説明

パワープラントマウント用の汎用フレーム構造。

【課題】 車体に対し、任意のパワープラントを搭載可能にする。
【解決手段】 本発明の汎用フレーム構造1は、キャビン10aの前端部に対し、それぞれの基端部が取り付けられ車体前後方向に延びる4本のサイドフレーム2と、サイドフレーム2及びパワープラント11の間に介装される複数のマウント装置3とを備えている。サイドフレーム2は、その表面に多数の取付穴20が互いに一定間隔をおいて列設されるとともに、キャビン10a及び該サイドフレーム2の間に、両者の相対位置を調節するためのサイドフレーム用アジャスタ25が介装されている。マウント装置3は、そのサイドフレーム側が多数の取付穴20のうちの2つの取付穴20に取り付けられるように構成されるとともに、パワープラント側接続部41、及びサイドフレーム側接続部42の間に、該両接続部の相対位置を調節するためのマウント装置用アジャスタ43が介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に対し、動力源及びミッションを含む任意のパワープラントをマウントするための汎用フレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワープラントをマウントするためのフレーム構造に関する第一の従来技術としては、特許文献1に記載されたエンジンマウント用サブフレームを例示する。このサブフレームは、図15に示すように、エンジンを搭載するために車体のサイドフレーム間に渡される平面視略ロ字形のサブフレーム103において、このサブフレームを車幅方向に延びるクロスメンバ104,105と車体前後方向に延びるサイドメンバ106,107とで構成した場合に、サイドメンバ106,107は、衝撃エネルギーの吸収性能を変化させた多種類のものを準備し、エンジンやトランスミッションの変更に伴ってサイドメンバ106,107を適宜選択し、クロスメンバ104,105に組合せるようにしている。
【0003】
また、第二の従来技術としては、特許文献2に記載されたパワープラントマウント構造を例示する。この構造は、図16に示すように、パワープラント部材Xをパワープラント支持部材203を介して車体側にマウントさせるものにおいて、上記パワープラント部材Xを、車体側に対するマウント部Yの車体前後方向における配置位置が異なるものを複数機種設定する一方、該マウント部Yに中間ブラケット210を取り付け、該中間ブラケット210を介して上記パワープラント部材Xを上記パワープラント支持部材203にマウントさせるとともに、該中間ブラケット210として、上記パワープラント支持部材203側への固定面と上記マウント部205側への固定面の車体前後方向における相対位置が異なるものを複数種類設定し、これを上記パワープラント部材Xの機種に対応して選択適用可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−175191号公報
【特許文献2】特開2000−264075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、第一の従来技術では、エンジンやトランスミッションごとにサイドメンバ106,107を用意しなければならないという課題がある。また、エンジンやトランスミッションの外径寸法等は、サイドメンバ106,107の変更のみで対応可能な範囲に限られており、汎用性がないという課題がある。
【0006】
また、第二の従来技術は、マウント可能なパワープラントは、中間ブラケット210の変更で対応できるものに限られており、汎用性がないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造は、
車体に対し、任意のパワープラントを搭載するためのパワープラントマウント用の汎用フレーム構造であって、
前記車体のキャビンの前端部又は後端部に対し、それぞれの基端部が取り付けられ、前記パワープラントの略左上側、略左下側、略右上側、及び略右下側においてそれぞれ車体前後方向に延びる4本のサイドフレームと、
該4本のサイドフレームに対し前記パワープラントを支持するように、前記サイドフレーム及び前記パワープラントの間に介装される複数のマウント装置とを備え、
前記サイドフレームは、その表面に多数の取付穴が互いに一定間隔をおいて該サイドフレームの長さ方向へ列設されるとともに、前記キャビン及び該サイドフレームの間に、該キャビン及び該サイドフレームの相対位置を調節するためのサイドフレーム用アジャスタが介装されており、
前記マウント装置は、その前記サイドフレーム側が前記多数の取付穴のうちの1又は2以上の取付穴に取り付けられるように構成されるとともに、前記パワープラントに接続されるパワープラント側接続部、及び前記サイドフレームに接続されるサイドフレーム側接続部の間に、該両接続部の相対位置を調節するためのマウント装置用アジャスタが介装されている。
【0008】
この構成によれば、前記サイドフレーム用アジャスタ及び前記マウント装置用アジャスタを調節するとともに、前記多数の取付穴を利用することにより、前記車体に対し、任意のパワープラントを容易に搭載することができる。
【0009】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
前記サイドフレームと前記キャビンを連結するリンクにおける該サイドフレームへの被取付部位、前記サイドフレーム同士を連結するリンクにおける該サイドフレームへの被取付部位、又は前記サイドフレームに装備されるサスペンションにおける該サイドフレームへの被取付部位を、該サイドフレームに取り付けるためのブラケットを備え、
該ブラケットは、前記多数の取付穴のうちの1又は2以上の取付穴にそれぞれ取り付けられるように構成された態様を例示する。
【0010】
この構成によれば、前記多数の取付穴を利用することにより、前記リンク又は前記サスペンションを前記サイドフレームに容易に取り付けることができる。
【0011】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
前記マウント装置用アジャスタは、前記パワープラント側接続部及び前記サイドフレーム側接続部の間に介装されるスペーサを有し、該スペーサに応じて前記パワープラント側接続部及び前記サイドフレーム側接続部の相対位置が変更されるように構成された態様を例示する。
【0012】
この構成によれば、前記パワープラント側接続部及び前記サイドフレーム側接続部の相対位置を前記パワープラントに応じて容易に調節することができる。
【0013】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
前記サイドフレーム用アジャスタは、前記キャビン及び前記サイドフレームの間に介装されるスペーサを有し、該スペーサに応じて前記キャビン及び前記サイドフレームの相対位置が変更されるように構成された態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、前記キャビン及び前記サイドフレームの相対位置を前記パワープラントに応じて容易に調節することができる。
【0015】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
前記サイドフレーム用アジャスタは、前記サイドフレームの車体幅方向における位置を調節可能に構成された態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、前記パワープラントに応じた最適な位置で前記サイドフレームを前記車体に支持することができる。
【0017】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
前記サイドフレーム用アジャスタは、車体前後方向と略直角方向に延びる軸を中心に前記サイドフレームの角度を調節可能に構成された態様を例示する。
【0018】
この構成によれば、前記パワープラントに応じた最適な角度で前記サイドフレームを前記車体に支持することができる。
【0019】
前記パワープラントマウント用の汎用フレーム構造としては、
複数の前記サイドフレームの先端部同士を互いに連結する連結部材を備えた態様を例示する。
【0020】
この構成によれば、複数の前記サイドフレームを一体化でき、強固なフレーム構造を構築できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るパワープラントマウント用の汎用フレーム構造によれば、車体に対し、任意のパワープラントを容易に搭載することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係るパワープラントマウント用の汎用フレーム構造の正面図である。
【図2】同フレーム構造の平面図である。
【図3】同フレーム構造の右側面図である。
【図4】同フレーム構造のサイドフレームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は(b)のc−c線断面図、(d)は(b)のd−d線断面図である。
【図5】同サイドフレームの変更例を示す図である。
【図6】同フレーム構造のブラケットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図7】同サイドフレームに同ブラケットを取り付けた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図8】同フレーム構造のリンクを示す平面図である。
【図9】変更例に係る同サイドフレームに同ブラケットを取り付けた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図10】同フレーム構造のマウント装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は厚さの厚いスペーサに変更された状態の右側面図である。
【図11】本発明を具体化した第二実施形態に係るパワープラントマウント用の汎用フレーム構造の正面図である。
【図12】同フレーム構造の平面図である。
【図13】同フレーム構造の底面図である。
【図14】同フレーム構造の右側面図である。
【図15】第一の従来技術のフレーム構造を示す平面図である。
【図16】第二の従来技術のフレーム構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図10は本発明を具体化した第一実施形態のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造を示している。この汎用フレーム構造1は、図1〜図3に示すように、車体10に対し、任意のパワープラント11を搭載するためものであり、車体10のキャビン10aの前端部に対し、それぞれの基端部が取り付けられ、パワープラント11の略左上側、略左下側、略右上側、及び略右下側においてそれぞれ車体前後方向に延びる4本のサイドフレーム2と、該4本のサイドフレーム2に対しパワープラント11を支持するように、サイドフレーム2及びパワープラント11の間に介装される複数のマウント装置3とを備えている。本例の車体10は、前側に装備されたパワープラント11が前側の車輪12を駆動するフロントエンジン・フロントドライブ(FF)式に構成されている。
【0024】
本例では、4本のサイドフレーム2は、車体10の正面から見て上下対称かつ左右対称の位置に配設されている。また、本例では、マウント装置3は、車体10の正面から見て、左上のサイドフレーム2とパワープラント11におけるエンジン11a前面の左上側との間、左下のサイドフレーム2とパワープラント11におけるエンジン11a前面の左下側との間、右上のサイドフレーム2とパワープラント11におけるミッション11b上面の後側との間、右下のサイドフレーム2とパワープラント11におけるミッション11b前面の右下側との間、及び、キャビン10aとパワープラント11におけるミッション11b後面の下側との間にそれぞれ装備されている。
【0025】
サイドフレーム2は、図4に示すように、角筒状の鋼材からなっている。キャビン10a及び該サイドフレーム2の間には、該キャビン10a及び該サイドフレーム2の相対位置を調節するためのサイドフレーム用アジャスタ25が介装されている。サイドフレーム2の表面(上面、底面、左右の側面)には、多数の取付穴20が互いに一定間隔をおいてサイドフレーム2の長さ方向へ列設されている。本例の取付穴20は雌ネジ孔となっている。本例では、サイドフレーム2の上面(又は底面)における多数の取付穴20は、サイドフレーム2の長さ方向に沿うように1列のみ設けられているが、サイドフレーム2の側面と同様に、サイドフレーム2の上面(又は底面)の幅に応じて複数列にすることも可能である。各取付穴20の近傍には凹部21(穴でもよい。)が設けられ、被取付物に設けられた凸部22が該凹部21に嵌入するようになっている。これら凹部21及び凸部22は被取付物の回り止め手段として作用するようになっている。回り止め手段としては、これに限定されず、例えば、取付穴20の近傍に凸部を設け、該凸部が嵌合する凹部(穴でもよい。)を被取付物に設けることによる手段や、凹部21を使用せずに複数の取付穴20に対して一つの被取付物を取り付けることによる手段等を適宜用いることもできる。
【0026】
サイドフレーム2の表面に設ける多数の取付穴20や凹部21の配列については、例えば図5のように、適宜変更することができる。同図(a)は、サイドフレーム2の長さ方向L及び幅方向Wの両方に、取付穴20及び凹部21を交互かつ等間隔で配列した態様である。同図(b)は、サイドフレーム2の長さ方向L及び幅方向Wの両方に、取付穴20を等間隔で配列するとともに、サイドフレーム2の長さ方向L及び幅方向Wにおける取付穴20同士の中間に凹部21を配列した態様である。同図(c)は、同図(a)において、凹部21を省いた態様である。同図(d)は、同図(b)において、凹部21を省いた態様である。
【0027】
前記略左上側に延びるサイドフレーム2と、前記略右上側に延びるサイドフレーム2とは、先端部同士が略左右方向に延びる横バー30により互いに連結されている。前記略左下側に延びるサイドフレーム2と、前記略右下側に延びるサイドフレーム2とは、先端部同士が略左右方向に延びる横バー31により互いに連結されている。これらの横バー30,31は、上下に延びる左右一対の縦バー32,32により連結されている。このように複数のサイドフレーム2の先端部同士が連結部材としてのバー30,31,32で互いに連結されている。
【0028】
サイドフレーム用アジャスタ25は、キャビン10aに取り付けられるベース部35と、該ベース部35の前面に取り付けられるスペーサ部36と、該スペーサ部36の前面に取り付けられるスライド部37とを備えており、該スライド部37の前面にサイドフレーム2の基端部が取り付けられるようになっている。スペーサ部36は、車体前後方向の厚さを有する厚板状に形成されており、該厚さに応じてキャビン10a及びサイドフレーム2の相対位置が変更されるように構成されている。スペーサ部36とスライド部37とには、車体幅方向に延びるガイド溝38と、該ガイド溝38に沿ってスライド可能に嵌合されたスライダ39とが相対的に設けられており、スペーサ部36に対するスライド部37の車体幅方向における位置、即ち車体10に対するサイドフレーム2の車体幅方向における位置がスライド調節可能に固定手段としてのボルトで固定されている。なお、サイドフレーム用アジャスタ25としては、図9に示すように、車体前後方向と略直角方向かつ略水平方向に延びる軸40を中心にサイドフレーム2の上下方向の傾き角度を調節可能に構成することも可能である。このように、サイドフレーム用アジャスタ25によれば、車体10やパワープラント11等の構成に応じて前記相対位置を適宜調節することができる。
【0029】
本例の各マウント装置3は、図10に示すように、パワープラント11に接続されるパワープラント側接続部41、及びサイドフレーム2に接続されるサイドフレーム側接続部42の間に、該両接続部の相対位置を調節するためのマウント装置用アジャスタ43と、両接続部の間での振動の伝達を防止するための防振部44とが介装されている。この図10は、車体10の正面から見て、左上のサイドフレーム2とパワープラント11におけるエンジン11a前面の左上側との間に装備されたマウント装置3を示している。本例のマウント装置用アジャスタ43は、スペーサ部となっており、所要の厚さを有する厚板状に形成されており、該厚さに応じて前記両接続部の相対位置が変更されるように構成されている。パワープラント側接続部41におけるパワープラント11との接合部分は、各パワープラント11に対応したものが用意される。防振部44は、ゴム状弾性体からなるインシュレータ45が設置された内軸46及び外筒47からなっており、内軸46がサイドフレーム側接続部42に接続され、外筒47がマウント装置用アジャスタ43に接続されている。サイドフレーム側接続部42は、多数の取付穴20のうちの2つの取付穴20に取り付けられるように構成されている(例えば、多数の取付穴20のうちの1つの取付穴20に取り付けられるとともに、取付穴20近傍の凹部21に嵌合する回り止め用の凸部22を備えるようにしてもよい。)。パワープラント側接続部41は、各パワープラント11に設けられている既存の被支持部位に対応したものが用意され、該被支持部位用の接続方法で接続される。
【0030】
本例の汎用フレーム構造1は、図4〜図7に示すように、サイドフレーム2及びキャビン10aを連結するリンク26における該サイドフレーム2への被取付部位、サイドフレーム2同士を連結するリンク26における該サイドフレーム26への被取付部位、又はサスペンション50における該サイドフレーム26への被取付部位を、該サイドフレームに取り付けるためのブラケット4を備えている。
【0031】
本例の各ブラケット4は、図6に示すように、一対の平行な側壁5と、該両側壁5の下端部を連結する底壁6とにより、断面チャネル状に形成されている。一対の平行な側壁5には、前記被取付部位を軸着手段(例えば、ボルト及びナット)で軸着するための穴5aがそれぞれ設けられている。底壁6には、サイドフレーム2の取付穴20にボルトで締結するための穴6aと、サイドフレーム2の凹部21に嵌入する凸部22とが設けられている。ブラケット4は、それがサイドフレーム2に取り付けられるときの向きに応じて、底壁6における穴6a及び凸部22の位置が異なるものが複数用意される。図7は、車体10の正面から見て、右下側のサイドフレーム2を構成するように、ブラケット4を取り付けた例を示している。
【0032】
本例のリンク26は、図8に示すように、ターンバックル部27の両端に球面すべり軸受け部28が取り付けられてなっている。ターンバックル部27は、両端の開口にそれぞれ逆方向の雌ネジが刻設されたパイプ部27aと、該両雌ネジにそれぞれ螺入された一対の雄ネジ27b,27cとを備えている。球面滑り軸受け部28は、ブラケット4の穴5aに軸着されるようになっている。このリンク26は、パイプ部27aの回転方向に応じて、一対の雄ネジ27b,27cが互いに接近し、又は遠ざかるように構成されており、これによりリンク26の長さ調節が可能になっている。また、本例のリンク26によれば、球面軸受け部28により、リンク本体としてのターンバックル部27に対し、球面すべり軸受け部28のブラケット4への軸着部側が相対的に傾斜運動可能となっており、使い勝手がよい。本例では、上側の各サイドフレーム2は、その車体前後方向の途中部が、キャビン10aに取り付けられたリンク26Aにより車体幅方向内方へ引き寄せ支持されている。また、本例の下側の各サイドフレーム2は、その車体前後方向の途中部が、その上側のサイドフレーム2に取り付けられたリンク26B,26C,26Dにより吊り下げ支持されている。本例では、リンク26Aにおけるキャビン10a側は、ブラケット7を介してキャビン10aに取り付けられている。
【0033】
本例のサスペンション50は、図1〜図3に示すように、アッパーアーム51と、ロアーアーム52と、ショックアブソーバ53とを備えており、ブラケット4による被取付部位としては、アッパーアーム51における前後一対の基端部と、ロアーアーム52における前後一対の基端部と、ショックアブソーバ53における上端部とがある。なお、本例のサスペンション50は、一例にすぎず、別の構造のサスペンション50を採用することも可能である。そのときは、該別の構造のサスペンション50における被取付部位に対応したブラケット4がサイドフレーム2の取付穴20に取り付けられる。
【0034】
以上のように構成された本例のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造1によれば、サイドフレーム用アジャスタ25及びマウント装置用アジャスタ43を調節するとともに、多数の取付穴20を利用することにより、車体10に対し、任意のパワープラント11を容易に搭載することができる。
【0035】
また、サイドフレーム2とキャビン10aを連結するリンク26における該サイドフレーム2への被取付部位、サイドフレーム2同士を連結するリンク26における該サイドフレーム2への被取付部位、又はサイドフレーム2に装備されるサスペンション50における該サイドフレーム2への被取付部位を、該サイドフレーム2に取り付けるためのブラケット4を備え、該ブラケット4は、多数の取付穴20のうちの1又は2以上の取付穴20にそれぞれ取り付けられるように構成されているので、リンク26又はサスペンション50をサイドフレーム2に容易に取り付けることができる。
【0036】
また、サイドフレーム用アジャスタ25は、キャビン10a及びサイドフレーム2の間に介装されるスペーサ部36を有し、該スペーサ部36に応じてキャビン10a及びサイドフレーム2の相対位置が変更されるように構成されているので、キャビン10a及びサイドフレーム2の相対位置をパワープラント11に応じて容易に調節することができる。
【0037】
また、マウント装置用アジャスタ43は、パワープラント側接続部41及びサイドフレーム側接続部42の間に介装されるスペーサ部となっており、該スペーサ部に応じてパワープラント側接続部41及びサイドフレーム側接続部42の相対位置が変更されるように構成されているので、該相対位置をパワープラント11に応じて容易に調節することができる。
【0038】
また、サイドフレーム用アジャスタ25は、車体前後方向と略直角方向に延びる軸40を中心にサイドフレーム2の角度を調節可能に構成することもでき、そのように構成すれば、パワープラント11に応じた最適な角度でサイドフレーム2を車体10に支持することができる。
【0039】
また、サイドフレーム用アジャスタ25は、サイドフレーム2の車体幅方向における位置をスライド調節可能に構成されているので、パワープラント11に応じた最適な位置でサイドフレーム2を車体10に支持することができる。
【0040】
また、複数のサイドフレーム2の先端部同士を互いに連結する連結部材(バー30,31,32)を備えているので、複数のサイドフレーム2を一体化でき、強固なフレーム構造を構築できる。
【0041】
次に、図11〜図14は本発明を具体化した第二実施形態を示している。このパワープラントマウント用の汎用フレーム構造1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0042】
本例では、車体正面側から見た4本のサイドフレーム2の位置関係が、上側における左右一対のサイドフレーム2の間隔よりも、下側における左右一対のサイドフレーム2の間隔が狭くなっている。また、上側における一対のサイドフレーム2の長さよりも、下側における一対のサイドフレーム2の長さが短く形成されている。また、本例では、マウント装置3は、車体10の正面から見て、左上のサイドフレーム2とパワープラント11におけるエンジン11a前面の左上側との間、左下のサイドフレーム2とパワープラント11におけるエンジン11a後面の左下側との間、正面から見て右上のサイドフレーム2とパワープラント11におけるミッション11b前面の上側との間、及び、右下のサイドフレーム2とパワープラント11におけるミッション11b後面の右下側との間にそれぞれ装備されている。
【0043】
また、本例では、複数のサイドフレーム2の先端部同士を連結する連結部材に対し、上側のサイドフレーム2の先端部と、該サイドフレームに隣接する縦バー32の上下方向の略中央部とを連結する斜めバー33が追加されている。
【0044】
また、本例の上側の各サイドフレーム2は、その車体前後方向の途中部が、キャビン10aに取り付けられたリンク26Eにより吊り下げ支持されている。さらに、同各サイドフレーム2は、その車体前後方向の途中部が、キャビン10aに取り付けられたリンク26Fにより車体幅方向内方へ引き寄せ支持されている。また、本例の下側の各サイドフレーム2は、その車体前後方向の途中部が、取付穴20を利用してその上側のサイドフレーム2に取り付けられたリンク26Gにより吊り下げ支持されている。各リンク26E〜26Gは、第一実施形態におけるリンク26と同様に構成されている。本例では、各リンク26におけるキャビン10a側のブラケット55は、サイドフレーム用アジャスタ25と同様に構成されたアジャスタ56を介してキャビン10aに取り付けられている。
【0045】
本例のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造1によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)キャビン10aの後端部に汎用フレーム構造を搭載すること。
(2)各被取付物を3以上の取付穴20を利用して取り付けること。
(3)パワープラント11としては車両を駆動可能なものであれば、特に限定されない。従って、パワープラント11の動力源としては、燃料(例えば、ガソリン、軽油、水素等)式のエンジン11aに限定されず、例えば、電気式モーターや、エンジン及びモータからなるハイブリッドエンジンでもよい。
(4)各ブラケット4を複数の取付穴20に取り付けるように構成すること。この場合は、回り止め手段としての凹部21及び凸部22を省くことができる。
(5)ブラケット4を1つの取付穴20に取り付けるように構成するとともに、回り止め手段としての凸部22を省くこと。これにより、ブラケット4を回り止めしなくてもよい場合(例えば、リンク26を取り付ける場合)に、取付穴20の中心軸に対して任意の向きにブラケット4を取り付けることが可能になる。
(6)ブラケット4における被取付物の取付構造を適宜変更すること。例えば、側壁5を一つにすること等、被取付物に応じて適宜構造を変更することができる。
(7)本発明は、車体10の前部又は後部のいずれか一方に、パワープラント11及び駆動輪の両方が搭載されるように構成された車両に適用することができる。このため、前記実施形態におけるFF式の車両の他に、リヤエンジン・リヤドライブ(RR)式の車両や、ミッドシップエンジン・リヤドライブ(MR)式の車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 汎用フレーム構造
2 サイドフレーム
3 マウント装置
4 ブラケット
10 車体
10a キャビン
11 パワープラント
11a エンジン
11b ミッション
12 車輪
20 取付穴
21 凹部
22 凸部
25 サイドフレーム用アジャスタ
26 リンク
27 ターンバックル部
27a パイプ部
27b,27c 雄ネジ
28 球面すべり軸受け部
30,31 横バー
32 縦バー
33 斜めバー
35 ベース部
36 スペーサ部
37 スライド部
38 ガイド溝
39 スライダ
40 軸
41 パワープラント側接続部
42 サイドフレーム側接続部
43 マウント装置用アジャスタ
44 防振部
45 インシュレータ
46 内軸
47 外筒
50 サスペンション
51 アッパーアーム
52 ロアーアーム
53 ショックアブソーバ
55 ブラケット
56 アジャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対し、任意のパワープラントを搭載するためのパワープラントマウント用の汎用フレーム構造であって、
前記車体のキャビンの前端部又は後端部に対し、それぞれの基端部が取り付けられ、前記パワープラントの略左上側、略左下側、略右上側、及び略右下側においてそれぞれ車体前後方向に延びる4本のサイドフレームと、
該4本のサイドフレームに対し前記パワープラントを支持するように、前記サイドフレーム及び前記パワープラントの間に介装される複数のマウント装置とを備え、
前記サイドフレームは、その表面に多数の取付穴が互いに一定間隔をおいて該サイドフレームの長さ方向へ列設されるとともに、前記キャビン及び該サイドフレームの間に、該キャビン及び該サイドフレームの相対位置を調節するためのサイドフレーム用アジャスタが介装されており、
前記マウント装置は、その前記サイドフレーム側が前記多数の取付穴のうちの1又は2以上の取付穴に取り付けられるように構成されるとともに、前記パワープラントに接続されるパワープラント側接続部、及び前記サイドフレームに接続されるサイドフレーム側接続部の間に、該両接続部の相対位置を調節するためのマウント装置用アジャスタが介装されたパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項2】
前記サイドフレームと前記キャビンを連結するリンクにおける該サイドフレームへの被取付部位、前記サイドフレーム同士を連結するリンクにおける該サイドフレームへの被取付部位、又は前記サイドフレームに装備されるサスペンションにおける該サイドフレームへの被取付部位を、該サイドフレームに取り付けるためのブラケットを備え、
該ブラケットは、前記多数の取付穴のうちの1又は2以上の取付穴にそれぞれ取り付けられるように構成された請求項1記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項3】
前記マウント装置用アジャスタは、前記パワープラント側接続部及び前記サイドフレーム側接続部の間に介装されるスペーサを有し、該スペーサに応じて前記パワープラント側接続部及び前記サイドフレーム側接続部の相対位置が変更されるように構成された請求項1又は2記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項4】
前記サイドフレーム用アジャスタは、前記キャビン及び前記サイドフレームの間に介装されるスペーサを有し、該スペーサに応じて前記キャビン及び前記サイドフレームの相対位置が変更されるように構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項5】
前記サイドフレーム用アジャスタは、前記サイドフレームの車体幅方向における位置を調節可能に構成された請求項1〜4のいずれか一項に記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項6】
前記サイドフレーム用アジャスタは、車体前後方向と略直角方向に延びる軸を中心に前記サイドフレームの角度を調節可能に構成された請求項1〜5のいずれか一項に記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。
【請求項7】
複数の前記サイドフレームの先端部同士を互いに連結する連結部材を備えた請求項1〜6のいずれか一項に記載のパワープラントマウント用の汎用フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−68258(P2011−68258A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220892(P2009−220892)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【特許番号】特許第4519195号(P4519195)
【特許公報発行日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(509267708)有限会社ベーシック (1)
【Fターム(参考)】