説明

パーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物およびその製造方法

【課題】新規含窒素六員環化合物製造方法の提供。
【解決手段】含窒素六員環化合物(1)をスルホキシド類(2)、過酸化物、鉄化合物および酸の存在下に、ハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)と反応させる一般式(4)


[式中、Rfは、炭素数1−6のパーフルオロアルキル基を示し、Y−Yは、窒素原子、または、置換されていても良い炭素原子を示す。Y−Yの少なくとも一つは無置換の炭素原子であり、nは1または2を示す。]で表される新規化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含窒素六員環化合物は、医農薬の合成中間体として極めて広範に用いられる化合物である。一方、パーフルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基は、医農薬の生理活性を向上させることは良く知られている。トリフルオロメチル基をもつ含窒素六員環化合物、例えば4−トリフルオロメチルピリジン類は、除草剤や殺菌剤として用いられている(特許文献1から4)。また、2−アミノ−6−トリフルオロメチルピリジン類は、医薬品中間体として重要である(特許文献5)。
【0003】
含窒素六員環化合物のパーフルオロアルキル化としては、非特許文献1に、ヨウ化パーフルオロアルキルを無水トリフルオロ酢酸中で過酸化水素により酸化し、さらにトリフルオロメタンスルホン酸とベンゼンを反応させて得られるトリフルオロメタンスルホン酸(パーフルオロアルキル)フェニルヨードニウムを用いることにより、ピリジン類をパーフルオロアルキル化する方法が記載されている。しかしながら、トリフルオロメタンスルホン酸(パーフルオロアルキル)フェニルヨードニウムの製造が煩雑であるため、工業的には使用し難く、また最も重要なトリフルオロメチル化に関する記載はない。
【0004】
また、非特許文献2には、亜鉛および二酸化イオウの存在下で、臭化トリフルオロメチルとピリジンから、トリフルオロメチルピリジンを製造する方法が開示されているが、収率が極めて低い欠点がある。
【0005】
非特許文献3および4には、室温で液体であるヨウ化パーフルオロブチルあるいはヨウ化パーフルオロプロピルを用い、ジメチルスルホキシド、過酸化水素水、硫酸鉄(II)の存在下で、環状化合物のパーフルオロアルキル化する方法が開示されている。しかしながら、基質がピロール類、インドール類またはベンゼン類に限定されている。また、医農薬の分野で極めて重要なトリフルオロメチル化物の製造に関する記載は一切ない。
【特許文献1】特開平7−196619.
【特許文献2】特開平9−132566.
【特許文献3】特開2004−300048.
【特許文献4】特開2001−322985.
【特許文献5】特開平10−152473.
【非特許文献1】有機合成化学協会誌,41巻,251−265ページ,1983年.
【非特許文献2】Journal of Organic Chemistry,53巻,4582−4585ページ,1988年.
【非特許文献3】Tetrahedron Letters、34巻、3799−3800ページ、1993年.
【非特許文献4】Journal of Organic Chemistry,62巻,7128−7136ページ,1997年.
【0006】
また、医薬品の合成中間体である3−ヒドロキシピリジンの2位、4−ヒドロキシピリジンの3位と5位、2,6−ジアミノピリジンの3位と5位、化粧品に用いられる2,6−ジアミノピリジンの3位と5位にパーフルオロアルキル基が置換した化合物はこれまでに報告がない。また、既存農薬(ピリミカーブ、ジメチリモール等)中に含まれる骨格と類似した6−アルキル−2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジンの6位にパーフルオロアルキル基が置換した化合物も報告例がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物およびその簡便で効率の良い製造方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類により、含窒素六員環化合物を一段でパーフルオロアルキル化できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1)
【0009】
【化3】

[式中、Y、Y、Y、YおよびYは、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、アミノ基、フェニル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。]で表される含窒素化合物を、一般式R1aS(=O)R1b(2)[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下に、一般式Rf−X(3)[式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることを特徴とする、一般式(4)
【0010】
【化4】

[式中、Rf、Y、Y、Y、YおよびYは、前記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]で表されるパーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物の製造方法に関するものである。
【0011】
また本発明は、一般式(4)で、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Y、YおよびYが無置換の炭素原子である含窒素六員環化合物、一般式(4)で、YおよびYが無置換の炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である含窒素六員環化合物、一般式(4)で、YおよびYがアミノ基で置換された炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子である含窒素六員環化合物、および、一般式(4)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である含窒素六員環化合物に関するものである。以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
1aおよびR1bで示される炭素数1から12のアルキル基としては、具体的には、メチル基、ブチル基、ドデシル基等が例示できる。R1aおよびR1bで示される置換されていても良いフェニル基としては、具体的には、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基等が例示できる。R1aおよびR1bは、収率が良い点でメチル基、ブチル基、ドデシル基、フェニル基、p−トリル基が望ましく、メチル基がさらに望ましい。
【0013】
Rfで示される炭素数1から6のパーフルオロアルキル基としては具体的には、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロプロピルメチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルプロピル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−1−メチルブチル基、パーフルオロ−2−メチルブチル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロシクロブチルメチル基、パーフルオロ−2−シクロプロピルエチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロ−1−メチルペンチル基、パーフルオロ−2−メチルペンチル基、パーフルオロ−3−メチルペンチル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−3,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1−エチルブチル基、パーフルオロ−2−エチルブチル基、パーフルオロ−1,1,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−1−メチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−2−メチルプロピル基またはパーフルオロシクロヘキシル基等が例示できる。医薬品の合成中間体として有用な点で、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基またはパーフルオロヘキシル基が望ましく、トリフルオロメチル基がさらに望ましい。
【0014】
Xは、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示できる。収率が良い点でヨウ素原子または臭素原子が望ましく、ヨウ素原子がさらに望ましい。
【0015】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基等が例示できる。またこれらのアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプトキ基、アミノ基、カルボキシ基等で置換されていても良く、具体的には、クロロメチル基、ジクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、メルカプトメチル基、カルボキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、2−アミノエチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−アミノ−2−カルボキシエチル基等が例示できる。
【0016】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から4のアルケニル基としては具体的には、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルビニル基、2−ブテニル基または1,3−ブタンジエニル基等が例示できる。また、これらのアルケニル基はハロゲン原子またはカルボキシ基で1個以上置換されていても良く、具体的には、1−(クロロメチル)ビニル基、1−(ジフルオロメチル)ビニル基、1−(トリフルオロメチル)ビニル基、2−クロロメチル−2−プロペニル基、2−ジフルオロメチル−プロペニル基、2−トリフルオロメチル−2−プロペニル基、1−(2−クロロエチル)ビニル基、1−(2−フルオロエチル)ビニル基、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ビニル基または1−(2,2,2−トリクロロエチル)ビニル基、1,2−ジカルボキシビニル基等が例示できる。
【0017】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から4のアルキニル基としては具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基または3−ブチニル基等が例示できる。また、これらのアルキニル基はハロゲン原子で1個以上置換されていても良く、具体的には、3−クロロ−1−プロペニル基、3,3−ジフルオロ−1−プロペニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基、4−クロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−1−ブチニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブチニル基、4−クロロ−2−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−2−ブチニル基または4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニル基等が例示できる。
【0018】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルコキシ基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基またはシクロプロピルメチルオキシ基等が例示できる。また、これらのアルコキシ基はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよく、具体的には、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、ジフルオロメトキシ基、3−フルオロプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基または2,2,2−トリクロロエトキシ基等が例示できる。
【0019】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良いアミノ基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良く、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基等が例示できる。また、これらのアルキル基は、共同して環を形成していてもよく、具体的には、ピロリジニル基、ピペリジル基等が例示できる。また、これらのアルキル基はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、クロロメチルアミノ基、2−クロロエチルアミノ基、3−クロロプロピルアミノ基、ジフルオロメチルアミノ基、3−フルオロプロピルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、2−フルオロエチルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルアミノ基または2,2,2−トリクロロエチルアミノ基、ジ(クロロメチル)アミノ基、ジ(2−クロロエチル)アミノ基、ジ(3−クロロプロピル)アミノ基、ビス(ジフルオロメチル)アミノ基、ジ(3−フルオロプロピル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチル)アミノ基、ジ(2−フルオロエチル)アミノ基、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ基またはジ(2,2,2−トリクロロエチル)アミノ基等が例示できる。
【0020】
一般式(1)で、Y、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良いフェニル基は、炭素数1から4のアルキル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されていても良く、具体的には、o−トリル基、p−トリル基、m−トリル基、メシチル基、2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、2−クロロ−3−ニトロフェニル基等が例示できる。
一般式(1)および(4)で示される含窒素六員環化合物の基本骨格としては具体的には、次に示す(N−1)から(N−4)が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
【化5】

【0022】
一般式(1)および(4)において、Y、Y、Y、YおよびYのいずれかが炭素原子の場合、その置換基として水酸基を有する際には、ケト−エノール互変異性体が存在する場合があるが、本発明はこれらの互変異性体を全て包含するものである。本特許では、便宜上エノール体で記述する。
【0023】
次に、本発明の製造方法について、詳細に述べる。
【0024】
本発明は、スルホキシド類(2)をそのまま溶媒として用いても良いが、反応に害を及ぼさない溶媒を用いることもできる。具体的には、水、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルアルコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素またはN,N’−ジメチルプロピレン尿素等が挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で、水、スルホキシド類(2)または水とスルホキシド類(2)の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0025】
一般式(1)の含窒素六員環化合物とスルホキシド類(2)とのモル比は、1:1から1:200が望ましく、収率が良い点で1:10から1:100がさらに望ましい。
【0026】
一般式(1)の含窒素六員環化合物とハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)とのモル比は、nが1のときには1:1から1:100が望ましく、収率が良い点で1:1.5から1:10がさらに望ましい。nが2のときには1:2から1:200が望ましく、収率が良い点で1:3から1:20がさらに望ましい。
【0027】
過酸化物は例えば、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドまたは過酢酸等を例示することができ、これらを必要に応じて組み合わせて用いても良い。収率が良い点で過酸化水素または過酸化水素−尿素複合体が望ましい。
【0028】
過酸化水素は、水で希釈して用いても良い。その際の濃度は、3から70重量%であれば良いが、市販の35重量%をそのまま用いても良い。収率が良くかつ安全な点で、水で希釈して10から30重量%とすることがさらに望ましい。
【0029】
一般式(1)の含窒素六員環化合物と過酸化物のモル比は、1:0.1から1:10が望ましく、収率が良い点で1:1.5から1:3がさらに望ましい。
【0030】
鉄化合物は、収率が良い点で鉄(II)塩が望ましく、例えば、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)またはヨウ化鉄(II)等の無機酸塩や、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセンまたはビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄等の有機金属化合物を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いても良い。また、鉄粉、鉄(0)塩または鉄(I)塩と過酸化物のような酸化試薬を組み合わせて、系内で鉄(II)塩を発生させて用いることもできる。その際、反応に用いる過酸化水素をそのまま酸化試薬として用いることもできる。収率が良い点で硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、フェロセンまたは鉄粉を用いることが望ましい。
【0031】
これらの鉄化合物は、固体のまま用いても良いが、溶液として用いることもできる。溶液として用いる場合、溶媒としては上記の溶媒のいずれでも良いが、中でも水が望ましい。その際の鉄化合物溶液の濃度は、収率が良い点で、0.1から10mol/Lが望ましく、0.5から5mol/Lがさらに望ましい。
一般式(1)の含窒素六員環化合物と鉄化合物のモル比は、1:0.01から1:10が望ましく、収率が良い点で1:0.1から1:1がさらに望ましい。
【0032】
反応温度は20℃から100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で20℃から70℃が望ましい。
反応を密閉系で行う場合、大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素等の不活性ガスでも良いが、空気中でも充分に進行する。
【0033】
一般式(3)のハロゲン化パーフルオロアルキル類が、室温で気体の場合は、気体のまま用いても良い。その際、アルゴン、窒素、空気、ヘリウム、酸素等の気体で希釈して混合気体としても良く、ハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)のモル分率が1から100%の気体として用いることができる。密閉系で反応を実施する場合、ハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)または混合気体を反応雰囲気として用いることができる。その際の圧力は、大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、開放系でハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)または混合気体をバブリングして反応溶液中に導入しても良い。その際のハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)または混合気体の導入速度は、反応のスケール、触媒量、反応温度、混合気体のハロゲン化パーフルオロアルキル類(3)のモル分率にもよるが、毎分1mLから200mLの範囲から選ばれた速度で良い。
【0034】
本法では、酸を添加することにより目的物の収率を向上させることができる。酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸またはテトラフルホロホウ酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸等の有機酸を例示することができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で硫酸が望ましい。
【0035】
また、硫酸の酸性塩を用いても良い。酸性塩としては、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラフェニルホスホニウム等を例示できる。
【0036】
これらの酸は、希釈して用いても良い。その際の溶媒は上記の溶媒であれば良く、中でも水またはスルホキシド類(2)が望ましい。
【0037】
一般式(1)の含窒素六員環化合物と酸のモル比は、1:0.001から1:5が望ましく、収率が良い点で1:0.01から1:2がさらに望ましい。
【0038】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0039】
一般式(1)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、YおよびYが窒素原子であり、YおよびYが無置換の炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることが望ましい。
【0040】
一般式(1)で、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Y、YおよびYが無置換の炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることが望ましい。
【0041】
一般式(1)で、YおよびYが無置換の炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることが望ましい。
【0042】
一般式(1)で、YおよびYがアミノ基で置換された炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることが望ましい。
【0043】
一般式(1)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である場合、上記の製造方法をそのまま用いることができる。収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、医薬品の合成中間体等、広範な工業的用途がある重要な化合物であるパーフルオロアルキルを有する含窒素六員環化合物とその製造方法として有効である。
【0045】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
【0047】
【化6】

二口フラスコに2−ヒドロキシピリジン0.095g(1.0mmol)とフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルピリジンの生成を確認した(生成率68%)。カラムクロマトグラフィーにより2−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルピリジンを白色固体として得た(0.086g、収率53%)。
H−NMR(重クロロホルム):δ6.34(dd,J=6.9,5.6Hz,1H),7.65(d,J=5.6Hz,1H),7.88(d,J=6.9Hz,1H),13.25(brs,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ105.6,120.4(q,JCF=31.4Hz),122.7(q,JCF=271.3Hz),139.2,140.7(q,JCF=4.9Hz),161.4.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−66.0.
MS(m/z):163[M]
(実施例2)
【0048】
【化7】

二口フラスコに4−ヒドロキシピリジン0.095g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、4−ヒドロキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ピリジンの生成を確認した(生成率22%)。カラムクロマトグラフィーにより4−ヒドロキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ピリジンを白色固体として得た(0.025g、収率11%)。
H−NMR(重アセトン):δ8.18(s,2H),11.35(brs,1H).
13C−NMR(重アセトン):δ120.6(q,JCF=29.8Hz),124.0(q,JCF=271.0Hz)139.9(q,JCF=6.4Hz),170.6.
19F−NMR(重アセトン):δ−65.9.
MS(m/z):231[M]
(実施例3)
【0049】
【化8】

二口フラスコに3−アミノピリジン0.094g(1.0mmol)とフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、3−アミノ−2−トリフルオロメチルピリジンの生成を確認した(生成率41%)。カラムクロマトグラフィーにより3−アミノ−2−トリフルオロメチルピリジンを白色固体として得た(0.056g、収率35%)。
H−NMR(重クロロホルム):δ4.21(brs,2H),7,10(d,J=8.3Hz,1H),7.25(dd,J=8.3,4.3Hz,1H),8.07(d,J=4.3Hz,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):122.9(q,JCF=273.8Hz),125.0,127.2,130.6(q,JCF=32.8Hz),138.5,141.0.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−66.4.
MS(m/z):163[M+H]
(実施例4)
【0050】
【化9】

二口フラスコに2,6−ジアミノピリジン0.109g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2,6−ジアミノ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン(生成率56%)および2,6−ジアミノ−3−トリフルオロメチルピリジン(生成率40%)の生成を確認した。カラムクロマトグラフィーにより2,6−ジアミノ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン(生成率56%)を白色固体として、2,6−ジアミノ−3−トリフルオロメチルピリジン(生成率40%)を白色固体として得た。
2,6−ジアミノ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン
H−NMR(重クロロホルム):δ5.12(brs,4H),7.70(s,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ98.0(q,JCF=33.2Hz),124.5(q,JCF=269.6Hz),135.6(quint,JCF=4.7Hz).156.6.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−62.0.
MS(m/z):245[M]
2,6−ジアミノ−3−トリフルオロメチルピリジン
H−NMR(重クロロホルム):δ5.45(brs,2H),5.71(brs,2H),7.70(d,J=5.92Hz,1H),8.39(d,J=5.92Hz,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ105.6,120.4(q,JCF=31.4Hz),122.7(q,JCF=271.3Hz),139.2,140.7(q,JCF=4.9Hz),161.4.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−61.4.
MS(m/z):177[M]
(実施例5)
【0051】
【化10】

二口フラスコに2−アミノピリミジン0.095g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリミジンの生成を確認した(生成率22%)。カラムクロマトグラフィーにより2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリミジンを白色固体として得た(0.033g、収率20%)。
H−NMR(重クロロホルム):δ5.51(brs,2H),8.51(s,2H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ114.3(q,JCF=33.6Hz),125.4(q,JCF=269.1Hz),156.7(q,JCF=3.5Hz),166.2.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−59.6.
MS(m/z):163[M]
(実施例6)
【0052】
【化11】

二口フラスコに2−アミノピラジン0.094g(1.0mmol)とフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−アミノ−3−トリフルオロメチルピラジンの生成を確認した(生成率57%)。カラムクロマトグラフィーにより2−アミノ−3−トリフルオロメチルピラジンを白色固体として得た(0.117g、収率48%)。
H−NMR(重アセトン):δ6.21(brs,2H),7.93(d,J=2.2Hz,1H),8.26(d,J=2.2Hz,1H).
13C−NMR(重アセトン):δ123.3(q,JCF=272.5Hz),126.4(q,JCF=34.6Hz),147.7,153.4(q,JCF=0.8Hz).153.4.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−68.5.
MS(m/z):163[M]
(実施例7)
【0053】
【化12】

二口フラスコに3−ヒドロキシピリジン0.095g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加え、20分間撹拌した。撹拌中に反応系の温度は、40から50℃となった。その後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルピリジンの生成を確認した(生成率26%)。カラムクロマトグラフィーにより3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルピリジンを白色固体として得た(0.024g、収率15%)。
H−NMR(重アセトン):δ7.50(m,2H),8.16(d,J=3.8Hz,1H),9.86(brs,1H).
13C−NMR(重アセトン):δ122.6(q,JCF=273.4Hz),122.5,128.4,134.6(q,JCF=33.2Hz),140.1,152.6.
19F−NMR(重アセトン):δ−66.8.
MS(m/z):163[M]
(実施例8)
【0054】
【化13】

二口フラスコに2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン0.125g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40から50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−トリフルオロメチルピリミジンの生成を確認した(生成率86%)。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出後、濃縮して2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−トリフルオロメチルピリミジンを白色固体として得た(0.135g、収率70%)。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ2.23(q,JHF=2.8Hz,3H),7.09(brs,2H),11.23(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ22.8,101.1(q,JCF=29.2Hz),125.4(q,JCF=271.0Hz),155.9,160.9,166.0.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−53.8.
MS(m/z):193[M]+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Y、Y、Y、YおよびYは、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、アミノ基、フェニル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。]で表される含窒素六員環化合物を、一般式R1aS(=O)R1b(2)[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下に、一般式Rf−X(3)[式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることを特徴とする、一般式(4)
【化2】

[式中、Rf、Y、Y、Y、YおよびYは、前記と同じ内容を示し、nは1または2を示す。]で表されるパーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物の製造方法。
【請求項2】
Xがヨウ素原子または臭素原子である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
Rfがトリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基である請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄または鉄粉である請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)またはフェロセンである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
過酸化物が、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドまたは過酢酸である請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
過酸化物が、過酸化水素である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸である請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
酸が、硫酸である請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
1aおよびR1bが、メチル基である請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
反応温度が20℃から100℃の範囲から選ばれた温度である請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
反応圧が大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から選ばれた圧力である請求項1から11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
一般式(1)で、Y、Y、YおよびYが無置換の炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
一般式(1)で、Y、Y、YおよびYが無置換の炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
一般式(1)で、YおよびYがアミノ基で置換された炭素原子であり、Y、YおよびYが無置換の炭素原子である請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
一般式(1)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
一般式(1)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、YおよびYが窒素原子であり、YおよびYが無置換の炭素原子である請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
一般式(4)で、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Y、YおよびYが無置換の炭素原子である含窒素六員環化合物。
【請求項19】
一般式(4)で、YおよびYが無置換の炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である含窒素六員環化合物。
【請求項20】
一般式(4)で、YおよびYがアミノ基で置換された炭素原子であり、YおよびYが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子である含窒素六員環化合物。
【請求項21】
一般式(4)で、Yがアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である含窒素六員環化合物。

【公開番号】特開2008−231039(P2008−231039A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73964(P2007−73964)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】