説明

パーソナルエリアネットワーク(PAN)の相互接続の方法

【課題】PAN(12)のゲートウェイデバイス(14)によって行われる高レベルのハンドオフ決定を助ける方法を提供すること。
【解決手段】パーソナルエリアネットワーク(PAN)(12)を構成するデバイス(14、16、18、19)と、行われる可能性のあるハンドオフの対象である企業ネットワーク(22、24)との両方に関する基準を調べることによって、PAN(12)のゲートウェイデバイス(14)によって行われる高レベルのハンドオフ決定を助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)に関する。より詳細には、本発明は、コストと、PANデバイスの重量と体積の節減を実現するために、パーソナルエリアネットワーク内のデバイスの1つをそのパーソナルエリアネットワーク中の他のデバイスに対するゲートウェイとして利用する能力を提供し、1つの企業ネットワークから別の企業ネットワークへの高レベルのハンドオフを行うことの妥当性を判断する際の助けとなる基準を提供する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
パーソナルエリアネットワーク(PAN)は、現在、発展途上にある。そのようなネットワークの一例は、ユーザが持ち歩くことの多い携帯デバイスのアドホック通信である。一例として、ユーザは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯型コンピュータ(ラップトップ機)、および電子財布を携えて移動する場合があり、これらはいずれもユーザの固有のニーズを満たす。これらのデバイスの一部またはすべてが、少なくとも時折PAN外部の企業ネットワークと通信する必要性は、すでに存在する需要となっているか、または近い将来当然生じることが予想される。こうしたデバイスそれぞれに企業ネットワークと通信する独自の通信機能を組み込むのではなく、PANデバイスの1つを選択して、接続を行わせ、すべての他のデバイスに対するゲートウェイとして機能させることができ、その結果、総合的なデバイスコストが大幅に節減され、すべてのデバイスの重量と体積のニーズおよび複雑性がまとめて低減される。
【0003】
別の発展しつつある領域は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の使用であり、WLANは、携帯電話など一般にワイドエリアデバイスとして識別されるものを、局所化されたホットスポットエリアに接続するための有用な代替法として認識されている。デバイスがWANとWLANネットワークを切り替える能力が、上記のようなデバイスに内蔵されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の発展技術の両方をそのようなデバイスで同時に使用することは、市場では扱われてこなかったが、有用な組み合わせとして明確に認識されている。それでも、多くのデバイスの接続を切り替えることと、異種のネットワーク間で1つのデバイスだけを切り替えることにはいくつかの問題がある。しかし、一般に1つの接続によってあらゆる機能をサービスする必要性がもう一方の接続によって適切にサービスされるのかどうか、そして適切にサービスされない場合は、そのような切り替えを行うべきかどうかについて疑問が生じる。
【0005】
リンクを利用するPANの他のデバイスを考慮せずに、ワイドエリアで通信しているデバイスを切り替えることは、関連する機能によっては多くの問題につながる可能性がある。そうした問題としては、例えば、過度に長い待ち時間、不十分なデータレート、過度のエラー、不十分なセキュリティ、および高コストなどが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、あらかじめ決められた基準に基づいて高レベルのハンドオフを確立し、それによりPANの相互接続可能なデバイスのより効率的な設計と使用を提供する方法を提供する。
【0007】
本発明は、図面を検討することからよりよく理解されよう。図面では、同様の要素は同様の参照符号によって示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に、パーソナルエリアネットワーク12を含む構成10を示し、ネットワーク12は、図の実施形態では、携帯電話14、電子財布16、および携帯情報端末(PDA)18を備える。PDAは、あるいはラップトップコンピュータでもよく、PANは図の19に示すようにさらにラップトップ機を含んでもよい。PAN12は、図のデバイスに限定されず、他のデバイス、ならびに図1に示すデバイスの数より多くの数、または少ない数のデバイスを含むことができる。企業ネットワークが20に示される。PANの機能ユニットは、同一のデバイスに統合しても、プラグインを使用しても、あるいは物理リンクまたは無線リンクにより相互に、またはゲートウェイデバイスに結合してもよい。例えば、電子財布16が無線リンクで携帯電話14に結合されることができる。PDA18は、差込み、またはUSB接続などの配線接続で携帯電話14に結合することができる。PAN12の構成要素間の連結はすべて、無線、有線、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0009】
図の例では、携帯電話14が、PAN12の他の構成要素と企業ネットワーク20との間のゲートウェイとして機能するように選択されている。このリンクは、無線のLまたは有線のLNWである。例えば、公衆サービス電話網(PSTN)に接続する際にリンクLNWを使用することができる。ネットワーク20を、PANの各種構成要素、具体的には図の例では携帯電話14であるゲートウェイコンポーネントに結合するには、現在使用されている従来の無線または有線インタフェースを使用することができる。
【0010】
図2に、コンポーネント14、16、18、および19から構成されるPAN12が、携帯電話14をゲートウェイコンポーネントとして利用する別の構成30を示す。図2に示す例では、共通の接続を別のネットワークに移す機会がしばしば生じる。ゲートウェイデバイス14は、ネットワークA(22)およびネットワークB(24)など複数の外部ネットワークにリンクされる能力を有する。とは言え、PANのコンポーネントの個々の機能が必要とするものが、特定のネットワークへのリンクの他の特性のすべてと適合性があるとは限らない。この点について、図3に、様々なニーズと利用可能なリンク機能の例を提供する。
【0011】
例えば、携帯電話14に求められる特性は、等時性の動作、中程度のデータレートと、待ち時間の短いハンドオフである。この例では、携帯電話14の接続とニーズは、この例ではモバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)であるネットワーク26と十分に合致する。
【0012】
PDA18の特性は、必要に応じてセキュリティと十分なデータレートである。これらの基準は、図では、GSM26と無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)28の両方と適合性がある。
【0013】
電子小切手帳の特性は、待ち時間の短さ、セキュリティ、および誤りのないやりとりであり、これらは、図の例ではWLAN28だけと適合性がある。
【0014】
したがって、作成しようとするリンクの利用を望むPANの他のデバイスを考慮に入れる意思決定機能を有するゲートウェイデバイスを提供することが極めて有利になる。
【0015】
この必要条件とリンク機能は、ゲートウェイデバイス中のプログラムに記憶して、ユーザに依存せずに、またはユーザの選択に基づいて決定を助けることができる。ここで示すゲートウェイデバイスは携帯電話であるが、特定の用途、デバイスの機能(例えば利用可能なリンク、電力の可用性、処理機能)、および/またはユーザの嗜好に応じて、別のデバイスをゲートウェイデバイスに選択してよい。
【0016】
図4は、高レベルのハンドオフ決定を助けるために利用されるプログラムの流れ図である。
【0017】
ステップS1でハンドオフの機会が識別され、プログラムは、自動的に、またはユーザによって開始された動作を通じてステップS2に進み、例えばネットワーク26から28(またはその逆)に切り替えることに利益があるかどうかを判定する。この判断は、これらに限定しないが、待ち時間、データレート、セキュリティ、距離、信号強度などを含むハンドオフの基準を調べることによって行われる。記憶された基準を調べた結果切り替えることに利益がないと想定すると、プログラムはステップS3にジャンプし、プログラムを終了させ、この時に、携帯電話18のディスプレイ14aに提供される単一のランプまたはLED、または単語、他の指示物の表示、および/または携帯電話14のスピーカ14bを通じて提供される音声メッセージなどを提供することが可能な切り替えフラグは設定されない。
【0018】
一方、記憶された基準に基づき、切り替え動作を行うことの利益が認められると想定すると、プログラムはステップS4にジャンプして、すべてのアクティブなデバイスが新しいネットワークと機能することができるか、すなわち新しいネットワークと適合性があるかどうかを判定する。上記のような決定に到達するのに必要な基準は、携帯電話14のメモリ(図を簡潔にするために図示せず)に記憶するか、または図2に示す携帯電話14へのプラグインまたはアドオン14aとすることができる。記憶された基準から、アクティブなデバイスのすべてが新しいネットワークと機能できることが判明したと想定すると、プログラムはステップS5にジャンプし、ここで「切り替えフラグ」が選択され、プログラムを終了する前に切り替えが自動的に行われる。あるいは、切り替えフラグの表示により、元の企業ネットワークから選択されたネットワークへの切り替えを手動で開始するようにユーザを促してもよい。ハンドオフは、AAAモビリティ管理およびコンテクスト転送手順などの現行技術に従って行うことができる。
【0019】
アクティブなデバイスのすべてが新しいネットワークとともに機能できる訳ではないと想定すると、プログラムは分岐ステップS4からステップS8にジャンプする。このステップで、プログラムは、決定を行うようユーザを促すことが適当であるかどうかを判定するために記憶された基準を参照し、この基準は、例えば、適合性のあるPANデバイスの数、PANデバイスの優先順位上の重要性などである。
【0020】
基準を調べた結果、決定を行うようにユーザを促すべきでないことが確定されるとすると、プログラムはステップS3にジャンプし、「切り替えフラグ」を設定せずにそこから終了する。
【0021】
しかし、基準から、決定を行うようにユーザを促すべきであることが確定されるとすると、プログラムはステップS7にジャンプし、別のネットワークへの切り替えを続行すべきかどうかを問う表示をユーザに与える。この問い合わせは、携帯電話14に記憶された音声メッセージを伴うか、または音声メッセージあるいは視覚的表示に限定することができるが、ユーザはこの問い合わせを見ると、ステップS5に分岐することにより切り替えを続行すべきか、またはステップS3に分岐することにより切り替えを行うべきでないかを選択する。
【0022】
本発明の技術は、1つのネットワークから別のネットワークへの切り替えに使用することに限定されず、ゲートウェイデバイスにリンクされる、3つ以上の複数のネットワークの1つを選択するのを助けるために使用することもできる。
【0023】
この新規の技術/構成は、意思決定プロセスを大幅に容易にし、簡略化し、高速化する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ネットワークの構成要素の1つをゲートウェイとして使用することができるパーソナルエリアネットワーク(PAN)の図である。
【図2】適切または必要な場合に共通の接続を利用して異なるネットワーク間で切り替えることができる、図1のPANと同様のパーソナルエリアネットワーク(PAN)の図である。
【図3】図1に示すパーソナルエリアネットワーク(PAN)の構成要素と、各種のニーズおよび利用可能なリンク機能との関係を示す図である。
【図4】システム基準に基づいて作成された高レベルのハンドオフ決定における方法であって、PANのためのゲートウェイとして供給するデバイスにおけるプログラムとして格納された手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0025】
12 パーソナルエリアネットワーク
14 携帯電話
16 電子財布
18 携帯情報端末
20 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルエリアネットワーク(PAN)のデバイス群の他のデバイスと少なくとも1つの企業ネットワークとの間のゲートウェイとして機能する、前記PAN内のデバイス群の1つによって行われる高レベルのハンドオフ決定を助ける方法であって、前記方法は、前記ゲートウェイデバイスに関連付けられたプログラムを備え、
前記プログラムは、
a)ハンドオフの機会が認識された時に、第1のタイプの基準を調べて、1つの企業ネットワークから別のネットワークに切り替えることに利益があるかどうかを判定し、
b)新しいネットワークおよび前記PAN内の前記デバイスに関連する、第1のグループの基準の一部を含むことが可能な第2のタイプの基準を調べて、前記デバイスのすべてが前記新しいネットワーク内で機能するかどうかを判定し、
c)ステップ(b)で調べられた前記基準が、前記PAN内のすべてのデバイスが前記別のネットワークと機能することを示すと、所与の条件を生成する、
各ステップを具えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(c)はさらに、切り替えフラグを生成するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
切り替えフラグに応答してハンドオフ動作が行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記切り替えフラグと、前記ゲートウェイデバイスのユーザによって行われる手動操作とに応答して、前記ゲートウェイデバイスが前記新しいネットワークに切り替えるステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲートウェイデバイスは、前記切り替えフラグに応答して視覚的表示を生成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスの群は、携帯デバイスであり、前記ゲートウェイデバイスは、前記ネットワークから、前記PANのデバイスの少なくとも1つに通信を移すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスの群は、携帯電話、携帯情報端末、電子小切手帳、ラップトップコンピュータの少なくとも1つを含み、前記ゲートウェイデバイスは、前記ネットワークから、前記他のデバイスの少なくとも1つに通信を移すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記所与の条件に応答して前記新しいネットワークに切り替えるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲートウェイデバイスは、有線PDAおよび無線PDAの1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記有線接続はUSB接続であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲートウェイデバイスは、有線携帯コンピュータおよび無線携帯コンピュータの1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記有線接続はUSB接続であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(c)はさらに、前記デバイスのすべてが前記別のネットワークと適合性がある訳ではない時に第3の基準のセットを調べるステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−187017(P2006−187017A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6279(P2006−6279)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【分割の表示】特願2004−509751(P2004−509751)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】