説明

パンク修理装置

【課題】パンク修理装置において、簡単な構成かつ低コストで、タイヤ内の空気圧が高くなり過ぎないようにする。
【解決手段】 パンク修理装置は、シーリング剤を収容する容器と、電動モータにより駆動されるポンプとを備え、シーリング剤をタイヤ内に注入した後、タイヤ内に高圧空気を供給して、パンクしたタイヤを修理する。パンク修理装置は、電動モータ13への電力供給ラインに介装された電源ユニット30も備えている。電源ユニット30は、第1位置にあるとき電力供給ラインを接続し、かつ第2位置にあるとき電力供給ラインを遮断する可動子36を内蔵している。電源ユニット30には、タイヤ27内の空気圧が導かれており、可動子36が第1位置にある状態で、前記導かれた空気圧が所定の空気圧を超えたとき、可動子36が第2位置に切換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンクしたタイヤを修理するためのパンク修理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1,2に示されているように、シーリング剤を収容する容器と、電動モータを内蔵したポンプ装置とを備え、ポンプ装置を作動させることにより、シーリング剤をタイヤ内に注入した後、タイヤ内に高圧空気を供給して、パンクしたタイヤを修理するためのパンク修理装置は知られている。このパンク修理装置においては、タイヤ内の空気圧を検出する圧力センサを備え、圧力センサによって検出された空気圧が所定の空気圧を超えたとき、電気制御装置を制御してポンプ装置の作動を停止させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−1269号公報
【特許文献2】特開2006−103144号公報
【発明の概要】
【0004】
上記従来のパンク修理装置によれば、作業者はタイヤ内の空気圧を観察しながら、ポンプ装置の作動を停止させる必要はない。また、ポンプ装置の作動停止を指示しなくてもタイヤ内の空気圧が高くなり過ぎることもない。しかし、上記従来のパンク修理装置においては、圧力センサを設ける必要があるとともに、圧力センサによって検出された空気圧と所定の空気圧とを比較する比較処理及び前記比較処理に応じてポンプ装置の作動を停止させる停止処理を実行する電気制御装置が必要となる。これにより、上記従来のパンク修理装置にあっては、その構成が複雑となり、コスト高にもつながる。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、簡単な構成かつ低コストで、タイヤ内の空気圧が高くなり過ぎないようにしたパンク修理装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、シーリング剤を収容する容器と、電動モータによって駆動されるポンプとを備え、前記電動モータを作動させて前記ポンプを駆動することにより、シーリング剤をタイヤ内に注入した後、タイヤ内に高圧空気を供給して、パンクしたタイヤを修理するためのパンク修理装置において、前記電動モータへの電力供給路に介装され、第1位置にあるとき電力供給路を接続し、かつ第2位置にあるとき電力供給路を遮断する可動子を内蔵した電力遮断器を備え、前記電力遮断器にタイヤ内の空気圧を導くように配管するとともに、前記電力遮断器を、前記可動子が第1位置にある状態で、前記導かれた空気圧が所定の空気圧を超えたとき、前記可動子が第2位置に切換えられるように構成したことにある。
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、可動子が第1位置にあり、電動モータに電力が供給され、電動モータの作動によりポンプが駆動されてタイヤ内に高圧空気が供給されている状態で、タイヤ内の空気圧が所定の空気圧を超えると、可動子が第2位置に切換えられて電動モータへの電力供給が遮断され、電動モータの作動が停止してポンプが駆動されなくなる。したがって、本発明によっても、作業者は、電動モータ及びポンプの作動を停止させる必要はなく、また電動モータ及びポンプの作動停止を指示しなくてもタイヤ内の空気圧が高くなり過ぎることもない。一方、本発明においては、可動子を内蔵する電力遮断器は電動モータへの電力供給路に介装され、かつ電力遮断器にはタイヤに供給される空気圧を導くように配管されているだけの簡単な構成が採用されている。これにより、本発明によれば、簡単かつ低コストな装置により、作業者が電動モータ及びポンプの作動停止を指示しなくても、タイヤ内の空気圧が高くなり過ぎることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るパンク修理装置の全体概略図である。
【図2A】初期状態にある電源ユニットの縦断面図である。
【図2B】前記電源ユニットの作動を説明するための図2Aとは異なる状態にある電源ユニットの縦断面図である。
【図2C】前記電源ユニットの作動を説明するための図2A及び図2Bとは異なる状態にある電源ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るパンク修理装置の全体概略図である。パンク修理装置は、ケース10内に収容された容器11、ポンプ12、電動モータ13、電気制御装置14及び電源ユニット30を備えている。
【0010】
容器11は、ほぼ円筒状に構成されるとともに上板部及び底板部を有して密閉空間を形成するもので、内部にシーリング剤を収容する。容器11の側壁は、上部にて円筒状に形成され、下部にてテーパ状に形成されて下方に向うに従ってその直径が上部に比べて徐々に小さくなるように構成されている。容器11の上板部には、注入口11aが設けられている。注入口11aには、キャップ11bが取り外し可能に設けられている。キャップ11bを取り外した状態で、シーリング剤が容器11内に注入される。キャップ11bで注入口11aを塞いだ状態では、容器11内は、空気が漏れないように密閉される。シーリング剤は、タイヤのパンク孔をシールするもので、通常の状態では粘性が低く、タイヤ内に注入されて高圧力になると粘性が高められ、パンク孔に侵入した後に車両の予備走行により完全に固化する。
【0011】
容器11の底板部の下面には、バルブ装置15,16が組み付けられている。バルブ装置15は、ポンプ12から管21を介して供給される高圧の空気を底板部に設けた孔11cを介して容器11内に導入する一方向性バルブで構成されている。このバルブ装置15は、管21を介して供給される空気の圧力が所定圧力を超えるときにはじめて連通するもので、容器11内のシーリング剤が管21内に漏れ出すことはない。バルブ装置16は、容器11内のシーリング剤及び容器11を介した高圧の空気を、底板部に設けた孔11dを介して管22内に導出する一方向性のバルブで構成されている。このバルブ装置16は、容器11内の圧力が所定圧力を超えるときにはじめて連通するもので、容器11内にシーリング剤が単に収容されているだけでは、容器11内のシーリング剤が管22に漏れ出すことはない。
【0012】
管22には、分岐管23を介して、管24が接続され、管24の先端はコネクタ25に接続されている。コネクタ25には、ホース26が取り外し可能に接続されるようになっている。ホース26の先端には、車両に装着されているタイヤ27のタイヤバルブに気密的に接続されるアダプタ26aが設けられている。分岐管23には、一端が電源ユニット30に接続された管28の他端が接続されている。この管28を介して、電源ユニット30は管22,24に連通している。ただし、シーリング剤がタイヤ27内に供給されている低圧状態では、分岐管23内に設けたバルブ(図示しない)により、管28と管22,24との連通が阻止されるようになっている。これにより、シーリング剤が管28内に侵入することはない。
【0013】
ポンプ12は、図示しない減速機構を介して電動モータ13の回転により駆動されて、高圧の空気を管21内に吐出する。電動モータ13は、電気制御装置14によって駆動制御されて回転する。電気制御装置14は、電源ユニット30から一対の電力供給ライン41a,41bを介して電力の供給を受けると、供給された電力を電動モータ13に供給して電動モータ13を回転させる。電気制御装置14は、電源ユニット30から電力供給ライン41a,41bを介した電力供給が遮断されると、電動モータ13への電力供給を遮断して電動モータ13の回転を停止させる。
【0014】
電源ユニット30は、図2A〜図2Cに示すように、方形状のケース31内に組み込まれて樹脂等の絶縁材料で構成された円筒状の支持体32を有する。支持体32は、その底面にてケース31の底面に固定され、その内部はケース31の底面に設けたコネクタ33を介して管28に連通している。支持体32の上端部の内周面上には段差が形成されていて、円筒状の薄肉部32aが設けられるとともに、環状の座部32bが設けられている。この環状の薄肉部32aには、周方向の2箇所にて上方から切り欠かれた一対の切り欠きが設けられている。これらの切り欠きには、金属性の導電材料で構成された固定端子34a,34bが組み込まれて固定されている。
【0015】
固定端子34aには、ケース31に組み付けられた固定部材42aを介してケース31内に侵入している電力供給ライン41a,41bのうちの一方の電力供給ライン41aの端部が、半田付けにより接続されている。固定端子34bには、ケース31に組み付けられた固定部材42bを介して外部からケース31内に侵入している一対の電力供給ライン43a,43bの一方の電力供給ライン43aの端部が、半田付けにより接続されている。他方の電力供給ライン41bは、他方の電力供給ライン43bに接続され、すなわち前記他方の電力供給ライン41b,43bは互いに一本のラインを構成している。ただし、電力供給ライン41a,41bは、電源ユニット30の外部では絶縁部材により被覆されてコードを構成している。
【0016】
電力供給ライン43a,43bも、電源ユニット30の外部では絶縁部材により被覆されてコードを構成している。このコードを構成する電力供給ライン43a,43bの他端部には、プラグ44が設けられている(図1参照)。プラグ44は、車両のシガーソケットに接続されて、シガーソケットから電力の供給を受ける。なお、シガーソケットを電力供給源とすることに代えて、家庭用電源コンセントから電力供給を受けるようにしてもよい。この場合には、家庭用電源コンセントに接続されるプラグを用いればよい。さらに、電力供給源として、バッテリを用いてもよい。
【0017】
薄肉部32a及び固定端子34a,34bの上面には、上板部35aを有する円筒状部材35の底面が固着されている。円筒状部材35は、ゴム等の弾性を有する絶縁材料で構成されている。円筒状部材35の軸方向の下部には、内側に張り出した環状の凸部35bが一体形成されている。この凸部35bの上面はほぼ平らに形成され、凸部35bの上面には可動子36が載置されている。可動子36は、金属製の導電材料で円盤状に構成されている。可動子36の上面と円筒状部材35の上板部35aの下面との間には、圧縮スプリング37が組み込まれている。上板部35a内には、上板部35aの変形を避けるために、円盤状の金属板38が埋め込まれている。上板部35aの上面には、作業者によって押圧操作される押圧部39が固着されている。押圧部39は、樹脂等により形成され、ケース31の上板に設けた孔31aから上方に突出している。なお、この電源ユニット30が本発明の電力遮断器を構成する。
【0018】
ここで、可動子36、圧縮スプリング37及び円筒状部材35の凸部35bについて説明を加えておく。可動子36は、初期の状態では、図2Aに示すように、凸部35bの上面に着座している。この状態では、可動子36は圧縮スプリング37により下方に付勢されるが、凸部35bは、下部から上方に向かうに従って内側への張り出し量が大きくなるように形成され、圧縮スプリング37の付勢力では可動子36が下方に変位しないようになっている。すなわち、可動子36が凸部35bの上面に安定して着座するように、圧縮スプリング37のばね力と、凸部35bの形状が設定されている。
【0019】
一方、この状態で、図2Bに示すように、作業者が、手又は器具を使って、押圧部39に対して下方への外力を加えると、円筒状部材35の変形を伴い、可動子36は、凸部35bを乗り越えて下方に変位し、最終的には、支持体32の座部32bに着座する。したがって、可動子36は、押圧部39に対する下方への外力により凸部35bを乗り越えることができるように、凸部35bの内側への最大張り出し量が設定されている。
【0020】
一方、この状態で、押圧部39に対する下方への外力付与を停止すると、圧縮スプリング37のばね力及び円筒状部材35の弾性力により、円筒状部材35が元の形状に戻り、電源ユニット30は図2Cに示す状態となる。この状態では、可動子36の外周面は、固定端子34a,34bに接触して電力供給ライン41a,41bが導通状態になる。したがって、可動子36の直径は、固定端子34a,34bの内周面間の距離に等しく設定されている。なお、可動子36の外周面と固定端子34a,34bの内側面との確実な接触を確保するために、固定端子34a,34bの内側面に弾性を有する導電性の接点を配置するとよい。また、管28を介して支持体32内に供給される空気が支持体32内から円筒状部材35内に漏れ出さないように、可動子36の下面と支持体32の座部32bとの間の気密性を高く保つ必要があり、可動子36の下面と支持体32の座部32bとは密着されるようになっている。必要に応じて、シール部材を可動子36の下面又は支持体32の座部32bに設けるとよい。
【0021】
また、この状態で、後述するように、タイヤ27内の空気圧が所定の高圧まで上昇した時点では、管28を介して支持体32の内部に供給される空気圧により、可動子36は、圧縮スプリング37の付勢力に抗して上方へ変位し、円筒状部材35の凸部35bを乗り越えて図2Aに示す初期状態に復帰するようになっている。したがって、前記所定の高圧によって可動子36の下面に対して上方に加えられる空気圧による力と、図2Cの状態における圧縮スプリング37によって可動子36の上面に対して下方に加えられる力とがほぼ等しくなるように、圧縮スプリング37のばね力が設定されている。
【0022】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。作業者は、まず、容器11内にシーリング剤を注入したのち、キャップ11bを閉めて容器11を密閉する。そして、作業者は、アダプタ26aをパンクしたタイヤ27のタイヤバルブに組付けるとともに、プラグ44を車両のシガーソケットに接続する。なお、これらの作業の順番は、いずれを先に行ってもよい。この状態では、電源ユニット30は、図2Aに示す初期状態にあり、可動子36は、円筒状部材35の凸部35bの上面に着座している。したがって、固定端子34a,34b間は電気的に遮断されており、電力供給ライン43a,43bと電力供給ライン41a,41bとは電気的に接続されていない。これにより、シガーソケットから電力供給ライン43a,43bを介して供給される電力は、電源ユニット30を介して電気制御装置14に供給されないので、電動モータ13は停止状態にあってポンプ12も作動しない。また、タイヤ27はパンクしているので、管22,24,28及びホース26内の空気圧は低い。
【0023】
一方、この状態で、図2Bに示すように、作業者が、手又は器具を使って、押圧部39に対して下方への外力を加えると、円筒状部材35の変形を伴い、可動子36は、凸部35bを乗り越えて下方に変位し、最終的には、支持体32の座部32bに着座する。この状態では、可動子36の外周面は、固定端子34a,34bに接触して電力供給ライン41a,43a間が導通する。したがって、シガーソケットから電力供給ライン43a,43bを介して供給される電力は、固定端子34a,34b、可動子36及び電力供給ライン41a,41bを介して電気制御装置14に供給される。この電力の供給により、電気制御装置14は電動モータ13を作動させ始め、ポンプ12の作動が開始する。また、前記押圧部39に対する下方への外力をなくすと、圧縮スプリング37のばね力及び円筒状部材35の弾性力により、円筒状部材35が元の形状に戻り、電源ユニット30は図2Cに示す状態となる。なお、これらの図2B及び図2Cに示す状態が、本発明の可動子36が第1位置にある状態に対応する。
【0024】
前記のようにして、ポンプ12が作動し始めると、ポンプ12によって吐出された空気が管21及びバルブ装置15を介して容器11内に侵入する。この侵入した空気は、シーリング剤内を通って容器11の上部に蓄積され始める。そして、容器11内の圧力が高くなり始めると、最初、シーリング剤が、バルブ装置16、管22、分岐管23、管24、コネクタ25、ホース26及びアダプタ26aを介して、タイヤ27内に侵入し始める。なお、この状態では、管22,24内の空気圧があまり高くないので、分岐管23内に設けたバルブにより、シーリング剤の管28内への侵入は阻止される。タイヤ27内においては、シーリング剤は、タイヤ27のパンク孔内に侵入していく。容器11内のシーリング剤が放出され終えると、ポンプ12から吐出され、一旦容器11内に蓄積された空気が、バルブ装置16、管22、分岐管23、管24、コネクタ25、ホース26及びアダプタ26aを介して、タイヤ27内に供給され始める。そして、タイヤ27のパンク孔内に侵入したシーリング剤がパンク孔を塞ぐように作用するので、タイヤ27内の空気圧は上昇する。このタイヤ27内の空気圧の上昇によってパンク孔内に侵入したシーリング剤の粘度は高まるが、完全には固化しない。そして、管22,24、ホース26及びタイヤ27内の空気圧がある程度上昇すると、管28は分岐管23内に設けたバルブを介して管22,24に連通する。
【0025】
前記管22,24との連通により、タイヤ27内の空気圧は、管28を介して電源ユニット30にも供給され、図2Cの状態にある支持体32内の空気圧も上昇する。そして、タイヤ27内の空気圧が所定の高圧まで上昇すると、支持体32の内部の空気圧により、可動子36は、圧縮スプリング37の付勢力に打ち勝って上方へ変位し、円筒状部材35の凸部35bを乗り越えて円筒状部材35の凸部35bの上面に着座する。すなわち、電源ユニット30は、図2Aに示す初期状態に復帰する。これにより、固定端子34a,34b間は電気的に遮断され、すなわち電力供給ライン43a,43bと電力供給ライン41a,41bとの間の接続が解除されるので、電気制御装置14には電力が供給されなくなる。その結果、電気制御装置14は、電動モータ13の作動制御を停止し、ポンプ12の作動も停止する。この状態では、前述のようにタイヤ27内の空気圧は所定の高圧まで達している。なお、この図2Aに示す状態が、本発明の可動子36が第2位置にある状態に対応する。
【0026】
次に、作業者は、アダプタ26aをタイヤ27のタイヤバルブから外し、その後に車両を予備走行させる。この予備走行により、パンク孔に侵入したシーリング剤は完全に固化し、パンクの修理が完了する。なお、前記予備走行後、タイヤ27内の空気圧を測定して、前記予備走行によりタイヤ27の空気圧が低下していた場合には、タイヤ27の空気圧を高めておくとよい。この場合、シーリング剤を容器11内に注入しない状態で、このパンク修理装置を上述のようにして作動させてもよいし、他の空気供給装置を用いていてもよい。
【0027】
上記作動説明からも理解できるとおり、上記実施形態によれば、作業者は、押圧部39を押圧するという簡単な操作により、パンク修理装置を作動開始させるだけで、パンク修理装置によるパンク修理が実行される。そして、タイヤ27内へのシーリング剤の注入後、タイヤ27内の空気圧が所定圧力に達すると、パンク修理装置は自動的に作動停止する。すなわち、作業者は、ポンプ12の作動を停止させる必要はなく、またポンプ12の作動停止を指示しなくても、パンク修理装置によるパンク修理が自動的に停止し、タイヤ27内の空気圧が高くなり過ぎることもない。さらに、上記のように構成したパンク修理装置においては、可動子36を内蔵する電源ユニット30を電力供給ライン41a,41b,43a,43bに介装させるという簡単な構成を採用しているので、作業者によるポンプ12の作動停止の必要性をなくすとともに、タイヤ27内の空気圧が高くなり過ぎないようにしたパンク修理装置を、簡単な構成かつ低コストで製造できるようになる。
【0028】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0029】
上記実施形態において、電源ユニット30をパンク修理装置全体に対する電源スイッチとして用いるようにした。しかし、これに代えて、電源ユニット30とは独立して電源スイッチを別途用意し、この電源スイッチを電力供給ライン41a,41b(又は電力供給ライン43a,43b)に介装することにより、電源スイッチを電源ユニット30に直列に接続するようにしてもよい。そして、前記別途設けた電源スイッチの操作によりパンク修理装置全体の作動開始及び作動停止を制御するとともに、上述した電源ユニット30により電力供給ライン41a,41b,43a,43bの導通及び遮断を選択的に制御するようにしてもよい。また、前記電源ユニット30に加えて、作業者により操作されるスタートスイッチを電気制御装置14に別途接続して、パンク修理装置のパンク修理動作を前記スタートスイッチの操作により開始させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
11…容器、12…ポンプ、13…電動モータ、14…電気制御装置、26…ホース、27…タイヤ、30…電源ユニット、32…支持体、34a,34b…固定端子、35…円筒状部材、36…可動子、37…圧縮スプリング、41a,41b,43a,43b…電力供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリング剤を収容する容器と、電動モータによって駆動されるポンプとを備え、前記電動モータを作動させて前記ポンプを駆動することにより、シーリング剤をタイヤ内に注入した後、タイヤ内に高圧空気を供給して、パンクしたタイヤを修理するためのパンク修理装置において、
前記電動モータへの電力供給路に介装され、第1位置にあるとき電力供給路を接続し、かつ第2位置にあるとき電力供給路を遮断する可動子を内蔵した電力遮断器を備え、
前記電力遮断器にタイヤ内の空気圧を導くように配管するとともに、前記電力遮断器を、前記可動子が第1位置にある状態で、前記導かれた空気圧が所定の空気圧を超えたとき、前記可動子が第2位置に切換えられるように構成したことを特徴とするパンク修理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公開番号】特開2010−173118(P2010−173118A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16142(P2009−16142)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】