説明

パレット解体装置

【課題】フォークリフトによる荷役作業において繰り返し使用される、木質系の桁と板を締結具により固定した荷物運搬用パレットの一部又は全部を迅速に分離解体するパレット解体装置を提供することにある。
【解決手段】同じ長さの複数の桁を平行に配置し、桁の上面及び下面に桁と直交するように複数の上板及び下板を配置したパレットにおいて、上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、配置された上板の間から露出する桁の上面に当接する当接体と、棒状体を押し上げる駆動機構とを有し、当接体で桁の上面を係止しながら、棒状体でパレットの上側に配された板を押し上げて、板と桁を分離することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトによる荷役作業において繰り返し使用される、主として木質系の桁と板を締結具により固定した荷物運搬用パレットの一部又は全部を解体する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物運搬用パレット(以下、パレットと呼ぶ)は、フォークリフトのフォーク爪との接触などによりパレットの板の一部や、この板と直交するよう配される桁が破損しても、破損した箇所の板や桁を交換すればもとどおり使用することができる。
例えば、板が破損した場合には、パレットの板と桁を締結する釘を引き抜いて、破損した板を外し、新規の板に交換して再び釘で固定する。
しかしながら、人力で板を剥がす場合、パレットの隣接する板の隙間に釘抜きバールを入れ、引き剥がそうとする板の隣の板の端部を支点とし梃子の原理を利用して板をえぐり上げて板を桁から分離していた。この方法では、釘が抜けずに桁に残るだけでなく、引き剥がそうとする板が割れることが多く、また、パレットの桁が破損した場合には、破損した桁に係る全ての釘を引き抜く必要があった。従って、補修の場合も、板や桁の再利用を考えた場合も、パレットの解体に多大な労力を要し、再生可能な板や桁が含まれるパレットであっても破砕機等により木屑と金属屑に粉砕され、利用価値の低い人造木材等の原料や燃料等に供されていた。
【0003】
他方、パレットの板と桁との接合面に鋸を入れ、板と桁を締結する釘を切断して解体する装置も考案されたが、鋸の歯の損耗が激しい上、解体後の桁や板の中に切断された釘が残存したり、板や桁の接合面も鋸で切削されるため、再利用後の商品価値が下がるという課題があった。
【0004】
このような課題に対処するため、いくつかの発明及び考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「パネル解体装置」という名称でコンクリート建築の際に使用されるコンクリート用型枠において、型枠材料として用いられるパネルを解体する装置に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示された「パネル解体装置」は、パネルに釘打ちされた桟木を人力に依ることなく、自動的に引き抜くことができるものであり、その構成は、「前後左右に直立支柱を設け、これらの支柱を前後左右の横桟で連結して略門形の支持枠体を形成し、この支持枠体に左右に水平移動可能なクランプ本体を支持させ、該クランプ本体に油圧シリンダA,Bによって下方に押圧作動するパネル押圧杆A,Bと、パネルに付設されている桟木をクランプしてパネル押圧杆A,Bの押圧力に抗して上方に引抜き解体するための同じく油圧シリンダによって上方に引張作動する解体用クランプ腕と」からなるものである。
一般に、型枠材料として用いられるパネルは、合板等の平面材に、桟木等の角材を釘等で等間隔に打ち付けたものである。当該考案に係る「パネル解体装置」は、当該装置の架台に桟木が打ち付けられた面が上となるようパネルを載置し、次いで、桟木の両脇をクランプしながら桟木の両側面を解体用クランプ腕で挟持して引き上げることで桟木を引き抜くものである。
この「パネル解体装置」によれば、人力に依ることなく桟木と合板を解体できる。また、桟木は釘が打ち付けられた方向と平行な方向に引き上げられるため、釘抜きバール等を用いて梃子の原理により桟木を引き剥がす場合に比べ、桟木や合板の損傷を少なくすることができる。よって、桟木や合板のリサイクル率が向上する。
また、本考案はパネルの桟木と合板を解体するよう構成されたものであるが、前処理としてパレットの上面又は下面の板を予め剥がしておくことで、パレットの桁と板の解体にも原理的には利用することができる。
【0005】
特許文献2には、「型枠解体機」という名称で、建築現場等で使用される型枠パネルの釘抜き,ノロ取りを備えた型枠解体機に関する発明が開示されている。
本発明も、特許文献1の考案と同様に、合板等の平面材に、桟木等の角材を釘等で等間隔に打ちつけた型枠パネルの解体を行うものであり、その構成は、「型枠パネルの搬入口と搬出口とを各々前後に有するフレームと、型枠パネルを前記搬入口側から前記搬出口側まで搬送する搬送機構と、桟木と合板との間に間隙を形成する間隙形成機構と、合板を桟木側に押圧し釘頭部を突出させる押圧機構と、突出された釘頭部を引き抜く釘抜き機構と、を備えた構成を」有するものである。
当該発明に係る「型枠解体機」は、まず、型枠パネルを搬入口へ投入する前に、前処理として、型枠パネルの短手方向両端に位置する桟木を人力にて除去する必要がある。この処理の後、「型枠解体機」の搬入口に桟木が上側に位置するように型枠パネルを水平に搬入すると、まず、ケレン機構においてエンドミルが型枠パネルの両側面に当接して、この部分に付着するノロを削除する。
次いで、搬入側間隙形成機構において、桟木を駆動ローラと従動ローラとにより挟持したまま、合板にハンマ部Aにより上方から下方への打撃を加えると、この打撃により合板が下方に移動し、桟木と合板の間に間隙を形成することができる。さらに、この間隙にクサビ部を押入することで間隙が拡開される。この後、搬出側間隙形成機構において、拡開ベアリングで合板の上面を下方に向って押圧して、合板自体の弾性力で合板が桟木側へ戻るのを防止しながら、ハンマ部Bで再度合板に打撃を加え、先に形成された間隙を拡開する。この時、合板の下面には釘頭部が係止しており、合板が下方へ移動するのに伴い、釘頭部も下方に移動する。これにより、釘は桟木から拡開した隙間分引き抜かれた状態となる。
続いて、押圧機構において、合板支持ローラで合板を下方から上方に向って押圧すると、合板が徐々に上方へ移動する。この時、傾斜搬送機構の駆動テーパローラと従動テーパローラにより合板から浮き上がった状態の桟木が左右に傾斜させられる(捩じられる)ので、釘が桟木の釘孔に戻ることなく合板のみが桟木側に押戻され、釘の釘頂部が合板の下面に浮き上がった状態となる。
最後に、釘抜き機構において、合板の下面に浮き上がった状態の釘の釘頭部位置が赤外線センサにより検知されると、バールシリンダが作動し、バール部によって釘が引き抜かれ、搬送機構により搬出口まで運ばれて型枠パネルの解体が終了する。
この「型枠解体機」によれば、人力に依ることなく型枠パネルを解体でき、桟木、合板、釘のそれぞれの部材に分離されることで、これらの部材の再利用が促進される。
また、特許文献1の考案と同様に、前処理としてパレットの上面又は下面の板を予め剥がしておくことで、パレットの桁と板の解体にも原理的には利用することができる。
【0006】
【特許文献1】実開平6−71765号公報
【特許文献2】特開2001−20521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されるような従来の「パネル解体装置」をパレットの解体に利用しようとした場合、当該装置に搬入する前に、前処理としてパレットの上面又は下面の板を予め剥がしておく必要があり、煩雑であった。また、この時、パレットの上面又は下面の板を予め剥がすためには釘抜きバール等を用いて梃子の原理を利用して板を剥がす必要があり、リサイクル可能な板や桁をも破損する恐れがあった。
また、パレットの場合、型枠パネルとは異なり板が厚く、桁が太いので、板と桁の接合には、釘1本あたりの保持力が1000〜4000N程度の比較的長くて太い釘が用いられている。このため桁をクランプする場合には、強力なクランプ力を有する装置が必要となり、装置自体が大型で高価になるという課題があった。
さらに、従来の「パネル解体装置」をパレットの解体に利用した場合、上板又は下板をクランプしながら桁を1本1本引き抜くため、作業能率が向上し難いという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明においても、特許文献1に開示された考案と同様に「型枠解体機」をパレットの解体に利用しようとした場合、パレットを搬入口へ搬入する前に、前処理としてパレットの上面又は下面の板を予め剥がしておく必要があり、煩雑であった。
また、特許文献1において説明したとおり、パレットの場合、型枠パネルと異なり、板及び桁が太いので、板と桁の接合には、釘1本あたりの保持力が1000〜4000N程度の比較的長くて太い釘が用いられている。このため桁をクランプする場合には、強力なクランプ力を有する装置が必要となり、装置自体が大型で高価になるという課題があった。
すなわち、従来の「型枠解体機」は、パレット解体に係る工程が複雑であり、装置自体が大型、高価になる反面、上述のような前処理が必要であることから費用対効果の面で課題もあった。
加えて、ハンマ部A,Bで上板又は下板に釘が少し抜けて板と桁の間隙を形成するほどの局部的な打撃を加えると、板が木目に沿って割れて破損するおそれもあった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、その目的は、パレットを構成する桁と板を少ない労力で、損傷を少なく迅速に分離解体するパレット解体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるパレット解体装置は、同じ長さの複数の桁を平行に配置し、この桁の上面及び下面に桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、パレットの上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、配置された上板の間から露出する桁の上面に当接する当接体と、この当接体を所望の高さに固定する固設機構と、棒状体を押し上げる駆動機構とを備えるものである。
なお、請求項1及び請求項2に記載される上、下の表現は重力方向に関して定義している。
上記構成のパレット解体装置において、駆動機構は棒状体を作動するという作用を有する。また、棒状体は上板の下面に当接し、パレットを押し上げるという作用を有する。さらに、当接体は上昇する桁の上面に当接し、桁が引き上げられるのを妨げるという作用を有する。
【0011】
また、請求項2記載の発明であるパレット解体装置は、同じ長さの複数の桁を平行に配置し、この桁の上面及び下面に桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、パレットの上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、配置された上板の間から露出する桁の上面に当接する当接体と、棒状体を所望の高さに固定する固設機構と、当接体を押し下げる駆動機構とを備えるものである。
上記構成のパレット解体装置において、駆動機構は当接体を作動するという作用を有する。また、当接体は、解体するために配置されたパレットの上板の間から露出する桁の上面に当接してパレットを押し下げるという作用を有する。さらに、棒状体は下降する上板の下面に当接して、上板の下降を妨げるという作用を有する。
【0012】
請求項3記載の発明であるパレット解体装置は、同じ長さの複数の桁を平行に配置し、桁の上面及び下面に桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、このパレットの上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、配置された上板の間から露出する桁の上面に当接する第1の当接体と、下板の間隙から露出する桁の下面に当接する第2の当接体と、棒状体のうち少なくとも1の棒状体を押し上げる第1の駆動機構と、第1の当接体を押し下げる第2の駆動機構と、棒状体のうち第1の駆動機構によって押し上げられる棒状体以外の少なくとも1の棒状体を押し下げる第3の駆動機構と、第2の当接体を押し上げる第4の駆動機構とを有するものである。
なお、請求項3乃至請求項6に記載される上、下の表現は、請求項1及び請求項2の場合と同様に、構成要素同士の位置関係を説明するために、重力方向上向き,重力方向下向きと定義したが、請求項3及び請求項3を引用する発明においてはこの上、下を左、右に読み替えても良い。
上記構成のパレット解体装置において、第1の駆動機構は棒状体のうちの少なくとも1を作動する、第2の駆動機構は第1の当接体を作動する、第3の駆動機構は第1の駆動機構により作動されない棒状体のうちの少なくとも1を作動する、第4の駆動機構は第2の当接体を作動するという作用を有する。また、第1の当接体は、配置された上板の間から露出する桁の上面に当接し、桁を上方から押圧するという作用を有し、第2の当接体は、配置された下板の間から露出する桁の下面に当接し、桁を下方から押圧するという作用を有する。さらに、少なくとも1の棒状体は、上板の下面に当接して上板を押し上げるという作用を有し、上板を押し上げる棒状体以外の少なくとも1の棒状体は、下板の上面に当接して下板を押し下げるという作用を有する。
【0013】
また、請求項4記載の発明であるパレット解体装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパレット解体装置において棒状体は、この棒状体の少なくとも上面又は下面の一部を被覆し着脱又はスライド可能に設けられる部分抜き用ブロックを有するものである。
上記構成のパレット解体装置において、部分抜き用ブロックは交換しようとする或いは再利用可能な上板又は下板に選択的に当接し、桁から引き剥がす方向へ押圧するという作用を有する。
【0014】
請求項5記載の発明であるパレット解体装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパレット解体装置において、当接体及び第1の当接体及び第2の当接体は、上板又は下板の間隙から露出する桁の上面又は下面に当接する当接部と、この当接体の上端部又は下端部を連結する当接部保持部とを有するものである。
上記構成のパレット解体装置において、当接体及び第1の当接体及び第2の当接体の当接部は、上板又は下板の隙間から露出する桁の上面又は下面に当接し、桁を押圧するという作用を有する
【0015】
また、請求項6記載の発明であるパレット解体装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパレット解体装置において、当接体及び第1の当接体及び第2の当接体は、孔を有するブロック体と、この孔に挿通されブロック体をスライド又は着脱可能に保持する連結棒とを有するものである。
上記構成のパレット解体装置において、ブロック体は上板又は下板の隙間から露出する桁の上面又は下面に当接し桁を押圧するという作用を有する。また、連結棒はブロック体をスライド可能又は着脱可能に連結保持するという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の請求項1及び請求項2に記載のパレット解体装置においては、パレットを構成する全ての上板を桁から一時に分離することができる。さらに、上板が分離されて半解体状態となったパレットの上下を反転させて再度解体処理を行うことで、桁から全ての下板を一時に分離することができる。
このように、本発明に係るパレット解体装置を用いると、パレットを板と桁に完全に解体することができるので、損傷の程度が低い板や桁の回収が容易となる。このため、パレット解体に係る労力と時間を節減でき、また、解体時の上板や下板の損傷を防止して、板や桁の再利用を促進することが可能である。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のパレット解体装置においては、パレットの全ての上板及び下板を一時に桁から分離できるので、パレット解体に係る労力と時間を節減できる。また、解体時の上板や下板の損傷を防止し、板や桁の再利用を促進することが可能である。
【0018】
本発明の請求項4に記載のパレット解体装置においては、補修のため交換しようとする、或いは再利用したい上板又は下板の少なくとも1つの板を選択的に桁から分離することができ、上板又は下板の交換が簡便となる。このため、廃棄パレットを削減できる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載のパレット解体装置においては、規格の統一されたパレットを大量に解体する場合に、パレット解体装置の構成を簡略化でき、製造コストを削減できる。また、当接部の間隔がずれる心配がなくメンテナンスの手間が省ける。
【0020】
本発明の請求項6に記載のパレット解体装置においては、規格の異なるパレットを解体する場合に、パレットの上板又は下板の板幅に合わせてブロック体の間隔を調整することが可能であり、また、桁同士の間隔が異なるパレットを解体する場合には連結棒の同士の間隔を調整することが可能であるため、パレット解体装置の汎用性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[1] 以下に、本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の構成と作用について図1乃至図4を参照しながら説明する。(特に、請求項1、請求項5及び請求項6に対応)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の外形図である。
また、図2(a)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の平面図であり、(b)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の側面図であり、(c)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の変形例に係る側面図である。さらに、図3は、本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図である。
なお、図2及び図3中の符号Mで指し示す方向は、図1中の符号Mで指し示す方向と一致する。
図1に示されるようにパレット解体装置1aは、架台18a〜18c上に解体しようとするパレットをスライド搬入搬出可能にする複数のローラ19が並設され、架台18bの側部には、支柱17a〜17dが設けられ、これらの支柱の頂部を結ぶ架材25が配されている。なお、このローラ19の代わりにコンベアベルトやコンベアチェーンなどを用いてもよいことはいうまでもない。この架材25の内側には、図1中の符号Pで示される方向と平行に当接体8a1として、パレットの桁と例えば同数のブロック体連結棒10と、図示しないが天板が設けられている。なお、ブロック体連結棒10にはパレットの上板の隙間の数と例えば同数のブロック体9a1が挿着され、棒状体7a1が押し上げられると、この上側にブロック体9a1上端部が当接するように天板が覆設されている。
実際にパレットを解体する場合は、図1中の符号Mで示される方向からパレットを架材25と図示しない天板の真下に挿入して解体操作を行う。
【0022】
また、パレット解体装置1aの端部に配置される架台18d上には、押圧板15a,15bを介して油圧装置14a1,14b1により押し上げられる複数の棒状体7a1が図中の符号Pで示される方向と平行に載置され、この棒状体7a1はパレット2の2本の桁5の間に進入し、棒状体7a1の作動により上板が桁から引き剥がされるのである。
なお、本実施の形態において、油圧装置14a1,14b1は、油圧により駆動されるため、油圧用のパイプ20と図示しないが油圧ポンプと制御盤を具備している。
さらに、複数の棒状体7a1は棒状体連結棒13により一定間隔を保ちながら連結され、支柱17b,17cの 側部及び架台18cの端部には、油圧装置がリセットされた際に棒状体7a1を水平にかつ所定の高さに支持するための可動式で上下に設置位置の調節が可能な支持板16a,16bが設けられている。さらに、やはり複数の棒状体7a1を水平に保持する目的で、棒状体7a1の架台18d側の端部にカウンターバランス12が吊設されている。また、架台18dの上面には、棒状体7a1の昇降を繰り返した際に、棒状体7a1が図中の符号Pで示される方向に移動しないようストッパ21が設けられている。
【0023】
次に、パレット解体装置1aに、図1中の符号Mで示される方向からパレット2を搬入した場合のパレット解体装置1aとパレット2の配置について図2(a),(b)を参照しながら説明する。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2(a)及び(b)に示されるように、同じ長さの複数の桁5を平行に配置し、この桁5の上面及び下面に桁5と直交するような複数の上板3及び下板4を等間隔に配置して釘6で固定したパレット2を、符号Mで示される方向から天板11a1の下部に挿入すると、棒状体7a1がパレット2の上板3と下板4及び桁5により形成される空間26から進入し、パレット2は棒状体7a1により串刺しにされたような状態となる。この時、図2(b)に示されるように、ブロック体9a1は上板3の隙間から露出する桁5の上面の真上に配置され、パレット2が上方に押し上げられた際、上板3の隙間から露出する桁5の上面に当接する。また、ブロック体9a1はブロック体連結棒10により連結され、このブロック体9a1上には天板11a1が覆設されている。このため、ブロック体9a1の下面を押し上げるように力が作用した場合、ブロック体9a1の上部が天板11a1に当接しその力が天板11a1へと分散されるのである。
なお、このブロック体9a1はブロック体連結棒10上をスライドあるいは着脱可能であるため、ブロック体9a1同士の間隔を調整することで、上板3の板幅の異なるパレットの解体も可能である。同様に、ブロック体連結棒10同士の間隔も調節可能であるため、桁5の配置間隔が異なるパレットの解体も可能である。
また、パレット解体装置1aを使用する場合、必ずしも当接体8a1を図1に示す架材25に設置して使用する必要はなく、例えば、架材25に天板11a1のみを設置し、当接体8a1又はブロック体9a1をパレット2の上板3の隙間に嵌合するよう桁5の上面に予め載置しておき、パレット2ごと天板11a1の真下に挿入して解体処理を行っても良い。このように当接体8a1又はブロック体9a1を用いることでパレット2の形状サイズが変わっても、解体処理時に都度パレット2の挿入位置を調整する必要がなく、作業効率を改善することができる。
そして、図3に示されるように、空間26へ挿入された棒状体7a1が図中の符号Sで示される方向に油圧装置14a1,14b1(図2(b)に示される)により押し上げられると、当接体8a1により桁5の上昇が妨げられる一方、棒状体7a1により上板3が押し上げられて、釘6が係止する上板3が桁5から分離するのである。この時、上板3は桁5上に浮き上がるように載った状態で半解体される。その後、油圧装置14a1,14b1をリセットして解体処理前の位置に戻し、搬送ローラ19により半解体されたパレット2を引き出すことができる。
なお、当接体8a1又はブロック体9a1のみをパレット2の上板3の隙間から露出する桁5の上面に載置し、この後、パレット2を天板11a1の真下に挿入して解体処理を行った場合、当接体8a1又はブロック体9a1は、半解体状態のパレット2の桁5の上に載った状態でパレット2と一緒に天板11a1の下側から引き出されるのである。
【0024】
本実施の形態に係るパレット解体装置1aでは、棒状体7a1が4本である場合を例に挙げて説明したが、棒状体7a1の本数やパレット2への挿入位置は、
は図1乃至図3に示される場合に限定されるものではなく、解体しようとするパレット2の形状に応じて適宜変更されて良い。つまり、棒状体7a1のうちの少なくとも1つが図3中に示される空間27へ挿入されても良い。
また、棒状体7a1は、少なくとも棒状体7a1の上面がパレット2に配置されるすべての上板3の少なくとも一部に当接するような長さを有すればよいが、本実施の形態に係る棒状体7a1は、パレット2のフォーク爪挿入空間26を貫通してパレット2の一端の上板3aから他端の上板3eまでの全ての上板3の下面に当接し、さらに、上板3a,3eの端部からパレット2の外側に向って棒状体7a1がそれぞれ突出するよう構成されている。このように、本実施の形態に係る棒状体7a1を構成することで、この棒状体7a1の下面は、押圧板15a及び油圧装置14a1のみならず、パレット2から突出した側でも押圧板15b及び油圧装置14b1を介して押し上げられるので、より安定に駆動することができるのである。
さらに、棒状体7a1の断面形状は図1乃至図3に示されるような方形に限定されるものではなく、空間26又は空間27の垂直方向における断面形状よりも小さく、空間26又は空間27に挿入可能であり、また、十分な強度を有するよう構成されるものであればその断面形状は問題としない。例えば棒状体7a1は、平板状でもよい。
また、ブロック体9a1についても、必ずしも露出する桁5の上面全てに当接するよう設ける必要はない。つまり、棒状体7a1が押し上げられた際、桁5が水平に保持されればその挿着数は問題としない。
さらに、本実施の形態においてはブロック体連結棒10を桁5の真上に桁5と平行に配置するとしたが、ブロック体9a1の配置を変えず、桁5とブロック体連結棒10が直交するように、即ち、上板3と平行に配置しても良い。このように構成することにより、桁5の本数より上板3又は下板4の枚数が少ない場合に、ブロック体連結棒10の本数を少なくでき、パレット解体装置1aの構成部材を少なくできる。
また、本実施の形態においては、当接体8a1と天板11a1を別体に構成したが、必ずしも別体に構成しなくともよい。例えば、図2(c)に示されるパレット解体装置1cように、天板11a1とブロック体9a1を一体に構成した天板当接体34を天板11a1と当接体8a1の代わりに用いても良い。このように天板とブロック体を一体に構成した天板当接体34を、図1中の架材25に着脱可能に設置して使用してもよい。
このような天板当接体34を、規格の異なるパレット毎に予め準備することによれば、複数台のパレット解体装置1aにより規格の異なるパレットを大量に解体する場合に、ブロック体9a1とブロック体連結棒10からなる当接体8a1のブロック体9a1同士の間隔を都度変更する手間が省け、作業効率が上がる。
なお、ブロック体9a1の形状の詳細については後述する。
【0025】
次に、パレット解体装置1aを用いてパレット2を解体する工程について図4を用いてさらに詳しく説明する。
図4(a)〜(c)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット解体工程を示す断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、図中の符号Mで示される方向から当接体8a1の下部に、パレット2を挿入すると、図4(a)に示されるように、パレット2は棒状体7a1により串刺しにされたような状態となる。このとき、棒状体7a1の上面と、パレット2の上板3の下面は当接していない。
次に、油圧装置14a1,14b1を駆動して図中の符号Sで示される方向へ棒状体7a1を押し上げると、棒状体7a1の上面と上板3の下面が当接し、パレット2は棒状体7a1に係止されて上昇する。さらに、棒状体7a1を押し上げると、図4(b)に示されるように、ブロック体9a1の下端が上板3の隙間へと進入し、露出する桁5の上面に当接する。
棒状体7a1をさらに押し上げると、棒状体7a1によって上板3が押し上げられる一方、ブロック体9a1により桁5の上昇が妨げられる。つまり、桁5を押し下げるように力が作用し、図4(c)に示されるように、釘6が係止した上板3が桁5から分離するのである。
なお、半解体されたパレット2は、上下を反転させて図4中の符号Mで示される方向から、当接体8a1の下部に再度挿入し、図4(a)〜(c)に示される工程を繰り返すと、釘6の係止した板が全て桁5から分離され、解体処理は終了する。
このように、パレット解体装置1aによれば、複雑な装置や工程を経ることなく迅速にパレットを板と桁とに解体することができる。また解体時、釘6の挿入方向と平行な方向に板と桁とを引き剥がすような力が作用するので、板や桁を損傷する心配がない。このため、パレットを構成する板や桁の再利用率が高まる。
【0026】
[2] 次に、本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置に係る棒状体、ブロック体及び当接体の変形例について図5乃至図6を参照しながら説明する。
(1)まず、棒状体の変形例について図5を参照しながら説明する
図5は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の棒状体の変形例を示す部分図である。
図1乃至図4において棒状体7a1は、角柱状としたが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。例えば、図5に示されるようなH型鋼を断面が略Iの字を成すように配置して用いても良い。このようにH型鋼を棒状体7a2として用いた場合、パレット解体装置を構成する部品の調達が容易となり、安価で強度も優れたものとなる。
【0027】
(2)次に、ブロック体とその変形例について図6を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係るブロック体9a1の形状について説明する。 図6(a)は本発明の第1の実施の形態に係るブロック体の外形図であり、図6(b)はブロック体の変形例の外形図である。
図6(a)に示されるようにブロック体9a1は、上部に孔23が穿設された直方体の鋼鉄製ブロックからなり、この複数のブロック体9a1は図示しないが、孔23を挿通するブロック体連結棒10により連結されている。
このブロック体9a1に係る符号A1の寸法は、ブロック体9a1を上板3の隙間から露出する桁5の上面に当接させる際、ブロック体9a1が上板3に接触しないよう上板3同士の隙間の幅よりもやや小さく設定することが好ましく、実際には上板3とブロック体9a1の間に1〜2mmの隙間ができるよう構成すればよい。
他方、ブロック体9a1の下面で桁5の上面を押圧する際、桁にかかる単位面積当たりの圧力を最小にして桁5の損傷を少なくするために、また、棒状体7a1で上板3の下面を押し上げる際、ブロック体9a1と棒状体7a1の接触を回避するためには、ブロック体9a1の下面の形状と、露出する桁5の上面の形状が一致することが望ましい。従って、ブロック体9a1に係る符号B1の寸法は、桁5の幅を超えないように、桁5の幅と略同一に構成することが好ましい。
また、図6(a)中の符号C1の寸法は上板3及び下板4を構成する厚板の厚さと釘抜きストローク寸法の合計であり、この寸法C1を釘の長さよりも長くすると、上板3又は下板4を桁5から完全に分離することができる。他方、寸法C1を釘の長さよりも短くすると、上板3又は下板4は桁5と完全に分離されず、桁5上に浮き上がった状態で板面がブロック体連結棒10と接触して止まる。このように、図中の符号C1の寸法は作業の目的に応じて適宜変更されてよい。
なお、以下に説明するブロック体変形例及び当接体の変形例に係るA2〜A4,B2〜B4,C2〜C4についてもA1,B1,C1の場合と同様に設定されることが好ましい。
【0028】
次に、ブロック体9a1の変形例であるブロック体9a2について説明する。
図6(b)に示されるようにブロック体9a2は、天板当接部30と上方に孔23を有する桁当接部31からなり、複数ブロック体9a2は孔23を挿通するブロック体連結棒10により連結されている。ブロック体9a2はブロック体9a1に比べ天板との接触面積が広く、桁5から伝達される圧力を天板へ分散することができ、天板の変形を小さくすることができる。また、天板の駆動によりブロック体9a2の上面が押圧される場合も、天板の変形を小さくしつつ力を桁当接部31へと伝達することができる。
【0029】
(3)最後に、当接体の変形例について図7を参照しながら説明する。
図7(a),(b)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の当接体の変形例を示す外形図である。
図7(a),(b)に示される、部分当接体33a,33bは、当接体8a1のブロック体連結棒10とブロック体9a1からなる部分と同作用を有し、ブロック体連結棒10により連結されたブロック体9a1がスライドあるいは着脱可能であるのに対し、部分当接体33a,33bは、ブロック体9a1に相当する当接部29a,29bがブロック体連結棒10に相当する当接部支持部28a,28bと一体に構成されるためスライドもできず、また、取外せないものである。
【0030】
図7(a),(b)に示されるように、部分当接体33a,33bは、それぞれ当接部29a,29bと、当接部支持部28,28bにより構成され、この当接部29a,29bの下面は露出する桁の上面に当接し、当接部支持部28a,28bの上面は天板の下面に当接する。
部分当接体33aは桁5の真上に設置されるため、図7(a)中の符号L1を上板3の幅よりもやや大きくすることで上板3への接触を防止できる。また、部分当接体33bは、上板3又は下板4の隙間の真上に、上板3又は下板4と平行に配置される。このため、図7(b)中の符号L2を桁5の側面を結ぶ距離と略一致するよう構成することで桁5の上面を確実に押圧できる。
なお、図7(a),(b)中の符号A3〜A4,B3〜B4,C3〜C4はそれぞれ、図6(a),(b)中の符号A1で示される上板3又は下板4の隙間の幅、符号B1で示される桁幅,符号C1で示される厚板と釘抜きストローク寸法の合計に対応している。従って、これらと同様に設定されることが好ましい。
このように部分当接体33a,33bを構成することによれば、規格が統一されたパレットを大量に解体する場合に便利である。
【0031】
以下に、本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置の構成と作用について図8乃至図10を参照しながら説明する。(特に、請求項4に対応)
本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置は、第1の実施の形態に係るパレット解体装置の棒状体に装着溝を設け、この装着溝に部分抜き用ブロックを装着することでパレットの部分解体を可能にするものである。
【0032】
[1] まず、本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置に部分抜き用ブロックを装着した場合の構成を図8及び図9を参照しながら説明する。
図8(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置において棒状体に部分抜き用ブロックを装着した場合の外形図であり、(b)は図8(a)におけるQ−Q線矢視断面図である。(c)本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置において棒状体に部分抜き用ブロックの変形例を装着した場合の断面図である。
図8(a),(b)に示されるように、パレット解体装置1b1に係る棒状体7b1の側面には、部分抜き用ブロック22aを装着するための装着溝32aが凹状に形成され、この装着溝32aに部分抜き用ブロック22aがスライド可能に勘合する。実際の使用時には、交換又は再利用しようとする上板3の真下に部分抜き用ブロック22aをスライドさせて使用する。なお、棒状体7b1の端部に部分抜き用ブロック22aをスライドさせると着脱が可能となる。部分抜き用ブロック22aを装着しない場合は、パレット解体装置1aと同様にパレット全体の解体に供することができる。また、棒状体7b1の端部に部分抜き用ブロック22aをスライドさせなくとも、例えば部分抜き用ブロック22aを硬質のゴムで構成するなどして着脱可能としてもよい。
【0033】
なお、交換又は再利用しようとする上板又は下板のみを確実に分離するため、図8(a)〜(c)中の符号D1で示される部分抜き用ブロック22a幅は、上板3の板幅と略一致することが好ましい。また、図中の寸法C5は、常に桁5の高さに影響され、つまり、棒状体7b1の高さと寸法C5を足し合わせた値が常に桁5の高さよりも小さくなる必要があるが、略釘6の長さから厚板の厚さを差し引いた寸法となるよう設定されている。また、これよりも小さく設定する場合は、上板3又は下板4の剥離を確実にするために、少なくとも上板3又は下板4を構成する厚板の厚さよりも寸法C5を大きくする必要がある。
また、棒状体7b1と部分抜き用ブロック22bの嵌合部分は、図8(c)に示されるように、棒状体7b2の上面に向って広がるよう構成してもよい。このように、構成することで、棒状体7b2の上面面積減少させることなく、棒状体7b2との嵌合部の加工を容易にできる。
【0034】
次に、棒状体としてH型鋼を使用した場合の部分抜き用ブロックの取付け構造について図9を参照しながら説明する。
図9(a)はH型鋼を使用した棒状体に部分抜き用ブロックを装着した場合の外形図であり、(b)は図9(a)におけるR−R線矢視断面図である。
パレット解体装置1b2に係る部分抜き用ブロック22cは、部分抜き用ブロック22a,22bと同じ作用及び効果を有するものであり、その構成は、図9(a),(b)に示されるように、部分抜き用ブロック22cは棒状体7b3の上面にスライド可能に設けられ、棒状体7b3の端部にスライドすると部分抜き用ブロック22cの着脱が可能となる。
また、図中の符号D2及びC6は、部分抜き用ブロック22a,22bにおけるD1及びC5と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0035】
ここで、パレット解体装置1b1に装着される、部分抜き用ブロック22aの数について説明を加える。
部分抜き用ブロック22aは、パレット解体装置1b1の全ての棒状体7b1に装着することが可能であるが、必ずしも交換又は再利用しようする上板3の真下に位置する棒状体7b1の全てに部分抜き用ブロック22aを装着する必要はない。つまり、交換しようとする上板3が棒状体7b1により押し上げられる際、この上板3が水平となるように保持されればよく、装着される部分抜き用ブロック22aの数や位置は問題としない。
さらに、交換又は再利用しようとする上板3が複数の場合には、交換又は再利用しようとする全ての上板3の真下に、上板3が水平に支持されるよう部分抜き用ブロック22aを配置することで、交換又は再利用しようとする全ての上板3を1回の解体操作で桁5から分離できる。
なお、パレット解体装置1b2に装着される部分抜き用ブロック22cの数についても同上の理由により、目的に応じて適宜変更されて良い。
このように、部分抜き用ブロック22a〜22cを装着することで、パレット解体装置をパレットの部分解体にも利用することができる。この結果、パレットのリサイクル率を向上でき、廃棄パレットを削減できる。
【0036】
なお、本実施の形態において部分抜き用ブロック22a〜22cは、スライドにより着脱可能としたが、部分抜き用ブロック22a〜22cの移動や着脱を必ずしもスライドで行う必要はなく、例えば洗濯バサミのような挟持具のように、把持部と弾性体を用いて棒状体7b1,7b2を挟持するよう構成したり、例えばゴムなどの弾性体によって棒状体7b1,7b2を挟持するよう構成してもよく、これらによって着脱可能としてもよい。つまり、部分抜き用ブロック22a〜22cは、棒状体7b1,7b2上に着脱及び移動可能に装着され、押圧された際に十分な強度を有するものであればその形態は問題としない。
【0037】
[2] 次に、部分抜き用ブロックを装着した本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置を用いて、上板の1枚を分離する工程について図10を参照しながら説明する。
図10(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット部分解体工程を示す断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。またここでは、図10(a)〜(c)に示されるパレット2の上板24を分離する工程について説明する。
まず、部分抜き用ブロック22aを棒状体7b1に装着し、パレット2を当接体8a1の下部に挿入した際、部分抜き用ブロック22aが上板24の真下に位置するようスライドさせる。
そして、図10(a)に示されるように、図中の符号Mで示される方向から当接体8a1の下部にパレット2を挿入する。このとき、棒状体7b1に装着される部分抜き用ブロック22aの上面と、上板24の下面は当接していない。
次に、油圧装置14a1,14b1を駆動して図中の符号Sで示される方向へ複数の棒状体7b1を押し上げると、まず、棒状体7b1に装着される部分抜き用ブロック22aの上面が上板24の下面に当接する。そして、パレット2が棒状体7b1に係止されて上昇する。さらに、棒状体7b1を押し上げると、図10(b)に示されるように、当接体8a1に係るブロック体9a1の下端が上板3の隙間に進入し、桁5の上面に当接する。
引き続き、さらに棒状体7b1を押し上げると、上板24のみが部分抜き用ブロック22aにより押し上げられる一方、桁5の上昇はブロック体9a1によりの妨げられる。この結果、桁5を押し下げるように力が作用し、図10(c)に示されるように、釘6の係止した上板24のみがパレット2から分離するのである。
【0038】
以下に、本発明の第3の実施の形態に係るパレット解体装置の構成と作用について図11を参照しながら説明する。(特に、請求項2に対応)
図11(a)〜(c)は本発明の第3の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット解体工程を示す断面図である。なお、図1乃至図10に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本発明の第3の実施の形態に係るパレット解体装置1dは、第1及び第2の実施の形態に係るパレット解体装置と同様に、棒状体7a1は油圧装置14a1,14b1で駆動されるものの、実質的には棒状体7a1の上方に配置される当接体8a1を油圧装置14c1,14d1で駆動して押し下げることでパレット2の上板3を桁5から分離するものである。
次に、図11(a)〜(c)を参照しながら、パレット解体装置1dにより、パレット2の上板3が分離される工程について説明する。
【0039】
図11(a)に示されるように、まず図中の符号Mで示される方向から、パレット解体装置1dにパレット2を挿入して棒状体7a1の上面にパレット2を係止する。つまり、パレット2の下面、即ち、下板4の下面がローラ19から浮き上がった状態となるよう油圧装置14a1,14b1を駆動して棒状体7a1を図中の符号Sで示される方向に上昇させ所望の高さに調整する。
そして、油圧装置14c1,14d1を駆動して図中の符号Tで示される方向へ当接体8a1を押し下げると、図11(b)に示されるように、まず、ブロック体9a1の下端が上板3の隙間に進入し、桁5の上面に当接する。
引き続き、さらに当接体8a1を押し下げると、上板3は棒状体7a1に係止されて下降が妨げられる一方、桁5はブロック体9a1によりさらに押し下げられる。つまり、上板3を押し上げるように力が作用する。この結果、図11(c)に示されるように、釘6が係止した上板3が桁5から分離するのである。
なお、第1の実施の形態のパレット解体装置1aと同様に、半解体されたパレット2の上下を反転させ再び当接体8a1の下部へ挿入し、上述の工程を繰り返すことで、パレット2の桁5から全ての板を分離することができる。
このように、パレット解体装置1dにおいては当接体8a1を可動とし、実質的に当接体8a1で解体処理が行えるよう構成することにより、例えば当接体8a1の駆動機構として従来のプレス機の駆動機構を応用することができ、パレット解体装置1dの製作にかかるコストを削減できる。
【0040】
以下に、本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の構成と作用について図14乃至図16を参照しながら説明する。(特に、請求項3に対応)
図12(a)は本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図であり(b)は図12(a)におけるU−U線矢視断面図である。図13(a)は本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図であり(b)は図13(a)におけるV−V線矢視断面図である。図14(a)は本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図であり、(b)は図14(a)におけるW−W線矢視断面図である。
なお、図1乃至図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、本実施の形態における当接体8a2は第1の実施の形態で述べた当接体8a1と同一の構成のものを上下反転させたものであるが、当接体8a1と区別するために当接体8a2とする。また、本実施の形態に係るパレット解体装置は請求項3に記載される発明を具体的に説明したものであり、請求項3に記載される発明の各構成要素について、上,下と表現される部分は、左,右に読み替えている。
本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置1eは、1連の解体工程でパレット2の上板3及び下板4の全てを桁5から一時に分離するものである。
【0041】
次に、図12乃至図14を参照しながら、パレット解体装置1eにより、パレット2が解体される工程について説明する。
なお、以下の説明において、構成要素同士の位置関係を説明するため、図12〜図14において、符号Mで示される方向を重力方向上向き、符号Xで示される方向を右方向、符号Yで示される方向を左方向と定義しているが、これらの方向は単に相対的な位置関係を説明するためのものであり、パレット解体装置1eの構成を限定するものではない。
図12(b)に示されるように、パレット解体装置1eに係る、棒状体7a1は油圧装置14a1,14b1により右方向(図12中の符号Yで示される方向)に押圧され、棒状体7cは油圧装置14a2,14b2により左方向(図12中の符号X示される方向)に押圧されるよう構成されており、また、当接体8a1は油圧装置14c1,14d1により左方向に押圧され、当接体8a2は油圧装置14c2,14d2により右方向に押圧されるよう構成されるものである。
このように構成されるパレット解体装置1eでパレット2を解体する際には、まず、油圧装置14a1〜14d2を全てリセットした状態で、即ち、全ての油圧装置14a1〜14d2が棒状体7a1,7cから離れた状態で、図12(a),(b)中の符号Mで示される方向から、搬送用アーム等で挟持されて搬入されたパレット2を棒状体7a1,7cに挿通する。このとき、図12(a)に示されるように、上板3の隙間から露出する桁5の左側面には、当接体8a1に係るブロック体9a1の当接面が対向し、下板4の隙間から露出する桁5の右側面には、当接体8a2に係るブロック体9a1の当接面が対向している。つまり、当接体8a1と当接体8a2はパレット2を中心に対称に配置されている。
次に、第1段階として、油圧装置14c1,14d1及び油圧装置14c2,14d2を駆動して、パレット2の左右方向から当接体8a1及び当接体8a2をそれぞれ押圧して、当接体8a1及び当接体8a2に係るブロック体9a1の当接面を桁5の左右側面に当接させる。この時、図13(a),(b)に示されるように、上板3及び下板4の隙間にブロック体9a1が嵌合し、桁5は左右両側面から押圧され、後述の解体工程の第2段階において桁5が左右動しないよう保持される。
【0042】
続いて、第2段階として、油圧装置14a1,14b1を駆動して棒状体7a1を図13(b)中の符号Yで示される方向(左方向)に押圧し、これと同時に、油圧装置14a2,14b2を駆動して棒状体7cを図中の符号Xで示される方向に押圧する。この操作により、上板3は棒状体7a1により右方向に押し出され、下板4は棒状体7cにより左方向に押し出される。この結果、図14(a),(b)に示されるようにパレット2の桁5の左右側面に、上板3と下板4が浮き上がるように分離するのである。この処理の後、全ての油圧装置14a1〜14d2をリセットして、即ち、図12(b)に示される位置に戻すと、解体されたパレット2の上板3及び桁5は落下する。
なお、この解体工程の第2段階において、油圧装置14a1,14b1及び油圧装置14a2,14b2を必ずしも同時に駆動する必要はなく、作業の目的に応じてどちらか一方のみを駆動しても良い。さらに、第2の実施の形態で述べた部分抜き用ブロック22aや部分抜き用ブロック22bを棒状体7a1又は棒状体7cに装着することによれば、所望の上板3や下板4のみを分離することもできる。
このように構成されるパレット解体装置1eによれば、第1乃至第3の実施の形態に係るパレット解体装置に比べ、高速でパレット2を解体することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るパレット解体装置は、主として木質系の桁と板を締結具により固定した荷物運搬用パレットの一部又は全部を、桁や板への損傷を軽減しながらかつ迅速に解体する装置を提供するものであり、一台の装置で複数種類のパレットを解体する場合や、パレットの一部を補修したり、解体後のパレットの資材を再利用する場合にも利用の可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の外形図である。(請求項2に対応)
【図2】(a)本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の平面図であり、(b)本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の側面図であり、(c)は本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の変形例に係る側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図である。
【図4】(a)〜(c)本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット解体工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の棒状体の変形例を示す部分図である
【図6】(a)本発明の第1の実施の形態に係るブロック体の外形図である。(b)ブロック体の変形例の外形図である。
【図7】(a),(b)本発明の第1の実施の形態に係るパレット解体装置の当接体の変形例を示す外形図である。
【図8】(a)本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置において棒状体に部分抜き用ブロックを装着した場合の外形図である。(b)図8(a)におけるQ−Q線矢視断面図である。(c)本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置において棒状体に部分抜き用ブロックの変形例を装着した場合の断面図である。
【図9】(a)H型鋼を使用した棒状体に部分抜き用ブロックを装着した場合の外形図である。(b)図9(a)におけるR−R線矢視断面図である。
【図10】(a)〜(c)本発明の第2の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット部分解体工程を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)本発明の第3の実施の形態に係るパレット解体装置によるパレット解体工程を示す断面図である。
【図12】(a)本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図である。(b)図12(a)におけるU−U線矢視断面図である。
【図13】(a)本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図である。(b)図13(a)におけるV−V線矢視断面図である。
【図14】(a)本発明の第4の実施の形態に係るパレット解体装置の要部外形図である。(b)図14(a)におけるW−W線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1a,1b1,1b2,1c〜e…パレット解体装置 2…パレット 3,3a,3e…上板 4…下板 5…桁 6…釘 7a1,7a2,7b1〜7b3,7c…棒状体 8a1,8a2…当接体 9a1,9a2…ブロック体 10…ブロック体連結棒 11a1,11a2…天板 12…カウンターバランス 13…棒状体連結棒 14a1〜14d1,14a2〜14d2…油圧装置 15a,15b…押圧板 16a,16b…支持板 17a〜17d…支柱 18a〜18d…架台 19…ローラ 20…パイプ 21…ストッパ 22a〜22c…部分抜き用ブロック 23…孔 24…上板 25…架材 26…空間 27…空間 28a,28b…当接部支持部 29a,29b…当接部 30…天板当接部 31…桁当接部 32a,32b…装着溝 33a,33b…部分当接体 34…天板当接体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ長さの複数の桁を平行に配置し、前記桁の上面及び下面に前記桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、前記パレットの前記上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、前記配置された上板の間から露出する前記桁の上面に当接する当接体と、この当接体を所望の高さに固定する固設機構と、前記棒状体を押し上げる駆動機構とを有することを特徴とするパレット解体装置。
【請求項2】
同じ長さの複数の桁を平行に配置し、前記桁の上面及び下面に前記桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、前記パレットの前記上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、前記配置された上板の間から露出する前記桁の上面に当接する当接体と、前記棒状体を所望の高さに固定する固設機構と、前記当接体を押し下げる駆動機構とを有することを特徴とするパレット解体装置。
【請求項3】
同じ長さの複数の桁を平行に配置し、前記桁の上面及び下面に前記桁と直交するように複数の上板及び下板を配置して構成されるパレットを解体するためのパレット解体装置であって、前記パレットの前記上板と下板と桁によって形成される空間に挿入される棒状体と、前記配置された上板の間から露出する前記桁の上面に当接する第1の当接体と、前記下板の間隙から露出する前記桁の下面に当接する第2の当接体と、前記棒状体のうち少なくとも1の棒状体を押し上げる第1の駆動機構と、前記第1の当接体を押し下げる第2の駆動機構と、前記棒状体のうち前記第1の駆動機構によって押し上げられる棒状体以外の少なくとも1の棒状体を押し下げる第3の駆動機構と、前記第2の当接体を押し上げる第4の駆動機構とを有することを特徴とするパレット解体装置。
【請求項4】
前記棒状体の少なくとも上面又は下面の一部を被覆し着脱又はスライド可能に設けられる部分抜き用ブロックを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパレット解体装置。
【請求項5】
前記当接体及び第1の当接体及び第2の当接体は、前記上板又は前記下板の間隙から露出する前記桁の上面又は下面に当接する当接部と、この当接体の上端部又は下端部を連結する当接部保持部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパレット解体装置。
【請求項6】
前記当接体及び第1の当接体及び第2の当接体は、孔を有するブロック体と、前記孔に挿通され前記ブロック体をスライド又は着脱可能に保持する連結棒とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパレット解体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−290423(P2006−290423A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115113(P2005−115113)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(504237430)宇部木材株式会社 (4)
【Fターム(参考)】