説明

パーソナルケア組成物

本発明は、溶液、ゲル、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、懸濁液、および固体を含む様々な物理的形態にある、ポリトリメチレンエーテルグリコールを含むパーソナルケア組成物に関する。特に好ましい実施形態においては、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、主として再生可能資源から得られたモノマーから誘導され、それによって、本発明のこの実施形態のパーソナルケア製品は、その製造、使用、および廃棄という観点でより環境に優しいものになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリトリメチレンエーテルグリコールを含む、溶液、ゲル、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、懸濁液、固体等の様々な物理的形態にあるパーソナルケア組成物に関する。特に好ましい実施形態においては、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、主として再生可能資源から得られるモノマーから誘導され、それによって、本発明のこの実施形態のパーソナルケア製品が、その製造、使用、および廃棄という観点でより環境に優しいものになっている。
【背景技術】
【0002】
多くのパーソナルケア製品が市販されており、そのほとんどは、溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、またはエマルジョンの形態にある。これらのパーソナルケア製品には、例えば、肌の手入れ、入浴時および体の手入れ、防臭剤、手および足の手入れ、美顔、毛髪の手入れ、ヒゲ剃り用品、歯科医療、トイレタリー製品、生体潤滑(personal lubrication)等の様々な用途がある。一般に、処方された製品に含まれる成分は、エモリエント剤、湿潤剤、保湿剤、乳化剤、潤滑剤、抗微生物剤、化粧料、芳香剤、レオロジー調整剤等の役割を果たす。この製品の中には溶媒系のものもあり、それ以外は水系のものである。
【0003】
パーソナルケア製品は、ほとんどの場合、送達基剤(delivery vehicle)中に添加された有効成分を含んでいる。パーソナルケア製品の所望の効果は、適用された部位(ほとんどの場合は皮膚または毛髪)において、パーソナルケア有効成分または基剤そのもののいずれかによって達成される。
【0004】
主要な種類のパーソナルケア用基剤のほとんどが以下に分類される:(a)溶液、(b)エマルジョン((一例として)ローションおよびクリームを含む、水中油および油中水型の両方))、(c)懸濁液、(d)ゲル、および(e)固体(半固体を含む)((一例として)棒状製品を含む)。パーソナルケアおよび化粧用基剤に関する広範囲にわたる説明を、Handbook of Cosmetic Science and Technology、第2版、M Paye、A.O.Barel、およびH.I.Maibach編、99〜123頁(2005年)に見ることができる。
【0005】
ペトロラタム、鉱物油、パラフィンワックス、オゾケライト等の不揮発性炭化水素は、スキンクリームおよびローションに長い間使用されてきた。これらの材料は、水分が皮膚表面から周囲環境へ失われるのを防ぐ疎水性の閉塞膜で皮膚を覆うことによってエモリエント剤として機能する。同様に、ラノリンおよびその様々な誘導体(酢酸ラノリン等)等の動物性油脂もエモリエント剤としてスキンクリームおよびローションに使用されており、ワックス様の疎水性および保護性を有する皮膜を皮膚に付着させる。脂肪および/または油を含む従来の閉塞型の水分バリアの欠点は、これらが一般に、皮膚にべとついた、油ぎった、べったりとした、および/またはワックス様の感触に加えてほてりという不快な感覚を与えることにある。
【0006】
このような炭化水素の欠点は、1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール等のアルキレングリコールを湿潤剤およびエモリエント剤として使用することによってある程度は克服されている。現在、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ−1,2−プロピレングリコール(PPG)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー等のポリマーはパーソナルケア製品に幅広く使用されている。例えば、米国特許第5,256,396号明細書には、(a)分子量が11000〜13000の範囲にあり、エチレンオキシド含有量が65〜75重量%である水溶性かつ非イオン性のエチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、(b)局所的に送達される有効成分、および(c)水を含む局所用組成物が開示されている。この組成物は、容器に充填される際は容易に流動し、かなりの時間保管した後もこの流動可能な状態を維持し、かつ所望の動物に適用する際に容易に流動するという性質を有している。この組成物に特有の一つの特徴は、この組成物は皮膚の温かい表面に接すると容易に流動する液体から直ちに非流動性の実質的なゲルに近くなることにある。米国特許出願公開第2004/0037911A1号明細書には、これらのポリマーを生殖器用潤滑剤組成物の潤滑剤として使用することが開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2003/0198616A1号明細書には、油脂を含まず、水、皮膚保湿剤、水溶性ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、および添加剤を含む皮膚保湿用組成物が記載されている。
【0008】
米国特許出願公開第2003/0207772A1号明細書は、多価アルコールおよび保温剤(insulating agent)を含む、実質的に無水の、温熱作用のある、無毒性かつ非刺激性の潤滑組成物に関するものである。この開示は、この種の組成物を潤滑、有効成分の投与、および月経困難症の予防または治療に用いる方法にも関する。
【0009】
米国特許出願公開第2003/0232090A1号明細書には、多価アルコールと、ゲル化剤と、別法としてpH調整剤とを含む、実質的に無水の、温熱作用のある、無毒性かつ非刺激性の、真菌および細菌感染を治療するための潤滑組成物が記載されている。この発明は、この種の組成物を、加温、潤滑、有効成分の投与、および月経困難症の予防または治療に用いる方法にも関する。
【0010】
米国特許第6,730,292号明細書には、ポリプロピレングリコールと、エステル油と、カチオン性界面活性剤、固体脂肪族化合物、および水を含むゲル基質とを含むヘアケア組成物が開示されている。このヘアケア組成物はまた、ポリプロピレングリコールと、ペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、およびこれらの混合物から選択されるエステル油と、好適な担体とを含んでいる。ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は約200〜約100000である。このエステル油のHLB値は約4未満である。
【0011】
米国特許第6,696,049号明細書には、(i)平均粒度が少なくとも20ミクロンであり、25℃における粘度が約20000cpsを超える非乳化性の架橋シロキサンエラストマーを約0.1%〜約15%、(ii)乳化性架橋シロキサンエラストマーを約0.1%〜約15%、(iii)架橋シロキサンエラストマーの溶媒を約10〜約80%、(iv)場合により、皮膚状態改善剤を0〜約50%、および(v)水を約0〜約95%含む化粧料組成物が記載されている。この皮膚状態改善剤は、湿潤剤、角質剥離剤(exfoliant)、エモリエント剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
米国特許第5,106,609号明細書には、ポリマーをベースとするが、化粧料組成物にゲルネットワーク系に似たレオロジーを付与する化粧料組成物用基剤系が開示されている。この化粧料組成物は、化粧料有効成分を0〜約20%、好ましくは約0.1%〜約20%と、(a)水溶性ポリマー骨格ならびにC8〜C22アルキル、アリールアルキル、アルキルアリール基、およびこれらの混合物からなる群から選択される疎水性基を含む疎水変性された非イオン性水溶性ポリマー(このポリマーの親水性部位対疎水性部位の比率は約10:1〜約1000:1であり;好ましくは、この疎水変性された非イオン性水溶性ポリマーは非イオン性セルロースエーテルを含み、このセルロースエーテルは、これを水溶性にするためのメチル、ヒドロキシエチル、およびヒドロキシプロピルからなる群から選択される非イオン性置換基で十分に置換されており、かつ約0.2重量パーセント〜上記セルロースエーテルの水溶性を1重量%未満にする量の10〜22個の炭素原子を有する長鎖アルキル基でさらに置換されている)を、化粧料組成物の約0.1重量%〜約10重量%、(b)分子量が約20000未満の水不溶性界面活性剤を化粧料組成物の約0.02重量%〜約5.0重量%、および(c)適合性のある溶媒を化粧料組成物の約65重量%〜約99重量%含む基剤系を約80%〜約100%とを含み、上記基剤系を含むこの組成物は、水溶性界面活性物質を約1.0%以下、好ましくは約0.5%以下含む。
【0013】
米国特許第3,740,421号明細書においては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを約20〜90重量%と水を約80〜約10重量%とを含むゲル組成物が開示されている。このゲルは、化粧料および医薬製剤に有用であると記載されている。
【0014】
パーソナルケア製品に用いられる成分の大部分(上述の刊行物にある、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等を含む)は合成物質であり、石油化学資源から誘導されたものである。産業界における最近の動向は、石油系製品の含有量が低減された天然の製品を消費者に提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
環境への影響を低減した製品を提供することがすべての製造業者に求められている。製造業者にとって、再生可能資源に由来する製品を提供することは環境面においても有利である。したがって、石油からではなく再生可能な資源から誘導された成分を含むパーソナルケア製品が求められている。さらに、その製造プロセス、その使用、およびその廃棄に関し環境に優しい成分および製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様においては、基剤中に少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量含み、この基剤が、ポリトリメチレンエーテルグリコールを基剤の重量を基準として約0.1〜100重量%含むパーソナルケア組成物に関する。より好ましくは、この基剤は、溶媒と、組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%のポリトリメチレンエーテルグリコールとを含む。
【0017】
一実施形態においては、溶媒は、主要量の水を含み(水系)、さらなる他の実施形態においては、溶媒は、主要量の有機溶媒を含む(有機溶媒系)。
【0018】
本発明によるパーソナルケア組成物は、(a)溶液、(b)エマルジョン(水中油および油中水型の両方)、(c)懸濁液、(d)ゲル、および(e)固体を含む様々な物理形態にあってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
他の態様においては、本発明は、ゲルの総重量を基準として、水を少なくとも約10重量%とポリトリメチレンエーテルグリコールを約10〜約90重量%とを含み、このポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が約1000未満であり、かつこのポリトリメチレングリコールの繰り返し単位の少なくとも90%がトリメチレンエーテル単位である、ゲルに関する。このゲルは、パーソナルケア組成物中に含まれていてもそれ自体がパーソナルケア組成物であってもよく、場合により、パーソナルケア有効成分等の他の成分を含んでいてもよい。
【0020】
本発明による組成物の成分はすべて薬理学的に許容可能であるべきである。
【0021】
本発明のこの態様のパーソナルケア組成物は、好ましくは、スキンケア製品、化粧料、香水、防臭剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、薬効剤、洗口剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色用組成物、毛髪うねり矯正(hair anti−frizzing)用組成物、縮毛矯正剤組成物、生体用潤滑剤、および皮膚洗浄用組成物からなる群から選択される。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態においては、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、主として生物学的に誘導されたモノマー(1,3−プロパンジオール等)から製造される。
【0023】
当業者は、以下の詳細な説明を解釈することにより、本発明の上記および他の特徴および利点をより容易に理解するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
別段の断りがない限り、本明細書に挙げるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献を、その全体が記載されているかの如く参照により本明細書に援用するものとする。
【0025】
別段の断りがない限り、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本発明の属する当業者に一般に理解されている意味と同義である。矛盾する場合は、本明細書(定義を含む)が優先することとなる。
【0026】
はっきりと明記する場合以外は、商標を大文字で表す。
【0027】
別段の断りがない限り、百分率、部、比率等は重量による。
【0028】
量、濃度、または他の値もしくは変数が、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値の一覧のいずれかで与えられている場合、これは、範囲が別に開示されているかどうかに拘わらず、任意の範囲上限値または好ましい上限値と任意の範囲下限値または好ましい上限値との任意の対から形成されるあらゆる範囲を具体的に開示しているものと理解されるべきである。本明細書において数値範囲が引用される場合、別段の断りがない限り、この範囲はその端点ならびにその範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。範囲を規定する場合も、引用した特定の値に本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0029】
数値または範囲の端点を記載する際に「約」という語が用いられた場合、その開示内容はそこに引用された特定の値または端点を含むものと理解すべきである。
【0030】
本明細書において用いられる、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(包含する)(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語または他の任意の変形は、非排他的な包含(non−exclusive inclusion)を含むことを意図している。例えば、列挙された構成要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない他の構成要素またはこのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に本来備わっている他の構成要素も含み得る。さらに、そうでないことが明示されていない限り、「または(or)」は包含的論理和を意味するものであって、排他的論理和を意味するものではない。例えば、AまたはBという条件は、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBが両方とも真である(または存在する)。
【0031】
「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本発明の構成要素および構成成分を記載する際に用いられる。これは単に便宜上および本発明の一般的な意味を与える目的で行われる。この記載は、それ以外を意味することが明白でない限りは、1つまたは少なくとも1つを包含し、また、単数形は複数形も包含すると解釈されるべきである。
【0032】
本明細書における材料、方法、および実施例は例示的なものに過ぎず、明示されている場合を除いて、限定を意図するものではない。本明細書に記載されたものと類似または均等な方法および材料を本発明の実施または試験に用いることが可能であるが、本明細書においては好適な方法および材料を記載する。
【0033】
ポリトリメチレンエーテルグリコール
本発明のパーソナルケア組成物は、一般に、ポリトリメチレンエーテルグリコールをパーソナルケア組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%含む。特定の好ましい実施形態においては、この組成物は、好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールをパーソナルケア組成物の重量を基準として約5〜約90重量%、よりさらに好ましくは約10〜約75重量%含む。他の特定の好ましい実施形態においては、この組成物は、好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールをパーソナルケア組成物の重量を基準として約0.1〜約20重量%、よりさらに好ましくは約0.1〜約10重量%含む。
【0034】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位であるオリゴマーおよびポリマーである。より好ましくは、繰り返し単位の約75%〜100%、よりさらに好ましくは、約90%〜100%、より一層好ましくは、約99%〜100%がトリメチレンエーテル単位である。
【0035】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、好ましくは、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合によって調製され、それによって、−(CH2CH2CH2O)−結合(例えば、トリメチレンエーテル繰り返し単位)を含むポリマーまたはコポリマーが得られる。上述したように、繰り返し単位の少なくとも50%はトリメチレンエーテル単位である。
【0036】
トリメチレンエーテル単位に加えて、より少量の他の単位(他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位等)も存在してもよい。本開示の文脈において、「ポリトリメチレンエーテルグリコール」という語は、基本的に純粋な1,3−プロパンジオールから作製されたポリトリメチレンエーテルグリコールだけでなく、コモノマーを最大約50重量%含むそのオリゴマーおよびポリマー(以下に記載するものを含む)も包含する。
【0037】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの調製に用いられる1,3−プロパンジオールは、任意の様々な周知の化学的経路によるかまたは生化学的変換経路によって得てもよい。最も好ましくは、1,3−プロパンジオールは、再生可能資源から生化学的に得られる。(「生物学的に誘導された」1,3−プロパンジオール)。
【0038】
1,3−プロパンジオールの最も好ましい供給源は、再生可能な生物資源を用いた発酵プロセスを介したものである。再生可能資源から出発物質を得る例示的な一例として、トウモロコシ原料等の再生可能な生物資源から製造される原料を利用して1,3−プロパンジオール(PDO)を得る生化学的経路が記載されている。例えば、グリセロールを1,3−プロパンジオールに変換することのできる菌種が、Klebsiella、Citrobacter、Clostridium、およびLactobacillus種に見出されている。この技法は、米国特許第5,633,362号明細書、米国特許第5,686,276号明細書、米国特許第5,821,092号明細書等の数件の特許に開示されている(この開示内容を、その全体が記載されているかの如く参照により本明細書に援用する)。例えば、米国特許第5,821,092号明細書には、特に、組み換え生物体を用いてグリセロールから1,3−プロパンジオールを生物学的に産生させるプロセスが開示されている。このプロセスには、異種のpduジオールデヒドラターゼ遺伝子で形質転換された、1,2−プロパンジオールに対する特異性を有するE.coliが取り入れられている。形質転換された大腸菌は、炭素源としてのグリセロールの存在下に増殖し、そして1,3−プロパンジオールが増殖用培地から単離される。細菌も酵母菌もグルコース(例えば、トウモロコシ糖)または他の炭水化物をグリセロールに変換することができるので、これらの刊行物に開示されているこのプロセスによって、迅速、低費用、かつ環境責任を果たす1,3−プロパンジオールモノマーの供給源が提供される。
【0039】
上に記載および参照したプロセスによって製造されたものなどの生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、植物が取り込んだ大気中の二酸化炭素に由来する炭素を含んでおり、これが1,3−プロパンジオールを生成させるための原料を構成している。このように、本発明の文脈に用いるのに好ましい生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは再生可能な炭素のみを含み、化石燃料系炭素も石油系炭素も含んでいない。したがって、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを利用した本発明のポリトリメチレンエーテルグリコールおよびパーソナルケア組成物は、減少しつつある化石燃料を枯渇させる1,3−プロパンジオールを組成物中に使用しておらず、また、分解時に放出される炭素は大気中に戻って再び植物に使用されるので環境に与える影響がより小さい。したがって、本発明の組成物はより天然物に近く、そして石油系グリコールを含む類似の組成物よりも環境に与える影響が小さいものとして特徴づけることができる。
【0040】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよびポリトリメチレンエーテルグリコールは、二核種炭素同位体フィンガープリント法(dual carbon−isotopic finger printing)を用いることによって、石油化学系原料または化石燃料由来の炭素から製造された類似の化合物と区別することができる。この方法は、化学的には同一である物質を区別するとともに、コポリマー中の炭素を、生物圏(植物)構成要素の成長源および可能な場合は年代によって分けるものである。この課題に関する補足的な情報が同位体である14Cおよび13Cから得られる。核の半減期が5730年である同位体(14C)の放射性炭素年代測定により、試料の炭素を化石(「死んでいる」)資源と生物圏(「生きている」)資源とに明確に分けることができる(Currie,L.A.、「Source Apportionment of Atmospheric Particles」、Characterization of Environmental Particles、J.BuffleおよびH.P.van Leeuwen編、IUPAC Environmental Analytical Chemistry Series、第I巻の1(Lewis Publishers,Inc)(1992年)、3〜74頁)。放射性炭素年代測定は、大気中の14C濃度が不変であることにより生体中の14Cが不変であるという前提に基づいている。単離された試料を扱う際は、試料のおおよその年代値を以下の関係式を用いて推定することができる:
t=(−5730/0.693)ln(A/A0
(ここで、tは年代値、5730年は放射性炭素の半減期、AおよびA0はそれぞれ試料および現代の標準の14Cの比放射能である(Hsieh,Y.、Soil Sci.Soc.Am J.、第56巻、第460号(1992年))。しかしながら、1950年以降の大気圏内核実験および1850年以降の化石燃料の燃焼によって、14Cの地球化学的時間特性(geochemical time characteristic)は異なるものになった。大気中、したがって、生きている生物圏中におけるCO2濃度は、1960年代中盤の核実験のピーク時にはおよそ2倍になった。それ以降は、緩和の「半減期」をおよそ7〜10年として、宇宙線の作用を受けた(大気中の)定常状態にある同位体比(14C/12C)の基準である約1.2×10-12に除々に戻りつつある(この後者の半減期は、文字通りに解釈してはならない;寧ろ、核時代の幕開け以後の大気中および生物圏における14Cの変動を追跡するためには、詳細な大気中への核種の取り込み/壊変関数(input/decay function)を用いなければならない)。最近の生物圏炭素に関する年単位の年代決定の裏付けを提供するのが、この後者の生物圏14C時間特性である。14Cは、加速器質量分析(AMS)によって測定することができ、その結果は「現代炭素の割合(fraction of modern carbon)」(fM)という単位で与えられる。fMは、National Institute of Standards and Technology(NIST)の標準物質(Standard Reference Materials)(SRM)4990Bおよび4990C(それぞれシュウ酸標準体HOxIおよびHOxIIとして周知)によって規定される。HOxIの14C/12C同位体比の0.95倍が基本定義に対応する(紀元後1950年を基準とする)。これは壊変に関し補正を行った産業革命前の木材に大体相当する。現在の生きている生物圏(植物系物質)の場合、fM≒1.1である。
【0041】
炭素安定同位体比(13C/12C)は、原料を識別および推定するための補足的な手段である。所与の生物由来の物質の13C/12C比は、二酸化炭素が固定された時点における大気中二酸化炭素の13C/12C比に対応した値になると同時に、代謝経路も正確に反映する。地域的な変動も起こり得る。石油、C3植物(広葉タバコ)、C4植物(イネ科草本)、および海成炭酸塩はいずれも13C/12Cおよび対応するδ13C値が有意に異なっている。さらに、C3およびC4植物の脂質物質は、代謝経路を経た結果、同じ植物の炭水化物成分から誘導される物質とは異なる分解をする。13Cは、同位体分別効果により、測定精度の範囲内で大きく変動し、その中でこの発明に最も重要なのは光合成機構である。植物中における炭素同位体比が異なる主な原因は、植物内における光合成炭素代謝経路、特に最初のカルボキシル化、すなわち最初の大気中CO2固定の際に起こる反応の違いに密接に関連している。植物の生育は、「C3」(またはカルビンベンソン)光合成サイクルが組み込まれているものおよび「C4」(またはハッチ−スラック)光合成サイクルが組み込まれているものの2つに大別される。C3植物(広葉樹や針葉樹等)は、気候の温暖な地帯に多く生息する。C3植物においては、最初のCO2固定すなわちカルボキシル化反応には酵素リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼが関与し、最初の安定な産物はC3化合物である。一方、C4植物には、熱帯イネ科草本、トウモロコシ、サトウキビ等の植物が含まれる。C4植物においては、他の酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼが関与するさらなるカルボキシル化反応が最初のカルボキシル化反応である。最初の安定な炭素化合物はC4酸であり、次いでこれは脱カルボキシル化される。こうにして放出されたCO2はC3サイクルによって再び固定される。
【0042】
4植物もC3植物も13C/12C同位体比には一定の範囲があるが、典型的な値は約−10〜−14パーミル(C4)および−21〜−26パーミル(C3)である(Weberら、J.Agric.Food Chem.、第45巻、2942頁(1997年))。通常、石炭および石油はこの後者の範囲に入る。13C測定の尺度は、最初にpee dee層産ベレムナイト(PDB)石灰石をゼロに設定することによって定められたものであり、その値は、この物質からの1000分の1偏差で与えられる。「δ13C」値の単位は1000分の1部(パーミル)であり、‰と略記され、以下のように算出される:
【0043】
【数1】

【0044】
PDB基準物質(RM)が使い果たされてしまったため、IAEA、USGS、NIST、および他の選ばれた国際同位体研究機関の提携により、一連の代替RMが開発された。PDBからのパーミル偏差はδ13Cで表記する。測定は、高精度安定同位体比質量分析(IRMS)を用いて、CO2の質量44、45、および46の分子イオンについて行われる。
【0045】
したがって、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよび生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む組成物は、14C(fM)および二重炭素同位体フィンガープリント法に基づき、今までになかった物質組成が示されることによって、石油化学的に誘導された対応物とは完全に区別することができる。このような産物を区別できる能力はこれらの物質を商業目的で追跡するのに有益である。例えば、「新しい」および「古い」炭素同位体の両方を含む製品の炭素同位体プロファイルは、「古い」物質のみから作られた製品と区別することができる。したがって、競争化を図ったり(defining competition)、貯蔵寿命を決定したり、特に環境に与える影響を査定する目的で、対象とする材料をその独自のプロファイルに基づき商業目的で追跡することができる。
【0046】
好ましくは、反応体または反応体の成分として使用される1,3−プロパンジオールは、ガスクロマトグラフィー分析によって測定される純度が約99重量%超、より好ましくは約99.9重量%超であろう。米国特許出願公開第20040260125A1号明細書、米国特許出願公開第20040225161A1号明細書、および米国特許出願公開第20050069997A1号明細書に開示されている精製された1,3−プロパンジオールおよびそれから作製される米国特許出願公開第20050020805A1号明細書に開示されているポリトリメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
【0047】
この精製された1,3−プロパンジオールは、好ましくは以下の特徴を有する:
(1)220nmにおける紫外吸収が約0.200未満であり、250nmにおいては約0.075未満であり、275nmにおいては約0.075未満であり;および/または
(2)組成物のL***の「b*」色値が約0.15未満(ASTM D6290)であり、270nmにおける吸光度が約0.075未満であり;および/または
(3)過酸化物組成物が約10ppm未満であり;および/または
(4)ガスクロマトグラフィーで測定した有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)全体の濃度が約400ppm未満、より好ましくは約300ppm未満、よりさらに好ましくは約150ppm未満である。
【0048】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを製造するための出発物質は、所望のポリトリメチレンエーテルグリコール、出発物質の入手性、触媒、設備等に応じて異なることとなり、そして「1,3−プロパンジオール反応体」を含んでいる。「1,3−プロパンジオール反応体」とは、1,3−プロパンジオールならびに1,3−プロパンジオールのオリゴマーおよびプレポリマー(好ましくは重合度が2〜9のもの)ならびにこれらの混合物を意味する。場合によっては、低分子量オリゴマーを利用可能な場合は最大10%またはそれ以上使用することが望ましいこともある。したがって、好ましくは、出発物質は、1,3−プロパンジオールならびにその二量体および三量体を含む。特に好ましい出発物質は、1,3−プロパンジオール反応体の重量を基準として、1,3−プロパンジオールを約90重量%以上、より好ましくは1,3−プロパンジオールを99重量%以上含む。
【0049】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、当該技術分野において周知の、米国特許第6,977,291号明細書および米国特許第6,720,459号明細書に開示されているものなどの多くのプロセスによって製造することができる。好ましいプロセスは、先に参照により援用した米国特許出願公開第20050020805A1号明細書に記載されている。
【0050】
上述したように、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、トリメチレンエーテル単位に加えて、より少量の他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位を含んでいてもよい。したがって、ポリトリメチレンエーテルグリコールの調製に使用されるモノマーは、1,3−プロパンジオール反応体に加えて、50重量%まで(好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、よりさらに好ましくは約2重量%以下)のコモノマージオールを含んでいてもよい。このプロセスに用いるのに好適なコモノマージオールには、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール;脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール、およびイソソルビド;ならびにポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが含まれる。好ましいコモノマージオール群は、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C6〜C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等)、およびイソソルビド、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオール以外の特に好ましいジオールはエチレングリコールであり、C6〜C10ジオールも同様に特に有用となる可能性がある。
【0051】
コモノマーを含む好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールの1種が、米国特許出願公開第2004/0030095A1号明細書に記載されているようなポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールである。好ましいポリ(トリメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、1,3−プロパンジオールを50〜約99mol%(好ましくは約60〜約98mol%、より好ましくは約70〜約98mol%)とエチレングリコールを最大で50〜約1mol%(好ましくは約40〜約2mol%、より好ましくは約30〜約2mol%)との酸触媒を用いた重縮合によって調製されるものである。
【0052】
本発明を実施するのに有用なポリトリメチレンエーテルグリコールは、少量の他の繰り返し単位、例えば、米国特許第6,608,168号明細書に記載されているような脂肪族または芳香族二酸またはジエステル由来のものを含んでいてもよい。この種のポリトリメチレンエーテルグリコールは「ランダムポリトリメチレンエーテルエステル」と称することもでき、1,3−プロパンジオール反応体と、脂肪族または芳香族二酸またはそのエステル(テレフタル酸、イソフタル酸、ビ安息香酸、ナフタル酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、およびこれらの組合せ、ならびにテレフタル酸ジメチル、ビ安息香酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、ナフタル酸ジメチル、およびフタル酸ジメチル;ならびにこれらの組合せ等)を約10〜約0.1mol%との重縮合によって調製することができる。これらの中でも、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、およびイソフタル酸ジメチルが好ましい。
【0053】
本明細書において好ましく使用されるポリトリメチレンエーテルグリコールは、一般に、数平均分子量が約200〜約5000、好ましくは約200〜約2000である。水溶性ポリトリメチレンエーテルグリコールが使用される実施形態においては、数平均分子量は、好ましくは約1000未満、より好ましくは約400〜約950である。本明細書において使用するのに好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールは、典型的には、多分散度が好ましくは約1.0〜約2.2、より好ましくは約1.2〜約2.0、よりさらに好ましくは約1.2〜約1.8の多分散ポリマーである。
【0054】
本発明に使用されるポリトリメチレンエーテルグリコールは、好ましくは、色数が約100APHA未満、より好ましくは約50APHA未満である。
【0055】
上述したポリトリメチレンエーテルグリコールは、一般に、急性経口毒性が低いものであるべきであり、かつ皮膚または眼刺激性であったり皮膚感作物質であったりするべきではない。
【0056】
パーソナルケア有効成分
ほとんどの実施形態においては、本発明のパーソナルケア製品は、ポリトリメチレンエーテルグリコールに加えて、使用者の体、例えば、毛髪または皮膚に有益な何らかのパーソナルケア有効成分を含む。このような物質は、一般に、対応するパーソナルケア組成物分野の当業者に周知であり、保湿剤、制汗剤、抗細菌剤、サンスクリーン剤、昆虫忌避剤、洗浄剤、ヘアコンディショニング剤、整髪剤、フケ防止剤、育毛促進剤、染毛用染料および顔料、麻酔剤、潤滑剤、殺精子剤、石鹸、および香水が含まれるであろう。
【0057】
本発明の一実施形態においてはポリトリメチレンエーテルグリコール自身が有効成分として作用することから、添加されるパーソナルケア有効成分は任意的なものである。その例が、ポリトリメチレンエーテルグリコール水性ゲルの生体用潤滑剤(以下に述べる)としての使用である。しかしながら、パーソナルケア有効成分が含まれる場合は、通常、使用者の体に何らかの利益がある。
【0058】
パーソナルケア有効成分(および以下に記載するパーソナルケア組成物の他の成分)は、それらが提供する利益によってまたはそれらに求められている作用形態によって分類してもよい。しかしながら、本明細書において有用なパーソナルケア有効成分(および他の成分)は、2種以上の利点を供するかまたは2種以上の作用形態で作用することができる例もあることを理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上行われるものであって、有効成分をその特定の用途または列挙した用途に限定することを意図していない。
【0059】
本発明によるパーソナルケア製品にパーソナルケア有効成分として好適に含まれ得る物質の例には以下が含まれる:
(1)香料および芳香物質(芳香の形態で嗅覚反応を惹起するもの)および芳香消臭剤(deodorant perfume)(匂い応答(fragrance response)を生じさせることに加えて体の悪臭も低減できるもの);
(2)冷感剤(皮膚に冷感の形態で触覚反応を惹起する、メントール、酢酸メンチル、ピロリドンカルボン酸メンチル、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、および他のメントール誘導体等);
(3)エモリエント剤(皮膚の潤滑性を高める形態で触覚反応を惹起する、ミリスチン酸イソプロピル、シリコーン油、鉱物油、野菜油等);
(4)香料以外の防臭剤(防臭剤前駆体も含む)(皮膚表面において特に体臭の発生に寄与する微生物相を減らすかまたは消滅させる作用を有するもの);
(5)制汗有効成分(皮膚表面への汗の出現を低減するかまたはなくす作用を有するもの;
(6)保湿剤(水分を加えるかまたは皮膚からの蒸散を防ぐことによって皮膚をしっとりとした状態に保つもの);
(7)清浄化剤(皮膚から汚れまたは油状物を取り除くもの);
(8)サンスクリーン有効成分(皮膚および毛髪をUVおよび他の太陽からの有害光線から保護するもの);
(9)毛髪処理剤(毛髪を状態改善するもの、毛髪を洗浄するもの、毛髪のもつれを防ぐもの、整髪剤として作用するもの)、フケ防止剤、育毛促進剤、染毛用染料および顔料、毛髪用香水、縮毛矯正剤、毛髪脱色剤、毛髪保湿剤、毛髪オイルトリートメント剤、ならびにうねり矯正剤;
(10)口腔ケア剤(歯および歯茎を洗浄、漂白、防臭、および保護するもの);
(11)義歯接着剤(義歯に接着性を付与するもの);
(12)美容助剤(パウダー、顔料、着色剤等);および
(13)薬効剤。
【0060】
皮膚に有益なさらなる薬剤の例には、研磨剤;吸収剤;美容成分(ジステアリン酸エチレングリコールやTiO2被覆雲母等の乳白剤および真珠光沢剤);精油;皮膚感覚剤;化粧用および薬用収斂剤(チョウジ油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、マンサク留出物等);抗ざ瘡剤(レゾルシノール、硫黄、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、亜鉛等);凝結防止剤;抗微生物剤(ブチルカルバミン酸ヨードプロピル(iodopropyl butylcarbamate)等);酸化防止剤;化粧料用殺生物剤;外用鎮痛剤;pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等);皮膚漂白および美白剤(ヒドロキノン、麹酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン等);皮膚鎮静および/または治癒剤(パンテノールおよび誘導体(エチルパンテノール等)、アロエベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン等);ビサボロールおよびグリチルリチン酸二カリウム;レチノイド(パルミチン酸レチノール等);ニコチン酸トコフェリル;皮膚処理剤;ビタミン類およびその誘導体;ならびに類似の物質が含まれる。
【0061】
湿潤剤は、容器内および皮膚表面の両方において、製品と外気との間の水分交換を制御する薬剤であると説明されている。湿潤剤は、皮膚の乾燥を防ぐかまたは皮膚の最上層の水分含有量を増加させる化合物であるとも説明されている(例えば、吸湿性化合物)。
【0062】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは水を保持する傾向が強く、ゲル化剤の非存在下にゲルを形成するそれ自体が有用な湿潤剤であるが、他の湿潤剤または保湿剤:(a)水分の喪失を防ぐことによって皮膚、頭皮、毛髪、または爪の水和を促すもの;(b)大気中の水分を吸収して皮膚、頭皮、毛髪、または爪と水和させるもの;(c)皮膚、頭皮、毛髪、または爪が大気中から水分を直接吸収する能力を高めるもの;または(d)これらの任意の組合せと一緒に使用してもよい。保湿剤はまた、皮膚、頭皮、毛髪、または爪の乾燥およびひび割れを最小限に抑えるかまたは防止する。
【0063】
好適な保湿剤には、疎水化剤、親水化剤、およびこれらの組合せが含まれる。保湿剤の例としては、アラントイン、グリセロール、メタクリル酸ポリグリセリル、パンテノール、ポリオール、セラミド、ルリヂサ油(リノール酸)、トコフェロール(ビタミンE)、リノール酸トコフェロール、ジメチコン、ヒアルロン酸、ペルオキシラインカルボリック酸(peroxylinecarbolic acid)ナトリウム(PCAナトリウム)、小麦タンパク(例えば、ラウルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク)、毛髪ケラチンアミノ酸、パンテノール;サクラソウ油;GLA3および他の魚油(例えば、オメガ−3およびオメガ−6油および/またはリノール酸を含んでいてもよい);ならびに亜麻仁油;ならびにこれらの混合物が挙げられる。他の保湿剤も使用することができる。
【0064】
本発明のパーソナルケア組成物に使用するのに好適な多くのサンスクリーン剤がある。その例には、p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体、アントラニル酸エステル、サリチル酸エステル、ケイヒ酸誘導体、ジヒドロキシケイヒ酸誘導体、トリヒドロキシケイヒ酸誘導体、ジベンザルアセトン、ジベンザルアセトフェノン、ナフトールスルホン酸塩、ジヒドロキシナフトール酸およびその塩、クマリン誘導体、ジアゾール、キニン塩、キノリン誘導体、ヒドロキシ−およびメトキシ置換ベンゾフェノン、尿酸およびビロウリック酸(vilouric acid)、タンニン酸およびその誘導体、ヒドロキノンおよびベンゾフェノンが含まれる。本発明による有効量とは、通常、組成物の重量を基準として約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.1〜約5重量%であろう。
【0065】
防臭制汗組成物中の有効成分は、典型的には、塩基性アルミニウム化合物である。この種の材料の例としては、アルミニウムクロロハイドレート、塩基性臭化、ヨウ化、または硝酸アルミニウム、塩基性ヒドロキシ塩化アルミニウム−ジルコニルヒドロキシオキシクロリド(zirconyl hydroxy oxychloride)が挙げられる。
【0066】
洗浄剤は、典型的には、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性界面活性剤である。典型的なアニオン性界面活性剤は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩、例えば、脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸塩、およびラウリルエーテル硫酸塩である。カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸およびロジン酸から誘導された脂肪族モノ、ジ、およびポリアミン、アミンオキシド、エトキシ化アルキルアミン、ならびにイミダゾリンが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、カルボン酸エステル(例えば、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンエステル、および脂肪酸ジエタノールアミン縮合物)が挙げられる。両性界面活性剤は、上述したアニオン性およびカチオン性基の組合せを含むもの、特に、酸カルボキシルおよび塩基性窒素基の両方を含むものである。典型的な両性界面活性剤は、イミダゾリンおよびベタイン(例えば、ラウリルおよびミリスチルイミダゾリンおよびベタイン、ならびにアミドプロピルベタインである。
【0067】
様々な薬効剤も本発明の組成物中に有効成分として存在してもよい。非限定的な例としては、抗ざ瘡剤、抗セルライト剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗微生物剤、殺精子剤、消毒剤、抗真菌剤および抗ウイルス剤、ならびに局所麻酔剤が挙げられる。
【0068】
他の成分
本発明の場合においては、ポリトリメチレンエーテルグリコールが基剤(または基剤の成分)として機能するか、あるいはポリトリメチレンエーテルグリコールおよび有効成分の一方または両方が上述した種類の基剤中に通常は溶解、懸濁、または乳化されているかのいずれかである。本発明のパーソナルケア組成物中には、既述のものに加えて他の様々な成分も存在していてもよい。この種の他の成分には、例えば、ゲル化剤、界面活性剤、乳化剤、および防腐剤が含まれる。
【0069】
セルロースガムも本発明の組成物の添加剤として使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0198616A1号明細書には、水溶性ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが、典型的には、組成物をゲル化させるとともに、経皮水分蒸散量を低減させるための防湿バリアを形成するという二重の機能を果たす湿潤スキンゲルが記載されている。好ましいセルロースガムには、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが含まれる。皮膚に接触する化合物中に使用されている他の増粘剤には、アラビアゴム、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、キサンタンガム、コラーゲン、カルボキシポリメチレン、モノステアリン酸グリセリル、ポリビニルピロリドン、およびポリアクリルアミドが含まれる。
【0070】
本発明のパーソナルケア組成物には、界面活性剤を使用してもよい。典型的な界面活性剤は、米国特許出願公開第2003/0007939A1号明細書に開示されている。
【0071】
パーソナルケア製品は、連続した水性媒体中に分散した油滴を含む水中油型エマルジョンであるものが非常に多い。一般に、油を水中に乳化させる過程を助けるためおよびこうして形成されたエマルジョンを物理的な劣化過程に対し安定化させるために界面活性剤または乳化剤が使用される。これらは、自身が溶解した水溶液の表面張力を低下させるように作用する疎水性および親水性部位を有する化合物である。ポリトリメチレンエーテルグリコールは、乳化剤や界面活性剤を添加しなくても連続水性媒体中に容易に分散させることが可能であるが、本発明の多くの好ましい実施形態においてはさらなる乳化剤を使用してもよい。化粧料に認可されている乳化剤のほとんどが使用可能である。使用可能な乳化剤には、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性または両イオン性、およびこれらのブレンドが含まれる。好適な乳化剤は、米国特許第3,755,560号明細書および米国特許第4,421,769号明細書に開示されている。その例としては、ポリエチレングリコール20、モノラウリン酸ソルビタン(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール20ステアリルエーテル(Brij78、セテアレス20)、ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(ラウレス23)、ポリソルベート80(トゥイーン80)、およびレシチンが挙げられる。
【0072】
他の慣用されているパーソナルケア組成物の成分には、防腐剤が含まれ、これは当該技術分野において周知の多くの市販品から選択してもよい。その例には、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、DMDMヒダントイン、メチルクロロイソチアオリン(methylchloroisothiaoline)、メチルイソチアゾリノン、イミダゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、および安息香酸が含まれる。さらに防腐作用を高めることを目的としてEDTAおよびその塩が用いられる場合も多い。
【0073】
上述したような添加剤は、有利には、組成物中に無制限で含まれてもよいが、一般に、これらの添加剤の総量は、パーソナルケア組成物の重量を基準として、最大約8.0重量%、好ましくは最大約3.0重量%である。
【0074】
本発明のパーソナルケア組成物は、従来の配合および混合技法を用いることによって容易に調製される。ポリトリメチレンエーテルグリコールを用いて幾つかのパーソナルケア組成物を作製する方法を実施例に記載するが、これはあくまで例示を目的とするものであって、これらに限定することを意図するものではない。
【0075】
製品形態
パーソナルケア組成物または製品は、一般に、クリーム、溶液、エマルジョン、フォーム、ゲル、ローション、軟膏、固体、粉末、半固体等の形態にある。したがって、この組成物は、幅広い種類の製品に製造することができる。このようなものには、これらに限定されるわけではないが、溶液、ローション、エマルジョン、クリーム、ゲル、棒状体、スプレー、軟膏、ペースト、フォーム、ムース、シャンプー、化粧料、皮膚パッチ等が含まれる。このような組成物を用いた製品には、これらに限定されるわけではないが、スキンケア製品、化粧料、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用ジェル、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、潤滑ゲル組成物、殺精子ゲル組成物、および皮膚洗浄用組成物が含まれる。
【0076】
パーソナルケア製品は、送達基剤中に取り込まれた有効成分を含む場合が最も多い。パーソナルケア製品の所望の効果は、適用した部位(ほとんどの場合は皮膚または毛髪上)におけるパーソナルケア有効成分または基剤そのもののいずれかによって達成される。有効成分は、基剤の力を借りて、すなわち基剤が担体として作用して、所望の効果を達成すべき適用部位に送達される。
【0077】
パーソナルケア用基剤の主要な種類のほとんどが以下に分類される:(a)溶液、(b)エマルジョン(ローションおよびクリームを含む、水中油および油中水型の両方)、(c)懸濁液、(d)ゲル、ならびに(e)固体および半固体(棒状製品を含む)。先に参照により援用したHandbook of Cosmetic Science and Technology、第2版、M Paye、A.O.Barel、およびH.I.Maibach編、99〜123頁(2005年)において、パーソナルケアおよび化粧料用基剤が幅広く検討されている。
【0078】
溶液
パーソナルケア製品に用いられる溶液は、一般に、水性もしくは水性アルコール性媒体または不活性な油状物質のいずれかをベースとする。ほとんどの有機溶媒は、局所的または全身的な毒性を有しており、皮膚の炎症を引き起こしたり体内に侵入したりすることから適していない。パーソナルケア組成物にしばしば用いられる水以外の溶媒の例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、グリセロール、エチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ブタントリオール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、メチルプロパンジオール、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、および類似の溶媒、ならびにこれらの混合物が挙げられる。この種の溶媒を含む局所用製剤が、例えば、米国特許出願公開第2004/0105873A1号明細書に記載されている。
【0079】
水溶液が好ましい。水溶液に好適なポリトリメチレンエーテルグリコールは、分子量(Mn)が約1000未満のホモポリマーまたは分子量が約3000未満のポリトリメチレン−エチレンエーテルグリコール等の水溶性コポリマーのいずれかである。好ましい溶液は、一般に、ポリトリメチレンエーテルグリコールをより少量、典型的には、パーソナルケア組成物の重量の約0.1〜約10重量%含むであろう。
【0080】
溶液として処方されることの多いパーソナルケア製品には、これらに限定されるわけではないが、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用組成物、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、および皮膚洗浄用組成物が含まれる。
【0081】
ゲル
本発明による「ゲル(ジェル)」とは、分散相が連続相と一緒になって粘性のあるゼリー様生成物を生成しているコロイドである。
【0082】
本発明によるゲルは、水性であっても非水性であってもよい。典型的には、ゲルは、ポリトリメチレングリコールに加えて上述したようなゲル化剤を含む基剤を含むであろう。ゲルの基剤は、典型的には溶媒も含むであろう。
【0083】
本発明のこの態様による好ましいパーソナルケア組成物は、少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を基剤中に有効量含み、この基剤は、ゲル化剤および組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%のポリトリメチレンエーテルグリコールを含むゲルである。好ましくは、基剤は、ポリトリメチレンエーテルグリコールを、組成物の重量を基準として約1〜約99重量%、より好ましくは約5〜約90重量%含む。基剤は好ましくは溶媒、より好ましくは水も含んでいる。
【0084】
ゲル、特に水性ゲルのパーソナルケア製品はますます一般的になってきている。その例には、これらに限定されるわけではないが、スキンケア製品、化粧料、練り歯磨き剤、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用ジェル、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、潤滑ゲル組成物、殺精子ゲル組成物、および皮膚洗浄用組成物が含まれる。
【0085】
ポリトリメチレンエーテルグリコール/水ゲル
しかしながら、好ましい一実施形態においては、ゲルは水およびより低分子量のポリトリメチレンエーテルグリコールを含む水性ゲルであり、ここではポリトリメチレングリコールがゲル化剤として機能し、好ましくは唯一のゲル化剤である。この実施形態においては、ゲルは、室温(例えば、約25℃以下)下で好ましくは非流動性であり、約35℃以上の温度で流動性液体になり、および/または人間もしくは動物の皮膚に接触すると流動性液体になる。
【0086】
この実施形態におけるポリトリメチレンエーテルグリコールのゲル化挙動は、分子量、コモノマーの量、および水量の影響を受けやすい。ポリマーは、その分子量およびその濃度に応じて、水に添加されて混合されるとエマルジョンまたは均質な溶液を形成することができる。好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、分子量(Mn)が約1000未満であるべきであり、コモノマー含有量は約10mol%未満であるべきである。好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、実質的に1,3−プロパンジオールのホモポリマーである。
【0087】
このゲル組成物は、好ましくは、ポリトリメチレングリコールエーテルおよび水の重量の合計を基準として、ポリトリメチレンエーテルグリコールを約90重量%以下、好ましくは約75重量%以下含む。
【0088】
これらのゲル組成物は、ポリトリメチレンエーテルグリコールを室温で水に直接添加することによって容易に調製される。ポリマーを水に添加するかあるいは水をポリマーに添加するかという順序は決定的要素ではない。加熱は不要である。水性混合物は、数分以内に流動性の流体状態から非流動性のゲルまたはクリーム状の状態へと変化する。結果として得られたゲルを、約35℃を超える温度に加熱するとこれらは元の流動性を有する状態に戻るが、冷却することによって再びゲル化させることができる。したがって、使用時において人間または動物の皮膚に接触すると、ゲルは液体になる。このようなより低分子量のポリトリメチレンエーテルグリコールは、水媒体中におけるポリトリメチレンエーテルグリコールのこの独特の挙動により、独特の性質を兼ね備えているため、潤滑剤、界面活性剤、湿潤剤、保湿剤、およびエモリエント剤に使用することができる。
【0089】
このゲル組成物に添加されるパーソナルケア有効成分等の他の任意の成分は、好ましくはゲルが形成された後に添加される。
【0090】
水性系におけるポリトリメチレンエーテルグリコールのこのゲル化挙動は、例えば、特定のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドブロックコポリマーが高温の水中においてはゲル化挙動を示すがより低温下では水溶性を示すことと比べると異例のことである。例えば、先に参照により援用した米国特許第5,256,396号明細書には、水と水溶性かつ非イオン性のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーとを含む組成物が開示されている。この組成物は、室温以下では流動性を有するが、動物の温かい表面に接触すると速やかに非流動性ゲルを形成する。ポリトリメチレンエーテルグリコールはこれとは逆の挙動を示し、室温下で非流動性ゲルを形成し、人体の温かい表面に接触すると流動性液体に変わる。
【0091】
ポリトリメチレンエーテルグリコールがゲルを形成することによって水分を保持することにより、非常に優れた湿潤性基剤の役割を果たすことが可能になる。本発明の水性ゲル組成物のこの実施形態は、皮膚や顔などの土台から水で容易に洗い流される。所望により、本発明の組成物がより洗い流されにくくなるように、エチレン/アクリル酸コポリマー等の薬剤を添加してもよい。
【0092】
エマルジョン
エマルジョンは、パーソナルケア用基剤として幅広く用いられている。「エマルジョン」とは、2種またはそれ以上の不混和な液体が、乳化剤と呼ばれる非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両イオン性であってもよい低比率で含まれる物質によって懸濁状態に保持されている安定な混合物を意味する。水中油型エマルジョンの場合は、油相は内相すなわち分散相であり、水相は外(連続)相すなわち担体相である。油中水型エマルジョンの場合は、水相が内相すなわち分散相であり、油相水が外(連続)相すなわち担体相である。
【0093】
エマルジョンが液体(室温下で流動性を有する)である場合、これらは一般に、ローションと称される。クリームは、実質的に非流動性の形態(室温下で)になるエマルジョンである。通常、クリームはローションと比較すると稠度がより高いため、重力下においても開口部から流出しない。エマルジョンの稠度または粘度は、内相対外相の比、油相の種類、および連続相中の増粘剤の有無を含む幾つかの因子に依存する。
【0094】
水中油型および油中水型のローションやクリーム等の2相エマルジョンスキンケア製剤は、化粧料分野において周知であり、本発明に有用である。米国特許第4,254,105号明細書に開示されているような水中油中水型等の3相エマルジョン組成物も同様に本発明に有用である。一般に、このような3相エマルジョンは、必須成分として水、エモリエント剤、および乳化剤を含んでいる。米国特許第4,960,764号明細書に開示されている、シリコーン油中水中油型エマルジョン組成物を含む3相(triple)エマルジョン担体系も本発明に有用であろう。
【0095】
両方の型のエマルジョンにも一般の溶媒系基剤の溶媒にも有用な油には、炭化水素油およびワックス(例えば、ペトロラタム、鉱物油、ミクロクリスタリンワックス、ポリアルケン、パラフィン、セラシン、オゾケライト、ポリエチレン、パーヒドロスクアレン、ポリアルファオレフィン、水素化ポリイソブテン、およびこれらの組合せ)およびシリコーン(例えば、ジメチコンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1〜C30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコン、ジメチコノール、およびこれらの組合せ)が含まれる。好ましくは、ジメチコン、ジメチコノール、混合C1〜C30アルキルポリシロキサン、およびこれらの組合せから選択される不揮発性シリコーン;脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリド、およびトリグリセリド(例えば、ヒマシ油、大豆油、誘導体化された大豆油(マレイン酸変性大豆油等)、紅花油、綿実油、トウモロコシ油、胡桃油、落花生油、オリーブ油、タラ肝油、扁桃油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、野菜油および野菜油誘導体、ヒマワリ種子油、ヤシ油および誘導体化されたヤシ油、綿実油および誘導体化された綿実油、ホホバ油、カカオ脂、ならびにこれらの組合せに加えて、上述の油のいずれかを部分的または完全に水素化したもの)、アセトグリセリドエステル(例えば、アセチル化モノグリセリド)、アルキルエステル、アルケニルエステル(例えば、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、およびこれらの組合せ)、ラノリンおよびその誘導体(例えば、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸イソプロピル、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノール酸エステル、ラノリンアルコールリシノール酸エステル、ヒドロキシル化ラノリン、水添ラノリン、およびこれらの組合せ)、ワックスエステル(例えば、ミツロウおよびミツロウ誘導体、鯨ロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、およびこれらの組合せ)、ステロールおよびリン脂質、ならびにこれらの組合せである。アルキルエステルの例には、脂肪酸のイソプロピルエステルおよび長鎖脂肪酸の長鎖エステル、例えば、SEFA(脂肪酸のショ糖エステル)、ペンタエリスリトールエステル、芳香族モノ、ジ、またはトリエステル、リシノール酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、リシノール酸セチル、およびリシノール酸ステアリルが含まれる。他の例には、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、イソノナン酸アシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、およびこれらの組合せが含まれる。やはり好適な他の油には、乳脂肪酸トリグリセリド(milk triglyceride)(例えば、ヒドロキシル化乳脂肪酸グリセリド)およびポリオール脂肪酸ポリエステルが含まれる。同じく有用なのが、植物性ワックス(カルナウバおよびキャンデリラワックス等);ステロール(コレステロール、コレステロール脂肪酸エステル等);およびリン脂質(レシチンおよび誘導体、スフィンゴ脂質、セラミド、グリコスフィンゴ脂質等);ならびにこれらの組合せである。
【0096】
水中油型エマルジョン
好ましいエマルジョンは、少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量と、水と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを組成物の重量を基準として約0.1〜約20重量%(より好ましくは約0.1〜約10重量%)とを含む、水中油型エマルジョンである組成物である。
【0097】
ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性であるか水分散性(これが水相の一部として存在するほど)である場合、エマルジョンは上記したような油をさらに含む。好ましくは、油成分は、パラフィン油、野菜油、マカダミアナッツ油、小麦胚芽油、およびネオペンタン酸イソステアリルからなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む。
【0098】
パーソナルケア有効成分は、成分の種類に応じて、水相、油相、または両方の一部であってもよい。
【0099】
水溶性または水分散性の低分子量ポリトリメチレンエーテルグリコールホモポリマーまたはポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールが好ましい。
【0100】
好ましい実施形態においては、この組成物は、ローションまたはクリームである。
【0101】
水中油型エマルジョンは、パーソナルケア製品中に、好ましくは、スキンケア製品、皮膚保湿剤、化粧料、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、薬効剤、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、およびヒゲ剃り剤組成物として幅広く使用されている。
【0102】
油中水型エマルジョン
他の好ましいエマルジョンは、少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量と、水と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを組成物の重量を基準として約0.1〜約20重量%(より好ましくは約0.1〜約10重量%)とを含む、油中水型エマルジョンである組成物である。
【0103】
ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性であるかまたは水分散性(これが水相の一部として存在するほど)である場合は、エマルジョンは上述したような油をさらに含む。油溶性高分子量ポリトリメチレンエーテルグリコールホモポリマーが好ましい。油成分が存在する場合は、好ましくは、パラフィン油、野菜油、マカダミアナッツ油、小麦胚芽油、およびネオペンタン酸イソステアリルからなる群から選択される少なくとも1種の構成要素が含まれる。
【0104】
パーソナルケア有効成分は、成分の種類に応じて、水相、油相、または両方の一部であってもよい。
【0105】
好ましい実施形態においては、この組成物は、ローションまたはクリームである。
【0106】
油中水型エマルジョンは、パーソナルケア製品中に、好ましくは、スキンケア製品、化粧料、制汗剤、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、毛髪脱色剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、および皮膚洗浄用組成物として幅広く使用されている。
【0107】
懸濁液
本発明のさらなる他の態様は、懸濁液を含むパーソナルケア組成物である。懸濁液は、液状または半固体状媒体中に分散された固体粒子からなる。貯蔵中の沈降分離は粒度を小さくすることおよび/または担体相の粘度を高めることによって最小限に抑えられる。懸濁液の典型的な用途は、水中油および油中水型エマルジョンに関し上に列挙したものと基本的に同じである。
【0108】
好ましい懸濁液は、パーソナルケア組成物の重量を基準としてポリトリメチレンエーテルグリコールを約0.1〜約99重量%含む基剤中に、少なくとも1種の固体パーソナルケア有効成分を有効量含む。好ましい一実施形態においては、基剤は、ポリトリメチレンエーテルグリコールの溶媒中溶液を含む。好ましい実施形態においては、組成物は、ローションまたはクリームである。
【0109】
固体
本発明のさらなる他の態様は、少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量と、固化剤と、ポリトリメチレンエーテルグリコールをパーソナルケア組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%とを含む組成物であって、室温(例えば、25℃以下)下で固体または半固体形態にあるパーソナルケア組成物に関する。好ましくは、この組成物は、ポリトリメチレンエーテルグリコールを、組成物の重量を基準として約0.1〜約50重量%、より好ましくは約0.1〜約25重量%、よりさらに好ましくは約1〜約20重量%含む。
【0110】
固体送達基剤は、通常、棒状体として細長い形態に成型される。この棒状体を皮膚に擦り付けることによって様々なパーソナルケア成分を送達させることができる。その例としては、棒状口紅および制汗剤/防臭剤スティックがある。固体棒状性を得るための方法は幾つかあり、ワックスおよび油の混合物;水性プロピレングリコールおよび/またはアルコール混合物をベースとする溶液を、通常はステアリン酸ナトリウムによって固化させたもの;高沸点シリコーンからなる基質を脂肪族アルコール(例えば、ステアリルアルコール)によってゲル化させたもの等がある。好ましくは、固化剤は、ワックスおよびステアリン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0111】
固形棒状製剤は、棒状口紅、制汗剤/防臭剤、皮膚保湿剤、化粧料、昆虫忌避剤、サンケア製品、石鹸および他の皮膚洗浄用組成物、皮膚殺菌剤、ヒゲ剃り剤組成物、皮膚洗浄組成物、ならびに麻酔剤に最も多く用いられている。
【0112】
本発明の固形パーソナルケア製品はまた、微粉化して粉末形態で使用してもよい。
【0113】
他の形態
上述した液状基剤のほとんどが、液相中に気体を分散させたフォームの形態にあってもよいことに留意されたい。この気体の小球は、コロイド性のものから石鹸の泡のような肉眼で見えるものまで、任意の大きさであってもよい。典型的な液状フォームは、ヒゲ剃りクリーム等に用いられているものである。
【0114】
液体または固体基剤系は、エアゾールとして適用してもよい。「エアゾール」とは、気体中に液体または固体粒子が懸濁した懸濁物を意味し、この粒子はコロイドの範囲の大きさである場合が多い。これには、微細スプレー(香水、殺虫剤、吸入剤、制汗剤等)が含まれる。構成成分を圧縮気体と一緒に容器(エアゾール噴霧器)に装入することによって、様々な種類の懸濁物が調製される。弁を開放すると、混合物は気体の圧力によって微細な噴霧(エアゾール)として放出される。その例としては、香水、防臭剤、ヒゲ剃りクリーム等が挙げられる。気体噴射剤は、例えば、炭化水素(プロパン、イソブテン)、クロロフルオロカーボン、二酸化炭素、または亜酸化窒素であってもよい。
【0115】
ヘアケア製品
特に重要なパーソナルケア製品の一群は、ヘアケア製品に関するものである。本発明の文脈に記載されたポリトリメチレンエーテルグリコールは、機能、再生可能資源からの入手性、生分解性、低毒性、およびコストのバランスが優れている。特定の理論に束縛されるわけではないが、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、毛髪表面に付着するかもしくは内部に吸収されて湿潤剤/保湿剤として作用し、および/または毛髪の状態を改善する1種またはそれ以上の他の望ましい利点を供すると考えられている。したがって、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、さらなる有効成分の非存在下であってさえも有用なヘアケア成分の役割を果たす。
【0116】
ヘアケア製品に有用なポリトリメチレンエーテルグリコールは、重合度および他の部分が結合しているかどうかに応じて、水溶性、水分散性、水不溶性、または限られた水溶性を有していてもよい。ポリトリメチレンエーテルグリコールの所望の水溶性は、調製されるヘアケア組成物の形態(例えば、洗い流さない形態であるかまたは洗い流す形態であるか)に大きく依存するであろう。水溶性ポリトリメチレンエーテルグリコールは、例えば、洗い流さない製品に特に有用である。水溶性ポリトリメチレンエーテルグリコールは、ヘアケア製品に対する利点を多く有し得る。例えば、このようなポリトリメチレンエーテルグリコールは、配合が容易であり、安価であり、生分解性が高く、しかも容易に入手可能であり得る。したがって、洗い流さないヘアケア組成物の場合、ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性であることが好ましい。
【0117】
本発明のヘアケア製品はまた、洗い流すヘアケア組成物の形態をとってもよい。ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性であると、毛髪に効果的に付着して所望の利益を供する前に余りに容易に洗い流されてしまう可能性がある。そのため、このような用途のためのポリトリメチレンエーテルグリコールは、より可溶性が低いかまたは水に不溶なものさえ好ましい場合がある。したがって、洗い流すヘアケア組成物の場合は、好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールの25℃以下における水溶性は約1g/100g水未満、より好ましくは、水溶性が約0.5g/100g水未満、よりさらに好ましくは、水溶性が約0.1g/100g水未満である。
【0118】
本発明のヘアケア組成物は、典型的には、水を少なくとも約60%、好ましくは少なくとも水を約70重量%、より好ましくは約75%〜約95%含む。ヘアケア組成物は、水およびポリトリメチレンエーテルグリコールに加えて、フケ防止剤、育毛促進剤、染毛用染料および顔料等の毛髪化粧製剤に幅広く用いられている任意のパーソナルケア有効成分を含んでいてもよい。
【0119】
本発明のヘアケア組成物は、毛髪化粧料組成物、整髪用組成物、およびヘアコンディショニング組成物として、好ましくは、洗い流さないおよび/または洗い流すヘアコンディショニング組成物として、より好ましくは、洗い流すヘアコンディショニング組成物として使用するのに好適である。これらのヘアケア組成物は、状態改善、整髪、および/または他の利益を供するための従来の方法で使用される。使用方法は、用いる組成物の種類に応じて異なるが、一般には、有効量の製品を毛髪に適用することが含まれる。次いでこの製品を、ヘアリンスの場合のように毛髪から洗い流してもよいし、ゲル、ローション、およびクリームの場合にように毛髪に残したままにしてもよい。本実施形態における「有効量」とは、風で乱れる(flyaway)毛髪の範囲を低減する所望の利益を得るのに十分な量を意味する。通常は、約1〜約50gを毛髪および/または頭皮に適用する。ヘアケア組成物は、典型的には毛髪および頭皮に擦り込むかまたは揉み込むことによって毛髪全体に分布させてもよいし、組成物を毛髪の特定の部分に選択的に適用してもよい。洗い流さない形態の場合、ヘアケア組成物は、好ましくは、毛髪を乾かす前の濡れているかまたは湿った毛髪に適用される。この種のヘアケア組成物を毛髪に適用した後は、毛髪を乾かして使用者の好みに応じて整髪する。あるいは、組成物を乾いた毛髪に適用してもよく、次いで、使用者の好みに応じて櫛で梳かすかまたは整髪する。
【0120】
本発明の組成物には様々なヘアコンディショニング剤が有用である。その中には、揮発性炭化水素;シリコーン;カチオン性界面活性剤(例えば、ジ(硬化牛脂脂肪酸ジメチルアンモニウムクロリドおよびカチオン化グアーといった第四級アンモニウム含有カチオン性界面活性剤等);動物性タンパク加水分解物;および脂肪族アルコールが含まれる。
【0121】
本発明のパーソナルケア組成物に有用な整髪剤には、上に列挙したヘアコンディショニング剤に加えて、毛髪の扱い易さおよびまとまりを改善するのに用いられる様々なイオン性および非イオン性ポリマーが含まれる。
【0122】
生体用潤滑剤
生体用潤滑剤は本発明の他の用途であり、ポリトリメチレンエーテルグリコールをさらなる有効成分と一緒に使用するかまたは使用せずに用いてもよい。本発明の組成物によって生じる温感によって、適用した皮膚または粘膜が鎮静化される。これらは口腔または膣粘膜組織に手でまたは綿棒もしくは膣塗布具(vaginal applicator)を用いてまたは他の任意の慣用的な方法で適用してもよい。
【0123】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを含む生体用潤滑剤組成物は油系または水系のいずれかであり、液体、ローション、クリーム、またはゲルの形態にある。
【0124】
油系組成物は、例えば、ポリトリメチレンエーテルグリコール、増粘剤、グリコール、アルファヒドロキシ酸(AHA)を含む。グリコール酸や乳酸等のAHA製品は、皮膚表面の角質剥離(exfoliation)または脱落を引き起こすとともに、組成物の酸性度の調整も助ける。好ましい組成物は、例えば、1,3−プロパンジオールのホモポリマーまたは1,3−プロパンジオールおよびエチレングリコールのコポリマー;増粘剤としてのヒドロキシプロピルセルロース;添加剤としての生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール;ならびに乳酸を含む。
【0125】
他の好ましい本発明の生体用潤滑剤組成物は、さらなる増粘/ゲル化剤を一切含まない水中のポリトリメチレングリコールを含む水性ゲル組成物である。他のゲルとは異なり、このような本発明の水性ゲル組成物は、適用後に皮膚の温かい表面に接触すると比較的流動性のある液体に変わる。その結果として、性交時の流動性を高めることが可能である。このような水性組成物は生理学的に許容可能であり、皮膚からきれいに洗い流される。水溶液中の生物学的に誘導された物質は、膣保湿剤(vaginal moisturizer)として使用するのにも、同じく生体用潤滑剤として使用するのにも特に有用である。
【0126】
生殖器用潤滑剤として使用する場合は、少量(例えば、ティースプーン1杯または数ミリリットル)の組成物を1またはそれ以上の生殖器表面(例えば、膣の内面または陰茎表面等)全体に、潤滑ゲルが生殖器表面を被覆して接触したままになるよう広げる。本発明の組成物で被覆された潤滑性コンドームを作製することも同様に可能である。
【0127】
本発明の生体用潤滑剤組成物は、液体、半固体、または固体の形態にあってもよい。好ましくは、この組成物は、ローション、クリーム、またはゲルの形態にある。本発明の組成物は、濃厚な液状ゲル、注入可能なゲル、または濃密なゼリーとして配合してもよい。
【0128】
生体用潤滑剤に慣用されている他の添加剤を使用してもよい。特許請求した本発明に用いてもよい他の潤滑剤は、例えば、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、特定のポリエチレングリコール(PEG)(PEG200、PEG400(この数字は異なる平均分子量を示す)等)、ポリプロピレングリコール、ポリイソブテン、ポリオキシエチレン、ベヘン酸、ベヘニル、糖アルコール(ソルビトール等)、およびある種のケイ素化合物(ポリジメチルシロキサン等)を含む。
【0129】
生殖器用潤滑剤に使用するのに好適な増粘剤は、化学処理されたセルロース誘導体(ヒドロキシエチル−またはヒドロキシメチルセルロース等)を含む。皮膚に接触する化合物に使用されており、生殖器用潤滑剤組成物に使用される可能性のある候補薬剤となる他の増粘剤には、アラビアゴム、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、キサンタンガム、コラーゲン、カルボキシポリメチレン、モノステアリン酸グリセリル、ポリビニルピロリドン、およびポリアクリルアミドが含まれる。
【0130】
本明細書に記載した本発明の潤滑剤組成物に、防腐剤(DMDMヒダントイン、グルコン酸クロルヘキシジン等)、結晶化防止剤(グルコノ−デルタ−ラクテート(lactate)等)、芳香剤、甘味料、着臭剤、着色剤、適切なpHを維持するためのアルカリ性剤または酸性剤または緩衝剤(EDTA等)、鎮静剤および膨潤防止剤(ラノリン、アロエベラ抽出物、ヒドロコルチゾン等)、抗ウイルス剤(亜鉛塩等)、ホルモン(エストロゲン等)、または殺精子剤(ノノキシノール−9等)等の他の成分を添加してもよい。
【0131】
口腔ケア組成物
本発明は、多機能を有する利点を持つ添加剤として水性口腔ケア組成物に適したポリトリメチレンエーテルグリコール化合物を含む口腔ケア組成物にも関する。このようなポリマーは、水性練り歯磨き製剤用のゲル化剤としておよび洗口製剤の可溶化剤として有用である。
【0132】
本発明のポリトリメチレンエーテルグリコール、好ましくは液体ポリトリメチレンエーテルグリコールを含む水性口腔ケア組成物は、好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールを組成物の約0.1〜約20重量%、より好ましくは約0.5〜約10重量%、よりさらに好ましくは約1〜約5重量%含む。
【0133】
本発明のポリトリメチレンエーテルグリコールを含む典型的な水系洗口製剤は、香味油の可溶性を高めるためのアルコール(好ましくはエタノール)や水溶性が低いかまたは限られている他の有機化合物等の他の成分も含んでいてもよい。グリセロール、ソルビトール、1,3−プロパンジオール等の他のヒドロキシル化合物も、アルコールと併用するかまたはその替わりとして使用してもよい。抗細菌剤および抗微生物剤および歯垢浸透剤(plaque−penetrating agent)も洗口製剤の所望の成分を構成していてもよい。チョウジ油、ケイ皮油、ハッカ油、スペアミント油等の精油も洗口製剤の一部としてもよい。第四級アンモニウム化合物等の抗殺菌(Anti−germicidal)化合物も洗口剤組成物における有用性が見出されている。染料や甘味料等の他の美観向上成分(aesthetic ingredient)も洗口製剤に再添加してもよい。
【0134】
洗口剤用ポリトリメチレンエーテルグリコール溶液組成物は、例えば、ポリトリメチレンエーテルグリコールを0.1〜5%;エチルアルコールを0〜30%;1,3−プロパンジオールおよび/またはグリセロールを含む(しかし、これらに限定されるものではない)湿潤剤を5〜25%;フェノール系化合物、β−ナフトール、チモール、ヘキシルレゾルシノール等の抗細菌剤を0.01〜0.1%;およびチョウジ油、ハッカ油、スペアミント油等の精油を0.01〜0.2%含んでいてもよい。上の数値は組成物の重量を基準とする。
【0135】
練り歯磨き剤は、一般に、数種の有効成分を含んでいる。これらは、モノフルオロリン酸ナトリウムやフッ化ナトリウム等の虫歯予防のための化合物に加えて、グルコースオキシダーゼ、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、リゾチーム、トリクロサン、ユーカリプトール,メントール、サリチル酸メチル、シメチコン、炭酸水素ナトリウム、硝酸カリウム、クエン酸亜鉛三水和物等の他の有効成分を含んでいる。
【0136】
練り歯磨き剤に利用される不活性成分の例には、研磨剤(例えば、シリカや含水ケイ酸)、増粘剤(通常はセルロース誘導体)、ワックス、甘味料、SDアルコール、アロエ、アロエベラゲル、β−d−グルコース、安息香酸、アカネグサ、蜂ロウ、キンセンカ、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、カルナウバワックス、カルボマー956、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロロフィル、セルロースガム、塩化セチルピリジニウム、クエン酸、コカミドプロピルベタイン、ピロリン酸二ナトリウム、EDTA二ナトリウム、臭化ドミフェン、香味料(例えば、スペアミントおよびハッカ油)、エキナセア、グリセロール、ヒドラスチス、グレープフルーツ種子抽出物、緑茶抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、含水ケイ酸、イソセテス−20、メチルパラベン、雲母、パパイン、PEG−6、PEG−8、PEG−12、PEG−32、リン酸、ポロキサマー407、ポリソルベート80、ソルビン酸カリウム、チオシアン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピレングリコール、PVM/MAコポリマー、アスコルビルリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、水酸化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、リン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、安定化されたoxychlor化合物、ソルビトール、ステビア、スクラロース、ピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、二酸化チタン、リン酸三ナトリウム、水、キサンタンガム、キシリトール、酸化亜鉛、および着色剤が含まれる。
【0137】
スキンケア製品
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、エモリエント剤としても機能することができ、エモリエント剤として機能する他の化合物を併用するかまたは併用せずに使用することができる。エモリエント剤とは、皮膚の柔軟で滑らかでしなやかな外観を維持する(例えば、皮膚表面または角質層内部に残存して潤滑剤として作用することによる)のを助ける化合物である。エモリエント剤は、疎水性皮膜を皮膚上に形成して水分の損失を防ぐ化合物とも説明されている。本発明のパーソナルケア組成物中に使用してもよいエモリエント剤の例は、米国特許第6,649,176号明細書に記載されており、ステアリン酸ヘキシルデシル、ならびに鉱物、植物、ナッツ、および野菜油(マカダミアナッツ油、米糠油、ブドウ種子油、パーム油、サクラソウ油、硬化落花生油、オリーブ油、アボカド油等)が含まれる。
【0138】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、湿潤剤としても機能することができ、湿潤剤として機能する他の化合物を併用するかまたは併用せずに使用することができる。湿潤剤は、容器内および皮膚表面の両方において、製品と外気との間の水分交換を制御する薬剤である。ハンドクリームおよびローションに最も幅広く使用されている湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールである。これらの湿潤剤の幾つかは揮発性に難点があり、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールは揮発性を有しており、一般に、これらはいずれもさらなるゲル化またはレオロジー調整剤を必要とする。一方、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、不揮発性、非イオン性、非皮膚刺激性であり、水分を保持する傾向が強く、ゲル化剤の非存在下においてもゲルを形成し、したがって、有用な湿潤剤として機能する。
【実施例】
【0139】
実施例に用いられる1,3−プロパンジオールを、先に参照により援用した米国特許出願公開第2005/0069997A1号明細書に記載された生物学的方法によって調製した。純度は99.8%を超えていた。
【0140】
NMR分光法を用いた末端基分析によって数平均分子量(Mn)を測定した。
【0141】
GPCにより多分散度(Mw/Mn)を測定した。
【0142】
ASTM D−1209に従いAPHA値(白金−コバルト系)として測色を行った。
【0143】
特段の指定がない限り、百分率、部等はすべて重量によるものである。
【0144】
実施例1
この実施例は、以下に続く実施例に用いられるポリトリメチレンエーテルグリコールの調製方法を例示するものである。
【0145】
5Lの4頚丸底フラスコに1,3−プロパンジオール3040g(40mol)および硫酸15.22g(1,3−プロパンジオールの総重量を基準として0.5重量%、0.155mol)を装入した。反応混合物をN2中で10分間脱気した後、170℃で3時間加熱し、次いで150rpmで撹拌しながら窒素流量を0.08L/分として180℃で5時間加熱した。反応混合物をCa(OH)211.5gを用いて70℃で2時間かけて中和し、次いで、結果として得られた混合物を100℃の減圧下で乾燥した。乾燥した混合物を、濾過助材を用いて濾過した。未反応の1,3−プロパンジオールを、短行程蒸留装置を用いて120℃、圧力400ミリトールで留去した。
【0146】
こうして調製されたポリトリメチレンエーテルグリコールは、数平均分子量が510であり、色数が21APHA、ガラス転移温度(Tg)が−81℃、結晶転移が−27℃、対応する溶融転移が−4.7および9.5℃であった。これは、ポリマーが非常に低い温度で結晶化可能であり、室温下では無定形の液体であることを示している。
【0147】
重縮合反応をわずかに長く継続したことを除いて同じ方法を用いることにより、分子量が820のポリトリメチレンエーテルグリコールを調製した。
【0148】
実施例2
この実施例は、実施例1において調製されたポリマーの潤滑性を例示するデータを提供するものである。
【0149】
表1 ポリトリメチレンエ−テルグリコ−ルの特性

【0150】
このデータから、ポリトリメチレンエーテルグリコールの潤滑性が非常に優れており、そのため、生体用潤滑剤に使用するのに非常に好適であることがわかる。これらは流動点が低く、粘度指数が高く、耐荷重性能および耐摩耗性が非常に優れている。
【0151】
実施例3
この実施例は、水溶性コポリトリメチレンエーテルグリコールの調製方法を例示するものである。
【0152】
1,3−プロパンジオール(9.35kg)、エチレングリコール(2.54kg)、および硫酸108gを22Lのガラスフラスコに装入し、次いで、窒素中、166±1℃で20時間加熱することにより、ポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールを生成させた。この反応の間、副生成物の水を窒素散気によって除去した。20時間加熱した後、脱イオン水を加え、結果として得られた水性混合物を95℃で4時間窒素中に保持した。25重量%塩化ナトリウム水溶液762gを加えた後、10分間混合した。この時間の後、撹拌を停止し、静置して混合物を相分離させた。沈降後、有機相(最上層)を塩基で滴定して、残留酸を中和するのに必要な塩基の量を測定し、次いで、水酸化カルシウムを加えた。結果として得られた混合物を70℃で1時間撹拌した。中和後、この混合物を、ロータリーエバポレーターを用いて90℃で3時間10mmHgで加熱することにより残留した水を除去し、次いで、15psigの窒素で濾過して固体を除去し、生成物である数平均分子量1000のポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールを得る。
【0153】
実施例4
この実施例は、水性ポリトリメチレンエーテルグリコールのゲル形成挙動を例示するものである。
【0154】
実施例1で調製したポリトリメチレンエーテルグリコールを脱イオン水に加えることによって室温下で水性組成物を調製した。ポリマー−水混合物を室温で混合した後、静置した。表2に示すように、幾つかの混合物はエマルジョンとなった。残りは透明で、溶液のようであった。静置して数分後、組成物(表2に示した1種以外)は流動性のない不透明なゲルに変わった。
【0155】
表2

【0156】
低分子量(Mn=510)ポリトリメチレンエーテルグリコールは10容量%であってさえも水に不溶であったが、界面活性剤の非存在下においても水中に容易に分散させることができた。しかしながら、より高い濃度(50容量%)では、ポリマーは完全に混和して水中に溶解し、均質な溶液となった。したがって、ポリトリメチレンエーテルグリコールの水溶液中における挙動は、濃度および分子量に依存する。
【0157】
実施例3a〜jの非流動性ゲル組成物を40℃に加熱すると、5分未満で元の流動性を有する流体状態に戻り、ゲル組成物が温度の影響を受けることを示している。これを室温に冷却すると、溶液は再び非流動性ゲルになる。
【0158】
比較例1
この実施例は、水性ポリエチレングリコールおよび水性ポリ(1,2−プロピレングリコール)(この2種のポリエーテルグリコールはパーソナルケア組成物に幅広く用いられている)の場合はゲル挙動に欠けることを例示するものである。
【0159】
数平均分子量が600のポリエチレングリコールを25重量%の量で脱イオン水に室温で添加した。完全に混和性の透明な溶液が得られ、室温ではゲル挙動は観察されなかった。
【0160】
数平均分子量が425であるポリ(1,2−プロピレングリコール)を25重量%の量で水に加えた。濁ったエマルジョンが得られ、混合物を、室温を超えて加熱すると濁りが増した。ゲル挙動は観察されなかった。
【0161】
数平均分子量が1000のポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールを25重量%の量の水に加えた。完全に混和性の透明な溶液が得られ、室温ではゲル挙動は観察されなかった。
【0162】
実施例5
液状ゲルの形態にある生体用生殖器潤滑剤を以下の成分から調製した:
数平均分子量が510のポリトリメチレンエーテルグリコール(実施例1)を50重量%;
ヒドロキシプロピルセルロースを1.75重量%;
1,3−プロピレングリコールを48重量%;
乳酸を0.2重量%;および
ブチル化ヒドロキシトルエン酸化防止剤を200ppm。
【0163】
上述の組成物は、生物系資源由来の成分を98重量%超含んでいた。この組成物は、低毒性かつ非刺激性であった。
【0164】
実施例6
ゲル形態の水系生体用生殖器潤滑剤を以下の成分から調製した。:
数平均分子量が820のポリトリメチレンエーテルグリコール(実施例1)を50重量%;
水を50重量%;および
ブチル化ヒドロキシトルエン酸化防止剤を200ppm。
【0165】
酸化防止剤を含むポリトリメチレンエーテルグリコールを水に加えて混合し、結果として得られた溶液を室温で静置すると、ゲルを形成した。結果として得られた、増粘剤も乳化剤も含まない水系ゲルは、べとつかず、無臭で、適用が容易であった。
【0166】
実施例7
昆虫忌避剤を含む水性ゲル組成物を以下の成分を混合することによって調製した:
ジヒドロネペタラクトン(DHN)を0.5重量%;
分子量が510のポリトリメチレンエーテルグリコール(実施例1)を50重量%;および
脱イオン水を49.5%。
【0167】
成分を混合した後、混合物を室温で静置すると、ゲル化した。
【0168】
比較例2−水中油型エマルジョン
カーボポール980およびEDTA四ナトリウムを水に加え、この混合物を150〜300rpmで10分間撹拌した。混合物を75℃に加熱した。相Bに列挙した成分を合わせて75℃に加熱した。相Bを相Aにゆっくりと加えた。合一した混合物を素早く撹拌し、70〜75℃の温度に30分間維持した。結果として得られたエマルジョンを40℃に冷却した後、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを7.0〜7.5に調整した。混合物の撹拌を継続しながら防腐剤系をゆっくりと加えた。エマルジョンを室温に冷却した。
【0169】

【0170】
実施例8
数平均分子量が1030のポリ(トリメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール5重量%を比較例2に記載したように水混合物に加えて、安定な水中油型エマルジョンを調製した。結果として得られたエマルジョンの粘度および外観は、対照と同等であった。45℃および3回の凍結/解凍サイクルを設定してガラス内で安定性試験を実施した。45℃で1ヵ月後もエマルジョンは安定なように見え、3回の凍結/解凍サイクル後もエマルジョンの安定性は許容できるものであった。
【0171】

【0172】
実施例9
以下に列挙する成分および数平均分子量が約2000のポリトリメチレンエーテルグリコールホモポリマーを用いて油中水型エマルジョンを調製した。成分を合一して70℃に加熱しながら10分間混合した後、室温に冷却した。
【0173】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基剤中に少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量含むパーソナルケア組成物であって、前記基剤が、ポリトリメチレンエーテルグリコールを、前記基剤の重量を基準として約0.1〜100重量%含む、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記基剤が、溶媒と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを前記組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%とを含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記溶媒が、主要量の水を含む、請求項2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記溶媒が、主要量の有機溶媒を含む、請求項2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
溶液である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記溶液が、ポリトリメチレンエーテルグリコールを、前記組成物を基準として約0.1〜約10重量%含む、請求項5に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用組成物、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、および皮膚洗浄用組成物からなる群から選択される、請求項5または6に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
エマルジョンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
パーソナルケア有効成分、水、およびポリトリメチレンエーテルグリコールを含む水中油型エマルジョンであり、前記ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性または水分散性である場合は、前記エマルジョンが油をさらに含む、請求項8に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを、前記組成物の重量を基準として約0.1〜約20重量%含む、請求項9に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
スキンケア製品、皮膚保湿剤、化粧料、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、薬効剤、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、およびヒゲ剃り剤組成物からなる群から選択される、請求項8または9に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
パーソナルケア有効成分、水、およびポリトリメチレンエーテルグリコールを含む油中水型エマルジョンであり、前記ポリトリメチレンエーテルグリコールが水溶性または水分散性である場合は、前記エマルジョンが油をさらに含む、請求項8に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項13】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを、前記組成物の重量を基準として約0.1〜約20重量%含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項14】
スキンケア製品、化粧料、制汗剤、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、毛髪脱色剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、および皮膚洗浄用組成物からなる群から選択される、請求項12または13に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項15】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを前記パーソナルケア組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%含む基剤中に少なくとも1種の固体パーソナルケア有効成分を有効量含む懸濁液である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項16】
ゲルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項17】
基剤中に少なくとも1種のパーソナルケア有効成分を有効量含み、前記基剤が、ゲル化剤と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを前記組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%とを含むゲルである、請求項16に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項18】
スキンケア製品、化粧料、練り歯磨き剤、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用ジェル、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、潤滑ゲル組成物、殺精子ゲル組成物、および皮膚洗浄用組成物からなる群から選択される、請求項16または17に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項19】
25℃以下において固体または半固体であり、パーソナルケア成分を有効量と、固化剤と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを前記パーソナルケア組成物の重量を基準として約0.1〜約99重量%とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項20】
棒状口紅、制汗剤/防臭剤、皮膚保湿剤、化粧料、昆虫忌避剤、サンケア製品、石鹸および他の皮膚洗浄用組成物、皮膚殺菌剤、ヒゲ剃り剤組成物、皮膚洗浄用組成物、ならびに麻酔剤からなる群から選択される、請求項19に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項21】
ゲルであって、前記ゲルの総重量を基準として、水を少なくとも約10重量%と、ポリトリメチレンエーテルグリコールを約10〜約90重量%とを含み、前記ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が約1000未満であり、前記ポリトリメチレングリコールの繰り返し単位の少なくとも90%がトリメチレンエーテル単位である、ゲル。
【請求項22】
パーソナルケア有効成分をさらに含む、請求項21に記載のゲル。
【請求項23】
ポリトリメチレンエーテルグリコール以外のゲル化剤を含まない、請求項21または22に記載のゲル。
【請求項24】
約25℃以下において非流動性である、請求項21〜23のいずれか一項に記載のゲル。
【請求項25】
約35℃以上において流動性を有する液体である、請求項21〜24のいずれか一項に記載のゲル。
【請求項26】
人間または動物の皮膚に接触すると液体になる、請求項21〜25のいずれか一項に記載のゲル。
【請求項27】
スキンケア製品、化粧料、練り歯磨き剤、防臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、麻酔剤、薬効剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、整髪用ジェル、フケ防止用組成物、育毛促進剤組成物、染毛剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪うねり矯正剤組成物、縮毛矯正剤組成物、ヒゲ剃り剤組成物、潤滑ゲル組成物、殺精子ゲル組成物、および皮膚洗浄用組成物からなる群から選択される、請求項21〜26のいずれか一項に記載のゲル。
【請求項28】
前記ポリトリメチレンエーテルグリコールが、主として生物学的に誘導されたモノマーから製造される、請求項1〜20のいずれか一項もしくはその組合せに記載のパーソナルケア組成物または請求項21〜27のいずれか一項もしくはその組合せに記載のゲル。

【公表番号】特表2009−537527(P2009−537527A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510995(P2009−510995)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/011463
【国際公開番号】WO2007/136586
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】