説明

パレット積み重ね案内装置

【課題】複数枚のパレットを整然と揃えて積み重ね可能とするパレット積み重ね案内装置を、構成簡単に、かつ、形成が容易にできるようにする。
【解決手段】パレット積み重ね案内装置は、複数枚のパレット2を積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台4と、パレット支持台4の平面視での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体5と、下部案内体5の延出端部の平面視での各部から上方に向かうに従い下部案内体5の外側方に向かって延出する上部案内体6とを備える。フォークリフト8のフォーク9に支持されたパレット2を上部案内体6の上方から下降させるとき、上部案内体6がパレット2を摺動させて下部案内体5の内部空間25に向けて案内した後、下部案内体5がその内部空間25を下降するパレット2を摺動させてパレット支持台4上の所定位置に向けて案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時の複数枚のパレットを整然と揃えて積み重ねることができるようにするためのパレット積み重ね案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記パレット積み重ね案内装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、パレット積み重ね案内装置は、基台に支持され、複数枚のパレットを積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台と、上記基台に移動可能に支持され、上記パレット支持台上に載置された各パレットを水平方向から一体的に挟み付けるよう押動する複数の押動体とを備え、この押動体の押動により、上記下部案内体上に各パレットが整然と揃うよう積み重ねられることとされている。また、この構成において、上記パレット支持台上にフォークリフトにより各パレットを載置させれば、これらパレットの自重により上記パレット支持台が下降することとされ、このように下降するパレット支持台に上記各押動体が連動して上記各押動体が上記パレット支持台上の各パレットを水平方向から挟み付けることとされている。
【0003】
このため、例えば、不使用時の複数枚のパレットをコンパクトに収納しようとする場合などに、これらパレットを整然と揃えて積み重ねようとする場合には、上記各パレットを上記パレット支持台上に載置させればよい。このようにすれば、このパレット支持台上で、上記各パレットは機械的に整然と揃えられて積み重ねられ、これら各パレットのコンパクトな収納ができることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−42237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したパレット積み重ね案内装置におけるパレット支持台と各押動体とは、いずれも上記基台に対し可動式のものとして支持されており、また、上記パレット支持台と各押動体とは互いに連動するよう連結されたものである。このため、上記従来の技術のパレット積み重ね案内装置は、可動部品が多くて機構的なものであることから、その構成が複雑であると共に、その形成作業が極めて煩雑になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、複数枚のパレットを整然と揃えて積み重ね可能とするパレット積み重ね案内装置を、構成簡単に、かつ、形成が容易にできるようにすることである。
【0007】
請求項1の発明は、複数枚のパレット2を積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台4と、このパレット支持台4の平面視(図3)での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体5と、この下部案内体5の延出端部の平面視での各部から上方に向かうに従い上記下部案内体5の外側方に向かって延出する上部案内体6とを備え、フォークリフト8のフォーク9に支持されたパレット2を上記上部案内体6の上方から下降させるとき、上記上部案内体6が上記パレット2を摺動させて上記下部案内体5の内部空間25に向けて案内した後、上記下部案内体5がその内部空間25を下降する上記パレット2を摺動させて上記パレット支持台4上の所定位置に向けて案内するようにしたことを特徴とするパレット積み重ね案内装置である。
【0008】
請求項2の発明は、上記パレット支持台4上に積み重ねられたパレット2群を上記下部案内体5の内部空間25から水平方向の外部に向かって取り出し可能にさせる開口26を形成したことを特徴とする請求項1に記載のパレット積み重ね案内装置である。
【0009】
請求項3の発明は、上記下部案内体5を、上記パレット支持台4の外縁部に所定間隔で配置される案内柱14〜16で構成したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のパレット積み重ね案内装置である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、複数枚のパレットを積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台と、このパレット支持台の平面視での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体と、この下部案内体の延出端部の平面視での各部から上方に向かうに従い上記下部案内体の外側方に向かって延出する上部案内体とを備え、フォークリフトのフォークに支持されたパレットを上記上部案内体の上方から下降させるとき、上記上部案内体が上記パレットを摺動させて上記下部案内体の内部空間に向けて案内した後、上記下部案内体がその内部空間を下降する上記パレットを摺動させて上記パレット支持台上の所定位置に向けて案内するようにしている。
【0013】
このため、上記パレット積み重ね案内装置を用いて、例えば、不使用時の複数枚のパレットをコンパクトに収納しようとする場合には、まず、上記パレットをフォークリフトのフォークにより前後左右に多少移動可能な状態で支持して、このフォークと共に上記パレットを上記上部案内体の上方から下降させる。そして、このように下降するパレットを上記上、下部案内体に対し順次摺動させれば、上記パレットは上記パレット支持台上の所定位置に向けて案内される。よって、上記作業を繰り返して、パレットを次々とパレット支持台上に載置させれば、複数枚のパレットが整然と揃えられて上記パレット支持台上に積み重ねられる。
【0014】
そして、上記したパレット積み重ね案内装置は、従来の後術のような可動部材を不要として、パレット支持台、下部案内体、および上部案内体の静止部材で足りるため、このパレット積み重ね案内装置は、構成を簡単にできると共に、その形成が容易にできることとなる。
【0015】
請求項2の発明は、上記パレット支持台上に積み重ねられたパレット群を上記下部案内体の内部空間から水平方向の外部に向かって取り出し可能にさせる開口を形成している。
【0016】
このため、前記したように、パレット支持台上にパレット群を整然と積み重ねた後、これらパレット群をフォークリフトにより所望位置に移動させることは、上記したパレット群の取り出しにより、容易かつ迅速にでき、これは、パレットの取り扱い上、有益である。
【0017】
請求項3の発明は、上記下部案内体を、上記パレット支持台の外縁部に所定間隔で配置される案内柱で構成している。
【0018】
このため、上記各案内柱の間の隙間を通して、上記下部案内体の内部空間をその外部から容易に見ることができる。よって、上記パレット支持台上に積み重ねられるパレットの積み重ね状態や積み重ねの枚数を視認したり、上記下部案内体の内部空間からのパレット群の取り出し状態を視認したりすることが容易にできることから、パレットの取り扱いの作業性が、より向上して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】側面図である。
【図2】正面図である。
【図3】平面図である。
【図4】斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のパレット積み重ね案内装置に関し、複数枚のパレットを整然と揃えて積み重ね可能とするパレット積み重ね案内装置を、構成簡単に、かつ、形成が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0021】
即ち、パレット積み重ね案内装置は、複数枚のパレットを積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台と、このパレット支持台の平面視での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体と、この下部案内体の延出端部の平面視での各部から上方に向かうに従い上記下部案内体の外側方に向かって延出する上部案内体とを備えている。フォークリフトのフォークに支持されたパレットを上記上部案内体の上方から下降させるとき、上記上部案内体が上記パレットを摺動させて上記下部案内体の内部空間に向けて案内した後、上記下部案内体がその内部空間を下降する上記パレットを摺動させて上記パレット支持台上の所定位置に向けて案内するようになっている。
【実施例】
【0022】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0023】
図において、符号1はパレット積み重ね案内装置である。このパレット積み重ね案内装置1は、不使用時の複数枚のパレット2をコンパクトに収納しようとする場合などに、これらパレット2を整然と揃えて積み重ねることが容易にできるようにするためのものである。なお、説明の便宜上、水平方向の一方向である矢印Frの方向を前方とし、下記する左右とは、この前方に向かっての水平方向をいうものとする。
【0024】
上記パレット積み重ね案内装置1は全体として金属製で、このパレット積み重ね案内装置1は、複数枚のパレット2を積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台4と、このパレット支持台4の平面視(図3)での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体5と、この下部案内体5の延出端部(上端部)の平面視での各部から上方に向かうに従い上記下部案内体5の外側方に向かって延出する上部案内体6とを備えている。
【0025】
上記各パレット2は互いに同形同大とされている。これら各パレット2は平面視で左右に長い長方形状をなす偏平な直方体形状とされている。また、上記各パレット2の厚さ方向の中途部には前後方向に貫通して、フォークリフト8のフォーク9を挿入可能とさせるフォーク挿入孔10が形成されている。具体的には、上記各パレット2は、例えば、長辺が略1400mm、短辺が略1100mm、高さが略150mmである。
【0026】
上記パレット支持台4は、平面視で左右に長い長方形状をなす偏平な直方体形状とされ、地面など作業床面12上に載置される。平面視で、上記パレット支持台4は上記パレット2よりも長辺と短辺とがそれぞれ略10mm大きい相似形状とされる。
【0027】
上記下部案内体5は、上記パレット支持台4の前端部における左右各角部の前面と外側面とから上方に向かって延出する左右一対の前部案内柱14,14と、上記パレット支持台4の後端部における左右各外側面から上方に向かって延出する左右一対の後部案内柱15,15と、上記パレット支持台4の前後方向の中途部における左右各外側面から上方に向かって延出する左右一対の中途部案内柱16,16とを備え、これら各案内柱14〜16は板金製とされている。
【0028】
上記各前部案内柱14の上下方向における各部の横断面形状は、上記パレット支持台4の前端部における左右各角部に沿って延びるL字形状とされている。
【0029】
上記各後部案内柱15の上端部の横断面形状は、上記パレット支持台4の後端部における左右各角部に沿って延びるL字形状とされている。また、上記各後部案内柱15の上端部を除く下部側と、上記各中途部案内柱16とは、それぞれ帯板形状とされ、その断面は、上記パレット支持台4の外側面に沿って延びている。また、上記各後部案内柱15と各中途部案内柱16とをそれぞれ補強して強固に保形する補強パイプ17が設けられ、この補強パイプ17は、上記各後部案内柱15と各中途部案内柱16の外面にそれぞれ接合されている。
【0030】
左右に延び、上記左右前部案内柱14,14の各上端部外面に架設される前部梁20と、それぞれ前後に延び、上記前部案内柱14と後部案内柱15との各上端部外面に架設される左右一対の側部梁21,21とが設けられる。上記前部梁20と各側部梁21とは、上記各案内柱14〜16を、より補強して強固に保形する。
【0031】
前記上部案内体6は、上記前部案内柱14と後部案内柱15との各上端部からそれぞれ一体的に延出する4つの案内板23を有している。これら各案内板23の上下方向における各部の横断面形状はL字形状とされ、いずれも、上方に向かうに従い上記下部案内体5の外側方に向かって延出している。
【0032】
図2〜4において、上記パレット積み重ね案内装置1の後部には、上記パレット支持台4、上記下部案内体5の左右後部案内柱15,15、および上記上部案内体6の後側の左右案内板23,23の間に、上記下部案内体5の内部空間25を後方に向かって連通させる開口26が形成されている。また、この開口26は、上記上部案内体6の後側の左右案内板23,23の間を通して上方に向かって開放されている。
【0033】
図1で示すように、フォークリフト8をパレット積み重ね案内装置1の後方近傍にまで前進させれば、このフォークリフト8のフォーク9は、上記開口26を通し下部案内体5の内部空間25に対し挿入可能であり、図3で示すように、上記フォークリフト8を後進させれば、このフォークリフト8のフォーク9は、上記開口26を通し下部案内体5の内部空間25から離脱可能である。また、上記フォーク9は、上記開口26を通し下部案内体5の内部空間25に挿入したままで、上記パレット積み重ね案内装置1の各部に接触することなく昇降可能とされている。
【0034】
図1,2において、図中実線で示すように、フォークリフト8のフォーク9に対し前後左右に多少移動可能な状態で支持されたパレット2を、上記上部案内体6の上方から上記フォーク9と共に下降させる。すると、図中一点鎖線で示すように、上記上部案内体6の各案内板23が上記パレット2を摺動させ、かつ、この摺動に伴い上記フォーク9の上面を上記パレット2が摺動することにより、このパレット2は上記下部案内体5の内部空間25に向けて案内されるようになっている。
【0035】
上記したように、上部案内体6の各案内板23の案内により、上記パレット2が上記下部案内体5の内部空間25の上端部に達してから、更に、図中二点鎖線で示すように、上記パレット2を上記フォーク9と共に上記下部案内体5の内部空間25を更に下降させる。すると、この下部案内体5の各案内柱14〜16は、上記内部空間25を下降する上記パレット2を摺動させ、かつ、この摺動に伴い上記フォーク9の上面を上記パレット2が摺動することにより、このパレット2は上記パレット支持台4上の所定位置に向けて案内されるようになっている。
【0036】
このため、上記パレット積み重ね案内装置1を用いて、例えば、不使用時の複数枚のパレット2をコンパクトに収納しようとする場合には、まず、上記パレット2をフォークリフト8のフォーク9により前後左右に多少移動可能な状態で支持して、このフォーク9と共に上記パレット2を上記上部案内体6の上方から下降させる。そして、このように下降するパレット2を上記上、下部案内体6,5に対し順次摺動させれば、上記パレット2は上記パレット支持台4上の所定位置に向けて案内される。よって、上記作業を繰り返して、パレット2を次々とパレット支持台4上に載置させれば、図1中実線で示すように、複数枚のパレット2が整然と揃えられて上記パレット支持台4上に積み重ねられる。
【0037】
その後、上記のように積み重ねられたパレット2群のうち、最下段のパレット2のフォーク挿入孔10にフォーク9を挿入し、少し上昇させてパレット2群を支持し、フォークリフト8を後進させれば、図3中三点鎖線で示すように、上記パレット支持台4上に積み重ねられたパレット2群は、上記下部案内体5の内部空間25から開口26を通り水平方向の外部に向かって取り出される。
【0038】
そして、上記したパレット積み重ね案内装置1は、従来の後術のような可動部材を不要として、パレット支持台4、下部案内体5、および上部案内体6の静止部材で足りるため、このパレット積み重ね案内装置1は、構成を簡単にできると共に、その形成が容易にできることとなる。
【0039】
また、前記したように、パレット支持台4上に積み重ねられたパレット2群を下部案内体5の内部空間25から水平方向の外部に向かって取り出し可能にさせる開口26を形成している。
【0040】
このため、前記したように、パレット支持台4上にパレット2群を整然と積み重ねた後、これらパレット2群をフォークリフト8により所望位置に移動させることは、上記したパレット2群の取り出しにより、容易かつ迅速にでき、これは、パレット2の取り扱い上、有益である。
【0041】
また、前記したように、下部案内体5を、パレット支持台4の外縁部に所定間隔で配置される案内柱14〜16で構成している。
【0042】
このため、上記各案内柱14〜16の間の隙間を通して、上記下部案内体5の内部空間25をその外部から容易に見ることができる。よって、上記パレット支持台4上に積み重ねられるパレット2の積み重ね状態や積み重ねの枚数を視認したり、上記下部案内体5の内部空間25からのパレット2群の取り出し状態を視認したりすることが容易にできることから、パレット2の取り扱いの作業性が、より向上して有益である。
【0043】
なお、以上は図示の例によるが、上記中途部案内柱16は無くてもよい。また、上記各案内柱14〜16を角パイプや丸パイプで形成して、補強パイプ17を設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 パレット積み重ね案内装置
2 パレット
4 パレット支持台
5 下部案内体
6 上部案内体
8 フォークリフト
9 フォーク
12 作業床面
25 内部空間
26 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパレットを積み重ねて載置可能とさせるパレット支持台と、このパレット支持台の平面視での外縁部の各部から鉛直方向の上方に向かって延出する下部案内体と、この下部案内体の延出端部の平面視での各部から上方に向かうに従い上記下部案内体の外側方に向かって延出する上部案内体とを備え、フォークリフトのフォークに支持されたパレットを上記上部案内体の上方から下降させるとき、上記上部案内体が上記パレットを摺動させて上記下部案内体の内部空間に向けて案内した後、上記下部案内体がその内部空間を下降する上記パレットを摺動させて上記パレット支持台上の所定位置に向けて案内するようにしたことを特徴とするパレット積み重ね案内装置。
【請求項2】
上記パレット支持台上に積み重ねられたパレット群を上記下部案内体の内部空間から水平方向の外部に向かって取り出し可能にさせる開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載のパレット積み重ね案内装置。
【請求項3】
上記下部案内体を、上記パレット支持台の外縁部に所定間隔で配置される案内柱で構成したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のパレット積み重ね案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−218757(P2012−218757A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84607(P2011−84607)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【特許番号】特許第4837136号(P4837136)
【特許公報発行日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(510284532)大阪コンテナーサービス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】