材をパレット300に形成される孔302に挿入して上方に移動させることにより、パレット300を引き上げることができるようになっている。
【0041】
制御盤250は、パレット洗浄装置全体を制御するものであり、水切り室Cの外側面に設置される。なお、パレット回転機構205、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207の設置位置(以下、「洗浄位置」と称する)、衝撃付加装置210、アーム211の設置位置(以下、「水切り位置」と称する)、パレット回転機構213及びエア噴射装置214の設置位置(以下、「送風位置」と称する)の間隔(設置間隔)は、ほぼ等しくなっており、制御盤250は、洗浄位置、水切り位置及び送風位置のそれぞれにパレット300が同時に到達して一時停止するように、パレット引上げ機構204及び217によるパレットの引上げタイミング、チェーンコンベア202の作動及び停止のタイミング等を制御する。
【0042】
次に、上述のように構成されるパレット洗浄装置について、動作を説明する。
【0043】
洗浄対象となる汚れたパレット300は、フォークリフト等により、投入口Aに積み重ねられる。投入口Aに設置されたパレット引上げ機構204は、これら積み重ねられた複数のパレット300の全数をテーブルリフターにて引き上げ、下から2番目のパレット300の側面に形成された孔に爪部を挿入し、最下部のパレット300をテーブルリフターにてチェーンコンベア201上に搭載する。これにより、最下部のパレット300が搬送される。パレット引上げ機構204によるパレット300の引上げ動作は、所定の時間周期で繰り返され、投入口Aに積み重ねられたパレット300は、上述した設置間隔を空けながら1枚ずつチェーンコンベア201によって搬送され、洗浄室Aへ進入する。
【0044】
洗浄室Aへ進入したパレット300は、チェーンコンベア202により搬送されて、洗浄位置に到達する。この時、チェーンコンベア202は、パレット300の搬送を一時停止する。
【0045】
低圧水噴射装置206は、パレット300に向けて低圧の水を噴射し、高圧水噴射装置207は、そのパレット300に向けて高圧の水を噴射することにより、それぞれ洗浄位置に到達して停止しているパレット300の洗浄を行う。低圧水噴射装置206による低圧の水の噴射によって、パレット300に付着して固化した汚れの軟化、粗大な汚れの除去が可能となる。また、高圧水噴射装置207による高圧の水の噴射によって、パレット300に付着した細菌及び強固な汚れやパレット300に形成された孔の内部に付着した汚れの除去が可能となる。
【0046】
そして、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207によるパレット300に対する水の噴射時間が所定時間(例えば10秒間)に達すると、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207による水の噴射が継続された状態で、パレット回転機構205は、パレット300の上下面に当接して、パレット300を固定した上で回転させる。このように、パレット300が回転することにより、パレット300の広い範囲に水を噴射させることが可能となる。また、低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207によるパレット300に対する水の噴射時間が所定時間に達した後に、パレット回転機構205によるパレット300の固定及び回転が行われることにより、パレット300のうち、パレット回転機構205が当接する部分にも水が噴射されるため、その当接部分についても洗浄が可能である。
【0047】
低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207によるパレット300の洗浄が終了した後、パレット回転機構205は、パレット300の回転を停止するとともに、パレット300を解放する。
【0048】
その後、一時停止しているチェーンコンベア202が再び作動し、水滴が付着した状態のパレット300がローラブラシ209の設置位置へ搬送される。
【0049】
ローラブラシ209は、水滴が付着した状態で移動中のパレット300の上下面を擦ることによりブラシ掛けを行う。このブラシ掛けにより、パレット300の上下面、特に、上下面に形成された孔等に付着したフィルム片等の薄膜片、油汚れ、凝固汚れや、パレット300の上下面の擦り傷等の細部に堆積した汚れをより確実に除去することが可能になるとともに、パレット300のうち、パレット回転機構205が当接した部分における汚れのより確実な除去が可能となる。また、パレット300は水滴が付着した状態でローラブラシ209の位置まで搬送されるため、パレット300に付着した汚れは水により軟化した状態となり、ブラシ掛けにより確実に汚れを除去することが可能となる。
【0050】
ローラブラシ209によるブラシ掛け洗浄が行われている移動中のパレット300は、そのままチェーンコンベア202により搬送され、水切り室Cへ進入する。
【0051】
水切り室Cへ進入したパレット300は、チェーンコンベア202により搬送されて、水切り位置に到達する。この時、チェーンコンベア202は、パレット300の搬送を一時停止する。なお、上述したように、投入口Aに積み重ねられたパレット300は、設置間隔を空けながら1枚ずつ搬送されるため、パレット300が水切り位置に到達した時、次のパレット300は洗浄位置に到達する。
【0052】
アーム211は、水切り位置に到達して停止しているパレット300の下面を支持し、更に、衝撃付加装置210は、この水切り位置に到達して停止しているパレット300の一方端の下面に当接して、その一方端を上方に持ち上げ落下させることにより、パレット300に対して衝撃を加える。これにより、パレット300に付着した水滴が除去される。
【0053】
その後、衝撃付加装置210がパレット300の上下面を水平にする位置に戻ると、一時停止しているチェーンコンベア202が再び作動し、パレット300が搬送され、送風室D1へ進入する。
【0054】
エア噴射部212は、送風室D1へ進入して移動中のパレット300の上下面にエアを噴射する。これにより、パレット300に付着した水滴の除去が行われ、衝撃付加装置210では除去し切れなかった水滴が除去される。
【0055】
エア噴射装置212による水滴の除去が行われている移動中のパレット300は、そのままチェーンコンベア202により搬送され、送風室D2へ進入する。送風室D2へ進入したパレット300は、チェーンコンベア202により搬送されて、送風位置に到達する。この時、チェーンコンベア202は、パレット300の搬送を一時停止する。なお、上述したように、投入口Aに積み重ねられたパレット300は、設置間隔を空けながら1枚ずつ搬送されるため、パレット300が送風位置に到達した時、次のパレット300は水切り位置に到達し、更にその次のパレット300は洗浄位置に到達する。
【0056】
エア噴射装置214は、送風位置に到達して停止しているパレット300の上下面にエアを噴射する。これにより、パレット300に付着した水滴の除去が行われ、より確実な水滴の除去が可能となる。
【0057】
そして、エア噴射装置214によるパレット300に対するエアの噴射時間が所定時間(例えば10秒間)に達すると、エア噴射装置214によるエアの噴射が継続された状態で、パレット回転機構213は、パレット300の上下面に当接して、パレット300を固定した上で回転させる。また、エア噴射装置214によるパレット300に対するエアの噴射時間が所定時間に達した後に、パレット回転機構213によるパレット300の固定及び回転が行われることにより、パレット300のうち、パレット回転機構213が当接する部分にもエアが噴射されるため、その当接部分についてもより確実に水滴を除去することが可能である。
【0058】
エア噴射装置214によるパレット300に付着した水滴の除去が終了した後、パレット回転機構213は、パレット300の回転を停止するとともに、パレット300を解放する。
【0059】
その後、一時停止しているチェーンコンベア202が再び作動し、パレット300は送風室D2から退出し、更にチェーンコンベア203により搬送され、取出し口Eへ進入する。
【0060】
取出し口Eに設置されたパレット引上げ機構217は、積み重ねられた複数の洗浄後のパレット300のうち、最下部のパレット300の側面に形成された孔302に爪部を挿入して、これらパレット300を引き上げた状態を維持している。そして、取り出し口Eへ進入した新たな洗浄後のパレット300は、チェーンコンベア203により搬送されて、パレット引上げ機構217により引き上げられたパレット300の下部に到達する。この時、パレット引上げ機構217は、引き上げているパレット300を新たな洗浄後のパレット300の上に積み重ねて、再び、最下部のパレット300の側面に形成された孔302に爪部を挿入して、これらパレット300を引き上げる。パレット引上げ機構217は、このようなパレット300の引上げ動作を所定の時間周期で繰り返す。これにより、全ての洗浄後のパレット300は、取出し口Eに積み重ねられる。取出し口Eに積み重ねられたパレット300は、一定枚数積み重ねられ、その一定枚数に達したとき、自動的にフォークリフト等により取り出される。
【0061】
このように、本実施形態のパレット洗浄装置は、ローラブラシ209が低圧水噴射装置206及び高圧水噴射装置207によって洗浄され水滴が付着した状態のパレット300の上下面に対してブラシ掛け洗浄を行っている。このため、パレット300の上下面、特に、上下面に形成された孔等に付着した汚れや、パレット300の上下面の擦り傷等の細部に堆積した汚れをより確実に除去することが可能になる。また、パレット300は水滴が付着した状態でローラブラシ209の位置まで搬送されるため、パレット300に付着した汚れは水により軟化した状態となり、ブラシ掛けにより確実に汚れを除去することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態のパレット洗浄装置は、エア噴射装置212及び214により2段階のエア噴射による水滴の除去が行われるため、パレット300に付着した水滴をより確実に除去することができる。
【0063】
また、本実施形態のパレット洗浄装置は、ローラブラシ209によるブラシ洗浄及びエア噴射装置212によるエア噴射の際に、パレット300は停止しておらず、移動中であるため、全体の洗浄処理に要する時間は、これらローラブラシ209及びエア噴射装置212が設置されていない場合の時間と同一であり、より確実な洗浄処理を可能としつつ、時間が延びることを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態のパレット洗浄装置は、ローラブラシ209の回転軸とエア噴射装置212の送風口がパレット300の搬送方向と垂直をなす方向に沿って延在しており、ローラブラシ209やエア噴射装置212が移動しなくても、パレット300の移動のみにより、そのパレット300の上下面の全体に対するブラシ掛けやエアの噴射が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかるパレット洗浄装置は、パレットに付着した汚れをより確実に除去することが可能であるという効果を有し、パレット洗浄装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】パレット洗浄装置を内蔵するセミトレーラ運結車の側面図及び上面図である。
【図2】パレット洗浄装置の側面図及び上面図である。
【図3】パレットの斜視図である。
【図4】ローラブラシの側面図及び正面図である。
【図5】エア噴射装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
100 セミトレーラ
101 トラクタ
102 トレーラ
104 フレーム
106 基盤
108 緩衝体
201、202、203 チェーンコンベア
204、217 パレット引上げ機構
205(1)、205(2)、213(1)、213(2) パレット回転機構
206(1)、206(2) 低圧水噴射装置
207(1)、207(2) 高圧水噴射装置
208、216 排気ダクト
209(1)、209(2) ローラブラシ
210 衝撃付加装置
211 アーム
212(1)、212(2)、214(1)、214(2) エア噴射装置
215 水切り用ブロア
250 制御盤
262 ブラシ部
264 回転軸
271 ノズル
272 送風管
300 パレット
302 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラ内に構成され、配送物を搭載するためのパレットを洗浄する洗浄装置であって、
前記トレーラの一端部から他端部に向けて前記パレットを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の第1の位置に設置され、前記パレットに向けて水を噴射する水噴射装置と、
前記搬送装置の第1の位置より搬送方向の下流側の第2の位置に設置され、前記パレットに衝撃を加える衝撃脱水異物除去装置と、
前記搬送装置の第2の位置より搬送方向の下流側の第3の位置に設置され、前記パレットに向けて送風を行う第1の送風脱水装置とを有し、
更に、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動中のパレットにブラシ掛けを行うブラシ掛け装置を有することを特徴とするパレット洗浄装置。
【請求項2】
前記ブラシ掛け装置は、第1及び第2のローラ状のブラシを有し、前記第1のローラ状のブラシが前記パレットの上面に当接して回転し、前記第2のローラ状のブラシが前記パレットの下面に当接して回転することを特徴とする請求項1に記載のパレット洗浄装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のローラ状のブラシは、前記パレットの搬送方向と垂直をなす方向に沿って延在することを特徴とする請求項2に記載のパレット洗浄装置。
【請求項4】
更に、前記第2の位置から前記第3の位置へ移動中の前記パレットに向けて送風を行う第2の送風脱水装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパレット洗浄装置。
【請求項5】
前記第2の送風脱水装置は、前記パレットの上面に向けてエアを噴射する複数のノズルを備えた第1のエア噴射装置と、前記パレットの下面に向けてエアを噴射する複数のノズルを備えた第2のエア噴射装置とを有することを特徴とする請求項4記載のパレット洗浄装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のエア噴射装置それぞれの前記複数のノズルは、前記パレットの搬送方向と約45°に配列されたことを特徴とする請求項5に記載のパレット洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−752(P2006−752A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179216(P2004−179216)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504235595)東罐運送倉庫株式会社 (1)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】