説明

パーティクル汚染事象予測装置、パーティクル汚染事象予測方法、及び、パーティクル汚染事象予測プログラム

【課題】確率分布を用いたパーティクル汚染の予測に用いることができるパーティクル汚染事象予測装置、パーティクル汚染事象予測方法、及び、パーティクル汚染事象予測プログラムを提供する。
【解決手段】ポアソン分布と処理室10のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室10で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置又は液晶製造装置等の製造装置の処理室で発生するパーティクル汚染の時期の予測に用いることができるパーティクル汚染事象予測装置、パーティクル汚染事象予測方法、及び、パーティクル汚染事象予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1には、処理用ガスを用いて処理する工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記処理用ガスによる処理室内への付着物の表面状況を、光学的手段で計測した計測値と、設定した閾値とを比べて評価することを特徴とする半導体装置の製造方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、半導体装置の周期的な構造に生じる周期の乱れを画像比較によって検出する欠陥検査方法において、検査中に欠陥の分布の統計処理を行ない、予想される分布形式から外れた場合に応じて検査領域を制限することを特徴とする半導体装置の欠陥検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−129020号公報
【特許文献2】特開2001−174419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の半導体装置の製造方法は、確率分布を用いてパーティクル汚染を予測するものではなかった。特許文献2記載の半導体装置の欠陥検査方法では統計処理を行うが、この方法は、あくまで、欠陥検査の方法であり、確率分布を用いてパーティクル汚染を予測するものではなかった。
【0006】
確率分布を用いてパーティクル汚染の時期を予測できれば、予測の方法自体の信頼性が高くなる。
【0007】
本発明の目的は、確率分布を用いたパーティクル汚染の予測に用いることができるパーティクル汚染事象予測装置、パーティクル汚染事象予測方法、及び、パーティクル汚染事象予測プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点に係るパーティクル汚染事象予測装置は、
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定手段を備えることを特徴とする。
【0009】
前記パーティクル汚染事象は、複数の単位時間からなる期間における事象であり、前記期間のうちの少なくとも一の単位時間が前記閾値以上の事象であってもよい。
【0010】
前記時期特定手段は、前記パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にある場合、前記ポアソン分布の性質を用いて前記時期を特定してもよい。
【0011】
前記時期特定手段は、前記パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にある場合、前記ポアソン分布の性質を用いて前記時期を特定し、前記パーティクル汚染事象分布の過程が前記ポアソン過程にない場合、前記ポアソン分布と前記処理室における新たな前記パーティクル汚染事象分布とを比較してもよい。
【0012】
パーティクル汚染事象予測装置は、前記時期特定手段が特定した時期をもとに、前記処理室での処理工程を変更させる変更命令を出す変更命令手段をさらに備えてもよい。
【0013】
また、本発明の第二の観点に係るパーティクル汚染事象予測方法は、
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定ステップを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第三の観点に係るパーティクル汚染事象予測プログラムは、
パーティクル汚染事象予測方法をコンピュータに実行させるパーティクル汚染事象予測プログラムであって、
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、確率分布を用いたパーティクル汚染の予測に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】処理室の稼働時間と単位時間との関係の例を示す図である。
【図2】ポアソン分布の例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測処理のフローを示す図である。
【図5】(a)は、時間情報と対応付けた処理状況及び計測値の関係の一例を示す図である。(b)は、(a)に示す情報から生成した時系列データの一例を示す図である。
【図6】エッチャーチャンバー内のパーティクルを、パーティクルカウンターを用いて実際に計測した計測値を用いて生成した時系列データである。
【図7】本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で下記の実施形態及び図面に変更を加えることが出来るのはもちろんである。
【0018】
パーティクル汚染事象は、処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上の事象である。このような事象のときに処理室内でパーティクルによる汚染が生じる可能性が高い。閾値は適宜決定することが出来る。処理室のパーティクル量は、全て計測しなくてもよく、一部を計測しても良い。パーティクル量の一部を計測しても、計測した量が予め設定した閾値が閾値以上であれば、全体のパーティクル量が多くなっていると見なせるからである。処理室内のパーティクル量は適宜の方法で計測が可能である。計測方法により、計測できるパーティクルの量は変化するので、閾値の値も変化する。
【0019】
処理室とは、例えば、半導体装置又は液晶製造装置に設けられた処理室である。処理室のさらなる具体的な例は、CVD(Chemical Vapor Deposition)反応室又はエッチング処理室(エッチャーチャンバー)である。処理室では、処理対象物にCVD又はドライエッチング等の処理を行う。この処理は繰り返し行われる。そして、繰り返し行われる処理中にパーティクルが発生する。処理室で発生したパーティクルは、処理対象物等に悪影響を及ぼす(パーティクル汚染)。
【0020】
発生したパーティクルの量が多いほど、パーティクル汚染が発生する可能性が高い。このため、計測したパーティクル量が閾値以上である場合には、パーティクル汚染が発生する可能性が高い。パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす(例えば、所定基準以上の)時期はパーティクル量が多くなる可能性が高い時期であり、この時期にパーティクル汚染が発生する確率が高くなると考えることが出来る。このため、パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす時期を特定することにより、この特定した時期をパーティクル汚染が発生するであろう時期であると予測できる。この特定した時期をパーティクル汚染の時期と予測すれば、パーティクル汚染の予測をしたことになる。このため、後述のように、パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす時期を、確率分布(すなわち、ポアソン分布)を用いて特定する本発明は、確率分布を用いたパーティクル汚染の予測に用いることができることになる。
【0021】
図1と図2とを用いて本願発明者が見出したパーティクル汚染事象分布とポアソン分布との関係、及び、この関係を用いたパーティクル汚染事象予測方法の例を説明する。図1は処理室の稼働時間と単位時間との関係の例を示す図である。図2はポアソン分布の例を示す図である。処理室の稼働時間とは、処理室で処理が行われる時間である。
【0022】
図1のように、処理室の稼働時間をN個の単位時間τで区切る。N個の単位時間τからなる処理室の全稼働時間はNτ時間になる。1個の単位区間を1回のコイントスとみなす。コイントスの表をパーティクル汚染事象に対応させ、コイントスの裏をパーティクル汚染事象ではない事象(上記閾値未満の事象)に対応させる。
【0023】
単位時間当たりのパーティクル汚染事象が生じる確率を「p」、単位時間当たりのパーティクル汚染事象が生じない確率を「q」と置くと、p+q=1である。
【0024】
Nτ時間中にx回パーティクル汚染事象が生じる確率P(x)は、2項分布から下記の数式1で求められる。
【数1】

【0025】
また、Nτ時間におけるパーティクル汚染事象の平均発生回数μは、μ=Npである。また、今処理室内では良い状態で処理が行われており、パーティクル汚染事象は滅多に起こらないとすると、μ=Npを一定にして、N→∞、p→0の極限を考えると、P(x)はポアソン分布である下記の数式2となる。
【数2】

【0026】
上記を原則として、パーティクル汚染事象予測方法を説明すると、まず、Nτ時間内のパーティクル汚染事象の発生を数値化したxに関するデータを収集する。このデータは、Nτ時間のxをM回観測して得られるデータであり、下記の数式3により表すことが出来る。このデータは、パーティクル汚染事象を特定した分布の一例であり、パーティクル汚染事象分布の一例である。本実施形態では、統計誤差を減少させるために、Nτの期間内のパーティクルの発生に関する事象を、M回観測する。特に本実施形態では、Nτの期間について、連続してM回観測する。なお、理想的にはN→∞、M→∞の極限を考える。
【数3】

【0027】
は、M個ある小期間(Nτ)のうちのパーティクル汚染事象が発生した小期間を特定できる値である。例えば、ある小期間のうちの一以上の単位時間τの間で測定したパーティクル量が閾値を超える場合、この単位時間τを含む小期間に対応するxの値は、1となる。このような観測をM回繰り返すと、x(i=1・・・M)が得られる。例えば、閾値が5で、N=5、M=3のときに、τ時間毎に観測される観測値が(0,3,5,2,6,0,0,1,2,1,7,4,5,6,0)である場合、x=(1,0,1)となる。つまり、この場合、x個(3個)ある小期間のうちの二つの小期間において、測定値が閾値を超えたことになる。ここでは、x=1となる小期間における事象が、パーティクル汚染事象となる。なお、Nは、1よりも大きく、1よりも充分に大きいことが望ましい。
【0028】
上記のように、パーティクル汚染事象は、例えば、一以上の単位時間からなる小期間における事象であり、小期間のうちの少なくとも一の単位時間が閾値を超える事象である。
【0029】
パーティクル汚染事象分布は、例えば、時系列に沿って計測した処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値から得ることが出来る。このとき、単位時間τ、N、M、及び閾値等の初期条件を決定し、この初期条件に従って前記計測値からパーティクル汚染事象分布を生成する。この計測値は、例えば、処理室から排気される雰囲気中のパーティクル量を計測して得られる。雰囲気は、例えば、処理室で使用された反応ガス又は不活性ガス等である。パーティクル汚染事象分布は、他の方法により導き出しても良い。
【0030】
このデータから、平均発生回数μと分散σとを求めることが出来る。平均発生回数μは下記の数式4で与えられ、分散σは下記の数式5で与えられる。
【数4】

【数5】

【0031】
ポアソン分布では、μ=σとなるので、両者の値の差が所定範囲内にあるか、すなわち近似(イコールの場合も含む。)するかで、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にあるか判断できる。近似すれば、パーティクル汚染事象分布がポアソン分布にあるといえる。
【0032】
また、ポアソン分布にない場合には、上記初期条件を変更し(なお、上記計測値はそのまま)、変更した新たな初期条件に従ってパーティクル汚染事象分布を導出し、導出したパーティクル汚染事象分布とポアソン分布とを比較する。そして、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にあるといえるまで、上記初期条件を変更した新たなパーティクル汚染事象分布とポアソン分布を比較する。このように、初期条件を変更した新たなパーティクル汚染事象分布とポアソン分布を比較することにより、パーティクル汚染事象分布とポアソン分布とを比較するのに適した初期条件を決定することが出来る。なお、複数の半導体製造装置等で上記初期条件を共有することもできる。初期条件の共有により、適した初期条件の決定が容易になる。
【0033】
パーティクル汚染事象分布がポアソン分布にある場合は、μ=Np及びp=1−qから、p及びqを求めることが出来る。パーティクル汚染事象分布がポアソン分布にある場合とは、例えば、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にある場合である。
【0034】
Tτ時間内にパーティクル汚染事象が発生しない確率をq(第二の閾値)とおくと、q=qである。この式から、Tを求めることが出来る。下記の数式6は、Tを求める式である。数式6で求めた値を超えるTτがパーティクル汚染事象の発生する確率の高い時期である。Tτは、パーティクル汚染事象が発生したときを始期とする時間である。
【数6】

【0035】
数式6を用いなくてもq≦qとなるようなTを求めることもできる。また、pを基準として、Tを求めても良い。また、p+q=1が成り立つので、qの代わりにpを用いてTの算出、つまり、パーティクル汚染事象の発生する確率の高い時期を特定してもよい。
【0036】
上記で求めたTの数値から、Tτ時間後のパーティクル汚染事象が発生しない確率がq以下になっていくので、Tτ時間後にパーティクル汚染事象が生じる可能性が高くなることがわかり、パーティクル汚染を予測できることになる。このようにして、パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を予測することが出来る。Tτ時間の始期は、例えば、測定したパーティクル量が閾値を超えた最後の単位時間τに対応するXτの時刻を開始時点とする。ここで、Xは、例えば、ポアソン分布の始期からいくつのτ時間が経過したかを特定する値である。つまり、X番目の単位時間τが、測定したパーティクル量が閾値以上の最後の単位時間τになる。このような予測により、クリーニングを効率化出来る。
【0037】
予測した時期に処理室内での処理工程を変更する。例えば、処理室で行う処理を休止するか、処理室内をクリーニングするか、ダミーの材料を用いて前記処理室での処理を続行させる。休止する期間やダミー材料を用いた処理の続行期間は、例えば、τ時間又はNτ時間とする。このようにして、パーティクル汚染を回避することが出来る。クリーニング以外の処理を処理室の稼働と捉え、計測部での計測を続行してもよく、計測値を、パーティクル汚染事象分布を導出する際の材料としてもよい。
【0038】
上記のように、予測した時期に処理室での処理を変更すれば、定期的に行っていたクリーニングを行わずにすむので、全体的にクリーニングの回数を減らすことが出来る。また、処理室で処理した製品(ウェハ等)の歩留まり向上にも寄与する。特に、上記処理を休止すると、クリーニングを省略するか、クリーニングの回数を減らすことが出来る。また、処理室をクリーニングすると、クリーニングの時期を不定期に出来る。また、ダミーの材料を用いて処理室での処理を続行させると、このダミーにパーティクルが付着するので、クリーニングを省略するか、クリーニングの回数を減らすことが出来る。また、ダミーの材料を用いて処理室での処理を続行させると、パーティクル量を計測できるので、より多くの計測値を用いたパーティクル汚染事象分布を導出できる。
【0039】
なお、このような処理工程の変更は、費用対効果を考えて、行わなくても良い。例えば、処理工程の変更により、処理室のクリーニングを行う場合には、クリーニングのコストとパーティクル汚染された汚染物との費用対効果を考え、クリーニングのコストが、汚染物の除去よりも低ければ、前記の処理工程の変更を行わない場合もある。
【0040】
上述の例のように、本願発明者は、パーティクル汚染事象をコイントス等の離散的な事象にあてはめ、さらに、パーティクル汚染事象は滅多に起こらないことに着目することにより、パーティクル汚染事象分布がポアソン分布になることを見出した。そして、本願発明者は、ポアソン分布の性質を用いることにより、パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす(例えば、所定基準以上の)時期を予測することが出来ることを見出した。
【0041】
本実施形態のように、ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定することにより、確率分布であるポアソン分布を用いてパーティクル汚染の時期を予測できる(例えば、上記の例を参照)。
【0042】
以上を踏まえ、本実施形態に係るパーティクル汚染事象予測装置、パーティクル汚染事象予測方法及びパーティクル汚染事象予測プログラムをより具体的に説明する。パーティクル汚染事象予測装置は、下記の処理すなわち、パーティクル汚染事象予測方法を行う。この予測方法は、他の装置等によっても行うことが可能である。
【0043】
図3は、本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測装置のブロック図である。パーティクル汚染事象予測装置100は、例えば半導体製造装置である。パーティクル汚染事象予測装置100は、従来の半導体製造装置とは別個に形成して半導体製造装置に接続してもよい。また、パーティクル汚染事象予測装置100は、液晶製造装置等であってもよい。パーティクル汚染事象予測装置100が行う処理は、複数の装置により分散処理してもよい。この場合、この複数の装置全体でパーティクル汚染事象予測装置100となる。また、パーティクル汚染事象予測装置100の備える記憶部の少なくとも一部を外部の装置(例えばサーバ)の記憶部としてもよい。
【0044】
パーティクル汚染事象予測装置100は、処理室10と、計測部20と、排気部30と、分布導出部40と、時期特定部50と、出力部60と、入力部70と、表示部80と、を備える。
【0045】
分布導出部40は、処理室制御部41と、計測値取得部42と、データ解析部43と、を備える。時期特定部50は、比較部51と、特定部52と、を備える。出力部60は、変更命令部61を備える。
【0046】
処理室10は、ここでは、エッチング処理室(エッチャーチャンバー)である。処理室10内で行われる処理(半導体等の製造プロセス)中にパーティクルが発生する場合がある。処理室10内の雰囲気は、排気部30によって排気される。排気は、エッチングの処理毎に行われる。
【0047】
排気される雰囲気の少なくとも一部は、計測部20を通過する。計測部20は、通過する雰囲気に含まれるパーティクルの量を計測する。すなわち、計測部20は、処理対象を処理する処理室10のパーティクルの量を計測する。パーティクルの量は、処理室10にあるパーティクルの一部であってもよい。すなわち、サンプルを用いてパーティクル量を計測してもよい。
【0048】
処理室10では、ドライエッチングを行う。ドライエッチングでは、一度エッチャーチャンバー内を真空にして、その後にエッチングガスをエッチャーチャンバー内に流入させて、エッチングを行う。排気される雰囲気は、エッチングの処理に用いた後のエッチングガスである。この中にパーティクルが含まれる。排気部30は、真空ポンプ等である。計測部20は、パーティクルカウンターである。
【0049】
処理室制御部41は、処理室10で行われる処理を制御する。また、処理室制御部41は、処理室10での処理状況(処理室の稼働状況)等をリアルタイムでデータ解析部43に渡す。計測値取得部42は、計測部20が計測した計測値をリアルタイムでデータ解析部43に渡す。
【0050】
データ解析部43は、処理室制御部41から処理状況を取得し、計測値取得部42から計測値を取得する。また、データ解析部43は、時間情報も取得可能である。データ解析部43は、取得した両者を時間情報と対応付けて順次蓄積していく。データ解析部43が取得した両者を時間情報と対応付けて蓄積していくこと(データ解析部43が有する記憶部(図示せず)に記録していくこと)を前提として、パーティクル汚染事象予測装置100は、パーティクル汚染事象予測処理を行う。
【0051】
この処理は、ユーザが入力部70を用いて処理開始命令を入力したことを契機として、スタートする。なお、この処理は一定時間毎に自動的に行っても良い。また、この処理は、パーティクル汚染事象予測装置100が稼働しているときに、繰り返し行ってもよい。この場合は、処理終了直後に処理を再スタートする。なお、後述の初期条件は、ユーザが入力部70を用いて入力するか、データ解析部43が初期条件を記録したテーブル等を参照して適宜決定する。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測処理(以下、単に予測処理という。)のフローを示す図である。
【0053】
まず、データ解析部43は、初期条件を設定する(ステップS1)。
【0054】
具体的には、まず、初期条件を設定するときに、データ解析部43は、時間情報と対応付けて蓄積した、処理状況と計測値とを用いて、処理室10の稼働している全稼働時間とこの全稼働時間における所定時間毎の計測値とを抽出し、処理対象を処理する処理室10のパーティクル量を計測した計測値を時系列に沿って特定した時系列データを生成する。すなわち、分布導出部40は、計測値を取得し、取得した計測値を用いて、時系列データを生成する。そして、データ解析部43は、初期条件を設定する。
【0055】
ここで、図5(a)は、時間情報と対応付けた処理状況及び計測値の関係の一例を示す図である。図5(a)のように、処理室10は、9時から12時の間と、13時から16時の間に稼働している(矢印A参照)。また、12時から13時の間は、処理室10の稼働は休止し、処理室10内のクリーニングが行われている(矢印B参照)。また、Dは、計測値を得る時間、すなわち計測時期を示す。各Dは、パーティクル量を表すデータを持っている。Dに示すように、計測値は、間隔をおいて計測されたものである。
【0056】
処理室10で行われたエッチング処理が終了した後に処理室10の雰囲気が排気されるため、計測値は間隔をおいて計測されたものとなる。また、クリーニングが行われている間は、計測部20は休止しているので、パーティクルの量の計測は行われていない。
【0057】
図5(b)は、図5(a)に示す情報から生成した時系列データの一例を示す図である。なお、図5(b)の0:00から6:00は、時刻ではなく図5(a)の9:00を基準(0:00)とした時間の間隔を示している。図5(b)のように、処理室10は、9時から12時の間と、13時から16時の間に稼働しているので、全稼働時間は6時間となる(矢印A参照)。また、Dは、全稼働時間における所定の時点の計測値となる。なお、上記クリーニング等により、処理室10が休止している時間も稼働時間として含めても良い。この場合、適宜クリーニング後の処理室10の排気について、計測部20はパーティクルの量を計測してもよい。時系列データには、全稼働時間の始点の始点時間情報が含まれている。図5(b)では、9時という情報である。
【0058】
このように生成した時系列データ(時系列計測結果)の詳細な例を図6に示す。図6は、エッチャーチャンバー内のパーティクルを、パーティクルカウンターを用いて実際に計測した計測値を用いて生成した時系列データである。なお、図6の縦軸は、パーティクル量(パーティクルカウンターでカウントしたカウント数)を示し、単位はパーティクルの数である。図6の横軸は、時間を表し単位はh(hour)である。以下では、図6の時系列データを用いて、予測処理を説明する。この時系列データも始点時間情報を含んでいる。
【0059】
初期条件の例を以下に示す。
・単位時間:τ
・稼働時間:Nτ
・観測回数:M
・閾値:Z
・パーティクル汚染が発生しない確率の上限:q
【0060】
単位時間τは、予測処理に用いる単位時間である。稼働時間Nτは、パーティクル汚染事象であるか否かを判断するための基準の期間(小期間)であり、単位時間τに単位時間の数Nを乗じたものである。観測回数Mは、パーティクル汚染事象分布を導出する際に用いるものである。観測回数Mに稼働時間Nτを乗じたものが、処理室の全稼働時間となる。閾値Zは、単位時間当たりの計測値(パーティクルの量を計測した値)が閾値以上の単位時間を含む小期間である場合に、その小期間での事象がパーティクル汚染事象となる数値である。qは、パーティクル汚染が発生しない確率の上限である。
【0061】
ここで、初期条件を、τ=1(時間)、N=27、M=3、Z=2000(個)、及び、q=0.3とする。この初期条件では、全稼働時間は、3×27×1で81(時間)となる。これら初期条件は、データ解析部43が記憶部(図示せず)に予め記憶したテーブルを参照して決定するか、ユーザが入力部70を用いて入力した条件を用いて決定する。
【0062】
次に、データ解析部43は、初期条件に従って、時系列データからパーティクル汚染事象分布を導出する(ステップS2)。
【0063】
上記の数式3がパーティクル汚染事象分布を表す。上述の通り、パーティクル汚染事象分布は、Nτ時間毎のxをM回観測して得られるデータである。ここでは、τ=1(時間)、N=27、M=3であるので、Nτで表される小期間は3つになる。また、図6では、Z=2000以上の期間は最初の小期間になるので、数式3により得られる分布は、{1,0,0}となる(下記の数式7参照)。
【数7】

【0064】
なお、データ解析部43は、時系列データの中で計測値≧2000となる最後の単位時間をX番目の単位時間として、Xτとして保持する。データ解析部43は、時系列データに含まれる始点時間情報を保持する。データ解析部43は、特定部52からのTτ等の引渡要求を受けると、現在の処理室10の稼働時間がXτからいくつの単位時間が過ぎたかの時間情報であるTτを算出し、算出したTτを特定部52に渡す。
【0065】
このTτは、時系列データに含まれる始点時間情報と、現在の時間情報と、データ解析部43が蓄積する時間情報と対応付けた処理状況とから把握できる。現在の時間情報の時間から始点時間情報の時間を減ずる。時間情報と対応付けた処理状況を用いて、現在の時間情報の時間から始点時間情報の時間までの間の処理室10が稼働していない時間を算出する。前記で減じた時間から稼働していない時間を減ずれば、処理室10の全稼働時間を算出できる。この全稼働時間をτで割れば、全稼働時間における単位時間の数がでる。この数からXを減じればTを算出できる。
【0066】
データ解析部43は、初期条件と導出したパーティクル汚染事象分布とを比較部51に渡す。比較部51は、データ解析部43からパーティクル汚染事象分布を取得する。比較部51は、パーティクル汚染事象の分布とポアソン分布とを比較する。
【0067】
具体的には、比較部51は、パーティクル汚染事象の分布から、平均発生回数μ及び分散σを算出する(ステップS3)とともに、パーティクル汚染事象の平均発生回数μの値と分散σの値との差が所定の範囲内にあるか、すなわち両者が近似するか判断する(ステップS4)。つまり、比較部51は、パーティクル汚染事象の分布の過程がポアソン過程にあるか判断することにより、パーティクル汚染事象分布とポアソン分布とを比較する。
【0068】
比較部51は、初期条件のMの値と上記数式3で得られた{1,0,0}とを用いて、平均発生回数μ及び分散σを算出する。ここでは、M=3なので、数式4に上記分布及びM=3を代入すると、平均発生回数μは、下記の数式8で与えられた値になる。また、分散σは、数式5に、上記分布、M=3、及び数式8で得られた値を代入して得られる。この値は、下記の数式9で与えられる。
【数8】

【数9】

【0069】
前記の通り、平均発生回数μ=1/3、分散σ=2/9になるので、両者は近似し、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にあるといえる。ここで、近似の範囲、すなわち、所定の範囲は、例えば、両者の差が0.15となる範囲である。比較部51は、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にあると判断し(ステップS4;YES)、ステップS5に進む。このとき、比較部51は、初期条件と平均発生回数μの値と分散σの値とを特定部52に渡す。特定部52は、初期条件と平均発生回数μの値と分散σの値とを比較部51から取得する。
【0070】
なお、比較部51がステップS4でNOと判断した場合には、比較部51は初期条件変更指令を初期条件とともにデータ解析部43に渡す。データ解析部43は、比較部51から初期条件変更指令を取得すると、同時に取得した初期条件を変更して、新たな初期条件を設定し(ステップS8)、ステップS2に戻る。なお、2回目以降のステップS2において、データ解析部43は、新たな初期条件に従って、ステップS1で生成した時系列データから、パーティクル汚染事象分布を導出する。このように、本実施形態では、パーティクル汚染事象分布の材料となるデータ(本実施形態では時系列データ)を固定し、パーティクル汚染事象分布の導出条件(本実施形態では初期条件)を変更して、パーティクル汚染事象分布を導出することにより、適切な導出条件を設定できる。なお、データ解析部43は、ステップS8において、ステップS1と同様の方法で、新たな時系列データを生成して、新たな初期条件と新たな時系列データを用いて、パーティクル汚染事象分布を導出してもよい。初期条件の変更の例としては、単位時間τ、及び又は、観測回数Mの変更があげられる。比較部51は、例えば、記憶部に記憶した初期条件の変更方法の変更条件テーブルを参照して、初期条件を変更する。
【0071】
データ解析部43は、導出したパーティクル汚染事象の分布の過程がポアソン過程にあると判断できるまで、初期条件の変更をし続ける。比較部51は、導出したパーティクル汚染事象の分布の過程がポアソン過程にあると判断できるまで、パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にない場合、ポアソン分布と処理室10における新たなパーティクル汚染事象分布とを比較する。
【0072】
ステップS6で、特定部52は、取得した初期条件と平均発生回数μの値又は分散σの値を用いて、qを算出する。どちらを用いてqを算出するかは適宜決定できるが、q=qが成り立つ場合におけるTが小さくなる方を用いてqを算出すると、特定する時期を早めに設定することが出来る。特定部52は、データ解析部43にTτ等の引渡要求をし、データ解析部43が保持するTτと始点開始情報とを取得する。特定部52は、Tτを初期条件のτで割り、Tを算出する。特定部52は、算出したTとqとからqを算出する。
【0073】
特定部52は、算出したqと初期条件のqとを比較し、q≦qとなるか判断する。q≦qとならない場合は、ステップS5に戻る(ステップS6;NO)。このようにして、特定部52は、q≦qとなる時期が来るまで、ステップS5及びステップS6の処理を繰り返す。なお、特定部52は、ステップS5に戻る際に所定の時間待機しても良い。なお、q≦qとなる時期は、パーティクル汚染事象が発生しない確率が所定基準を満たさない時期である。この時期は、パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす時期でもある。
【0074】
≦qとなった場合(ステップS6;YES)には、特定部52は、パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす時期が到来したとして、出力部60に出力命令を渡す。このようにして、特定部52は、処理室10で次のパーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定することができる。
【0075】
出力部60は、出力処理をする(ステップS7)。具体的には、出力部60は、出力命令を特定部52から取得すると、パーティクル汚染事象が発生する確率が所定基準を満たす時期が到来した旨を表示部80に表示する。また、出力部60は、変更処理命令を処理室制御部41に渡す。つまり、変更命令部61は、特定部52が特定した時期をもとに、この時期が到来すると処理室10が行う処理工程を変更させる変更命令を出す。
【0076】
変更命令は、例えば、処理室10での処理を休止させて処理室内のクリーニングを行わせるクリーニング命令である。変更命令は、例えば、処理室10での処理を休止させる休止命令である。変更命令は、例えば、処理室10での処理をダミーの材料を使用して行わせるダミー使用命令である。
【0077】
処理室制御部41は、変更命令を受け取ると、この変更命令に従って処理室10での処理工程を変更する。これにより、時期特定部50が特定した時期に処理室10での処理工程を変更することになる。なお、このような処理工程の変更は、費用対効果を考えて、行わなくても良い。
【0078】
なお、特定部52は、取得した初期条件と平均発生回数μの値又は分散σの値を用いて、qを算出するとともに、Tを算出してもよい。この場合、特定部52は、データ解析部43からTτとXτと始点時間情報とを取得する。
【0079】
この場合のTの算出方法の一例を下記に示す。初期条件は上記と同様である。また、ここでは、q=0.3又は0.5として、Tを算出している。また、上記で算出したμ=1/3又は2/9を用いる。ポアソン分布では、μ=σとなるので、σ=1/3=μ又はσ=2/9=μと捉えることも出来る。また、特定部52が、どのTを採用して、出力処理を行うかは適宜決定する。特定する時期を早めにするため、最小のTを採用してもよい。
【0080】
単位時間τ当たりのパーティクル汚染事象が生じる確率をp、パーティクル汚染事象が生じない確率をqとすると、p+q=1が成り立つ。また、ポアソン過程では、μ=Npが成り立つので、p=μ/Nが成り立つ。今、N=27、μ=1/3又は2/9であるので、p=μ/Nから、p=1/81又はp=2/243となる。ポアソン分布では、μ=σとなるので、σ=1/3=μ又はσ=2/9=μと捉えることも出来る。また、p+q=1から、q=80/81又はq=241/243となる。
【0081】
ところで、q=qが成り立つTが算出できれば、このTに対応する時間以降で、パーティクル汚染事象が生じない確率が所定基準を満たし、パーティクル汚染事象が生じる確率が高くなる。このq=qを変形すると、上記の数式6になる。
【0082】
N=27、及び、μ=1/3とすると、上述のようにp=1/81、及び、q=80/81となる。これを数式6に代入すると、q=0.3では下記の数式10で示す値が得られる。また、q=0.5では下記の数式11で示す値が得られる。また、N=27、及び、μ=2/9とすると、上述のようにp=2/243、及び、q=241/243となる。これを数式6に代入すると、q=0.3では下記の数式12で示す値が得られる。また、q=0.5では下記の数式13で示す値が得られる。
【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【0083】
上記で算出したTに対応する時期が来たら、特定部52は出力処理を行う。または、特定部52は、算出したTからTに対応する時期を表示部80に表示して、警告を行っても良い。なお、Tに対応する時期は、始点開始情報の時刻から(X+T)τ時間経った時刻である。
【0084】
図7は、本発明の実施形態に係るパーティクル汚染事象予測装置のハードウェア構成図である。図3に示す分布導出部40、時期特定部50、及び、出力部60は、CPU1、RAM2、及び、記憶装置4により構成される。分布導出部40、時期特定部50、及び、出力部60は、上記で取得したデータと、導出又は算出等により生成したデータと、を適宜、RAM2、又は、記憶装置4の所定の記憶領域に記録する。RAM2、及び、記憶装置4の少なくとも一部は、各部が備える記憶部を構成する。記憶装置4は、ハードディスク等により構成される。図3に示す入力部70は、入力装置5により構成される。入力装置5は、キーボード及びマウス等により実現される。図3に示す表示部80は、表示装置3により構成される。表示装置3は、各種ディスプレイにより構成される。
【0085】
RAM2には、パーティクル汚染事象予測プログラム6が展開される。CPU1は、パーティクル汚染事象予測プログラム6に従って、上記予測処理を行う。パーティクル汚染事象予測プログラム6は、記憶装置4に記録されている。パーティクル汚染事象予測プログラム6は、コンピュータに上記パーティクル汚染事象予測方法を実行させるものであればよく、OS(Operating System)等の他のプログラムと協働してコンピュータに上記パーティクル汚染事象予測方法を実行させるものも含まれる。パーティクル汚染事象予測プログラム6は、例えば、持ち運び可能な情報記憶媒体等に記録され、パーティクル汚染事象予測装置100にインストールされる。持ち運び可能な情報記憶媒体は、フレキシブルディスク、CD−R等である。パーティクル汚染事象予測プログラム6は、図示しない通信装置を介してパーティクル汚染事象予測装置100にダウンロードされてもよい。パーティクル汚染事象予測プログラム6が記録された、RAM2、記憶装置4、又は、持ち運び可能な情報記憶媒体等の記憶媒体は、プログラム製品となる。
【0086】
本実施形態によれば、ポアソン分布という標準的統計分布モデルを用いるので、信頼性の高いパーティクル汚染の予測ができる。このような手法は、パーティクル汚染のような、発生確率が低く継続的に観察できる事象の予測に適する。また、処理室の稼働状態が、この処理室の装置のユーザによって様々であるのにもかかわらず、各ユーザが蓄積した計測値から共通する手法で、処理室の稼働状態及び処理対象物に依存する、パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定できる。パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を計測値から定量的に特定できるので、クリーニングコストと、パーティクル汚染によるロットアウトに伴う経済的損失の期待値との比較が可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1 CPU
2 RAM
3 表示装置
4 記憶装置
5 入力装置
6 パーティクル汚染事象予測プログラム
10 処理室
20 計測部
30 排気部
40 分布導出部
41 処理室制御部
42 計測値取得部
43 データ解析部
50 時期特定部
51 比較部
52 特定部
60 出力部
61 変更命令部
70 入力部
80 表示部
100 パーティクル汚染事象予測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定手段を備えることを特徴とするパーティクル汚染事象予測装置。
【請求項2】
前記パーティクル汚染事象は、複数の単位時間からなる期間における事象であり、前記期間のうちの少なくとも一の単位時間が前記閾値以上の事象であることを特徴とする請求項1に記載のパーティクル汚染事象予測装置。
【請求項3】
前記時期特定手段は、前記パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にある場合、前記ポアソン分布の性質を用いて前記時期を特定することを特徴とする請求項1記載のパーティクル汚染事象予測装置。
【請求項4】
前記時期特定手段は、前記パーティクル汚染事象分布の過程がポアソン過程にある場合、前記ポアソン分布の性質を用いて前記時期を特定し、前記パーティクル汚染事象分布の過程が前記ポアソン過程にない場合、前記ポアソン分布と前記処理室における新たな前記パーティクル汚染事象分布とを比較することを特徴とする請求項1に記載のパーティクル汚染事象予測装置。
【請求項5】
前記時期特定手段が特定した時期をもとに、前記処理室での処理工程を変更させる変更命令を出す変更命令手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパーティクル汚染事象予測装置。
【請求項6】
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定ステップを有することを特徴とするパーティクル汚染事象予測方法。
【請求項7】
パーティクル汚染事象予測方法をコンピュータに実行させるパーティクル汚染事象予測プログラムであって、
ポアソン分布と処理室のパーティクル量の少なくとも一部を計測した計測値が閾値以上のパーティクル汚染事象を特定したパーティクル汚染事象分布とを比較して、前記処理室で次の前記パーティクル汚染事象が生じる確率が所定基準を満たす時期を特定する時期特定ステップを前記コンピュータに行わせることを特徴とするパーティクル汚染事象予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165949(P2010−165949A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8184(P2009−8184)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】