説明

パン屋、ペストリーショップ、ケーキ屋の製品、または類似する製品の加熱調理オーブン

【課題】炉床の熱エネルギーの再充填の、または熱量の製品方向への移動の、これらの不活発の問題を回避する。
【解決手段】パン、ペストリー、ケーキ等の製品のための、炉床(3)を有する加熱調理室(2)を備えた加熱調理オーブン(1)であって、この炉床(3)は熱を通すものであり、前記炉床(3)の下方には炉床の放射による加熱手段として炉床用電熱プレート(4)が設けられている。また、炉床(3)と加熱手段(4)との間に、対流による加熱流体の閉塞流路状の循環空間(5)が形成されている。さらに、該炉床(3)を介して対流により製品の補足加熱を行うために、前記循環空間(5)内に、対流による加熱流体の循環実施手段(11)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン屋、ペストリーショップ、ケーキ屋の製品、または類似する製品の加熱調理オーブンに関するものであり、該オーブンは、着脱式の、または固定された炉床を有する、少なくとも一つの加熱調理室を備えるものであり、前記製品は加熱調理中に直接または、プレート、網または焼き型などのような適した加熱調理支持部材を介して置かれ、該炉床の下方には炉床の放射による加熱手段として、いわゆる炉床用電熱プレートが設けられている。
【0002】
本発明は、パン屋、ペストリーショップ、ケーキ屋の製品、または類似する製品の加熱調理オーブンの分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
断続的にまたは連続的に作動する上記の記載に合致する加熱調理オーブンは、既知のものである。断続的な場合、オーブンは、投入量と呼ばれる一定の量の製品を入れることができる。それは、加熱調理が終わると、オーブンから引き出され、新しい投入量の加熱調理に場所を譲る。連続的な加熱調理オーブンの場合、製品は、適切な進行手段によって加熱調理室内の入口部と出口部の間を移動し、通過時間は加熱時間に対応する。
【0004】
断続的に作動するオーブン内に一定の投入量の製品を出し入れする、または、連続的に作動するオーブン内をこれらの製品が通過するには、直接または、プレート、網または焼き型のような適切な加熱調理支持部材を介して製品が置かれる加熱調理室の炉床は、着脱式とも考えられ、例えば、とりわけ引出式と呼ばれる炉床の場合は、スライド式のプレートか適切な加熱調理コンベアの形が考えられる。このコンベアは、金属の型か、合成材料製であるか、さらにまたは石製または金属製の連結された薄板を備えることがある。
【0005】
本発明がとりわけ目的とするオーブンは、加熱される製品が直接またはそれらの加熱調理支持部材によって加熱調理室の炉床と接触し、炉床は適切な加熱手段に属している。
【0006】
特に、この炉床の下には、耐熱性のもの、加熱流体の誘導体または他のあらゆる熱生成手段を設置することができる。
【0007】
以下の説明では、少なくとも一部が炉床の下方に延びるこれらの加熱手段は、炉床用電熱プレートと呼ばれる。
【0008】
このように、製品は、放射加熱および/または対流による加熱調理を受けることが分かっているが、部分的にこの炉床を介した熱伝導によって加熱調理される。
【0009】
放射は、熱を帯びた加熱調理室の炉床と丸天井からの熱の分散によって生じる。この点に関して、丸天井もまた加熱手段を備える。
【0010】
これらの製品は、また、加熱調理室内を移動する熱伝達体の対流によっても加熱調理することができる。多くのオーブンは、伝導、放射、対流の、これらの三つの加熱方法を同時に使用することにより、製品の加熱調理を確実なものにする。特に、このことは、加熱された炉床と丸天井を供える前述されているオーブンにおいては、加熱調理室の中の空気を適切な循環手段によって処理することから成る。
【0011】
製品が直接または加熱調理支持部材を介して炉床上に置かれた時、熱量は接触区域で直接製品に吸収されるため、加熱調理作業を続行するために、炉床は局所的に炉床用電熱プレートを介して熱エネルギーを再充填されなければならない。前記炉床用電熱プレートを介した単純な放射による炉床の再加熱はいくつかの不活発を示し、これにより、炉床を介した伝導および放射による加熱調理作業が阻まれる。製品が加熱調理支持部材を介して炉床上に置かれている時、支持部材には熱の通過部が一般的には設けられているが、放射による加熱の障壁となり、炉床から製品への伝導による熱量の移動がさらに不活発になるため、その現象が顕著になる。
【0012】
その結果、炉床と直接または間接的に接触している製品の下方と比較して、これらの製品の上方または側面では、加熱調理は同一条件では行われないことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、炉床の熱エネルギーの再充填の、または熱量の製品方向への移動の、これらの不活発の問題を回避することのできる解決方法を提案し、この不都合の解決を試みるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明過程の枠内で、炉床において、伝導および放射による加熱を対流による加熱と組み合わせることが考案された。
【0015】
このために、本発明は、パン屋、ペストリーショップ、ケーキ屋の製品、または類似する製品の加熱調理オーブンに関するものであり、該オーブンは、着脱式の、または固定された炉床を有する、少なくとも一つの加熱調理室を備えるものであり、前記製品は加熱調理中に直接または、プレート、網または焼き型などの適した加熱調理支持部材を介して置かれ、前記炉床の下方には炉床の放射による加熱手段として、いわゆる炉床用電熱プレートが設けられており、炉床と炉床加熱手段との間に対流による加熱流体の閉塞流路状の循環空間が形成されており、前記炉床は、炉床を介して対流により製品の補足加熱を行うために熱を通すものであることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、炉床は、前記炉床用電熱プレートによる対流により、加熱流体の循環空間を介して放射で加熱されるのに適する。
【0017】
有利には、前記炉床は、炉床用電熱プレートに取り付けた、全体または一部に熱の通過部のあるプレートまたは加熱調理用コンベア、さらにグリルまたは網によって形成される。
【0018】
好ましい実施態様によれば、加熱調理コンベアの形状をした前記炉床は、炉床用電熱プレートの上方に延び、補強材を形成しているすべり壁の上方の最小側面によって支持されている。
【0019】
このように、前記すべり壁は、空間内に対流による加熱流体の循環路を形成する。
【0020】
本発明による加熱調理オーブンは、前記空間内に対流による加熱流体の閉塞流路状の循環実施手段を備えるものである。
【0021】
好ましい方法は、前記循環実施手段は、有利には循環装置、前記流体の加熱手段および、炉床の一方の端部の取込口からこの炉床の反対側の端部の送出口の方へ向かう流体の誘導手段を備えるものである。
【0022】
前記流体の加熱手段は、炉床用電熱プレートによって構成されている。
【0023】
前記すべり壁は、送出口から取込口の方へと、連続的または断続的に延びている。
【0024】
本発明の詳細な実施態様においては、前記炉床は着脱式でありうる。
【0025】
この場合、前記すべり壁は、前記炉床の移動方向とほぼ平行な方向に向けられており、オーブンの縦方向の中央縦面の両側で、対流による加熱流体の循環方向にわずかに偏向している。
【0026】
本発明は、また、複数のモジュールから構成された加熱調理装置に関するものであり、それぞれのモジュールは、加熱調理室を備え、モジュールの少なくとも一つは本発明による加熱調理オーブンによって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による加熱調理オーブンの実施態様を概略的に示した断面図である。
【図2】本発明による、対流による加熱流体の閉塞流路状の循環空間ならびに炉床用電熱プレートが形成されている炉床の一部を概略的に示した斜視図である。
【図3】加熱調理コンベアが除かれた図2の状態を、上面から概略的に示した平面図である。
【図4】複数のモジュールを備え、モジュールのいくつかが本発明による加熱調理オーブンによって形成されている加熱調理装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に図示された実施例を参照して行う以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0029】
図1は、本発明による加熱調理オーブンの実施態様を概略的に示した断面図である。
図2は、本発明による、対流による加熱流体の閉塞流路状の循環空間ならびに炉床用電熱プレートが形成されている炉床の一部を概略的に示した斜視図である。
図3は、加熱調理コンベアが除かれた図2の状態を、上面から概略的に示した平面図である。
図4は、複数のモジュールを備え、モジュールのいくつかが本発明による加熱調理オーブンによって形成されている加熱調理装置を概略的に示す図である。
【0030】
本発明は、図1に示した、炉床3と適した加熱手段4を有する加熱調理室2を備える加熱調理オーブン1に関するものである。これらの加熱手段は、全体または一部が炉床3の下方に延びており、以下の説明では炉床用電熱プレート4と呼ばれる。この炉床用電熱プレート4は、放射または伝導によって炉床3を暖める。
【0031】
有利な方法では、現存する加熱手段の補足として、対流による加熱を付加することが可能である。このため、対流による加熱流体の閉塞流路状の循環を可能にするための、前記炉床3と前記炉床用電熱プレート4の間には空間5が形成されている。
【0032】
この対流を介して熱の移動を促進し、前述において言及された不活発の問題の改善に至る。
【0033】
有利な方法では、炉床3は、対流による加熱流体の循環空間5を介して、炉床用電熱プレート4によって、放射加熱されることに適する。
【0034】
本発明の他の特徴によると、炉床3は、直接または、適した加熱調理支持部材6を介して炉床に置かれた製品の対流による加熱の補足を可能にするために熱を通すものである。これらの二つの解決策は、図1に概略的に示されている。
【0035】
特に、炉床3は、例えば、いわゆる引き出す炉床付きオーブンの場合、穿孔によって全体または一部に熱の通過部がつけられたプレートによって形成されているか、または、図1に示されているように、この炉床は、加熱調理コンベアのような形状をしており、この炉床用電熱プレート4に取り付けられている。
【0036】
好ましい実施態様では、加熱調理コンベアによって形成された炉床3は、炉床用電熱プレート4の上方に延びて、補強材を形成しているすべり壁8の上部の最小側面7の上に配置される。
【0037】
この構想は、加熱調理コンベアが形成する炉床3の炉床用電熱プレート4による放射加熱を維持し、さらに、有効にするという利点があることが分かる。この介在により、炉床を介した単純な放射による製品の加熱調理を確実なものにすることが可能になる。
【0038】
すべり壁8は、空間5内に対流による加熱流体循環路9を形成する。従って、これらのすべり壁8は、炉床3の下での対流による加熱流体の循環10の方向にほぼ平行な方向である。また、加熱調理オーブンは、さらに前記空間5内に対流による加熱流体の閉じた循環実施手段11を備える。この手段11は、第一に、ファンまたはこれに類似する物のような循環装置12、ならびに、炉床3の一方の端部15の取込口14から前記循環装置12を通過して、この炉床3の反対側の端部17の送出口16に向かう流体の誘導手段13ならびに前記流体の加熱手段を備える。
【0039】
特に詳細には、これらの加熱手段は、炉床用電熱プレート4単独か、または、図示していない補足の加熱装置と組み合わせて構成される。
【0040】
有利には、誘導手段13は、炉床用電熱プレート4自体と、この電熱プレート全体または一部を囲むジャケット18によって形成され、取込口14と送出口16を連通させる誘導19を形成する。
【0041】
この状況で、前記すべり壁8は、送出口16から取込口14の方へ連続的にまたは断続的に延びることができる。
【0042】
そのような構造では、循環装置12の促進下において、および、炉床3の熱通過性によって、対流による加熱流体は、調理室2にそれ以上侵入せずに、その上方の製品の加熱調理条件を変更することなく、炉床3に直接または加熱調理支持部材6を介して置かれた製品に接することができる。
【0043】
しかしながら、熱通過性の炉床を備えていない本発明による加熱調理オーブンの場合、対流による加熱は、炉床用電熱プレート4と前記炉床3との間の熱交換を促進するという利点があることに気づくべきである。
【0044】
導入部分で説明したように、炉床3は着脱式とも考えられ、スライド式のプレートか、適した加熱調理コンベアの形状をしている。当然のことながら、この着脱式のプレートまたは、加熱調理コンベアは、この炉床が、本発明に従った熱通過性の特性に応えるように、それ自体に熱の通過部が形成されている。
【0045】
従って、前述の実施態様ではこのプレートまたはこの加熱調理用コンベアは、すべり壁8の上方に延びており、すべり壁8はこのプレートまたはこのコンベアの移動方向にほぼ平行な方向である。しかしながら、このプレートまたはコンベアの局所的な磨耗を防ぐために、前記すべり壁8は、図2に概略的に示したように、オーブン1の、縦方向の中央縦面20の両側で流体の循環方向にわずかに偏向することができる。
【0046】
また、本発明による、そのような加熱調理オーブン1は、モジュールを形成することができる。言い換えれば、図4に示したように、例えばトンネル型の加熱調理装置では、このオーブン1はトンネルの一区間と考えられ、従って、このトンネルの一部だけに、炉床3が前述のような対流による加熱手段を補足として収容することができる。本発明は、また、このトンネルが本発明に従った加熱調理オーブン1に対応する複数のモジュール1A、1Bを並置することによって構成される場合も含む。
【0047】
このような形状では、炉床3に、一つまたは複数のモジュール1A、1Bにそれぞれの循環装置12を作動させることによる対流による補足加熱手段を付与するかどうかを選択することができる。図4では、モジュール1Aの循環装置12は作動しているが、モジュール1Bの循環装置12は作動していない。
【0048】
前述において指摘したように、本発明は、あらゆる型の加熱調理オーブンに適用されるものであり、例えば、一つまたは複数の段を備えるオーブントンネル、従来のオーブン、または炉床が着脱式または固定されたオーブンも含むが、それに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 加熱調理オーブン
2 加熱調理室
3 炉床
4 炉床用電熱プレート
5 循環空間
6 加熱調理支持部材
7 最小側面
8 すべり壁
9 加熱流体循環路
10 循環
11 循環実施手段
12 循環装置
13 誘導手段
14 取込口
15 炉床の端部
16 送出口
17 炉床端部
18 ジャケット
19 誘導
20 中央縦面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2002−000166号公報
【特許文献2】特開2000−236799号公報
【特許文献3】特公昭39−012279号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン屋、ペストリーショップ、ケーキ屋の製品、または類似する製品の加熱調理オーブンに関するものであり、該オーブンは、着脱式の、または固定された炉床(3)を有する、少なくとも一つの加熱調理室(2)を備えるものであり、前記製品は加熱調理中に直接または、プレート、網または焼き型などの適した加熱調理支持部材(6)を介して置かれ、前記炉床(3)の下方には炉床の放射による加熱手段として、いわゆる炉床用電熱プレート(4)が設けられており、炉床(3)と炉床用電熱プレート(4)との間に、対流による加熱流体の閉塞流路状の循環空間(5)が形成されており、該炉床を介して製品について対流により補足加熱を行うために、この炉床(3)は熱を通すものであることを特徴とする、加熱調理オーブン。
【請求項2】
前記炉床(3)は、炉床用電熱プレート(4)による対流により、加熱流体の循環空間(5)を介して放射で加熱されるのに適することを特徴とする、請求項1に記載の加熱調理オーブン。
【請求項3】
前記炉床(3)は、炉床用電熱プレート(4)に取り付けた、全体または一部に熱の通過部のあるプレートまたは加熱調理用コンベア、さらにグリルまたは網によって形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の加熱調理オーブン。
【請求項4】
前記炉床(3)は、着脱式であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の加熱調理オーブン。
【請求項5】
加熱調理コンベアの形状をした前記炉床(3)は、炉床用電熱プレート(4)の上方に延び、補強材を形成しているすべり壁(8)の上方の最小側面(7)によって支持されていることを特徴とする、請求項4に記載の加熱調理オーブン。
【請求項6】
前記すべり壁(8)は、空間(5)内に対流による加熱流体の循環路を形成していることを特徴とする、請求項5に記載の加熱調理オーブン。
【請求項7】
前記空間(5)内に対流による加熱流体の閉塞流路状の循環実施手段(11)を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の加熱調理オーブン。
【請求項8】
前記循環実施手段(11)は、循環装置(12)、前記流体の加熱手段(4)および、炉床(3)の一方の端部(15)の取込口(14)から、前記循環装置(12)を通過して、この炉床(3)の反対側の端部(17)の送出口(16)の方へ向かう流体の誘導手段(13)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の加熱調理オーブン。
【請求項9】
前記流体の加熱手段は、炉床用電熱プレート(4)によって構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の加熱調理オーブン。
【請求項10】
前記すべり壁(8)は、送出口(16)から取込口(14)の方へと、連続的または断続的に延びていることを特徴とする、請求項5と8に記載の加熱調理オーブン。
【請求項11】
前記すべり壁(8)は、前記炉床(3)の移動方向とほぼ平行な方向に向けられており、オーブンの縦方向の中央縦面の両側で、対流による加熱流体の循環方向にわずかに偏向していることを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一つに記載の加熱調理オーブン。
【請求項12】
複数のモジュールから構成された加熱調理装置に関するものであり、それぞれのモジュールは加熱調理室(2)を備え、モジュールの少なくとも一つは請求項1〜11のいずれか一つに記載の加熱調理オーブン(1)によって構成されていることを特徴とする、加熱調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−10711(P2012−10711A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195584(P2011−195584)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【分割の表示】特願2007−514034(P2007−514034)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(595156780)メカテルム ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】