説明

パース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法

【課題】 適切なグラデーションを施したパース図を迅速に作成、表示することの可能なパース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法を提供すること。
【解決手段】 三次元データ及びテクスチャデータを取得するデータ取得部と、三次元データにおける建物の部位を定義する部位定義部と、建物の外壁面となる面オブジェクト及び面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを三次元データから抽出すると共に視点及び光源に基づいて影発生オブジェクトによる影を生成する影生成部と、生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成部と、面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成部と、前記面オブジェクトに影、影フィルター及び面フィルターを重ね合わせる画像合成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法に関する。さらに詳しくは、CADシステムにより作成される建物の三次元モデルデータとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するパース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元(3D)モデルを空間上に配置し、光源、視点などの設定を行い、コンピュータの計算により画像を生成するレンダリングが知られている。具体的には、3D空間を平面上に投影する透視変換を行い、陰面処理にて隠れている面が不可視化され、シェーディング処理によって画像の画素毎に明るさや色合いを決定する。
【0003】
シェーディング処理には、3Dモデル表面での反射を1回だけ計算するローカルイルミネーションと、複数回計算するグローバルイルミネーションとがある。ローカルイルミネーションでは、直接光しか表現されないため、直線的で鋭く硬い描写となり、リアリティに欠ける画像となる。他方、グローバルイルミネーションでは、光源の熱量を計算し壁で跳ね返る熱量を再評価する手法としてラジオシティ法などが知られている。しかし、物体の各面の相互の反射を緻密に計算し、物体の各面の持つ光のエネルギーを算出して相互作用を収束計算するため、膨大な計算量が必要となる。
【0004】
また、特許文献1〜4に記載の如きものも知られている。特許文献1は、建物内部のウォークスルーを実現するシステムである。室内のウォークスルーで必要な陰影計算は、一般的に、開口部から入る光と室内の照明器具などによる複数の光源を対象とするので、照明の数に応じ計算時間は増大する。キー、マウス、ジョイスティック等の操作で瞬時に描画するために、予め照明計算を行い陰影情報を描画データに含めている。よって、視点の変更に応じて陰影を迅速に変化させ表示させることは困難である。
【0005】
特許文献2は、撮影された建築画像に対してテクスチャ画像を張り替えて表示させるものであり、貼り付けた外装材や屋根材等のテクスチャ画像の明度と陰影が調節可能である。しかし、利用者が、スライドバーを調節して貼り付けられたテクスチャの輝度の変調具合を調整しなければならず、操作が煩雑で適切なグラデーションを迅速に処理し表示させることは困難である。
【0006】
特許文献3は、画像合成装置に関するものであり、実写画像に写し込まれている対象物について陰影情報を抽出し、付加している。しかし、陰影情報の抽出は、表示された実写画像上で、利用者が対象物及び対象物からの反射光が照射している範囲を特定しなければならず、操作が煩雑で適切なグラデーションを迅速に処理し表示させることは困難である。
【0007】
特許文献4は、平面図として作図される形状データに影を付加することで、立体視的効果が付与された図面を作成するものである。利用者が影の有無、影の方向、影の量を設定して付加するに過ぎず、グラデーションを施すものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−227074号公報
【特許文献2】特開2004−246510号公報
【特許文献3】特許3784104号公報
【特許文献4】特開2005−157810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、適切なグラデーションを施したパース図を迅速に作成、表示することの可能なパース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るパース図作成システムの特徴は、CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するシステムにおいて、前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得部と、前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義部と、前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成部と、生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成部と、前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成部と、前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成部とを備えることにある。
【0011】
上記構成によれば、影生成部は、面オブジェクト及び影発生オブジェクトを抽出するので、計算対象となる面を少なくし、計算量を抑制することができる。ここで、現実世界における影は、均一な黒ではなく、明暗や濃淡が微妙に変化している。生成した影に影フィルターによってグラデーションを付与することで、CG画像と異なる柔らかい影を表現でき、上述の如きリアリティのある影を表現することができる。さらに、面フィルターによって外壁面に対してもグラデーションを付与するので、建物の立体感を強調することができる。しかも、これら生成した画像を重ね合わせるだけでよいので、適切なグラデーションを付与したパース図を迅速に作成、表示することが可能となる。
【0012】
従って、前記視点及び光源を設定する構図設定部をさらに備え、前記影生成部、前記影フィルター生成部及び面フィルター生成部は、前記視点の変更に合わせて前記影、前記影フィルター及び面フィルターを変更するように構成すれば、視点が変更されるたびに、適切な影及びグラデーションをリアルタイムの如く迅速に施したパース図を作成することができる。係る場合、前記光源は、前記視点に対して所定の相対値により決定するとよい。パース図としてより適切な影及びグラデーションを迅速に生成することができる。
【0013】
前記影フィルター生成部は、前記面オブジェクトと前記影発生オブジェクトとの境界位置を求め、所定の領域において前記境界位置から前記影の長さ方向に沿って前記影の濃度を漸次薄くする影フィルターを生成するとよい。これにより、膨大な計算を行うことなく適切なグラデーションにより現実世界に近いリアリティのある影を表現することができる。
【0014】
前記面フィルター生成部は、前記面オブジェクトの頂点から前記グラデーションの開始点を選択し、所定の領域において前記開始点から放射状に前記面オブジェクトの濃度を漸次薄くする面フィルターを生成するとよい。これにより、膨大な計算を行うことなく適切なグラデーションにより建物の立体感をより強調できる。
【0015】
また、前記面オブジェクトは、前記パース図において正面側の外壁面となる第一面オブジェクトと、側面側の外壁面となる第二面オブジェクトとを含み、前記面フィルター生成部は、前記面オブジェクトが投影される投影面における前記面オブジェクトの頂点の座標により、前記第一面オブジェクト及び第二面オブジェクトを決定するとよい。これにより、視点(視線方向)に対応させて建物の壁面の向きを区別し、その向きに合わせて適切なグラデーションを付与できるので、建物の立体感をさらに強調できる。
【0016】
前記面オブジェクトは窓オブジェクトを有し、前記窓オブジェクトは窓テクスチャデータであるとよい。これにより、計算量をさらに抑制でき、より迅速にリアリティのあるパース図を作成することが可能となる。係る場合、前記窓テクスチャデータには、前記影及び影フィルターが重ね合わせるとよい。よりリアリティのある建物を表現できる。
【0017】
作成したパース図を一時的に保存する保存部と、前記テクスチャデータを設定するテクスチャ設定部と、前記パース図及び前記テクスチャデータを変更したパース図を対比させて表示させる表示制御部とをさらに備えるとよい。これにより、例えば、パース図の比較検討を行うことができる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係るパース図作成プログラムの特徴は、CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するパース図作成システムを機能させるためのプログラムにおいて、コンピュータを、前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得手段と、前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義手段と、前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成手段と、生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成手段と、前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成手段と、前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成手段、として機能させることにある。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係るパース図作成方法の特徴は、CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成する方法において、前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得ステップと、前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義ステップと、前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成ステップと、生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成ステップと、前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成ステップと、前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成ステップと、を備えることにある。
【発明の効果】
【0020】
上記本発明に係るパース図作成システム及びパース図作成プログラム並びにパース図作成方法の特徴によれば、適切なグラデーションを施したパース図を迅速に作成、表示することが可能となった。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るパース図作成システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るパース図作成システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3a】パース図の作成の全体の手順を示すフロー図である。
【図3b】影の生成手順を示すフロー図である。
【図3c】影フィルターの生成手順を示すフロー図である。
【図3d】面フィルターの生成手順を示すフロー図である。
【図4】建物の3DSファイルを説明する図である。
【図5】3DSファイルの構成を説明する図である。
【図6】CADシステムによる3DSファイルの構成の相違を説明する図である。
【図7】ポリゴン、面オブジェクト及び建物全体の壁面との相違を模式的に示す図である。
【図8】面オブジェクトの定義付けを説明する図である。
【図9】窓テクスチャデータの一例を示す図である。
【図10】生成した影の一例を示す図である。
【図11】影フィルターの交点の算出を説明する図である。
【図12】図10に影フィルターを重ね合わせた一例を示す図である。
【図13】面オブジェクトの方向を決定する手法を説明する図である。
【図14】面フィルターの原点を決定する手法を説明する図である。
【図15】グラデーションの開始点を決定する手法を説明する図である。
【図16】異形の面オブジェクトにおける開始点を決定する手法を説明する図である。
【図17】面フィルターのグラデーションを模式的に示す図である。
【図18】本発明に係るパース図作成プログラムにおける基本メニュー画面の一例を示す図である。
【図19】シミュレーション画面の一例を示す図である。
【図20】パース図の4分割表示画面の一例を示す図である。
【図21】面オブジェクト及びテクスチャのみのモデルデータの一例を示す図である。
【図22】図21のモデルデータに影を合成したパース図の一例を示す図である。
【図23】図21のモデルデータに影及び影フィルターを合成したパース図の一例を示す図である。
【図24】図21のモデルデータに面フィルターを合成したパース図の一例を示すである。
【図25】図21のモデルデータに影、影フィルター及び面フィルターを合成したパース図の一例を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0024】
<システムのハードウェア構成>
図1に、本発明に係るパース図作成システム1のハードウェア構成を示す。パース図作成システム1は、アドレスバス・データバスを含むバス2に入出力インターフェイス3を介して入力装置4及び出力装置5が接続されると共にCPU6a及びRAM6bを含む処理装置6並びに記憶装置7が接続されている。RAM6bや記憶装置7には、図2に示す如きパース図作成プログラムが記憶されている。そして、入力装置4からの指示によりCPU6aによって処理がなされ、その結果が出力装置5に表示(出力)される。また、通信制御装置8により外部のネットワークやデータベース等に接続可能に構成してもよい。上述のハードウェア構成は、一般的なパーソナルコンピュータ9により実現できるが、これに限られない。
【0025】
入力装置4は、例えば、操作・入力用のキーボードやマウス等を含む。出力装置5は、例えば、メニュー画面やパース図等を表示するモニタや作成したパース図を紙に出力するプリンタ等を含む。また、記憶装置7は、例えば、ハードディスクドライブやCD−ROMドライブ等を含む。本実施形態において、記憶装置7には、テクスチャライブラリ7a、部材定義部7b、出力用ライブラリ7c、添景データライブラリ7d及び物件データ部7eが記憶されている。なお、例えば、図1の二点鎖線で示す外部のデータサーバ7’を記憶装置としても構わない。
【0026】
<テクスチャライブラリ>
テクスチャライブラリ7aは、建物の屋根、壁、建具等の部材のテクスチャ画像ファイルとその設定ファイルにて構成される。設定ファイルには、建材商品名や適用される部位、高さ、幅方向のサイズ、オフセット値(テクスチャの原点からの移動量)、建材会社名、品番、廃盤商品か否かのフラグ等が記述される。そして、テクスチャ画像(JPEG)と同ファイル名の設定ファイル(INI)で1つのテクスチャデータとなる。
【0027】
また、テクスチャライブラリ7aには、建物全体の部材データ及びテクスチャがコーディネートテーマに基づいて設定されたマテリアルセットデータも記憶される。これにより、建物のテクスチャを一度に全て変更する機能として利用することができる。マテリアルセットデータは、1テーマにつき1つの設定ファイルで構成されている。
【0028】
<部材定義データ部>
部材定義データ部7bは、建築CADシステムから三次元データとして3DSファイルを読込む際に割り当てる部材情報が記憶される。この部材情報は、建築CADシステムに対応して複数記憶されている。例えば、記述方法としては、建築CADシステムで割当てられた三次元データのオブジェクト又はマテリアル名が建物の部位名称となる形式にて記述されている。ここで定義された内容が、上述のマテリアルセットデータの部材名と相応しており、建築CADシステムで入力された部位が本システムにおいても同一部位として認識することが可能となる。
【0029】
<出力用ライブラリ>
出力用ライブラリ7cには、パース図をプレゼンボード(イメージボード)として出力するためのひな形データや作成したパース図をフィルターによって手書き風にアレンジするフィルターデータ等が記憶される。
【0030】
<添景データライブラリ>
添景データライブラリ7dには、背景用の画像データ(JPEG)、前景用の画像データ(PNG)、エクステリア(外構)のモデルデータ(3DS)とテクスチャ(JPEG)設定ファイル(INI)が記憶される。
【0031】
<物件データ部>
物件データ部7eには、建築CADシステムからの3DSデータとテクスチャや施主名や作業者、納期などの物件情報が記憶される。
【0032】
<システムのソフトウェア構成>
図2に、本発明に係るパース図作成システム1を機能させるためのパース図作成プログラムのソフトウエア構成を示す。同図に示すように、プログラムは、大略、データ取得部10、部位定義部20、構図設定部30、テクスチャ設定部40、影生成部50、影フィルター生成部60、面フィルター生成部70、添景設定部80、保存部90、画像合成部100及び表示制御部110より構成されている。
【0033】
<データ取得部>
データ取得部10は、建物の三次元データ及びテクスチャデータを取得する。この建物の三次元データは、建築CADシステムにより作成され書き出されるデータである。本実施形態においては、例えば、3DS(スリーディーエス)ファイル(フォーマット)と呼ばれるデータ形式を建築CADシステムとの連携に利用する。テクスチャデータは、上述したように、テクスチャライブラリ7aに記憶されている。
【0034】
3DSファイルは、すべてのポリゴンPが三角形で構成されている。そして、図4に示すように、建物としての住宅Hは、複数のポリゴンPの集合体として構成される。この3DSファイルは、形状を示すオブジェクトだけではなく、マテリアル(質感)やビュー(視点)、バックグラウンド(背景)、ライト(照明)、カメラ、アニメーションなどの情報も含まれる。
【0035】
図5に、3DSファイルにおけるオブジェクト及びマテリアルの構造を示す。同図に示すように、3DSファイルの中には、オブジェクトというまとまった形状の単位が構成され、単数又は複数個のオブジェクトが存在する。このオブジェクトには、頂点のリストが定義されると共に、それぞれの頂点により構成される面、そしてそれらの面のマテリアル(質感)情報などが定義されている。
【0036】
<部位定義部>
部位定義部20は、上述した三次元データとしての3DSファイルにおける建物の部位を定義する。3DSファイルは、建物の1棟を構成する大量の部品をオブジェクトとマテリアル(質感)の定義と組み合わせで表現する。そのため、図6(a)に示す例では、建物という1つのオブジェクトで構成されている。また、同図(b)に示す例では、屋根、壁、サッシ等ある程度まとまった単位で1つのオブジェクトを構成されている。さらに、図は省略するが、さらに細かく、屋根、壁、サッシなどを構成する部品毎にオブジェクトを構成する場合もある。これらの形式は、建築CADシステムによってそれぞれ異なる。従って、3DSファイルだけでは、建築CADシステムの定義する屋根、壁、サッシ等の部位が特定できない。
【0037】
そこで、部位定義部20は、部材定義データ部7bに記憶された部位情報により、取得した3DSファイルの部位属性を再度定義する。これにより、図7に示す如き、3DSファイルから建築CADシステムにて入力された壁面の三次元形状(三角ポリゴンの集合)を抽出する。ここで、定義された建物全体の壁面を全壁面Wと称し、後述の面オブジェクトMと区分する。
【0038】
定義した全壁面Wに対して後述のフィルター処理を行うためには、建物形状に合わせて全壁面Wを1面毎に区分する必要がある。1面毎に区分された各外壁面を面オブジェクトMと称し、先のポリゴンPの三角形状の面と区分する。ここで、図7の例に説明すると、建物M全体の全壁面Wは、ポリゴンP1,P2からなる外壁面としての面オブジェクトM1や、ポリゴンP3,P4からなる面オブジェクトM2・・・の集合体から構成される。なお、同図は、説明の便宜上、模式的に示しているに過ぎず、実際のデータはさらに細分化されている。
【0039】
ここで、建物の全壁面Wの3D形状を外壁面としての面オブジェクトMに区分するためには、建物形状の変化している部分(コーナー、角、入隅、出隅等)ごとに定義する必要がある。言い換えると、連続する1方向の面の集合をそれぞれに区分して定義するともいえる。まず、連続する面の集合を定義するためには、ポリゴンPの面を構成する頂点の1点ないし2点が同一座標であるかを特定する。同一座標であれば、ポリゴン同士は連続しているといえる。図8(a)に示す例では、ポリゴンPの面Aと面Bは頂点Cと頂点Bの座標が同一であるので、連続した面と定義できる。
【0040】
次に、1方向の面であると定義するために、連続しているポリゴンP同士が同一方向であるかを特定する必要がある。ポリゴンPの方向は、法線ベクトルNによって定められる。ポリゴンPの面とその頂点毎に法線ベクトルNが存在する。連続するポリゴンP同士が同一方向である場合は、同一座標の頂点の法線ベクトルNが同一でなければならない。図8(b)に示す例では、面Aと面Bは頂点Cと頂点Bの法線ベクトルNc,Nbが同一方向であるので、1方向の面と定義できる。
【0041】
上述の定義付けを全壁面Wの全てのポリゴンの頂点で逐次的に行うことにより、図7に示す如く、建物Hの全壁面Wを外壁面としての面オブジェクトMに区分することができる。そして、この定義付けにより、後述する影、影フィルター及び面フィルターの生成が可能となる。
【0042】
<構図設定部>
構図設定部30は、作成するパース図における視点及び光源の位置やそれらの方向を設定する。構図設定部30は、例えば、パース図全体に対する建物の表示比率、視線方向、視点高さ、建物との距離、視野角を設定し、パース図としての審美性の高い構図を決定する。また、光源(太陽光の方向設定)の設定も行う。光源の設定は、視点位置に対する所定の相対値で決定される。これにより、視線方向に合わせた太陽光の方向を設定でき、屋根から外壁面におちる影の長さや方向をパース図として美しく表現することができる。また、視点との相対関係で決定されるので、パース図の作成処理も迅速となる。さらに、光源は視点位置に対し相対的に連動するので、ユーザーの経験によるパース図における影の長さや方向等のバラツキを抑制し、表示品質を均一に保つことができる。
【0043】
<テクスチャ設定部>
テクスチャ設定部40は、上述のテキスチャデータをテクスチャライブラリ7aから選択し、建物の屋根、壁、建具等の部材に対し設定する。また、このテキスチャデータには、窓テクスチャデータも含まれている。
【0044】
建物Hをよりリアルに表現するために、周囲の景色や光の反射、映り込みが必要となる。そのために、ラジオシティ等のレンダリングエンジを用いると、計算量が膨大となり、迅速な処理が困難となる。そこで、本システムにおける窓テクスチャデータは、図9に例示するように、予め窓ガラス部分に室内風景を書き込むと共に周辺の景色や光の反射、映り込み等をさらに書き込んでいる。よって、上述の如き計算が不要となり、迅速に且つリアリティのあるパース図を作成することができる。
【0045】
<影生成部>
影生成部50は、上述の面オブジェクトM及びその面オブジェクトMに影Sを発生させる影発生オブジェクトGを3DSファイルから抽出すると共に、視点及び光源に基づいて影発生オブジェクトGによる影Sを生成する。ここで、面オブジェクトM及び影発生オブジェクトGは、影Sを生成する前に部材定義部20により予め決定される。これにより、建物Hの内部データ等の影生成に不必要となるデータを省いて、計算対象となる面(ポリゴン)数を減らしておくことができ、迅速に処理することが可能となる。図10の例では、影発生オブジェクトGは軒天等であり、面オブジェクトMは影発生オブジェクトGにより生成される影Sが落ちる外壁面である。影生成部50は、既知の手法であるシャドウマッピングを利用して設定された光源位置からの影を生成する。
【0046】
<影フィルター生成部>
影フィルター生成部60は、上述の影生成部50により生成された影Sに対してグラデーションを付与する影フィルターを生成する。具体的には、まず、上述の影発生オブジェクトGとその影発生オブジェクトGにより生成される影Sが落ちる面オブジェクトMとの3次元空間上での境界位置Bを座標計算により算出する。
【0047】
ここで、建築CADシステムによっては、生成される建物3次元データ(3DSデータ)において、外壁面(面オブジェクトM)と軒天(影発生オブジェクトG)の3次元データの形状が同一座標の頂点となっていない場合がある。また、外壁面の3次元データ形状が軒天と交差しているものもある。そのため、境界位置Bを求める処理を加えて、外壁面に処理する影フィルターを生成する交点を求める処理を行う。
【0048】
図11に示すように、軒天面を含む仮想面F1を構成する周囲の線分L1全てと外壁面を含む仮想面F2が交差するかを求める。また、同様に、外壁面の仮想面F2を構成する周囲の線分L2全てと軒天面の仮想面F1が交差するかを求める。すなわち、面と線分の交点を算出する。
【0049】
そして、外壁面と軒天の交点のうち2点を結ぶ線分を基準線として設定すると共に、その基準線から3次元空間上のz値のマイナス方向(地面側)に所定の高さを定義して、矩形のグラデーションを設定する。ここで、グラデーションは、例えば、基準線(境界位置B)から地面側に向かって、60%のグレー(黒、RGB(0,0,0)をブレンド値0.6で合成)から透明(黒、RGB(0,0,0)をブレンド値0で合成)へのグラデーションを生成する。生成されたグラデーションは、図10の破線で示す影Sの領域形状に合致するように切り取られ、影フィルターとして生成される。そして、図12に示すように、生成された建物3DSファイルの影との合成が行われる。
【0050】
屋外の太陽光線のような平行光源のもとでは、物体の影は照射方向から投影面にハッキリとした形で現れ、影の落ちている部分と影の落ちていない部分の差は明確である。しかし、現実世界において、物体各々は光を反射して間接光を照射し、影の部分にも照射される。そのため、影は完全に真っ暗ではなく、幾分か明るくなっており、濃淡も微妙に変化している。
【0051】
上述の影フィルターによるグラデーション処理によれば、擬似的に上述の現象を表現でき、屋外の太陽光線のような平行光源を照射した際の影の描画の表現力を向上させることができる。しかも、このグラデーションは、境界位置から所定の濃淡を設定するので、従来のラジオシティ等の如き膨大な計算が不要となり、迅速に処理することができる。この影フィルターは、パース図を絵として美しく見せるような処理であり、間接光のシミュレーションを行ったものではない。
【0052】
<面フィルター生成部>
面フィルター生成部70は、面オブジェクトMに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する。具体的には、まず、部位が定義された面オブジェクトMと視点との位置関係により、作成するパース図における面オブジェクトMの方向を決定する。これにより、面オブジェクトMにフィルター処理を行う際の方向を定義する。なお、本実施形態において、投影面上における建物Hの長手方向を正面方向(側)、短手方向を側面方向(側)として定義する。光源は、常に視点位置方向にあるため、正面方向の面オブジェクトMが常に明るい。
【0053】
図13に示すように、具体的には、まず、全てのポリゴンPの頂点において、投影面上の縦方向(Y軸)の値が最小となる頂点を分岐点Z0(x0,y0)とする。次に、投影面上の横方向(X軸)の値が最小となる頂点をZa(xa,ya)、最大となる頂点をZb(xb,yb)とする。そして、頂点Zaと分岐点ZのX方向の距離|Z0(x0)−Za(xa)|と、頂点Bと分岐点ZのX方向の距離|Zb(xb)−Z0(x0)|を比較し、数値が大となる頂点の方向が正面方向となる。同図の例では、一点鎖線で囲まれる面が、正面方向の線分を含む第一面オブジェクトMa、破線で囲まれる面が側面方向の線分を含む第二面オブジェクトMbとして定義される。
【0054】
次に、各面オブジェクトMにおいて、グラデーションの開始点Kを決定する。そこでまず、図14に示すように、定義された正面方向の第一面オブジェクトMaのうち、投影面上で分岐点Z0から最も離れた頂点の3次元空間上の下端点(z座標の最小の点)をグラデーション原点K0として定義する。そして、図15に示すように、このグラデーション原点K0から近接する面オブジェクトMから順次グラデーションの開始点Kを面毎に設定する。
【0055】
ここで、図14の例では、第一面オブジェクトMa4は、矩形ではない。この第一面オブジェクトMa4には、バルコニーbaの裏に面が存在する。よって、このような異形壁面の場合、図16に示すように、第一面オブジェクトMa4を矩形として3次元空間上のX軸及びZ軸で最小値となる頂点をグラデーションの開始点Kとする。
【0056】
そして、面オブジェクトM毎に開始点Kを中心として扇状のグラデーションを生成する。図17に例示するように、開始点Kから3次元空間上で開始点Kを含む面オブジェクトM上の最も離れた頂点を半径とする中心角約90°の扇形状のグラデーションとする。この扇形のグラデーションは、開始点K(円の中心)から円周方向に対して黒から白へ一様(y=x)に変化する。
【0057】
生成されたグラデーションは、対応する面オブジェクトMの形状に合致するように切り取られ、面フィルターとして生成される。そして、生成された建物3DSファイルの影及び影フィルターとの合成が行われる。
【0058】
図15〜17に示すように、上述の面フィルターによるグラデーション処理によれば、建物Hの立体感を強調できる。しかも、このグラデーションは、開始点から一様に変化させているので、膨大な計算は不要である。そして、光源の方向とは関係なく、視点方向と連動してグラデーション処理を行うことで、現実世界での見え方と異ならせている。これにより、パース図としての美観性を向上させることができる。
【0059】
<添景設定部>
添景設定部80は、作成するパース図において、建物の前景、エクステリア(外構)や背景等のデータを上述の添景データライブラリ7dから適宜選択し、パース図に配置する。
【0060】
<保存部>
保存部90は、作成したパース図や各種データを記憶装置7等に記憶する。また、作成したパース図や各種データを一時的に保存しておき、後述の表示制御部110と共に、例えば、図複数を同時にモニタ等の出力装置5に出力させる。
【0061】
<画像合成部>
画像合成部100は、上述の影生成部50、影フィルター生成部60、面フィルター生成部70で生成した影、影フィルター、面フィルターを面オブジェクト(モデル面)やテクスチャと共に重ね合わせて合成し、表示する。
【0062】
<表示制御部>
表示制御部110は、上述の如く作成されたパース図をモニタ等に適宜表示する。作成したパース図単体の他、複数のパース図を例えば4分割で表示させたり、表示したパース図の拡大・縮小表示を行う。
【0063】
<パース図作成手順>
次に、図3,図18〜24を参照しながら、パース図作成手順について説明する。本実施形態においては、パース図作成プログラムを用いた作成方法について、以下に説明する。ここで、図18に、当該プログラムの基本メニュー画面の一例を示す。基本メニュー画面には、パース図表示部200と、パース図の新規作成、ファイルを開く、保存等のメニュー選択ボタン群210がその右側に配置されている。
【0064】
図3aに示すように、パース図の作成手順は、大略、データ取得ステップS1、部位定義ステップS2、テクスチャ割り当てステップS3、構図設定ステップS4、影生成ステップS5、影フィルター生成ステップS6、面フィルター生成ステップS7、添景配置ステップS8、画像合成ステップS9からなる。
【0065】
まず、基本メニュー画面において、入力装置4により新規作成ボタン211が操作されると、データ取得部10が、各種記憶媒体や記憶装置7を介して3DSファイルやテクスチャデータを取得する(S1)。また、データ取得部10は、データの取得と共に入力装置4を介して物件情報が入力される。
【0066】
次に、部位定義部20は、部材定義データ部7bに記憶された部位情報により取得した3DSファイルの部位属性を再度定義する(S2)。そして、テクスチャ設定部40が、テクスチャライブラリ7aから選択し、建物の屋根、壁、建具等の部材に対しテクスチャを設定する(S3)。また、構図設定部30が、作成するパース図における視点及び光源の位置やそれらの方向を設定する(S4)。参考までに、ここまでのステップによって生成されるパース図を図21に示す。この図では、リアリティ及び立体感に欠け、パース図としての美観性にも欠ける。
【0067】
そして、上記設定されたデータにおいて、影を生成する(S5)。この影生成ステップS5では、まず、影生成部50は、部位定義部20により定義付けられた屋根等の影生成オブジェクトGと、影生成オブジェクトGによる影が落ちる外壁面となる面オブジェクトMを決定する(S51)。そして、影生成部50は、例えばシャドウマッピングを利用して設定された光源位置からの影Sを生成する(S52)。これにより、図22に示すように、影が生成されることで、図21のパース図に多少の立体感は生じる。しかし、生成された影が均一であるため、リアリティに欠ける。
【0068】
次に、生成された影に対し影フィルターを生成する(S6)。この影フィルター生成ステップS6では、まず、影フィルター生成部60が、影生成オブジェクトGと影生成オブジェクトGとの境界部分を算出する(S61)。求めた境界部分から所定の幅で地面方向にグラデーションを生成する(S62)。そして、画像合成部100が、影フィルターを面オブジェクトM、テクスチャ及び影と合成する(S63)。これにより、図23に示すように、生成された影に濃淡が生じさせることができる。よって、図22と比較して、柔らかい影を擬似的に表現でき、リアリティを向上させることができる。
【0069】
さらに、各面オブジェクトに対し面フィルターを生成する(S7)。この面フィルター生成ステップS7では、まず、面フィルター生成部70は、部位定義部20により建物全体の外面を決定すると共に(S71)、その外面を構成する複数の面オブジェクトMを決定する(S72)。パース図における面オブジェクトの方向を決定し(S73)、図24に例示する面フィルターを生成する(S74)。そして、画像合成部100が、この面フィルターを面オブジェクトM、テクスチャ、影及び影フィルターと共に合成する(S75)。これにより、図25に示すように、視点方向に合わせてグラデーションを生成することで、立体感を強調することができる。さらに、CG特有の直線的で鋭く硬いイメージを柔らかくでき、さらにリアリティを向上させることが可能となる。しかも、上記影フィルター及び面フィルターの生成は、壁面(面オブジェクト)に限定してグラデーションを生成するので、迅速な処理が可能となる。
【0070】
次に、添景設定部80が、添景データライブラリ7dから背景等の画像データや、エクステリア(外構)のモデルデータ等を選択する(S8)。そして、画像合成部100が、生成した影、影フィルター、面フィルター及び設定したテクスチャを面オブジェクトに重ね合わせて合成すると共に添景データとの合成も行い、表示制御部110が、上述の如く作成されたパース図を図19,20に示す態様でモニタに表示する(S9)。
【0071】
また、本プログラムは、パース図のシミュレーション機能も備えている。図19に示すように、建物の部材を選択する部位選択ボタン群220及びテクスチャを選択するテクスチャブラウザ230が、パース図表示部200の右側に配置されている。部位選択ボタン群220を操作して部位を選択すると共に、テクスチャブラウザ230にてテクスチャを選択することで、テクスチャ設定部40がテクスチャライブラリ7aからテクスチャを選択し、変更する(S3)。
【0072】
さらに、パース図表示部200の下方には、視点、視野角、視点距離等を変更する視点変更部240が表示される。視点変更部240が操作されることで、構図設定部30が、設定された視点及びその視点に対応した光源位置を設定する(S4)。そして、その新たな視点及び光源に基づいて、影生成部50、影フィルター生成部60及び面フィルター生成部70が、影、影フィルター及び面フィルターを再度計算して生成する(S5〜S7)。上述したように、迅速な計算処理が可能であるので、予め影、影フィルター及び面フィルターを算出して保存しておく必要がなく、視点変更の都度、計算してリアルタイムでパース図を作成し表示することができる。
【0073】
また、視点変更部240の左側には、一時的に保存したパース図を例えば4つ表示する複数表示部250が配置されている。複数表示部250には、図20に例示する4分割表示等に切り替える表示切替ボタン251や、シミュレートしたパース図を一時的に保存するキープボタン252が配置されている。これらが操作されることで、保存部90は作成されたパース図や各種データを記憶し、表示制御部110はパース図の表示を調整する。
【0074】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
【0075】
上記実施形態において、影、影フィルター、面フィルターの合成をその都度行った。しかし、これに限られず、影、影フィルター及び面フィルターを作成し一時的に保存しておき、その後、これらを纏めて合成しても構わない。但し、プログラムの構成上、煩雑となるため、その点で上記実施形態が優れている。
【0076】
また、上記実施形態において、影の生成後に影フィルターを合成し、その後面フィルターを生成し合成した。しかし、合成の順はこれに限られるものではない。例えば、面フィルターを先に生成しその後に影の生成すると共に影フィルターを合成してもよい。但し、影の生成後には影フィルターを合成する。
【0077】
上記実施形態において、パース図作成プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に格納しそれを用いて実行してもよく、インターネット等の通信回線を介してダウンロードして実行しても構わない。また、インターネットを通じてクライアントがサーバーに接続してプログラムを実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、住宅等の建築物のパース図作成システム及びこのシステムを機能させるパース図作成プログラム、パース図作成方法として利用することができる。また、このパース図作成システムを用いたプレゼンテーションソフトとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1:パース図作成システム、2:バス、3:入出力インターフェイス(I/F)、4:入力装置、5:出力装置、6:処理装置、6a:CPU、6b:RAM(メインメモリ)、7:記憶装置(HDD)、7a:テクスチャライブラリ、7b:部材定義データ部、7c:出力用ライブラリ、7d:添景データライブラリ、7e:物件データ部、8:通信制御装置(CCU)、9:パーソナルコンピュータ(PC)、10:データ取得部、20:部位定義部、30:構図設定部、40:テクスチャ設定部、50:影生成部、60:影フィルター生成部、70:面フィルター生成部、80:添景設定部、90:保存部、100:画像合成部、110:表示制御部、200:パース図表示部、210:メニュー選択ボタン群、220:部位選択ボタン群、230:テクスチャブラウザ、240:視点変更部、250:複数表示部、251:表示切替ボタン、252:キープボタン、B:境界位置、ba:バルコニー、F,F1,F2:仮想面、G:影発生オブジェクト、H:住宅(建物)、K:開始点、K0:原点、L1,L2:線分、M:面オブジェクト、Ma:第一面オブジェクト、Mb:第二面オブジェクト、N,Nb,Nc:法線ベクトル、P:ポリゴン、S:影、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するパース図作成システムであって、
前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得部と、
前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義部と、
前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成部と、
生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成部と、
前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成部と、
前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成部と、
を備えるパース図作成システム。
【請求項2】
前記視点及び光源を設定、変更する構図設定部をさらに備え、前記影生成部、前記影フィルター生成部及び面フィルター生成部は、前記視点の変更に合わせて前記影、前記影フィルター及び面フィルターを変更する請求項1記載のパース図作成システム。
【請求項3】
前記光源は、前記視点に対して所定の相対値により決定される請求項2記載のパース図作成システム。
【請求項4】
前記影フィルター生成部は、前記面オブジェクトと前記影発生オブジェクトとの境界位置を求め、所定の領域において前記境界位置から前記影の長さ方向に沿って前記影の濃度を漸次薄くする影フィルターを生成する請求項1〜3のいずれかに記載のパース図作成システム。
【請求項5】
前記面フィルター生成部は、前記面オブジェクトの頂点から前記グラデーションの開始点を選択し、所定の領域において前記開始点から放射状に前記面オブジェクトの濃度を漸次薄くする面フィルターを生成する請求項1〜4のいずれかに記載のパース図作成システム。
【請求項6】
前記面オブジェクトは、前記パース図において正面側の外壁面となる第一面オブジェクトと、側面側の外壁面となる第二面オブジェクトとを含み、前記面フィルター生成部は、前記面オブジェクトが投影される投影面における前記面オブジェクトの頂点の座標により、前記第一面オブジェクト及び第二面オブジェクトを決定する請求項1〜5のいずれかに記載のパース図作成システム。
【請求項7】
前記面オブジェクトは窓オブジェクトを有し、前記窓オブジェクトは窓テクスチャデータである請求項1〜6のいずれかに記載のパース図作成システム。
【請求項8】
前記窓テクスチャデータには、前記影及び影フィルターが重ね合わされる請求項7記載のパース図作成システム。
【請求項9】
作成したパース図を一時的に保存する保存部と、前記テクスチャデータを設定するテクスチャ設定部と、前記パース図及び前記テクスチャデータを変更したパース図を対比させて表示させる表示制御部とをさらに備える請求項1〜8のいずれかに記載の記載のパース図作成システム。
【請求項10】
CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するパース図作成システムを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、
前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得手段と、
前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義手段と、
前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成手段と、
生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成手段と、
前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成手段と、
前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成手段、
として機能させるためのパース図作成プログラム。
【請求項11】
CADシステムにより作成される建物の三次元データとテクスチャデータから所定の視点及び光源に基づいてパース図を作成するパース図作成方法であって、
前記三次元データ及び前記テクスチャデータを取得するデータ取得ステップと、
前記三次元データにおける前記建物の部位を定義する部位定義ステップと、
前記建物の外壁面となる面オブジェクト及び前記面オブジェクトに影を発生させる影発生オブジェクトを前記三次元データから抽出すると共に、前記視点及び光源に基づいて前記影発生オブジェクトによる影を生成する影生成ステップと、
生成される影に対しグラデーションを付与する影フィルターを生成する影フィルター生成ステップと、
前記面オブジェクトに対しグラデーションを付与する面フィルターを生成する面フィルター生成ステップと、
前記面オブジェクトに前記影、前記影フィルター及び前記面フィルターを重ね合わせる画像合成ステップと、
を備えるパース図作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−37650(P2013−37650A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175578(P2011−175578)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(399022663)株式会社ファイン (1)
【Fターム(参考)】