説明

パーフルオロアルキルシアノまたはパーフルオロアルキルシアノフルオロボラートの調製方法

本発明は、アルカリ金属トリフルオロパーフルオロアルキルボラートのトリアルキルシリルシアニドとの反応およびそれに続く塩交換反応による、または有機トリフルオロパーフルオロアルキルボラートのトリアルキルシリルシアニドとの直接反応による、パーフルオロアルキルトリシアノもしくはパーフルオロアルキルシアノフルオロボラートアニオン、((パー)フルオロ)フェニルトリシアノもしくは((パー)フルオロ)フェニルシアノフルオロボラートアニオン、1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換もしくは二置換されたフェニルトリシアノボラートアニオン、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換もしくは二置換されたフェニルシアノフルオロボラートアニオンを有する塩の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属トリフルオロパーフルオロアルキルボラートのトリアルキルシリルシアニドとの反応およびそれに続く塩交換反応による、または有機トリフルオロパーフルオロアルキルボラートのトリアルキルシリルシアニドとの直接反応による、パーフルオロアルキルトリシアノもしくはパーフルオロアルキルシアノフルオロボラートアニオン、((パー)フルオロ)フェニルトリシアノもしくは((パー)フルオロ)フェニルシアノフルオロボラートアニオン、1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換もしくは二置換されたフェニルトリシアノボラートアニオン、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換もしくは二置換されたフェニルシアノフルオロボラートアニオンを有する塩の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式中、Ma+が無機または有機カチオンであり得、a=1または2、x=1、2または3、y=0または1およびx+y≦4である、式Ma+[B(R4−x−y(CN)(F)で表される塩は、WO 2006/045405から既知であるが、ここで、塩である、カリウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボラート、グアニジニウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボラートおよびトリチリウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボラートのみが開示されている。WO 2006/045405には、示した式で表される有機カチオンおよびアニオンを有する塩が、イオン液体であることが記載されている。
【0003】
イオン液体とは、一般的に有機カチオンおよび無機アニオンからなる塩を意味すると解釈される。それらは、いかなる中性分子も含まず、通常373Kより低い融点を有する[Wasserscheid P, Keim W, 2000, Angew. Chem. 112: 3926]。それらの塩の特性により、イオン液体は、例えば、低蒸気圧、広範囲にわたる液体状態などの独自の物質特性(substance properties)を有し、難燃性(non-flammable)であり、高い導電率ならびに高い電気化学的安定性および高い熱安定性を示す。
【発明の概要】
【0004】
驚くべきことに、パーフルオロアルキルおよびまたシアノ基を含むボラートアニオンを有するイオン液体は、例えばパーフルオロアルキルトリフルオロボラートなどのパーフルオロアルキル基およびフルオロ基を含むボラートアニオンを有するイオン液体より低い粘度を、およびテトラシアノボラートアニオンを有するイオン液体より低い粘度を示す。
【0005】
粘度は、パーフルオロアルキルシアノフルオロボラートを有する塩の用途を考慮する場合、特に電気化学においては、重要な物質特性である。特に、アニオンである、パーフルオロアルキルトリシアノボラート、パーフルオロアルキルシアノジフルオロボラートまたはパーフルオロアルキルジシアノフルオロボラートを有する塩は、例えば、25℃で、ほぼ13〜17cP程度の動的粘度を示す。これらの選択されたアニオンを有するこのタイプの塩は、新規であり、特にWO 2006/045405の選択発明である。
【0006】
式中、x=1、2または3、y=0または1およびx+y<4である、ボラートアニオン[B(R4−x−y(CN)(F)]の合成は、公開公報WO 2006/045405の記載によると、150°〜300°の温度での対応するイソシアノボラート塩の異性化により成功する。イソシアノボラート塩は、イソシアノボロン酸の強塩基との反応により生成し、窒素原子が、ホウ素原子に結合していることを特徴とする。これに対して、WO 2006/045405の塩におけるシアニドは、C原子を介してホウ素原子に結合している。
【0007】
E. Bernhard et al, Chemistry A European J. 2001, 7, No. 21, 4696-4705)には、CIFを使用する、リチウム、銀またはアンモニウムテトラシアノボラート(NH[B(CN)])のフルオロ化の間に観測されるが、単離はされていない、アニオン[(CF)BF(CN)]および[(CF)BF(CN)のNMRデータが記載されている。このフルオロ化の最終生成物は、テトラトリフルオロメチルボラートアニオン([B(CF)を有する塩である。
シアン化カリウム/塩化リチウムの存在下におけるアルカリ金属テトラフルオロボラートの固体状態反応による、アルカリ金属テトラシアノボラートの合成は、例えば、WO 2004/072089に記載されている。
【0008】
式中、x=2または3、y=1または2およびx+y=4である、パーフルオロアルキル基を有しないボラートアニオン[B(CN)(F)]の合成は、E. Bernhard et al, Z. fuer Anorg. Allg. Chem. 2003, 629, 677-685の記載によると、リチウムテトラフルオロボラートまたはカリウムテトラフルオロボラートのトリメチルシリルシアニドとの反応により成功する。この文献にはさらに、反応速度が極めて遅いこと、反応時間が数時間から数週間であること、およびジシアノジフルオロボラートアニオンおよびトリシアノフルオロボラートアニオンの混合物が一般的に生成することが記載されている。この手法では、トリフルオロモノシアノボラートアニオンの合成および単離は可能でなかった。
【0009】
しかしながら、依然として、この関心の持たれる、パーフルオロアルキルシアノフルオロボラートアニオンまたはパーフルオロアルキルトリシアノボラートアニオン、パーフルオロフェニルシアノフルオロボラートアニオンまたはパーフルオロフェニルトリシアノボラートアニオン、フルオロフェニルシアノフルオロボラートアニオンまたはフルオロフェニルトリシアノボラートアニオン、任意に1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されていてもよい、フェニルシアノフルオロボラートアニオンまたはフェニルトリシアノボラートアニオンを有する塩のクラスの経済的な代替合成の調製法に対する要求がある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、所望の塩を良好な収率で得て、容易に利用できる出発物質から出発する、代替調製方法を開発することである。
驚くべきことに、アルカリ金属トリフルオロパーフルオロアルキルボラートが、容易に利用できる、所望の混合ボラートの合成の優れた出発物質を象徴することが見出された。
【0011】
したがって、本発明は、式I
a+[B(R)(CN)(F) I、
式中、
a+は、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、カルシウムカチオン、NHまたは有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+y=3、である、
で表される塩の調製方法に関し、
【0012】
式II
Me[B(R)F II、
式中、
Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、Rは、上記に示した意味を有する、
である、
で表されるアルカリ金属の、トリアルキルシリルシアニドとの反応により、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
式中、
Me、R、xおよびyは、上記に示した意味を有し、トリメチルシリルシアニドのアルキル基は、各場合において、互いに独立して、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のアルキル基である、
である、
で表される塩を得て、
【0013】
およびそれに続く、式IIIで表される塩の、式IV、
MA IV、
式中、
Mは、Ma+について示した意味を有し、
Aは、アニオンF、Cl、Br、I、OH、[HF、[CN]、[SCN]、[RCOO]、[RSO、[RCOO]、[RSO、[ROSO、[SiF2−、[BF、[SO2−、[HSO1−、[NO、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、[(RO)P(O)O]、[(RO)P(O)O2−、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、トシラート、ベンゾアート、オキサラート、スクシナート、スベラート、アスコルバート、ソルバート、タルトラート、シトラート、マラート、マロナート、任意に1〜4個のC原子を有するアルキル基により置換されたマロナートまたは[CO2−の群から選択され、
【0014】
ここで、各場合におけるRは、互いに独立して、Hおよび/または1〜12個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基を示し、
各場合におけるRは、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する、部分的にフルオロ化されたまたはパーフルオロ化された直線状のまたは分枝状のアルキル基あるいはペンタフルオロフェニルを示し、ここで、電気的中性が、塩MAの式において確保されなければならない、
で表される塩との塩交換反応による、
前記調製方法に関する。
【0015】
1〜4個のC原子を有する、パーフルオロ化された直線状のまたは分枝状のアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、n−ヘプタフルオロプロピル、イソヘプタフルオロプロピル、n−ノナフルオロブチル、sec−ノナフルオロブチルまたはtert−ノナフルオロブチルである。Rは、同様に、1〜12個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基と定義され、上記のパーフルオロアルキル基および例えば、パーフルオロ化されたn−ヘキシル、パーフルオロ化されたn−ヘプチル、パーフルオロ化されたn−オクチル、パーフルオロ化されたエチルヘキシル、パーフルオロ化されたn−ノニル、パーフルオロ化されたn−デシル、パーフルオロ化されたn−ウンデシルまたはパーフルオロ化されたn−ドデシルを含む。
【0016】
は、好ましくは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、パーフルオロヘキシル、C、p−FC、3,5−(CFまたはCであり;特に好ましくは、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基またはCであり、極めて特に好ましくは、トリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルであり、並外れて好ましくは、ペンタフルオロエチルである。
【0017】
したがって、式Iで表される好ましい塩は、ボラートアニオンが、トリフルオロメチルトリシアノボラート、ペンタフルオロエチルトリシアノボラート、ヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、トリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、ペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、ヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、トリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、ノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、
【0018】
ペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、ペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、フェニルトリシアノボラート、フェニルジシアノフルオロボラート、フェニルモノシアノジフルオロボラート、p−フルオロフェニルトリシアノボラート、p−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、p−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたは3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラートの群から選択されるものである。
【0019】
は、特に好ましくは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたはノナフルオロブチルであり、極めて特に好ましくは、トリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルである。
1〜4個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。Rは、同様に、1〜12個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基と定義され、上記のアルキル基および例えば、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルまたはn−ドデシルを含む。
【0020】
は、特に好ましくは、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシルまたはn−オクチルであり、極めて特に好ましくは、メチルまたはエチルである。
置換されたマロナートは、例えば、化合物のメチルマロナートまたはエチルマロナートである。
【0021】
a+は、好ましくは、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、ホスホニウムカチオンス、ウロニウムカチオン、チオウロニウムカチオン、グアニジニウムカチオンまたはヘテロ環式カチオンから選択された有機カチオンであり、特に式(1)〜(8)により以下に記載され、その好ましい意味のものである。
【0022】
トリアルキルシリルシアニドのアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。アルキル基は、好ましくは同一である。したがって、トリアルキルシリルシアニドの例は、トリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、トリイソプロピルシリルシアニド、トリプロピルシリルシアニドまたはトリブチルシリルシアニドである。特に好ましいのは、トリメチルシリルシアニドの使用であり、商業的に入手可能であるかまたはin situにおいて調製することもできる。
【0023】
好ましいのは、式IIで表される化合物の使用であり、ここで、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり、特に好ましくは、カリウムである。
したがって、式Iで表される化合物の合成のために、式IIで表される極めて特に好ましい化合物は、上記のとおり、カリウムトリフルオロメチルトリフルオロボラート、カリウムペンタフルオロエチルトリフルオロボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルトリフルオロボラートまたはカリウムペンタフルオロフェニルトリフルオロボラートから選択されるものである。
【0024】
ここで、特に式IIで表される化合物の式IIIで表される化合物への変換の場合には、上記のとおり、特定のボラートアニオンが、特異的に高収率となるように、この反応の反応条件を選択することが可能である。特定の温度制御なしで、異なるボラートアニオンを有する塩の混合物が、上記のとおりまたは好ましく記載されるように、一般的には生成する。温度制御は、有利にはマイクロ波照射による。
【0025】
式IIで表される化合物を、例えば、US 7,208,626 B2; WO 2003/087020 (A1)およびWO 2003/087113 (A1)におけるまたはR.D. Chambers et al., J. of the American Chemical Society, 82 (1960), p. 5296-5301; H.-J- Frohn and V.V. Bardin, Z. fuer Anorganische und Allgemeine Chemie, 627 (2001), pp. 15-16; G.A. Molander and G.P. Hoag, Organometallics, 22 (2003), p. 3313-3315; Zhi-Bin Zhou et al., J. of Fluo-rine Chem., 123 (2003), p. 127-131]における記載に基づき、当業者に既知の慣用手法により調製することができる。
【0026】
式II
Me[B(R)F II、
ここで、
Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、Rは、上記に示した意味を有する、
で表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応が、上記のとおり、10℃〜110℃でまたは100Wでのマイクロ波照射で行われる場合には、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
【0027】
ここで、
Me、Rは、式IIで表される化合物についての意味を有し、x=1およびy=2であり、すなわち、フッ素原子が、シアノ基により置き換えられている、
で表される化合物が、特に生成する。式Ia
[B(R)(CN)(F) Ia、
で表されるアニオンを有する式IIIで表される化合物が、これにより高収率で生成する。
【0028】
基Rが、トリフルオロメチルを示す場合には、トリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラートアニオンを有する対応する塩が、好ましくは、室温でまたは100Wでのマイクロ波照射で生成する。数時間の反応時間が観測され得る。この点における詳細は、例に記載されている。基Rが、ペンタフルオロエチルを示す場合には、対応する塩が、好ましくは、100℃の温度においてほぼ1時間程度の反応時間でまたは100Wでのマイクロ波照射で生成する。
【0029】
基Rが、フェニル、部分的にフルオロ化されたフェニル、1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換もしくは二置換されたフェニルまたはパーフルオロフェニルを示す場合には、対応するモノシアノジフルオロボラート塩は、好ましくは、室温で、数日間の反応時間で生成する。したがって、式Iaで表されるアニオンを有する式Iで表される塩の調製のための好ましい態様は、式IIのトリアルキルシリルシアニドとの反応を、上記のとおり、10℃〜110℃の温度で、好ましくは室温(25℃)〜100℃で、または100Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする。
【0030】
式II
Me[B(R)F II、
ここで、
Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、Rは、上記に示した意味を有する、
で表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応が、上記のとおり、115℃〜200℃でまたは200Wでのマイクロ波照射で行われる場合には、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
【0031】
ここで、
Me、Rは、式IIで表される化合物についての意味を有し、x=2およびy=1であり、すなわち、2個のフッ素原子が、シアノ基により置き換えられている、
で表される化合物が、特に生成する。式Ib
[B(R)(CN)(F)] Ib、
で表されるアニオンを有する式IIIで表される化合物が、これにより高収率で生成する。
【0032】
基Rが、例えば、トリフルオロメチルを示す場合には、トリフルオロメチルジシアノフルオロボラートアニオンを有する対応する塩が、好ましくは、130℃でまたは200Wでのマイクロ波照射で生成する。反応時間は、ほぼ5時間程度である。この点における詳細は、例に記載されている。基Rが、例えば、ペンタフルオロエチルを示す場合には、式Ibで表される対応する塩が、好ましくは、180℃の温度においてほぼ6時間程度の反応時間でまたはほぼ数分間程度の200Wでのマイクロ波照射で生成する。
【0033】
したがって、式Ibで表されるアニオンを有する式Iで表される塩の調製のための好ましい態様は、式IIのトリアルキルシリルシアニドとの反応を、上記のとおり、115℃〜200℃の温度で、好ましくは130℃〜180℃で、または200Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする。
【0034】
式II
Me[B(R)F II、
ここで、
Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、Rは、上記に示した意味を有する、
で表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応が、上記のとおり、200Wより大きい、特に300Wでのマイクロ波照射で行われる場合には、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
【0035】
ここで、
MeおよびRは、式IIで表される化合物についての意味を有し、x=3およびy=0であり、すなわち、3個全てのフッ素原子が、シアノ基により置き換えられている、
で表される化合物が、特に生成する。式Ic
[B(R)(CN) Ic、
で表されるアニオンを有する式IIIで表される化合物が、これにより高収率で生成する。
【0036】
したがって、式Icで表されるアニオンを有する式Iで表される塩の調製のための好ましい態様は、式IIのトリアルキルシリルシアニドとの反応を、上記のとおり、200Wより大きい、好ましくは300Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする。
【0037】
基Rが、例えば、トリフルオロメチルを示す場合には、トリフルオロメチルトリシアノフルオロボラートアニオンを有する対応する塩が、好ましくは、300Wでのマイクロ波照射で生成する。反応時間は、ほぼ1〜2時間程度である。この点における詳細は、例に記載されている。基Rが、例えば、ペンタフルオロエチルを示す場合には、対応する塩が、好ましくは、ほぼ1時間程度の反応時間で300Wでのマイクロ波照射で生成する。
【0038】
式IIで表される化合物が、上記のとおり、式IIIで表される化合物の調製のための、および塩交換反応後に式IIで表される化合物の調製のための出発物質として好適であることは、予測できることではなかった。Bernhard et al (Z. fuer Anorg. Allg. Chem. 2003, 629, 677-685)において記載されている、アルカリ金属テトラフルオロボラートのトリメチルシリルシアニドとの反応とは対照的に、かさ高い基Rの存在下での、例えばパーフルオロアルキル基の存在下での反応性が、シアノ基によるフッ素原子の置き換えを促進するのに十分であることを予期することはできない。
【0039】
反応速度が、関連して増加すらすることは、さらに驚くべきことである。3個のフッ素原子の置き換えは、上記で言及した文献において成功しなかった一方で、正確なかかる置き換えは、本発明の方法において、300Wのマイクロ波照射の存在下で生じる。加熱源としてのマイクロ波照射は、文献に記載されていない。予期しないことに、また驚くべきことに、トリメチルシリルシアニドは、パーフルオロアルキル鎖中のフッ素原子ではなく、ホウ素に結合しているフッ素原子のみを選択的に攻撃する。
【0040】
式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応を、保護ガス雰囲気なしで行うことができる。しかしながら、反応は、好ましくは、乾燥空気下または不活性ガス雰囲気中で行われる。式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応を、好ましくは、溶媒なしで行う。しかしながら、有機溶媒、例えばテトラヒドロフランまたはアセトニトリルの存在下での反応は可能である。
【0041】
他の態様において、使用するトリアルキルシリルシアニドを、in situでアルカリ金属シアニドおよびトリアルキルシリルクロリドからアルカリ金属ヨウ化物またはフッ化物および任意にヨウ素の存在下で、式IIで表される化合物のとの反応の前に、上記のとおり調製する。好ましくは、ここでは、シアン化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムまたはシアン化カリウムおよびヨウ化カリウムが使用され、ここで、アルカリ金属ヨウ化物を、好ましくは、アルカリ金属シアン化物およびトリアルキルシリルクロリドの1mol/lに基づき、0.1mol/lのモル量で加える。
【0042】
この調製の詳細は、例にある。一般に、調製のこの方法は、M.T. Reetz, I. Chatziiosifidis, Synthesis, 1982, p. 330; J.K. Rasmussen, S. M. Heilmann and L.R. Krepski, The Chemistry of Cyanotrimethylsilane in G.L. Larson (Ed.)"Advances in Silicon Chemistry", Vol. 1, p. 65-187, JAI Press Inc., 1991またはWO 2008/102661 A1の記載に基づく。
【0043】
したがって、本発明はまた、上記のとおり、式Iで表される化合物の調製方法に関し、トリアルキルシリルシアニドを、in situでアルカリ金属シアン化物およびトリアルキルシリルクロリドから、アルカリ金属ヨウ化物および任意にヨウ素の存在下かまたは触媒で、式IIで表される化合物との反応の前に調製することを特徴とする。
【0044】
式Iで表される化合物の本発明の調製が、上記のとおり行われる場合には、反応の第一ステップから得られた式IIIで表される化合物を精製し、それらを単離された純粋な化合物として、塩交換反応またはメタセシス反応の第二ステップにおいて用いることができる。
【0045】
しかしながら、上記のとおり、他の態様において、式IIIで表される中間体化合物をワークアップ(work up)して純物質を得ず、その代わりに、有機溶媒に不溶性であるかまたは容易に揮発する、例えば、トリアルキルシリルフロリドまたは過剰量のトリメチルシリルシアニドなどの副生成物を単に分離し、式IIIで表される化合物を、さらに精製して純物質を得ずに、式IVで表される化合物と反応させることが有利である。
【0046】
代替的に、式Iで表される化合物の合成を、上記のとおり、式IIで表される化合物のアルカリ金属シアン化物とのアルカリ金属塩化物の存在下での反応により、上記のとおり、例えば例5Cにおいて記載されるように、行うことができる。得られた化合物を、再結晶により分離することができる。混合物を、塩交換反応において対応する有機カチオンを有する化合物の調製に使用する場合には、有機カチオンを有する塩を、抽出法を介して分離することができる。
【0047】
この代替的方法は、好ましくは、塩交換後のアルカリ金属(ペンタフルオロエチル)ジフルオロモノシアノボラートおよび対応する有機塩または代替の金属塩の調製に好適である。好ましいアルカリ金属クロリドは、塩化リチウムである。これは、特に160℃〜200℃の温度での焼結反応である。
【0048】
式(1)〜(8)で表される有機カチオンの例を:
式(1)で表されるアンモニウムカチオン、式(2)で表されるスルホニウムカチオンまたは式(3)で表されるオキソニウムカチオン
[N(R) (1)、
[S(R) (2)または
[O(R) (3)
【0049】
式中、
Rは、各場合において、互いに独立して、
− H、ここで、全ての置換基Rは、同時にHであることができず、
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
【0050】
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−NR1*、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上のRは、完全に置換されていてもよく、および/または1個または2個以上のRは、部分的に置換されていてもよく、
およびここで、ラジカルRのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
【0051】
式(4)で表されるホスホニウムカチオン
[P(R (4)、
式中、
は、各場合において、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
【0052】
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上のRは、完全に置換されていてもよく、および/または1個または2個以上のRは、部分的に置換されていてもよく、
およびここで、Rのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
【0053】
式(5)で表されるウロニウムカチオンまたは式(6)で表されるチオウロニウムカチオン
[C(NR)(OR)(NR)] (5)
または[C(NR)(SR)(NR)] (6)、
【0054】
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
【0055】
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OH、−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上の置換基R〜Rは、部分的にまたは完全に置換されていてもよく、
およびここで、R〜Rのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
【0056】
式(7)で表されるグアニジニウムカチオン
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (7)、
式中、
〜R13は、各々、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
【0057】
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上の置換基R〜R13は、部分的にまたは完全に置換されていてもよく、
およびここで、R〜R13のα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
【0058】
式(8)で表されるヘテロ環式カチオン
[HetN] (8)、
ここで、[HetN]は、
【化1】

【0059】
【化2】

を含む群から選択されるヘテロ環式カチオンであり、
【0060】
式中、
1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
− H、ただし、R1’およびR4’は、同時にHであることができないという制限があり、
− また、フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− また、フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
【0061】
− また、フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
− 飽和、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜C−アルキルまたはアリール−C〜C−アルキル
を示し、
【0062】
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’は、一緒になって環系を形成してもよく、
ここで、1個または2個以上のR1’〜R4’は、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRにより、部分的にまたは完全に置換されていてもよいが、ここで、R1’およびR4’は、同時にハロゲンにより完全に置換されていることはできず、およびここで、置換基R1’〜R4’のヘテロ原子に結合していない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよく、
【0063】
ここで、Rは、H、フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換されたフェニルを表し、R1’は、フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換されたフェニルを表す、
の群から選択することができる。
【0064】
したがって、4個または3個全ての置換基RおよびRが、完全にハロゲンにより置換された、式(1)、(2)、(3)および(4)で表されるカチオン、例えば、トリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウムカチオン、テトラキス(トリフルオロメチル)アンモニウムカチオンまたはテトラキス(ノナフルオロブチル)アンモニウムカチオンは除外される。
【0065】
本発明の意義において完全に不飽和の置換基はまた、芳香性置換基を意味すると解釈される。
式(1)〜(7)で表される化合物の好適な置換基RおよびR〜R13は、本発明に従い、Hの他に好ましくは:C〜C20、特に、C〜C14アルキル基、および飽和または不飽和の、すなわち芳香性の、C〜Cアルキル基により置換されていてもよい、C〜Cシクロアルキル基、特にフェニル、である。
【0066】
式(1)、(2)、(3)または(4)で表される化合物における置換基RおよびRは、ここで同一でも異なっていてもよい。式(1)で表される化合物において、3個のまたは4個の置換基Rは、好ましくは同一である。式(2)で表される化合物において、全ての置換基Rは、好ましくは同一であるか、または2個は同一で1個は異なる。式(3)で表される化合物において、全ての置換基Rは、好ましくは同一である。式(3)で表される化合物において、3個のまたは4個の置換基Rは、好ましくは同一である。
【0067】
置換基RおよびRは、特に好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはテトラデシルである。
グアニジニウムカチオン[C(NR)(NR1011)(NR1213)]はまた、単環式、二環式または多環式分子を形成するように、対になって結合していてもよい。
【0068】
一般概念を限定しない、このタイプのグアニジニウムカチオンの例は、
【化3】

であり、
【0069】
ここで、置換基R〜R10およびR13は、上記のまたは特に好ましい意味を有してもよい。
上記のグアニジニウムカチオンの炭素環またはヘテロ環は、任意にまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONR、置換されたもしくは非置換フェニルまたは置換されたもしくは非置換ヘテロ環により置換されていてもよく、ここで、Rは、上記の意味を有する。
【0070】
チオウロニウムカチオン[C(NR)(SR)(NR)]の4個までの置換基はまた、単環式、二環式または多環式分子が生じるように、対になって結合していてもよい。
【0071】
一般概念を限定しない、このタイプのチオウロニウムカチオンの例を以下:
【化4】

に示し、
【0072】
ここで、Y=Sであり、
およびここで、置換基R、RおよびRは、上記のまたは特に好ましい意味を有してもよい。
上記分子の炭素環またはヘテロ環は、任意にまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONR、置換されたもしくは非置換フェニルまたは置換されたもしくは非置換ヘテロ環により置換されていてもよく、ここで、Rは、上記の意味を有する。
【0073】
置換基R〜R13は、各々互いに独立して、好ましくは、1〜10個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル基である。式(5)〜(7)で表される化合物における置換基RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R12およびR13ならびにR12およびR13は、ここで同一でも異なっていてもよい。R〜R13は、特に好ましくは、各々互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、フェニルまたはシクロヘキシルであり、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。
【0074】
本発明に従い、式(8)で表される化合物の好適な置換基R1’〜R4’は、Hの他に好ましくは:C〜C20、特に、C〜C12アルキル基、および飽和または不飽和の、すなわち芳香性の、C〜Cアルキル基により置換されていてもよい、C〜Cシクロアルキル基、特にフェニル、である。
【0075】
置換基R1’およびR4’は、各々互いに独立して、特に好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。それらは、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、n−ブチルまたはヘキシルである。ピロリジン、ピペリジン、インドリン、ピロリジニウム、ピペリジニウムまたはインドリニウム化合物において、2個の置換基R1’およびR4’は、好ましくは異なる。
【0076】
置換基R2’またはR3’は、各場合において、互いに独立して、特にH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。R2’は、特に好ましくは、H、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチルまたはsec−ブチルである。R2’およびR3’は、極めて特に好ましくは、Hである。
【0077】
〜C12アルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであり、さらにまたペンチル、1−,2−もしくは3−メチルブチル、1,1−,1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。任意に、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルである。
【0078】
複数の二重結合がまた存在してもよい、2〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニルは、例えば、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、さらに、4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039であり;好ましくは、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、好ましいのはさらに、4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。化合物が部分的にフルオロ化されている場合には、少なくとも1個のH原子は、F原子により置き換えられている。化合物がパーフルオロ化されている場合には、対応するアルキル基の全てのH原子は、F原子により置き換えられている。
【0079】
複数の三重結合がまた存在してもよい、2〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニルは、例えば、エチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニルであり、さらに、4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜C2037であり、好ましくは、エチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルあるいはヘキシニルである。化合物が部分的にフルオロ化されている場合には、少なくとも1個のH原子は、F原子により置き換えられている。化合物がパーフルオロ化されている場合には、対応するアルキル基の全てのH原子は、F原子により置き換えられている。
【0080】
アリール−C〜C−アルキルは、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示し、ここで、フェニル環およびまたアルキレン鎖の両方は、上記のとおり、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより、あるいは部分的に−OR、−NR、−CN、−C(O)NRまたは−SONRにより、部分的にまたは完全に置換されていてもよい。
【0081】
したがって、3〜7個のC原子を有する、非置換の飽和または部分的にもしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フェニル、シクロヘプテニルであり、その各々は、C〜Cアルキル基により置換されていてもよく、ここで、シクロアルキル基またはC〜Cアルキル基により置換されたシクロアルキル基はまた、同じく、ハロゲン原子、例えばF、Cl、BrまたはIなど、特にFまたはClにより、あるいは−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRにより置換されていてもよい。
【0082】
置換基R、R〜R13またはR1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位で結合していない1個または2個の隣接しない炭素原子はまた、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよく、ここで、R=フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換されたフェニルである。
【0083】
一般概念を限定しない、このようにして修正される置換基R、R〜R13およびR1’〜R4’の例は:
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−C(CF、−CFSOCF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−C(CFH、−CHまたはP(O)(Cである。
【0084】
またはR1*において、C〜Cシクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
またはR1*において、置換されたフェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONR*により置換されたフェニルを示し、ここで、R*は、Rについて定義したように、フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルを示し、例えば、o−、m−もしくはp−メチルフェニル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−もしくはp−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−もしくはp−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−もしくはp−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、
【0085】
o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−ヨードフェニルであり、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルである。
【0086】
1’〜R4’において、ヘテロアリールは、5〜15個の環原子を有する飽和または不飽和の単環または二環のヘテロ環式ラジカルを意味すると解釈され、ここで、1、2または3個のNおよび/または1または2個のSまたはO原子が存在してもよく、ヘテロ環式ラジカルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONRにより一置換または多置換されていてもよく、ここで、Rは、上記の意味を有する。
【0087】
ヘテロ環式ラジカルは、好ましくは、置換されたまたは非置換2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニルであり、さらにより好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、
【0088】
2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルである。
【0089】
ヘテロアリール−C〜C−アルキルは、ここで、アリール−C〜C−アルキルと同様に、例えば、ピリジニルメチル、ピリジニルエチル、ピリジニルプロピル、ピリジニルブチル、ピリジニルペンチル、ピリジニルヘキシルを意味するものと解釈され、ここでさらに、上記のヘテロ環は、このようにしてアルキレン鎖に結合していてもよい。
【0090】
HetNは、好ましくは、
【化5】

であり、
【0091】
ここで、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記の意味を有する。
【0092】
有機カチオン[Kt]は、特に好ましくは、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウムまたはホスホニウムカチオンを含む群から選択される。
【0093】
特に好適なカチオンは、テトラアルキルアンモニウム、1,1−ジアルキルピロリジニウム、1−アルキル−1−アルコキシアルキルピロリジニウムまたは1,3−ジアルキルイミダゾリウムの群から選択され、ここで、アルキルアルコキシ基におけるアルキル基またはアルコキシ基は、各々、互いに独立して、1〜10個のC原子を有していてもよい。アルキル基は、極めて特に好ましくは、1〜6個のC原子を有し、アルコキシ基は、極めて特に好ましくは、1〜3個のC原子を有する。
【0094】
したがって、テトラアルキルアンモニウムにおけるアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。好ましくは、3個のアルキル基が同一であり、1個のアルキル基が異なるか、または2個のアルキル基が同一であり、他の2個のアルキル基が異なる。好ましいテトラアルキルアンモニウムカチオンは、例えば、トリメチル(エチル)アンモニウム、トリエチル(メチル)アンモニウム、トリプロピル(メチル)アンモニウム、トリブチル(メチル)アンモニウム、トリペンチル(メチル)アンモニウム、トリヘキシル(メチル)アンモニウム、トリヘプチル(メチル)アンモニウム、トリオクチル(メチル)アンモニウム、トリノニル(メチル)アンモニウム、トリデシル(メチル)アンモニウム、トリヘキシル(エチル)アンモニウム、
【0095】
エチル(トリオクチル)アンモニウム、プロピル(ジメチル)エチルアンモニウム、ブチル(ジメチル)エチルアンモニウム、メトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウム、メトキシエチル(ジエチル)メチルアンモニウム、メトキシエチル(ジメチル)プロピルアンモニウム、エトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウムである。
特に好ましい第四級アンモニウムカチオンは、プロピル(ジメチル)エチルアンモニウムおよび/またはメトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウムである。
【0096】
好ましい1,1−ジアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば、1,1−ジメチルピロリジニウム、1−メチル−1−エチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−メチル−1−オクチルピロリジニウム、1−メチル−1−ノニルピロリジニウム、1−メチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジエチルピロリジニウム、1−エチル−1−プロピルピロリジニウム、1−エチル−1−ブチルピロリジニウム、
【0097】
1−エチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−エチル−1−オクチルピロリジニウム、1−エチル−1−ノニルピロリジニウム、1−エチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジプロピルピロリジニウム、1−プロピル−1−メチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ペンチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−プロピル−1−オクチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ノニルピロリジニウム、1−プロピル−1−デシルピロリジニウム、
【0098】
1,1−ジブチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ブチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ブチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジペンチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ペンチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、
【0099】
1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘプチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジオクチルピロリジニウム、1−オクチル−1−ノニルピロリジニウム、1−オクチル−1−デシルピロリジニウム、1−1−ジノニルピロリジニウム、1−ノニル−1−デシルピロリジニウムまたは1,1−ジデシルピロリジニウムである。極めて特に好ましいのは、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムまたは1−プロピル−1−メチルピロリジニウムである。
【0100】
好ましい1−アルキル−1−アルコキシアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−エチルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−プロピルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−ブチルピロリジニウム、1−(2−エトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム、1−エトキシメチル−1−メチルピロリジニウムである。極めて特に好ましいのは、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウムである。
【0101】
好ましい1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオンは、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、
【0102】
1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,3−ジペンチルイミダゾリウム、1,3−ジヘキシルイミダゾリウム、1,3−ジヘプチルイミダゾリウム、1,3−ジオクチルイミダゾリウム、1,3−ジノニルイミダゾリウム、1,3−ジデシルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、
【0103】
1−メチル−3−ノニルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウム、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムまたは1−デシル−3−エチルイミダゾリウムである。特に好ましいカチオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムまたは1−メチル−3−プロピル−イミダゾリウムである。
【0104】
特に好ましい1−アルケニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオンは、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムまたは1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウムである。
式Iで表される化合物の有機カチオンは、好ましくは、式(8)で表されるヘテロ環式カチオンであり、ここで、HetNは、各々が互いに独立して、示したかまたは好ましく示した意味を有する、置換基R1’〜R4’を有するイミダゾリウム、ピロリジニウムまたはピリジニウムである。
【0105】
式Iで表される化合物の有機カチオンは、特に好ましくは、イミダゾリウムであり、ここで、置換基R1’〜R4’は、上記の意味または好ましいとして示した意味を有するか、あるいはそれらは、上記のとおり、1,1−ジアルキルピロリジニウム、1−アルキル−1−アルコキシアルキルアルキルピロリジニウム、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1−アルケニル−3−アルキルイミダゾリウムまたは1−アルコキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムについて示した好ましい意味の意味を有する。
【0106】
したがって、式Iで表される特に好ましい有機カチオンは、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、トリブチルメチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリブチルメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、ジエチルメチルスルホニウム、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−シアノメチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピニルイミダゾリウム、1,1−ジメチルピロリジニウムまたはトリメチルスルホニウムである。
【0107】
一態様において、式Iで表される化合物は、上記のとおり、式IIIで表される化合物から、それに続く式IVで表される化合物との塩交換反応により合成される。
【0108】
式(IV)で表されるアニオンは、好ましくは、OH、Cl、Br、I、[CHSO、[CHOSO、[CFCOO]、[CFSO、[(CP(O)O]または[CO2−であり、特に好ましくは、OH、Cl、Br、[CHOSO、[CFSO、[CHSOまたは[(CP(O)O]である。
【0109】
反応を、有利には水中で行い、ここで、0°〜100℃、好ましくは、15°〜60℃の温度が好適である。反応を、特に好ましくは、室温(25℃)で行う。
【0110】
しかしながら、反応をまた代替的に、有機溶媒中で、−30°〜100℃の温度で行ってもよい。ここでの好適な溶媒は、アセトニトリル、ジオキサン、ジクロロメタン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはアルコール、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールである。
【0111】
代替的な態様において、それぞれの所望の式Iで表される化合物の有機カチオンに応じて、式Iで表される化合物について所望されるように、有機カチオンを有する式IIで表される化合物をまた、上記のとおり、トリアルキルシリルシアニドと反応させることができる。この合成は、アンモニウムまたはホスホニウムカチオンに、特に好適である。
【0112】
よって、メインクレームの主題、すなわち、式Iで表される化合物の調製方法は、初めて式IIIで表される化合物を経済的に調製可能となったことにより、上記のとおり、本質的に新規性および進歩性を有する。
【0113】
したがって、本発明は同様に、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
式中、Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
【0114】
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+y=3、である、
で表される化合物の、
【0115】
式II
Me[B(R)F II、
式中、
MeおよびRは、上記の意味を有する、
で表されるアルカリ金属塩と、トリアルキルシリルシアニドとの反応による調製方法であって、前記トリアルキルシリルシアニドのアルキル基は、各場合において、互いに独立して、1〜4個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基である、前記方法に関する。
【0116】
上記にも記載のとおり、本発明のこの方法はまた、式中、x=1、y=2である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、10℃〜110℃の温度でまたは100Wでのマイクロ波照射で行うこと、または式中、x=2およびy=1である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、115℃〜200℃の温度でまたは200Wでのマイクロ波照射で行うこと、あるいは式中、x=3およびy=0である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、200Wより大きい、好ましくは300Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする。
【0117】
メインクレームに従い、本発明の方法からの部分的ステップを含む、同様の詳細な説明を、この方法に適用する。
【0118】
本発明はさらに、式III、
Me[B(R)(CN)(F) III、
で表される塩に関し、
式中、Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
【0119】
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、ここで、0は、R=Cについて除外され、および
x+y=3、である。
【0120】
本発明はさらに、式III、
Me[B(R)(CN)(F) III、
で表される塩に関し、
式中、Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
【0121】
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、ここで、0は、R=Cについて除外され、および
x+y=3、であり、
【0122】
ここで、リチウムトリフルオロメチルジフルオロモノシアノボラート、リチウムトリフルオロメチルフルオロジシアノボラート、カリウムトリフルオロメチルジフルオロモノシアノボラートおよびカリウムトリフルオロメチルフルオロジシアノボラートが除外される。
【0123】
カリウムおよびナトリウム塩は、本発明に従い、上記のとおり、式Iで表される化合物の調製に、特に好適である。
【0124】
式IIIで表される化合物のリチウム塩は、電解質調製物の調製に、特に電気化学デバイスまたは光電子デバイスに、特に好適である。式IIIのリチウム塩は、電気化学バッテリー、特にリチウムイオンバッテリー、リチウムイオンキャパシタまたはリチウムバッテリーに、導電性塩として特に好適である。
【0125】
それらは、例えば、リチウムテトラフルオロボラートまたはリチウムテトラシアノボラートなどのボラートアニオンを有する既知のリチウム塩に対して、炭酸塩含有溶媒中で高濃度で溶解する、式IIIのリチウム塩の能力により区別される。
【0126】
よって、例えば、例37からのリチウム塩が、炭酸ジエチル中で溶解して2モル溶液が得られ、高い電気化学的安定性を有することが確立された。したがって、リチウムイオンバッテリー、リチウムイオンキャパシタまたはリチウムバッテリーにおける式IIIのリチウム塩の使用は、極めて特に有利であろう。
【0127】
したがって、本発明は、さらに特に好ましくは、式IIIのリチウム塩に関する。
以下の塩は、ここで好ましく、ここで、リチウム塩が、特に好ましい:
【0128】
カリウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、カリウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、カリウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、カリウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、カリウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、カリウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、
【0129】
カリウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、カリウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、カリウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、カリウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、カリウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウムフェニルジシアノフルオロボラート、
【0130】
カリウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、カリウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、カリウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、カリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはカリウム3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、
【0131】
リチウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、リチウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、リチウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、リチウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、リチウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、リチウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、
【0132】
リチウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウムフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、リチウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、リチウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはリチウム3,5−ビス(トリフルオロ−メチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、
【0133】
ナトリウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、ナトリウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、ナトリウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、ナトリウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、
【0134】
ナトリウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、ナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、
【0135】
セシウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、セシウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、セシウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、セシウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、セシウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、
【0136】
セシウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、セシウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウムフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、セシウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、セシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはセシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、
【0137】
ルビジウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、ルビジウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、ルビジウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、ルビジウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、
【0138】
ルビジウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、
【0139】
ルビジウムフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、ルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラートである。
【0140】
したがって、本発明はさらにまた、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
式中、Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
【0141】
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+y=3、である、
で表される化合物、
あるいは好ましいと記載されたものを含む電解質に関する。
【0142】
したがって、本発明はさらにまた、電解質のための成分として上記に記載されるように、または好ましいと記載されるように、式IIIで表される化合物を含む電気化学電池に関し、あるいはこれらの化合物を含む電解質に関する。
特に、リチウムイオンバッテリー、リチウムイオンキャパシタまたはリチウムバッテリーが、電気化学電池として特に好ましい。
【0143】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を説明することを意図する。本発明を、特許請求の範囲に記載した範囲により、対応して行うことができる。可能な変法もまた、例から出発して導かれ得る。特に、例において記載した反応の特徴および条件もまた、詳細に示さないが、特許請求の範囲の保護範囲内に入る他の反応に適用し得る。
【0144】
例:
得られた物質を、ラマン分光法、元素分析およびNMR分光法により特性評価する。NMRスペクトルを、Bruker Avance III分光計において重水素化アセトン−D中の溶液で、重水素ロックにより測定する。種々の核の測定周波数は、:H:400.17MHz、19F:376.54MHz、11B:128.39MHz、31P:161.99MHzおよび13C:100.61MHzである。外部標準法により、標準化を行う:Hおよび13CスペクトルについてのTMS;19FスペクトルについてのCClFおよび11BスペクトルについてのBF・EtO、である。
【0145】
以下の記載の化合物におけるアニオンについて、以下の値を、13C−NMRスペクトルで測定する(溶媒:アセトン−Dおよび標準物質:TMS):
【0146】
【化6】

【0147】
例1.
カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート−K[CBF
ペンタフルオロエチルヨージド CI(1.5g,6.1mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(spindle)(Young, London)および磁気撹拌子を備えた100mlの反応容器中にまとめて入れ(condensed)、続いて50mlのジエチルエーテルに溶解し、−78℃で、ジエチルエーテル(2.0ml,6.1mmol,3mol l−1)中のエチルマグネシウムブロミドの溶液と反応させ、−78℃で1時間撹拌する。
【0148】
反応混合物を、続いて−78℃でトリメトキシボラン(1.2ml,10.8mmol)に加える。混合物をゆっくりと室温まで加温する。噴霧乾燥したKF(1.3g,22.4mmol)を、懸濁液に加え、これを室温でさらに1時間撹拌する。反応混合物を、続いてPFAフラスコ中の50mlのTHFで洗浄し、全ての揮発性成分を留去する。
【0149】
10mlの無水HFを固体に加え、混合物を室温で数時間撹拌する。HFを真空中で除去し、固体を15mlのアセトニトリル中に取り込み、ろ過する。得られたアセトニトリル中のK[CBF]の溶液(約0.29mol l−1)は、式IIIで表される化合物の調製に直接使用できるか、あるいは溶媒の除去後に、例5、6または7に従って、K[CBF(CN)]、K[CBF(CN)]またはK[CB(CN)]に変換できる。
【0150】
例2.カリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−K[CFBF(CN)]
【化7】

カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF](3.0g,17.0mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(6.0ml,45.0mmol)を、アルゴン雰囲気中で加える。反応混合物を、室温で20時間撹拌する。
【0151】
全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどのトリメチルシリルシアニド(3.0ml,22.5mmol)を、分留により回収する。固体残渣を、THF(3ml)中に取り込み、K[CFBF(CN)]を、CHCl(150ml)の添加により沈殿させ、続いてろ別する。無色固体を、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラートに基づく収量:3.0g(16.4mmol,96%)。
【0152】
【化8】

【0153】
例3.カリウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラート−K[CFBF(CN)
【化9】

マイクロ波照射 200W、15分間
カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF](6.0g,34.1mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(17.1ml,127.5mmol)を、アルゴン下で加える。
【0154】
反応混合物を、室温で12日間撹拌する。生成したほとんどのトリメチルシリルフロリドを、真空中で除去する。反応混合物に、続いてマイクロ波(CEM Discover)(200W,Tmax=90℃,20分間)を照射する。全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(6.3ml,47.2mmol)を、分留により回収する。残渣を、H水溶液(30%,50ml)中に取り込み、1時間撹拌する。溶液のpHを、37%塩酸を使用して1まで調節する。
【0155】
N(C(7.0ml,36.8mmol)を、反応混合物に加え、トリプロピルアンモニウム塩を、CHCl(3×50ml)で抽出する。合わせた有機相を、MgSOを使用して乾燥し、ろ過し、水酸化カリウム水溶液(6g,30ml)を加える。有機相をデカンテーションし、KOH水溶液(6g,30ml)の第二部分を加え、有機相を再びデカンテーションする。
【0156】
水相を、THF(3×50ml)で抽出する。回収したテトラヒドロフラン画分を、KCOを使用して乾燥し、ろ過し、蒸発させる。K[CFBF(CN)]は、CHCl(150ml)の添加により沈殿し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラートに基づく収量:5.0g(26.3mmol,77%)。
【0157】
【化10】

【0158】
例4.カリウムトリシアノトリフルオロメチルボラート−K[CFB(CN)
【化11】

マイクロ波照射 300W、95分間
カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF](0.5g,2.8mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)を、アルゴン雰囲気中で加える。反応混合物を、100℃で2時間撹拌する。
【0159】
生成したほとんどのトリメチルシリルフロリドを、続いて真空中で除去し、反応混合物に、続いてマイクロ波(CEM Discover)(300W,Tmax=120℃,95分間)を照射する。全ての揮発性成分を、続いて減圧下で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(8.0ml,59.9mmol)を、分留により回収する。残渣を、30%のH水溶液(5ml)に溶解する。KCOを、溶液に加え、次いで1時間撹拌する。混合物を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固し、残渣をジエチルエーテル(3×50ml)で抽出する。
【0160】
合わせたエーテル相の体積を5mlまで減少させ、CHCl(100ml)の添加により、無色のK[CFB(CN)]が得られる。カリウム塩をろ別し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラートに基づく収量:0.53g(2.74mmol,95%)。
【0161】
【化12】

【0162】
例5.カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−K[CBF(CN)]
【化13】

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](10.4g,46.0mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。フラスコを固定し、トリメチルシリルシアニド(70.0ml,524.9mmol)を、アルゴン雰囲気中で加える。
【0163】
反応混合物を、100℃で45分間撹拌し、方法中で生成したトリメチルシリルフロリドを、連続的に留去する。全ての揮発性成分を、続いて真空中で除去する。ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(58.1ml,159.9mmol)を、分留により回収する。残渣を、CHCl(200ml)で洗浄し、ろ過し、真空中で乾燥する。
【0164】
カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]が、無色の固体として得られる。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:9.8g(42.1mmol,92%)。
【化14】

【0165】
【化15】

ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器を、カリウム トリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](15.8g,69.9mmol)で充填する。トリメチルシリルシアニド(35.0ml,262.5mmol)を、保護ガス雰囲気中で加える。反応混合物を、100℃で1時間撹拌し、生成したトリメチルシリルフロリドを、連続的に留去する。全ての揮発性成分を、続いて真空中で除去する。
【0166】
ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(21.3ml,159.9mmol)を、分留により回収する。残渣を、THF(5ml)に溶解し、無色のカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]を、CHCl(200ml)の添加により沈殿させ、続いてろ別し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:15.8g(67.8mmol,97%)。11Bおよび19FのNMRスペクトルは、例5、Aにおいて示された値と一致する。
元素分析:分析結果,%,C 15.24,N 5.78;CBFKNについて算出,%,C 15.47,N 6.01。
【0167】
C. ドライボックス(dry box)中で、K[CBF](100mg,0.44mmol)、LiCl(180mg,4.2mmol)およびKCN(260mg,3.99mmol)を、一緒に微粉末化し、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)を備えた円筒形の反応容器中に導入する。反応混合物を、180℃で20時間真空中で加熱する。11B−NMR分光分析により、反応混合物には、以下のボラートアニオンが含まれることが示される。
【0168】
【化16】

【0169】
例6.カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−K[CBF(CN)
【化17】

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](1.0g,4.4mmol)を、トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)中に、アルゴン雰囲気中で、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中で溶解する。反応混合物を、110℃で1時間撹拌し、生成しているトリメチルシリルフロリドを、連続的に留去する。
【0170】
反応混合物を、続いて180℃で、各々約30分の間隔で撹拌し、冷却し、ほとんどの生成したトリメチルシリルフロリドを除去する。全ての揮発性成分を、続いて真空中で除去する。ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(7.1ml,53.0mmol)を、分留により精製する。残渣を、THF(3ml)に溶解し、K[CBF(CN)]を、CHCl(100ml)の添加により沈殿させる。塩をろ別し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:0.97g(4.0mmol,92%)。
【0171】
【化18】

【0172】
【化19】

トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)を、カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートK[CBF](1.0g,4.4mmol)に、アルゴン雰囲気中で、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中で加える。反応混合物を、定期的に脱気しながら、150℃で52時間撹拌する。
【0173】
全ての揮発性成分を、続いて真空中で除去する。ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(7.1ml,53.0mmol)を、分留により回収する。無色のK[CBF(CN)]を、CHCl(100ml)を使用してTHF(3ml)から沈殿させ、ろ過し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:0.95g(3.9mmol,90%)。
11Bおよび19FのNMRスペクトルは、例6、Aにおいて示された値と一致する。
【0174】
【化20】

マイクロ波照射 200W、15分間

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](5.0g,22.1mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。フラスコを排気し(evacuated)、トリメチルシリルシアニド(10ml,74.9mmol)が凝縮する(condensed in)。反応混合物に、マイクロ波(CEM Discover)(200W,Tmax=70℃)を、15分間照射する。
【0175】
全ての揮発性成分を、真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(3.1ml,23.1mmol)を、分留により回収する。残渣を、30%のH水溶液(200ml)に溶解し、溶液を、撹拌しながら37%塩酸の添加によりpH=1まで調節する。N(C(7.0ml,36.8mmol)を、続いて加える。混合物を、CHCl(2×100+1×50ml)で抽出する。合わせた有機相を、MgSOを使用して乾燥し、ろ過し、KOH水溶液(6g,30ml)を加える。有機相をデカンテーションし、KOH水溶液(10g,40ml)の第二部分を加え、混合物を1時間撹拌する。
【0176】
有機相を、次いで分離し、水相をEtO(3×100ml)で抽出する。3つの抽出ステップの各々において、より多いKCOを水相に加える。収集したエーテル相を、KCOを使用して乾燥し、ろ過し、蒸発乾固する。得られた残渣を、CHCl(50ml)中に懸濁させ、ろ過し、真空中で乾燥する。カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]の収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づき、3.4g(14.3mmol,65%)である。
11Bおよび19FのNMRスペクトルは、例6、Aにおいて示された値と一致する。
【0177】
【化21】

マイクロ波照射 200W、15分間

トリメチルシリルシアニド(25.0ml,187.5mmol)を、アルゴン雰囲気中で、カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートK[CBF](8.0g,35.4mmol)に、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中で加える。反応混合物を、室温で3日間撹拌する。
【0178】
混合物を脱気し、続いてマイクロ波(CEM Discover)(200W,Tmax=78℃を15分間照射する。全ての揮発性成分を、真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(13.5ml,101.5mmol)を、分留により回収する。残渣を、30%のH(20ml)に溶解し、KCO(5g)を加える。混合物を、室温で1時間撹拌する。溶液を、70℃で、ロータリーエバポレーター中で蒸発乾固し、得られた固体をEtO(7×50ml)で抽出する。
【0179】
合わせた有機相を、KCOで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固する。残渣をアセトン(5ml)に溶解する。無色のカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]が、CHCl(150ml)の添加により得られ、ろ過し、真空中で乾燥する。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:7.8g(32.5mmol,92%)。
11Bおよび19FのNMRスペクトルは、例6、Aにおいて示された値と一致する。
【0180】
例7.カリウムトリシアノペンタフルオロエチルボラート−K[CB(CN)
【化22】

マイクロ波照射 300W、60分間

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](0.5g,2.2mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。フラスコを固定し、トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)を、アルゴン雰囲気中で加える。反応混合物を、室温で2日間撹拌し、続いてマイクロ波(CEM Discover)(300W,Tmax=120℃,60分間)を照射する。
【0181】
全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(6.9ml,52.0mmol)を、分留により回収する。残渣を、30%のH(10ml)に溶解し、KCO(2g)を加える。混合物を、室温で1時間撹拌する。溶液を、80℃で、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固する。残留する固体をEtO(4×50ml)で抽出する。合わせた有機相を、KCOを使用して乾燥し、ろ過し、5mlの残留体積まで蒸発させる。
【0182】
無色沈殿物が、CHCl(150ml)のゆっくりとした添加により得られる。無色のK[CB(CN)]を、ろ別し、真空中で乾燥する。
用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラートに基づく収量:480mg(1.9mmol,88%)。
【化23】

【0183】
例8.カリウムシアノジフルオロペンタフルオロフェニルボラート−K[CBF(CN)]
【化24】

カリウムトリフルオロペンタフルオロフェニルボラート、K[CBF](2.5g,9.3mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)を、保護ガス雰囲気中で加える。反応混合物を、室温で7日間撹拌する。
【0184】
全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(7.7ml,57.9mmol)を、分留により回収する。残渣をアセトン(5ml)に溶解する。無色のK[CBF(CN)]が、CHCl(25ml)の添加により沈殿する。用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロフェニルボラートに基づく収量:2.1g(7.5mmol,82%)。
【0185】
【化25】

【0186】
例9.カリウムトリシアノペンタフルオロフェニルボラート−K[CB(CN)
【化26】

トリメチルシリルシアニド(15.0ml,112.5mmol)中のカリウムトリフルオロペンタフルオロフェニルボラート、K[CBF(CN)](2.0mg,7.3mmol)の懸濁液を、磁気撹拌子を備え、還流コンデンサーを備えた50mlの二口フラスコ中に、アルゴンの反流(counterstream)中で導入する。反応混合物を、3日間加熱還流し、全ての揮発性成分を真空中で留去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(10.8ml,81.1mmol)を、分留により回収する。
【0187】
残渣を、KCOを添加してTHF(80ml)中に取り込み、ろ過する。ろ過物を、10mlの体積まで蒸発させ、実質的に無色のK[CB(CN)]が、CHCl(100ml)のゆっくりとした添加により沈殿する。沈殿物をろ過し、真空中で乾燥する。カリウムトリシアノペンタフルオロフェニルボラート、K[CB(CN)]の収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロフェニルボラートに基づき、1.7g(5.9mmol)、81%である。
【化27】

【0188】
例10.テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−[(n−CN][CFBF(CN)]
【化28】

例2において記載したように調製した、カリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBFCN](0.5g,2.7mmol)を、脱イオン水(20ml)に溶解し、[nBuN]Br(1.7g,5.4mmol,20ml)の水溶液を、撹拌しながらゆっくりと加える。
【0189】
生成した無色の沈殿物をろ別し、真空中で乾燥する。テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートに基づき、0.7g(1.9mmol)、67%である。
【0190】
【化29】

【0191】
【化30】

シアン化ナトリウム(13.1g,267.3mmol)およびヨウ化ナトリウム(3.8g,25.4mmol)を、130℃で、真空中4時間以内で、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中で乾燥する。アセトニトリル(15ml)およびトリメチルシリルクロリド(30.0ml,25.8g,237.5mmol)を、続いて加える。
【0192】
懸濁液を、50℃で24時間、室温で3日間撹拌する。K[CFBF](0.5g,2.8mmol)を、次いでアルゴンの反流中で加え、反応混合物を、50℃で24時間、続いて80℃で4日間撹拌する。全ての揮発性成分を、室温で、真空中で除去する。トリメチルシリルシアニド(28.2ml,211.2mmol)を、濃縮相(condensed-off phase)からの副生成物として分留により単離し、さらなる反応で用いる。
【0193】
固体残渣を、脱イオン水(15ml)中に取り込む。30%のH水溶液(25ml)およびKCOを、撹拌しながら得られた溶液に加え、混合物を1時間撹拌する。溶液を、真空中で蒸発乾固し、残渣を、アセトン(3×50ml)で抽出する。脱イオン水(30ml)を、合わせた有機相に加え、アセトンを真空中で除去する。
【0194】
純粋な[(nBuN][CFBF(CN)]が、脱イオン水(20ml)中の[nBuN]Br(1.0g,3.1mmol)の溶液の添加により得られる。テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートに基づき、0.9g(2.4mmol)、86%である。
Hおよび13CのNMRスペクトルは、例10、Aにおいて示された値と一致する。
【0195】
例11.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−[C11][CFBF(CN)]
【化31】

例2において記載したように調製した、K[CFBF(CN)](5.9g,32.5mmol)を、激しく撹拌しながら、脱イオン水(20ml)中の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(5.0g,34.1mmol)の溶液に加え、混合物を、10分間撹拌する。
【0196】
水相を、続いてピペットを用いてイオン液体から分離し、再蒸留水(4×5ml)で洗浄し、50℃で、高真空中で乾燥する。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートに基づき、5.7g(22.4mmol)、69%である。
融点:13℃。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):40ppm。動的粘度(20℃):16.5mPa・s,(40℃):10.3mPa・s,(60℃)6.9mPa・s,(80℃)5.0mPa・s。
【0197】
【化32】

【0198】
例12.1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−[C13][CFBF(CN)]
【化33】

カリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート K[CFBF(CN)](8.0g,43.7mmol)を、脱イオン水(5ml)中に取り込み、10mlの脱イオン水中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド[EDMIM]Cl(7.7g,47.9mmol)の溶液を加える。
【0199】
得られたイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で2日間乾燥する。1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート K[CFBF(CN)]に基づき、11.2g(39.4mmol)、90%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:28ppm,フッ化物:236ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):57ppm。動的粘度(20℃):51.6mPa・s。
【0200】
【化34】

【0201】
例13.テトラフェニルホスホニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−[(CP][CFBF(CN)]
【化35】

カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF](0.3g,1.7mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に導入する。トリメチルシリルシアニド(5.0ml,37.5mmol)を、アルゴン雰囲気下で加える。反応混合物を、室温で24時間撹拌する。
【0202】
全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどのトリメチルシリルシアニド(4.3ml,32.3mmol)を、分留により回収する。残渣を、脱イオン水(10ml)に溶解し、脱イオン水(20ml)に溶解させた[PhP]Br(1.2g,2.8mmol)を使用して沈殿させ、ろ別し、真空中で乾燥する。テトラフェニルホスホニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量:用いたカリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF]に基づき、0.8g(1.7mmol)、97%である。
融点:219℃。
【0203】
【化36】

【0204】
例14.N−ブチル−N−メチルピロリジニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート−[C20N][CFBF(CN)]
【化37】

例2において記載したように調製した、K[CFBF(CN)](220mg,1.2mmol)を、脱イオン水(5ml)に溶解し、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド(250mg,1.4mmol)を加える。生成したイオン液体を、CHCl(2×10ml)で抽出する。
【0205】
ジクロロメタン溶液を、MgSOを使用して乾燥し、ろ過し、CHClを、ロータリーエバポレーターを使用して除去する。室温で液体である、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF(CN)]に基づき、293mg(1.0mmol)、85%である。
【0206】
【化38】

【0207】
例15.テトラフェニルホスホニウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラート−[(CP][CFBF(CN)
【化39】

微粉末化したシアン化カリウム(30.1g,462.2mmol)およびヨウ化カリウム(6.1g,36.7mmol)を、115℃で、真空中5時間以内で、磁気撹拌子および還流コンデンサーを備えた100mlのフラスコ中で乾燥する。トリメチルシリルクロリド(32.0ml,27.4g,252.2mmol)を、続いて加え、反応混合物を、還流下で24時間加温する(60〜80℃;浴温度)。
【0208】
元素ヨウ素(1.0g,3.9mmol)を、次いでアルゴンの反流中で加え、混合物を、110℃で還流がもはや観測されなくなるまで加熱する。K[CFBF](1.6g,9.1mmol)を、室温で加え、反応混合物を、還流下で48時間加温する。全ての揮発性成分を、続いて真空中で、100℃で除去し、KCO(2g)を、得られた残渣に加え、それを次いでTHF(4×50ml)で抽出する。水酸化カリウム水溶液(1g,17.8ml,150ml)を、合わせたTHF相に加える。THFを、70℃で、ロータリーエバポレーターを使用して分離する。
【0209】
[PhP]Br水溶液(4.5g,10.7mmol,100ml)を、反応混合物にゆっくりと加える。無色の沈殿物を、ろ別し、アセトン(150ml)中に取り込み、セライトを加える。混合物を、ろ過し、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して体積を5mlまで蒸発させる。ジエチルエーテル(100ml)のゆっくりとした添加により、無色の[PhP][CFBF(CN)]が沈殿する。テトラフェニルホスホニウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、用いたカリウムトリフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF]に基づき、2.5g(5.1mmol)、56%である。
【0210】
【化40】

【0211】
例16.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラート−[C11][CFBF(CN)
【化41】

例3において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラート、K[CFBF(CN)](5.0g,26.3mmol)を、脱イオン水(15ml)に溶解し、激しく撹拌しながら、脱イオン水(15ml)中の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(3.8g;26.3mmol)の溶液を加える。
【0212】
混合物を、10分間撹拌する。水相を、続いてピペットを使用して除去し、得られた無色のイオン液体を、再蒸留水(4×5ml)で洗浄し、続いて真空中で、50℃で乾燥する。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロトリフルオロメチルボラートの収量は、5.5g(21.1mmol,80%)である。融点:−29℃。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):20ppm。動的粘度(20℃):14.0mPa・s,(40℃):8.6mPa・s,(60℃)5.8mPa・s,(80℃)4.2mPa・s。
【0213】
【化42】

【0214】
例17.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C11][CBF(CN)]
【化43】

A.
例5において記載したように調製した、カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)](6.9g,29.6mmol)および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(4.5g;30.7mmol)を、CHCl(100ml)および脱イオン水(20ml)の混合物中に取り込み、1時間撹拌する。
【0215】
水相を、続いて分離し、有機相を脱イオン水(5×50ml)で、AgNOを使用した塩化物イオンの試験が陰性になるまで洗浄する。ジクロロメタン相を、MgSOを使用して乾燥し、ろ過し、60℃でロータリーエバポレーターを使用して蒸発させる。得られた実質的に無色の液体を、50℃で、真空中で乾燥する。液体の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]に基づき、6.5g(21.3mmol)、72%である。融点:<−55℃;225℃から分解。動的粘度(20℃):17.6mPa・s,(40℃):10.8mPa・s,(60℃)7.2mPa・s,(80℃)5.2mPa・s。
【0216】
【化44】

【0217】
B.
カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](1.0g,4.42mmol)および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(650mg,4.43mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた10mlの反応容器中に秤量する。脱イオン水(1ml)を加え、反応混合物を、15分間撹拌する。
【0218】
水相を分離し、残留するイオン液体を、脱イオン水(1ml)で洗浄し、50℃で、真空中で4時間乾燥する。NaCN(660mg,13.46mmol)およびトリメチルシリルクロリド、(CHSiCl(1.7ml,13.45mmol)を次いで加え、反応混合物を、60℃(油浴温度)で10時間撹拌する。
【0219】
揮発性成分を、真空中で除去し、得られた懸濁液を、脱イオン水(3×2ml)で洗浄し、透明なイオン液体を、50℃で、真空中で乾燥する。室温で液体の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF]に基づき、1.2g(3.93mmol)、89%である。生成物の純度は、11B−および19F−NMRスペクトル調査によれば、≧98%である。
【0220】
例18.1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C13][CBF(CN)]
【化45】

カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](4.2g,18.0mmol)を、脱イオン水(2ml)中に取り込み、3mlの脱イオン水中の1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド[EDMIM]Cl(3.2g,19.9mmol)の溶液を加える。
【0221】
得られたイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で乾燥する。室温で液体である、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.1g(15.9mmol)、88%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:7ppm,臭化物:16ppm,フッ化物:14ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):161ppm。動的粘度(20℃):47.2mPa・s。
【0222】
【化46】

【0223】
例19.1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C15][CBF(CN)]
【化47】

例5において記載したように調製した、カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](4.0g,17.1mmol)を、脱イオン水(2ml)に溶解し、3mlの脱イオン水中の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[BMIM]Cl(3.4g,19.4mmol)を加える。得られたイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で乾燥する。
【0224】
室温で液体である、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.2g(15.6mmol)、91%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:<5ppm,臭化物:5ppm,フッ化物:22ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):25ppm。動的粘度(20℃):27.4mPa・s。
【0225】
【化48】

【0226】
例20.1−(2メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C13O][CBF(CN)]
【化49】

3mlの脱イオン水中の1−(2メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムブロミド[MOEMIM]Br(4.7g,21.2mmol)の溶液を、2mlの脱イオン水中のカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](4.5g,19.3mmol)の溶液に加える。得られたイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、60℃で、真空中で乾燥する。
【0227】
1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.7g(17.0mmol)、88%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;臭化物:<5ppm,塩化物:<5ppm,フッ化物:23ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):215ppm。動的粘度(20℃):27.1mPa・s。
【0228】
【化50】

【0229】
例21.テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(n−CN][CBF(CN)]
A.
【化51】

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](1.0g,4.4mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。フラスコを排気し、トリメチルシリルシアニド(25.0ml,187.5mmol)およびアセトニトリル(6ml)の混合物を、アルゴンの反流中で加える。還流コンデンサーを、アルゴンの反流中で取り付け、反応混合物に、マイクロ波(CEM Discover)(100W,Tmax=75℃)を10分間照射する。
【0230】
全ての揮発性成分を真空中で除去し、ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(21.5ml,161.1mmol)を、分留により回収する。残渣を、脱イオン水(10ml)に溶解する。実質的に無色の[n−BuN][CBFCN]が、脱イオン水(20ml)中の[n−BuN]Br(2.5g;7.8mmol)の水溶液の添加により沈殿する。テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF]に基づき、1.8g(4.1mmol)、93%である。
【0231】
【化52】

【0232】
【化53】

例5において記載したように調製した、カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBFCN](0.5g,2.1mmol)を、脱イオン水(50ml)に溶解し、[n−BuN]Br(1.4g,4.3mmol,100ml)の水溶液を、撹拌しながら加える。15分後、無色の沈殿物をろ別し、真空中で乾燥する。テトラ−n−ブチルアンモニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBFCN]に基づき、0.84g(1.9mmol)、90%である。Hおよび13CのNMRスペクトルは、例21、Aにおいて示された値と一致する。
【0233】
例22.トリブチルメチルアンモニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(CCHN][CBF(CN)]
【化54】

4mlの脱イオン水に溶解した、トリブチルメチルアンモニウムクロリド[(CCHN]Cl(4.3g,18.2mmol)を、カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](3.8g,16.3mmol)の水溶液(4ml)に加える。生成したイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、60℃で、真空中で乾燥する。
【0234】
トリブチルメチルアンモニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.7g(14.4mmol)、88%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:14ppm,臭化物:9,フッ化物:19ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):142ppm。動的粘度(20℃):216.7mPa・s。
【0235】
【化55】

【0236】
例23.N−ブチル−N−メチルピロリジニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C20N][CBF(CN)]
【化56】

A.カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](4.2g,18.0mmol)およびN−ブチル−N−メチルピロリジニウムクロリド[BMPL]Cl(3.5g,19.6mmol)を、各々2mlの脱イオン水に溶解する。溶液を合わせ、得られたイオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄する。無色の液体を、60℃で、真空中で乾燥する。
【0237】
室温で液体である、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.9g(17.5mmol)、97%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:8ppm,臭化物:6ppm,フッ化物:29ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):21ppm。動的粘度(20℃):43.2mPa・s。
【0238】
【化57】

【0239】
B.
カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](1.0g,4.4mmol)、およびN−ブチル−N−メチルピロリジニウムクロリド[BMPL]Cl(865mg,4.9mmol)を、脱イオン水(1ml)中に取り込む。懸濁液を、15分間撹拌する。水相を、続いて除去し、残留するイオン液体を、脱イオン水(1ml)で洗浄する。イオン液体を、50℃で、真空中で2時間乾燥する。NaCN(660mg,13.5mmol)を次いで加え、懸濁液を、50℃で、真空中で15分間乾燥する。
【0240】
トリメチルシリルクロリド(1.7ml,13.5mmol)を続いて加え、反応混合物を、60℃で24時間撹拌する。揮発性成分を真空中で除去し、残留する懸濁液をアセトン(10ml)中に取り込み、ろ過し(D4)、アセトン相を真空中で蒸発させる。
収量:1.2g(3.6mmol,81%)
H、19Fおよび11BのNMRスペクトルは、例23、Aにおいて示された値と一致する。
【0241】
例24.テトラフェニルホスホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(CP][CBF(CN)]
【化58】

カリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](495mg,2.2mmol)を、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)および磁気撹拌子を備えた円筒形の反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(7.0ml;52.5mmol)を、アルゴン雰囲気中で濃縮する。
【0242】
反応混合物を、100℃で5時間撹拌する。全ての揮発性成分を、続いて真空中で除去する。ほとんどの未反応のトリメチルシリルシアニド(6.1ml,45.7mmol)を、分留により回収する。残渣を、脱イオン水(15ml)に溶解し、脱イオン水(150ml)に溶解させた[PhP]Br(1.3g;3.1mmol)を加える。沈殿物をろ別し、真空中で乾燥する。固体で無色のテトラフェニルホスホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF]に基づき、1.1g(2.0mmol)、93%である。融点:130℃;310℃から分解。
【0243】
【化59】

【0244】
例25.トリブチルメチルホスホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(CCHP][CBF(CN)]
【化60】

カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](2.6g,11.1mmol)を、2mlの脱イオン水に溶解し、3mlの脱イオン水中のトリブチルメチルホスホニウムトリフルオロアセタート [(CCHP][CFCO](3.7g,11.1mmol)を加える。イオン液体を、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で乾燥する。
【0245】
トリブチルメチルホスホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、4.0g(9.7mmol)、87%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:8ppm,フッ化物:8ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):129ppm。
【0246】
【化61】

【0247】
例26.ジエチルメチルスルホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(CCHS][CBF(CN)]
【化62】

例5において記載したように調製した、カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](5.2g,22.3mmol)を、脱イオン水(2ml)に溶解し、ジエチルメチルスルホニウムトリフルオロメチルスルホナート水溶液(6.3g,24.8mmol,3ml)を加える。生成したイオン液体を、脱イオン水(6×2ml)で洗浄し、続いて室温で、高真空中で12時間、次いで60℃で24時間乾燥する。
【0248】
ジエチルメチルスルホニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、5.5g(18.4mmol)、82%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;臭化物:<5ppm,塩化物:<5ppm,フッ化物:31ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):94ppm。動的粘度(20℃):22.2mPa・s。
【0249】
【化63】

【0250】
例27.S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−[{(CHN}CSC][CBF(CN)]
【化64】

カリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](6.0g,25.7mmol)を、10mlの脱イオン水に溶解し、10mlの脱イオン水中のS−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムヨージド [{(CHN}CSC]I溶液(8.2g,28.4mmol)を、撹拌しながら加える。
【0251】
得られた黒色液体を、分離し、脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、次いで室温で、真空中で3日間乾燥する。粗生成物を、CHCl(100ml)に溶解し、活性炭と共にゆっくりと12日間撹拌する。混合物をろ過し、ジクロロメタンを、ロータリーエバポレーターを使用して除去する。
【0252】
琥珀色のイオン液体を、50℃で、高真空中で2日間乾燥する。S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、7.2g(20.2mmol)、78%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:12ppm,フッ化物:121ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):20ppm。動的粘度(20℃):40.2mPa・s。
【0253】
【化65】

【0254】
例28.テトラフェニルホスホニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(CP][CBF(CN)
【化66】

トリメチルシリルシアニド(0.7ml,5.2mmol)中のカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF](50mg,0.22mmol)の溶液を、逐次的に70℃で7時間、100℃で5時間、125℃で7.5時間、140℃で5時間、次いで150℃で72時間、ガラスバルブおよびPTFEスピンドル(Young, London)を備えたNMRチューブ中で加熱する。
【0255】
溶液を真空中で蒸発させ、残渣をアルカリ性水溶液(0.1gのKOH,10ml)中に取り込み、脱イオン水(50ml)に溶解させた[PhP]Br(0.5g,1.2mmol)を滴加する。生成した無色の沈殿物を、ろ別し、真空中で乾燥する。テトラフェニルホスホニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムトリフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF]に基づき、85mg(0.16mmol)、73%である。融点:103℃。
【0256】
【化67】

【0257】
例29.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C11][CBF(CN)
【化68】

例6において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)](7.0g,29.2mmol)および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(5.0g,34.1mmol)を、再蒸留水(15ml)中に取り込み、撹拌する。
【0258】
水相を、続いて分離し、イオン液体を、再蒸留水(4×5ml)で洗浄し、分離し、続いて50℃で、高真空中で乾燥する。実質的に無色の液体の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]に基づき、6.4g(20.5mmol)、70%である。融点:−48℃。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):6ppm。動的粘度(20℃):16.4mPa・s,(40℃):9.8mPa・s,(60℃)6.5mPa・s,(80℃)4.6mPa・s。
【0259】
【化69】

【0260】
例30.1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C15][CBF(CN)
【化70】

例6において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)](5.0g,20.8mmol)および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[BMIM]Cl(4.0g,22.9mmol)を、各々2mlの脱イオン水に溶解する。
【0261】
2つの溶液を合わせ、生成したイオン液体を、分離し、続いて脱イオン水(4×2ml)で洗浄し、分離する。得られた実質的に無色の液体を、60℃で、真空中で乾燥する。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、6.5g(19.1mmol)、92%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;塩化物:10ppm,フッ化物:6ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):154ppm。動的粘度(20℃):25.1mPa・s。
【0262】
【化71】

【0263】
例31.1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C13O][CBF(CN)
【化72】

例6において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](5.1g,21.2mmol)および1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド[MOEMIM]Br(5.1g,23.0mmol)を、各々2mlの脱イオン水に溶解する。2つの溶液を合わせ、得られたイオン液体を、分離し、続いて脱イオン水(4×2ml)で洗浄する。
【0264】
得られた実質的に無色の液体を、60℃で、真空中で乾燥する。1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、6.9g(20.1mmol)、95%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;臭化物:<5ppm,塩化物:<5ppm,フッ化物:<5ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):114ppm。動的粘度(20℃):25.5mPa・s。
【0265】
【化73】

【0266】
例32.テトラ−n−ブチルアンモニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[(n−CN][CBF(CN)
【化74】

例6において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)](500mg,2.1mmol)を、脱イオン水(10ml)に溶解し、脱イオン水(20ml)中の[n−BuN]Br(0.8g;2.5mmol)の溶液を加える。
【0267】
生成した微沈殿物を、CHCl(2×30ml)で抽出する。合わせた有機相を、MgSOを使用して乾燥し、ろ過し、溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して除去する。テトラ−n−ブチルアンモニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート、K[CBF(CN)]に基づき、658mg(1.5mmol)、71%である。融点:52℃。
【0268】
【化75】

【0269】
例33.N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート−[C20N][CBF(CN)
【化76】

例6において記載したように調製した、カリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](5.0g,20.8mmol)およびN−ブチル−N−メチルピロリジニウムクロリド[BMPL]Cl(4.1g,23.0mmol)を、各々2mlの脱イオン水に溶解する。2つの溶液を合わせ、得られたイオン液体を、分離し、続いて脱イオン水(4×2ml)で洗浄する。
【0270】
得られた無色の液体を、60℃で、真空中で乾燥する。N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラートの収量は、用いたカリウムジシアノフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)]に基づき、6.6g(19.2mmol)、92%である。生成物は、イオンクロマトグラフィーにより分析し、低レベルのハロゲン化物汚染を有する;臭化物:<5ppm,塩化物:10ppm,フッ化物:<5ppm。水分含有量(カール・フィッシャー滴定):191ppm。動的粘度(20℃):38.5mPa・s。
【0271】
【化77】

【0272】
例34.テトラフェニルホスホニウムジシアノフルオロペンタフルオロフェニルボラート−[(CP][CBF(CN)
【化78】

乾燥(dry)シアン化ナトリウム(12.5g,255.1mmol)およびヨウ化ナトリウム(3.8g,25.1mmol)を、最初に撹拌子および還流コンデンサーを備えた100mlの広口フラスコに導入する。アセトニトリル(5ml)およびトリメチルシリルクロリド(30ml,25.8g,237.5mmol)を、アルゴンの反流中で加える。懸濁液を、還流下で4日間加熱した後、K[CBF](1.0g,3.6mmol)を加え、混合物を、還流下でさらに20時間加熱する。
【0273】
全ての揮発性成分を、続いて真空中で濃縮し、生成したトリメチルシリルシアニド(26.9ml,201.8mmol)を、分留により精製する。固体残渣を、KCOの添加と共に脱イオン水(10ml)に溶解する。得られた水相を、THF(4×20ml)で抽出する。合わせた有機相を、KCOで乾燥し、ロータリーエバポレーター中で、50℃で蒸発乾固する。
【0274】
残渣を、脱イオン水(20ml)に溶解し、[PhP]Br水溶液(1.8g,4.3mmol,120ml)を滴加する。得られた懸濁液を、CHCl(3×20ml)で抽出する。不純物を、EtO(50ml)の合わせたジクロロメタン相への添加により沈殿させ、ろ別する。ろ過物をわずかに濃縮し、8℃で4日間保管する。生成した結晶をろ過し、真空中で乾燥する。収量:0.6g(1.1mmol,30%)
【0275】
ボラートアニオンに関する生成物組成を、11B−NMR分光法により、[CBF(CN)(80%)、[CB(CN)(16%)および未知種(4%)として決定した。
【化79】

【0276】
例35.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノトリフルオロメチルボラート−[C11][CFB(CN)
【化80】

カリウムトリシアノトリフルオロメチルボラート K[CFB(CN)](96mg,0.48mmol)を、脱イオン水(1ml)に溶解し、1mlの脱イオン水中の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(100mg,0.68mmol)の溶液を加える。
【0277】
水相を分離し、得られたイオン液体を、脱イオン水(2×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で乾燥する。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノトリフルオロメチルボラートの収量は、98mg(0.39mmol)である。これは、用いたカリウムトリシアノトリフルオロメチルボラート K[CFB(CN)]に基づき、収量の75%に相当する。生成物を、NMR分光法により特性評価する。
【0278】
【化81】

【0279】
例36.1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノペンタフルオロエチルボラート−[C11][CB(CN)
【化82】

カリウムトリシアノペンタフルオロエチルボラート K[CB(CN)](160mg,0.64mmol)を、脱イオン水(1ml)に溶解し、1mlの脱イオン水中の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド[EMIM]Cl(120mg,0.81mmol)の溶液を加える。
【0280】
水相を分離し、得られたイオン液体を、脱イオン水(2×2ml)で洗浄し、分離し、50℃で、真空中で乾燥する。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノペンタフルオロエチルボラートの収量は、180mg(0.56mmol)である。これは、用いたカリウムトリシアノペンタフルオロエチルボラート K[CB(CN)]に基づき、収量の87%に相当する。生成物を、NMR分光法により特性評価する。
【0281】
【化83】

【0282】
例37.リチウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート−Li[CBF(CN)]
アセトニトリル中のリチウムテトラフルオロボラート溶液(0.95M,4.52ml,4.29mmolのLiBF)を、室温で、アセトニトリル(3ml)中のカリウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート K[CBF(CN)](1.0g,4.29mmol)の溶液に加える。得られた懸濁液を、0℃でろ過し、沈殿物(KBF)を、アセトニトリル(0℃,3ml)ですすぎ、真空中で乾燥する。ろ過物を真空中で蒸発させ、残渣を、50℃で、真空中で20時間乾燥する。
【0283】
カリウムテトラフルオロボラート KBFの収量は、0.53g(4.20mmol,98%)である。リチウムシアノジフルオロペンタフルオロエチルボラート Li[CBF(CN)]の収量は、定量的である。生成物を、NMRスペクトルで特性評価する。
【化84】

【0284】
例38.カリウムジシアノフルオロフェニルボラート−K[CBF(CN)

K[CBF](0.5g,2.7mmol)を、トリメチルシリルシアニド(10.0ml,74.9mmol)中に懸濁させ、室温で2日間撹拌する。得られたわずかに黄色の溶液を蒸発乾固し、アセトン(3ml)に溶解する。K[CBF(CN)]が、CHCl(150ml)の添加により沈殿し、ろ別し、真空中で乾燥する。
収量:520mg(2.62mmol,97%)。
【0285】
【化85】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
a+[B(R)(CN)(F) I、
式中、
a+は、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、カルシウムカチオン、NHまたは有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
aは、1または2であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+y=3、である、
で表される塩の調製方法であって、
式II
Me[B(R)F II、
式中、
Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、Rは、上記に示した意味を有する、
である、
で表されるアルカリ金属の、トリアルキルシリルシアニドとの反応により、式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
式中、
Me、R、xおよびyは、上記に示した意味を有し、トリメチルシリルシアニドのアルキル基は、各場合において、互いに独立して、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のアルキル基である、
である、
で表される塩を得て、
およびそれに続く、式IIIで表される塩の、式IV、
MA IV、
式中、
Mは、Ma+について示した意味を有し、
Aは、アニオンF、Cl、Br、I、OH、[HF、[CN]、[SCN]、[RCOO]、[RSO、[RCOO]、[RSO、[ROSO、[SiF2−、[BF、[SO2−、[HSO1−、[NO、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、[(RO)P(O)O]、[(RO)P(O)O2−、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、トシラート、ベンゾアート、オキサラート、スクシナート、スベラート、アスコルバート、ソルバート、タルトラート、シトラート、マラート、マロナート、任意に1〜4個のC原子を有するアルキル基により置換されたマロナートまたは[CO2−の群から選択され、
ここで、各場合におけるRは、互いに独立して、Hおよび/または1〜12個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基を示し、
各場合におけるRは、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する、部分的にフルオロ化されたまたはパーフルオロ化された直線状のまたは分枝状のアルキル基あるいはペンタフルオロフェニルを示し、ここで、電気的中性が、塩MAの式において確保されなければならない、
で表される塩との塩交換反応による、
前記調製方法。
【請求項2】
式Ia
[B(R)(CN)(F) Ia、
で表されるアニオンを有する式Iの塩の調製のための、請求項1に記載の方法であって、
式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応を、10℃〜110℃の温度でまたは100Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
式Ib
[B(R)(CN)(F)] Ib、
で表されるアニオンを有する式Iの塩の調製のための、請求項1に記載の方法であって、
式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応を、115〜200℃の温度でまたは200Wでのマイクロ波照射で行うことを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
式Ic、
[B(R)(CN) Ic、
で表されるアニオンを有する式Iの塩の調製のための、請求項1に記載の方法であって、
式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応を、200Wより大きいマイクロ波照射で行うことを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
トリアルキルシリルシアニドを、in situでアルカリ金属シアン化物およびトリアルキルシリルクロリドから、アルカリ金属ヨウ化物および任意にヨウ素の存在下で、式IIで表される化合物との反応の前に調製することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式IIで表される化合物のトリアルキルシリルシアニドとの反応後に、容易に揮発する副生成物を分離するが、式IIIで表される化合物を、さらに精製せずに、式IVで表される化合物とさらに反応させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式Iで表される化合物を調製し、ここで、有機カチオンMa+が、以下の式(1)〜(8)、
[N(R) (1)、
[S(R) (2)または
[O(R) (3)
式中、
Rは、各場合において、互いに独立して、
− H、ここで、全ての置換基Rは、同時にHであることができず、
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−NR1*、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上のRは、完全に置換されていてもよく、および/または1個または2個以上のRは、部分的に置換されていてもよく、
およびここで、ラジカルRのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
[P(R (4)、
式中、
は、各場合において、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上のRは、完全に置換されていてもよく、および/または1個または2個以上のRは、部分的に置換されていてもよく、
およびここで、Rのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
[C(NR)(OR)(NR)] (5)
または[C(NR)(SR)(NR)] (6)、
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OH、−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上の置換基R〜Rは、部分的にまたは完全に置換されていてもよく、
およびここで、R〜Rのα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (7)、
式中、
〜R13は、各々、互いに独立して、
− H、NR1*
− 1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− 2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
を示し、
ここで、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRにより、1個または2個以上の置換基R〜R13は、部分的にまたは完全に置換されていてもよく、
およびここで、R〜R13のα位ではない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよい、
であり;または
[HetN] (8)、
ここで、[HetN]は、
【化1】

【化2】

を含む群から選択されるヘテロ環式カチオンであり、
式中、
1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
− H、ただし、R1’およびR4’は、同時にHであることができないという制限があり、
− フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキル、
− また、フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、2〜20個のC原子および1個または2個以上の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルケニル、
− また、フルオロ化またはパーフルオロ化されていてもよい、2〜20個のC原子および1個または2個以上の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状のアルキニル、
− 1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
− 飽和、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜C−アルキルまたはアリール−C〜C−アルキル
を示し、
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’は、一緒になって環系を形成してもよく、
ここで、1個または2個以上のR1’〜R4’は、ハロゲンにより、または部分的に−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRにより、部分的にまたは完全に置換されていてもよいが、ここで、R1’およびR4’は、同時にハロゲンにより完全に置換されていることはできず、およびここで、置換基R1’〜R4’のヘテロ原子に結合していない1個または2個の隣接しない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択される、原子および/または原子団により置き換えられていてもよく;
ここで、Rは、H、フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換されたフェニルを表し、R1*は、フルオロ化されていない、部分的にまたはパーフルオロ化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換されたフェニルを表す、
で表されるカチオンの群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式III
Me[B(R)(CN)(F) III、
式中、Meは、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここでパーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+yは、3である、
で表される化合物の、
式II
Me[B(R)F II、
式中、
MeおよびRは、上記の意味を有する、
で表されるアルカリ金属塩と、トリアルキルシリルシアニドとの反応による調製方法であって、前記トリアルキルシリルシアニドのアルキル基は、各場合において、互いに独立して、1〜4個のC原子を有する、直線状のまたは分枝状のアルキル基である、前記方法。
【請求項9】
式中、x=1、y=2である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、10℃〜110℃の温度でまたは100Wのマイクロ波照射で行うこと、式中、x=2およびy=1である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、115〜200℃の温度でまたは200Wのマイクロ波照射で行うこと、あるいは式中、x=3およびy=0である、式IIIで表される化合物の調製のための反応を、200Wより大きいマイクロ波照射で行うことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式III
a+[B(R)(CN)(F) I、
式中、Ma+は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
aは、1であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、ここで、0は、R=Cについて除外され、および
x+yは、3である、
で表される塩。
【請求項11】
カリウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、カリウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、カリウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、カリウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、カリウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、カリウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、カリウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、カリウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、カリウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、カリウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、カリウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウムフェニルジシアノフルオロボラート、カリウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、カリウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、カリウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、カリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、カリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはカリウム3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、リチウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、リチウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、リチウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、リチウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、リチウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、リチウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、リチウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウムフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、リチウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、リチウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、リチウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、リチウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはリチウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、ナトリウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、ナトリウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、ナトリウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、ナトリウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ナトリウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、ナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはナトリウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、セシウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、セシウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、セシウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、セシウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロ−ボラート、セシウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、セシウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、セシウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウムフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、セシウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、セシウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、セシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、セシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはセシウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムトリフルオロメチルトリシアノボラート、ルビジウムペンタフルオロエチルトリシアノボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルトリシアノボラート、ルビジウムトリフルオロメチルジシアノフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロエチルジシアノフルオロボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルジシアノフルオロボラート、ルビジウムトリフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロメチルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムヘプタフルオロプロピルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムノナフルオロブチルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルトリシアノボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムペンタフルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムフェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルトリシアノボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルジシアノフルオロボラート、ルビジウムp−フルオロフェニルモノシアノジフルオロボラート、ルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルトリシアノボラート、ルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルジシアノフルオロボラートまたはルビジウム3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルモノシアノジフルオロボラート、
から選択される、請求項10に記載の塩。
【請求項12】
式III
a+[B(R)(CN)(F) I、
式中、
a+は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
aは、1であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+yは、3である、
で表される化合物、または請求項11に記載の化合物、
を含む電解質。
【請求項13】
式III
a+[B(R)(CN)(F) I、
式中、
a+は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムまたはルビジウム塩であり、
は、1〜4個のC原子を有する、直線状のもしくは分枝状のパーフルオロ化されたアルキル基、C、C、部分的にフルオロ化されたフェニル、または1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基により一置換または二置換されたフェニルを示し、ここで前記パーフルオロアルキル基は互いに独立して選択され、
aは、1であり、
xは、1、2または3であり、
yは、0、1または2であり、および
x+yは、3である、
で表される化合物、または請求項11に記載の化合物、
あるいは請求項12に記載の電解質、
を含む電気化学電池。
【請求項14】
リチウムイオンバッテリー、リチウムイオンキャパシタまたはリチウムバッテリーであることを特徴とする、請求項13に記載の電気化学電池。

【公表番号】特表2013−517231(P2013−517231A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548373(P2012−548373)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000090
【国際公開番号】WO2011/085966
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】