説明

パンの製造方法

【課題】 粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、焼き上がりの良好なパンを得る処理法方法を提供すること、また自動製パン器で粘度の高い果実エキスを使用したパンを焼成する場合に焼き上がりの良好なパンを得る処理法方法を提供すること。
【解決手段】 粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、パンの材料を捏ねる混練工程1の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる工程4を設ける。前記果実エキスの一つはプルーンエキスである。寝かせ工程4は水温10乃至30℃、時間5分乃至15分間で行われる。また前記寝かせ工程4は、水温20℃以上の微温湯による時間10分間以上の処理であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭用製パン器によるパンの製造方法に係り、詳しくは粘度の高い果実エキス等をパン生地に混ぜてパンを焼いたときのパンの仕上がりをよくするパンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の自動製パン器においては、捏ね、発酵、丸め、整形、焼成等の製パンの各工程を制御用ICによる制御で全自動で行っている。
【0003】
すなわち、ユーザーがパン材料(小麦粉、水、イースト菌など)をホッパと呼ばれる容器に入れてスタートスイッチを押せば、パン材料を捏ねパン生地を作る混練処理と、捏ねたパン生地を容器内で膨張させる発酵整形処理と、膨張させたパン生地を焼き上げる焼成処理とを順次自動的に行うようになっている。
【0004】
自動製パン器においては、混練工程、発酵整形工程、焼成工程の各工程の開始時間や継続時間及び動作温度を、生地温度及び容器内温度で決定される動作条件に基づいて決めている。そして、従来は製パン工程における焼き具合の調整は、ボリウム等の調整で焼く時間を変化させるか、あるいはライト、ミデアム、ダークの3段階の焼き具合の調整を焼成時間の設定により行うようにしていた。しかし、パンの焼き上がりはパン材料によっても影響され、パン生地の仕上がりで色合い等が左右されるものである。
【0005】
この種製パン器の構造を例示すると、図4のふたを取り外した全体平面図、図5の縦断面図、図6のホッパの斜視図で示すようなものであった。すなわち、図4、図5において、31は外箱、32はふた、33は操作パネル、34は焼成槽、35はヒータ、36はホッパ、37はモータ、38は動力伝達ユニット、そして39は制御ユニットである。
【0006】
外箱31は長方形の立方体をなすように形成され、上面の約3分の2が開口され、開口部の上方にふた32が開閉可能に取り付けられている。
【0007】
操作パネル33は、外箱1の上面の残り3分の1を占め、種々の調理コースを選択するための選択スイッチ33bとスタートスイッチ33cと、取り消しスイッチ33dと表示灯33aなどを備えている。
【0008】
焼成槽34は、パン生地を焼き上げる雰囲気を作るもので、外箱31の内部に開口部の位置に設けられる。焼成槽34の底面中央には、スピンドル軸40が設けられている。また、焼成槽34の内部を加熱するヒータ35が、焼成槽34の内部底面に取り付けられている。
【0009】
ホッパ36はパン材料を捏ねるための容器で、図6に示したようなバケツ型形状をなしており、焼成槽34の内部に取り外し可能に装着される。ホッパ36の内底にはパン材料をこねる攪拌ブレード41が設けられており、攪拌ブレード41は焼成槽のスピンドル軸40に結合されている。
【0010】
モータ37は、動力伝達ユニット38を介して焼成槽34のスピンドル軸40を回転運動させるもので、外箱31の内部に操作パネル33の下方に設けられている。動力伝達ユニット38は、モータ7の回転軸に取り付けられたプーリ38aと焼成槽34のスピンドル軸に取り付けられたプーリ38bとこれらのプーリ38a、38bに巻きつけた無端ベルト38cからなり、プーリ38aは外箱31の内底部に設けられて、モータ37の回転を焼成槽34のスピンドル軸40に伝達し、スピンドル軸を介して攪拌ブレード41を駆動する。
【0011】
制御ユニット39は、マイクロコンピュータや周辺回路等からなり、操作パネル33の下部に配置して設けられ、製パン動作全体を制御する。
【0012】
図7は、特許文献1に記載された、上記のような製パン器による自動運転の具体的な動作を、フローチャートで示す一般的な製パン工程の一例である。自動製パン器の動作を説明すると、まずユーザーが容器にパン生地の素材(小麦粉、水、イースト菌など)を入れてスタートスイッチを押すと自動運転を開始する。自動運転は、要するに、混練処理、一次発酵処理、ガス抜き処理、生地休め処理、生地丸め処理、成形発酵処理、焼成処理、保温処理を順次連続して行うものである。
【0013】
例えば、特許文献1では各処理工程では次のような処理が行われる。
【0014】
1)混練処理では、モータを5分間だけ所定時間おきにオン・オフ駆動し、その後、モータを20分連続駆動することにより、パン材料を捏ねる。
【0015】
2)一次発酵処理では、ヒータにより焼成層内部の温度を30℃に保ち、40分間放置する。
【0016】
3)ガス抜き処理では、モータを10秒間連続駆動することにより、パン生地からガスを抜く。
【0017】
4)生地休め処理では、ヒータにより焼成層内部の温度を30℃に保ち、25分間放置する。
【0018】
5)生地丸め処理ではモータを15秒間連続駆動することにより、パン生地を丸める。
【0019】
6)発酵成形処理では、ヒータにより焼成槽内部の温度を30℃に保ち、30から70分の範囲で適当な時間放置する。
【0020】
7)焼成処理では、ヒータにより焼成槽内の温度を125℃に保ち、40分間放置する。
【0021】
8)保温処理では、焼成槽内部の温度を先の焼成所理事の温度から80℃にまでゆっくり低下させる。このとき、最長60分間の範囲でヒータをオン・オフする。
【0022】
このような一連の処理が自動運転で行われるわけである。
【0023】
なお、スタートスイッチを押さずに、任意の時間からパン製造を開始させるタイマースタート機能もある。このタイマースタートを選択したときは、予約開始時間になるまでの間、パン材料を入れたホッパを焼成槽のヒータにより所定温度に保つ予約処理が行われる。
【0024】
ところで、パン生地には通常のパン材料の他に各種の材料を混ぜて焼くことがある。特に干しぶどう、ナッツなどの果実を混入して焼くことが多い。この場合、通常は混練処理の途中で投入される。本発明者は、抗酸化物質、カリウム、食物繊維、鉄分などビタミン、ミネラルなどが豊富な健康食品として知られ、ジュースや料理に使われるプルーンを混ぜてパンを焼くため、パン生地にプルーンエキスを混入して練りこんだ。しかし、プルーンエキスは粘度が高いので、粉類と混ざりにくいため、パン生地中に容易に分散せず、均一な分散が困難である。プルーンエキスはパン生地の形成の妨げになり、その使用量が多くなるとパンのふくらみが悪くなる。パンを焼くと、プルーンエキスが偏在して多く集まった部分が黒く変色し色合いが悪くなり、外観も悪く食欲をそそるようなものができなかった。
【特許文献1】特開平11−253316号公報(段落[0029]〜[0037]、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本願の発明者は、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、高粘度の果実エキスをパンに混ぜて焼く場合の処理として、エキスの粘度を下げる工程を最初におくことによって、混練工程におけるエキスのパン生地への練りこみが容易になり、果実エキスが均一に練りこまれたパン生地が得られることによって、色合いのよい均質なパンが提供できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0026】
すなわち、本発明は、粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、焼き上がりの良好なパンを得る処理方法を提供することを目的とするものである。
【0027】
また、本発明は、自動製パン器で粘度の高い果実エキスを使用したパンを焼成する場合に焼き上がりの良好なパンを得る処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
請求項1の発明は、粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、パンの材料を捏ねる混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる工程を設けたことを特徴とする。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1記載のパンの製造方法において、前記果実エキスがプルーンエキスであることを特徴とする。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のパンの製造方法において、前記寝かせ工程が水温10乃至30℃、時間5乃至15分で行われることを特徴とする。
【0031】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のパンの製造方法において、前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることを特徴とする。
【0032】
請求項5の発明は、パン材料を捏ねる混練処理と、捏ねたパン生地を容器内で膨張させる発酵整形処理と、膨張させたパン生地を焼き上げる焼成処理とを順次行うことによりパンを製造する自動製パン器によるパンの製造方法において、粘度の高い果実エキスを混入してパンを製造する場合に、パンの材料の混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる前処理工程を設けることを特徴とする。
【0033】
請求項6の発明は、請求項5記載の自動製パン器によるパンの製造方法において、前記果実エキスがプルーンエキスであることを特徴とする。
【0034】
請求項7の発明は、請求項5又は6記載の自動製パン器によるパンの製造方法において、 前記寝かせ工程が水温10乃至30℃、時間5乃至15分で行われることを特徴とする。
【0035】
請求項8の発明は、請求項5又は6記載の自動製パン器によるパンの製造方法において、前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
請求項1の発明によれば、パンの材料を捏ねる混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる工程を設けたことにより、粘度の高い果実エキスを混入してパンを焼成する場合においても、果実エキスがパン生地に均等に混ざって焼き上がりの良好なパンが提供できる。
【0037】
請求項2の発明によれば、請求項1記載のパンの製造方法において、前記果実エキスが栄養価の高いプルーンエキスである場合にも上述の効果を得ることができる。
【0038】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2記載のパンの製造方法において、前記寝かせ工程が水温10乃至30℃、時間5乃至15分行われることにより果実エキスの粘度が下がり、次工程においてパン生地とよくなじむようになり、前述の効果を得ることができる。
【0039】
請求項4の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載のパンの製造方法において、前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることが好ましい。この温度と時間であれば良好な結果が得られる。
【0040】
請求項5の発明によれば、自動製パン器により粘度の高い果実エキスを混入してパンを製造する場合に、パンの材料の混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる前処理工程を設けることにより、粘度の高い果実エキスを混入してパンを焼成する場合においても、果実エキスがパン生地に均質に混ぜられ焼き上がりの良好なパンが提供できる。
【0041】
請求項6の発明によれば、自動製パン器により粘度の高い果実エキスを混入してパンを製造する場合に、前記果実エキスが栄養価の高いプルーンエキスである場合にも上述の効果を得ることができる。
【0042】
請求項7の発明によれば、自動製パン器によるパンの製造方法において、前記寝かせ工程が水温10乃至30℃で、時間5乃至15分行われることにより、果実エキスの粘度が下がり、次工程においてパン生地とよくなじむようになり、前述の効果を得ることができる。
【0043】
請求項8の発明によれば、自動製パン器によるパンの製造方法において、前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることが好ましい。この温度と時間であれば混練工程において良好な結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのパンの製造方法を例示するものであって、本発明をこの製パン方法に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0045】
図1は、本発明に係る製パン方法の一実施例の工程図である。図2は、本発明に係る製パン方法の他の実施例の工程図である。図3は、比較例の製パン方法の工程図である。
【実施例1】
【0046】
図1に示したように、本発明に係るパンの製造方法の特徴は、粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造において、パンの材料を捏ねる混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる工程を設けることである。すなわち、製パンの工程である混練工程1、発酵整形工程2、焼成工程3を行う前に、つまり、混練工程1の前に果実エキスを水になじませ粘度を低下させる寝かせ工程4を設けたものである。
【0047】
本発明のパンの製造方法を、一般的な自動製パン器による実施例により説明すると、粘度の高い果実エキスとしてはミキプルーン(商標名)を使用することとし、まずホッパに水240CCとプルーンエキス90gを入れその後で、ホッパにパン生地の素材(小麦粉380g、塩5.2g、砂糖24g、スキムミルク(脱脂粉乳)3.4g、ショートニング(油脂)26g、イースト菌(ドライイースト)3.2gなど)を入れてスタートスイッチを押し自動運転を開始した。
【0048】
自動運転は、水の温度を20℃に保ち10分間寝かせた後、混練処理を3段階で行い、モータを所定時間をおいて、まず2分間の捏ね1a、次いで5分間の捏ね1bをオン・オフ駆動で行い、その後、15分間連続駆動の捏ね1cを行うことにより、パン材料を捏ねた。この作業において、プルーンエキスはパン生地によくなじみ、分散して均質に練りこむことができた。その後、通常の発酵整形工程2、焼成工程3、この両工程をさらに細分すれば一次発酵処理2a、ガス抜き処理2b、生地休め処理2c、生地丸め処理2d、発酵成形処理2eと焼成処理3a、保温処理3bの各工程となる、を順次連続して行った。パンの焼き上がりは、プルーンが固まって残った箇所もなかったので全体によい色にでき上がった。
【実施例2】
【0049】
自動製パン器による第2の実施例は、粘度の高い果実エキスとしてはミキプルーン(商標名)を使用し、まずホッパに水180CCとプルーンエキス135gを入れその後でホッパに実施例1と同量のパン生地の素材(小麦粉380g、塩5.2g、砂糖24g、スキムミルク(脱脂粉乳)3.4g、ショートニング(油脂)26g、イースト菌(ドライイースト)3.2gなど)を入れてスタートスイッチを押し自動運転を開始した。
【0050】
図2のように自動運転は、水の温度を30℃に保ち15分間寝かせる寝かせ工程4の後で、制御装置の指示に従い混練処理1を5段階で行い、自動製パン器のモータを所定時間をおいてオン・オフ駆動し、まず2分間の捏ね1a、次いで5分間の捏ね1bを行い、その後、連続駆動することにより15分間の捏ね1cを行い、パン材料を捏ねた。そして、パン生地を1分間寝かせた1d後、さらに1分間の捏ね1eを行った。これらの作業において、プルーンエキスは実施例1の場合よりも量が多くかつ水が少ないにもかかわらず、パン生地によくなじみ、分散して均質に練りこむことができた。その後、通常の発酵整形工程2、焼成工程3、両工程をさらに細分して説明すれば、一次発酵処理2a、ガス抜き処理2b、生地休め処理2c、生地丸め処理2d、発酵成形処理2eと焼成処理3a、保温処理3bの各工程を、順次連続して行った。パンの焼き上がりは、プルーンが固まった箇所もなかったので全体によい色にできた。
【比較例】
【0051】
粘度の高い果実エキスとしてミキプルーン(商標名)を使用し、ホッパにパン生地の素材(小麦粉380g、塩5.2g、砂糖24g、スキムミルク(脱脂粉乳)3.4g、ショートニング(油脂)26g、イースト菌(ドライイースト)3.2gなど)とともに、水240CCとプルーンエキス90gを入れてスタートスイッチを押し自動運転を開始した。使用材料、使用量は実施例1と同じである。
【0052】
図3に示したように、自動運転は、混練処理11を3段階で行い、モータを所定時間をおいて、まず2分間の捏ね11a、次いで5分間の捏ね11bをオン・オフ駆動で行い、その後、15分間連続駆動の捏ね11cを行うことにより、パン材料を捏ねた。この作業において、プルーンエキスはパン生地になじみ難く、十分分散させて均質に練りこむことができなかった。その後、通常の発酵整形工程12、焼成工程13を、さらに細分して述べれば、一次発酵処理12a、ガス抜き処理12b、生地休め処理12c、生地丸め処理12d、発酵成形処理12eと焼成処理13a、保温処理13bの各工程を、順次連続して行ったが、パンの焼き上がりは、プルーンが固まった箇所があったりしてその部分の焼けが濃くなり、むらができて色合いが悪く、おいしそうなパンはできなかった。
【0053】
上記のように、プルーンエキスは粘度が高いので、通常の処理では小麦粉その他の粉類と混ざり難いため、パン生地に均一に混合しない。また、生地の形成の妨げになり、使用量が多いほどパンのふくらみが悪くなる。偏ってプルーンが多く含まれる部分は焼けが濃くなり焼けむらが発生することになる。
【0054】
以上に説明したように、本発明は、粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、パンの材料を捏ねる混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して水になじませる寝かせ工程を設けることである。すなわち、混練工程、発酵整形工程、焼成工程を行う前に、つまり、混練工程の前に寝かせ工程を設けることである。
【0055】
なお、自動製パン器の場合には、水と果実エキスのみの寝かせ工程を行い、その終了を知らせて、パン材料の投入を促すようにすることもできる。また、スタートスイッチを押さずに、任意の時間からパン製造を開始させるタイマースタート機能を選択したときは、あらかじめ寝かせ工程を済ませて、パン材料を混入して置き、予約開始時間になるまでの間、パン材料を入れた容器を焼成槽のヒータにより所定温度に保つ予約処理を行えばよい。
【0056】
本発明は、プルーンエキスのように、乾燥させた実からエキス分を抽出した粘度が高い他の果実エキスに適用することができる。また果実エキスが杏や梅エキスである場合にも同様の効果を得ることができる。栄養価の高い果実エキスをパンに練りこんで焼く場合に有用である。
【0057】
本発明の製パン方法において、寝かせ工程は水温10乃至30℃、時間5乃至15分行えば、果実エキスはその粘度が下がり、次工程においてパン生地とよくなじむようになり所期の効果を得ることができる。
【0058】
本発明の製パンの方法においては、寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上であることが好ましい。この温度と時間であれば粘度の高い果樹エキスをパン生地になじませるのに良好な結果が得られる。
【0059】
本発明の製パン方法においては、通常の食パンの製造においては行われない寝かせ工程を、パン製造の工程である混練工程、発酵整形工程、焼成工程を行う前に、つまり、混練工程の前に設けたものである。このように寝かせ工程を設けることにより粘度の高い果実エキスであっても生地になじみやすくすることができるため、発色のよいパンが得られる。種々の果実エキスに適用することにより、健康食品として栄養価が高く食欲をそそるパンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明に係るパン製造方法の一実施例の工程図である。
【図2】図2は、本発明に係るパン製造方法の他の実施例の工程図である。
【図3】図3は、比較例のパン製造方法の工程図である。
【図4】図4は、自動製パン器の構造を示しふたを取り外した全体平面図である。
【図5】図5は、図4の自動製パン器の縦断面図である。
【図6】図6は、図4の自動製パン器のホッパの斜視図である。
【図7】図7は、自動製パン器による自動運転の具体的な動作を、フローチャートで示す製パン工程の一例である。
【符号の説明】
【0061】
1 混練工程
2 発酵整形工程
2a 一次発酵処理
2b ガス抜き処理
2c 生地休め処理
2d 生地丸め処理
2e 発酵成形処理
3 焼成工程
3a 焼成処理
3b 保温処理
4 寝かせ工程
31 外箱
32 ふた
33 操作パネル
34 焼成槽
35 ヒータ
36 ホッパ
37 モータ
38 動力伝達ユニット
39 制御ユニット
40 スピンドル軸
41 攪拌ブレード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度の高い果実エキスを混入して焼成するパンの製造方法において、パンの材料を捏ねる混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる工程を設けたことを特徴とするパンの製造方法。
【請求項2】
前記果実エキスがプルーンエキスであることを特徴とする請求項1記載のパンの製造方法。
【請求項3】
前記寝かせ工程が水温10乃至30℃、時間5乃至15分で行われることを特徴とする請求項1又は2記載のパンの製造方法。
【請求項4】
前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のパンの製造方法。
【請求項5】
パン材料をこねる混練処理と、こねたパン生地を容器内で膨張させる発酵成形処理と、膨張させたパン生地を焼き上げる焼成処理とを順次行うことによりパンを製造する自動製パン器によるパンの製造方法において、粘度の高い果実エキスを混入してパンを製造する場合に、パンの材料の混練工程の前に当該果実エキスを水に浸漬して寝かせる前処理工程を設けることを特徴とする自動製パン器によるパンの製造方法。
【請求項6】
前記果実エキスがプルーンエキスであることを特徴とする請求項5記載の自動製パン器によるパンの製造方法。
【請求項7】
前記寝かせ工程が水温10乃至30℃、時間5乃至15分で行われることを特徴とする請求項5又は6記載の自動製パン器によるパンの製造方法。
【請求項8】
前記寝かせ工程が、水温20℃以上の微温湯による時間10分以上の処理であることを特徴とする請求項5又は6記載の自動製パン器によるパンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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