説明

パーソナルケア組成物における老化防止活性物質としての第四級アンモニウム塩

【課題】老化の徴候を抑制することを目的とするパーソナルケア製品の提供。
【解決手段】2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、および、フルクトース/グルコースの2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド付加物から選択される第四級アンモニウム化合物と、化粧品的に許容可能な担体を含む、人の皮膚における老化の徴候を治療するためのパーソナルケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化の徴候の発現の遅延および治療を目的とするパーソナルケア組成物中における第四級アンモニウム塩、特に、ポリオールのこの種の塩に関する。
【背景技術】
【0002】
永遠の若さ。人は歳を取れば取るほど若さの証を維持しようと努力する。老化の進行の徴候を抑えるのに化粧品が有効であることはかなり以前から判っている。これらを隠すことにおいては、顔用ファンデーション、クリーム、およびローションが非常に役立ってきた。しかし、化粧品化学者の手持ちの利用可能な活性物質の中で本当に効果のあるものはほとんどない。
【0003】
老化の徴候をある程度軽減することが臨床的に証明されている物質の種類が2つある。アルファ−ヒドロキシカルボン酸誘導体は、美容ビジネスにおいて広く利用されている。これは、米国特許第5,091,171号(Yuら)に例示されている。レチノール(ビタミンA)は、人の体内で自然に作り出される内因性の化合物である。この物質およびこの誘導体は様々な皮膚疾患の治療において修復または再生薬として広く使用されてきた。
【0004】
アルファ−ヒドロキシカルボン酸もレチノールも、加えてこれらの多くの誘導体も、有効量が十分に存在すると皮膚に刺すような感覚を与えたり、さらには発赤を生じさせる傾向さえある。当然のことながら消費者には、副作用のない性能が好まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,091,171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、老化の徴候に対し効果を発揮することが可能でありながら不都合な副作用を持たない物質が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(i)(a)ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換された単糖の塩、
(b)平均分子量が450を超えない陽イオンを有し、10℃を超えないTを有する、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換されたポリオールの塩、
(c)ジヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、
(d)クロロヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、および
(e)これらの混合物
からなる群から選択される第四級アンモニウム化合物を0.1ないし30重量%および
(ii)化粧品的に許容可能な担体を1ないし99.9重量%
を含むパーソナルケア組成物を皮膚に適用することを含む、人の皮膚における老化の徴候を治療する方法
を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
アンモニウム塩の特定の種類、特にポリオールの特定のこの種の塩が、人の皮膚の老化の徴候を抑制する可能性があることがここに見出された。本発明の目的の達成には、第四級アンモニウム(四級)塩の3つの部類が特に有用である。概要を以下に示す。
【0009】
有用な第四級アンモニウム化合物の第1の部類は、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換された単糖の塩である。これらは様々な手順によって調製することができる。アルカリ性媒体中における2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルトリメチルアンモニウムクロリドと単糖との約1:1のモル比における反応を介することが最も好ましい。典型的なウイリアムソン合成により、塩化ナトリウムが脱離し、これにより、四級基のヒドロキシプロピル末端と単糖との間にエーテル結合が形成される。
【0010】
単糖、特に還元および非還元環状単糖は、4−、5−、および6炭素糖を包含する最も小さい炭水化物分子である。単糖としては、リボース、デオキシリボース、グルコース、フルクトース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、マンノース、イドース、ガラクトース、およびタロースが例示される。ヒドロキシプロピルトリモニウム基で置換される単糖部分としては、グルコースおよびフルクトースが最も好ましい。
【0011】
通常、四級化されたアンモニウム基のC〜Cアルキル構成要素は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、またはヒドロキシエチル、およびこれらの混合物である。INCI命名法より「トリモニウム」基として周知のトリメチルアンモニウム基が特に好ましい。本発明の四級塩には任意の陰イオンを用いることができる。この陰イオンは、当該物質が化粧品的に許容可能であれば、有機であっても無機であってもよい。典型的な無機陰イオンは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、およびホウ酸塩である。ハロゲン化物、特に塩化物が最も好ましい。陰イオン性有機対イオンには、メトサルフェート塩、トルオイルサルフェート、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、およびベンゼンスルホン酸塩が含まれる。
【0012】
第1の部類の特に好ましい第四級アンモニウム塩は、以下の構造式IおよびII(式中、Xは、ハロゲン化物である。)
【0013】
【化1】

により例示される。これらの式は、ここに記載した構造の配座異性体をすべて含むことを意図している。
【0014】
有利には、本発明の組成物には、単糖がヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム基で一置換されただけの第四級アンモニウム塩が配合される。しかしながら、二置換および三置換された単糖のより少量も存在してもよい。通常、これらの量は、存在する第四級アンモニウム化合物の重量を基準として0〜20重量%、場合によっては2〜10重量%の範囲であってもよい。より具体的には、この多置換された単糖は、ジ−[ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム]モノサッカライド、トリ−[ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム]モノサッカライド、およびこれらの混合物であってもよい。
【0015】
本発明に有用な第四級アンモニウム化合物の第2の部類は、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換されたポリオールの塩である。これらは様々な手順において調製することができる。アルカリ性媒体中における2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとポリオール、特に直鎖ポリオールとの約1:1のモル比における反応を介することが特に好ましい。典型的なウイリアムソン合成により、塩化ナトリウムが脱離し、これにより、四級基のヒドロキシプロピル末端とポリオールとの間にエーテル結合が形成される。典型的なポリオールは、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびイソプレングリコールである。
【0016】
この第2の部類には、450を超えない、好ましくは400を超えない、最適には300〜400の平均分子量を有する陽イオンとの塩が含まれる。さらにこの塩は、有利には、23℃において液体である。したがって、Tは、好ましくは10℃を超えず、より好ましくは0℃を超えない。Tは、示差走査熱量計で測定することができる。
【0017】
好適なアンモニウム化合物の第3の部類は、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩である。これらの塩は、様々な合成手順において、最も具体的には、クロロヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩の加水分解によって得てもよい。最も好ましい化学種は、1,2−ジヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(ここで、C〜Cアルキルはメチル基である)である。2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルトリメチルアンモニウムクロリドもまた有用となり得る。
【0018】
第四級アンモニウム化合物の量は、組成物の0.1〜30%、好ましくは0.5〜20%、最適には1%〜12重量%の範囲であってもよい。
【0019】
パーソナルケア組成物という用語は、外観の改善、洗浄、消臭、または一般的な美観を目的として人体に適用される任意の物質を意味する。パーソナルケア組成物には、例えば、リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャワージェル、化粧石鹸、制汗剤、消臭剤、ひげそりクリーム、脱毛剤、口紅、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナー、および日焼け止めローションが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の組成物には、化粧品的に許容可能な担体も含まれる。担体の量は、組成物の1〜99.9重量%、好ましくは、70〜95重量%、最適には80〜90重量%の範囲であってもよい。有用な担体の中でも特に、水、エモリエント剤、脂肪酸、脂肪族アルコール、増粘剤、およびこれらの組合せが挙げられる。担体は、水性、無水物、またはエマルジョンであってもよい。好ましくは、この組成物は水性であり、特に、水および油のW/OまたはO/WまたはW/O/W三相構造型のエマルジョンである。水が存在する場合の量は、組成物の5〜95重量%、好ましくは20〜70重量%、最適には35〜60重量%の範囲であってもよい。
【0021】
エモリエント物質は、化粧品的に許容可能な担体の役割を果たし得る。これらは、シリコーン油、天然または合成のエステル、および炭化水素の形態であってもよい。エモリエント剤の量は、組成物の0.1〜95重量%、好ましくは1〜50重量%の範囲のいずれであってもよい。
【0022】
シリコーン油は、揮発性種および不揮発性種に分類してもよい。本明細書において使用される「揮発性」という用語は、室温で測定可能な蒸気圧を有する物質を指す。揮発性シリコーン油は、好ましくは、ケイ素原子を3〜9個、好ましくは4〜5個含む環状(シクロメチコン)または線状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0023】
エモリエント物質として有用な不揮発性シリコーン油には、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、およびポリエーテルシロキサンコポリマーが含まれる。本明細書において有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃における粘度が5×10−6〜0.1m/sのポリジメチルシロキサンが含まれる。本組成物において有用な好ましい不揮発性エモリエント剤としては、特に、25℃において1×10−5〜4×10−4/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0024】
不揮発性シリコーンの他の分類は、乳化性および非乳化性シリコーンエラストマーである。この部類の代表的なものは、ダウコーニング(Dow Corning)9040、ゼネラルエレクトリック(General Electric)SFE839、およびシンエツ(Shin−Etsu)KSG−18として入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。シルワックス(Silwax)WS−L(ジメチコンコポリオールラウリン酸エステル)等のシリコーンワックスもまた有用となり得る。
【0025】
エステルエモリエント剤として、特に以下が挙げられる。
a)10〜24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のアルキルエステル。例えば、ネオペンタン酸ベヘニル、イソノニルイソナノノエート(isononyl isonanonoate)、ミリスチン酸イソプロピル、およびステアリン酸オクチルが含まれる。
b)エトキシ化された飽和脂肪族アルコールの脂肪酸エステル等のエーテル−エステル。
c)エチレングリコールモノ−およびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル。特に有用なのは、C〜C30アルコールのペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、およびネオペンチルグリコールエステルである。
d)ミツロウ、鯨ロウ、トリベヘニンワックス(tribehenin wax)等のワックスエステル。
e)ポリベヘン酸スクロース、綿実油脂肪酸スクロース等の脂肪酸の糖エステル。
【0026】
天然のエステルエモリエント剤は、主として、モノ−、ジ−、およびトリグリセリドをベースとする。代表的なグリセリドには、ヒマワリ種子油、綿実油、ルリヂサ油、ルリヂサ種子油、月見草油、ヒマシ油および硬化ヒマシ油、米糠油、大豆油、オリーブ油、紅花油、シヤ脂、ホホバ油、ならびにこれらの組合せが含まれる。動物由来のエモリエント剤は、ラノリン油およびラノリン誘導体が代表的である。天然エステルの量は、組成物の0.1〜20重量%の範囲であってもよい。
【0027】
化粧品的に許容可能な担体に好適な炭化水素には、ペトロラタム、鉱油、C11〜C13イソパラフィン、ポリブテン、および特に、プレスパースインコーポレーテッド(Presperse Inc.)からパーメチル(Permethyl)101Aとして市販されているイソヘキサデカンが含まれる。
【0028】
10〜30個の炭素原子を有する脂肪酸も、化粧品的に許容可能な担体に好適となり得る。この部類の一例として、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヒドロキシステアリン酸、およびベヘン酸が挙げられる。
【0029】
化粧品的に許容可能な担体の他の有用な部類は、10〜30個の炭素原子を有する脂肪族アルコールである。この部類の一例として、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、およびセチルアルコールが挙げられる。
【0030】
本発明による組成物の化粧品的に許容可能な担体の一部として、増粘剤を利用することができる。典型的な増粘剤には、架橋アクリレート(例えばカーボポール(Carbopol)982(登録商標))、疎水変性されたアクリレート(例えばカーボポール1382(登録商標))、ポリアクリルアミド(例えばセピゲル(Sepigel)305(登録商標))、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸/塩ポリマーおよびコポリマー(例えばアリストフレックス(Aristoflex)HMB(登録商標)およびAVC(登録商標))、セルロース誘導体、および天然ガムが含まれる。有用なセルロース誘導体としては、特に、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメトセルロース(hydroxypropyl methocellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、およびヒドロキシメチルセルロースが挙げられる。本発明に好適な天然ガムには、グアー、キタンサン、スクレロチウム、カラギーナン、ペクチン、およびこれらのガムの組合せが含まれる。無機物質、特に、ベントナイトやヘクトライト等の粘土、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびケイ酸マグネシウムアルミニウム(ビーガム(Veegum)(登録商標))等のケイ酸塩もまた増粘剤として利用してもよい。増粘剤の量は、組成物の0.0001〜10重量%、通常は0.001〜1重量%、最適には0.01〜0.5重量%の範囲であってもよい。
【0031】
本発明においては湿潤剤を用いてもよい。これらは通常、多価アルコール型の物質である。典型的な多価アルコールには、グリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール、およびこれらの混合物が含まれる。湿潤剤の量は、組成物の0.5〜50重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲のいずれであってもよい。
【0032】
本発明のパーソナルケア組成物は、任意の形態であってもよい。このような形態には、ローション、クリーム、ロールオン製剤、スティック、ムース、エアゾールおよび非エアゾールスプレー、ならびに接着貼付剤やワイプ(wipe)を介するものなどの、布帛(例えば不織布)に適用される処方が含まれ得る。
【0033】
本発明の組成物においては界面活性物質も存在してもよい。界面活性物質が存在する場合の総濃度は、組成物の0.1〜90重量%、好ましくは1〜40重量%、最適には1〜20重量%の範囲であってもよく、これは、パーソナルケア製品の種類に大きく依存する。界面活性物質は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、および両性の活性物質からなる群から選択してもよい。特に好ましい非イオン性界面活性物質は、C10〜C20脂肪族アルコールまたは脂肪酸の疎水性部分と疎水性部分の1mol当たりエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの2〜100molとの縮合物;C〜C10アルキルフェノールとアルキレンオキシドの2〜20molとの縮合物;エチレングリコールのモノ−およびジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン,モノ−およびジ−C〜C20脂肪酸;ならびにポリオキシエチレンソルビタンに加えてこれらの組合せを有するものである。アルキルポリグリコシドおよび単糖の脂肪族アミド(例えばメチルグルコンアミド)およびトリアルキルアミンオキシドもまた好適な非イオン性界面活性物質である。
【0034】
有用な両性界面活性物質には、ヤシ油脂肪酸アミド(cocoamido)プロピルベタイン、C12〜C20トリアルキルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、およびラウロジアンホ酢酸ナトリウムが含まれる。
【0035】
好ましいアニオン性界面活性物質には、セッケン、アルキルエーテル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルおよびジアルキルスルホコハク酸塩、C〜C20アシルイセチオン酸塩、C〜C20アルキルエーテルリン酸塩、C〜C20サルコシン塩、C〜C20アシル乳酸塩、スルホ酢酸塩、およびこれらの組合せが含まれる。
【0036】
本発明の組成物においては、日焼け止め剤も含まれていてもよい。特に好ましいのは、p−メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(パーソル(Parsol)MCX(登録商標))、アボベンゼン(avobenzene)(パーソル1789(登録商標))、ベンゾフェノン−3(オキシベンゾンとしても知られる等の物質である。超微粒(例えば平均粒度が0.1〜200ミクロン)二酸化チタンおよび酸化亜鉛等の無機日焼け止め活性物質を用いてもよい。日焼け止め剤が存在する場合の量は、通常は組成物の0.1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、最適には4〜10重量%の範囲であってもよい。
【0037】
本発明の制汗および消臭組成物は、通常、収斂活性物質を含む。例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウム−ジルコニウムクロロハイドレックスグリシン、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、クロロヒドログリシンジルコニウムおよびアルミニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニウムおよびアルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛、ならびにこれらの組合せが含まれる。収斂剤の量は、組成物の0.5〜50重量%の範囲のいずれであってもよい。
【0038】
本発明のパーソナルケア組成物には、有害な可能性のある微生物の成長から保護するための防腐剤も望ましく添加することができる。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ジメチロールジメチルヒダントイン、エチレンジアミンテトラ酢酸塩(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピンブチルカルバメート(iodopropynbutylcarbamate)、およびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の用途および防腐剤と他の成分とが適合しない可能性を考慮して選択すべきである。防腐剤は、好ましくは、組成物の0.0001%〜2重量%の範囲の量において使用される。
【0039】
本発明の組成物は、ビタミン類を含んでいてもよい。ビタミン類としては、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、およびビオチンが例示される。ビタミンの誘導体も用いてもよい。例えば、ビタミンC誘導体には、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、およびアスコルビルグリコシドが含まれる。ビタミンEの誘導体には、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル、およびリノール酸トコフェリルが含まれる。DL−パンテノールおよび誘導体も用いてもよい。ビタミン、プロビタミン、およびこの誘導体が本発明の組成物中に存在する場合の総量は、組成物の0.001〜10重量%、好ましくは0.01%〜1重量%、最適には0.1〜0.5重量%の範囲であってもよい。
【0040】
有用な物質の他の種類は、アミラーゼ、オキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、組合せ等の酵素の種類であり得る。バイオセル(Biocell)(商標)SODとして米国のブルックスカンパニー(Brooks Company,USA)より市販されているスーパーオキシドジスムターゼが特に好ましい。
【0041】
本発明の組成物においては、皮膚美白化合物が含まれていてもよい。例示的な物質は、プラセンタエキス、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、レゾルシノール、および四置換レゾルシノールを含む誘導体、ならびにこれらの組合せである。これらの薬剤の量は、組成物の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%の範囲であってもよい。
【0042】
落屑促進剤も存在してもよい。アルファ−ヒドロキシカルボン酸およびベータ−ヒドロキシカルボン酸が例示される。「酸」という用語は、遊離酸だけでなくこの塩およびC〜C30アルキルまたはアリールエステルならびに環状または直鎖のラクトン構造を形成するための水の除去により生成するラクトンを含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸、およびリンゴ酸である。サリチル酸は、ベータ−ヒドロキシカルボン酸の代表的なものである。これらの物質が存在する場合の量は、組成物の0.01〜15重量%の範囲であってもよい。
【0043】
本発明の組成物においては様々な薬草抽出物も場合により含まれていてもよい。抽出物は、それぞれ親水性または疎水性の溶媒中に保持された、水溶性または水不溶性のいずれかのものであってもよい。抽出溶媒としては水およびエタノールが好ましい。例示的な抽出物には、緑茶、カモミール、甘草、アロエ、ブドウ種子、温州ミカン(Citrus unshui)、ウィローバーク、セージ、タイム、およびローズマリーからのものが含まれる。
【0044】
同じく、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(クラリアント・コーポレーション(Clariant Corp.からシルケア(Silcare)(商標)1M−75の商標で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、およびこれらの組合せ等の物質も含まれ得る。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B、およびセラミド6を含む)に加えて疑似セラミドもまた有用となり得る。これらの物質の量は、組成物の0.000001〜10重量%、好ましくは0.0001〜1重量%の範囲であってもよい。
【0045】
本発明の組成物においては、着色剤、乳白剤、および研磨剤も含まれてもよい。これらの物質の各々は、組成物の0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲であってもよい。
【0046】
処理されたワイプの形態等において皮膚に適用するために、本発明の組成物を水に不溶な物質に場合により添加することもできる。
【0047】
パーソナルケア組成物を貯蔵および提供するために多種多様なパッケージを用いることができる。パッケージは、パーソナルケアの最終用途の種類に応じて異なる場合が多い。例えば、リーブオンスキンローションおよびクリームならびにシャワージェルには、通常、供給口の開口部が封鎖部材で覆われたプラスチック容器が採用される。典型的な封鎖部材は、スクリューキャップ、非エアゾール型ポンプ、および押し上げ式ヒンジ蓋である。制汗剤、消臭剤、および脱毛剤のパッケージは、供給口にロールオン用ボールを備えた容器を含む場合がある。あるいは、パーソナルケア製品のこのような種類を、棒状体が中皿の上で供給口方向に移動する繰出し機構(propel−repel mechanism)を備えた容器内における棒状組成物処方で提供してもよい。スプレーノズルを有する、噴射剤で加圧された金属缶は、制汗剤、ひげそりクリーム、および他のパーソナルケア製品のパッケージの役割を果たす。化粧石鹸は、セルロースまたはプラスチック製の包装紙から構成されるパッケージを有していても、あるいは厚紙製の箱に入れても、あるいはプラスチック製収縮包装フィルムに包んでもよい。上述したものはすべて、本発明の文脈におけるパッケージと見なされる。
【0048】
本発明による「老化の徴候」とは、小じわ、しわ、色素増加、皮膚のたるみ、つやのなさ、目の下のくま、腫れぼったい目、血色の悪さ、クモ状静脈、セルライトの出現、およびこれらの組合せを意味する。本発明によるこれらの老化の徴候は、本発明の組成物で治療することによって、進行を阻止するか、軽減するか、または最小限に抑えることのいずれかが可能である。
【0049】
老化の徴候の治療を達成するに当たっての使用説明書は、パッケージ用紙箱の外面に直接記載される文書として、同梱される使用説明書として、またはパッケージされた製品に関するこれ以外の宣伝広告として提供することができる。
【0050】
「含む(comprising)」という用語は、これに続いて述べられる任意の要素に限定するのではなく、機能的な重要性が高いかまたは低い特定されていない要素も包含することを意味する。換言すれば、列挙されたステップ、要素、または選択肢が網羅的である必要はない。「含む(including)」または「有する(having)」という語が用いられる場合は常に、これらの用語は上に定義した「含む(comprising)」と均等な意味を持つものとする。
【0051】
実施例および比較例を除いて、また別段の指定がない限り、本明細書において材料の量を示す数値がいずれも「約」という語でも修飾されていると理解してよい。
【0052】
以下に示す実施例により本発明の実施態様をより十分に例示する。別段の指定がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において参照される部、百分率、および比率はすべて重量による。
【実施例1】
【0053】
ここでは、以下の表1において概要を示す処方を有する本発明によるローションを例示する。この処方は、ネジ蓋式の標準的なポリプロピレンボトルに詰められる。ボトルの外側に巻かれたラベルには、この組成物が小じわやしわを消すことを含め、老化の徴候に対する有効性を有することが特に明記される。
【0054】
【表1】

【0055】
以下の手順に従いローションを製造する。A相の構成要素を、成分がすべて溶解するまでテクマー(Tekmar)(商標)撹拌器でブレンドする。この後すぐに、A相を撹拌しながらB相の成分を40℃で添加する。次に、C相の成分を別容器において40℃で混合する。完全に溶解したら、AおよびB相を合わせたものにC相の成分をゆっくりと加え、エマルジョンを形成させる。この3相の混合を40℃で約1時間継続する。次いで、温度を30℃に低下させる。A、B、およびC相を合わせたものにD相をゆっくりと加える。さらに1時間混合した後、ブレンドを完了する。
【実施例2】
【0056】
本発明による局所用油中水滴型液状メーキャップファンデーションを以下の表IIに記載する。このファンデーションは、ネジ蓋付きのガラスボトルで提供される。このボトルが外箱に入れられる。箱の中には、つやの向上を含む老化の徴候における改善を達成するためにこのファンデーションを顔に塗布することを含む使用に関する使用説明書が入れられる。
【0057】
【表2】

【実施例3】
【0058】
ここでは、本発明の四級塩を添加したスキンクリームを例示する。このクリームは、ネジ蓋付きの広口ガラス瓶に詰められる。瓶のラベルには、このクリームが色素増加や皮膚のたるみなどの老化の徴候を抑制するという使用説明書が印刷される。
【0059】
【表3】

【実施例4】
【0060】
表IVの処方は、本発明による四級塩を添加した他の化粧用パーソナルケア組成物の一例である。この組成物は、プラスチック製ポリプロピレンチューブに詰められる。側面は、チューブの開口部から組成物が押し出せるように可撓性を有している。チューブの外側には、組成物を顔に塗布する指示および約2週間から約6ヶ月間で老化の徴候が消失することを案内する説明書が印刷される。
【0061】
【表4】

【実施例5】
【0062】
本発明の四級塩を添加した比較的無水の組成物を表Vにおいて報告する。この組成物をポリエチレン製のスクイーズチューブに詰め、このチューブを折紙箱に入れる。箱には、この組成物を顔に塗布することを消費者に説明する説明書が印刷されている。この説明書にはさらに、4ヶ月間を超える使用で老化の徴候が少なくとも20%軽減されることが示唆されている。
【0063】
【表5】

【実施例6】
【0064】
本発明に好適な四級塩を含む洗浄フォームを詰めたエアゾールの概要を表VIにおいて示す。このエアゾール吐出製品のパッケージの役割を果たすプラスチックボトルには、洗浄剤の使用法に関する説明書が印刷される。このディスペンサーはエアスプレーコーポレーション(Airspray Corporation)より入手可能である。
【0065】
【表6】

【実施例7】
【0066】
パーソナルケア用使い捨てペーパータオル製品を本発明に従い説明する。1.8グラムの重量、15cm×20cmの寸法を有する、70/30ポリエステル/レーヨン不織布製のペーパータオルを準備する。このペーパータオルに以下の表VIIに概要を示す組成物を含浸させる。次いで、含浸されたペーパータオルをポリプロピレンフォイルでパッケージする。このフォイルの外側には使用説明書が印刷される。これには、小じわやしわを含む老化の徴候の軽減を達成するためにこのペーパータオルで顔面を覆うように適用する指示が含まれる。
【0067】
【表7】

【実施例8】
【0068】
本発明の一例である化粧石鹸の概要を表VIIIに示す。この石鹸を厚紙製の折紙箱に入れる。箱をフォイルで包む。このフォイルには、この石鹸を顔および体表面に使用すべきであることを示す印刷が施される。さらに、石鹸組成物が小じわおよびしわなどの老化の徴候を軽減することをラベルに示す。
【0069】
【表8】

【実施例9】
【0070】
この実施例は、本発明による老化防止活性物質を添加した制汗剤/消臭剤処方を例示するものである。この処方物を、制汗/消臭スティックや軟質固形製品に典型的な繰り出し式のプラスチック製容器に入れる。プラスチックパッケージの外側には、皮膚のたるみを解消するためにこの処方物を腋の下に塗布することに関する使用説明書が設けられている。
【0071】
【表9】

【実施例10】
【0072】
本発明の代表的な第四級アンモニウムポリオール塩の老化防止効力をプロコラーゲンI発現試験において評価した。
【0073】
ヒト皮膚線維芽細胞におけるプロコラーゲンI合成の測定手順
皮膚線維芽細胞馴化培地の調製:
初代ヒト包皮線維芽細胞(供与者年齢55歳)の継代2(P2)を12ウェルプレートに10000細胞/cmで播種し、ウシ胎仔血清10%を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)において、二酸化炭素5%および酸素4%の雰囲気において24時間維持した。この時間の後、無血清DMEMで細胞を洗浄し、次いで、新しい無血清DMEM中でさらに60時間インキュベートした。次いで、線維芽細胞単層を再び無血清DMEMで洗浄した。細胞に試薬および対照ビヒクルをトリプリケートで添加し、新しい無血清DMEMで最終容量を0.4ml/ウェルとして、さらに24時間インキュベートした。
【0074】
この繊維芽細胞馴化培地を直ちに分析するかまたは液体窒素中において瞬間凍結させてさらなる分析まで−70℃で保管するかのいずれかとした。次いで、細胞をカウントした後、ドット−ブロット分析のデータを細胞数に標準化した。
【0075】
皮膚線維芽細胞馴化培地におけるプロコラーゲンIタンパクのドット−ブロットアッセイ
ビヒクル(対照)または試薬で処理した皮膚線維芽細胞から得られた馴化培地の試料にジチオトレイトール(予製液200mMを1:10で希釈)20mMおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(10%予製液を1:100で希釈)を補充し、十分に混合し、次いで、75℃で2分間インキュベートした。
【0076】
175cmのフラスコに線維芽細胞を10000細胞/cmで播種し、上述したように無血清DMEM中に維持することによって得られた混入物のない(neat)線維芽細胞馴化培地を系列希釈することによってアッセイ標準を作製した。次いで、バイオラッド(Bio−Rad)からの96ウェルバイオ−ドット(Bio−Dot)装置を製造業者の手引書において記載されているように使用し、予め湿らせておいたイモビロン(Immobilon)(商標)−P転写膜のシートにアッセイ試料をトリプリケートで適用した。1ウェル当たり約200μlの培地を適用した。この培地を重力下で膜濾過(30分間)し、この膜濾過の後、膜をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(200μl)で2回洗浄した。このPBS洗浄液を重力下で膜濾過(2×15分間)した。
【0077】
次いで、バイオ−ドット装置に真空マニホールドを取り付け、吸引しながら3回目および最終的なPBS洗浄を実施した。装置を分解して膜を取り外し、必要に応じて直ちに裁断し、4℃のブロッキングバッファーに一夜入れた。プロコラーゲンI分析用に調製された膜を、PBS中の5%(w/v)脱脂粉末ドライミルク/0.05%トゥイーン(Tween)20でブロッキングした。翌日、この膜を、ヒトプロコラーゲンIに対する一次抗体(MAB1912;ラットモノクロナール;カリフォルニア州テメクラのケミコンインターナショナルインコーポレーテッド(Chemicon Int.Inc.,Temecula,CA))の1:10000希釈物を用いて室温で2時間プローブした。次いで、トリス緩衝生理食塩水(TBS)/0.05%トゥイーン20で膜を洗浄(3×5分間)し、次いで、必要に応じて、125I−コンジュゲート抗ラットフラグメント(アメルシャム(Amersham))の1:1000希釈物と一緒に室温で1時間インキュベートした。これに続き、イモビロン(商標)の細片をTBS/トゥイーン20で再び洗浄(3×5分間)した後、室温(約20℃)で風乾した。
【0078】
乾燥した膜をセロファン(商標)で包み、モレキュラーダイナミクス(Molecular Dynamics)(商標)のストレージフォスファスクリーン(storage phosphor screen)に16〜18時間露光した。この時間の終わりに、露光したスクリーンをイメージクアント(ImageQuant)(商標)ソフトウエアを用いてフォスフォイメージャー(phosphorimager)(モレキュラーダイナミクス(Molecular Dynamics)(商標)フォスフォイメージャーSF)で走査した。イメージクアント(商標)の定量化ツールを用いてコンピュータ支援画像分析によりドットの強度を評価し、細胞数に標準化した。
【0079】
結果
プロコラーゲンI合成における様々な試薬の効果を測定し、ビヒクルで処理された対照値(100任意単位(artibrary unit))と比較した。結果を表Xに記録する。
【0080】
【表10】

【0081】
100μM濃度のコリン以外のすべての試料に、対照と統計学的に(P<0.05)有意な差が見られた。この結果に基づくと、本発明により定義される第四級アンモニウムポリオールは本試験に陽性反応することが明白であり、この陽性反応は、老化防止活性を示すものである。
【実施例11】
【0082】
この実施例においては、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの合成について詳述する。125mlの三角フラスコに3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(四級(Quat)188(登録商標))(水中にこの物質を60%含むものとして使用)の16.7ml(53mmol)を装入した。このフラスコに滴下漏斗および撹拌棒を取り付けた。水酸化ナトリウム溶液(55ml、55.0mmol)を、反応の温度が室温(約20℃)に維持される速度で滴下漏斗を介してフラスコに装入した。添加が完了したら、溶液を室温条件(20℃)下で約12時間撹拌した後、50℃で2時間加熱した。
【0083】
反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)で監視した。生成物を2.5×7.6cmのシリカゲルプレート上に出発物質と並べてスポットし、ブタノール:酢酸:水(4:2:2)で約50分間溶離させた。ニンヒドリン染色液およびホットプレートで焼くことによって可視化した。
【0084】
まず粗生成物溶液をpH7に酸性化し、次いで、濃縮によって水を除去した。この粗生成物を撹拌しながらエタノール(200ml)を加えた。静置すると塩化ナトリウムが析出するので、これを減圧濾過した。濾液をロータバップ(Rotavap)(登録商標)上で減圧濃縮した後、高真空(0.05mmHg)下でさらに乾燥させた。濁ったゲルが得られ、最終生成物の収率は97%となった。TLC分析から、主要スポットのR=0.27であることが示された。
【0085】
最終生成物について、60MHzプロトンNMR(DO w/TSP)分析を実施した。スペクトルから最終生成物の構造が確認された。陽イオンモードにおける質量スペクトル分析からMが134(塩素が離脱)であることが判明した。
【実施例12】
【0086】
この実施例においては、グルコースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの合成について詳述する。250mlの丸底フラスコにメカニカルスターラを取り付けた。このフラスコに1Mの水酸化ナトリウム(55.5ml、55.5mmol)、クリアスィート(Clearsweet)(商標)95(10g、55.5mmol)、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(15ml、55.5mmol)を装入した。クリアスィート(商標)95は、カーギル(Cargill)の商標であり、グルコース95.4%、マルトース2.8%、およびより炭素数の多い糖類1.8%を含んでいる。3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CHPTMAC)は、水中に活性物質60%を含むものとして、アルドリッチケミカルカンパニー(Aldrich Chemical Company)から供給されたものである。これは、ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から四級(登録商標)188としても入手可能である。この反応体を室温(約20℃)で18時間撹拌した。水を50℃の減圧下で除去し、不均質な無色のシロップを得た。ガラスウールで濾過することにより、グルコースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを均質な無色透明のシロップとして得た:m/z(ESI;M −Cl)296;HPLC(カラム:YMC−ODS−AQ、S5、120A、4.6×250mm、流速:1ml/分、均一濃度溶離、水100%;検出器:RI;温度:35℃)t:3.11分(クリアスィート(商標)95のt:3.09分;CHPTMACのt:3.39分)。
【実施例13】
【0087】
本実施例においては、フルクトースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの合成について詳述する。250mlの丸底フラスコにメカニカルスターラを取り付けた。フラスコに1Mの水酸化ナトリウム(55.5ml、55.5mmol)、コーンスィート(Cornsweet)(商標)(10g、55.5mmol)、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(15ml、55.5mmol)を装入した。コーンスィート(商標)は、アーチャーダニエルズミッドランドコーポレーション(Archer Daniels Midland Corporation)からフルクトース100%の材料として得られる。3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、水中に活性物質60%を含むものとして、アルドリッチケミカルカンパニーから供給されたものである。これは、ダウケミカルカンパニーから四級(登録商標)188としても入手できる。反応体を室温(約20℃)で18時間撹拌した。水を50℃の減圧下で除去し、不均質な無色のシロップを得た。これをガラスウールで濾過して、フルクトースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを均質な無色透明のシロップとして得た:m/z(ESI;M −Cl)296;HPLC(カラム:YMC−ODS−AQ、S5、120A、4.6×250mm;流速:1ml/分、均一濃度溶離、水100%;検出器:RI;温度:35℃)t:3.16分(コーンスィート(商標)のt:3.17分;CHPTMACのt:3.39分)。
【実施例14】
【0088】
ここでは、フルクトース−グルコースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド混合物の調製について説明する。250mlの丸底フラスコにメカニカルスターラを取り付けた。フラスコに1Mの水酸化ナトリウム(55.5ml、55.5mmol)ならびにクリアスィート(商標)95(5g、27.8mmol)、コーンスィート(商標)(5g、27.8mmol)、および3−クロロ−2ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(15ml、55.5mmol)の混合物を装入した。この溶液を室温(約20℃)で18時間撹拌した。水を50℃の減圧下で除去し、不均質な淡黄色のシロップを得た。ガラスウールで濾過し、グルコースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびフルクトースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの混合物を均質な淡黄色透明のシロップとして得た:m/z(ESI;M −Cl)296;HPLC(カラム:YMC−ODS−AQ、S5、120A、4.6×250mm;流速:1ml/分、均一濃度溶離、水100%;検出器:RI;温度:35℃)t:3.14分(クリアスィート(商標)95のt:3.09分;コーンスィート(商標)のt:3.17分;CHPTMACのt:3.39分)。
【実施例15】
【0089】
ここでは、ヒドロキシプロピルトリモニウムソルビトール(「ソルビトールモノ四級」とも称される)の塩化物の合成手順を示す。250mlの丸底フラスコにメカニカルスターラを取り付けた。このフラスコに、ソルビトール(10g、55.0mmol)および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(四級188(登録商標))(15ml、55.0mmol)の混合物を装入した。次いで、装入された混合物に1Mの水酸化ナトリウム(55.0ml,55.0mmol)を添加した。結果として得られた溶液を室温(約20℃)で18時間撹拌した。次いで、50℃の減圧下で水を除去し、不均質な無色のシロップを得た。ガラスウールで濾過し、ソルビトールヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを均質な透明のシロップとして得た:m/z(ESI;M −Cl)298。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(i)(a)ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換された単糖の塩、
(b)平均分子量が450を超えない陽イオンを有し、10℃を超えないTを有する、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換されたポリオールの塩、
(c)ジヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、
(d)クロロヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、および
(e)これらの混合物
からなる群から選択される第四級アンモニウム化合物を0.1ないし30重量%
(ii)化粧品的に許容可能な担体を1ないし99.9重量%
含むパーソナルケア組成物が充填されたパッケージおよび
(B)老化の徴候を抑制することを目的として前記組成物の皮膚への局所使用を指示する、前記パッケージに印刷または添付された使用説明書
を含むパーソナルケア製品。
【請求項2】
(a)の塩が、リボース、デオキシリボース、グルコース、フルクトース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、マンノース、イドース、ガラクトース、およびタロースからなる群から選択される単糖から形成されている、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
(a)の塩が、単糖としてグルコースまたはフルクトースから形成されている、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
(a)の塩が、構造IおよびII
【化1】

(式中、Xは、化粧品的に許容可能な有機または無機対イオンである。)
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
(a)の塩が、ヒドロキシプロピルトリモニウムグルコースもしくはヒドロキシプロピルトリモニウムフルクトースの塩化物またはこれらの組合せである、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
第四級アンモニウム化合物の重量の0ないし20%の、ヒドロキシプロピル(C〜Cアルキル)アンモニウム基で二置換または三置換された単糖をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャワージェル、化粧石鹸、制汗剤、消臭剤、ひげそりクリーム、脱毛剤、口紅、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナー、ならびに日焼け止めローションからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
(c)の塩が、ジヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、請求項1から7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
(b)の塩が、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびイソプレングリコールからなる群から選択されるポリオールから形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
(b)の塩が、ヒドロキシプロピルトリモニウムソルビトールの塩化物である、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
老化の徴候が、小じわ、しわ、色素増加、皮膚のたるみ、つやのなさ、目の下のくま、腫れぼったい目、血色の悪さ、クモ状静脈、セルライトの出現、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
(i)(a)ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換された単糖の塩、
(b)平均分子量が450を超えない陽イオンを有し、10℃を超えないTを有する、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換されたポリオールの塩、
(c)ジヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、
(d)クロロヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、および
(e)これらの混合物
からなる群から選択される第四級アンモニウム化合物を0.1ないし30重量%、
(ii)化粧品的に許容可能な担体を1ないし99.9重量%
含むパーソナルケア組成物を皮膚に適用することを含む、人の皮膚における老化の徴候を治療する方法。
【請求項13】
(a)ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換された単糖の塩、
(b)平均分子量が450を超えない陽イオンを有し、10℃を超えないTを有する、ヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウムで一置換されたポリオールの塩、
(c)ジヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、
(d)クロロヒドロキシプロピルトリ(C〜Cアルキル)アンモニウム塩、および
(e)これらの混合物
からなる群から選択される第四級アンモニウム化合物の、人の皮膚における老化の徴候を治療するための使用。
【請求項14】
老化の徴候が、小じわ、しわ、色素増加、皮膚のたるみ、つやのなさ、目の下のくま、腫れぼったい目、血色の悪さ、クモ状静脈、セルライトの出現、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法または請求項13に記載の使用。

【公開番号】特開2013−35847(P2013−35847A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−198161(P2012−198161)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2007−537178(P2007−537178)の分割
【原出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】