説明

パーキンソン病の治療のための医薬組成物

低い水溶解度の有機酸及び式(I)の化合物の、塩、好ましくは結晶質の塩を含んでなる医薬組成物が提供される。該塩は、パーキンソン病の治療に有用である。該塩を使用する治療の方法、及び該塩の結晶質の形態を製造する方法が更に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月4日に出願された米国特許仮出願番号60/416,296の利益を主張するものである。
発明の背景
(1)発明の分野
本発明は、複素環式アミンである三環式、窒素含有化合物、及びその塩、そして特に前記化合物の低い水溶解度の塩に関する。前記塩は、パーキンソン病の治療のための徐放製剤における使用のために適している。
【0002】
(2)関連する技術の説明
パーキンソン病のような神経学的疾病を治療することにおいて療法的に有用である三環式窒素含有化合物は、すぐ下に個別に引用する特許及び特許出願公開中に独立に開示される。
【0003】
Moon等に付与された米国特許第5,273,975号。
Juに付与された米国特許第6,197,339号。
Juの国際公開WO99/16442。
【0004】
Meglasson等の国際公開WO00/40226。
開示された化合物は、本明細書中で以下に記載されるような式(I)の構造を有する。式(I)の化合物の合成の方法、特性及び使用は、化合物の医薬的に許容可能な塩として、これらの参考文献中に開示されている。開示された塩は、高い水溶解度を有する酸の塩である。例えば、国際出願WO00/40226中で開示された塩の酸は、好ましくは、メタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、nが0〜4であるCH−(CH−COOH、nが上記のように定義されたHOOC−(CH−COOHから選択される。同様に、米国特許第5,273,975号は、好ましくは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、シクロヘキサンスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、及び他の、アミンに対するカウンターイオンの医薬的に許容可能な酸から選択される酸の塩を開示している。国際公開WO99/16442及び米国特許第6,197,339号は、式(I)の化合物である(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]キノリン−2(1H)−オンのマレイン酸塩を記載している。これらの参考文献はいずれも、低い水溶解度の酸の塩を開示していない。
【0005】
発明の簡単な説明
本発明によれば、本発明人は、ここに低い水溶解度の酸から調製された式(I)の化合物の塩を発見することに成功した。前記塩は、好ましくは実質的に結晶質の形態である。塩は、徐放製剤中に使用することができ、これは、パーキンソン病のような神経学的疾病の治療のために特に有用である。
【0006】
従って、一つの態様において、本発明は、塩を含んでなる医薬組成物を含んでなり、この塩は、以下の式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
の化合物を含んでなり、
式中、R、R及びRは、同一又は別個であり、そして:−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキル、フェニル置換C〜Cアルキル、−NR(ここにおいてR及びRは、接続した窒素原子と共に環化して、ピロリジル、ピペリジニル、モルホニニル、4−メチルピペラジニル又はイミダゾリルを生じる)であり;
Xは:−H、C〜Cアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、C〜Cアルコキシ、シアノ、カルボキシアミド、カルボキシル、(C〜Cアルコキシ)カルボニルであり;
Aは:CH、CH、CH−(ハロゲン)(ここでハロゲンは、Cl、F、Br、又はIである)、CHCH、C=O、C=S、C−SCH、C=NH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN、SO、Nであり;
Bは:CH、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、N、NH、N−CHであり、
Dは:CH、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、O、N、NH、N−CHであり;そしてnは0又は1であり、そしてここで以下の表示:
【0009】
【化2】

【0010】
は単結合又は二重結合であり、但し:
(1)nが0であり、そして
Aが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、CHCH、C=O、C=S、C=NH、SOである場合;
Dは、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、O、NH、N−CHであり;
(2)nが0であり、そして
Aが、CH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOH、C−NHCN、Nである場合;Dは、CH、Nであり;
(3)nが1であり、そして
Aが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、CHCH、C=O、C−S、C=NH、SOであり;そして
Bが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、NH、N−CHである場合;
Dは、CH、C=O、O、NH、N−CHであり;
(4)nが1であり、そして
Aが、CH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN、Nであり;そして
Bが、CH、Nである場合;
Dは、CH、C=O、O、NH、N−CHであり;
(5)nが1であり、そして
Aが、CH、CHCH、C=O、C=S、C=NH、SOであり、そして
Bが、CH、Nである場合;
Dは、CH、Nである;
ことを条件とする。
【0011】
前記塩は、更に、低い水溶解度を有する有機酸を含んでなる。低い水溶解度を有する有機酸は、約1(重量/重量)%より小さい、好ましくは、約0.1(重量/重量)%より小さい、更に好ましくは、約0.01(重量/重量)%より小さい水溶解度を有する。好ましい有機酸は、Rが、ヒドロキシ、アミノ、及びニトロからなる群から選択される以下の式(式(A)):
【0012】
【化3】

【0013】
;R及びRが、ヒドロキシ、アミノ、及びニトロからなる群から独立に選択される以下の式(式(B)):
【0014】
【化4】

【0015】
の構造を有するナフチレンカルボン酸及びその誘導体である。
式(B)の好ましい酸は、パモ酸(pamoic acid)(4,4’−メチレンビス[3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸])であり、そして式(A)の好ましい酸は、キシナホ酸(xinafolic acid)(1−ナフトール−2−カルボン酸)である。
【0016】
もう一つの側面において、nが5〜16又はそれより大きい整数であるCH(CHCOOH(式(C))の構造を有する長鎖カルボン酸を含む、他の低い水溶解度の酸を使用することができる。好ましくは、式(C)の長鎖カルボン酸は、nが5〜16の整数であるCH(CHCOOHの構造を有する。“nが5〜16の整数であるCH(CHCOOHの構造を有する長鎖カルボン酸”は、直鎖のカルボン酸、及びその異性体、例えば、7〜18個の炭素原子を含んでなる分枝鎖カルボン酸及び環式カルボン酸である。mが5〜16又はそれより大きい整数であるHOOC(CHCOOH(式(D))の構造を有する長鎖ジカルボン酸のような、更なる低い水溶解度の酸もまた、使用することができる。“mが5〜16の整数であるHOOC(CHCOOHの構造を有する長鎖ジカルボン酸”は、直鎖のジカルボン酸、又はその異性体、例えば、7〜18個の炭素原子を含んでなる分枝鎖ジカルボン酸及び環式ジカルボン酸である。
【0017】
一つの側面において、本発明の塩は実質的に結晶質である。本発明の結晶質の塩は、化合物のマレイン酸の結晶質の塩のそれより遅い、水媒体中での溶解速度を有する。好ましい態様において、本発明の塩は、標準的溶解条件下で約0.40ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい水溶液中への溶解速度を有する。更に好ましくは、本発明の塩は、標準的な溶解条件下で約0.20ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい水溶液中への溶解速度を有する。更に好ましくは、本発明の塩は、標準的な溶解条件下で約0.05ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい水溶液中への溶解速度を有する。
【0018】
本発明の塩、そして特に結晶質の塩は、実質的に水に不溶であり、そしてこの理由により、この物質は、徐放又は継続放出の特質を示す製剤中に組込むことができる。従って、一つの態様において、本発明は、本発明の塩であって好ましくは結晶質の形態である塩の一つを療法的に有効な量含んでなる、徐放投与製剤に向けられる。
【0019】
療法的に有効な量の医薬的化合物は、好ましくは少なくとも約12時間、そして更に好ましくは、約24時間の時間単位にわたって被験者の胃腸管内で溶解する塩として与えられる。徐放製剤は、従って好ましくは一日2回より頻繁でない、そして更に好ましくは、一日1回より頻繁でない頻度で被験者に投与するために適している。
【0020】
もう一つの側面において、本発明は、結晶質の形態の式(I)のパモ酸塩又は結晶質の形態の式(I)の化合物のキシナホ酸塩を製造する方法を含む。この方法は、化合物及び酸の両方を第1の溶媒中に溶解し、第1の溶媒の少なくとも一部を除去し、第2の溶媒中に再溶解し、そして第2の溶媒から前記塩を結晶化することを含んでなる。第1の溶媒は、好ましくはメタノール又はピリジンであり、そして第2の溶媒は、好ましくはアセトニトリル又は、メタノール及びアセトニトリルの混合物である。
【0021】
本発明はまた、被験者の神経学的疾病、特にパーキンソン病を治療する方法を含む。この方法は、本発明の塩を含んでなる組成物又は本発明の塩を含んでなる徐放製剤を、被験者に経口的に投与することを含んでなる。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、塩を含んでなる医薬組成物を提供し、この塩は、式(I)の化合物及び低い水溶解度を有する有機酸を含んでなる。有機酸は、式(A)又は式(B)のナフチレンカルボン酸若しくはその誘導体(好ましくはパモ酸又はキシナホ酸)、nが好ましくは5〜16の整数である式(C)の長鎖カルボン酸、又はmが好ましくは5〜16の整数である式(D)の長鎖ジカルボン酸であることができる。塩は、被験者のパーキンソン病のような神経学的疾病を治療するための徐放組成物において有用である。本明細書中で言及される治療によってとは、医薬組成物が、予防的又は治療的のいずれかのために被験者に与えられることを意味する。
【0023】
本発明の組成物の投与は、好ましくはヒトの被験者への組成物の投与を含んでなるが、本発明の投与は、更に非ヒト哺乳動物への投与を含んでなることができる。非ヒト哺乳動物は、例えば、商業的動物(ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ及び遺伝子組換えマウスのような非限定例を含む)、及び動物園の動物、スポーツ用動物のようなエキゾチックな動物(ウマ及びイヌのような非限定例を含む)、並びに伴侶動物(イヌ及びネコのような非限定例を含む)であることができる。
【0024】
本発明の塩の有機酸成分は、低い水溶解度を有する。本明細書中で言及される場合、溶解度は、25℃の蒸留水中で、溶解又は溶液を形成する物質の量を表すことを意図する。他に示さない限り、溶解度は、溶質の重量/溶媒の重量(重量/重量)のパーセント、即ち、100グラムの水中に溶解する物質の量をグラムとして表す。
【0025】
好ましい式(I)の化合物は、スマニロール、即ち、(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]−キノリン−2(1H)−オン、(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5−ij]−キノリン−2(1H)−チオン及び(R)−5,6−ジヒドロ−N,N−ジメチル−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]−キノリン−5−アミンである。
【0026】
好ましい側面において、本発明の塩は、結晶質の塩である。本発明の結晶質の塩は、標準的な温度、圧力、及び流体流動の条件下で、同一化合物の結晶質のマレイン酸塩より遅く溶解する。好ましくは、本発明の結晶質の塩の溶解速度は、回転円盤(rotating disk)溶解試験によって測定した場合、同一化合物の結晶質のマレイン酸塩のそれと比べ、50%より小さい。更に好ましくは、溶解速度は、同一化合物の結晶質のマレイン酸塩のそれと比べ、25%より小さい。更に好ましくは、溶解速度は、同一化合物の結晶質のマレイン酸塩のそれと比べ、10%より小さい。例えば、標準的な条件下の回転円盤溶解試験において、マレイン酸塩の結晶は、0.44ミリモル秒−1cm−2の回転円盤溶解速度(RDDR)で溶解し、一方キシナホ酸塩の結晶は、0.03ミリモル秒−1cm−2の速度で溶解した(図1参照)。好ましい態様において、本発明の塩は、約0.40ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい、水溶液への溶解速度を有する。更に好ましい態様において、本発明の塩は、約0.20ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい水溶液への溶解速度を有する。更に好ましい態様において、本発明の塩は、約0.05ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい水溶液への溶解速度を有する。
【0027】
ある側面において、本発明の製剤は、塩、好ましくは結晶質の塩、及びタンパク質、デンプン、セルロース、又は合成ポリマーのような医薬的に許容可能なポリマーを含んでなることができる。当技術において既知のポリマー、例えばすぐ下に個別に引用する特許及び特許出願公開中に独立に開示されているものは、化合物の水相への放出の速度を調節するために使用される。
【0028】
米国特許第4,389,393号。
米国特許第5,000,962号。
米国特許第5,614,218号。
【0029】
米国特許第5,658,919号。
米国特許第5,922,342号。
米国特許第6,197,339号。
【0030】
米国特許第6,322,813号。
国際公開WO97/34932。
国際公開WO97/37639。
【0031】
ポリマーは、好ましくは、デンプン(例えば、コーンスターチ、コムギデンプン、アルファ化(pregelatinized)デンプン、又はデンプングリコール酸ナトリウム)、タンパク質(例えば、ウシ、ブタ、又はヒツジゼラチン);又はセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエーテル、又は酢酸セルロース)及び/又は合成ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン又はポリアルキルメタクリレート)のような、天然に存在するポリマー又は化学的に修飾されたその誘導体である。デンプンが基質として含まれる場合、デンプンがコーンスターチ、アルファ化デンプン、又はこれらの混合物であることが好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが製剤に含まれる場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、個別の又はこれらの混合物の医薬的に許容可能なヒドロキシプロピルメチルセルロースのいずれもである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが製剤に含まれる場合、これが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 4,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 15,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 4,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 10,000cps、又はこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 4,000cps及びヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 4,000cpsからなる群から選択されることが更に好ましい。更に、錠剤又はカプセルは、更に着色剤、充填剤、及び被覆剤のような、当業者にとって既知の他の剤又は不活性成分を含んでなることもできる。
【0032】
医薬的に許容可能な水不溶性の潤滑剤は、本発明の徐放製剤中に存在することができる。潤滑剤の非限定的例は、二ヘプタン酸(behapate)グリセリル、ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム又はナトリウム)、ステアリン酸、水添植物油、コロイド状シリカ、タルク、ワックス及びこれらの混合物を含む。一つ又はそれより多い水不溶性潤滑剤が、本発明の製剤中に、製剤の約0.05〜約5重量%の合計量で存在することができる。好ましくは、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムが存在する場合、これは、約0.2%〜約2.0%の量であることができる。
【0033】
医薬的に許容可能な被覆は、例えば、錠剤化される物質の錠剤ダイ中への流れを向上する、パンチ及びダイへの錠剤化される物質の付着を防止する、又は光沢を有する錠剤を製造するために、本発明の製剤に存在することができる。許容可能な被覆は、例えば、フューム(fumed)シリカ(Cabot Corp.のCab−O−SilTM又はDegussaのAerosilTMのような)のようなコロイド状二酸化ケイ素製品を含む。コロイド状二酸化ケイ素が存在する場合、これは、好ましくは約0.2%〜約1.0(重量/重量)%の量である。錠剤の製造に慣用される他の成分、例えば、タルク、二酸化チタン、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ラクトース、ポビドン、高分子量ポリエチレングリコール及び誘導体、生体侵食可能なポリマー(例えばポリ(オルトエステル)及びポリアンヒドリド及びアンヒドリドコポリマー)、ポリオキシステアレート、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル(例えばアセテートフタレート、アセテートスクシネート、及びセルロースアセテートN,N−ジエチルアミノアセテート)、並びにポリビニルアルコールを添加することができる。
【0034】
医薬的に許容可能な甘味剤は、本発明の錠剤中に甘味付けに有効な量で存在することができる。甘味剤は、例えば、スクロース、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、アセスルファムK、ネオテーム及びアスパルテームを含む。更に、医薬的に許容可能な風味剤も更に本発明の錠剤中に、風味付けに有効な量で存在することができる。風味剤は、例えば、ペパーミント、スペアミント、ブドウ、チェリー、イチゴ、及びレモンを含む。
【0035】
本発明の錠剤は、いずれもの適した大きさ、例えば直径10mm;形状、例えば円形、楕円形、又は矩形;重量;及び厚さで製造される。本発明の錠剤は、更に片側又は両側にエッチング又はモノグラムを有することもできる。錠剤は、更により小さい部分に分割するために刻み目を入れることもできる。
【0036】
本発明の錠剤は、特質の中でも特に、大きさ及び形状、並びに組成に依存する硬度を有する。錠剤の硬度は、当技術において既知のいずれもの方法によって、例えば錠剤硬度計によって測定される。好ましくは、本発明の組成物は、約1〜約10kg、そして更に好ましくは約1〜約5kgの硬度を有する。
【0037】
好ましい製剤において、本発明の固体の投与形は、取扱いのために充分な硬度を有する。本明細書中で使用される場合、用語“取扱いのために充分な硬度”は、少なくとも標準的なブリスター包装から取出すこと、或いは他の取扱い、例えば包装、出荷、又は運搬に耐える硬度を意味する。適した硬度は、約8mmの直径を有する錠剤に対して約1kg又はそれより大きく、約10mmの直径を有する錠剤に対して約1.5kg又はそれより大きく、そして錠剤が約12mmの直径を有する場合約2kg又はそれより大きい。好ましくは、錠剤の硬度は、例えばガラス又はプラスチック瓶中にいっしょに包装された複数の錠剤が、実質的な破壊、隣接する錠剤又は包装材料への付着、或いは通常の輸送及び取扱い中の融合を示さないようなものである。このような包装が意図される錠剤は、好ましくは約3kg又はそれより大きい硬度を有する。
【0038】
本発明の錠剤は、当技術において既知のいずれもの適した様式で包装することができる。多数の錠剤を、例えばガラス又はプラスチック瓶又は容器にいっしょに包装することができる。別の方法として、本発明の錠剤は、例えばプラスチック又はホイル中に個別に包装し、或いは既知の形態のブリスター包装中に包装することができる。
【0039】
一つの態様において、製剤は、直接圧縮によって調製された錠剤であり、本発明の結晶質の塩、非直接圧縮充填剤、好ましくは非直接圧縮糖又は糖アルコール、例えばデキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース又はスクロース、及び潤滑剤を含んでなる(実質的に米国特許第6,024,981号中で開示されているように)。
【0040】
本発明は、一つの態様において結晶質の塩を含んでなる組成物の製造方法を提供し、該結晶質の塩は、低い水溶解度を有する有機酸及び式(I)の医薬的化合物を含んでなる。好ましくは、有機酸は、約0.1(重量/重量)%又はそれより小さい水溶解度を有する。この方法は、化合物及び有機酸の両方を第1の有機溶媒中に溶解し、これによって混合物を形成し、次いで溶媒を除去して、外皮で覆われた溶液又は油状物を形成することを含んでなる。第1の溶媒は、低い水溶解度を有する有機酸及び医薬的化合物の両方が、少なくとも1(重量/重量)%、更に好ましくは、少なくとも3(重量/重量)%の溶解度を有する任意の溶媒である。好ましくは、第1の溶媒は、有機塩基又は1〜3個の炭素原子を含んでなる低級アルコールである。更に好ましくは、第1の溶媒は、有機酸がパモ酸である場合ピリジンであり、又は有機酸がキシナホ酸である場合1〜3個の炭素原子を含んでなる低級アルコール、好ましくはメタノールである。好ましくは、有機酸及び化合物は、およそ等モル比で混合される。“およそ等モル比”とは、好ましくは約1:5〜約5:1のモル比、更に好ましくは約1:2〜約2:1のモル比、更に好ましくは約1:1.4〜約1.4:1のモル比である。第1の溶媒は、好ましくは溶媒を蒸発することによって除去されるが、しかし当技術において既知のいずれもの適した方法、例えばクロマトグラフィー又は凍結乾燥もまた使用して除去することができる。除去は、好ましくは第1の溶媒の少なくとも約50%、更に好ましくは第1の溶媒の少なくとも90%、更に好ましくは第1の溶媒の少なくとも99%を除去する。第1の溶媒の除去によって残った残留物は、次いで第2の溶媒に再溶解される。第2の溶媒は、好ましくは1〜3個の炭素原子を含んでなる低級アルコール、アセトニトリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、低級アルコールは、メタノールである。更に好ましくは、第2の溶媒は、有機酸がパモ酸である場合、メタノール及びアセトニトリルの混合物であり、又は有機酸がキシナホ酸である場合、アセトニトリルである。前者の場合、低級アルコール及びアセトニトリルは、最初にほぼ等体積で加えられ、そして穏やかな加熱を使用して、溶解を促進することができる。次いでアセトニトリルと低級アルコールの容積比は、低級アルコールの量を減少すること、及び/又はアセトニトリルの量を増加することによって増加する。両方の溶液において、有機酸及び医薬的化合物を含んでなる結晶質の塩が、第2の溶媒の除去によって形成される。結晶質の塩からの第2の溶媒の除去は、当業者にとって既知のいずれもの方法によることができる。好ましくは、第2の溶媒は、第2の溶媒の蒸発、及び/又は第2の溶媒からの塩の結晶の自然発生的沈殿によって除去される。後者の場合、第2の溶媒は、結晶の形成後、濾過、蒸発、又は凍結乾燥のような当業者にとって既知の標準的な方法によって更に除去される。これらの手順により、低い水溶解度を有する有機酸及び式(I)の医薬的化合物を含んでなる結晶質の塩が得られる。好ましくは、有機酸は、約0.1(重量/重量)%又はそれより小さい水溶解度を有する。
【0041】
塩、そして特に本発明の結晶質の塩の製造方法、並びに水性環境中の溶解特性を含む塩のいくつかの物理的特性を、以下に与える実施例中に例示する。
【実施例1】
【0042】
本実施例は、スマニロールのパモ酸塩の結晶の調製を例示する。
スマニロール、2.078グラム(10.22ミリモル)、及びパモ酸、1.984グラム(5.108ミリモル)を、25mlのフラスコに入れた。次いで9mlのピリジンを加え、そして混合物を全ての成分が溶解するまで撹拌した。一晩のピリジンの強制蒸発により、上皮を上部に伴った溶液を得た。次いで3mlのメタノール及び3mlのアセトニトリルを混合物に加え、そして固体を加熱して再溶解した。次いで混合物をロータリーエバポレータに入れ、そして蒸発により体積を約5mlに減少させた。次いで更に10mlのアセトニトリルを加えた。この混合物は、ロータリーエバポレータでの蒸発によって、結晶を生じた。約3グラムの結晶生成物を単離した(収率〜75%)。
【実施例2】
【0043】
本実施例は、スマニロールのキシナホ酸塩の結晶の調製を例示する。
スマニロール、103.5mg(0.509ミリモル)及び1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、105mg(0.558ミリモル)を、20mlのバイアルに入れた。3mlのメタノールを該固体に加えた。酸及び医薬的化合物の両方を周囲温度で溶解した。メタノール溶媒を、逆さにした250mlのビーカー下で蒸発させた。蒸発により、油状の残留物が残った。次いで1mlのアセトニトリルを油状物に加え、そして混合物を周囲温度で撹拌した。油状の溶液が得られた。溶液の撹拌を停止し、そして溶液を一晩静置した。結晶が溶液から沈殿した(172mg、86%収率)。
【実施例3】
【0044】
本実施例は、実施例1及び2で得られた結晶の物理的特質の分析の結果を記載する。
赤外分光分析を、実施例1及び2のそれぞれの塩の試料について、走査赤外分光器を使用して行った。得られたIR吸光のスペクトルは、それぞれの構造と一致した。
【0045】
表1は、実施例1のスマニロールパモ酸塩の分析結果を示す。
【0046】
【表1】

【0047】
カールフィッシャー分析によって決定された水含有率。
**強熱残分(Residue of Ignition)
表2は、実施例2のスマニロールキシナホ酸塩の分析結果を示す。
【0048】
【表2】

【0049】
カールフィッシャー分析によって決定された水含有率。
結果は、実施例1及び2に与えられた手順が、それぞれ等モル比の酸及び医薬的化合物を含んでなる結晶質の塩の形成に成功したことを示す。
【実施例4】
【0050】
本実施例は、実施例2のスマニロールキシナホ酸塩の結晶質塩の溶解速度特質の調査を示す。
キシナホ酸塩及びマレイン酸塩の結晶質の塩からのスマニロールの溶解速度を、回転円盤装置を使用して決定した。この装置において、関心のある物質を含んでなるペレットを含有するダイを、小さいモーターに接続されたアームに設置する。ダイを約500mlの溶解媒体中に25℃で浸漬し、そして300rpmで回転する。溶液中に放出された化合物の濃度を一連の時点で、デジタルコンピューターに連結されたin situのUV/可視吸光浸漬(vis absorbance dip)プローブを使用して測定する。スマニロールキシナホ酸塩及びスマニロールマレイン酸塩の結晶質塩の溶解速度の試験のために、20mgのキシナホ酸塩の結晶質の塩及び20mgのマレイン酸塩の結晶質の塩を、それぞれ均一な形状のペレットに約450kg(1000ポンド)(約260kg/cm(3700psi))で1分間プレスした。次いでそれぞれのペレットを回転円盤溶解装置で溶解にかけた。スマニロールの遊離塩基に相当するミリグラムとして記録される、媒体中に溶解したスマニロールの量の測定値を、時間に対してプロットした(図1)。それぞれの円盤の最初に暴露された表面積に対して正規化されたそれぞれの曲線の傾斜を、それぞれの塩に対する回転円盤溶解速度(RDDR)を計算するために使用した。図1に示すように、スマニロールキシナホ酸塩の結晶質の塩の溶解速度(RDDR=0.030ミリモル秒−1cm−2)は、スマニロールマレイン酸の結晶質の塩の速度(RDDR=0.44ミリモル秒−1cm−2)の10%より小さかった。
【0051】
本発明の範囲から逸脱することなく、各種の変更を上記の方法及び組成物に行うことができるため、上記の説明に含有される全ての事項は例示であり、そして限定的意味ではなく解釈されることを意図している。
【0052】
本明細書中に引用された全ての参考文献は、本明細書中に引用することによりその全てが組み入れられる。本明細書中の参考文献の検討は、単にそれらの著者によって行われた主張を要約することを意図し、そしていずれもの参考文献が、特許性に関連する従来の技術を構成することを容認するものではない。本出願人は、引用された文献の正確さ及び適切さに意義を申し立てる権利を留保するものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5−ij]−キノリン−2(1H)−オン(スマニロール)のマレイン酸塩及びキシナホ酸塩に対する回転円盤溶解データを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低い水溶解度を有する有機酸及び以下の式(I):
【化1】

[式中
、R及びRは、同一又は別個であり、そして:−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキル、フェニル置換C〜Cアルキル、−NR(ここにおいてR及びRは、接続した窒素原子と共に環化して、ピロリジル、ピペリジニル、モルホニニル、4−メチルピペラジニル又はイミダゾリルを生じる)であり;
Xは:−H、C〜Cアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、C〜Cアルコキシ、シアノ、カルボキシアミド、カルボキシル、(C〜Cアルコキシ)カルボニルであり;
Aは:CH、CH、CH−(ハロゲン)(ここでハロゲンは、Cl、F、Br、又はIである)、CHCH、C=O、C=S、C−SCH、C=NH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN、SO、Nであり;
Bは:CH、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、N、NH、N−CHであり、
Dは:CH、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、O、N、NH、N−CHであり;そしてnは0又は1であり、そしてここで以下の表示:
【化2】

は単結合又は二重結合であり、但し:
(1)nが0であり、そして
Aが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、CHCH、C=O、C=S、C=NH、SOである場合;
Dは、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、O、NH、N−CHであり;
(2)nが0であり、そして
Aが、CH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOH、C−NHCN、Nである場合;Dは、CH、Nであり;
(3)nが1であり、そして
Aが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、CHCH、C=O、C−S、C=NH、SOであり;そして
Bが、CH、ハロゲンが上記で定義したとおりであるCH−(ハロゲン)、C=O、NH、N−CHである場合;
Dは、CH、C=O、O、NH、N−CHであり;
(4)nが1であり、そして
Aが、CH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN、Nであり;そして
Bが、CH、Nである場合;
Dは、CH、C=O、O、NH、N−CHであり;
(5)nが1であり、そして
Aが、CH、CHCH、C=O、C=S、C=NH、SOであり、そして
Bが、CH、Nである場合;
Dは、CH、Nである;
ことを条件とする]
の化合物を含んでなる塩。
【請求項2】
前記化合物が、スマニロール、(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5−ij]−キノリン−2(1H)−チオン及び(R)−5,6−ジヒドロ−N,N−ジメチル−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]−キノリン−5−アミンからなる群から選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記有機酸が、約0.1(重量/重量)%又はそれより低い水溶解度を有する、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
前記塩が、約0.40ミリモル秒−1cm−2又はそれより小さい、水溶液への溶解速度を有する、請求項1に記載の塩。
【請求項5】
前記有機酸が、CH(CHCOOH、HOOC(CHCOOH、以下の式:
【化3】

からなる群から選択される化合物であり、
、RおよびRは、ヒドロキシ、アミノ、及びニトロからなる群から独立に選択され;
nは、5〜16の整数であり;そして
mは、5〜16の整数である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩。
【請求項6】
前記塩が、結晶質の塩であり、そして前記有機酸が、式(A)の有機酸及び式(B)の有機酸からなる群から選択される、請求項5に記載の塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩を含んでなる徐放組成物。
【請求項9】
更にタンパク質、デンプン、セルロース及び合成ポリマーからなる群から選択される医薬的に許容可能なポリマーを含んでなり、ここにおいて前記タンパク質は、ウシゼラチン、ブタゼラチン及びヒツジゼラチンからなる群から選択されるゼラチンであり;ここにおいて前記デンプンは、コーンスターチ、コムギデンプン、アルファ化デンプン及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択され;ここにおいて前記セルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエーテル及び酢酸セルロースからなる群から選択され;そしてここにおいて前記合成ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン及びポリアルキルメタクリレートからなる群から選択される、請求項8に記載の徐放組成物。
【請求項10】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 4,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 15,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 4,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 10,000cpsおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の徐放組成物。
【請求項11】
一日2回の投与のために適した、請求項8〜10のいずれか1項に記載の徐放組成物。
【請求項12】
一日1回の投与のために適した、請求項8〜10のいずれか1項に記載の徐放組成物。
【請求項13】
請求項6に記載の結晶質の形態の塩を製造する方法であって、ここにおいて式(A)の有機酸がキシナホ酸であり:
(a)前記式(I)の化合物、前記式(A)の有機酸、及びメタノールを含んでなる混合物を形成し;
(b)前記メタノールを蒸発して、油状物を形成し;
(c)前記油状物をアセトニトリル中に再溶解し;そして
(d)前記アセトニトリルを蒸発し、これによって前記結晶質の塩を沈殿させること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項14】
請求項6に記載の結晶質の形態の塩を製造する方法であって、ここにおいて式(B)の有機酸がパモ酸であり:
(a)前記構造式(I)の化合物、式(B)の有機酸、及びピリジンを含んでなる混合物を形成し;
(b)前記ピリジンを蒸発して、固体を形成し;
(c)前記固体をメタノール及びアセトニトリルを含んでなる溶媒の混合物中に再溶解し;そして
(d)前記溶媒の混合物を蒸発し、これによって前記結晶質の塩を沈殿させること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項15】
パーキンソン病の治療のための医薬の製造のための、それを必要とする哺乳類の被験者における組成物の使用であって、前記組成物が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩を含んでなる、前記使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸及び化合物を含んでなる塩であって:
前記有機酸が25℃で約1(重量/重量)%未満の水溶解度を有し;
前記化合物が以下の式(I):
【化1】

[式中
、R及びRは:
同一又は別個であり、そして
それぞれ−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10シクロアルキル、フェニル置換C〜Cアルキル、及び−NRからなる群から選択され;
及びRは、それらが共に接続した窒素と一緒になって、ピロリジル、ピペリジニル、モルホニニル、4−メチルピペラジニル又はイミダゾリルを形成し;
Xは−H、C〜Cアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、C〜Cアルコキシ、シアノ、カルボキシアミド、カルボキシル又は(C〜Cアルコキシ)カルボニルであり;
AはCH、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、CHCH、C=O、C=S、C−SCH、C=NH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN、SO又はNであり;
EはCH、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、C=O、N、NH又はN−CHであり、
ZはCH、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、C=O、O、N、NH又はN−CHであり;
nは0又は1であり;
以下の表示:
【化2】

は単結合又は二重結合であり;
nが0であり、そして
Aが、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、CHCH、C=O、C=S、C=NH又はSOである場合;
Zは、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、C=O、O、NH又はN−CHであり;
nが0であり、そして
AがCH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOH、C−NHCN又はNである場合;
ZはCH又はNであり;
nが1であり、
Aが、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、CHCH、C=O、C−S、C=NH又はSOであり;そして
Eが、CH、CHCl、CHF、CHBr、CHI、C=O、NH又はN−CHである場合;
Zは、CH、C=O、O、NH又はN−CHであり;
nが1であり、
Aが、CH、C−SCH、C−NH、C−NHCH、C−NHCOOCH、C−NHCN又はNであり;そして
Eが、CH又はNである場合;
Zは、CH、C=O、O、NH又はN−CHであり;
nが1であり、
Aが、CH、CHCH、C=O、C=S、C=NH又はSOであり、そして
Eが、CH又はNである場合;
Zは、CH又はNである;
ことを条件とする]
の化合物を含んでなる塩。
【請求項2】
前記化合物が、スマニロール、(R)−5,6−ジヒドロ−5−(メチルアミノ)−4H−イミダゾ[4,5−ij]−キノリン−2(1H)−チオン、及び(R)−5,6−ジヒドロ−N,N−ジメチル−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]−キノリン−5−アミンからなる群から選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記有機酸が、約0.1(重量/重量)%より大きくない水溶解度を有する、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
前記塩が、約0.40ミリモル秒−1cm−2より大きくない、水溶液への溶解速度を有する、請求項1に記載の塩。
【請求項5】
前記有機酸が、CH(CHCOOH、HOOC(CHCOOH、以下の式:
【化3】

からなる群から選択される化合物であり、
、RおよびRは、ヒドロキシ、アミノ、及びニトロからなる群から独立に選択され;
nは、5〜16の整数であり;そして
mは、5〜16の整数である、
請求項1に記載の塩。
【請求項6】
前記塩が、結晶質の塩であり、そして
前記有機酸が、式(A)の有機酸及び式(B)の有機酸からなる群から選択される、
請求項5に記載の塩。
【請求項7】
請求項1に記載の塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の塩を含んでなる徐放組成物。
【請求項9】
組成物が更に、タンパク質、デンプン、セルロース及び合成ポリマーからなる群から選択される医薬的に許容可能なポリマーを含んでなり;
前記タンパク質は、ウシゼラチン、ブタゼラチン及びヒツジゼラチンからなる群から選択されるゼラチンであり;
前記デンプンは、コーンスターチ、コムギデンプン、アルファ化デンプン及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択され;
前記セルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエーテル及び酢酸セルロースからなる群から選択され;
前記合成ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン及びポリアルキルメタクリレートからなる群から選択される、
請求項8に記載の徐放組成物。
【請求項10】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100cps;ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 4,000cps;ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 15,000cps;ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100,000cps;ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 4,000cps;ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 10,000cps;および一つ又はそれ以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 4,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 15,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2208 USP 100,000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 4,000cpsおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース 2910 USP 10,000cpsの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の徐放組成物。
【請求項11】
一日2回の投与のために適した、請求項8に記載の徐放組成物。
【請求項12】
一日1回の投与のために適した、請求項8に記載の徐放組成物。
【請求項13】
請求項6に記載の結晶質の形態の塩を製造する方法であって、ここにおいて式(A)の有機酸がキシナホ酸であり:
(a)前記式(I)の化合物、前記式(A)の有機酸、及びメタノールを含んでなる混合物を形成し;
(b)前記メタノールを蒸発して、油状物を形成し;
(c)前記油状物をアセトニトリル中に再溶解し;そして
(d)前記アセトニトリルを蒸発し、これによって前記結晶質の塩を沈殿させること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項14】
請求項6に記載の結晶質の形態の塩を製造する方法であって、ここにおいて式(B)の有機酸がパモ酸であり:
(a)前記構造式(I)の化合物、式(B)の有機酸、及びピリジンを含んでなる混合物を形成し;
(b)前記ピリジンを蒸発して、固体を形成し;
(c)前記固体をメタノール及びアセトニトリルを含んでなる溶媒の混合物中に再溶解し;そして
(d)前記溶媒の混合物を蒸発し、これによって前記結晶質の塩を沈殿させること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項15】
パーキンソン病の治療のための医薬の製造のための、それを必要とする哺乳類の被験者における組成物の使用であって、前記組成物が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩を含んでなる、前記使用。

【図1】
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【公表番号】特表2006−506360(P2006−506360A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543424(P2004−543424)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031657
【国際公開番号】WO2004/032854
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】