説明

パワーオーバーイーサネットを用いる照明のためのシステムおよび方法

【課題】従来からのデータ、音声、および映像に対して、照明システムと制御システムとを追加することに関するものである。照明システムおよび制御システムは、電力信号と制御信号の両方をイーサネットで供給する。
【解決手段】照明システムは、エネルギー効率に優れたLED光源を有するPoE‐IPイルミネータに対してコマンドと電力を供給するPoEスイッチを備えている。各イルミネータは、固有のIP‐IDを持っており、PoE-LANを通じた制御が可能である。連鎖可能IP‐LED灯が、シリアルチャネルによりデイジーチェーン接続されており、これらは、PoEラインに接続されたIP‐LEDマスターにより制御される。このシステムは、アクセス装置、IP-LED/電光看板、遮光装置、サイレン/アラームなど、遠隔制御可能な被制御機器の電力供給と制御のために用いられるPoE‐IPコントローラを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク利用に第4と第5の次元を追加すること、すなわち、従来からのデータ、音声、および映像に対して、照明システムと制御システムとを追加することに関するものである。照明システムおよび制御システムは、電力信号と制御信号の両方をイーサネットで供給する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーコストが増大し、環境への関心が高まるにつれて、電力消費量を削減することが必要となる。
【0003】
白熱電球やネオン灯に対比して、発光ダイオード(LED)光源は、消費エネルギー対照度比に優れており、また、長寿命である。
【0004】
LED照明は、その効率の良さと低消費であることによって、通常のネットワーク接続PoE/PD機器(Power over Ethernet Powered Device: パワーオーバーイーサネット受電機器)として接続し制御することが可能である。
【0005】
パワーオーバーイーサネット(PoE)は商業化されており、IP電話、IPカメラなどのコンピュータ周辺機器や、無線アクセスポイント、基地局など、小型のネットワーク接続IP機器に電力を供給するために用いられる。インターネットプロトコルを利用可能であり、これによって、イーサネット配線を通したデータおよび電力の伝送が規定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワーク利用に第4と第5の次元を追加すること、すなわち、従来からのデータ、音声、および映像に対して、照明システムと制御システムとを追加することに関するものである。照明システムおよび制御システムは、電力信号と制御信号の両方を、標準的なイーサネット・ネットワーク基盤を通じて供給する。実施形態によっては、システムは、PoEスイッチまたはPoE+スイッチに接続されたPoEコントローラまたはPoE+コントローラを備えていてもよく、このコントローラは、例えば以下のような、遠隔制御可能なあらゆる機器の電力供給と制御のために用いられる。
・ 例えば、ビル、オフィス、ATMなどにおいてプログラム可能な看板として用いられるIP LED/電光看板。
・ 緊急時に用いられるIP制御のサイレン/アラーム。
・ 指示、案内、告知などを提供するIP制御のスピーカ。
・ IP制御のアクセス/ロック・コントローラなど。
・ IP制御の遮光システム/モータなど。
・ 遠隔制御が可能であるその他のあらゆる機器。
【0007】
“ネットワークを利用した照明”によって、照明効率を向上し節電を進めるための新しい次元が追加される。
【0008】
このようにして、例えば、遮光制御、入場制御、看板、警報などのために、PoE/PD制御システムを導入することによって、節電および環境保全という使命に資して、接続、電力、および制御のすべてを提供するというネットワークの能力が、完成される。
【0009】
典型例である一実施形態においては、オフィスや家庭、さらには、発券機やATMの設置場所などをエネルギー効率良く照らすための照明および制御システムが提供される。
【0010】
当該システムは、PoEスイッチを備えており、これは、高出力高エネルギー効率のLED光源をそれぞれに有する1つあるいは幾つかのPoE‐IPイルミネータ(PIPI)に対して、また、PoE‐IP遮光コントローラおよび入場コントローラに対して、コマンドと電力の両方を供給する。PoE 802.3af規格を用いると、各PoE LANケーブルにより、10ワットを超える光源および制御ユニットの使用が可能である。PoE+を用いると、20ワットを超える光源および制御ユニットの使用が可能である。
【0011】
各PIPI/コントローラは、IP‐IDといった固有のIDを持っており、PoE LANを通じた制御が可能である。
【0012】
このシステムは、IPカメラ、照度センサ、入場検出器といったセンサやモニタを備えることができる。遠隔のATM機設置場所において、このシステムは、照明、音声支援、監視セキュリティ、および銀行業務を提供する。風力発電装置や太陽光発電装置といった再生可能エネルギー源や、充電式バッテリによって、無公害での運用および遠隔地での運用が可能となる。
【0013】
本発明の別の態様は、PoE‐IP制御のオフィス機器および家庭用機器のためのシステムを提供するものであり、さらに、アクセスポイント、部屋環境コントローラ、ドアロック、電話、無線通信ポイント、窓用スクリーンおよびシェード、サイレン/アラーム、LED/電光看板など、PoE‐IPコントローラを用いるサブシステムを提供するものである。
【0014】
本発明の別の態様は、PoE‐IP(PIPI)を提供するものである。PIPIは、PoE LANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する電力/データ分離器; 分離された電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換するDC/DC回路; データを受け取って、この受け取った分離されたデータに応じてドライバを制御するコントローラ; IP‐IDを上記コントローラに提供するIP‐ID不揮発性メモリ; 上記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つのLED光源に供給される上記分離された電力を制御するドライバ;および、照明光を生成する少なくとも1つのLED光源、を備えている。
【0015】
一部の実施形態では、電力/データ分離器、DC/DC回路、コントローラ、ドライバ、およびIP‐ID不揮発性メモリは、PoE‐IP LED制御モジュールに統合されている。
【0016】
一部の実施形態では、電力/データ分離器(420)、DC/DC回路、コントローラ、ドライバ、IP‐ID不揮発性メモリ、および少なくとも1つのLED光源は、当該PoE‐IPイルミネータに統合されている。
【0017】
一部の実施形態では、PoE‐IPイルミネータは、上記ドライバから電力を受け取る少なくとも1つの追加のLED光源; 追加のPoE LANケーブルから電力を受け取る少なくとも1つの追加の電力/データ分離器; および、上記電力/データ分離器および少なくとも1つの追加の電力/データ分離器からの電力を合算し、合算した電力を上記ドライバに供給する電力加算回路、をさらに備えている。
【0018】
一部の実施形態では、PoE‐IPイルミネータは、センサ入力または起動出力の少なくとも1つをさらに備えている。
【0019】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、PoE+対応のものである。
【0020】
一部の実施形態では、LED光源は、少なくとも8ワットの電力を使用することができる、複数のLEDを含んでいる。一部の実施形態では、LED光源は、少なくとも15ワットの電力を使用することができる、複数のLEDを含んでいる。
【0021】
本発明の別の態様は、PoE照明システムを提供するものであり、これは、PoEスイッチに接続されているIP‐LED制御サーバ; パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータに接続されているPoEスイッチ、を備えている。上記PoE‐IPイルミネータは、パワーオーバーイーサネットLANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する電力/データ分離器; 電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換するDC/DC回路; データを受け取って、この受け取った分離されたデータに応じてドライバを制御するコントローラ; IP‐IDを上記コントローラに提供するIP‐ID不揮発性メモリ; 上記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つの光源に供給される上記分離された電力を制御するドライバ; および、照明光を生成する少なくとも1つのLED光源、を有している。
【0022】
一部の実施形態では、PoE照明システムは、LED管理サーバをさらに備えている。
【0023】
一部の実施形態では、上記LED管理サーバは、上記PoEスイッチから離れた場所に配置されている。
【0024】
一部の実施形態では、PoE‐IPイルミネータは、上記ドライバから電力を受け取る少なくとも1つの追加のLED光源; 追加のパワーオーバーイーサネットLANケーブルから電力を受け取る少なくとも1つの追加の電力/データ分離器; および、上記電力/データ分離器および上記少なくとも1つの追加の電力/データ分離器からの電力を合算し、この合算した電力を上記ドライバに供給する電力加算回路、をさらに有している。
【0025】
一部の実施形態では、PoE‐IPイルミネータは、センサ入力または起動出力の少なくとも1つをさらに有している。
【0026】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、充電式バッテリをさらに有している。
【0027】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、風力タービン、ローカル発電機、および太陽光発電装置といった電源により電力が供給される。
【0028】
一部の実施形態では、照明システムは、パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより上記PoEスイッチに接続されているIPカメラのような少なくとも1つのモーションセンサ; パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより上記PoEスイッチに接続されている少なくとも1つの照度センサ; および、パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより上記PoEスイッチに接続されている無線アクセスポイント、のうちの少なくとも1つをさらに備えている。
【0029】
一部の実施形態では、照明システムは、上記無線アクセスポイントと無線でインタフェース接続して、上記少なくとも1つのLED光源が発する光を制御するための少なくとも1つの携帯端末をさらに備えている。
【0030】
本発明の別の態様では、現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システムを提供する。これは、ネットワークによりPoEスイッチに接続されている内線交換(PBX)サーバおよびビデオサーバ; PoEスイッチ、を備え、このPoEスイッチは、PoE LANケーブルによって、IPカメラのような少なくとも1つのモーションセンサ; IP電話; ATM機;および、少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータ、に接続されている。上記PoE‐IPイルミネータは、パワーオーバーイーサネットLANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する電力/データ分離器; 受け取った分離された電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換するDC/DC回路; 分離されたデータを受け取って、この受け取った分離されたデータに応じてドライバを制御するコントローラ; IP‐IDを上記コントローラに提供するIP‐ID不揮発性メモリ; 上記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つのLED光源に供給される、受け取った分離された電力を制御するドライバ; および、照明光を生成する少なくとも1つのLED光源、を有している。
【0031】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、さらに、充電式バッテリを有することを特徴とする。
【0032】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、風力タービン、ローカル発電機、および太陽光発電装置といった電源により電力が供給される。
【0033】
一部の実施形態では、PoEスイッチは、ドライ接点入力をさらに有している。
【0034】
一部の実施形態では、上記ネットワークは、無線ネットワークである。
【0035】
本発明のさらに別の態様は、照明方法を提供し、該方法は、LED管理サーバをネットワークに接続すること; PoEスイッチを上記ネットワークに接続すること; 上記PoEスイッチをPoE LANケーブルに接続すること; 上記PoE LANケーブルを少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータに接続すること、を含んでいる。上記PoEイルミネータは、上記PoE LANケーブルにより伝送される電力からデータを分離すること; 上記LED管理サーバにIP−IDを伝えること; 上記PoE LANケーブルからコマンドを受け取って解釈すること; 上記受け取ったコマンドを用いてLEDドライバを制御すること; 上記制御されるドライバを用いて、少なくとも1つのLED光源を、上記分離された電力で駆動すること; および、上記少なくとも1つのLED光源により生成される光で照明を提供すること、が可能である。
【0036】
一部の実施形態では、当該照明方法は、少なくとも1つの追加のPoE LANケーブルを上記PoEイルミネータに接続すること; 上記追加のPoE LANケーブルから受け取った電力を、上記PoE LANケーブルから受け取った電力と合算すること; および、上記合算した電力を上記LEDドライバに供給すること、をさらに含んでいる。
【0037】
本発明の別の態様は、PoE照明システムを提供し、これは、PoEスイッチに接続されているIP‐LED制御サーバ; パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、少なくとも、連鎖可能IP‐LED灯からなる少なくとも1つの鎖に接続されているPoEスイッチ、を備えている。上記連鎖可能IP‐LED灯の鎖は、PoEラインを介して上記PoEスイッチに接続されているIP‐LEDマスター; および、複数の連鎖可能IP‐LED灯、を含み、各連鎖可能IP‐LED灯は、電源; LED光源; および、IP‐LEDクライアント、を有している。これらのIP‐LEDクライアントは、シリアル・データチャネルにより、鎖状に接続されて、上記IP‐LEDマスターに接続されており、上記IP‐LEDクライアントは、上記シリアル・データチャネルを介して受け取ったコマンドに応じて、上記電源から上記LED光源に供給される電力を制御する。
【0038】
一部の実施形態では、当該システムは、窓用電動スクリーン、ドアロック、および人員アクセスポイントといった、少なくとも1つの部屋環境コントローラをさらに備えている。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、PoE制御システムを提供し、これは、PoEスイッチに接続されているIP制御サーバ; パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、少なくとも1つのIPコントローラに接続されているPoEスイッチ; 上記PoEスイッチから上記PoEケーブルを介してコマンドおよび電力を受け取り、少なくとも1つの被制御機器に電力を供給し制御することができる、少なくとも1つのIPコントローラ; および、上記IPコントローラにより制御され電力供給される、少なくとも1つの遠隔制御される機器、を備えている。上記遠隔制御される機器は、上記PoEケーブルを介して供給される電力のみにより電力供給される。
【0040】
一部の実施形態では、上記遠隔制御される機器は、アラーム、サイレン、告知用スピーカ、ディスプレイ、あるいは電光看板といった遠隔制御機器である。
【0041】
一部の実施形態では、上記少なくとも1つの遠隔制御される機器は、窓用電動スクリーン、ドアロック、および人員アクセスポイントといった、遠隔制御の部屋環境コントローラである。
【0042】
当該制御システムは、本明細書に開示されている照明要素および/またはその他の要素をさらに含んでいてもよい。
【0043】
特に定義されていない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるのと同じ意味をもつものである。本明細書に記載されているものと類似あるいは同等の方法および構成材を、本発明の実施または試験において用いることが可能であるが、以下では、適切な方法および構成材について説明する。矛盾する場合には、本特許明細書が、定義を含めて、支配するものとする。また、構成材、方法、および実施例は、単なる例示であって、限定する目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明について、ここで、ほんの一例により、添付の図面を参照して説明を行う。詳細について特に図面を参照するが、強調すべきことは、図示されている詳細は一例であり、本発明の好適な実施形態を実例により解説する目的のものにすぎないということである。それらは、本発明の原理および概念的側面についての最も有効で分かりやすい説明であると考えられるものを提供するために提示される。この観点から、本発明の構造細部については、本発明の基本的理解のために必要である以上に詳細に示すようなことはしていないが、本発明の幾つかの形態が実際にどのように実施され得るのかは、この説明を図面と共に理解することで、当業者に明らかになる。
【0045】
本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施あるいは実行することができる。また、当然のことながら、本明細書で用いる表現および専門用語は、説明を目的とするものであって、限定するものとみなされるべきではない。
【0046】
本明細書で以下において記載する幾つかの図面についての解説では、類似の番号は類似の部分を指している。図面は、全体的に、正確な縮尺ではない。分かりやすくするため、一部の図面では、本質的でない要素は省略した。何らかのオプション部分は、破線で描いた。
【0047】
図面において、
【0048】
【図1】図1は、本発明の典型例である一実施形態によるPoE照明システムを概略的に示している。
【図2】図2は、本発明の典型例である別の実施形態による、無線および遠隔制御を備えたPoE照明システムを概略的に示している。
【図3】図3は、本発明の典型例である別の実施形態による、ATM設置場所のためのPoE照明システムを概略的に示している。
【図4】図4は、本発明の典型例である一実施形態によるPoE照明装置のブロック図を概略的に示している。
【図5】図5は、本発明の典型例である別の実施形態による、部屋環境制御のためのシステムのブロック図を概略的に示している。
【図6】図6は、本発明の典型例である別の実施形態による、大きい部屋の照明のためのシステムのブロック図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、電力信号と制御信号の両方を、イーサネットを通して供給する照明システムに関する。
【0050】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明するに当たり、当然のことながら、本発明は、その適用において、以下の説明で明記される或いは図示される詳細な構成および構成要素の配置に限定されるものではない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施あるいは実行することができる。
【0051】
幾つかの実施形態の機能ブロック図を図面に示しているが、その中で機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の境界を示してはいない。例えば、1つ以上の機能ブロック(例えば、プロセッサあるいはメモリ)が単体のハードウェア(例えば、汎用信号プロセッサあるいはランダムアクセスメモリ、ハードディスクなど)で実現されていてもよいし、複数のハードウェアで実現されていてもよい。同様に、プログラムは、スタンドアロン・プログラムであってもよいし、あるいは、オペレーティングシステムにサブルーチンとして組み込まれていたり、インストールされたソフトウェア・パッケージに含まれる機能などであってもよい。当然のことながら、様々な実施形態は、図示されている構成および手段に限定されるものではない。
【0052】
図1は、本発明の典型例である一実施形態によるPoE照明システム100を概略的に示している。
【0053】
システム100は、複数の周辺機器に対してPoEイーサネットケーブル122を通した電力およびデータ交換のリンクを提供するPoEスイッチ120を備えている。例えば、PoEスイッチ120は、PoEアグリゲーションスイッチ・タイプのCGS‐806PPBなどとすることができる。PoEスイッチ120は、例えば、IPv6/イーサネット規格を用いることができる。例えば、チャネルごとに15ワットの供給を行うPoE規格であるIEEE802.3AFを用いることができ、あるいはチャネルごとに30ワットの供給を行うPoE+規格(IEEE802.3AT)やその他の規格を用いることができる。PoEスイッチ120には、例えば、家庭用電力網により電力が供給130される。さらにオプションとして、PoEスイッチ120は、緊急時や火災時などの電力不足や電源障害の際に用いられるバッテリあるいは充電式バッテリ135といった内部電源を備えていてもよい。さらにオプションとして、PoEスイッチ120に対して、停電の際に用いられる無停電電源(UPS)により電力供給を行ってもよい。
【0054】
オプションとして、PoEスイッチ120には、風力タービン131、ローカル発電機132、太陽光発電装置133など再生可能電源により電力供給が行われる。再生可能電源を用いる場合、電力網は予備として用いることができ、またオプションとして、生成した余剰電力を電力網により引き取ってもらうということも可能である。例えばへき地で、このシステムをAC網に接続しないで実施する場合、充電式バッテリ135は、電力を取得可能なとき(昼間、あるいは風が吹いているとき)に充電し、使用できる電力が不足しているときに電力を供給するということが可能である。オプションとして、充電式バッテリは、例えば2010年8月12日に出願された米国特許出願No.12/855,445に見られるように、PoEスイッチ120の中に組み込まれていてもよい。
【0055】
再生可能電源を用いることで、運用コストとCOやその他汚染物質の排出の両方が削減されて、システム100は、環境に優しい“グリーン”システムとなる。
【0056】
PoEスイッチ120は、IP‐LED制御サーバ110によって制御されており、これは、制御ソフトウェアを実行することにより、本システムの柔軟な制御および設定を可能にしている。IP‐LED制御サーバ110は、PCあるいはラップトップ・コンピュータなどのコンピュータとすることができる。IP‐LED制御サーバ110は、PoEスイッチ120に近接して設置されてもよいし、あるいは遠く離れた場所に設置されてもよい。例えば、1つのIP‐LED制御サーバ110により、複数のPoEスイッチ120を制御することもできる。
【0057】
複数のPoE‐IPイルミネータ(PIPI)LED灯150により、照明が提供される。各PIPI 150は、PoE‐IP LED制御モジュール(PIL)152と(1つまたは複数の)LED光源154とを備えている。
【0058】
PIL 152は、PoEスイッチ120から電力を受け、LED制御サーバ110から制御信号を受け取って、受け取ったコマンドに従って(1つまたは複数の)LED光源154を操作する。
【0059】
LED光源154は、例えば、単一のLEDとすることができ、あるいは、好ましくは、例えばライトチューブやその他のLEDアレイとしてパッケージ化された複数のLEDとすることもできる。ライトチューブは、例えば、長さが1200mmで22ワットを要するもの、あるいは長さが600mmで11ワットを要するものが、その運用のために利用可能である。このように所要電力が低く、高効率であるLED光源を用いることによって、家庭あるいはオフィスの照明のために充分な電力をPoE配線122により供給することが可能である。
【0060】
所要電力がより高いまたは低い、すなわちより高照度または低照度である、他のLEDアレイを利用可能である。注目すべきことは、LEDは、PIL 152の中に組み込まれていても、あるいは、別個のコンポーネントであってもよいということである。LEDをPIL 152に組み込むことによって、PIPI 150全体を小型の機器にパッケージ化することが可能となる。一方、LED光源154を別個にしておくことで、市販のLEDアレイを用いることが可能となって、不良LEDの取替えが可能であり、あるいは、反射板、散光器、装飾的な器具などの照明器具を柔軟に用いることが可能である。
【0061】
システム100は、さらに、モーションセンサ144や照度センサ142などのセンサを備えていてもよい。センサは、通常、PoEスイッチ120により電力を供給されて、照明要件を決定するために用いることができる情報をIP‐LED制御サーバ110に提供する。
【0062】
例えば、モーションセンサ144は、室内の人の存在を検出するために用いられるPoE対応IPカメラとすることができる。室内に誰も居ないことが分かった場合は、PIPI 150はオフにされる。
【0063】
照度センサ142は、室内の明るさレベルを伝えることができ、これによって、例えば昼間の太陽光など外部光が得られるときには、PIPI 150の光度を落としたり、オフにしたりする。
【0064】
カード・エントランス・システムなどでは、その他のセンサを用いて在室状態を検出してもよい。加えて、あるいは代わりに、室内に手動操作スイッチまたはダイアルを設けて、この手動操作スイッチを手動で操作することによる室内照明の手動調整を可能にしてもよい。
【0065】
注目すべきことは、PIPI 150に対するコマンドはローカルエリア・ネットワーク(LAN)ケーブル122を通じて伝送されるということであり、これによって、LANシステムに接続されているコンピュータ機器であって、PIPI 150を操作するためのアクセスコードおよびIPアドレスを所持しているものであれば、照明を制御することが可能である。例えば、室内に居るユーザが、LANシステムにログインしたPCと所要の制御ソフトウェアを所持していれば、そのPCを用いて室内の照明を制御することができる。
【0066】
PIL 152のより詳細については、図4に示している。
【0067】
図2は、本発明の典型例である別の実施形態による無線および遠隔制御を備えたPoE照明システム200を概略的に示している。
【0068】
システム200は、遠隔地211に配置されたLED管理サーバ210からの、部屋213の照明の遠隔制御を可能にしており、ネットワーク212を通して、離れた場所213に配置されたPoEスイッチ220と通信する。例えば、この場所213と遠隔地211は、2つの別々のビルとすることができる。ネットワーク212は、インターネットとすることができ、これによって、2つの場所211,213の間の距離は任意とすることが可能である。
【0069】
図示の実施形態において、PoEスイッチ220は、CFS‐809PBなどのPoEスイッチとすることができる。PoEスイッチ220は、IPv6/イーサネット規格を用いることができる。
【0070】
PoEスイッチ220には、例えば、家庭用電力網により電力が供給130される。さらにオプションとして、PoEスイッチ220は、緊急時や火災時などの電力不足や電源障害の際に用いられるバッテリあるいは充電式バッテリ135といった内部電源を備えていてもよい。さらにオプションとして、PoEスイッチ220に対して、停電の際に用いられる無停電電源(UPS)により電力供給を行ってもよい。オプションとして、PoEスイッチ220には、風力タービン131、ローカル発電機132、太陽光発電装置133など再生可能電源により電力供給が行われる。再生可能電源を用いる場合、電力網は予備として用いることができ、またオプションとして、生成した余剰電力を電力網により引き取ってもらうということも可能である。例えばへき地で、このシステムをAC網に接続しないで実施する場合、充電式バッテリ135は、電力を取得可能なとき(昼間、あるいは風が吹いているとき)に充電し、使用できる電力が不足しているときに電力を供給するということが可能である。オプションとして、充電式バッテリは、PoEスイッチ220の中に組み込まれていてもよい。
【0071】
さらに、オプションとして、あるいは代替案として、システム200は、PIPIの無線制御が可能であってもよい。ケーブル122によってPoEスイッチ220に接続されている無線アクセスポイント260は、無線チャネル255を通じて、携帯端末250と無線で通信する。
【0072】
携帯端末250は、アップルのiPhoneや、ソニーエリクソンのXPERIAなどのスマートフォンとすることができる。携帯端末250は、アップルのiPodやiPadなど、別のタイプのものであってもよい。無線チャネル255は、ブルートゥース、Wi‐Fiなどの狭域RF通信チャネルであることが好ましいが、赤外線(IR)通信を用いることもできる。
【0073】
図3は、本発明の典型例である別の実施形態による、現金自動預払機(ATM)設置場所311のためのPoE照明システム300を概略的に示している。
【0074】
ATM設置場所311において、PoEスイッチ120は、監視用IPカメラ144と、少なくとも1つのPIPI 150に対して、電力を供給する。さらに、ATM設置場所311には、オプションとして、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)電話342が設けられていてもよく、これによって、ユーザは音声支援を得ることが可能となる。
【0075】
ATM機346は、PoEケーブル122を用いてPoEスイッチ120により供給することができる電力よりも多くの電力を必要とする場合があり、このため、オプションとして外部から電力供給が行われる。また一方、追加の電力は、1つ以上のPoEケーブル122をATM機346に接続することにより供給することもできる。用途によっては、ATM機346は、自動販売機や、映画館、空港、鉄道の駅などで用いられる発券機などの他のマシンで置き換えられたり、あるいは、これらにより拡張されたりする。遠隔地313においては、ネットワーク212を通じてPoEスイッチ120に接続されている内線交換(PBX)サーバ314とビデオサーバ312とにより、それぞれ、音声サービスと映像サービスが提供される。
【0076】
一部の実施形態では、ネットワーク212は、RF通信、移動通信、あるいは衛星通信といった無線通信である。これらの場合は、適当なモデム(図示せず)が使用される。ローカル電源132、あるいは再生可能電源131および/または133、およびエネルギー貯蔵135と組み合わせることで、システム300を、遠隔に配置されて如何なるインフラ設備にも接続されていないスタンドアロン・システムとすることができる。このような場合には、消費電力が少ないことが強みとなる。図示の限定するものではない典型例である実施形態においては、2つのネットワーク・ポート、すなわち銅チャネル・ポート369とオプションである光ファイバー・ポート370とを備えるPoEスイッチ120(または220)を示している。
【0077】
オプションである“ドライ接点”入力360を、例えば、システム200の起動に用いることができる。ユーザがATMブースに通じるドアを開けたときに、あるいは、システム300を作動させる必要があることを示す他のセンサまたはスイッチにより、例えば、入力360に接続されたオン/オフ・スイッチを閉じるように構成することができる。これにより、 “スリープモード”から抜けるようにシステムをトリガすることができ、システムは、照明をオンにするなどの動作を実行し、カメラを起動するかあるいはその能力を変更し、電話を稼働状態にし、アナウンスを発するなどする。
【0078】
図4は、本発明の典型例である一実施形態によるPIPI 150のブロック図を概略的に示している。
【0079】
PIPI 150は、PIL 152と少なくとも1つのLED光源154とを有している。PIL 152には、PoEケーブル122により電力が供給される。高出力の照明が要求されるような一部の実施形態においては、1つ以上の追加のLED 154’を用いるなどして、複数のLED 154が使用される。このような場合は、1つ以上の追加のPoEケーブル122’を用いることができる。
【0080】
PIL 152では、電力/データ分離(PoE/PD)回路420において、データ411が48ボルト電力413から切り離される。電力の一部は、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)管理/CPUコントローラ426に供給するため、DC/DC回路422において調整される。SNMPは、LANケーブル122を通じて通信を行う。具体的には、SNMPは、IP‐ID不揮発性メモリ428に記憶されている自身のIP‐ID番号を通信する。加えて、SNMPは、照明出力やLED故障といったLED状態、センサ信号などの情報を、LANケーブル122を通して通信することもできる。
【0081】
LANケーブル122を通して、および/またはオプションのローカルセンサからオプションのセンサ入力チャネル430を介して受け取ったコマンドに応えて、コントローラ426は、LED点灯ドライバ450を制御して、LED154による照明をオン・オフするか、あるいはその光量を調節する。
【0082】
オプションとして、コントローラ426は、オプションである起動出力435をアクティブにすることができ、これを用いて、窓用電動シェードや空調装置などの補助装置を制御することができる。
【0083】
電力413の一部は、LED点灯ドライバ/コントローラ450を介して、LED154およびオプションの追加LED154’に供給される。LED点灯ドライバ/コントローラ450がPoE規格で使用している電圧を直接使用できない場合は、その仕様に適合するように、電圧は、オプションのDC/DC LED電源445により変換される。一方、一部のLEDコントローラは、PoE規格で使用している電圧を直接使用するように作られている。追加のPoEライン122’を用いる場合は、各々の追加ラインがPoE/PD420’に接続される。一方、一般的に、データはメインのLANライン122のみが伝送し、追加ライン122’は電力の注入のためだけに用いられる。追加のPoEライン122’が用いられる場合は、ライン122および追加ライン122’から供給される電力を、電力加算回路480を用いて合算する。注目すべきことは、システム100,200および/または300に対して、その他のIP機器を接続してもよいということである。同様に、一部の機器を同等のもので置き換えたり、あるいは省いたりしてもよい。これらのシステムは、例えば、カメラ、モーションセンサ、入場センサ、本人確認装置などのセキュリティ機器を備える監視システムとして使用することができる。オプションとして、IR感知カメラによる記録を変換するために赤外線(IR)LEDが用いられる。
【0084】
図5は、本発明の典型例である別の実施形態による、部屋環境制御のためのシステム500のブロック図を概略的に示している。
【0085】
システム500は、PoEスイッチ220’に接続された1つまたは複数の照明PIPI 150を備えている。PoEスイッチ220’は、本明細書で先に開示した他のPoEスイッチと類似のもの、同一のもの、または同等のものである。あるいは、用途に合わせた専用のものとすることができ、例えば、チャネルの数を少なくして、(限定するものではないが)例えば4つのPoEポートあるいはPoE+ポートを備えるものとすることができる。追加としてのPoEスイッチ220’を、オプションとして、タンデム接続された構成にすることができる。すなわち、この図に示すように、互いにつながれると共に、“星形”に接続された構成とすることができる。図示の例では、これらのPoEスイッチ220’には、例えば主電力網から電力供給130されるが、しかし、先に開示したような他の電源を用いてもよい。
【0086】
システム500は、オプションとして、1つ以上の、部屋用PoE/PD制御装置を備えることができ、それらは、制限するものではないが、電気的に制御される窓用シェード530、ドアロック520、セキュリティアクセスポイント510などである。
【0087】
例えば、電気的に制御される窓用シェード530は、電動ロール機構532により巻き取り式に上げ下げされるように構成されたスクリーン531を有することができる。電動ロール機構532には、コントローラ55を介してPoEライン122により電力を供給することができ、あるいは、オプションとして、オプションである電力線130’により電力を供給することができる。コントローラ55は、PIL 152とすることができ、これにより、例えばその起動出力435を介してスクリーン531を制御する。あるいは、代わりに、専用の起動コントローラ55を用いることもできる。オプションである専用起動コントローラ55は、電動ロール機構532を駆動するように構成されたドライバで、LEDドライバ450を置き換えた構成とすることができる。実施形態によっては、コントローラ55は、電動ロール機構532と一体化されていてもよい。
【0088】
例えばドアロック520は、例えば、火災時避難口の扉を自動で開けるために用いることができ、あるいは、人員アクセス・監視システムと統合して用いることができる。オプションであるドアロック520には、オプションとして、外部から電力供給することができ、あるいはPoEライン122を介して電力供給することができる。コントローラ55’は、PIL 152とすることができ、これにより、例えばその起動出力435を介して、例えばドア510を制御する。あるいは、代わりに、専用の起動コントローラ55’を用いることもできる。オプションである専用起動コントローラ55’は、ドアロックを駆動するように構成されたドライバで、LEDドライバ450を置き換えた構成とすることができる。実施形態によっては、コントローラ55’は、ドアロック520の中に統合されていてもよい。
【0089】
システム500は、さらに、例えばセキュリティアクセスポイント510を備えることができる。セキュリティアクセスポイント510は、人員アクセス・監視システムと統合することができる。セキュリティアクセスポイント510は、キーパッド511、RFIDリーダーとRFIDカード510、およびその他のセキュリティシステムあるいは生体認証システム513のうちの1つ以上を備えることができる。セキュリティアクセスポイント510には、オプションとして、外部から電力供給することができ、あるいはPoEライン122を介して電力供給することができる。コントローラ55”は、PIL 152とすることができ、あるいは、専用の起動コントローラ55”を用いることができる。
【0090】
図6は、本発明の典型例である別の実施形態による、大きい部屋の照明のためのシステム600のブロック図を概略的に示している。
【0091】
システム600は、オプションとして、1つまたは複数の、先に開示した機器を、すなわち、限定するものではないが、要素220’,150,260および250などを備えることができる。
【0092】
さらに、システム600は、連鎖可能なIP‐LED灯650からなる鎖を少なくとも1つ、またオプションとして複数の鎖を、備えている。連鎖可能IP‐LED灯650の各鎖は、IP‐LEDマスター65により制御される。IP‐LEDマスター65は、PoEライン122を介して、スイッチ220または220’のようなPoEスイッチに接続されている。連鎖可能IP‐LED灯650の各々は、IP‐LEDクライアント66、電源67、および少なくとも1つのLED光源154”を備えている。
【0093】
IP‐LEDクライアント66は、シリアルチャネル622によりデイジーチェーン接続されており、それらの先頭のものがIP‐LEDマスター65に接続されて、一つのものから次のものへと鎖状に接続されている。シリアルチャネル622は、RJ11ラインおよびコネクタといった標準のインフラ構造を用いることができる。オプションとして、30個までのIP‐LEDクライアント66を鎖状に接続することができるが、しかし、それより短い鎖やそれより長い鎖を用いることもできる。各IP‐LEDクライアント66は、オプションである電源67から電力を受け取り、この電源には電力線130”により電力が供給される。オプションの電源67は、変圧器、AC‐DC電源、あるいはDC‐DC変換器とすることができる。オプションとして、電源67は、IP‐LEDクライアント66に組み込まれていてもよく、あるいは、省いてもよい。各IP‐LEDクライアント66は、少なくとも1つのLED光源154”を制御し、この光源は先に開示したLED光源154と類似あるいは同一のものである。
【0094】
好ましくは、各IP‐LEDクライアント66は固有のIDを有し、電源オン・コマンド、電源オフ・コマンド、光源レベルまたは調光コマンドといったコマンドを受け取って、実行する。
【0095】
実施形態によっては、システム100、200、300、500、あるいは600といったシステムは、スイッチ120、220、あるいは220’のようなPoEスイッチまたはPoE+スイッチに接続されたPoEコントローラまたはPoE+コントローラ660を備えていてもよい。コントローラ660は、選択によっては、コントローラ152と類似あるいは同一のものとすることができる。あるいは、コントローラ660は異なるものである。コントローラ660は、被制御機器661の電力供給と制御のために用いられる。被制御機器661は、例えば以下のような、遠隔制御可能ないずれかの機器とすることができる。
・ 例えば、ビル、オフィス、ATMなどにおいてプログラム可能な看板として用いられるIP LED/電光看板。
・ 緊急時に用いられるIP制御のサイレン/アラーム。
・ 指示、案内、告知などを提供するIP制御のスピーカ。
・ IP制御のアクセス/ロック・コントローラなど。
・ IP制御の遮光システム/モータなど。
・ 遠隔制御が可能であるその他のあらゆる機器。
【0096】
このシステムは、複数のイーサネット・スイッチを用いて無限に拡張可能である。また、集中システム、クラウドシステム、あるいは分散システムにより、監視し、特定データおよび統計データを収集し、制御を行うことが可能である。システム要素の認証は、固有のIDを用いることにより可能である。
【0097】
注目すべきことは、照明あるいはその他の遠隔制御される機器に供給することができる電力は、PoEケーブルあるいは複数のケーブルによりIPコントローラに供給される電力により制限が決まるということであり、これは、一般的には、使用するPoE規格によって決まるということである。将来のPoE規格は、より高い電力レベル、あるいは幾つかの異なる電力レベルを提供するかもしれない。一般的に、IPコントローラにおいて論理制御回路により消費される電力は小さいけれども、有効負荷の駆動に適用される最大電力を決定する際には考慮に入れる必要がある。
【0098】
本明細書で用いる、“CPU”、“コントローラ”、“コンピュータ”、あるいは“モジュール”という用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に記載した機能を実行することが可能な他の回路またはプロセッサを用いるシステムを含めて、プロセッサベースあるいはマイクロプロセッサベースのあらゆるシステムを含むことができる。上記の例は単なる典型例にすぎず、決して、“コンピュータ”という用語の定義および/または意味を制限するものではない。
【0099】
コンピュータあるいはプロセッサは、入力データを処理するため、1つ以上の記憶要素に記憶されている命令のセットを実行する。記憶要素は、求められるまたは必要とされるデータあるいはその他の情報も記憶することができる。記憶要素は、情報源の形態であっても、あるいは処理機の中の物理メモリ素子であってもよい。
【0100】
命令のセットは、本発明の様々な実施形態の方法およびプロセスのような特定の動作の実行を、処理機としてのコンピュータあるいはプロセッサに指示する様々なコマンドを含むことができる。命令のセットは、ソフトウェア・プログラムの形態とすることができる。ソフトウェアは、システム・ソフトウェアまたはアプリケーション・ソフトウェアなど様々な形態が可能である。また、ソフトウェアは、別々のプログラムまたはモジュールの集まり、大きなプログラムの中のプログラム・モジュール、あるいはプログラム・モジュールの一部分という形態が可能である。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングという形態のモジュラ・プログラミングを含むこともできる。処理機による入力データの処理は、オペレータ・コマンドに応えて、あるいは先行する処理の結果に応じて、あるいは別の処理機による要求に応えて、実行される。
【0101】
本明細書で用いる、“ソフトウェア”および“ファームウェア”という用語は、互いに置き換え可能であり、コンピュータによる実行のためメモリに記憶されているあらゆるコンピュータ・プログラムを含んでいる。上記メモリは、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含んでいる。上記のメモリ・タイプは単なる典型例にすぎず、コンピュータ・プログラムの記憶に用いることができるメモリのタイプについて制限するものではない。
【0102】
当然のことながら、以上の説明は例示目的のものであって、限定する目的のものではない。例えば、上記実施形態(および/または、その態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。さらに、本発明の様々な実施形態による教示は、その範囲から逸脱することなく、特定の状況や構成材に合わせて、様々に変形することができる。本発明の様々な実施形態のパラメータが、本明細書で記載している構成材の寸法や種類により規定されているが、これらの実施形態は決して限定するものではなく、典型例としての実施形態である。上記の説明を読み返すことで、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなるであろう。従って、本発明の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって権利が与えられる均等物の全範囲とともに、該特許請求の範囲を参照して決定されなければならない。添付の特許請求の範囲において、“含む(including)”および“ここで(in which)”という用語は、それぞれ、“備える(comprising)”および“そこで(wherein)”という用語に相当する平易な英語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、“第1の”“第2の”および“第3の”などの用語は、単にラベルとして使用されるもので、その対象物について数字的要件を課す目的のものではない。
【0103】
また、以下の特許請求の範囲における限定は、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で表現されたものではなく、それらの請求項における限定は、構造についての追加記述無く機能についての記述を後に続けて“〜のための手段(means for)”という表現を明確に用いていない限り、米国特許法(35 U.S.C.)第112条第6項に基づいて解釈されるものではない。
【0104】
本明細書では、実例を用いて、最良の形態を含む本発明の様々な実施形態を開示し、当業者であれば、いずれかの機器やシステムを製造すること、使用すること、および組み込まれた何らかの方法を実施することを含めて、本発明の様々な実施形態を実施できるようにしている。本発明の様々な実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。これらの例が有する構造要素が特許請求の範囲の文言と相違ない場合、あるいは、特許請求の範囲の文言と実質的ではない差異はあるもの同等の構造要素をこれらの例が含んでいる場合、このような他の例は特許請求の範囲内であるものとする。
【0105】
本発明について、その特定の実施形態に関連して説明を行ったが、当然のことながら、当業者には多くの代替案、変更、および変形が明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨および広義の範囲内にある全てのそのような代替案、変更、変形を含むものとする。本明細書において言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、各刊行物、特許、あるいは特許出願が具体的かつ個別に提示されて参照により援用されるのと同じように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本願における如何なる参照文献の引用あるいは列挙も、当該参考文献を本発明の先行技術とされることを認めるものと解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PoE LANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する、電力/データ分離器と、
前記分離された電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換する、DC/DC回路と、
データを受け取って、この受け取った分離されたデータに応じてドライバを制御する、コントローラと、
IP‐IDを前記コントローラに提供する、IP‐ID不揮発性メモリと、
前記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つのLED光源に供給される前記分離された電力を制御する、ドライバと、
照明光を生成する少なくとも1つのLED光源と、を備えるPoE‐IPイルミネータ。
【請求項2】
前記電力/データ分離器、前記DC/DC回路、前記コントローラ、前記ドライバ、および前記IP‐ID不揮発性メモリは、PoE‐IP LED制御モジュールに統合されている、請求項1に記載のPoE‐IPイルミネータ。
【請求項3】
前記電力/データ分離器、前記DC/DC回路、前記コントローラ、前記ドライバ、前記IP‐ID不揮発性メモリ、および前記少なくとも1つのLED光源は、当該PoE‐IPイルミネータに統合されている、請求項2に記載のPoE‐IPイルミネータ。
【請求項4】
前記ドライバから電力を受け取る、少なくとも1つの追加のLED光源と、
少なくとも1つの追加のPoE LANケーブルから電力を受け取る、少なくとも1つの追加の電力/データ分離器と、
前記電力/データ分離器および少なくとも1つの追加の電力/データ分離器からの電力を合算し、合算した電力を前記ドライバに供給する、電力加算回路と、をさらに備える、請求項1に記載のPoE‐IPイルミネータ。
【請求項5】
センサ入力および起動出力のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載のPoEイルミネータ。
【請求項6】
前記PoE LANケーブルは、PoE+ LANケーブルである、請求項1に記載のPoE‐IPイルミネータ。
【請求項7】
前記LED光源は、少なくとも8ワットの電力を使用することができる、複数のLEDを含んでいる、請求項6に記載のPoE‐IPイルミネータ。
【請求項8】
PoE照明システムであって、
PoEスイッチに接続されている、IP‐LED制御サーバと、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータに接続されているPoEスイッチと、を備え、
前記PoE‐IPイルミネータは、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する、電力/データ分離器と、
電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換する、DC/DC回路と、
データを受け取って、このデータに応じてドライバを制御する、コントローラと、
IP‐IDを前記コントローラに提供する、IP‐ID不揮発性メモリと、
前記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つの光源に供給される前記電力を制御する、ドライバと、
照明光を生成する少なくとも1つのLED光源と、を有している、PoE照明システム。
【請求項9】
LED管理サーバをさらに備える、請求項8に記載のPoE照明システム。
【請求項10】
前記LED管理サーバは、前記PoEスイッチから離れた場所に配置されている、請求項9に記載のPoE照明システム。
【請求項11】
前記PoE‐IPイルミネータは、
前記ドライバから電力を受け取る、少なくとも1つの追加のLED光源と、
少なくとも1つの追加のパワーオーバーイーサネットLANケーブルから電力を受け取る、少なくとも1つの追加の電力/データ分離器と、
前記電力/データ分離器および前記少なくとも1つの追加の電力/データ分離器からの電力を合算し、この合算した電力を前記ドライバに供給する、電力加算回路と、をさらに有している、請求項8に記載の照明システム。
【請求項12】
前記PoE‐IPイルミネータは、センサ入力または起動出力の少なくとも1つをさらに有している、請求項8に記載の照明システム。
【請求項13】
前記PoEスイッチは、充電式バッテリをさらに有している、請求項8に記載の照明システム。
【請求項14】
前記PoEスイッチは、風力タービン、ローカル発電機、および太陽光発電装置といった電源により電力が供給される、請求項13に記載の照明システム。
【請求項15】
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより前記PoEスイッチに接続されている、IPカメラのような少なくとも1つのモーションセンサ、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより前記PoEスイッチに接続されている、少なくとも1つの照度センサ、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより前記PoEスイッチに接続されている、無線アクセスポイント、のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項8に記載の照明システム。
【請求項16】
前記無線アクセスポイントと無線でインタフェース接続しており、前記少なくとも1つのLED光源が発する光を制御するための少なくとも1つの携帯端末を、さらに備える、請求項15に記載の照明システム。
【請求項17】
前記PoEスイッチに接続されており、少なくとも1つの遠隔制御される機器を制御する少なくとも1つのコントローラを、さらに備える、請求項8に記載の照明システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの遠隔制御される機器は、アラーム、サイレン、告知用スピーカ、ディスプレイ、あるいは電光看板といった遠隔制御機器である、請求項17に記載の照明システム。
【請求項19】
現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システムであって、
ネットワークによりPoEスイッチに接続されている内線交換(PBX)サーバおよびビデオサーバと、
PoEスイッチと、を備え、このPoEスイッチは、PoE LANケーブルにより、
IPカメラ、
IP電話、
ATM機、および、
少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータ、に接続されており、
前記PoE‐IPイルミネータは、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルから受け取ったデータと電力を分離する、電力/データ分離器と、
受け取った分離された電力を、コントローラへの電力供給に要する電圧に変換する、DC/DC回路と、
分離されたデータを受け取って、この受け取った分離されたデータに応じてドライバを制御する、コントローラと、
IP‐IDを前記コントローラに提供する、IP‐ID不揮発性メモリと、
前記コントローラからコマンドを受け取って、少なくとも1つのLED光源に供給される、受け取った分離された電力を制御する、ドライバと、
照明光を生成する少なくとも1つのLED光源と、を有している、PoE照明システム。
【請求項20】
前記PoEスイッチは、充電式バッテリをさらに有している、請求項19に記載の現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システム。
【請求項21】
前記PoEスイッチは、風力タービン、ローカル発電機、および太陽光発電装置といった電源により電力が供給される、請求項20に記載の現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システム。
【請求項22】
前記PoEスイッチは、ドライ接点入力をさらに有している、請求項19に記載の現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システム。
【請求項23】
前記ネットワークは、無線ネットワークである、請求項19に記載の現金自動預払機(ATM)設置場所のためのPoE照明システム。
【請求項24】
照明方法であって、
LED管理サーバを、ネットワークに接続すること、
PoEスイッチを、前記ネットワークに接続すること、
前記PoEスイッチを、少なくとも1つのPoE LANケーブルに接続すること、
前記少なくとも1つのPoE LANケーブルを、少なくとも1つのPoE‐IPイルミネータに接続すること、を含み、
前記PoE‐IPイルミネータは、
前記PoE LANケーブルにより伝送される電力からデータを分離すること、
前記LED管理サーバに、IP−IDを伝えること、
前記PoE LANケーブルからコマンドを受け取って、解釈すること、
前記受け取ったコマンドを用いてLEDドライバを制御すること、
前記制御されるドライバを用いて、少なくとも1つのLED光源を、前記分離された電力で駆動すること、および、
前記少なくとも1つのLED光源により生成される光で照明を提供すること、が可能である、照明方法。
【請求項25】
少なくとも1つの追加のPoE LANケーブルを、前記PoE‐IPイルミネータに接続すること、
前記追加のPoE LANケーブルから受け取った電力を、前記PoE LANケーブルから受け取った電力と合算すること、および、
前記合算した電力を前記LEDドライバに供給すること、をさらに含む、請求項24に記載の照明方法。
【請求項26】
PoE照明システムであって、
PoEスイッチに接続されている、IP‐LED制御サーバと、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、連鎖可能IP‐LED灯からなる少なくとも1つの鎖に接続されている、PoEスイッチと、を備え、
前記連鎖可能IP‐LED灯の鎖は、
PoEラインを介して前記PoEスイッチに接続されているIP‐LEDマスターと、
複数の連鎖可能IP‐LED灯と、を含み、各連鎖可能IP‐LED灯は、
電源と、
LED光源と、
IP‐LEDクライアントと、を有し、
これらのIP‐LEDクライアントは、シリアル・データチャネルにより、鎖状に接続されて、前記IP‐LEDマスターに接続されており、前記IP‐LEDクライアントは、前記シリアル・データチャネルを介して受け取ったコマンドに応じて、前記電源から前記LED光源に供給される電力を制御する、PoE照明システム。
【請求項27】
窓用電動スクリーン、ドアロック、および人員アクセスポイントといった、少なくとも1つの部屋環境コントローラをさらに備える、請求項26に記載のPoE照明システム。
【請求項28】
PoE制御システムであって、
PoEスイッチに接続されているIP制御サーバと、
パワーオーバーイーサネットLANケーブルにより、少なくとも1つのIPコントローラに接続されているPoEスイッチと、
前記PoEスイッチから前記PoEケーブルを介してコマンドおよび電力を受け取り、少なくとも1つの被制御機器に電力を供給し制御することができる、少なくとも1つのIPコントローラと、
前記IPコントローラにより制御され電力供給される、少なくとも1つの遠隔制御される機器と、を備え、
前記遠隔制御される機器は、前記PoEケーブルを介して供給される電力のみにより電力供給される、PoE制御システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの遠隔制御される機器は、アラーム、サイレン、告知用スピーカ、ディスプレイ、あるいは電光看板といった遠隔制御機器である、請求項28に記載のPoE制御システム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの遠隔制御される機器は、窓用電動スクリーン、ドアロック、および人員アクセスポイントといった、遠隔制御の部屋環境コントローラである、請求項28に記載のPoE制御システム。

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−231440(P2012−231440A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131549(P2011−131549)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
【出願人】(510176651)ウィズラン リミテッド (2)
【出願人】(510176640)サイバートランスジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】