パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法
【課題】パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法を開発する。
【解決手段】スルホキシド類、過酸化物および鉄化合物の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類とキノリン類とを反応させることにより、医農薬合成中間体および機能性材料として有用なパーフルオロアルキル基を有するキノリン類を効率良く製造する。
【解決手段】スルホキシド類、過酸化物および鉄化合物の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類とキノリン類とを反応させることにより、医農薬合成中間体および機能性材料として有用なパーフルオロアルキル基を有するキノリン類を効率良く製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキル基を有するキノリン類は、特異な性質を持ち、医農薬合成中間体(特許文献1)、有機非線形光学材料(特許文献2)、発光材料(特許文献3)など、さまざまな分野で用いられる工業的に重要な化合物である。そのため、キノリン類にパーフルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基を直接導入する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献4には、亜ジチオン酸ナトリウムの存在下、臭化トリフルオロメチルと8−ヒドロキシキノリンを反応させることにより、8−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルキノリンが製造できることが開示されている。この方法では、10気圧以上の反応条件にもかかわらず、収率が低い点が問題である。非特許文献1には、亜鉛−二酸化イオウの存在下、ヨウ化トリフルオロメチルと8−アミノキノリンを反応させることにより、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリンと8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンの混合物が得られることが開示されている。この方法では、毒性の高いイオウ化合物を用いるため、工業的規模では使用し難い。
【特許文献1】EP第427605号明細書
【特許文献2】特開平3−284734号公報
【特許文献3】特開平11−279152号公報
【特許文献4】特開平1−100135号公報
【非特許文献1】Journal of Heterocyclic Chemistry、31巻、1413−1416ページ、1994年. また、5,7−ビス(パーフルオロアルキル)−8−ヒドロキシキノリンおよび5,7−ビス(パーフルオロアルキル)−8−アミノキノリンに関しては、これまでに報告例がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の簡便で効率の良い製造方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般式(1)
【0005】
【化1】
【0006】
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1〜12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]
で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、
一般式(2)
【0007】
【化2】
【0008】
[式中、Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、
一般式(3)
【0009】
【化3】
【0010】
[式中、R2は、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表されるキノリン類とを反応させ、
一般式(4)
【0011】
【化4】
[式中、RfおよびR2は、上記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]
で表されるパーフルオロアルキル基を有するキノリン類
を得ることを特徴とするパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、医農薬中間体として有用なパーフルオロアルキル基を有するキノリン類およびそれらを簡便で効率の良い製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、反応試剤として、上記一般式(1)で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類により、キノリン類を一段でパーフルオロアルキル化し、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類を製造するものである。
【0014】
ここで、反応試剤を構成する一般式(1)で表されるスルホキシド類において、R1aおよびR1bで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、具体的には、メチル基、ブチル基、ドデシル基などが例示できる。また、R1aおよびR1bで示される置換されていても良いフェニル基としては、具体的には、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基などが例示できる。R1aおよびR1bは、収率が良い点でメチル基、ブチル基、フェニル基が望ましく、メチル基がさらに望ましい。
【0015】
一般式(1)で表されるスルホキシド類の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジ−sec−ブチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、(R)−(+)−メチル−p−トリルスルホキシド、(S)−(−)−メチル−p−トリルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドなどが挙げられる。スルホキシド類としては、収率がよく、安価である点で、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドが好ましく、さらに好ましくはジメチルスルホキシドである。
【0016】
また、反応試剤を構成する過酸化物としては、例えば過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、t−ブチルぺルオキシド、過酢酸などが挙げられ、これらを必要に応じて組み合わせて用いてもよい。収率が良い点で、過酸化水素または過酸化水素−尿素複合体が好ましい。
過酸化水素は、水で希釈して用いてもよい。その際の濃度は、3〜70重量%であればよいが、市販の35重量%水溶液をそのまま用いてもよい。収率がよく、かつ安全な点で、水で希釈して10〜30重量%とすることがさらに好ましい。
【0017】
さらに、反応試剤を構成する鉄化合物は、収率が良い点で鉄(II)塩が好ましく、例えば硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)またはヨウ化鉄(II)などの無機酸塩や、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄などの有機金属化合物などが挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。また、鉄粉、または鉄(I)塩と過酸化物のような酸化試薬を組み合わせて、系内で鉄(II)塩を発生させて用いることもできる。その際、本発明の反応試剤を構成する過酸化物をそのまま酸化試薬として用いることもできる。
上記鉄化合物のうち、収率が良い点で、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、または鉄粉を用いることが好ましい。
これらの鉄化合物は、固体のまま用いても良いが、溶液として用いることもできる。溶液として用いる場合、溶媒としては後記の溶媒のいずれでも良いが、中でも水が望ましい。その際の鉄化合物溶液の濃度は、0.1〜10mol/Lが望ましく、0.5〜5mol/Lがさらに望ましい。
【0018】
以上の反応試剤における各成分の使用割合は、次のとおりである。
すなわち、上記一般式(3)で表されるキノリン類と上記スルホキシド類とのモル比は、1:1〜1:200が望ましく、収率が良い点で1:10〜1:100がさらに望ましい。
また、上記キノリン類と過酸化物のモル比は、1:0.1〜1:10が望ましく、収率が良い点で1:1.5〜1:3がさらに望ましい。
さらに、上記キノリン類と鉄化合物のモル比は、1:0.01〜1:10が望ましく、収率が良い点で、1:0.1〜1:1がさらに望ましい。
【0019】
本発明で用いられる反応試剤には、酸を添加することにより目的物の収率が向上することがある。添加する酸は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸またはテトラフルホロホウ酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸のいずれでも良く、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で硫酸を単独で用いることが望ましい。
これらの酸は、希釈して用いても良い。その際の溶媒は後記の溶媒であれば良く、中でも水または上記スルホキシド類が望ましい。希釈して用いる場合の酸の濃度は、0.1〜10mol/Lが望ましく、0.5〜5mol/Lがさらに望ましい。
上記キノリン類と添加する酸のモル比は、1:0.001〜1:5が望ましく、収率が良い点で、1:0.01〜1:2がさらに望ましい。
【0020】
次に、本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の出発物質は、上記一般式(2)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、上記一般式(3)で表されるキノリン類である。
【0021】
ここで、一般式(2)において、Rfで示される炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基としては、具体的にはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロプロピルメチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルプロピル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−1−メチルブチル基、パーフルオロ−2−メチルブチル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロシクロブチルメチル基、パーフルオロ−2−シクロプロピルエチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロ−1−メチルペンチル基、パーフルオロ−2−メチルペンチル基、パーフルオロ−3−メチルペンチル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−3,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1−エチルブチル基、パーフルオロ−2−エチルブチル基、パーフルオロ−1,1,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−1−メチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−2−メチルプロピル基またはパーフルオロシクロヘキシル基などが例示できる。医農薬合成中間体および機能性材料として有用な点で、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基またはパーフルオロヘキシル基が望ましく、トリフルオロメチル基がさらに望ましい。
【0022】
また、一般式(2)において、Xは、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示できる。収率が良い点でヨウ素原子または臭素原子が望ましく、ヨウ素原子がさらに望ましい。
【0023】
一方、一般式(3)で表されるキノリン類において、R2で表される炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基としては、具体的には、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ブチルメチルアミノ基などが例示できる。
なお、一般式(3)のR2および一般式(5)のR2aは、医農薬合成中間体および機能性材料として有用な点で、水酸基またはアミノ基が望ましい。
【0024】
以上のキノリン類とハロゲン化パーフルオロアルキル類とのモル比は、1:1〜1:100が望ましく、収率が良い点で1:1.5〜1:10がさらに望ましい。
【0025】
次に、本発明の製造方法について、詳細に述べる。
本発明の反応は、上記スルホキシド類をそのまま溶媒として用いても良い。また、これらのスルホキシド類に対する上記キノリン類、過酸化物、鉄化合物、ハロゲン化パーフルオロアルキル類および酸の溶解度に応じて他の溶媒を用いても良い。用いることのできる溶媒は、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルアルコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素またはN,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で、水、上記スルホキシド類または水とスルホキシド類の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0026】
反応温度は、0℃〜120℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で20℃以上が望ましく、過酸化物の分解を抑制する点で100℃以下が望ましい。また、本反応は、発熱反応であるため、反応のスケールにもよるが、室温で反応を開始しても、自発的に系内の温度は40℃程度〜70℃程度に上昇する。この温度範囲でも、目的物を収率良く得ることができる。
反応を密閉系で行う場合、大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素などの不活性ガスでも良いが、空気中でも充分に進行する。
なお、上記ハロゲン化パーフルオロアルキル類が、室温で気体の場合は、気体のまま用いても良い。その際、アルゴン、窒素、空気、ヘリウム、酸素などの気体で希釈して混合気体としても良く、ハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率が1〜100%の気体として用いることができる。密閉系で反応を実施する場合、ハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体を反応雰囲気として用いることができる。その際の圧力は、大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、開放系でハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体をバブリングして反応溶液中に導入しても良い。その際のハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体の導入速度は、反応のスケール、反応試剤量、反応温度、混合気体のハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率にもよるが、毎分1mL〜200mLの範囲から選ばれた速度で良い。
【0027】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華などの汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0028】
このようにして得られる本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類は、上記一般式(4)で表されるが、さらに好ましくは下記一般式(5)で表される。
【0029】
【化5】
[式中、Rfは、上記と同じ内容を示し、R2aは炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において、1H−NMRおよび19F−NMRはBruker Avance250(250MHzおよび235MHz)を、13C−NMRはBruker Avance500(125MHz)を用いてそれぞれ測定した。また、Massスペクトルは、SHIMAZU GAS CROMATOGRAPH MASS SPECTROMETER GCMS−QP2010およびWaters micromassZQを用いて測定した。
【0031】
実施例1
下記反応式に従い、5−トリフルオロメチルキノリンを製造した。
【0032】
【化6】
【0033】
アルゴン気流中で二口フラスコにキノリン0.12mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加え密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、5−トリフルオロメチルキノリン(生成率9.8%)の生成を確認した。反応溶液に水を加えて炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、目的物を酢酸エチルに抽出した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、5−トリフルオロメチルキノリンを淡黄色液体として(0.006g、収率3.0%)得た。
なお、上記括弧内の『mmol』は、100%換算のmmol量である。以下も同様。
1H−NMR(重DMSO):δ7.54(dd,J=8.6,4.2Hz,1H),7.76(dd,J=8.7,7.2Hz,1H),7.94(d,J=7.2Hz,1H),8.31(d,J=8.6Hz,1H),8.51(d,J=8.7Hz,1H),9.01(dd,J=1.5Hz,4.2Hz,1H).
19F−NMR(重DMSO):δ−58.3.
MS(m/z):197[M]+
【0034】
実施例2
下記反応式に従い、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン、および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンの混合物を製造した。
【0035】
【化7】
【0036】
二口フラスコに8−アミノキノリン0.14g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(1.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率52%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率18%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率8.6%)の生成を確認した。実施例1と同様の操作により、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリンを白色固体として(0.14g、収率50%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリンを白色固体として(0.03g、収率15%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンを白色固体として(0.009g、収率4.5%)得た。
【0037】
8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン:
1H−NMR(重クロロホルム):δ6.99(br,2H),7.83(dd,J=8.7,4.2Hz,1H),7.88(s,1H),8.45(ddq,J=8.7,1.5Hz,JHF=1.8Hz,1H),8.95(dd,J=4.2,1.5Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):δ104.5(q,JCF=31.2Hz),111.6(q,JCF=31.2Hz),123.9(sept,JCF=5.1Hz),125.6(q,JCF=269.1Hz),125.9,126.0(q,JCF=269.2Hz),126.9,133.4(q,JCF=2.4Hz),138.8,147.9,149.8.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−63.0,−59.5.
MS(m/z):281[M+H]+
【0038】
8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン:
1H−NMR(重クロロホルム):δ6.34(br,2H),6.95(dd,J=8.2Hz,JHF=0.2Hz,1H),7.64(dd,J=8.7,4.1Hz,1H)、7.72(dd,J=8.2,JHF=0.5Hz,1H),8.39(ddq,J=8.7,1.5Hz,JHF=1.8Hz,1H),8.84(dd,J=4.1,1.5Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):δ106.7,111.6(q,JCF=30.5Hz),123.8,126.0,126.4(q,JCF=268.9Hz),128.0(q,JCF=5.8Hz),132.8(q,JCF=2.3Hz),138.3,148.5,150.2.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−58.5.
MS(m/z):213[M+H]+
【0039】
8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン:
1H−NMR(重アセトン):δ6.17(br,2H),7.06(d,J=8.8Hz,1H),7.37(d,J=8.8Hz,1H)、7.49(dd,J=8.4Hz,4.3Hz,1H),8.14(dd,J=8.4Hz,1.5Hz,1H),8.71(dd,J=4.3Hz,1.5Hz).
19F−NMR(重アセトン):δ−62.3.
MS(m/z):212[M]+
【0040】
実施例3
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド4.0mL(56mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率39%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率30%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率15%)の生成を確認した。
【0041】
実施例4
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)および30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率37%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率28%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率15%)の生成を確認した。
【0042】
実施例5
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド4.0mL(56mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)および30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率32%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率40%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率20%)の生成を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法は、簡便で効率よく、該キノリン類を製造することができ、得られるキノリン類は、医薬・農薬合成用中間体、有機非線形光学材料、発光材料などとして有用である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキル基を有するキノリン類は、特異な性質を持ち、医農薬合成中間体(特許文献1)、有機非線形光学材料(特許文献2)、発光材料(特許文献3)など、さまざまな分野で用いられる工業的に重要な化合物である。そのため、キノリン類にパーフルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基を直接導入する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献4には、亜ジチオン酸ナトリウムの存在下、臭化トリフルオロメチルと8−ヒドロキシキノリンを反応させることにより、8−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルキノリンが製造できることが開示されている。この方法では、10気圧以上の反応条件にもかかわらず、収率が低い点が問題である。非特許文献1には、亜鉛−二酸化イオウの存在下、ヨウ化トリフルオロメチルと8−アミノキノリンを反応させることにより、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリンと8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンの混合物が得られることが開示されている。この方法では、毒性の高いイオウ化合物を用いるため、工業的規模では使用し難い。
【特許文献1】EP第427605号明細書
【特許文献2】特開平3−284734号公報
【特許文献3】特開平11−279152号公報
【特許文献4】特開平1−100135号公報
【非特許文献1】Journal of Heterocyclic Chemistry、31巻、1413−1416ページ、1994年. また、5,7−ビス(パーフルオロアルキル)−8−ヒドロキシキノリンおよび5,7−ビス(パーフルオロアルキル)−8−アミノキノリンに関しては、これまでに報告例がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類の簡便で効率の良い製造方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般式(1)
【0005】
【化1】
【0006】
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1〜12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]
で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、
一般式(2)
【0007】
【化2】
【0008】
[式中、Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、
一般式(3)
【0009】
【化3】
【0010】
[式中、R2は、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表されるキノリン類とを反応させ、
一般式(4)
【0011】
【化4】
[式中、RfおよびR2は、上記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]
で表されるパーフルオロアルキル基を有するキノリン類
を得ることを特徴とするパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、医農薬中間体として有用なパーフルオロアルキル基を有するキノリン類およびそれらを簡便で効率の良い製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、反応試剤として、上記一般式(1)で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類により、キノリン類を一段でパーフルオロアルキル化し、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類を製造するものである。
【0014】
ここで、反応試剤を構成する一般式(1)で表されるスルホキシド類において、R1aおよびR1bで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、具体的には、メチル基、ブチル基、ドデシル基などが例示できる。また、R1aおよびR1bで示される置換されていても良いフェニル基としては、具体的には、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基などが例示できる。R1aおよびR1bは、収率が良い点でメチル基、ブチル基、フェニル基が望ましく、メチル基がさらに望ましい。
【0015】
一般式(1)で表されるスルホキシド類の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジ−sec−ブチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、(R)−(+)−メチル−p−トリルスルホキシド、(S)−(−)−メチル−p−トリルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドなどが挙げられる。スルホキシド類としては、収率がよく、安価である点で、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドが好ましく、さらに好ましくはジメチルスルホキシドである。
【0016】
また、反応試剤を構成する過酸化物としては、例えば過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、t−ブチルぺルオキシド、過酢酸などが挙げられ、これらを必要に応じて組み合わせて用いてもよい。収率が良い点で、過酸化水素または過酸化水素−尿素複合体が好ましい。
過酸化水素は、水で希釈して用いてもよい。その際の濃度は、3〜70重量%であればよいが、市販の35重量%水溶液をそのまま用いてもよい。収率がよく、かつ安全な点で、水で希釈して10〜30重量%とすることがさらに好ましい。
【0017】
さらに、反応試剤を構成する鉄化合物は、収率が良い点で鉄(II)塩が好ましく、例えば硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)またはヨウ化鉄(II)などの無機酸塩や、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄などの有機金属化合物などが挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。また、鉄粉、または鉄(I)塩と過酸化物のような酸化試薬を組み合わせて、系内で鉄(II)塩を発生させて用いることもできる。その際、本発明の反応試剤を構成する過酸化物をそのまま酸化試薬として用いることもできる。
上記鉄化合物のうち、収率が良い点で、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、または鉄粉を用いることが好ましい。
これらの鉄化合物は、固体のまま用いても良いが、溶液として用いることもできる。溶液として用いる場合、溶媒としては後記の溶媒のいずれでも良いが、中でも水が望ましい。その際の鉄化合物溶液の濃度は、0.1〜10mol/Lが望ましく、0.5〜5mol/Lがさらに望ましい。
【0018】
以上の反応試剤における各成分の使用割合は、次のとおりである。
すなわち、上記一般式(3)で表されるキノリン類と上記スルホキシド類とのモル比は、1:1〜1:200が望ましく、収率が良い点で1:10〜1:100がさらに望ましい。
また、上記キノリン類と過酸化物のモル比は、1:0.1〜1:10が望ましく、収率が良い点で1:1.5〜1:3がさらに望ましい。
さらに、上記キノリン類と鉄化合物のモル比は、1:0.01〜1:10が望ましく、収率が良い点で、1:0.1〜1:1がさらに望ましい。
【0019】
本発明で用いられる反応試剤には、酸を添加することにより目的物の収率が向上することがある。添加する酸は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸またはテトラフルホロホウ酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸のいずれでも良く、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で硫酸を単独で用いることが望ましい。
これらの酸は、希釈して用いても良い。その際の溶媒は後記の溶媒であれば良く、中でも水または上記スルホキシド類が望ましい。希釈して用いる場合の酸の濃度は、0.1〜10mol/Lが望ましく、0.5〜5mol/Lがさらに望ましい。
上記キノリン類と添加する酸のモル比は、1:0.001〜1:5が望ましく、収率が良い点で、1:0.01〜1:2がさらに望ましい。
【0020】
次に、本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の出発物質は、上記一般式(2)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、上記一般式(3)で表されるキノリン類である。
【0021】
ここで、一般式(2)において、Rfで示される炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基としては、具体的にはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロプロピルメチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルプロピル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−1−メチルブチル基、パーフルオロ−2−メチルブチル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロシクロブチルメチル基、パーフルオロ−2−シクロプロピルエチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロ−1−メチルペンチル基、パーフルオロ−2−メチルペンチル基、パーフルオロ−3−メチルペンチル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−3,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1−エチルブチル基、パーフルオロ−2−エチルブチル基、パーフルオロ−1,1,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−1−メチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−2−メチルプロピル基またはパーフルオロシクロヘキシル基などが例示できる。医農薬合成中間体および機能性材料として有用な点で、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基またはパーフルオロヘキシル基が望ましく、トリフルオロメチル基がさらに望ましい。
【0022】
また、一般式(2)において、Xは、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示できる。収率が良い点でヨウ素原子または臭素原子が望ましく、ヨウ素原子がさらに望ましい。
【0023】
一方、一般式(3)で表されるキノリン類において、R2で表される炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基としては、具体的には、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ブチルメチルアミノ基などが例示できる。
なお、一般式(3)のR2および一般式(5)のR2aは、医農薬合成中間体および機能性材料として有用な点で、水酸基またはアミノ基が望ましい。
【0024】
以上のキノリン類とハロゲン化パーフルオロアルキル類とのモル比は、1:1〜1:100が望ましく、収率が良い点で1:1.5〜1:10がさらに望ましい。
【0025】
次に、本発明の製造方法について、詳細に述べる。
本発明の反応は、上記スルホキシド類をそのまま溶媒として用いても良い。また、これらのスルホキシド類に対する上記キノリン類、過酸化物、鉄化合物、ハロゲン化パーフルオロアルキル類および酸の溶解度に応じて他の溶媒を用いても良い。用いることのできる溶媒は、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルアルコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素またはN,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で、水、上記スルホキシド類または水とスルホキシド類の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0026】
反応温度は、0℃〜120℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で20℃以上が望ましく、過酸化物の分解を抑制する点で100℃以下が望ましい。また、本反応は、発熱反応であるため、反応のスケールにもよるが、室温で反応を開始しても、自発的に系内の温度は40℃程度〜70℃程度に上昇する。この温度範囲でも、目的物を収率良く得ることができる。
反応を密閉系で行う場合、大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素などの不活性ガスでも良いが、空気中でも充分に進行する。
なお、上記ハロゲン化パーフルオロアルキル類が、室温で気体の場合は、気体のまま用いても良い。その際、アルゴン、窒素、空気、ヘリウム、酸素などの気体で希釈して混合気体としても良く、ハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率が1〜100%の気体として用いることができる。密閉系で反応を実施する場合、ハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体を反応雰囲気として用いることができる。その際の圧力は、大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、開放系でハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体をバブリングして反応溶液中に導入しても良い。その際のハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体の導入速度は、反応のスケール、反応試剤量、反応温度、混合気体のハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率にもよるが、毎分1mL〜200mLの範囲から選ばれた速度で良い。
【0027】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華などの汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0028】
このようにして得られる本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類は、上記一般式(4)で表されるが、さらに好ましくは下記一般式(5)で表される。
【0029】
【化5】
[式中、Rfは、上記と同じ内容を示し、R2aは炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において、1H−NMRおよび19F−NMRはBruker Avance250(250MHzおよび235MHz)を、13C−NMRはBruker Avance500(125MHz)を用いてそれぞれ測定した。また、Massスペクトルは、SHIMAZU GAS CROMATOGRAPH MASS SPECTROMETER GCMS−QP2010およびWaters micromassZQを用いて測定した。
【0031】
実施例1
下記反応式に従い、5−トリフルオロメチルキノリンを製造した。
【0032】
【化6】
【0033】
アルゴン気流中で二口フラスコにキノリン0.12mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加え密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、5−トリフルオロメチルキノリン(生成率9.8%)の生成を確認した。反応溶液に水を加えて炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、目的物を酢酸エチルに抽出した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、5−トリフルオロメチルキノリンを淡黄色液体として(0.006g、収率3.0%)得た。
なお、上記括弧内の『mmol』は、100%換算のmmol量である。以下も同様。
1H−NMR(重DMSO):δ7.54(dd,J=8.6,4.2Hz,1H),7.76(dd,J=8.7,7.2Hz,1H),7.94(d,J=7.2Hz,1H),8.31(d,J=8.6Hz,1H),8.51(d,J=8.7Hz,1H),9.01(dd,J=1.5Hz,4.2Hz,1H).
19F−NMR(重DMSO):δ−58.3.
MS(m/z):197[M]+
【0034】
実施例2
下記反応式に従い、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン、および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンの混合物を製造した。
【0035】
【化7】
【0036】
二口フラスコに8−アミノキノリン0.14g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(1.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率52%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率18%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率8.6%)の生成を確認した。実施例1と同様の操作により、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリンを白色固体として(0.14g、収率50%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリンを白色固体として(0.03g、収率15%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリンを白色固体として(0.009g、収率4.5%)得た。
【0037】
8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン:
1H−NMR(重クロロホルム):δ6.99(br,2H),7.83(dd,J=8.7,4.2Hz,1H),7.88(s,1H),8.45(ddq,J=8.7,1.5Hz,JHF=1.8Hz,1H),8.95(dd,J=4.2,1.5Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):δ104.5(q,JCF=31.2Hz),111.6(q,JCF=31.2Hz),123.9(sept,JCF=5.1Hz),125.6(q,JCF=269.1Hz),125.9,126.0(q,JCF=269.2Hz),126.9,133.4(q,JCF=2.4Hz),138.8,147.9,149.8.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−63.0,−59.5.
MS(m/z):281[M+H]+
【0038】
8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン:
1H−NMR(重クロロホルム):δ6.34(br,2H),6.95(dd,J=8.2Hz,JHF=0.2Hz,1H),7.64(dd,J=8.7,4.1Hz,1H)、7.72(dd,J=8.2,JHF=0.5Hz,1H),8.39(ddq,J=8.7,1.5Hz,JHF=1.8Hz,1H),8.84(dd,J=4.1,1.5Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):δ106.7,111.6(q,JCF=30.5Hz),123.8,126.0,126.4(q,JCF=268.9Hz),128.0(q,JCF=5.8Hz),132.8(q,JCF=2.3Hz),138.3,148.5,150.2.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−58.5.
MS(m/z):213[M+H]+
【0039】
8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン:
1H−NMR(重アセトン):δ6.17(br,2H),7.06(d,J=8.8Hz,1H),7.37(d,J=8.8Hz,1H)、7.49(dd,J=8.4Hz,4.3Hz,1H),8.14(dd,J=8.4Hz,1.5Hz,1H),8.71(dd,J=4.3Hz,1.5Hz).
19F−NMR(重アセトン):δ−62.3.
MS(m/z):212[M]+
【0040】
実施例3
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド4.0mL(56mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)、30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)および1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mL(0.3mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率39%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率30%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率15%)の生成を確認した。
【0041】
実施例4
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド2.0mL(28mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)および30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率37%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率28%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率15%)の生成を確認した。
【0042】
実施例5
二口フラスコに8−アミノキノリン0.11g(0.75mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。さらに、アルゴン気流中で、ジメチルスルホキシド4.0mL(56mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL(3.0mmol)および30%過酸化水素水0.2mL(2.0mmol)を加えて密閉し、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、8−アミノ−5,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン(生成率32%)、8−アミノ−5−トリフルオロメチルキノリン(生成率40%)および8−アミノ−7−トリフルオロメチルキノリン(生成率20%)の生成を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法は、簡便で効率よく、該キノリン類を製造することができ、得られるキノリン類は、医薬・農薬合成用中間体、有機非線形光学材料、発光材料などとして有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1〜12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]
で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、
一般式(2)
【化2】
[式中、Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、
一般式(3)
【化3】
[式中、R2は、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表されるキノリン類とを反応させ、
一般式(4)
【化4】
[式中、RfおよびR2は、上記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]
で表されるパーフルオロアルキル基を有するキノリン類
を得ることを特徴とするパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)で表されるスルホキシド類が、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシドおよびジフェニルスルホキシドの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項3】
過酸化物が、過酸化水素あるいはその水溶液、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドおよび過酢酸の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項4】
過酸化物が、過酸化水素あるいはその水溶液である請求項3に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項5】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄および鉄粉の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項6】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)またはフェロセンである請求項5に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項7】
酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸およびトリフルオロ酢酸の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項8】
酸が、硫酸である請求項7に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項9】
一般式(2)のRfがトリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基である請求項1〜8のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項10】
一般式(2)のXがヨウ素または臭素である請求項1〜9のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項11】
反応温度が20℃〜100℃の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項12】
反応圧が大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaである請求項1〜11のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項13】
一般式(5)
【化5】
[式中、Rfは、上記と同じ内容を示し、R2aは炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表される、請求項1〜12のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法によって得られた、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類。
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1〜12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]
で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物、および場合によっては酸の存在下、
一般式(2)
【化2】
[式中、Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と、
一般式(3)
【化3】
[式中、R2は、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表されるキノリン類とを反応させ、
一般式(4)
【化4】
[式中、RfおよびR2は、上記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]
で表されるパーフルオロアルキル基を有するキノリン類
を得ることを特徴とするパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)で表されるスルホキシド類が、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシドおよびジフェニルスルホキシドの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項3】
過酸化物が、過酸化水素あるいはその水溶液、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドおよび過酢酸の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項4】
過酸化物が、過酸化水素あるいはその水溶液である請求項3に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項5】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄および鉄粉の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項6】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)またはフェロセンである請求項5に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項7】
酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸およびトリフルオロ酢酸の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項8】
酸が、硫酸である請求項7に記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項9】
一般式(2)のRfがトリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基である請求項1〜8のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項10】
一般式(2)のXがヨウ素または臭素である請求項1〜9のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項11】
反応温度が20℃〜100℃の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項12】
反応圧が大気圧(0.1MPa)〜1.0MPaである請求項1〜11のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法。
【請求項13】
一般式(5)
【化5】
[式中、Rfは、上記と同じ内容を示し、R2aは炭素数1〜4のアルキル基で1個または2個置換されていても良いアミノ基を示す。]
で表される、請求項1〜12のいずれかに記載のパーフルオロアルキル基を有するキノリン類の製造方法によって得られた、パーフルオロアルキル基を有するキノリン類。
【公開番号】特開2008−115105(P2008−115105A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299781(P2006−299781)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】
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