説明

パワーコントロールユニット

【課題】組立時にインバータ等の電力変換モジュールを収納する電力変換室への異物の混入を防止でき、三相端子を収納する三相端子室から電力変換室にボルトが転がり落ちてしまうことを防止するパワーコントロールユニットを提供する。
【解決手段】パワーコントロールユニット(30)は、電力変換室(76)と三相端子室(78)とを有し、電力変換室(76)は第3開口部(76a)を、三相端子室(78)は第4開口部(78a)をそれぞれ有し、三相端子(64a、64b、64c)は、一端が電力変換室(76)内の電力変換モジュール(60)に接続され、電力変換室(76)と三相端子室(78)とを連通する連通孔(162)を通って他端が三相端子室(78)に位置し、ブラケット(160)は、三相端子(64a、64b、64c)が挿入孔(168a、168b、168c)に挿入された状態で三相端子室(78)の内壁に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換モジュールを収納する電力変換室への緊結部材の進入を防止するパワーコントロールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、ハウジングのインバータ収納室にインバータを収納し、端子ボックス室に、インバータによって変換された3相の交流電力を出力する三相のプラグが樹脂でモールド成形された端子台を収納し、前記三相のプラグは、三相電動機の三相線の端子とナットに緊結されることが記載されている。前記端子台には、前記ナットが前記端子ボックス室から前記インバータ収納室に転がり落ちてしまうことを防止する緊結部材転がり防止壁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−189403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記端子台は、前記三相のプラグが樹脂でモールド成形されているため、前記端子台を端子ボックス室に収納するために、インバータ収納室と端子ボックス室へのアクセス開口を単一のものとする必要がある。従って、組立時には、インバータ収納室を外部に露出したまま三相の電力線を端子台のプラグに接続することになり、インバータ収納室に塵や埃等の異物が混入する。
【0005】
そこで、本発明は、組立時にインバータ等の電力変換モジュールを収納する電力変換室への異物の混入を防止でき、三相端子を収納する三相端子室から電力変換室にボルトが転がり落ちてしまうことを防止するパワーコントロールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に搭載されるパワーコントロールユニットにおいて、前記パワーコントロールユニットのケースに、電力変換モジュールが収納される電力変換室と、前記電力変換モジュールと外部電気機器とを接続するための三相端子が収納される三相端子室とが設けられ、前記電力変換室は前記電力変換室の内部へのアクセスを可能にする電力変換室開口部を、前記三相端子室は前記三相端子室の内部へのアクセスを可能にする三相端子室開口部をそれぞれ有し、前記三相端子は、一端が前記電力変換モジュールに接続され、前記電力変換室と前記三相端子室とを連通する連通孔を通って、他端が前記三相端子室に位置し、前記三相端子が挿入される挿入孔を有するブラケットは、前記三相端子が前記挿入孔に挿入された状態で前記三相端子室の内壁に固定されるとともに、前記三相端子室側から前記連通孔を覆うように設けられ、前記ブラケットと前記三相端子室の内壁との隙間、及び、前記三相端子が挿入された状態での前記挿入孔の隙間が、前記三相端子の前記他端と前記外部電気機器に接続するコネクタとを締結するための緊結部材が通らない所定の距離以下であることを特徴とする。
【0007】
このように、前記パワーコントロールユニットは、前記電力変換室開口部を有する前記電力変換室と前記三相端子室開口部を有する前記三相端子室とを有し、前記三相端子は、一端が前記電力変換モジュールに接続され、前記電力変換室と三相端子室とを連通する連通孔を通って他端が前記三相端子室に位置し、前記ブラケットは、前記三相端子が前記挿入孔に挿入された状態で前記三相端子室の内壁に固定され、前記ブラケットと前記三相端子室の内壁との隙間、及び、前記三相端子が挿入された状態での前記挿入孔の隙間を、前記緊結部材が通らない所定の距離以下としたので、前記ブラケットは、前記緊結部材が前記電力変換室に入ることを阻止することができる。また、前記電力変換室と前記三相端子室とは別個の開口部を有し、前記電力変換室開口部が開放されていなくても、前記三相端子を前記電力変換モジュールに接続することができるので、前記電力変換室の電力変換室開口部を蓋等によって覆うことができ、塵や埃等の異物が前記電力変換室に混入することを防止することができる。
【0008】
前記ブラケットは、第1水平面と、前記第1水平面より低い位置に設けられる第2水平面と、前記第1水平面と前記第2水平面との間に形成された傾斜面とを有し、前記挿入孔は、前記傾斜面に設けられてよく、前記三相端子室の高さを前記電力変換室より高く形成することで、前記三相端子室開口部は前記電力変換室開口部より高い位置に形成され、前記第2水平面を前記三相端子室の内壁である底面に取り付け、前記第1水平面を前記電力変換室より高い位置にある前記三相端子室の前記電力変換室側の内壁に取り付けるようにしてもよい。これにより、前記ブラケットの前記三相端子室への取り付けが容易になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパワーコントロールユニットによれば、ブラケットは、三相端子がブラケットの挿入孔に挿入された状態で三相端子室の内壁に固定され、ブラケットと三相端子室の内壁との隙間、及び、三相端子が挿入された状態での挿入孔の隙間を、緊結部材が通らない所定の距離以下としたので、ブラケットによって、緊結部材が電力変換室に入ることを阻止することができる。また、電力変換室及び三相端子室は別個の開口部を有し、電力変換室開口部が開放されていなくても、三相端子を電力変換モジュールに接続することができるので、電力変換室の電力変換室開口部を蓋等によって覆うことができ、塵や埃等の異物が電力変換室に混入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態の電気自動車の概略構成を模式化した概略構成斜視図である。
【図2】実施の形態の電気自動車の概略構成を模式化した概略構成側面図である。
【図3】図1に示すパワーコントロールユニットの外観斜視図である。
【図4】図3に示すパワーコントロールユニットの分解斜視図である。
【図5】図4に示すヒートシンクの上面図である。
【図6】図4に示すロアケースの底面図である。
【図7】パワーコントロールユニットの回路図である。
【図8】図5のヒートシンクの上部にアッパーケースを配置したときの上面図である。
【図9】パワーコントロールユニットの一部断面図である。
【図10】ブラケットが設けられた三相端子室の拡大図である。
【図11】ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るパワーコントロールユニットを有する電気自動車について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
図1は、電気自動車(車両)10の概略構成を模式化した概略構成斜視図、図2は、電気自動車10の概略構成を模式化した概略構成側面図である。なお、本実施の形態では、車体12の鉛直方向を上下方向とし、該鉛直方向に垂直な方向を水平方向とする。また、電気自動車10の進行方向を前、後退方向を後、進行方向に向かって左方向を左、右方向を右とする。
【0013】
電気自動車10は、車体12内部に、前輪14L、14Rと後輪16L、16Rとの間で、且つ、車体12の底部に設けられた高電圧を出力するバッテリ18と、フロアパネル20を介してバッテリ18の上方に設けられる車室22と、該車室22とは隔てられて車体12の前方に区画されたモータルーム24と、該モータルーム24を覆うダッシュパネル26と、ダッシュパネル26の下方で、且つ、該モータルーム24に設けられた回転電機の一種である走行用モータ(外部電気機器)28の上方に載置されたパワーコントロールユニット(Power Control Unit)30とを備える。ダッシュパネル26は、ダッシュパネルロア26aとダッシュパネルアッパー26bとを有する。ダッシュパネル26は、モータルーム24と車室22とを仕切るものであり、モータルーム24からの汚れ、水、臭い等の浸入を防ぐ構造を有する。また、ダッシュパネル26は、外部からの水の浸入に対して、A/C(エアコンディショナー)配管内に流入させない水排出機能を有する。
【0014】
電源ケーブル34は、バッテリ18に蓄積された電力をパワーコントロールユニット30に伝達するためのものであり、電源ケーブル34の一端はバッテリ18の電源コネクタ36に接続され、他端はパワーコントロールユニット30の電源コネクタ94(図7参照)に接続される。パワーコントロールユニット30は、バッテリ18から供給される直流電力を三相(U、V、W相)の交流電力に変換し、該変換した三相の交流電力を走行用モータ28に供給することで走行用モータ28を駆動制御する。
【0015】
パワーコントロールユニット30は、直流電力を三相交流に変換する電力変換モジュール60(図4、図5、図7参照)と電力変換モジュール60を制御することで走行用モータ28を駆動させるECU70(図4、図7参照)とを有する。走行用モータ28とパワーコントロールユニット30とは、三相交流電力ケーブル(電力供給線)38を介して接続されており、三相交流電力ケーブル38の一端は走行用モータ28の電力コネクタ40に接続され、三相交流電力ケーブル38の他端はパワーコントロールユニット30の電力コネクタ42(電力コネクタ42a、42b、42c)に接続される。パワーコントロールユニット30を走行用モータ28の上方に配置させるので、高電圧の三相交流電力ケーブル38を短くすることができる。
【0016】
図3はパワーコントロールユニット30の外観斜視図、図4はパワーコントロールユニット30の分解斜視図を示す。パワーコントロールユニット30は、ヒートシンク50と、ヒートシンク50の上部に設けられるアッパーケース52と、アッパーケース52の上部を覆う上カバー54と、ヒートシンク50の下部に設けられるロアケース56と、ロアケース56の下部を覆う下カバー58とを有する。ヒートシンク50、アッパーケース52、上カバー54、ロアケース56、及び下カバー58のうち、少なくともアッパーケース52は、アルミ等の金属で構成されている。ヒートシンク50、アッパーケース52、上カバー54、ロアケース56、及び下カバー58は、パワーコントロールユニット30の筐体を構成する。
【0017】
ヒートシンク50の上面略中央には電力変換モジュール60が、ヒートシンク50の上面右側には、外部からバッテリ18を充電する際に用いられる急速充電用デバイス(充電用デバイス)62、ヒューズ98a、98b(図5、図7参照)等が設けられ、ヒートシンク50の左側上方には、電力変換モジュール60とアッパーケース52の電力コネクタ42a、42b、42cとを接続する三相端子64a、64b、64cが設けられている。電力変換モジュール60は、バッテリ18の直流電力を三相(U、V、W相)の交流電力に変換し、該変換した各相の交流電力を三相端子64a、64b、64cに出力する。三相端子64a、64b、64cは、その中間部がヒートシンク50の上面左側に設けられた三相端子台66に支持される。
【0018】
電力変換モジュール60は、複数のスイッチング素子を有するスイッチングモジュールを筐体内に内蔵する。この複数のスイッチング素子がオンオフされることで、電力変換モジュール60は、バッテリ18からの直流電力を三相の交流電力に、又は、走行用モータ28から三相の交流電力を直流電力に変換する。
【0019】
ヒートシンク50とアッパーケース52とで、急速充電用デバイス62を収納する充電デバイス室72と、ヒューズ98a、98bを収納するヒューズ室74、電力変換モジュール60を収納する電力変換室76、三相端子64a、64b、64cを収納する三相端子室78とが形成される。充電デバイス室72は、充電デバイス室72内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第1開口部(充電デバイス室開口部)72aを有し、ヒューズ室74は、ヒューズ室74内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第2開口部(ヒューズ室開口部)74aを有し、電力変換室76は、電力変換室76内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第3開口部(電力変換室開口部)76aを有し、三相端子室78は、三相端子室78内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第4開口部(三相端子室開口部)78aを有する(図8参照)。電力変換モジュール60を制御するECU(制御装置)70は、急速充電用デバイス62の上方であって、充電デバイス室72内に設けられている。
【0020】
上カバー54は、第1開口部72aを覆う第1上カバー54aと、第2開口部74aを覆う第2上カバー54bと、第3開口部76aを覆う第3上カバー54cと、第4開口部78aを覆う第4上カバー54dとを有する。充電デバイス室72は、ヒューズ室74、電力変換室76、及び三相端子室78より高く形成されているので、第1開口部72aは、第2開口部74a〜第4開口部78aに比べ、高い位置に形成されている。また、三相端子室78は、電力変換室76より高く形成されているので、第4開口部78aは、第3開口部76aに比べ高い位置に形成されている。
【0021】
電力変換モジュール60の上方、且つ、第3開口部76aの下方で、平滑コンデンサ96(図7参照)を有するコンデンサモジュール80がアッパーケース52の内壁に吊り下げられるように取り付けられている。平滑コンデンサ96は、電力変換モジュール60と電気的に接続され、バッテリ18からの電力を平滑化するものである。コンデンサモジュール80は、平滑コンデンサ96を筐体で収納したものである。
【0022】
ロアケース56の底面には、バッテリ18を充電する充電器82と、電気自動車10に搭載された低電圧系のデバイス(電装品)に低電圧の電力を供給するためにバッテリ18の電圧を降圧させるDC/DCコンバータ84とが設けられている。DC/DCコンバータ84及び充電器82は、長方形の筐体に収納されたものであり、DC/DCコンバータ84より部品数が多く大きくなり易い充電器82の筐体は、DC/DCコンバータ84の筐体よりも大きい。
【0023】
ヒートシンク50は、流体が流入される流入部86と、流体が流出する流出部88とを有する。ヒートシンク50の底面とロアケース56の上面とで前記流体が流れる流路(図示略)が形成される。流入部86から流入した前記流体は、ヒートシンク50とロアケース56によって形成された前記流路を通って流出部88から流出する。流入部86から流入した流体は、ヒートシンク50とロアケース56によって形成された流路を通って流出部88から流体が流出する。これにより、ヒートシンク50は、ヒートシンク50の上面側に設けられた電力変換モジュール60及び急速充電用デバイス62等、及び、ヒートシンク50の底面側に設けられた充電器82及びDC/DCコンバータ84が発熱した熱量を放熱させて冷却することができる。
【0024】
図5はヒートシンク50の上面図、図6はロアケース56の底面図、図7はパワーコントロールユニット30の回路図である。
【0025】
電力変換モジュール60は、電源コネクタ94(図7参照)に接続され、電源ケーブル34を介してバッテリ18を電源コネクタ94に接続することで、電力変換モジュール60とバッテリ18とが接続される。電力変換モジュール60とバッテリ18との間に、電圧を平滑化するコンデンサモジュール80の平滑コンデンサ96が並列に接続されている。コンデンサモジュール80は、DC/DCコンバータ84、充電器82、及び急速充電用デバイス62、及びヒューズ98a、98bとバスバーによって電気的に接続されている。
【0026】
これにより、DC/DCコンバータ84、充電器82、急速充電用デバイス62、及びヒューズ98a、98bは、バッテリ18と接続される。バスバーは、銅板等の金属板を打ち抜き加工することで形成される。急速充電用デバイス62は、ダイオード(急速充電用ダイオード)100、第1メインコンタクタ(第1急速充電用コンタクタ)102、第2メインコンタクタ(第2急速充電用コンタクタ)104、抵抗R、及びプレコンタクタ106を有する。このように、高電圧部品(電力変換モジュール60、DC/DCコンバータ84、充電器82、急速充電用デバイス62)を1つの筐体に収納することで、高電圧ケーブルを用いることなくバスバーで接続することができ、パワーコントロールユニット30を小型化することができ、更に、コストが低廉になる。
【0027】
コンデンサモジュール80は、図5に示すように、第1正端子110a、第1負端子110b、第2正端子112a、第2負端子112b、第3正端子114a、第3負端子114bとを有し、第1正端子110a、第2正端子112a、及び第3正端子114aは互いに導通しており、第1負端子110b、第2負端子112b、及び第3負端子114bは互いに導通している。第2正端子112a及び第2負端子112bは、バスバー115a、115b、及び、電源ケーブル94a、94b(図6参照)を介して電源コネクタ94に接続されており、これにより、第2正端子112aはバッテリ18の正極側と、第2負端子112bはバッテリ18の負極側とにそれぞれ接続される。
【0028】
電力変換モジュール60は、第2正端子112a及び第2負端子112bに接続される図示しない接続正端子及び接続負端子(接続端子)を有し、電力変換モジュール60の前記接続正端子は、第2正端子112aとバスバー115aの一端とに接続され、電力変換モジュール60の前記接続負端子は、第2負端子112bとバスバー115bの一端とに接続されている。電源ケーブル94a、94bは、ヒートシンク50の下方から貫通孔50a、50bを通ってパワーコントロールユニット30内に挿入され、バスバー115a、115bの他端に接続されている。
【0029】
第1正端子110aと、ヒューズ98a、98bの一端と、及びダイオード100のカソードとは、単一のバスバー116によって接続されており、バスバー116とバッテリ18とは同電位である。第1正端子110aと接続されていないヒューズ98aの他端は、エアコンコンプレッサ(空調用コンプレッサ)118に接続され、第1正端子110aと接続されていないヒューズ98bの他端は、ヒータ120に接続される(図7参照)。
【0030】
ダイオード100のカソードは、抵抗R、プレコンタクタ106を介して、第1メインコンタクタ102の一端に接続され、ダイオード100のアノードは、バスバー122によって第1メインコンタクタ102の前記一端に接続される。第1負端子110bは、バスバー124によって第2メインコンタクタ104の一端に接続される。
【0031】
第3正端子114aは、図5及び図6に示すように、バスバー126、128によって充電器82の第4正端子130aと、バスバー126、132によってDC/DCコンバータ84の第5正端子134aとにそれぞれ接続され、第3負端子114bは、バスバー136、138によって充電器82の第4負端子130bと、バスバー136、140によってDC/DCコンバータ84の第5負端子134bとに接続されている。
【0032】
充電器82の第6正端子142a及び第6負端子142bは、ケーブル92aを介してコネクタ92に接続され、DC/DCコンバータ84の第7正端子144a及び第7負端子144bは、パワーコントロールユニット30の外部に導出したケーブル146に接続されている。これにより、DC/DCコンバータ84によって降圧された電力は、ケーブル146によって電気自動車10に搭載された低電圧系のデバイスに供給可能となる。
【0033】
また、電力変換モジュール60は、図5に示すように、U相端子148a、V相端子148b、W相端子148cを有し、U相端子148aに三相端子64aが接続され、V相端子148bに三相端子64bが接続され、W相端子148cに三相端子64cが接続される。
【0034】
図6に示すようにDC/DCコンバータ84及び充電器82は、長手方向がお互いに直交するように配置され、DC/DCコンバータ84の長辺と充電器82の短辺とが隣り合うように配置されている。
【0035】
コネクタ92に接続されたプラグ93が商業用コンセントに接続されることで、100V又は200Vの交流電力が充電器82に供給され、充電器82は、バッテリ18を普通充電する(図7参照)。
【0036】
図8は、図5のヒートシンク50の上部にアッパーケース52を配置したときの上面図である。なお、図8においては、コンデンサモジュール80の図示を省略している。アッパーケース52には、急速充電用コネクタ152が設けられており、第1メインコンタクタ102の他端及び第2メインコンタクタ104の他端が、バスバー154a、154bを介して急速充電用コネクタ152に接続される。急速充電用コネクタ152には、サービスエリア等や給電ステーションに設けられた図示しない高圧の直流電力を供給する急速充電器の充電器側コネクタ156と接続するコネクタ158が接続される(図7参照)。前記急速充電器の充電器側コネクタ156とコネクタ158とが接続されることで、前記急速充電器はバッテリ18を急速充電する。
【0037】
図9は、パワーコントロールユニット30の一部断面図、図10は、後述するブラケット160が設けられた三相端子室78の拡大図、図11は、ブラケット160の斜視図である。図9に示すように、電力変換室76と三相端子室78とは連通孔162により連通しており、三相端子64a、64b、64cは、一端がボルト(緊結部材)164によってU相端子148a、V相端子148b、W相端子148cに接続され、該連通孔162を通って他端が三相端子室78に位置している。三相端子64a、64b、64cの他端はボルト(緊結部材)166によって電力コネクタ42a、42b、42cと接続される。これにより、電力変換モジュール60のU相端子148a、V相端子148b、W相端子148cと電力コネクタ42a、42b、42cとが接続される。
【0038】
三相端子64a、64b、64cの前記他端と接続する電力コネクタ42a、42b、42cの接続点は、U相端子148a、V相端子148b、W相端子148cより高い位置に設けられているので、三相端子64a、64b、64cは、前記一端から他端に向かって、上方に屈曲して後方水平に延びた形状を有している。
【0039】
ボルト166によって、三相端子64a、64b、64cを電力コネクタ42a、42b、42cに締結する際に、ボルト166が転がり落ち、連通孔162を通って電力変換室76に入らないようにするために、三相端子室78内には、ブラケット160が設けられている。ブラケット160は、図10及び図11に示すように、三相端子64a、64b、64cが挿入される挿入孔168a、168b、168cを有する。ブラケット160は、三相端子64a、64b、64cが挿入孔168a、168b、168cに挿入された状態で三相端子室78の内壁に固定されることで、三相端子室78側から連通孔162を覆うように三相端子室78内に取り付けられる。ブラケット160と三相端子室78の内壁との隙間、及び、三相端子64a、64b、64cが挿入された状態での挿入孔168a、168b、168cの隙間は、少なくともボルト166が通らない所定の距離以下である。このブラケット160により、三相端子64a、64b、64cを電力コネクタ42a、42b、42cに接続する際に、ボルト166が落ちても、電力変換室76に入ることはない。
【0040】
ブラケット160は、図9及び図11に示すように、第1水平面160aと、第1水平面160aより低い位置に設けられる第2水平面160bと、第1水平面160aと第2水平面160bとの間に形成された傾斜面160cとを有し、第2水平面160bと傾斜面160cに挿入孔168a、168b、168cが形成されている。
【0041】
三相端子室78は、電力変換室76より高く形成されているので、第3開口部76aは、第4開口部78aより高い位置に形成されている。ブラケット160の第2水平面160bは、三相端子室78の内壁である底面170にクリップ172によって取り付けられ、ブラケット160の第1水平面160aは、電力変換室76より高い位置にある三相端子室78の電力変換室76側の内壁174にクリップ172によって取り付けられている。詳しくは、内壁174は、第1水平面160aを固定するための突出部176を有し、第1水平面160aはクリップ172によって突出部176に取り付けられる。
【0042】
次に、三相端子64a、64b、64cの取り付け手順について説明する。電力変換モジュール60、急速充電用デバイス62、ヒューズ98a、98b等をヒートシンク50に取り付け後、アッパーケース52をヒートシンク50の上部に取り付ける。そして、電力変換室76に異物が混入することを防止すべく、第3開口部76aを覆うように第3上カバー54cをアッパーケース52に取り付ける。その後、三相端子64a、64b、64cを第4開口部78aから連通孔162を通って、電力変換室76内に挿入し、三相端子64a、64b、64cの前記一端と電力変換モジュール60のU相端子148a、V相端子148b、W相端子148cとをボルト164で締結する。
【0043】
そして、ブラケット160の挿入孔168a、168b、168cに三相端子64a、64b、64cを挿入した後、クリップ172によってブラケット160を三相端子室78の内壁に固定する。その後、三相端子64a、64b、64cと電力コネクタ42a、42b、42cとをボルト166で締結し、三相端子室78の第4開口部78aを覆うように第4上カバー54dをアッパーケース52に取り付ける。三相端子64a、64b、64cと電力コネクタ42a、42b、42cとをボルト166で締結する際にボルト166が落ちても、ブラケット160は、電力変換室76にボルト166が転がり落ちることを阻止することができる。
【0044】
このように、パワーコントロールユニット30には、電力変換モジュール60が収納され、且つ、内部へのアクセスを可能にする第3開口部76aを有する電力変換室76と、三相端子64a、64b、64cが収納され、且つ、内部へのアクセスを可能にする第4開口部78aを有する三相端子室78とが設けられ、三相端子64a、64b、64cは、前記一端が電力変換モジュール60のU相端子148a、V相端子148b、W相端子148cに接続され、連通孔162を通って前記他端が三相端子室78に位置し、ブラケット160は、三相端子64a、64b、64cが挿入孔168a、168b、168cに挿入された状態で、三相端子室78の内壁に固定され、ブラケット160と三相端子室78の内壁との隙間、及び、三相端子64a、64b、64cが挿入された状態での挿入孔168a、168b、168cの隙間を、ボルト166が通らない所定の距離以下としたので、ブラケット160は、ボルト166が電力変換室76に転がり落ちることを阻止することができる。
【0045】
また、電力変換室76と三相端子室78とは別個に第3開口部76aと第4開口部78aとを有し、第3開口部76aが開放されていなくても、三相端子64a、64b、64cを電力変換モジュール60のU相端子148a、V相端子148b、W相端子148cに接続することができるので、三相端子64a、64b、64cの電力変換モジュール60への接続の際には、電力変換室76の第3開口部76aを第3上カバー54cで覆うことができ、塵や埃等の異物が電力変換室76に混入することを防止することができる。
【0046】
また、ブラケット160は、第1水平面160aと、第1水平面160aより低い位置に設けられる第2水平面160bと、第1水平面160aと第2水平面160bとの間に形成された傾斜面160cとを有し、挿入孔168a、168b、168cは、傾斜面160cに設けられ、三相端子室78の高さを電力変換室76より高く形成することで、第4開口部78aは、第3開口部76aより高い位置に形成され、第2水平面160bを三相端子室78の底面170に取り付け、第1水平面160aを電力変換室76より高い位置にある三相端子室78の電力変換室76側の内壁174に取り付けるので、ブラケット160の三相端子室78への取り付けが容易になる。
【0047】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0048】
10…電気自動車 12…車体
18…バッテリ 28…走行用モータ
30…パワーコントロールユニット 34、94a、94b…電源ケーブル
36、94…電源コネクタ 38…三相交流電力ケーブル
40、42、42a、42b、42c…電力コネクタ
50…ヒートシンク 52…アッパーケース
54…上カバー 56…ロアケース
58…下カバー 60…電力変換モジュール
62…急速充電用デバイス 64a、64b、64c…三相端子
66…三相端子台 70…ECU
72…充電デバイス室 72a…第1開口部
74…ヒューズ室 74a…第2開口部
76…電力変換室 76a…第3開口部
78…三相端子室 78a…第4開口部
80…コンデンサモジュール 82…充電器
84…DC/DCコンバータ 98a、98b…ヒューズ
100…ダイオード 102…第1メインコンタクタ
104…第2メインコンタクタ 106…プレコンタクタ
115a、115b、116、122、124、126、128、132、136、138、140、154a、154b…バスバー
118…エアコンコンプレッサ 120…ヒータ
160…ブラケット 160a…第1水平面
160b…第2水平面 160c…傾斜面
162…連通孔 164、166…ボルト
168a、168b、168c…挿入孔 170…底面
172…クリップ 174…内壁
176…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるパワーコントロールユニットにおいて、
前記パワーコントロールユニットのケースに、電力変換モジュールが収納される電力変換室と、前記電力変換モジュールと外部電気機器とを接続するための三相端子が収納される三相端子室とが設けられ、
前記電力変換室は前記電力変換室の内部へのアクセスを可能にする電力変換室開口部を、前記三相端子室は前記三相端子室の内部へのアクセスを可能にする三相端子室開口部をそれぞれ有し、
前記三相端子は、一端が前記電力変換モジュールに接続され、前記電力変換室と前記三相端子室とを連通する連通孔を通って、他端が前記三相端子室に位置し、
前記三相端子が挿入される挿入孔を有するブラケットは、前記三相端子が前記挿入孔に挿入された状態で前記三相端子室の内壁に固定されるとともに、前記三相端子室側から前記連通孔を覆うように設けられ、
前記ブラケットと前記三相端子室の内壁との隙間、及び、前記三相端子が挿入された状態での前記挿入孔の隙間が、前記三相端子の前記他端と前記外部電気機器に接続するコネクタとを締結するための緊結部材が通らない所定の距離以下である
ことを特徴とするパワーコントロールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーコントロールユニットにおいて、
前記ブラケットは、第1水平面と、前記第1水平面より低い位置に設けられる第2水平面と、前記第1水平面と前記第2水平面との間に形成された傾斜面とを有し、
前記挿入孔は、前記傾斜面に設けられ、
前記三相端子室の高さを前記電力変換室より高く形成することで、前記三相端子室開口部は前記電力変換室開口部より高い位置に形成され、
前記第2水平面を前記三相端子室の内壁である底面に取り付け、前記第1水平面を前記電力変換室より高い位置にある前記三相端子室の前記電力変換室側の内壁に取り付ける
ことを特徴とするパワーコントロールユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−112237(P2013−112237A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261236(P2011−261236)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】