説明

パワープラント機械の過速度保護システムの試験を行うときを決定する方法

【課題】パワープラント機械の過速度保護システムの試験を行うときを決定する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態は、パワープラント機械(105、145)の過速度保護システムを試験するときを決定することに関する技術的効果を有する。本明細書で説明されるように、本発明の実施形態は、各々がシャフト(137)を含む多種多様なパワープラント機械に適用することができる。過速度保護システムの試験が行われるべきことを決定した後、本発明の実施形態により、様々な方法で過速度保護システムを試験することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はパワープラント機械の保護システムに関し、より詳細には、パワープラント機械の過速度保護システムを試験するときを決定する方法に関する。本出願は、2006年10月10日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/584,095号および2006年10月30日に出願された米国特許出願第11/589,579号に関する。
【背景技術】
パワープラント機械のシャフトの速度が特定の範囲を超えた後、過速度状態が生じる。過速度状態の間、パワープラント機械は、一般に、破局故障を引き起こすことがある厳しい機械的および熱的応力を受ける。
一般に、パワープラント機械は、過速度状態の影響を低減しようとする保護システムを備える。調速機システムは、一般に、1次的な保護線として働く。過速度状態を検出した際、調速機はシャフトの速度を減少させようとする。また、2次的なまたは独立した保護線、すなわち過速度保護システムが存在することもある。一般に、過速度保護システムは、パワープラント機械を保護するために機械的構成要素、電気的構成要素、およびソフトウェア構成要素を組み込む。過速度保護システムは、過速度イベントの間に緊急シャットダウン(一般にトリップと呼ばれる)を開始することによってパワープラント機械を保護する。
パワープラントの操作者は、システムが適切に機能するかどうかを見極めるために定期的に過速度保護システムを試験する。試験をする時間間隔は、一般に、既定のスケジュールに基づく。例えば、年単位である。
過速度保護システムを試験する前、パワープラント機械は、通常、無負荷定格速度(FSNL)状態で動作している。FSNLは、パワープラント機械が通常の動作速度であり、負荷にエネルギーを送出していないときの状態である。過速度試験は、一般に、シャフトの速度を通常の運転範囲より上に手動で上昇させる必要がある。例えば、限定はしないが、過速度の間、試験操作者は通常の動作速度の110%までシャフトの速度を上昇させることができ、その後、過速度保護システムはパワープラント機械をトリップさせるはずである。
過速度試験を行う現在の方法にはいくつかの問題がある。現在の方法は、既定の時間間隔を過速度保護システムの定期的試験に使用している。現在の方法は、パワープラント機械および関連するタービンシステムが動作状態であるため、試験する時間間隔を延ばすことができるかどうかを決定しない。これらのシステムは、限定はしないが、速度検出、緊急停止バルブ、潤滑油システム、油圧システム、トリップ油システム、緊急トリップ、または保護トリップを含むことができる。これらのシステムは、以下では、まとめて「タービンシステム」と呼ばれる。
シャフト速度を手動で調整すると、高い熱過渡状態が導入されることがある。通常の動作速度の近くまたはそれを超える速度でのトリップは、パワープラント機械の構成要素に大きい機械的、電気的、および熱的応力を導入することがある。これらの応力のため保全時間間隔が減少する。さらに、トリップの後、パワープラント機械の再始動が必要であり、それによりエネルギーの送出が遅れる。さらに、現在の過速度試験方法は、一般に、パワープラント機械がFSNLで動作している必要がある。これは収益をもたらさず、燃料および電気を消費する。これらの問題のため、パワープラント機械の操作者は手動速度調整、トリップ、FSNL動作、および過速度試験を回避せざるをえなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】 米国特許出願公開第20070013365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
前述の理由で、トリップの機会を減らす過速度保護システムの試験方法が必要とされている。この方法は、タービンシステムを監視することができる状態基準システムなどを備えるべきである。監視に基づいて、この方法は、過速度保護システムの試験が行われるべきかどうかを決定するべきである。この方法は、他のパワープラント機械と統合されるものを含む多種多様なパワープラント機械に適応可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施形態による、パワープラント(100)の過速度保護システムを試験する方法(200)であって、この方法は、ガスタービン(105)および蒸気タービン(145)を含むパワープラント(100)を用意するステップであり、シャフト(137)が、蒸気およびガスのパワートレイン(STAG)を形成するガスタービン(105)と蒸気タービン(145)とを統合する、ステップと、運転管理システム(170)を用意するステップであり、運転管理システム(170)がSTAGを動作させるように構成され、シャフト(137)に関連する過速度イベントを検出するように構成された過速度保護システムを含む、ステップと、過速度保護システムの試験が推奨されるときを決定するように構成された状態基準アルゴリズムを用意するステップとを含み、状態基準アルゴリズムが、運転管理システム(170)と統合され、パワープラント機械の構成要素を監視するステップ(205)であり、構成要素が過速度保護システムに関連する、ステップと、時間間隔が満たされているかどうかを決定するステップ(215)であり、時間間隔が過速度保護システムを試験するときを示唆する、ステップと、構成要素に関連する動作イベントが生じたかどうかを決定するステップ(235)と、動作イベントに基づいて時間間隔を調整するステップ(240)とを行い、状態基準アルゴリズムが、過速度保護システムを試験する頻度が減少され得るときを決定する。
この方法は、過速度保護システムの試験を行う方法論を選択するステップ(220)をさらに含むことができる。ここで、この方法論は、シャットダウンモードのために設定されたシャットダウンモード手順と、動作モードのために設定された動作モード手順とを含むことができる。
この方法は、過速度保護システムの試験を行うステップ(225)をさらに含むことができる。
この方法は、過速度保護システムの試験の後に時間間隔を調整するステップ(240)をさらに含むことができる。
構成要素は、バルブ(152、154)、速度センサ(172)、調速機(152、154)、温度デバイス、圧力デバイス、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含むことができる。
この方法の構成要素は、以下のシステム、すなわち速度検出(172)、緊急停止バルブ(150)、潤滑油システム(174)、油圧システム(176)、トリップ油システム(178)、緊急トリップ(180)、または保護トリップ(182)のうちの少なくとも1つと統合することができる。
この方法に関連する時間間隔は、持続時間、構成要素カウンタ、またはイベントカウンタのうちの少なくとも1つを含むことができる。
パワープラントは多数のパワープラント機械(105、145)を含むことができる。ここで、多数のパワープラント機械はガスタービン(105)と、蒸気タービン(145)とを含むことができ、シャフト(137)は、蒸気およびガスのパワートレイン(STAG)を形成するガスタービン(105)と蒸気タービン(145)とを統合する、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が機能する環境を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に従って過速度保護システムを試験するときを決定する方法を示す概略図である。
【図3A】過速度保護システムを試験する方法の一例を示す流れ図である。
【図3B】過速度保護システムを試験する方法の一例を示す流れ図で図3Aの続きである。
【図4A】過速度保護システムを試験する第2の方法の一例を示す流れ図である。
【図4B】過速度保護システムを試験する第2の方法の一例を示す流れ図で、図4Aの続きである。
【図5】本発明の実施形態に従って過速度保護システムを試験するための例示的システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
本発明は、パワープラント機械の過速度保護システムを試験するときを決定するという技術的効果がある。以下で説明するように、本発明の実施形態は、各々がシャフトを含む多種多様なパワープラント機械に適用することができる。過速度保護システムの試験が行われるべきであると決定した後、本発明の実施形態により、様々な方法で過速度保護システムを試験することができるようになる。これらの方法は、限定はしないが、既知の方法、図3および4で説明する方法などを含むことができる。
詳細な例示の実施形態が本明細書で開示される。しかし、本明細書で開示される特定の構造および機能の詳細は、例示の実施形態を説明するための単なる代表例である。しかし、例示の実施形態は多くの代替の形態で具現することができ、本明細書に記載される実施形態だけに限定されるように解釈されるべきでない。
したがって、例示の実施形態は様々な変形および代替の形態が可能であるが、その実施形態は図面で例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、例示の実施形態を、開示した特定の形態に限定するものではなく、むしろ、例示の実施形態は、例示の実施形態の範囲内にある変形物、均等物、および代替物をすべて包含するものであることが理解されるべきである。
様々な要素を説明するために、第1の、第2のなどの用語を本明細書で使用することがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきでないことが理解されよう。これらの用語はある要素と別の要素とを区別するためにのみ使用される。例えば、例示の実施形態の範囲から逸脱することなく第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連して列記した項目の1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
本明細書で使用される術語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、例示の実施形態を限定することを意図していない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないと明確に指示していない限り、複数形も含むものである。本明細書で使用されるとき、「含む、備える(comprises)」、「含む、備える(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」は、明示されたフィーチャ、整数(integer)、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を示すが、1つまたは複数の他のフィーチャ、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を妨げないことをさらに理解されよう。
いくつかの代替の実施形態では、示した機能/動作は図に示した順序から外れて行われることがあることにも留意されたい。例えば、2つの連続する図が実質的に同時に実行されることがあり、または必要とされる機能/動作に応じて、時には逆の順序で実行されることがある。
本発明は、部分的にシャフトを回転させることによってエネルギーを移送する機械と見なすことができる多くの形態のパワープラント機械に適用することができる。いくつかのパワープラントは、限定はしないがターボ機械、および回転シャフトをもつ他のものなどの多数のパワープラント機械で構成される。パワープラント構成は、限定はしないが、単一のシャフトによって統合された蒸気タービンおよびガスタービン(一般に、単一シャフトSTAGと呼ばれる)、または多数のシャフトを介して統合された多数のタービンを含むことができる。シャフトは多数のパワープラント機械を統合し、それにより、各パワープラント機械はシャフトを回転させるトルクに寄与することができる。したがって、本発明の実施形態は、単一のシャフトを含む単一のパワープラント機械、多数のシャフトを含む単一のパワープラント機械、STAG構成で統合された多数のパワープラント機械、または多数のシャフトを介して統合された多数のパワープラント機械に適用することができる。
本発明の実施形態は、オープンおよび/またはクローズドシステムで、限定はしないが、半径流機、軸流機、遠心機などの回転機械の形態を有する多種多様なパワープラント機械に適用することができる。これには、限定はしないが、軸流タービン、軸流圧縮機、遠心圧縮機、ヘリカルスクリュー圧縮機、半径流タービン、トルクコンバータ、ポンプ、ファン、ブロワ、水力タービン、船用プロペラ、風力タービン、またはそれらの任意の組合せが含まれ得る。
パワープラント機械は、パワーを生成および/またはパワーを消費するように構成されたターボ機械の形態を有することもできる。これらのターボ機械は、限定はしないが、燃焼タービンおよび蒸気タービンを含むことができる。これらのターボ機械は、主として、作動流体の圧力を増加させるように作動することができる。作動流体の非限定の例には、空気、水、ガス、物理的な物質、またはそれらの任意の組合せが含まれる。これらのターボ機械は、限定はしないが、ガス、液体燃料、空気、水、蒸発気(vapor)、風、電気、熱、蒸気(steam)、またはそれらの任意の組合せなどの多種多様なエネルギー源を消費することができる。
本発明の実施形態は、限定はしないが、航空宇宙、自動車、冷凍、加熱、産業、発電、船舶、化学、農業、石油化学用の機械的駆動装置、ポンプ、ファン、ブロワ、圧縮機などの多種多様な用途で動作するパワープラント機械に適用することができる。
様々な数字がいくつかの図を通して同様の要素を示す図を次に参照すると、図1は、本発明の一実施形態が機能することができる環境を示す概略図である。図1は、ガスタービン105および蒸気タービン160を有する組合せサイクル構成のパワープラント100を示す。シャフト137はガスタービン105と蒸気タービン160とを統合する。この構成は単一シャフトSTAGパワートレインと見なされる。本発明の実施形態は単一シャフトSTAGの適用を参照しながら本明細書で説明されるが、本発明は他のパワープラント構成に適用することができる。本発明の実施形態は、単一のシャフトを含む単一のパワープラント機械、多数のシャフトを含む単一のパワープラント機械、または多数のシャフトを介して統合された多数のパワープラント機械に適用することができる。
ガスタービン105は、一般に、圧縮機セクション110、燃焼システム120、タービンセクション125、および排気セクション130を含む。一般に、圧縮機110は、図1の矢印によって示される入口空気を吸入し圧縮する。圧縮空気は燃焼システム120まで下流に向かって流れることができ、圧縮空気は、ガス燃料システム150から受け取る、限定はしないが天然ガスなどの燃料と混合され、次に、燃焼される。ガス燃料システム150は、停止/速度比バルブ152と、複数のガス制御バルブ154とを含むことができる。燃焼プロセスの間に解放されたエネルギーは下流に向かって流れ、タービンセクション125を駆動する。限定はしないが発電機167などの負荷はシャフト137を介してガスタービン105に結合することができる。ここで、タービンセクション125で生成された機械的トルクは発電機167を駆動する。
ガスタービン105の動作中に生成された排気135は排気セクション130を通って下流に向かって流れることができ、排熱回収蒸気発生器(HRSG)140で受け取ることができる。HRSG140は熱交換プロセスを利用して、排気135の熱の一部を凝縮水または給水147に移送し、蒸気145を生成する。蒸気145は、シャフト137を介してガスタービン105に結合される蒸気タービン160まで下流に向かって流れることができる。蒸気145は蒸気タービン160を通って流れた後、復水器165で凝縮し、凝縮水147を形成することができる。次に、復水または給水ポンプ(図示せず)は凝縮水または給水147をHRSG140に送り、前述のプロセスを繰り返すことができる。排気135はHRSG140を通って流れた後、排気筒(図示せず)まで流れることができる。蒸気145が蒸気タービン160を通って流れるとき、蒸気145のエネルギーはシャフト137を駆動する機械的トルクに移される。
運転管理システム170は、パワープラント100の動作を監視および制御することができる。過速度イベントの間、運転管理システム170は、イベントの影響を低減する目的で複数のタービンシステムを調整する。これらのタービンシステムは、限定はしないが、速度検出172、停止/速度比バルブ152、潤滑油システム174、油圧システム176、トリップ油システム178、緊急トリップ180、または保護トリップ182を含むことができる。
理解されるであろうが、本発明は、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として具現することができる。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態の形態をとることができ、すべてを本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶ。さらに、本発明は、媒体で具現されたコンピュータで使用可能なプログラムコードを有するコンピュータで使用可能な記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本明細書で使用される「ソフトウェア」および「ファームウェア」という用語は交換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、プロセッサで実行するためのメモリに記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単なる例示であり、したがって、コンピュータプログラムの記憶に使用できるメモリのタイプに関して限定していない。任意の好適なコンピュータ読取り可能媒体を利用することができる。
コンピュータで使用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、限定はしないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝達媒体とすることができる。コンピュータ読取り可能媒体のより特定の例(非網羅的リスト)には、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯用コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、光記憶デバイス、インターネットまたはイントラネットをサポートするものなどの伝送媒体、または磁気記憶デバイスが含まれることになる。例えば紙または他の媒体を光学式走査することによりプログラムを電子的に取り込み、次に、必要ならば、コンパイルし、解釈し、またはさもなければ好適な方法で処理し、次に、コンピュータメモリに記憶することができるので、コンピュータで使用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体は、プログラムが印刷される紙または別の好適な媒体とすることさえできることに留意されたい。この文書の文脈において、コンピュータで使用可能なまたはコンピュータ読取り可能な媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによりあるいは関連して使用するためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、または移送することができる任意の媒体とすることができる。
本明細書で使用されるプロセッサという用語は、中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書で説明する機能を実行することができる任意の他の回路またはプロセッサを指す。
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java7、スモールトーク、またはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語などで書き込むことができる。しかし、本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、「C」プログラミング言語などの従来の手続きプログラミング言語または同様の言語で書き込むことができる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータで、部分的にユーザのコンピュータで、独立のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザコンピュータおよび部分的にリモートコンピュータで、または完全にリモートコンピュータで実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を通してユーザのコンピュータに接続することができ、または接続を外部コンピュータに対して行うことができる(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用してインターネットにより)。
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品の流れ図および/またはブロック図を参照しながら本発明を以下で説明する。流れ図および/またはブロック図の各ブロック、および流れ図および/またはブロック図のブロックの組合せはコンピュータプログラム命令によって実行することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を生成するための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに供給することができ、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令は、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実行するための手段を生成する。
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ読取り可能メモリに記憶することもできる。これらの命令は、特定の方法で機能するようにコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に命令することができる。これは、コンピュータ読取り可能メモリに記憶された命令が、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実行する命令手段を含む製品を生成するようなものである。コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもできる。これらの命令により、一連の演算ステップがコンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で行われるようにして、コンピュータが実行するプロセスを生成することができる。ここで、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行される命令は、流れ図および/またはブロック図のブロックに指定された機能/動作を実行するためのステップを行う。
図を再度参照すると、図2は、本発明の実施形態に従って過速度保護システムを試験するときを決定する方法200を示す概略図である。本発明の一実施形態では、操作者は運転管理システム170を使用して、グラフィックユーザインタフェース(GUI)などを介して方法200の動作を監視および/または制御することができる。
本発明の実施形態では、試験を行うべきときを決定するために状態基準手法が組み込まれる。ここで、タービンシステムを監視して、使用頻度、動作、および機能性を決定することができる。例えば、限定はしないが、速度検出システムを監視して、使用量と動作の頻度とを決定することができる。監視により、速度検出が、試験中に行われることがある試験と同じようにして最近動作したことを決定することができる。同じことが他のタービンシステムに当てはまる場合、過速度保護システムの試験は延長することができる。
ステップ205において、過速度保護システムの試験を行うときを決定するための状態基準方法を有効にすることができる。状態基準方法は過速度保護システム170によって動作および制御することができる。本発明の一実施形態では、状態基準方法はバックグラウンドで連続的に有効であり、動作することができる。
ステップ210において、方法200は既述のようにタービンシステムを監視することができる。
ステップ215において、方法200は、過速度保護システムの試験が行われるべきときを決定する時間間隔がいつ経過したかを決定することができる。本発明の実施形態によれば、過速度保護システムを試験する既定のスケジュールを時間間隔により調整する、または恐らく除去することが可能になる。
時間間隔を経過した場合、方法200はステップ220に進むことができ、そうでない場合、方法200はステップ235に進むことができる。
ステップ220において、方法200は、過速度保護システムを試験するのに使用する方法論を決定することができる。方法200の実施形態によれば、過速度保護システムを試験する方法論をユーザは選択することができる。パワープラントによっては多数の方法論を組み込むことができる。これらには、限定はしないが、a)パワープラント機械をトリップさせる既知の方法論、b)パワープラント機械がシャットダウンしている間に試験を行う方法論、またはc)パワープラント機械をトリップしない方法論が含まれ得る。試験方法を選択した後、方法200はステップ225に進むことができる。本発明の実施形態は、1つの試験方法を有するパワープラントに適用することができる。本発明の実施形態は、1つを超える試験方法を有するパワープラントにも適用することができる。
ステップ225において、過速度保護システムの試験を行うことができる。ここで、運転管理システム170は、ステップ220の方法論の下で過速度試験を行うことができる。
ステップ230において、方法200はステップ215の時間間隔を調整することができる。この機能により、試験を行う間の期間を拡大することができる。この機能により、パワープラント機械は試験の既定のスケジュールを超えて動作することができる。
ステップ235において、方法200は、関連する動作イベントが生じたかどうかを決定することができる。既述のように、本発明の実施形態によれば、過速度保護システムを試験する既定のスケジュールを調整する、または恐らく除去することが可能になる。時間間隔は既定のスケジュールを調整または取り替えることができる。本発明の一実施形態では、時間間隔は、持続時間、構成要素カウンタ、またはイベントカウンタの形態をとることができる。
持続時間は、過速度保護システムを試験するのに使用される方法論のタイプに一時的に関係および関連することがある。例えば、限定はしないが、持続時間は試験をする間パワープラント機械をトリップしない方法では12か月の時間間隔とすることができ、この持続時間は試験をする間パワープラント機械をトリップさせる方法では24か月の時間間隔とすることができる。
構成要素カウンタは、タービンシステムの少なくとも1つの一部である構成要素の動作に基づいたカウンタとすることができる。構成要素は、バルブ、速度センサ、調速機、温度デバイス、圧力デバイス、またはそれらの組合せの形態を有することができる。本発明の一実施形態では、バルブが往復運動した後、構成要素カウンタは数値を増加させることができる。これは、バルブが往復運動範囲にわたって機能しており、バルブを試験する必要性が小さくなり得ることを示している可能性がある。
イベントカウンタは、パワープラント100の動作に影響を与えるイベントに基づくカウンタとすることができる。例えば、限定はしないが、過速度保護システムの予定されていた試験の1週間以内に負荷除去が生じていた可能性がある。ここで、予定されていた試験は、負荷除去の間のタービンシステムの使用状況のために必要でないことがある。
関連する動作イベントが生じたと方法200が決定する場合、方法200はステップ240に進むことができ、そうでない場合、方法200はステップ215に戻ることができる。
ステップ240において、方法200は、ステップ235の関連する動作イベントに基づいてステップ215の時間間隔を調整することができる。この機能により、試験を行う間の期間を拡大することができる。この機能により、パワープラント機械は試験の既定のスケジュールを超えて動作することができる。
図3および4は、パワープラント機械の過速度保護システムを試験するのに使用することができる様々な方法の例を示す。既述のように、本発明の実施形態は多種多様な試験方法に組み込むことができる。以下の説明は、本明細書で説明する試験方法を組み込むパワープラント機械だけに本発明の範囲を限定するものではない。
次に、図3Aおよび3B(まとめて図3)を参照すると、それらは、本発明の一実施形態によるシャットダウンシーケンスの間に過速度保護システムを試験する方法300を示す流れ図である。
ステップ305において、ガスタービン105の燃焼シャットダウン(fired shutdown)が開始される。燃焼シャットダウンは、必要な権限をもつ操作者により手動でまたは制御システムにより自動で開始することができる。
ステップ310において、方法300は、少なくとも1つの燃焼シャットダウン過速度試験許容状態が満たされているかどうかを決定する。ユーザは、試験の前提条件である複数の許容状態を設定することができる。これら許容状態を使用して、試験する前の特定の動作状態を保証することができる。例えば、限定はしないが、ユーザは、試験を始める前にFSNL状態でまたはその状態の近くでガスタービンが動作していることを選ぶことができる。所要の試験許容状態が満たされない場合、方法300はステップ335に進むことができ、そうでない場合、方法300はステップ315に進むことができる。
ステップ315において、燃焼シャットダウン過速度試験が選択される。ユーザは、ステップ310が満たされた後で試験を自動的に選択するように方法300を設定することができる。ガスタービンの運転が遠隔で行われる場合、ユーザはこのオプションを要望することができる。代替形態では、ユーザは試験を手動で選択したいことがあり、それはタービンの運転が局所的に行われる場合に望ましいことがある
次に、方法300はステップ320に進むことができ、シャフトの実際の速度が燃焼器フレームアウト速度を超えているかどうかを決定することができる。実際の速度がフレームアウト速度を超えている場合、方法300はステップ325に進むことができ、そうでない場合、方法300はステップ335に進むことができる。本発明により、ユーザは燃焼器フレームアウト速度を決定するパラメータを設定することができる。例えば、ユーザは制御定数として燃焼器フレームアウト速度を設定することができる。代替として、本発明により、燃焼器フレームアウト速度は試験している間に自動的に決定される変数とすることができる。
方法300は、ステップ325において、ステップ310の試験許容状態が維持されているかどうかを決定する。動作イベントのために、試験許容状態は状態を変えることがある。例えば、燃料システムの問題が早すぎるフレームアウトおよび試験許容状態の低下をもたらすことがある。試験許容状態が維持されない場合、方法300はステップ335に進むことができ、そうでない場合、方法300はステップ330に進むことができる。
ステップ330において、ユーザは試験を手動で中断することができる。ユーザは、操作的にまたは他の方法で、試験を中断する理由を発見することがある。例えば、ユーザは、フレーム検出器がフレーム状態の信頼できる表示を与えていないことを発見することがあり、フレーム状態が重要な試験要件となることがある。ユーザが試験を中断する場合、方法300はステップ335に進むことができ、そうでない場合、方法300はステップ340に進むことができる。
ステップ335において、方法300は試験を中断する。試験が中断された後、ガスタービン動作は前の燃焼シャットダウンシーケンスに戻る。ユーザは、試験が中断されたという通知を与えるように方法300を設定することができる。通知は、限定はしないが、音声信号、図形、またはテキストメッセージなどの様々な形態の警報とすることができる。
図3Bに示されるステップ340において、過速度トリップ設定点は燃焼シャットダウントリップ設定点に変更される。燃焼シャットダウントリップ設定点の値は、様々な機械的要因、操作上の要因、および信頼性の要因により影響を受けることがある。これらの要因は、パワープラント機械のタイプ、燃焼システム、動作条件、燃料タイプなどの間で変化することがある。この値は、一般に、特定の燃焼システムの固有のフレームアウト速度の近くに設定され、それによって、トリップに関連する熱過渡状態を最小限にする。本発明の実施形態により、ユーザは燃焼シャットダウントリップ設定点の値を入力できるようになり、それによって、特定の状態に対する調整手段が提供される。代替として、本発明は、燃焼シャットダウントリップ設定点の値を自動的に生成および入力するように構成することができる。
過速度トリップ設定点が変更された後、方法300はステップ345に進むことができる。ここで、ガスタービンは燃焼シャットダウン過速度トリップを経験することができる。ガスタービンの実際の速度が燃焼シャットダウン過速度設定点に近づいた後、トリップを生じることができる。
次に、方法300は、ステップ350において、緊急保護システムが正しく機能したかどうかを決定することができる。ガスタービンでは、緊急保護システムは、一般に、燃焼システムへの燃料流れを迅速に停止するように動作し、それによって燃焼を消す。データ記録手段は、一般に、緊急保護システムの構成要素が正しく動作したことを確認するのに使用される。緊急保護システムが正しく機能した場合、方法300は、燃焼シャットダウン試験が成功であるステップ360に進むことができ、そうでない場合、方法300は、燃焼シャットダウン試験が不成功であるステップ355に進むことができる。本発明は、緊急保護システムが正しく機能したか否かをユーザに通知する警報システムと統合することができる。
次に、図4Aおよび4B(まとめて図4)を参照すると、それらはタービンの過速度保護システムを試験する方法400のステップを示す流れ図であるが、ガスタービンは当初FSNLで動作する。
本発明の一実施形態では、操作者は運転管理システムを使用して、グラフィックユーザインタフェース(GUI)などを介して方法400の動作を監視および/または制御することができる。
方法400は、過速度保護システムのトリップおよび緊急保護システムのトリップのデフォルト設定点を調整するバイアスシステムなどを含むことができる。バイアスシステムにより、ガスタービンの速度は、ガスタービンをトリップさせることなく過速度トリップ設定点のデフォルト設定まで増加させることができる。これにより、過速度保護システムは過速度トリップ設定点のデフォルト設定で確実に試験することができる。さらに、方法400の一実施形態では、過速度保護システムまたは緊急保護システムを無効にしなくてもよい。例えば、限定はしないが、試験を行う間、バイアスシステムは、緊急トリップ設定点を110%から111%まで、および保護トリップ設定点を113%から114%まで増加させることができる。したがって、本発明により誤動作した場合、保護の独立ラインがガスタービンを保護することができる。
本発明は、少なくとも1つの試験許容状態が、過速度試験の開始に先立って満足および維持されることを要求することができる。これらの許容状態には、マスター保護トリップ状態、発電機/駆動負荷状態、動作許容状態、入口案内翼位置、および安定許容状態が含まれ得る。さらに、各許容状態は過速度試験の様々な期間で要求されることがある。例えば、動作許容状態は試験開始の前に要求されることがあり、一方、安定許容状態は試験中に要求されることがある。
ステップ405において、ガスタービンは、過速度試験にとって好ましい起動状態であるFSNLで動作することができる。一般には、ガスタービンは、外部負荷にエネルギーを送出していないときFSNLで動作する。例えば、発電機を電力系統に同期させる前、ガスタービンはFSNLで動作する。
ステップ410において、方法400は、動作許容状態が満たされているかどうかを決定する。本発明の一実施形態により、ユーザは少なくとも1つの動作許容状態を設定することができるようになる。動作許容状態は、FSNL、ソーク時間、または同様の要件での連続動作を含むことができる。例えば、許容状態は、新しいシャフトのためより長い動作期間を必要とすることがある。動作許容状態が満たされる場合、方法400はステップ415に進むことができ、そうでない場合、方法400はステップ405に戻ることができる。
ステップ415において、方法400は、少なくとも1つの過速度試験許容状態が満たされているかどうかを決定する。ステップ410と同様に、本発明の一実施形態により、ユーザは過速度試験許容状態を規定するか、または複数の過速度試験許容状態を規定することができるようになる。例えば、限定はしないが、過速度試験許容状態には、入口案内翼位置、圧縮機保護システムの状態、および入口空気システムの状態、入口抽気熱などが含まれ得る。過速度試験許容状態が満たされていない場合、方法400はステップ430に進むことができ、そうでない場合、方法400はステップ420に進むことができる。
ステップ430において、方法400は過速度試験を自動的に中断することができる。試験が中断された後、ガスタービン動作はFSNLに自動的に戻る。ユーザは、試験が中断されたという通知を与えるように方法400を設定することができる。通知は、限定はしないが、音声信号、図形、またはテキストメッセージなどの様々な形態の警報とすることができる。
方法400は、過速度試験が開始されるステップ420に進むことができる。ユーザは、ステップ415が満たされた後で過速度試験を自動的に開始するように方法400を事前設定することができる。ユーザは、例えば、ガスタービンの動作が遠隔で行われる場合にこの選択肢を要望することができる。代替として、方法400は、過速度試験を開始するのにユーザ処置を必要とするように事前設定することができる。ユーザ処置は、限定はしないが、タービンが局所的に制御されている場合、表示画面上で「過速度試験開始」ボタンなどを選択することとすることができる。
ステップ425において、方法400は、安定許容状態が満たされているかどうかを決定することができる。安定許容状態は、ガスタービンが最小熱過渡状態による熱定常状態の近くで動作するのを保証することができる。安定許容状態は、ガスタービン動作時間を計数するタイマーなどの形態のものとすることができる。ステップ410および415と同様に、本発明の一実施形態により、ユーザは1つの安定許容状態または複数の安定許容状態を規定することができるようになる。さらに、安定許容状態は、ガスタービンのタイプおよび/または種類の間で変化することができる。安定試験許容状態が満たされない場合、方法400はステップ430に進むことができ、そうでない場合、方法400はステップ435に進むことができる。
ステップ435において、方法400は自動的速度増加を選択することができる。本発明の一実施形態では、方法400は自動的速度増加の準備が整っていることをユーザに通知することができる。この通知は、限定はしないが、自動的速度増加に進むためのユーザ処置を要求する警報および/またはプロンプトとすることができる。代替として、本発明の一実施形態は、自動的速度増加を自動的に選択するように事前設定することができる。
ステップ440において、方法400は、ガスタービンのシャフトの速度を自動的に増加させることができる。本発明の一実施形態では、レートを変更して、そのレートで速度を増加させ、それによって、ユーザは速度増加と一般に関連する熱過渡状態を最小化できるようになる。レートはタービンの種類および動作環境に応じて変更することができる。例えば、本発明の一実施形態では、シャフトおよび他の機械的構成要素に関連する運動量を明らかにするために過速度試験中にユーザはレートを変更することもできるようになる。さらに、より低い速度の間比較的速いレートを使用することができ、タービンが過速度トリップ設定点に近づくにつれてより遅いレートを使用することができる。
自動的速度増加が始まった後、方法400は、ステップ445において、ユーザが過速度試験を手動で中断するよう決断しているかどうかを決定することができる。過速度試験を中断する理由には、限定はしないが、動作上の問題が含まれ得る。例えば、シャフト速度が高くなると、振動問題が生じ、試験を中断するようにユーザに要求することがある。ユーザが過速度試験を中断する場合、方法400はステップ450に進むことができ、そうでない場合、方法400はステップ455に進むことができる。
ステップ450において、方法400は試験を中断する。ステップ430と同様に、過速度試験が中断された後、ガスタービン動作はFSNLに戻ることができる。ユーザは、過速度試験がステップ445中に中断されたという通知を与えるように方法400を設定することができる。通知は、限定はしないが、音声信号、図形、またはテキストメッセージなどの様々な形態の警報とすることができる。
本発明は、タービンを動作させる制御システム、タービンコントローラなどを組み込むことができる。タービンコントローラは、タービンの速度を記録する一般にコアと呼ばれる少なくとも1つの処理システムを含むことができる。本発明の一実施形態は、少なくとも2つのコア、動作コア、および保護コアを有するタービンコントローラなどを含むことができる。方法400により、ステップ455において、ガスタービン速度を記録するようにユーザは各コアを事前設定することができるようになる。これは、ガスタービンが過速度状態を経験していることを確認する役目をする。
ガスタービンは、燃焼システムへの燃料流れを迅速に停止するように一般に動作し、それによって燃焼を消す保護システムを含むことができる。データ記録手段は、一般に、保護システムの構成要素が過速度試験の間正しく動作したことを確認するのに使用される。本発明は、実際の過速度状態の場合に保護システムが正しく動作したか否かをユーザに通知する警報システムと統合することができる。
ステップ455において、方法400は、シャフト速度が過速度トリップ設定点を超えているかどうかを決定することができる。本発明の一実施形態では、シャフト速度が過速度トリップ設定点を超えていることを動作コアおよび保護コアが記録しない場合、方法400はステップ460に進むことができ、そうでない場合、方法400はステップ470に進むことができる。
本発明の一実施形態は、速度基準を最初に増加させることによってシャフトの速度を増加させることができる。速度基準は、最終的にシャフトの速度を増加させる燃料ストローク基準などに変換される。ステップ460において、方法400は、タービンコントローラが過速度トリップ設定点よりも大きい速度基準を発生させているかどうかを決定する。速度基準が過速度トリップ設定点よりも大きくない場合、方法400はステップ440に戻ることができる。代替として、速度基準が過速度トリップ設定点よりも大きい場合、方法400はステップ465に進むことができる。
ステップ465において、過速度試験は、様々な理由で引き起こされることがあるトリップまたは破局故障を避けるために中断される。破局故障の1つの理由には、回転タービン構成要素と固定タービン構成要素との間で変化する熱伸長比率が含まれる。一般に、シャフト速度が増加するにつれて、構成要素の熱膨張が増加する。さらに、多くの場合異なる材料で製作される回転タービン構成要素と固定タービン構成要素との間に比較的厳しいクリアランスがある。回転構成要素および固定構成要素は過速度試験の間に伸長するので、これらのクリアランスはさらに減少することがある。したがって、回転タービン構成要素と固定タービン構成要素との間の接触に起因する破局故障を避けるために、方法400は、ステップ465において、タービン速度が過速度トリップ設定点未満を記録していても、速度基準が過速度トリップ設定点を超えている場合過速度速度試験を中断することができる。
ステップ470において、方法400はシャフト速度を自動的に減少させる。ステップ440と同様に、本発明の一実施形態では、レートを変更し、そのレートで速度を減少させ、それによって、ユーザは速度減少と一般に関連する熱過渡状態を最小化できるようになる。例えば、限定はしないが、レートはタービンの種類および動作環境に応じて変更することができる。本発明の一実施形態により、ユーザは速度減少のレートを変更することもできるようになる。例えば、より高いシャフト速度の間比較的速いレートを使用することができ、シャフト速度が通常の動作転速度に近づくにつれてより遅いレートを使用することができる。
シャフト速度が通常の動作速度の近くまで戻ると、本発明の過速度試験は完了したと見なすことができる。ステップ475において、シャフト速度がFSNLの近くまで戻った後、方法400は自動速度変化を無効にすることができる。
図5は、本発明の実施形態に従って過速度保護システムを試験するときを決定するための例示的システム500のステップ図である。方法200の要素はシステム500によって具現および実行することができる。システム500は、1つまたは複数のユーザまたは顧客の通信デバイス502、または同様のシステムもしくはデバイスを含むことができる(図5では2つが示されている)。各通信デバイス502は、電子メッセージを送信および受信することができるコンピュータシステム、携帯情報端末、セルラー電話、または同様のデバイスとすることができる。
通信デバイス502はシステムメモリ504またはローカルファイルシステムを含むことができる。システムメモリ504は読取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。ROMは基本入出力システム(BIOS)を含むことができる。BIOSは、通信デバイス502の要素または構成要素間で情報を移送するのに役立つ基本ルーチンを含むことができる。システムメモリ504は、通信デバイス502の動作全体を制御するためにオペレーティングシステム506を含むことができる。システムメモリ504はブラウザ508またはウェブブラウザを含むこともできる。システムメモリ504は、方法200の要素と同様であるかまたはそれを含むことができる過速度保護システムを試験するときを決定するためのデータ構造510またはコンピュータ実行可能コードを含むこともできる。システムメモリ504は、最新の試験からのデータを自動的に記憶するために方法200と共に使用することができるテンプレートキャッシュメモリ512をさらに含むことができる。
通信デバイス502は、通信デバイス502の他の構成要素の動作を制御するためにプロセッサまたは処理ユニット514を含むこともできる。オペレーティングシステム506、ブラウザ508、データ構造510はプロセッサ514上で動作可能とすることができる。プロセッサ514は、メモリシステム504および通信デバイス502の他の構成要素にシステムバス516で結合することができる。
通信デバイス502は、多数の入力デバイス、出力デバイス、または組合せ入力/出力デバイス518を含むこともできる。各入力/出力デバイス518は、入力/出力インタフェース(図5に図示せず)によってシステムバス516に結合することができる。入出力デバイスまたは組合せI/Oデバイス518は、ユーザが通信デバイス502を操作しかつインタフェースをとり、ブラウザ508およびデータ構造510の動作を制御して、ソフトウェアにアクセスし、操作し、制御し、過速度保護システムを試験することができるようにする。I/Oデバイス518は、本明細書で説明した動作を行うためにキーボードおよびコンピュータポインティングデバイスなどを含むことができる。
I/Oデバイス518はディスクドライブ、光学、機械、磁気、または赤外入力/出力デバイス、モデムなどを含むこともできる。I/Oデバイス518は媒体520にアクセスするのに使用することができる。媒体520は、通信デバイス502などのシステムによってまたはそれと関連して使用されるコンピュータ読取り可能またはコンピュータ実行可能な命令あるいは他の情報を含む、記憶する、通信する、または移送することができる。
通信デバイス502は、表示器またはモニタ522などの他のデバイスを含む、またはそれと接続することもできる。モニタ522は、ユーザが通信デバイス502とインタフェースをとることができるようにするために使用することができる。モニタ522は、過速度保護システムを試験するときを決定するためにデータ構造510によって生成することができる画像、図形などを提示する。
通信デバイス502はハードディスクドライブ524を含むこともできる。ハードドライブ524はハードドライブインタフェース(図5に図示せず)によってシステムバス516に結合することができる。ハードドライブ524はローカルファイルシステムまたはシステムメモリ504の一部を形成することもできる。プログラム、ソフトウェア、およびデータは、通信デバイス502を操作するためにシステムメモリ504とハードドライブ524との間で移送および交換することができる。
通信デバイス502はリモートサーバ526と通信することができ、ネットワーク528を介して他のサーバまたは通信デバイス502と同様の他の通信デバイスにアクセスすることができる。システムバス516はネットワークインタフェース530によってネットワーク528に結合することができる。ネットワークインタフェース530は、ネットワーク528に結合するためのモデム、イーサネットカード、ルータ、ゲートウェイなどとすることができる。結合は有線接続または無線とすることができる。ネットワーク528は、インターネット、私設ネットワーク、イントラネットなどとすることができる。
サーバ526は、ファイルシステム、ROM、RAMなどを含むことができるシステムメモリ532を含むこともできる。システムメモリ532は、通信デバイス502のオペレーティングシステム506と同様のオペレーティングシステム534を含むことができる。システムメモリ532は、過速度保護システムを自動的に試験するためのデータ構造536を含むこともできる。データ構造536は、過速度保護システムを自動的に試験する方法200に関して説明したものと同様の動作を含むことができる。サーバシステムメモリ532は、他のファイル538、アプリケーション、モジュールなどを含むこともできる。
サーバ526は、サーバ526の他のデバイスの動作を制御するためにプロセッサ542または処理ユニットを含むこともできる。サーバ526はI/Oデバイス544を含むこともできる。I/Oデバイス544は、通信デバイス502のI/Oデバイス518と同様とすることができる。サーバ526はモニタなどのような他のデバイス546をさらに含み、I/Oデバイス544と共にサーバ526にインタフェースを設けることができる。サーバ526はハードディスクドライブ548を含むこともできる。システムバス550はサーバ526の様々な構成要素を接続することができる。ネットワークインタフェース552はシステムバス550を介してサーバ526をネットワーク528に結合することができる。
図の中の流れ図およびステップ図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実施形態の構成、機能、および動作を示す。この点に関して、流れ図またはステップ図の各ステップは、特定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、または一部を示すことができる。代替の実施形態によっては、ステップに示された機能は図に示された順序から外れて行うことができることにも留意されたい。例えば、連続して示された2つのステップは実際には実質的に同時に実行されることがあり、またはステップは、時には、必要とされる機能に応じて逆の順序で実行されることがある。ブロック図および/または流れ図の各ステップ、ならびにブロック図および/または流れ図のステップの組合せは、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の特定の機能もしくは動作、または組合せを行う専用ハードウェアベースシステムによって実施することができることにも留意されたい。
当業者なら理解されるように、いくつかの例示的実施形態に関して上述した多くの様々なフィーチャおよび構成をさらに選択的に適用して、本発明の他の可能な実施形態を形成することができる。いくつかの下記の特許請求の範囲によってまたは他の方法で包含される組合せおよび可能な実施形態はすべて本出願の一部であることが意図されているけれども、本発明のすべてのあり得る繰り返しは詳細に提供または説明されているとは限らないことを当業者ならさらに理解されよう。さらに、本発明のいくつかの例示的実施形態の上述の説明から、当業者は改善、変更、および変形に気づくであろう。当技術分野の技術内のそのような改善、変更、および変形も添付の特許請求の範囲によって包含されるものである。さらに、前述の説明は本出願の説明した実施形態にのみ関連しており、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって規定される本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の変更および変形を本明細書で行うことができることは明らかである。
【符号の説明】
100 パワープラント
105 ガスタービン
110 圧縮機セクション
120 燃焼システム
125 タービンセクション
130 排気セクション
135 排気
137 シャフト
140 HRSG
145 蒸気
147 凝縮水
150 ガス燃料システム
152 停止/速度比バルブ
154 複数のガス制御バルブ
160 蒸気タービン
165 復水器
167 発電機
170 運転管理システム
172 速度検出
174 潤滑油システム
176 油圧システム、
178 トリップ油システム
180 緊急トリップ
182 保護トリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワープラント(100)の過速度保護システムを試験する方法(200)であって、
ガスタービン(105)および蒸気タービン(145)を含むパワープラント(100)を用意するステップであり、シャフト(137)が、蒸気およびガスのパワートレイン(STAG)を形成する前記ガスタービン(105)と前記蒸気タービン(145)とを統合する、ステップと、
運転管理システム(170)を用意するステップであり、前記運転管理システム(170)が前記STAGを動作させるように構成され、前記シャフト(137)に関連する過速度イベントを検出するように構成された過速度保護システムを含む、ステップと、
前記過速度保護システムの試験が推奨されるときを決定するように構成された状態基準アルゴリズムを用意するステップとを含み、前記状態基準アルゴリズムが、運転管理システム(170)と統合され、
a)パワープラント機械の構成要素を監視するステップ(205)であり、前記構成要素が前記過速度保護システムに関連する、ステップと、
b)時間間隔が満たされているかどうかを決定するステップ(215)であり、前記時間間隔が前記過速度保護システムを試験するときを示唆する、ステップと、
c)前記構成要素に関連する動作イベントが生じたかどうかを決定するステップ(235)と、
d)前記動作イベントに基づいて前記時間間隔を調整するステップ(240)とを行い、前記状態基準アルゴリズムが、前記過速度保護システムを試験する頻度が減少され得るときを決定する、方法。
【請求項2】
前記過速度保護システムの試験を行う方法論を選択するステップ(220)をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法論が、シャットダウンモードのために設定されたシャットダウンモード手順と、動作モードのために設定された動作モード手順とを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記過速度保護システムの前記試験を行うステップ(225)をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記過速度保護システムの前記試験の後に前記時間間隔を調整するステップ(240)をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記構成要素が、バルブ(152、154)、速度センサ(172)、調速機(152、154)、温度デバイス、圧力デバイス、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記構成要素が、以下のシステム、すなわち
a.速度検出(172)、
b.緊急停止バルブ(150)、
c.潤滑油システム(174)、
d.油圧システム(176)、
e.トリップ油システム(178)、
f.緊急トリップ(180)、または
g.保護トリップ(182)
のうちの少なくとも1つと統合される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記時間間隔が、持続時間、構成要素カウンタ、またはイベントカウンタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記パワープラント(100)が多数のパワープラント機械(105、145)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記多数のパワープラント機械がガスタービン(105)と、蒸気タービン(145)とを含み、前記シャフト(137)が、蒸気およびガスのパワートレイン(STAG)を形成する前記ガスタービン(105)と前記蒸気タービン(145)とを統合する、請求項8記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−196385(P2011−196385A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85781(P2011−85781)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.イーサネット
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】