説明

パーティクルボード

【課題】 従来のパーティクルボードと同様の機械的強度を備えながら、高い表面性状を持つパーティクルボードを得る。化粧貼り用の接着剤として水溶性の樹脂を用いても、平らな化粧面を備えた化粧貼り加工パーティクルボードが得られる。また、資源の再利用にも貢献できるパーティクルボードを得る。
【解決手段】 内層と表層を備えるパーティクルボードにおいて、少なくとも表層用のチップは、100メッシュパスの木粉ダスト100〜5重量%と、6メッシュパスの古材チップ0〜95重量%を含む構成のものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーティクルボードに関し、特に、機械的強度を維持しながら表面性状を向上させることのできるパーティクルボードに関する。
【背景技術】
【0002】
木材その他の植物繊維質のチップ(パーティクル)に合成樹脂接着剤を塗布して、人工的に成板した板状製品はパーティクルボードとして知られている。一般的に、パーティクルボードは表面精度が比較的粗いことから、機械的強度を保持しながら緻密な表面性状を得るための改良がなされてきている。例えば、特許文献1には、内層と表層との多層構造とし、表層用として細かいチップを用いることにより表層の緻密性を確保し、内層用としても100メッシュ未満のきわめて細かいチップを所要範囲で分布させたチップを用いることで機械的強度を確保するようにしたパーティクルボードが提案されている。特許文献2(特開昭60−165205号公報)には、内層の上に表層を積層するに際して、表層用木材チップを送風により分級しながら積層することによって、表層の表面側により細かい径のチップを積層させることで、表面性状を改善するようにしたパーティクルボードの製造方法が提案されている。
【特許文献1】特開平06−166011号公報
【特許文献2】特開昭60−165205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、これまでパーティクルボードについて多くの改良技術が提案され、高い実用性を持つようになり、多くの分野で使用されている。実使用において、パーティクルボードの60%以上は、化粧貼り加工をされて製品となっているが、化粧貼り加工に用いられる接着剤として水性樹脂が主に使用されるようになった現在、新たな課題、すなわち、表面チップが接着剤の溶剤である水分を吸収して膨張し、結果として、化粧表面にダク(ふくれ)が出現して板面荒れを起こすという課題が生じてきている。
【0004】
また、自然保護等の観点から木材資源の再利用が要請されており、それに答え得ることもパーティクルボードの製造において緊要の課題となってきている。
【0005】
特許文献1に記載のパーティクルボードの製造方法においても、表層用として100メッシュ未満の木材チップを所要重量%分布させたものを使用するようにしているが、これでも粒度分布は不十分であり、特に、化粧貼り用の接着剤として水性樹脂を用いる場合に、前記のようなダクが出現するのを完全に回避することはできない。また、資源の再利用については考慮がなされていない。特許文献2に記載のものでは、一例として、100メッシュパスの木粉を含む原料を表層チップとして使用するようにしているが、ここでも、資源の再利用については特に配慮がなされていない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、機械的強度を損なうことなく、表面の耐水性を大きく改善して、化粧貼り用の接着剤として水性樹脂を用いる場合でも、表面荒れをなくすことができ、かつ、資源の再利用にも十分に寄与することのできるパーティクルボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるパーティクルボードは、内層と表層を備えるパーティクルボードであって、少なくとも表層用のチップは、100メッシュパスの木粉ダスト100〜5重量%と、6メッシュパスの古材チップ0〜95重量%を含む構成であることを特徴とする。なお、内層を構成するチップに特に制限はなく、従来知られたパーティクルボードと同様の木材チップを使用すればよい。
【0008】
後の実施例に示すように、表層用のチップとして、100メッシュパス(およそ直径0.1mm)の木粉ダストを100〜5重量%含むものを用いることにより、このような超微小な木粉ダストを含まないチップを用いたものと比較して、表面性状は大きく改善される。そのために、化粧貼り用の接着剤として水性樹脂を用いる場合でも、表面チップが水分を吸収して膨張することはなく、得られる化粧貼りされたパーティクルボードの表面は凹凸の少ない平坦なものとなる。100メッシュパスの木粉ダストが100重量%未満の場合には、残りのチップとして6メッシュパス(およそ直径3mm)の古材チップを混入するが、その場合でも、表面粗さは依然として大きく改善される。
【0009】
残分である古材チップとしては、木質解体材や木材加工処理後の廃材をフレーキングした木材チップ、あるいは使用済みのパーティクルボードを粉砕して得たリサイクル品等を挙げることができる。その場合、古材チップの混合割合を、5〜10重量%は既存のパーティクルボードのリサイクル品であるチップとし、95〜90%は廃材からのチップとすることが望ましい。それにより、資源の有効活用と同時に、製造コストの低減を図ることができる。
【0010】
本発明において、表層チップでの100メッシュパスの木粉ダストの割合が5重量%未満の場合には十分な表面性状が得られず、化粧貼り用接着剤として水性樹脂を使用したときに、化粧紙の表面にダクが部分的に出現する。また、残分として混入する古材チップが6メッシュ未満である場合には、チップ同士の隙間による凹凸が化粧紙の表面に出現するので好ましくない。
【0011】
本発明において、木粉ダストとしては、木材あるいは木質材を加工するときの、ソーダストやチップダスト等を利用することができ、それをフルイ分級することによって、100メッシュパスの木粉ダストを容易に入手することができる。
【0012】
本発明において、パーティクルボードの製造方法は、上記のような表層チップを用いることの除き、従来のパーティクルボードの製造方法と実質的に同じであってよい。接着剤も同様であり、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、水溶性イソシアレート樹脂等を適宜用いることができる。例えば、3層構成のパーティクルボードの場合には、木材チップを接着剤とともに混合した表層材チップと内層チップとを調整し、それを、フォーミングベルトの上に、表層チップ、内層チップ、表層チップの順に積層する。そして、定法により、それを熱圧プレスする。
【0013】
得られたパーティクルボードの表面に、例えば酢酸ビニル系樹脂のような水性樹脂を60〜80g/m程度で塗布し、化粧ポリオレフィン系樹脂シート、薄紙化粧紙または化粧突板のような化粧シートを貼り付けて化粧貼り製品としても、貼り付けた化粧シートの表面にはダクの出現はなく、平らな化粧面を備えた化粧貼り加工パーティクルボードが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のパーティクルボードと同様の機械的強度と高い表面性状を備えたパーティクルボードを得ることができる。そのために、化粧貼り用の接着剤として水溶性の樹脂を用いても、平らな化粧面を備えた化粧貼り加工パーティクルボードとすることができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明が以下の実施例に限られないことは当然である。
【0016】
[実施例1、2]
表層チップのために、木質解体材をフレーキングしたものを6メッシュふるいで分級した6メッシュパスの古材チップA、使用済みのパーティクルボードをフレーキングしたものを6メッシュふるいで分級した6メッシュパスの古材チップB、および、木質解体材からのソーダストを100メッシュふるいで分級した100メッシュパスの木粉ダストを、それぞれ用意した。また、内層チップとして、木質解体材等の廃材をフレークしてできた6〜16メッシュパスの粗い木材チップCを用意した。
【0017】
それらを表1に実施例1、2として示すような割合として、内層チップと表層チップを調整し、表2に示す添加割合の接着剤を混合したものを、フォーミングマットの上に、表層、内層、表層の順で3層に積層した。積層厚みは15mmとした。内層チップおよび表層チップのウエット含水率は表1に示すようにした。その後、熱圧プレスして実施例1、2のパーティクルボードを得た。なお、圧力は9〜11kgf/cm,温度は165〜170℃で行い、プレスタイムは6分とした。
【0018】
[比較例1]
表層チップとして古材チップAが100%のものを用いた以外は、実施例1、2と同様にしてパーティクルボードを得た。なお、内層チップおよび表層チップのウエット含水率は表1に示すようにした。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
[性能試験]
実施例1、2と比較例1について、接着剤として酢酸ビニル系の熱可塑性合成樹脂エマルジョンを用いて化粧紙(秤量30g/mの薄紙)を貼り付けて、化粧貼りパーティクルボードとした。それぞれについて密度を測定し、かつ、JISA5908に準じて性能試験を行った。また、表面凹凸と環境試験後表面凹凸を測定した。その結果を表3示す。
【0022】
【表3】

【0023】
なお、表面凹凸については、表面粗さ計で測定長15mmを測定し、凹凸の大きいものから5点を選び、その値を平均した値である。また、環境試験は、温度50℃、湿度90%の恒温恒湿槽内に3日間保存した後に、同じようにした表面凹凸を測定した値である。
【0024】
[評価]
表3に示すように、実施例1、2のものは、比較例1と比較して、機械的な強度がほぼ同等でありながら、表面性状が大きく改善されていることがわかり、本発明の有用性が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と表層を備えるパーティクルボードであり、少なくとも表層用のチップは、100メッシュパスの木粉ダスト100〜5重量%と、6メッシュパスの古材チップ0〜95重量%を含む構成であることを特徴とするパーティクルボード。
【請求項2】
古材チップを含む場合、5〜10重量%は既存のパーティクルボードのリサイクル品であり、95〜90%は廃材からのものであることを特徴とする請求項1に記載のパーティクルボード。

【公開番号】特開2006−116855(P2006−116855A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308146(P2004−308146)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】