説明

パンの製造方法

【課題】従来からのパンの製造方法は、パン生地をこねる、また叩くなどの力仕事によりグルテンの形成を促し、ついで25〜35℃前後の温度で約45分ほどの発酵をおこない、この工程を2回繰り返して焼成前のパン生地を完成させる。
この方法では、パン生地をこね、叩いてグルテンの形成を促すことによって、パン生地の製造時間を2時間程度に短縮し、実用性を確保している。
また時間短縮のために、発酵工程にマイクロ波加熱を応用する方法では、パン生地の材料を混ぜたり練ったりする工程を簡単に混ぜる程度にとどめ、30秒程度のマイクロ波加熱を行うことによって、パンを約40分で製造する。
電子レンジは機種により電力量(Watt数)、回転方式、照射量制御方式等の違いがあり、短時間のマイクロ波照射を、電子レンジの機種毎に微妙にコントロールしなければならない。
両方式とも、材料の混練、1次発酵、パンチ、2次発酵、ベンチタイム、成形、焼成にいたる工程は(電子レンジ発酵法では省略される工程があり、時間が短いが)連続して行われ、作業者は拘束される。
【解決手段】今回申請する冷蔵発酵・輻射式加熱法は、パンチ、2次発酵、ベンチタイムを省略して、材料の混練・袋小分け・冷蔵発酵と成形・焼成とを独立工程としてタイミングの自由度を高め、作業者の拘束を軽減し、かつ上工程の大ロット処理を可能にするものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明は、パンの製造工程における、こねる工程および叩く工程を省略し、イーストによる発酵を冷蔵庫による低温環境でおこない、輻射式加熱法で焼成し、製造工程を簡略化するパンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からのパンの製造方法は、パン生地をこねる、また叩くなどの力仕事によりグルテンの形成を促し、ついで25〜35℃前後の温度で約45分ほどの発酵をおこない、この工程を2回繰り返して焼成前のパン生地を完成させる。
この方法では、パン生地をこね、叩いてグルテンの形成を促すことによって、パン生地の製造時間を2時間程度に短縮している。
また時間短縮のために、発酵工程にマイクロ波加熱を応用する方法によれば、パン生地の材料を混ぜたり練ったりする工程を簡単に混ぜる程度にとどめ、30秒程度のマイクロ波加熱と組み合わせることによって、パンを約40分で製造する。
電子レンジは機種により電力量(Watt数)、回転方式、照射量制御方式等の違いがあり、短時間のマイクロ波照射を、パン生地の量に応じて、電子レンジの機種によって、微妙にコントロールしなければならない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
叩いたり、こねたりする力仕事の解消。
制作者の長い拘束時間の短縮。
制作者の時間的自由度の向上。
パンの製作を容易にしたい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発酵速度の遅い冷蔵発酵を一次発酵工程とすることによる
こねたり、叩いたりする力作業の省略
混練工程の大ロット処理
一次発酵工程の無人化(冷蔵庫に一晩放置)
輻射加熱(オーブントースター等)の利用による
二次発酵工程の省略
発酵工程と成形・焼成工程の独立
(一般的にパンの焼成にはいわゆるオーブン等の対流・伝導の加熱法が利用されているが、対流・伝導加熱法では二次発酵とベンチタイム等による準備が必要になる。)
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施の形態を、以下の実施例にもとづき詳述する。
パンの名称「パン・ド・カンパーニュ」(例)
焼き上がり直径20cmの楕円形のもの1個分
材料:強力粉100g、水70ml、サラダ油小さじ2、塩小さじ1/5、砂糖大さじ1、ドライイースト小さじ1、打ち粉、仕上げ用の粉適量
【混ぜる】
【0006】
ボウルに水を入れ、サラダ油、塩、砂糖を加えてはしで混ぜ、ドライイーストを入れて混ぜる。
強力粉を半量加えてかるく混ぜ合わせる。
残りの強力粉を入れて混ぜる。
粉が白く残っているくらいでも、まとまったら大丈夫。
この状態になったら混ぜるのを止める。
【ポリ袋に入れて冷蔵庫へ・一次発酵】
【0007】
ポリ袋に入れる。
ポリ袋の口を生地の辺りからねじって空気を抜く。
空気が入らないようにしっかり縛る。
冷蔵庫にひと晩(6時間以上)入れる。
【ガス抜き】
【0008】
キッチンばさみで袋を開ける。
まな板に打ち粉をして、その上に生地を取り出す。
上にも打ち粉をして、ゴムべらで全体をまんべんなく押さえてガスを抜く。
【成形する】
【0009】
生地の端を内側に折り込むようにして集める。
生地を集めた閉じ目を指でつまんで、しっかりと閉じる。
ひっくり返して閉じ目を下にして、めん棒で上下左右に楕円にのばす。
生地の端からくるくると巻きはじめ、左右の生地も内側に入れながら最後まで巻く。
巻き終わりを指でつまんで、しっかり閉じる
【焼く】
【0010】
アルミ箔を敷いた天板に、閉じめを下にして生地をのせる。
強力粉を茶こしに入れてたっぷり振る。
包丁で真横に1本浅めに切り込みを入れる。
アルミ箔を上にもかぶせ、オーブントースターの強(200℃)に入れる。
2倍ぐらいにふくらみ、火が通るまで20分焼く。
下から焼き色がついてきて、半分ぐらいになったら、かぶせていたアルミ箔を取り1〜2分焼いて全体に焼き色を付ける。
【発明の効果】
【0011】
混練にこねたり叩いたりする力仕事が不要になる。
パンの製作にかかる時間が、分散し、短くなる。
パンの製作にかかわる人間の拘束時間が減る。
パンの製作に失敗が減る。
プチパン80個分の材料約1350g程度であれば、一回で、約10分で混練して、ポリ袋に入れて口を締めて冷蔵庫に保存できる。
翌日、その中から20個分360gをとり出し成形し、オーブントースターで10個ずつ2回に分けて焼成し、焼きたてを朝食に提供する。
朝食準備だけで、焼きたてパンの提供を4日続ける。
という生活が可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーストを含んだパン生地によるパンの製造工程において、混ぜたり練ったりする工程で、こねたり叩いたりしないで、箸でなめらかになる程度に混ぜる。
ポリ袋に入れて、発酵により発生する炭酸ガスが抜けて空気と入れ替わらないように口をきつく締めて、冷蔵する。
良好な品質のパンのための冷蔵発酵時間は6時間から4日程度。
以降、必要量を適宜に成形し、輻射式加熱法で焼成する。
以上を、主要プロセスとするパンの製造方法。

【公開番号】特開2012−19770(P2012−19770A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171111(P2010−171111)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(592024136)株式会社ムラカミアソシェーツ (3)
【Fターム(参考)】