説明

パーソナルメディアの楽曲作品集合に基づいてカラオケ選曲予約を行えるカラオケ装置

【課題】利用者のパーソナルメディアの楽曲作品集合からカラオケ演奏を予約する。
【解決手段】楽曲ごとのカラオケデータをカラオケ楽曲IDに対応づけて集約したカラオケデータベースと、カラオケ楽曲IDと当該IDと同一楽曲の楽曲作品識別情報を対応付けした作品対照テーブルと、パーソナルメディアに収蔵された楽曲作品集合を読取可能な外部メディア読取手段を備え、読み取った楽曲作品集合に基づいて楽曲作品識別情報を表示手段に列挙表示させ、楽曲作品識別情報を特定する利用者入力と、カラオケ演奏かパーソナルメディア再生の区別の入力を受け付け、特定された楽曲作品識別情報に基づいて作品対照テーブルから該当するカラオケ楽曲IDを抽出して待ち行列に登録し、区別情報を対応付けて記憶し、待ち行列の先頭のカラオケ楽曲IDの区別情報に基づいて、カラオケデータ演奏とパーソナルメディアの楽曲作品再生を選択するカラオケ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、利用客が所有し持参する外部記憶メディアに登録されている楽曲リストを取り入れてカラオケ楽曲の演奏予約ができるカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯音楽プレーヤーを日常的に携帯して音楽を楽しむ若者が激増している。このような携帯音楽プレーヤーは、本体の内蔵メモリや着脱可能なメモリ媒体に、CDなどからmp3など低容量形式に変換して多数の楽曲作品ファイルを蓄積記憶できるだけでなく、自宅のパソコンなどを利用してインターネット経由で楽曲作品ファイルを取り込める形態のものが人気を博している。さらに、携帯音楽プレーヤーに収録された多数の楽曲作品の目次情報などを自宅のパソコンで管理できるソフトウェアも広く利用されている。たとえば非特許文献1に開示されているiTuneと呼ばれるソフトウェアがよく知られている。このソフトウェア業者が運営するインターネット上のサーバーで、市場で取引されているCDに収録されている楽曲作品やインターネットで購入可能な楽曲作品の目次情報や録音時間などを管理しており、このソフトウェアにより、利用者が所持する携帯音楽プレーヤーに市販のCDから読み込んだりインターネット経由で購入して記憶させた楽曲について、その目次情報などをインターネット経由でサーバーから取り寄せて記憶・管理できる。
【非特許文献1】アップルジャパン株式会社「iPod+iTunes」、[online]、[平成19年8月29日検索]、インターネット<URL:http://www.apple.com/jp/itunes/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カラオケ装置は、リモコン装置などのユーザインタフェースを介して受け付けた予約楽曲の楽曲IDを演奏処理の待ち行列に登録し、待ち行列から順番に楽曲IDを取り出してその楽曲を次々と演奏する。
【0004】
利用者が、自分の歌いたい楽曲を目次本を使ってあれこれ検索して予約する操作は、カラオケの際の楽しみの一つにもなっている反面、いつもお決まりの楽曲を予約する利用者が多いので、毎回いちいち検索しながら選曲するのは面倒でもある。そのような面倒を解消するために、あらかじめ個人別の曲目リストを作っておいて予約時に利用できる選曲装置などもよく知られている(特許第3595292号公報参照)。
【0005】
本出願人は、音楽好きな若者の多くが、常日頃から携帯音楽プレーヤーを持ち歩いて利用していることに着目し、携帯音楽プレーヤーに記憶されている楽曲作品のリストをカラオケ予約リストにそのまま取り込むことができれば、好きな曲を簡単にカラオケで歌唱できるので、さらに便利で楽しくなると考え、本発明を創作した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るカラオケ装置は、つぎの事項(1)〜(10)により特定されるものである。
(1)カラオケデータベースと、作品対照テーブルと、外部メディア読取手段と、演奏手段と、再生手段と、制御手段と、表示手段と、利用者入力手段を備えたカラオケ装置であること
(2)カラオケデータベースは、楽曲ごとのカラオケデータをカラオケ楽曲IDに対応づけて集約すること
(3)作品対照テーブルは、カラオケ楽曲IDと、当該IDと同一楽曲の楽曲作品識別情報を対応付けすること
(4)外部メディア読取手段は、利用者のパーソナルメディアが着脱自在であり、パーソナルメディアに収蔵された楽曲作品集合を読取可能であること
(5)演奏手段は、カラオケデータに従ってカラオケ楽曲を演奏可能であること
(6)再生手段は、パーソナルメディアの楽曲作品を再生可能であること
(7)制御手段は、第1〜第4処理を可能とすること
(8)第1処理は、パーソナルメディアから楽曲作品集合を読取り、当該楽曲作品集合に基づいて楽曲作品識別情報を表示手段に列挙表示させるとともに楽曲作品識別情報を特定する利用者入力と、カラオケ演奏かパーソナルメディア再生の区別の入力を受け付けること
(9)第2処理は、第1処理にて特定された楽曲作品識別情報に基づいて作品対照テーブルから当該楽曲作品識別情報に該当するカラオケ楽曲IDを抽出して待ち行列に登録するとともに、第1処理で受け付けた区別情報を当該楽曲IDに対応付けて記憶すること
(10)第3処理は、待ち行列の先頭のカラオケ楽曲IDにパーソナルメディア再生の区別情報が対応付けされていない場合、当該カラオケ楽曲IDに従って該当のカラオケデータを演奏手段に演奏させること
(11)第4処理は、待ち行列の先頭のカラオケ楽曲IDにパーソナルメディア再生の区別情報が対応付けされている場合、当該カラオケ楽曲IDに該当するパーソナルメディアの楽曲作品を再生手段に再生させること
【発明の効果】
【0007】
本発明のカラオケ装置によれば、多くの音楽好きな若者が日常的に所持する携帯音楽プレーヤーの楽曲作品リストをそのままカラオケの演奏予約曲リストに取り込むことができる。そのため、カラオケの操作性が向上する。音楽は好きでもカラオケで歌うことが少ない利用客に対しても、簡単かつ気軽にカラオケで歌う機会を作ることができるので、カラオケ利用者層が拡大する効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
===カラオケ装置の基本構成===
図1に本実施例におけるカラオケ装置の構成を例示した。本実施例のカラオケ装置は、周知の通信カラオケシステムの一部であり、複数の客室120を備えたカラオケ店舗において、同室内にあるカラオケ演奏端末(以下、演奏端末10)と、当該演奏端末を操作するための客室端末20とで構成される。カラオケ店舗にはLAN110が敷設され、このLAN110を介して各客室の演奏端末10と同室内の客室端末20とが通信する。
【0009】
客室端末20は、タッチパネルを主要なユーザインタフェースとしたタブレットコンピュータと同様のハードウェア構成であり、所定規格の無線LANインタフェースを実装する。内蔵する外部記憶に、演奏予約などの操作対象となる同室内の演奏端末10の所在情報(IPアドレスなど)を記憶しており、無線アクセスポイント40を介してLAN110に接続し、演奏端末10と通信する。また、インストールされているプログラムの実行によりGUIを通じて利用者と対話し、楽曲の演奏予約など、演奏端末10を操作するためのリモコン装置として機能する。
【0010】
===演奏端末10の基本構成と通常演奏機能===
演奏端末10は、汎用パソコンの応用装置である。図2にそのブロック構成を例示した。中央制御部11は周辺構成部を制御して演奏端末10を統括する。ハードディスク装置12には、メインコンピュータのプログラムのほか、伴奏音楽や歌詞画像の起源となるカラオケデータを楽曲IDに対応付けして記憶している。
【0011】
客室端末20の外部記憶には、演奏端末10にて演奏可能なカラオケ楽曲について、曲名・アーティスト名・楽曲ジャンルなどの目次情報を、楽曲IDに対応付けして集約した楽曲索引データベースが記憶されている。客室端末20は、タッチパネルを介した利用者との対話を通じて、利用者の希望する楽曲の目次情報を楽曲索引データベースから検索して提示する。そして、客室端末20において最終的に1曲に特定されたカラオケ楽曲を演奏予約する旨の利用者の指示入力がなされると、その楽曲の楽曲IDを含む演奏予約電文を同室内の演奏端末10に転送する。
【0012】
演奏端末10の中央制御部11は、客室端末20から送信されてきた楽曲IDを受け付けたり、操作/表示パネル13に入力された楽曲IDを受け付けたりすると、その楽曲IDを受け取った順にRAMなどに格納し、その受付順に格納された楽曲IDを演奏処理の待ち行列として管理する。そして、待ち行列から登録順に楽曲IDを取り出して、その楽曲IDに該当するカラオケデータを取り出す。待ち行列の先頭から楽曲IDを取り出すと、その楽曲IDの次に受け付けた楽曲IDが待ち行列の先頭になる。
【0013】
中央制御部11の制御により、取り出されたカラオケデータに基づいて、演奏処理部15が伴奏音楽の音楽信号を生成し、マイクロホンに入力された歌声信号とミキシングアンプ16で混合・増幅してスピーカより音響出力する。また、映像処理部17が、背景映像に演奏の進行に同期して色変わりする歌詞字幕をスーパーインポーズ処理してディスプレイ18に映像出力する。
【0014】
===楽曲作品リストと作品対照テーブル===
本実施例の演奏端末10は、外部メディア読み取り装置19が備わり、これにmp3などの所定形式の楽曲作品を収録する携帯音楽プレーヤーや記憶媒体(パーソナルメディア)を接続することにより、そのメモリ内容を読み取ることができる。この外部メディア読み取り装置19で読み取り可能な利用者所有のメディアには、収録されている複数の楽曲作品について、楽曲作品識別情報に対応付けられて、楽曲名やアーティスト名、演奏時間などの作品目次情報と、楽曲作品データが含まれている。
【0015】
そして、利用者が持参のプレーヤーを外部メディア読取装置19に接続することにより、演奏端末10は、楽曲作品データを読み取って、その楽曲作品データを中央制御部11の制御により演奏処理部15が再生してスピーカに出力することが可能である。
【0016】
また、ディスプレイ18には、収録されている楽曲作品の曲名やアーティスト名、録音時間などの作品目次情報が楽曲識別情報とともに一覧的に表示される。客室端末20が演奏端末10と通信することにより、この楽曲作品リストをタッチパネルにも表示可能である。
【0017】
演奏端末10は、作品対照テーブルをハードディスク装置12に格納して管理している。作品対照テーブルは、図3にそのデータ論理構成を例示しているように、カラオケで演奏可能な楽曲の楽曲IDと、外部メディア読取り装19で読取り可能な楽曲作品の楽曲作品識別情報との対応付けを記述したものである。この作品対照テーブルは、カラオケ事業者により作成され、カラオケデータ配信時などに演奏端末10に配信されている。また、客室端末20においても、演奏端末10と適時にデータ通信して、演奏端末10と同様の作品対照テーブルを格納し管理している。
【0018】
===楽曲作品演奏予約機能===
本実施例に係るカラオケ装置は、利用者が持参の携帯音楽プレーヤーを演奏端末10の外部メディア読取装置19に接続して、ディスプレイ18や客室端末20のタッチパネルに一覧表示された楽曲作品の中から選択指定した曲をカラオケで演奏予約させる機能を備えている。
【0019】
図4に本実施例にかかる楽曲作品演奏予約機能に関わる処理フローを例示している。本実施例においては、この処理に関するユーザインタフェース環境を、客室端末20のタッチパネルに構成している。先述したように、利用者が外部メディア読取り装置19に所持する携帯音楽プレーヤーを接続すると、そのメモリ内に収録されている楽曲作品について、その一覧が表示される(s1〜s2)。外部メディア読取り装置19で読み取った楽曲作品の一覧表示の中から、利用者が所定の操作により楽曲を選択指定すると(s3)、客室端末20は該当曲の識別情報を作品対照テーブルと対比させ、対応する楽曲IDを抽出し(s4)、当該楽曲IDを含む予約電文を生成して演奏端末10に転送する(s8)。演奏端末10は、その楽曲IDを演奏予約の待ち行列に登録する(s9)。
【0020】
利用者が楽曲を選択指定する際には、その楽曲をカラオケ演奏させるか、楽曲作品データをそのまま再生させるか、いずれかを選択できるユーザインタフェース環境になっている(s5)。そして、利用者が楽曲作品データの再生を選択した場合には(s5→s6)、予約電文にその旨が含められて演奏端末10に転送される(s6)。その場合には、待ち行列には楽曲IDに楽曲作品再生フラグが付加されて登録される(s7)。
【0021】
演奏端末10の中央制御部11は、通常演奏の際と同様に、待ち行列から順に登録されている楽曲IDを取り出す。取り出した楽曲IDに楽曲作品再生フラグが付加されていた場合には、カラオケデータを取り寄せて演奏処理部15に転送する通常演奏処理を行なうかわりに、作品対照テーブルを参照するとともに外部メディア読取り装置19にアクセスし、楽曲IDに対応する楽曲作品データを取り出して、演奏処理部15に転送して再生させる。
なお、言うまでもないことではあるが、待ち行列から取り出した楽曲IDに楽曲作品再生フラグが付加されていない場合は、該当のカラオケデータを取り出して演奏処理部15に引き渡す通常演奏処理を行なう。
【0022】
===他の実施形態===
外部メディア読取り装置19から読み取った楽曲作品リストの中から、利用者の選択指定(s3)によることなく、演奏端末10の制御部11によりランダムに、あるいは収録の新しい順や再生履歴の新しい順に、所定数曲を選択して演奏端末10の待ち行列に登録する構成にもできる。
【0023】
作品対照テーブルに、楽曲作品リスト中の楽曲作品識別情報に対応する楽曲IDが存在しない場合には、たとえば仮の楽曲IDをふり出して演奏端末10で識別するとともに、作品再生フラグを付加するようにしてもよい。
【0024】
外部メディア読取り装置19から楽曲作品データを読み出すタイミングは、待ち行列に楽曲作品再生フラグが付加された楽曲IDが登録されるタイミング(s7)にて、RAMなどに一時記憶させておいてもよい。利用者は待ち行列の順番を待たずに、その時点で携帯音楽プレーヤーを外部メディア読取り装置19から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施例に係るカラオケ装置の構成を例示している。
【図2】本実施例に係る演奏端末のハードウェア構成を例示している。
【図3】本実施例に係る作品対照テーブルのデータ論理構成を例示している。
【図4】本実施例に係る楽曲作品演奏予約の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0026】
10 演奏端末
11 中央制御部
20 客室端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケデータベースと、作品対照テーブルと、外部メディア読取手段と、演奏手段と、再生手段と、制御手段と、表示手段と、利用者入力手段を備えたカラオケ装置であって、
カラオケデータベースは、楽曲ごとのカラオケデータをカラオケ楽曲IDに対応づけて集約し、
作品対照テーブルは、カラオケ楽曲IDと、当該IDと同一楽曲の楽曲作品識別情報を対応付けし、
外部メディア読取手段は、利用者のパーソナルメディアが着脱自在であり、パーソナルメディアに収蔵された楽曲作品集合を読取可能であり、
演奏手段は、カラオケデータに従ってカラオケ楽曲を演奏可能であり、
再生手段は、パーソナルメディアの楽曲作品を再生可能であり、
制御手段は、第1〜第4処理を可能とし、
第1処理は、パーソナルメディアから楽曲作品集合を読取り、当該楽曲作品集合に基づいて楽曲作品識別情報を表示手段に列挙表示させるとともに楽曲作品識別情報を特定する利用者入力と、カラオケ演奏かパーソナルメディア再生の区別の入力を受け付け、
第2処理は、第1処理にて特定された楽曲作品識別情報に基づいて作品対照テーブルから当該楽曲作品識別情報に該当するカラオケ楽曲IDを抽出して待ち行列に登録するとともに、第1処理で受け付けた区別情報を当該楽曲IDに対応付けて記憶し、
第3処理は、待ち行列の先頭のカラオケ楽曲IDにパーソナルメディア再生の区別情報が対応付けされていない場合、当該カラオケ楽曲IDに従って該当のカラオケデータを演奏手段に演奏させ、
第4処理は、待ち行列の先頭のカラオケ楽曲IDにパーソナルメディア再生の区別情報が対応付けされている場合、当該カラオケ楽曲IDに該当するパーソナルメディアの楽曲作品を再生手段に再生させる
カラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−86230(P2009−86230A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255069(P2007−255069)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】