パワーモジュール
【課題】半導体素子の傾きや位置を、簡易かつ安価に制御することができるパワーモジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係るパワーモジュールでは、半導体素子20の表面電極25と第2電極パッド5aとの間に表面側半田層45が形成され、半導体素子20の裏面電極23と第1電極パッド3aとの間に裏面側半田層43が形成されている。第1および第2電極パッド3a、5aは、対応する裏面または表面電極23、25と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子20の対角線に沿って外向きに距離D1だけ突出した4つの突出部分とからなっている。
【解決手段】本発明に係るパワーモジュールでは、半導体素子20の表面電極25と第2電極パッド5aとの間に表面側半田層45が形成され、半導体素子20の裏面電極23と第1電極パッド3aとの間に裏面側半田層43が形成されている。第1および第2電極パッド3a、5aは、対応する裏面または表面電極23、25と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子20の対角線に沿って外向きに距離D1だけ突出した4つの突出部分とからなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパワー半導体素子と該パワー半導体素子の放熱機構を備えたパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ駆動を利用するハイブリッド車等の移動体や補助ロボット等の様々な分野においてパワーエレクトロニクス技術が必要となっている。かかる分野では、複数のパワー半導体素子(以下、単に「半導体素子」という)とその放熱機構をコンパクトにまとめたパワーモジュールを使用するのが一般的である。
【0003】
従来のパワーモジュールとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。図8に示すように、このパワーモジュール100は、第1電極パッド102を有する第1放熱基板101と、第2電極パッド104を有する第2放熱基板103と、第1電極パッド102および第2電極パッド104が所定の間隔をあけて対向するように第1放熱基板101および第2放熱基板103を位置決めするスペーサ105と、IGBT、ダイオード等の半導体素子106とを備えている。半導体素子106は、表面電極が第2電極パッド104に半田接続され、裏面電極が第1電極パッド102に半田接続されている。
【0004】
このパワーモジュール100によれば、半導体素子106の表裏両側に放熱基板101、103が配置され、しかも半導体素子106から各放熱基板101、103への熱伝導が妨げられないように両者が半田接続されているので、半導体素子106を効率よく放熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4022758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記パワーモジュール100における半導体素子106と各電極パッド102、104との半田接続は、リフロー炉内で半田箔を溶融、固化させる方法や、半田リボンを用いてスクラブボンドする方法により行うのが一般的であったが、近年では、クリーム半田を用いた方法も採用されるようになってきている。クリーム半田を用いた方法によれば、製造工程をよりフレキシブルにすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0007】
しかしながら、従来のパワーモジュール100における半田接続をこの方法で行うと、クリーム半田に含まれるフラックスが半田溶融時に気化飛散して半田自身が流動または揺動し、半導体素子106が傾いたり(図9(A)参照)、位置ずれを起こしたり(図9(B)参照)することがあった。
【0008】
半導体素子106が傾くと、各放熱基板101、103への熱伝導が不均一となり、放熱効率が低下する。また、半導体素子106が傾いて半田層が薄くなると、半導体素子106と放熱基板101、103の熱膨張係数の違いにより生じる応力を半田層で吸収することができなくなり、いずれか一方にクラックが生じ易くなる等、信頼性が低下する。
【0009】
半導体素子106が位置ずれを起こした場合も、半導体素子106と各放熱基板101、103との接続が不十分になって放熱効率が低下したり、隣り合う電極パッドが半導体素子106によってブリッジされて短絡したりするという問題が発生する。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされてものであって、その課題とするところは、半導体素子の傾きや位置を、簡易かつ安価に制御することができるパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るパワーモジュールは、第1電極パッドを有する第1基板と、第2電極パッドを有する第2基板と、第1および第2電極パッドが間隔をあけて対向するように第1および第2基板を位置決めするスペーサと、第2電極パッドに接続された表面電極および第1電極パッドに接続された裏面電極を有する平面視矩形状の半導体素子とを備えたパワーモジュールであって、表面電極と第2電極パッドの間に表面側半田層が形成され、裏面電極と第1電極パッドの間に裏面側半田層が形成され、第1および第2電極パッドは、対応する裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなることを特徴とする。
【0012】
この構成では、半導体素子の表面電極に半田接続された第2電極パッドと、裏面電極に半田接続された第1電極パッドが、対応する裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。したがって、この構成によれば、裏面側半田層の表面張力によって半導体素子が外向きかつ第1基板側に引っ張られ、表面側半田層の表面張力によって半導体素子が外向きかつ第2基板側に引っ張られ、これにより半導体素子の位置および傾きを適正な位置および傾きに自動的に補正することができる(以下、この現象を「セルフアライメント」という)。
【0013】
上記パワーモジュールは、半導体素子の厚みをh1、裏面側半田層の厚みをh2、表面側半田層の厚みをh3としたとき、第1電極パッドにおける突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h2)以上であり、かつ第2電極パッドにおける突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h3)以上であることが好ましい。この構成によれば、表面側半田層および裏面側半田層の表面にメニスカスを形成し(半田の表面形状を懸垂曲線状とし)、表面張力を有効に働かせることができる。
【0014】
上記パワーモジュールは、第1および第2電極パッドにおける突出部分の突出長が、表面側および裏面側半田層を構成する半田の毛管長以下であることが好ましい。この構成によれば、実装密度を上げてパワーモジュールの小型化を図りながらも、半田のメニスカス(懸垂曲線)に起因する表面張力に加え、半田の毛管長κに起因する表面張力を有効に働かせてセルフアライメントに寄与させることができる。
【0015】
また、上記パワーモジュールは、第1電極パッドおよび第2電極パッドの少なくとも一方の電極パッドが、半導体素子の平面中心を通りかつ互いに直交する2つの仮想軸線によって平面視で4等分されるものとし、2つの仮想軸線の一方の仮想軸線によって区分された電極パッドの一方領域の面積S1および電極パッド幅W1の乗算値をM1、電極パッドの他方領域の面積S2および電極パッド幅W2の乗算値をM2としたとき、M1とM2とが一致するように、またはM1およびM2のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、かつ、2つの仮想軸線の他方の仮想軸線によって区分された電極パッドの一方領域の面積S3および電極パッド幅W3の乗算値をM3、電極パッドの他方領域の面積S4および電極パッド幅W4の乗算値をM4としたとき、M3とM4とが一致するように、またはM3およびM4のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、電極パッドの面積および電極パッド幅が調整されていることが好ましい。この構成によれば、半導体素子に過大な回転モーメントが生じて、半導体素子が許容限度以上に傾いたり位置ずれを起こしたりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体素子の傾きや位置を、簡易かつ安価に制御することができるパワーモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るパワーモジュールであって、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】図1に示すパワーモジュールにおいてダイオードに半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッドの平面図、(B)は第2電極パッドの平面図である。
【図3】図1に示すパワーモジュールにおけるダイオード接続部を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図4】図2に示す電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図5】図1に示すパワーモジュールに備えられたIGBTであって、(A)は裏面側の平面図、(B)は表面側の平面図である。
【図6】図1に示すパワーモジュールにおいてIGBTに半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッドの平面図、(B)は第2電極パッドの平面図である。
【図7】図6(B)に示す第2電極パッドの設計手法を説明するための図である。
【図8】従来のパワーモジュールの断面図である。
【図9】従来のパワーモジュールの問題点を説明するための図であって、(A)は半導体素子が傾いた状態の断面図、(B)は半導体素子が位置ずれを起こした状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るパワーモジュールの好ましい実施形態について説明する。
【0019】
[パワーモジュールの全体構成]
図1(A)に本発明の一実施形態に係るパワーモジュールの平面図、図1(B)に断面図を示す。ただし、図1(A)では、理解を容易にするために一部の部材(後述する第2基板4、第2金属配線層5、第2放熱フィン9)を省略している。また、図1(B)は図1(A)のA−A’断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るパワーモジュール1は、表面に第1金属配線層3が形成された第1基板2と、裏面に第2金属配線層5が形成された第2基板4と、第2金属配線層5に半田接続された表面電極および第1金属配線層3に半田接続された裏面電極を有する複数の半導体素子6と、第1基板2および第2基板4を収容するハウジングとしての樹脂ケース7と、第1基板2の裏面に取り付けられた第1放熱フィン8と、第2基板4の表面に取り付けられた第2放熱フィン9と備えている。
【0021】
半導体素子6は、ダイオード20およびIGBT30を含んでいる。このうち、ダイオード20は、表面電極としてのアノード端子が第2金属配線層5の第2電極パッド5aに接続され、裏面電極としてのカソード端子が第1金属配線層3の第1電極パッド3aに接続されている。また、IGBT30は、表面電極としてのエミッタ端子およびゲート端子が第2金属配線層5の第2電極パッド5bに接続され、裏面電極としてのコレクタ端子が第1金属配線層3の第1電極パッド3bに接続されている。半導体素子6としては、この他、MOSFET等を使用することができる。使用する半導体素子6の種別は、パワーモジュール1の特性等に応じて適宜決定される。
【0022】
図1(A)に示すように、ダイオード20およびIGBT30はいずれも平面視矩形状を有している。第1電極パッド3a、3bおよび第2電極パッド5a、5bの形状については、後で詳細に説明する。
【0023】
第1基板2および第2基板4は、例えば、アルミナ系セラミック、窒化アルミニウム、窒化珪素等のセラミック材料からなり、平面視矩形状を有している。樹脂ケース7との接続部を設けるために、第2基板4は第1基板2より長辺寸法が大きくなっている。
【0024】
第1金属配線層3は、第1基板2の表面を銅、アルミニウム等の金属でメタライズすることにより形成したもので、その最表面には、半田に対する濡れ性を向上させるためのNiめっきまたはAuめっきが施されている。また、第1金属配線層3には、第1電極パッド3a、3bの他、スペーサ10を接続するための電極パッド3cおよび各パッドを相互に接続する配線部(不図示)が含まれている。
【0025】
第2金属配線層5は、第1金属配線層3と同様に形成される。また、第2金属配線層5には、第2電極パッド5a、5bの他、スペーサ10を接続するための電極パッド5c、外部引出パッド5d、および各パッドを相互に接続する配線部(不図示)が含まれている。
【0026】
第1基板2および第2基板4の間には、充填樹脂11が充填されている。図1から明らかなように、本実施形態に係るパワーモジュール1はAlワイヤを不使用とすることもできる。この場合には、Alワイヤの膨張・収縮を考慮する必要はないので、柔軟性の高いシリコンゲルではなく、より硬質なエポキシ樹脂を充填樹脂11として充填することができる。なお、充填樹脂11は毛細管力により隅々にまで拡がるので、粘度の高いエポキシ樹脂を使用しても、充填されない部分が生じることはない。勿論、本発明は、ワイヤーボンディングした半導体素子も混載したハイブリッド型のパワーモジュールにも適用することができる。この場合には、柔軟性の高いシリコンゲルや硬質なエポキシ樹脂が充填樹脂11として用いられる。
【0027】
樹脂ケース7は、外部接続リード12を一体成型したインサートケースとなっており、図1(B)に示すように、樹脂ケース7の内側に設けられた内部接続端子13(外部接続リード12の一端)および第2基板4に形成された外部引出パッド5dは、屈曲部を有する接続ダンパリード14により接続されている。また、接続ダンパリード14周辺には、エポキシ樹脂ではなく柔軟性の高いシリコン樹脂が充填されている。屈曲部を有する接続ダンパリード14で接続を行ったのは、樹脂ケース7とセラミック材料からなる各基板2、4との熱膨張係数差に起因する応力を吸収させるためである。
【0028】
第1放熱フィン8および第2放熱フィン9は、放熱接着剤によりそれぞれ第1基板2および第2基板4に接続されている。第1放熱フィン8および第2放熱フィン9の材料は、Al系合金、銅系合金、セラミック系合金から適宜選択することができる。特に、セラミック系合金を選択した場合は、第1基板2および第2基板4との熱膨張係数差が少なく、接続部にかかる応力が低くなるという利点がある。放熱接着剤としてはシリコングリースを使用するのが一般的であるが、これには限定されない。
【0029】
スペーサ10は、電気伝導率が高い銅を主材料とした金属球で、電極パッド3c、5cに接している。また、電極パッド3c、5cの間には、スペーサ10を包含する半田部が形成されている。したがって、このスペーサ10によれば、溶融した半田部の表面において生ずる表面張力により、第1基板2および第2基板4の対向間隔をスペーサ10の高さに応じた一定の距離に維持しながら第1基板2および第2基板4の水平方向における位置決めを容易に行うことができるとともに、第1金属配線層3と第2金属配線層5との間で大電流を通流させることができる。
【0030】
なお、図1に示すスペーサ10は単なる一例であり、第1金属配線層3および第2金属配線層5が所定の間隔をあけて対向するように第1基板2および第2基板4を位置決めすることができるものであれば、球形に限らず、直方体、柱体等であってもよい。ただし、後述するセルフアライメント作用を有効に働かせるためには、スペーサ10の形状は球形であることが好ましい。
【0031】
[ダイオード接続部の構成]
次に、ダイオード20接続部の構成について説明する。前記の通り、ダイオード20は、第1電極パッド3aに半田接続される裏面電極23(カソード端子)と、第2電極パッド5aに半田接続される表面電極25(アノード端子)とを有する(図3参照)。また、裏面電極23および表面電極25は、それぞれダイオード20の表面および裏面の略全域にわたって形成されている。
【0032】
図2(A)は、ダイオード20の裏面電極23に半田接続される第1電極パッド3aの平面図である。第1電極パッド3aは、裏面電極23と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅からダイオード20の対角線dに沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。また、第1電極パッド3aの各辺部は、裏面電極23の各辺部から外向きに距離D0だけ離間している。本実施形態では、距離D0は0〜0.2mmに設定されている。また、突出部分の突出長D1は、後で述べる理由から2.3mm以上に設定されている。
【0033】
図2(B)に示すように、第2電極パッド5aは、第1電極パッド3aと同一の形状を有している。すなわち、第2電極パッド5aは、表面電極25と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅からダイオード20の対角線dに沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。
【0034】
ダイオード20のチップ中心Cを通り、かつ互いに直交する2つの仮想軸線をそれぞれx軸、y軸としたとき、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aは、x軸に対してもy軸に対しても線対称となっている。
【0035】
図3は、ダイオード20と第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aとを半田接続した状態を示す。同図に示すように、ダイオード20の裏面電極23と第1電極パッド3aの間には裏面側半田層43が形成され、表面電極25と第2電極パッド5aの間には表面側半田層45が形成されている。裏面側半田層43および表面側半田層45は、同一組成のクリーム半田が固化したものである。
【0036】
この構成によれば、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aの四隅に突出部分を設けたことにより、固化前の裏面側半田層43および表面側半田層45の表面張力が、ダイオード20を上下方向(鉛直方向)および水平方向に均等に引っ張る力となり、ダイオード20の位置および傾きがセルフアライメントされる。したがって、この構成によれば、ダイオード20の位置および傾きを、簡易かつ安価に制御することができる。
【0037】
ここで、上記セルフアライメントを有効に働かせるには、各電極パッド3a、5aにおける突出部分の先端とダイオード20の隅部とを結ぶ各半田層43、45の表面形状が懸垂曲線(メニスカス)となることが好ましい。具体的には、各半田層43、45のメニスカス形成に影響を及ぼさない程度(電極パッド3aと電極パッド5aとの間に形成される、半田層43、45およびダイオード20の側面からなる輪郭を半田のメニスカスと擬制した場合、電極パッド間距離の半分の1.5倍の距離が必要とされる)に突出長D1を設定することが好ましい。すなわち、裏面電極23および表面電極25を含めたダイオード20の厚みがh20、裏面側半田層43の厚みがh43、表面側半田層45の厚みがh45、第1電極パッド3aを基準としたチップ中心までの高さがh3(=h20/2+h43)、第2電極パッド5aを基準としたチップ中心までの高さがh5(=h20/2+h45)であるとき、突出長D1はチップ高さh3およびh5の1.5倍以上であることが好ましい。
【0038】
具体的には、本実施形態では、ダイオード20の厚みh20が0.2mm、裏面側半田層43の厚みh43および表面側半田層45の厚みh45が0.3mmなので、突出長L1は、1.5×(0.2/2+0.3)=0.6mm以上であることが好ましい。
【0039】
上記セルフアライメントを有効に働かせるには、さらに、突出部分の突出長D1が次式で表される半田の毛管長κまたはその近辺であることが好ましい。
【数1】
ただし、λは表面張力、ρは密度、gは重力加速度である。
【0040】
上式(1)に、半田の表面張力λ=0.45(N/m)、半田の密度ρ=8890(kg/m3)、重力加速度g=9.8(m/s2)を代入すると、半田の毛管長κは約2.3mmとなる。したがって、突出長D1は2.3mm以上とすることが好ましく、これによりダイオード20に裏面側半田層43および表面側半田層45の表面張力を作用させ、ダイオード20を確実にセルフアライメントすることができる。
【0041】
なお、突出長D1を毛管長κより長くしてもダイオード20をセルフアライメントする表面張力にはほとんど差異は見られない。したがって、実装密度を上げてパワーモジュール1を小型化するという観点から、突出長D1は毛管長κに一致させることが特に好ましい。
【0042】
以上のように、セルフアライメントを有効に働かせるには、少なくとも懸垂曲線の観点から導き出される条件を満たすことが好ましく、突出部分の突出長D1を0.6mm以上に設定することが好ましい。さらに、セルフアライメントを効果的に働かせるには、毛管長κの観点から導き出される条件と、懸垂曲線の観点から導き出される条件とを同時に満たすことが好ましい。上記の通り、毛管長κの観点から導き出される突出長D1の条件としては2.3mmあれば十分であることから、本実施形態では、突出長D1を0.6mm〜2.3mmに、特に2.3mmに設定することが好ましい。
【0043】
図4に、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aの変形例を示す。同図(A)(B)に示すように、突出部分の先端形状は鋭く尖っている必要はなく、角状または半円状であってもよい。また、同図(C)に示すように、突出部分は略円状であってもよい。
【0044】
[IGBT接続部の構成]
続いて、IGBT30接続部の構成について説明する。前記の通り、IGBT30は、第1電極パッド3bに半田接続される裏面電極33(コレクタ端子)と、第2電極パッド5bに半田接続される表面電極35(エミッタ端子、ゲート端子)とを有する。
【0045】
図5は、図1に示すパワーモジュール1に備えられたIGBT30であって、(A)は裏面側の平面図、(B)は表面側の平面図である。図5(A)に示すように、裏面電極33はIGBT30の裏面の略全域にわたって形成されている。したがって、この裏面電極33に接続される第1電極パッド3bの形状は、ダイオード20の場合と同様の手法により設計することができる。すなわち、懸垂曲線の観点から導き出される条件を満たすように、または毛管長κの観点から導き出される条件と、懸垂曲線の観点から導き出される条件とを同時に満たすように、突出部分の突出長D2(図6(A)参照)を決定すればよい。
【0046】
一方、図5(B)に示すように、IGBT30の表面電極35は、IGBT30の表面の一部にのみ形成されており、チップ中心Cを通る仮想軸線であるx軸に対しては線対称となっているが、もうひとつの仮想軸線であるy軸に対しては線対称とはなっていない。このため、表面電極35に半田接続される第2電極パッド5bについては、毛管長κの観点から導き出される条件および懸垂曲線の観点から導き出される条件に加え、単なる矩形形状ではない表面電極35の特有の形状を考慮して、突出部分の突出長を設定しなければ、セルフアライメントを有効に働かせることはできない。
【0047】
図6は、図1に示すパワーモジュール1においてIGBT30に半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッド3bの平面図、(B)は第2電極パッド5bの平面図である。図6(B)に示すように、第2電極パッド5bは、IGBT30の表面電極35と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置からIGBT30の対角線dに沿って外向きに距離D3または距離D4だけ突出した4つの突出部分とからなっている。ここで、「四隅に相当する位置」とは、x軸およびy軸(仮想軸線)により4等分された各領域内の表面電極35と実質的に同一の形状を有する部分において、チップ中心Cから最も離れた位置を意味する。
【0048】
図7(A)に示すように、第2電極パッド5bは、y軸によって区分された一方の領域(ハッチング有の領域)の面積をSL、他方の領域(ハッチング無の領域)の面積をSR、一方の領域における電極パッド幅(y軸から一方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWL、他方の領域における電極パッド幅(y軸から他方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWRとしたとき、SLおよびWLの乗算値ML(=SL×WL)とSRおよびWRの乗算値MR(=SR×WR)とが等しくなるように、第2電極パッド5bの面積SL、SR、第2電極パッド5bの電極パッド幅WL、WRを調整することが好ましい。したがって、本実施形態においては、上記関係を満たすように、一方の領域における突出長L4および他方の領域における突出長L3、並びに突出部分の太さを調整する必要がある。
【0049】
さらに、第2電極パッド5bは、図7(B)に示すように、x軸によって区分された一方の領域(ハッチング有の領域)の面積をSU、他方の領域(ハッチング無の領域)の面積をSD、一方の領域における電極パッド幅(x軸から一方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWU、他方の領域における電極パッド幅(x軸から他方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWDとしたとき、SUおよびWUの乗算値MU(=SU×WU)とSDおよびWDの乗算値MD(=SD×WD)とが等しくなるように、第2電極パッド5bの面積SU、SD、第2電極パッド5bの電極パッド幅WU、WDを調整することが好ましい。なお、本実施形態では、IGBT30の表面電極35がx軸に対して線対称となっているので、この関係を満たすための特別な配慮をする必要はない。
【0050】
なお、第2電極パッド5bと表面電極35との間の表面側半田層45において、x軸(および/またはy軸)によって区分された一方の領域側の半田厚みと他方の領域側の半田厚みのうち、薄い方の半田厚みが厚い方の半田厚みの2分の1以上であることをIGBT30の傾きの許容限度とすると、少なくとも、乗算値MLと乗算値MRとが異なる場合でも、乗算値MLおよび乗算値MRのうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内であり、かつ乗算値MUと乗算値MDとが異なる場合でも、乗算値MUおよび乗算値MDのうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、第2電極パッド5bの面積および電極パッド幅を設定する必要がある。
【0051】
第2電極パッド5bの形状を上記形状とすることにより、各突出部分における表面張力のバランスが崩れることによりIGBT30に不要な回転モーメントが働いて、IGBT30が許容限度以上に傾いたり位置ずれを起こしたりするのをより確実に防ぐことができる。つまり、仮想軸線によって区分された一方の領域と他方の領域に作用するモーメントを等しくすることにより、チップの傾き・位置ずれを防止することができる。
【0052】
なお、ダイオード20の場合と同様に、毛管長κおよび懸垂曲線の観点から、突出長D3およびD4を0.6mm〜2.3mmに、特に2.3mmに設定しておくことが好ましい。
【0053】
また、第1電極パッド3bにおける各突出部分、および第2電極パッド5bにおける各突出部分の形状は、ダイオード20の場合と同様に、適宜変更することができる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態における寸法はすべて一例であり、他の寸法に変更することができる。ただし、突出部分の突出長については、上記各条件を満たすよう留意しなければならない。
【符号の説明】
【0055】
1 パワーモジュール
2 第1基板
3 第1金属配線層
3a 第1電極パッド(ダイオード用)
3b 第1電極パッド(IGBT用)
3c 電極パッド(スペーサ用)
4 第2基板
5 第2金属配線層
5a 第2電極パッド(ダイオード用)
5b 第2電極パッド(IGBT用)
5c 電極パッド(スペーサ用)
5d 外部引出パッド
6 半導体素子
7 樹脂ケース
8 第1放熱フィン
9 第2放熱フィン
10 スペーサ
11 充填樹脂
12 外部接続リード
13 内部接続端子
14 接続ダンパリード
20 ダイオード
23 裏面電極(カソード端子)
25 表面電極(アノード端子)
30 IGBT
33 裏面電極(コレクタ端子)
35 表面電極(ゲート端子、エミッタ端子)
43 裏面側半田層
45 表面側半田層
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパワー半導体素子と該パワー半導体素子の放熱機構を備えたパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ駆動を利用するハイブリッド車等の移動体や補助ロボット等の様々な分野においてパワーエレクトロニクス技術が必要となっている。かかる分野では、複数のパワー半導体素子(以下、単に「半導体素子」という)とその放熱機構をコンパクトにまとめたパワーモジュールを使用するのが一般的である。
【0003】
従来のパワーモジュールとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。図8に示すように、このパワーモジュール100は、第1電極パッド102を有する第1放熱基板101と、第2電極パッド104を有する第2放熱基板103と、第1電極パッド102および第2電極パッド104が所定の間隔をあけて対向するように第1放熱基板101および第2放熱基板103を位置決めするスペーサ105と、IGBT、ダイオード等の半導体素子106とを備えている。半導体素子106は、表面電極が第2電極パッド104に半田接続され、裏面電極が第1電極パッド102に半田接続されている。
【0004】
このパワーモジュール100によれば、半導体素子106の表裏両側に放熱基板101、103が配置され、しかも半導体素子106から各放熱基板101、103への熱伝導が妨げられないように両者が半田接続されているので、半導体素子106を効率よく放熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4022758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記パワーモジュール100における半導体素子106と各電極パッド102、104との半田接続は、リフロー炉内で半田箔を溶融、固化させる方法や、半田リボンを用いてスクラブボンドする方法により行うのが一般的であったが、近年では、クリーム半田を用いた方法も採用されるようになってきている。クリーム半田を用いた方法によれば、製造工程をよりフレキシブルにすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0007】
しかしながら、従来のパワーモジュール100における半田接続をこの方法で行うと、クリーム半田に含まれるフラックスが半田溶融時に気化飛散して半田自身が流動または揺動し、半導体素子106が傾いたり(図9(A)参照)、位置ずれを起こしたり(図9(B)参照)することがあった。
【0008】
半導体素子106が傾くと、各放熱基板101、103への熱伝導が不均一となり、放熱効率が低下する。また、半導体素子106が傾いて半田層が薄くなると、半導体素子106と放熱基板101、103の熱膨張係数の違いにより生じる応力を半田層で吸収することができなくなり、いずれか一方にクラックが生じ易くなる等、信頼性が低下する。
【0009】
半導体素子106が位置ずれを起こした場合も、半導体素子106と各放熱基板101、103との接続が不十分になって放熱効率が低下したり、隣り合う電極パッドが半導体素子106によってブリッジされて短絡したりするという問題が発生する。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされてものであって、その課題とするところは、半導体素子の傾きや位置を、簡易かつ安価に制御することができるパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るパワーモジュールは、第1電極パッドを有する第1基板と、第2電極パッドを有する第2基板と、第1および第2電極パッドが間隔をあけて対向するように第1および第2基板を位置決めするスペーサと、第2電極パッドに接続された表面電極および第1電極パッドに接続された裏面電極を有する平面視矩形状の半導体素子とを備えたパワーモジュールであって、表面電極と第2電極パッドの間に表面側半田層が形成され、裏面電極と第1電極パッドの間に裏面側半田層が形成され、第1および第2電極パッドは、対応する裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなることを特徴とする。
【0012】
この構成では、半導体素子の表面電極に半田接続された第2電極パッドと、裏面電極に半田接続された第1電極パッドが、対応する裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。したがって、この構成によれば、裏面側半田層の表面張力によって半導体素子が外向きかつ第1基板側に引っ張られ、表面側半田層の表面張力によって半導体素子が外向きかつ第2基板側に引っ張られ、これにより半導体素子の位置および傾きを適正な位置および傾きに自動的に補正することができる(以下、この現象を「セルフアライメント」という)。
【0013】
上記パワーモジュールは、半導体素子の厚みをh1、裏面側半田層の厚みをh2、表面側半田層の厚みをh3としたとき、第1電極パッドにおける突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h2)以上であり、かつ第2電極パッドにおける突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h3)以上であることが好ましい。この構成によれば、表面側半田層および裏面側半田層の表面にメニスカスを形成し(半田の表面形状を懸垂曲線状とし)、表面張力を有効に働かせることができる。
【0014】
上記パワーモジュールは、第1および第2電極パッドにおける突出部分の突出長が、表面側および裏面側半田層を構成する半田の毛管長以下であることが好ましい。この構成によれば、実装密度を上げてパワーモジュールの小型化を図りながらも、半田のメニスカス(懸垂曲線)に起因する表面張力に加え、半田の毛管長κに起因する表面張力を有効に働かせてセルフアライメントに寄与させることができる。
【0015】
また、上記パワーモジュールは、第1電極パッドおよび第2電極パッドの少なくとも一方の電極パッドが、半導体素子の平面中心を通りかつ互いに直交する2つの仮想軸線によって平面視で4等分されるものとし、2つの仮想軸線の一方の仮想軸線によって区分された電極パッドの一方領域の面積S1および電極パッド幅W1の乗算値をM1、電極パッドの他方領域の面積S2および電極パッド幅W2の乗算値をM2としたとき、M1とM2とが一致するように、またはM1およびM2のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、かつ、2つの仮想軸線の他方の仮想軸線によって区分された電極パッドの一方領域の面積S3および電極パッド幅W3の乗算値をM3、電極パッドの他方領域の面積S4および電極パッド幅W4の乗算値をM4としたとき、M3とM4とが一致するように、またはM3およびM4のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、電極パッドの面積および電極パッド幅が調整されていることが好ましい。この構成によれば、半導体素子に過大な回転モーメントが生じて、半導体素子が許容限度以上に傾いたり位置ずれを起こしたりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体素子の傾きや位置を、簡易かつ安価に制御することができるパワーモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るパワーモジュールであって、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】図1に示すパワーモジュールにおいてダイオードに半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッドの平面図、(B)は第2電極パッドの平面図である。
【図3】図1に示すパワーモジュールにおけるダイオード接続部を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図4】図2に示す電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図5】図1に示すパワーモジュールに備えられたIGBTであって、(A)は裏面側の平面図、(B)は表面側の平面図である。
【図6】図1に示すパワーモジュールにおいてIGBTに半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッドの平面図、(B)は第2電極パッドの平面図である。
【図7】図6(B)に示す第2電極パッドの設計手法を説明するための図である。
【図8】従来のパワーモジュールの断面図である。
【図9】従来のパワーモジュールの問題点を説明するための図であって、(A)は半導体素子が傾いた状態の断面図、(B)は半導体素子が位置ずれを起こした状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るパワーモジュールの好ましい実施形態について説明する。
【0019】
[パワーモジュールの全体構成]
図1(A)に本発明の一実施形態に係るパワーモジュールの平面図、図1(B)に断面図を示す。ただし、図1(A)では、理解を容易にするために一部の部材(後述する第2基板4、第2金属配線層5、第2放熱フィン9)を省略している。また、図1(B)は図1(A)のA−A’断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るパワーモジュール1は、表面に第1金属配線層3が形成された第1基板2と、裏面に第2金属配線層5が形成された第2基板4と、第2金属配線層5に半田接続された表面電極および第1金属配線層3に半田接続された裏面電極を有する複数の半導体素子6と、第1基板2および第2基板4を収容するハウジングとしての樹脂ケース7と、第1基板2の裏面に取り付けられた第1放熱フィン8と、第2基板4の表面に取り付けられた第2放熱フィン9と備えている。
【0021】
半導体素子6は、ダイオード20およびIGBT30を含んでいる。このうち、ダイオード20は、表面電極としてのアノード端子が第2金属配線層5の第2電極パッド5aに接続され、裏面電極としてのカソード端子が第1金属配線層3の第1電極パッド3aに接続されている。また、IGBT30は、表面電極としてのエミッタ端子およびゲート端子が第2金属配線層5の第2電極パッド5bに接続され、裏面電極としてのコレクタ端子が第1金属配線層3の第1電極パッド3bに接続されている。半導体素子6としては、この他、MOSFET等を使用することができる。使用する半導体素子6の種別は、パワーモジュール1の特性等に応じて適宜決定される。
【0022】
図1(A)に示すように、ダイオード20およびIGBT30はいずれも平面視矩形状を有している。第1電極パッド3a、3bおよび第2電極パッド5a、5bの形状については、後で詳細に説明する。
【0023】
第1基板2および第2基板4は、例えば、アルミナ系セラミック、窒化アルミニウム、窒化珪素等のセラミック材料からなり、平面視矩形状を有している。樹脂ケース7との接続部を設けるために、第2基板4は第1基板2より長辺寸法が大きくなっている。
【0024】
第1金属配線層3は、第1基板2の表面を銅、アルミニウム等の金属でメタライズすることにより形成したもので、その最表面には、半田に対する濡れ性を向上させるためのNiめっきまたはAuめっきが施されている。また、第1金属配線層3には、第1電極パッド3a、3bの他、スペーサ10を接続するための電極パッド3cおよび各パッドを相互に接続する配線部(不図示)が含まれている。
【0025】
第2金属配線層5は、第1金属配線層3と同様に形成される。また、第2金属配線層5には、第2電極パッド5a、5bの他、スペーサ10を接続するための電極パッド5c、外部引出パッド5d、および各パッドを相互に接続する配線部(不図示)が含まれている。
【0026】
第1基板2および第2基板4の間には、充填樹脂11が充填されている。図1から明らかなように、本実施形態に係るパワーモジュール1はAlワイヤを不使用とすることもできる。この場合には、Alワイヤの膨張・収縮を考慮する必要はないので、柔軟性の高いシリコンゲルではなく、より硬質なエポキシ樹脂を充填樹脂11として充填することができる。なお、充填樹脂11は毛細管力により隅々にまで拡がるので、粘度の高いエポキシ樹脂を使用しても、充填されない部分が生じることはない。勿論、本発明は、ワイヤーボンディングした半導体素子も混載したハイブリッド型のパワーモジュールにも適用することができる。この場合には、柔軟性の高いシリコンゲルや硬質なエポキシ樹脂が充填樹脂11として用いられる。
【0027】
樹脂ケース7は、外部接続リード12を一体成型したインサートケースとなっており、図1(B)に示すように、樹脂ケース7の内側に設けられた内部接続端子13(外部接続リード12の一端)および第2基板4に形成された外部引出パッド5dは、屈曲部を有する接続ダンパリード14により接続されている。また、接続ダンパリード14周辺には、エポキシ樹脂ではなく柔軟性の高いシリコン樹脂が充填されている。屈曲部を有する接続ダンパリード14で接続を行ったのは、樹脂ケース7とセラミック材料からなる各基板2、4との熱膨張係数差に起因する応力を吸収させるためである。
【0028】
第1放熱フィン8および第2放熱フィン9は、放熱接着剤によりそれぞれ第1基板2および第2基板4に接続されている。第1放熱フィン8および第2放熱フィン9の材料は、Al系合金、銅系合金、セラミック系合金から適宜選択することができる。特に、セラミック系合金を選択した場合は、第1基板2および第2基板4との熱膨張係数差が少なく、接続部にかかる応力が低くなるという利点がある。放熱接着剤としてはシリコングリースを使用するのが一般的であるが、これには限定されない。
【0029】
スペーサ10は、電気伝導率が高い銅を主材料とした金属球で、電極パッド3c、5cに接している。また、電極パッド3c、5cの間には、スペーサ10を包含する半田部が形成されている。したがって、このスペーサ10によれば、溶融した半田部の表面において生ずる表面張力により、第1基板2および第2基板4の対向間隔をスペーサ10の高さに応じた一定の距離に維持しながら第1基板2および第2基板4の水平方向における位置決めを容易に行うことができるとともに、第1金属配線層3と第2金属配線層5との間で大電流を通流させることができる。
【0030】
なお、図1に示すスペーサ10は単なる一例であり、第1金属配線層3および第2金属配線層5が所定の間隔をあけて対向するように第1基板2および第2基板4を位置決めすることができるものであれば、球形に限らず、直方体、柱体等であってもよい。ただし、後述するセルフアライメント作用を有効に働かせるためには、スペーサ10の形状は球形であることが好ましい。
【0031】
[ダイオード接続部の構成]
次に、ダイオード20接続部の構成について説明する。前記の通り、ダイオード20は、第1電極パッド3aに半田接続される裏面電極23(カソード端子)と、第2電極パッド5aに半田接続される表面電極25(アノード端子)とを有する(図3参照)。また、裏面電極23および表面電極25は、それぞれダイオード20の表面および裏面の略全域にわたって形成されている。
【0032】
図2(A)は、ダイオード20の裏面電極23に半田接続される第1電極パッド3aの平面図である。第1電極パッド3aは、裏面電極23と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅からダイオード20の対角線dに沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。また、第1電極パッド3aの各辺部は、裏面電極23の各辺部から外向きに距離D0だけ離間している。本実施形態では、距離D0は0〜0.2mmに設定されている。また、突出部分の突出長D1は、後で述べる理由から2.3mm以上に設定されている。
【0033】
図2(B)に示すように、第2電極パッド5aは、第1電極パッド3aと同一の形状を有している。すなわち、第2電極パッド5aは、表面電極25と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅からダイオード20の対角線dに沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなっている。
【0034】
ダイオード20のチップ中心Cを通り、かつ互いに直交する2つの仮想軸線をそれぞれx軸、y軸としたとき、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aは、x軸に対してもy軸に対しても線対称となっている。
【0035】
図3は、ダイオード20と第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aとを半田接続した状態を示す。同図に示すように、ダイオード20の裏面電極23と第1電極パッド3aの間には裏面側半田層43が形成され、表面電極25と第2電極パッド5aの間には表面側半田層45が形成されている。裏面側半田層43および表面側半田層45は、同一組成のクリーム半田が固化したものである。
【0036】
この構成によれば、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aの四隅に突出部分を設けたことにより、固化前の裏面側半田層43および表面側半田層45の表面張力が、ダイオード20を上下方向(鉛直方向)および水平方向に均等に引っ張る力となり、ダイオード20の位置および傾きがセルフアライメントされる。したがって、この構成によれば、ダイオード20の位置および傾きを、簡易かつ安価に制御することができる。
【0037】
ここで、上記セルフアライメントを有効に働かせるには、各電極パッド3a、5aにおける突出部分の先端とダイオード20の隅部とを結ぶ各半田層43、45の表面形状が懸垂曲線(メニスカス)となることが好ましい。具体的には、各半田層43、45のメニスカス形成に影響を及ぼさない程度(電極パッド3aと電極パッド5aとの間に形成される、半田層43、45およびダイオード20の側面からなる輪郭を半田のメニスカスと擬制した場合、電極パッド間距離の半分の1.5倍の距離が必要とされる)に突出長D1を設定することが好ましい。すなわち、裏面電極23および表面電極25を含めたダイオード20の厚みがh20、裏面側半田層43の厚みがh43、表面側半田層45の厚みがh45、第1電極パッド3aを基準としたチップ中心までの高さがh3(=h20/2+h43)、第2電極パッド5aを基準としたチップ中心までの高さがh5(=h20/2+h45)であるとき、突出長D1はチップ高さh3およびh5の1.5倍以上であることが好ましい。
【0038】
具体的には、本実施形態では、ダイオード20の厚みh20が0.2mm、裏面側半田層43の厚みh43および表面側半田層45の厚みh45が0.3mmなので、突出長L1は、1.5×(0.2/2+0.3)=0.6mm以上であることが好ましい。
【0039】
上記セルフアライメントを有効に働かせるには、さらに、突出部分の突出長D1が次式で表される半田の毛管長κまたはその近辺であることが好ましい。
【数1】
ただし、λは表面張力、ρは密度、gは重力加速度である。
【0040】
上式(1)に、半田の表面張力λ=0.45(N/m)、半田の密度ρ=8890(kg/m3)、重力加速度g=9.8(m/s2)を代入すると、半田の毛管長κは約2.3mmとなる。したがって、突出長D1は2.3mm以上とすることが好ましく、これによりダイオード20に裏面側半田層43および表面側半田層45の表面張力を作用させ、ダイオード20を確実にセルフアライメントすることができる。
【0041】
なお、突出長D1を毛管長κより長くしてもダイオード20をセルフアライメントする表面張力にはほとんど差異は見られない。したがって、実装密度を上げてパワーモジュール1を小型化するという観点から、突出長D1は毛管長κに一致させることが特に好ましい。
【0042】
以上のように、セルフアライメントを有効に働かせるには、少なくとも懸垂曲線の観点から導き出される条件を満たすことが好ましく、突出部分の突出長D1を0.6mm以上に設定することが好ましい。さらに、セルフアライメントを効果的に働かせるには、毛管長κの観点から導き出される条件と、懸垂曲線の観点から導き出される条件とを同時に満たすことが好ましい。上記の通り、毛管長κの観点から導き出される突出長D1の条件としては2.3mmあれば十分であることから、本実施形態では、突出長D1を0.6mm〜2.3mmに、特に2.3mmに設定することが好ましい。
【0043】
図4に、第1電極パッド3aおよび第2電極パッド5aの変形例を示す。同図(A)(B)に示すように、突出部分の先端形状は鋭く尖っている必要はなく、角状または半円状であってもよい。また、同図(C)に示すように、突出部分は略円状であってもよい。
【0044】
[IGBT接続部の構成]
続いて、IGBT30接続部の構成について説明する。前記の通り、IGBT30は、第1電極パッド3bに半田接続される裏面電極33(コレクタ端子)と、第2電極パッド5bに半田接続される表面電極35(エミッタ端子、ゲート端子)とを有する。
【0045】
図5は、図1に示すパワーモジュール1に備えられたIGBT30であって、(A)は裏面側の平面図、(B)は表面側の平面図である。図5(A)に示すように、裏面電極33はIGBT30の裏面の略全域にわたって形成されている。したがって、この裏面電極33に接続される第1電極パッド3bの形状は、ダイオード20の場合と同様の手法により設計することができる。すなわち、懸垂曲線の観点から導き出される条件を満たすように、または毛管長κの観点から導き出される条件と、懸垂曲線の観点から導き出される条件とを同時に満たすように、突出部分の突出長D2(図6(A)参照)を決定すればよい。
【0046】
一方、図5(B)に示すように、IGBT30の表面電極35は、IGBT30の表面の一部にのみ形成されており、チップ中心Cを通る仮想軸線であるx軸に対しては線対称となっているが、もうひとつの仮想軸線であるy軸に対しては線対称とはなっていない。このため、表面電極35に半田接続される第2電極パッド5bについては、毛管長κの観点から導き出される条件および懸垂曲線の観点から導き出される条件に加え、単なる矩形形状ではない表面電極35の特有の形状を考慮して、突出部分の突出長を設定しなければ、セルフアライメントを有効に働かせることはできない。
【0047】
図6は、図1に示すパワーモジュール1においてIGBT30に半田接続される電極パッドであって、(A)は第1電極パッド3bの平面図、(B)は第2電極パッド5bの平面図である。図6(B)に示すように、第2電極パッド5bは、IGBT30の表面電極35と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置からIGBT30の対角線dに沿って外向きに距離D3または距離D4だけ突出した4つの突出部分とからなっている。ここで、「四隅に相当する位置」とは、x軸およびy軸(仮想軸線)により4等分された各領域内の表面電極35と実質的に同一の形状を有する部分において、チップ中心Cから最も離れた位置を意味する。
【0048】
図7(A)に示すように、第2電極パッド5bは、y軸によって区分された一方の領域(ハッチング有の領域)の面積をSL、他方の領域(ハッチング無の領域)の面積をSR、一方の領域における電極パッド幅(y軸から一方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWL、他方の領域における電極パッド幅(y軸から他方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWRとしたとき、SLおよびWLの乗算値ML(=SL×WL)とSRおよびWRの乗算値MR(=SR×WR)とが等しくなるように、第2電極パッド5bの面積SL、SR、第2電極パッド5bの電極パッド幅WL、WRを調整することが好ましい。したがって、本実施形態においては、上記関係を満たすように、一方の領域における突出長L4および他方の領域における突出長L3、並びに突出部分の太さを調整する必要がある。
【0049】
さらに、第2電極パッド5bは、図7(B)に示すように、x軸によって区分された一方の領域(ハッチング有の領域)の面積をSU、他方の領域(ハッチング無の領域)の面積をSD、一方の領域における電極パッド幅(x軸から一方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWU、他方の領域における電極パッド幅(x軸から他方の領域側にある電極パッドの突出部分の端部までの長さ)をWDとしたとき、SUおよびWUの乗算値MU(=SU×WU)とSDおよびWDの乗算値MD(=SD×WD)とが等しくなるように、第2電極パッド5bの面積SU、SD、第2電極パッド5bの電極パッド幅WU、WDを調整することが好ましい。なお、本実施形態では、IGBT30の表面電極35がx軸に対して線対称となっているので、この関係を満たすための特別な配慮をする必要はない。
【0050】
なお、第2電極パッド5bと表面電極35との間の表面側半田層45において、x軸(および/またはy軸)によって区分された一方の領域側の半田厚みと他方の領域側の半田厚みのうち、薄い方の半田厚みが厚い方の半田厚みの2分の1以上であることをIGBT30の傾きの許容限度とすると、少なくとも、乗算値MLと乗算値MRとが異なる場合でも、乗算値MLおよび乗算値MRのうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内であり、かつ乗算値MUと乗算値MDとが異なる場合でも、乗算値MUおよび乗算値MDのうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、第2電極パッド5bの面積および電極パッド幅を設定する必要がある。
【0051】
第2電極パッド5bの形状を上記形状とすることにより、各突出部分における表面張力のバランスが崩れることによりIGBT30に不要な回転モーメントが働いて、IGBT30が許容限度以上に傾いたり位置ずれを起こしたりするのをより確実に防ぐことができる。つまり、仮想軸線によって区分された一方の領域と他方の領域に作用するモーメントを等しくすることにより、チップの傾き・位置ずれを防止することができる。
【0052】
なお、ダイオード20の場合と同様に、毛管長κおよび懸垂曲線の観点から、突出長D3およびD4を0.6mm〜2.3mmに、特に2.3mmに設定しておくことが好ましい。
【0053】
また、第1電極パッド3bにおける各突出部分、および第2電極パッド5bにおける各突出部分の形状は、ダイオード20の場合と同様に、適宜変更することができる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態における寸法はすべて一例であり、他の寸法に変更することができる。ただし、突出部分の突出長については、上記各条件を満たすよう留意しなければならない。
【符号の説明】
【0055】
1 パワーモジュール
2 第1基板
3 第1金属配線層
3a 第1電極パッド(ダイオード用)
3b 第1電極パッド(IGBT用)
3c 電極パッド(スペーサ用)
4 第2基板
5 第2金属配線層
5a 第2電極パッド(ダイオード用)
5b 第2電極パッド(IGBT用)
5c 電極パッド(スペーサ用)
5d 外部引出パッド
6 半導体素子
7 樹脂ケース
8 第1放熱フィン
9 第2放熱フィン
10 スペーサ
11 充填樹脂
12 外部接続リード
13 内部接続端子
14 接続ダンパリード
20 ダイオード
23 裏面電極(カソード端子)
25 表面電極(アノード端子)
30 IGBT
33 裏面電極(コレクタ端子)
35 表面電極(ゲート端子、エミッタ端子)
43 裏面側半田層
45 表面側半田層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パッドを有する第1基板と、第2電極パッドを有する第2基板と、前記第1および第2電極パッドが間隔をあけて対向するように前記第1および第2基板を位置決めするスペーサと、前記第2電極パッドに接続された表面電極および前記第1電極パッドに接続された裏面電極を有する平面視矩形状の半導体素子とを備えたパワーモジュールであって、
前記表面電極と前記第2電極パッドの間に表面側半田層が形成され、
前記裏面電極と前記第1電極パッドの間に裏面側半田層が形成され、
前記第1および第2電極パッドは、対応する前記裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から前記半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなる、
ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
前記半導体素子の厚みをh1、前記裏面側半田層の厚みをh2、前記表面側半田層の厚みをh3としたとき、
前記第1電極パッドにおける前記突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h2)以上であり、かつ前記第2電極パッドにおける前記突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h3)以上であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1および第2電極パッドにおける前記突出部分の突出長が、前記表面側および裏面側半田層を構成する半田の毛管長以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドの少なくとも一方の電極パッドが、前記半導体素子の平面中心を通りかつ互いに直交する2つの仮想軸線によって平面視で4等分されるものとし、
前記2つの仮想軸線の一方の仮想軸線によって区分された前記電極パッドの一方領域の面積S1および電極パッド幅W1の乗算値をM1、前記電極パッドの他方領域の面積S2および電極パッド幅W2の乗算値をM2としたとき、M1とM2とが一致するように、またはM1およびM2のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、かつ、前記2つの仮想軸線の他方の仮想軸線によって区分された前記電極パッドの一方領域の面積S3および電極パッド幅W3の乗算値をM3、前記電極パッドの他方領域の面積S4および電極パッド幅W4の乗算値をM4としたとき、M3とM4とが一致するように、またはM3およびM4のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、前記電極パッドの面積および電極パッド幅を調整したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項1】
第1電極パッドを有する第1基板と、第2電極パッドを有する第2基板と、前記第1および第2電極パッドが間隔をあけて対向するように前記第1および第2基板を位置決めするスペーサと、前記第2電極パッドに接続された表面電極および前記第1電極パッドに接続された裏面電極を有する平面視矩形状の半導体素子とを備えたパワーモジュールであって、
前記表面電極と前記第2電極パッドの間に表面側半田層が形成され、
前記裏面電極と前記第1電極パッドの間に裏面側半田層が形成され、
前記第1および第2電極パッドは、対応する前記裏面または表面電極と実質的に同一の形状を有する部分と、該部分の四隅に相当する位置から前記半導体素子の対角線に沿って外向きに突出した4つの突出部分とからなる、
ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
前記半導体素子の厚みをh1、前記裏面側半田層の厚みをh2、前記表面側半田層の厚みをh3としたとき、
前記第1電極パッドにおける前記突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h2)以上であり、かつ前記第2電極パッドにおける前記突出部分の突出長が1.5×(h1/2+h3)以上であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1および第2電極パッドにおける前記突出部分の突出長が、前記表面側および裏面側半田層を構成する半田の毛管長以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドの少なくとも一方の電極パッドが、前記半導体素子の平面中心を通りかつ互いに直交する2つの仮想軸線によって平面視で4等分されるものとし、
前記2つの仮想軸線の一方の仮想軸線によって区分された前記電極パッドの一方領域の面積S1および電極パッド幅W1の乗算値をM1、前記電極パッドの他方領域の面積S2および電極パッド幅W2の乗算値をM2としたとき、M1とM2とが一致するように、またはM1およびM2のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、かつ、前記2つの仮想軸線の他方の仮想軸線によって区分された前記電極パッドの一方領域の面積S3および電極パッド幅W3の乗算値をM3、前記電極パッドの他方領域の面積S4および電極パッド幅W4の乗算値をM4としたとき、M3とM4とが一致するように、またはM3およびM4のうち小さな乗算値を大きな乗算値で除した比率が50%以内になるように、前記電極パッドの面積および電極パッド幅を調整したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパワーモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−222128(P2012−222128A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85966(P2011−85966)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
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